「40代 年収 平均」で調べて来られた方に、先に結論を書きます。
40代の年収の平均は、国税庁の調査で40〜44歳531万円、45〜49歳550万円です(2025年分、1年を通じて勤務した人。男性は648万円・683万円、女性は370万円・377万円)。パートなど短時間の人を除くフルタイムの人(正社員以外も含む。厚生労働省の賃金構造基本統計調査、10人以上の会社)では595万円・614万円です。毎月の所定内給与で見ると、平均は一部の高い人に引き上げられていて、40〜44歳のフルタイムの人の約6割は平均より下にいます。所定内給与の中央値は32.6万円で、平均的な残業代と賞与の比率で年収に直すと約531万円です(年収の中央値そのものは公表されていません)。同じ方法の目安では、年収800万円は40〜44歳のフルタイムの人の上位約15%、1,000万円は上位約7%です。私は年齢で報酬を決めたことはなく、その仕事の相場で決めてきました。そして、収入が高くても、物価水準の高い生活をしていたら可処分所得は下がるので、あまり意味がないと考えています。確かめると、東京の事業所で働く40〜44歳の年収の目安759万円は、東京都の物価全体の指数で割っても729万円で、全国1位のままでした。一方で、民営借家の1畳当たり家賃は東京が全国の1.7倍で、同じ広さを借りるなら、家賃の差は給与の差の4〜6割に当たります。借りて住む人にとっては、東京の給与の高さはかなり削られます。買う場合はさらに差が大きく、駅徒歩10分以内・築10年以内・55〜85㎡の中古マンションの成約価格の中央値は、東京23区1億2,000万円、名古屋市4,300万円で約2.8倍でした。通勤時間(片道の中央値)も、23区41.9分、横浜市50.9分に対し、名古屋市31.9分です。同年代で上位何%かを、物価と家賃で割った数字と一緒に出す計算機を10章に置きました。
| 知りたいこと | 答え | 章 |
|---|---|---|
| 40代の平均年収 | 国税庁:40〜44歳531万円、45〜49歳550万円。フルタイム(賃金構造):595万円、614万円 | 2章 |
| 中央値 | 所定内給与の中央値は40〜44歳32.6万円、45〜49歳33.5万円。年収に直した目安は約531万円、約544万円(年収の中央値は公表なし) | 3章 |
| 年収○万円は上位何%か | 目安で、40〜44歳で500万円は上位約57%、800万円は上位約15%、1,000万円は上位約7% | 4章 |
| 会社の規模・学歴・男女 | 40〜44歳で1,000人以上723万円、10〜99人486万円。大学院卒963万円。女性は男性の約6〜7割 | 5章 |
| 課長クラス | 課長級の所定内給与は52.9万円、平均49.5歳 | 6章 |
| 物価で割ると | 東京は物価で割っても1位。神奈川は2位から3位、千葉は9位から14位に下がる | 7章 |
| 家賃と家の値段、通勤時間で比べると | 民営借家の1畳当たり家賃は東京が全国の1.7倍。駅徒歩10分以内・築10年以内の中古マンションは23区が名古屋市の約2.8倍。5,000万円以下で成約した駅近物件のうち築10年以内は23区4%、名古屋市22% | 8章 |
| 古い家は暮らしの質を下げるか | 断熱性への不満は1980年代築54%、2016〜2020年築23%(詳しくは東京の家賃の記事) | 8章 |
| 関東の物件は古いのか | 今住まれている23区の貸家は名古屋・大阪より古くない(2011年以降が32%)。ただし23区の古い貸家の家賃は名古屋の築浅を上回る | 8章 |
1. 先に、立場を書きます
この記事は、会社などに雇われている人の給与の話です。自営業の所得、貯金や資産、手取りの計算は扱っていません。数字は国税庁・厚生労働省・総務省・住宅金融支援機構の公的な統計から取っています。
この記事を作るにあたって、次の問いに答えました。
| 書く範囲 | 「平均+中央値・分布」 |
| 私の立場 | 年齢で報酬を決めたことはなくて、その仕事の相場で決めてきた |
| 相場を何で測ってきたか | 「成果物1件あたりの単価」 |
| 一番言いたいこと | 収入が高くても物価水準高い生活をしていたら可処分所得は下がるのであまり意味がない(関東など) |
| 物価と比べる方法 | 「物価指数で割って比べる」 |
| 「可処分所得が下がる」と考える理由 | 家賃や物件取得費が著しく高いため、その負担が平均よりも高くても意味がない。高くても広かったり、作りが良ければ話は別だが、築年数が20年を超えるようなオンボロマンションや戸建てでも高いのでコスパがとても悪い |
| 関東の住まいについての大局観(公開後に追加) | 例えば大阪や名古屋駅徒歩10分以内の物件と、東京、神奈川、千葉において駅徒歩10分の相場を比較したら、この記事で分析した結果よりももっと割高になると思う。築年数においても同様で、関東と同じ予算でエキチカでも関東以外だと築浅が苦労することなく見つかる。そして駐車場も簡単に見つかる。関東だと駐車場付き物件がそもそも少ないし、オンボロ物件ばかり出てくる。人口密度もムダに高いため狭くて古くて不便な生活を強いられる |
| 古い家と暮らしの質(公開後に追加) | 予算を下げればボロ屋に住まなければならず、ボロ屋はQOLを著しく下げる。ただし20年後はZEH物件がボロ屋になるが、それは今の築20年のボロ屋とはレベチになる |
| 40代の「勝ち組」「普通」の線 | 「額面の線に意味はない」 |
| 一番伝えたい行動 | 「両方」(市場の相場で自分の値段を確かめることと、生活費を引いて残るお金を見ること) |
| 計算機 | 「同年代で上位何%か」 |
2. 40代の年収の平均:国税庁と厚生労働省で数字が違う理由
40代の平均年収として出てくる数字は、主に2つの調査から来ています。
| 調査 | 40〜44歳 | 45〜49歳 |
|---|---|---|
| 国税庁 民間給与実態統計調査(男女計) | 531万円 | 550万円 |
| 同 男性 | 648万円 | 683万円 |
| 同 女性 | 370万円 | 377万円 |
| 厚生労働省 賃金構造基本統計調査(男女計) | 595万円 | 614万円 |
| 同 男性 | 664万円 | 697万円 |
| 同 女性 | 470万円 | 473万円 |
国税庁の数字は、2025年に1年を通じて勤務した給与所得者の、給与・手当・賞与の1年分の合計の平均です。パートや契約社員も、10人未満の会社で働く人も含みます。全年齢の平均は487万円(男性597万円、女性342万円)で、35〜39歳は503万円、50〜54歳は568万円です。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査は、10人以上の民間の会社で働くフルタイムの人(一般労働者。短時間の人を除く)の、2025年6月分の給与から出しています。この記事では、毎月決まって支給される給与(残業代を含む)の12か月分に、前の年1年間の賞与を足して、年収の目安にしています。一般労働者には、正社員以外のフルタイムの人も含みます。パートの人が入らない分、国税庁の数字より高くなります。6月分の給与と前の年の賞与を組み合わせているので、2025年に実際に受け取った年収ではなく、年収に相当する目安です。賞与だけの平均は、ボーナスの平均の記事に書きました。
3. 中央値と分布:平均より下に約6割いる
国税庁の調査は、年齢別の中央値や、年齢と給与の額をかけ合わせた表を出していません。分布が分かるのは、厚生労働省の賃金構造基本統計調査の「所定内給与」です。所定内給与は、毎月決まって支給される給与から、残業代など(時間外・深夜・休日出勤・宿日直・交替の手当)を引いたものです。基本給や通勤手当などの諸手当を含み、賞与は含みません。
| 区分 | 下位10%の線 | 下位25%の線 | 中央値 | 上位25%の線 | 上位10%の線 | 平均 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 40〜44歳・男女計 | 21.3万円 | 26.0万円 | 32.6万円 | 41.7万円 | 54.7万円 | 36.4万円 |
| 40〜44歳・男性 | 24.1万円 | 28.9万円 | 35.7万円 | 45.4万円 | 59.5万円 | 39.8万円 |
| 40〜44歳・女性 | 19.0万円 | 22.4万円 | 27.5万円 | 34.2万円 | 42.7万円 | 30.4万円 |
| 45〜49歳・男女計 | 21.2万円 | 26.1万円 | 33.5万円 | 44.0万円 | 58.3万円 | 37.8万円 |
| 45〜49歳・男性 | 24.3万円 | 29.9万円 | 37.5万円 | 48.7万円 | 63.7万円 | 42.1万円 |
| 45〜49歳・女性 | 19.0万円 | 22.3万円 | 27.6万円 | 34.7万円 | 44.4万円 | 30.6万円 |
どの区分でも、平均は中央値より上にあります。40〜44歳・男女計では、所定内給与の平均36.4万円より下に、約62%の人がいます(給与の階級ごとの人数から、階級の中を直線で補って出した推計)。少数の高い人が、平均を引き上げているからです。
年収の目安にするため、中央値に「年収÷所定内給与」の比率(40〜44歳・男女計で16.3か月分。残業代と賞与を含む)を掛けると、40〜44歳は男女計約531万円・男性約595万円・女性約426万円、45〜49歳は約544万円・約622万円・約427万円になります。これは年収の中央値ではなく、所定内給与の中央値に平均の比率を掛けた目安です。残業代と賞与の比率は人によって違い、年収の中央値は公表されていません。
4. 年収○万円は、40代の上位何%か
3章と同じ比率で年収を所定内給与に直し、フルタイムの人の分布に当てると、次のようになります。実際の年収の分布から数えた順位ではなく、目安です。
| 年収(額面) | 40〜44歳・男女計 | 40〜44歳・男性 | 40〜44歳・女性 | 45〜49歳・男女計 | 45〜49歳・男性 | 45〜49歳・女性 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 400万円 | 上位80% | 上位90% | 上位58% | 上位80% | 上位90% | 上位58% |
| 500万円 | 上位57% | 上位71% | 上位31% | 上位59% | 上位74% | 上位32% |
| 600万円 | 上位37% | 上位49% | 上位15% | 上位40% | 上位54% | 上位17% |
| 700万円 | 上位23% | 上位32% | 上位8.0% | 上位27% | 上位38% | 上位9.3% |
| 800万円 | 上位15% | 上位21% | 上位5.0% | 上位18% | 上位26% | 上位5.6% |
| 1,000万円 | 上位6.9% | 上位9.8% | 上位2.4% | 上位8.4% | 上位12% | 上位2.5% |
分布は1か月の所定内給与のもので、年収そのものの分布ではありません。賞与の多い会社の人は、年収から直した所定内給与が実際より高く出て、上の方に出やすくなります。パートの人を含めた全体の中では、順位は表より上がる見込みですが、確かめられる公的な分布はありません。
5. 会社の規模・学歴・男女で、どれだけ違うか
賃金構造基本統計調査の年収の目安(毎月決まって支給される給与×12+前の年の賞与)です。
| 区分 | 40〜44歳 男女計 | 40〜44歳 男性 | 45〜49歳 男女計 | 45〜49歳 男性 |
|---|---|---|---|---|
| 企業規模計(10人以上) | 595万円 | 664万円 | 614万円 | 697万円 |
| 1,000人以上 | 723万円 | 816万円 | 748万円 | 864万円 |
| 100〜999人 | 560万円 | 623万円 | 585万円 | 659万円 |
| 10〜99人 | 486万円 | 531万円 | 502万円 | 557万円 |
| 大学卒 | 707万円 | 763万円 | 755万円 | 817万円 |
| 大学院卒 | 963万円 | 997万円 | 1,051万円 | 1,109万円 |
| 大学卒・1,000人以上 | 840万円 | 918万円 | 900万円 | 980万円 |
会社の規模は、事業所ではなく会社全体の人数です。40〜44歳では、1,000人以上と10〜99人で237万円の差があります。国税庁の調査でも、資本金10億円以上の株式会社で働く40〜44歳の平均は765万円(男性881万円、女性507万円)、資本金2,000万円未満では465万円でした。
女性の平均は、40〜44歳で国税庁370万円、賃金構造470万円で、男性の約6〜7割です。国税庁の数字はパートなどを含むので、差が大きく出ます。
6. 役職:課長級は所定内給与52.9万円、平均49.5歳
「44歳で課長クラスの年収は」という問いが多く調べられています。賃金構造基本統計調査は、雇用期間の定めのない一般労働者の役職別の所定内給与を出しています(2025年6月分)。
| 役職 | 所定内給与(男女計) | 男性 | 女性 | 平均年齢 | 平均勤続年数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 部長級 | 63.6万円 | 64.2万円 | 57.8万円 | 53.1歳 | 22.6年 |
| 課長級 | 52.9万円 | 54.1万円 | 47.0万円 | 49.5歳 | 20.9年 |
| 係長級 | 39.9万円 | 41.1万円 | 36.6万円 | 45.4歳 | 17.5年 |
| 非役職者 | 31.1万円 | 33.2万円 | 28.0万円 | 41.8歳 | 10.8年 |
課長級の平均年齢は49.5歳なので、44歳の課長は平均より若い課長です。課長級の平均(全年齢)と同じ52.9万円の所定内給与は、40〜44歳・男女計のフルタイムの人の中では上位約12%に当たる額です。44歳の課長の給与そのものは、この表からは分かりません。この表に賞与は入っていないので、年収は所定内給与の12か月分(約635万円)に、残業代と賞与を足した額になります。課長・部長になれる確率は、課長・部長になれる確率の記事で計算しました。
7. 都道府県別:物価で割ると、順位はどう変わるか
私の言いたいことは「収入が高くても、物価水準の高い生活をしていたら意味がない」です。比べ方として「物価指数で割って比べる」を選びました。
使ったのは、総務省の消費者物価地域差指数(2025年)です。全国平均を100として、都道府県ごとの物価の水準を表します。この指数の「総合」と「住居」には、持ち家を家賃に換算した分(持家の帰属家賃)は入っていません。最も高いのは東京都の104.2で13年連続、最も低いのは群馬県の96.2です。
賃金構造基本統計調査の都道府県別の表から、40〜44歳・男女計の年収の目安を出し、この指数で割りました。
| 都道府県 | 年収の目安 | 順位 | 物価(総合) | 物価で割った額 | 順位 |
|---|---|---|---|---|---|
| 東京都 | 759万円 | 1位 | 104.2 | 729万円 | 1位 |
| 神奈川県 | 652万円 | 2位 | 103.3 | 631万円 | 3位 |
| 愛知県 | 633万円 | 3位 | 98.0 | 646万円 | 2位 |
| 兵庫県 | 597万円 | 4位 | 99.4 | 601万円 | 4位 |
| 大阪府 | 593万円 | 5位 | 99.9 | 593万円 | 6位 |
| 茨城県 | 582万円 | 6位 | 97.5 | 597万円 | 5位 |
| 京都府 | 580万円 | 7位 | 101.1 | 573万円 | 9位 |
| 千葉県 | 564万円 | 9位 | 100.5 | 561万円 | 14位 |
| 埼玉県 | 554万円 | 13位 | 100.2 | 553万円 | 17位 |
| 福岡県 | 542万円 | 17位 | 98.5 | 551万円 | 18位 |
| 群馬県 | 529万円 | 24位 | 96.2 | 550万円 | 19位 |
| 北海道 | 507万円 | 30位 | 102.4 | 495万円 | 31位 |
| 全国 | 595万円 | - | 100.0 | 595万円 | - |
東京は、物価で割っても1位のままでした。差は全国より134万円で、物価で割る前の164万円より30万円縮むだけです。物価全体で見る限り、東京で働く40代の平均の給与の高さは、物価の高さで消えるほどではありません。ただし、これは東京の事業所で働く人の平均給与を、東京都の平均的な物価で割った順位です。住んでいる人の暮らしの順位ではありません。
関東のほかの県は違います。神奈川は2位から3位に、千葉は9位から14位に、埼玉は13位から17位に下がりました。千葉と埼玉の40〜44歳の年収の目安は、物価で割る前から全国の平均を下回っています。
45〜49歳でも同じで、東京は794万円から762万円(1位のまま)、神奈川は676万円から655万円(2位から3位)でした。
ここでの年収は、働いている事業所の所在地で集計した数字です。東京で働いて千葉や埼玉に住む人の給与は、東京の数字に入っています。
8. 住まいの費用・広さ・通勤で見ると:23区の駅近・築浅は名古屋の約2.8倍
私が「可処分所得が下がる」と考えるのは、家賃や物件取得費が著しく高いからです。なお、統計の用語の「可処分所得」は、収入から税と社会保険料を引いたもので、家賃などの生活費は引きません。この章では、住まいの費用を払った後に残るお金の側を見ます。物価の「総合」は、家計の支出全体をならした指数で、家賃を払っていない持ち家の世帯も含みます。家賃を払っている人にとっては、支出に占める住まいの費用の割合がこれより大きくなります。そこで、住まいの費用だけを別に見ます。
8-1. 借りる場合:民営借家の1畳当たり家賃
総務省の住宅・土地統計調査(2023年)の、民営借家の1畳当たり家賃(1か月、家賃0円を除く)です。1畳当たり家賃は、1か月の家賃を居住室の畳数で割ったものです。
| 都道府県 | 民営借家の1畳当たり家賃 | 全国との比 | 物価指数の「住居」(2025年) |
|---|---|---|---|
| 東京都 | 6,533円 | 1.70倍 | 129.8 |
| 神奈川県 | 4,677円 | 1.21倍 | 110.7 |
| 京都府 | 4,183円 | 1.09倍 | 102.2 |
| 大阪府 | 4,025円 | 1.05倍 | 98.0 |
| 千葉県 | 3,897円 | 1.01倍 | 111.8 |
| 埼玉県 | 3,847円 | 1.00倍 | 104.5 |
| 愛知県 | 3,421円 | 0.89倍 | 94.6 |
| 福岡県 | 3,190円 | 0.83倍 | 96.4 |
| 群馬県 | 2,742円 | 0.71倍 | 89.5 |
| 青森県(最も低い) | 2,350円 | 0.61倍 | 94.2 |
| 全国 | 3,850円 | 1.00倍 | 100.0 |
居住室が20畳の民営借家なら、東京の平均は月13万660円、全国の平均は月7万7,000円で、差は年64.4万円です。30畳なら年96.6万円です。東京で働く40〜44歳の年収の目安は全国より164万円高く、家賃の差は20畳でその約4割、30畳で約6割に当たります。164万円は額面なので、税と社会保険料を引いた後の差に対しては、さらに大きな割合になります。東京の中でも平均より給与が低い人なら、差が残らないこともあり得ます。
これは平均の単価を同じ畳数に掛けた仮定の計算で、築年数・駅からの距離・設備が同じ住宅どうしの差ではありません。給与は働く場所、家賃は住む場所の数字です。また、7章の物価で割った額には家賃の差も一部入っているので、7章の729万円からさらに家賃の差を引くと、二重に数えることになります。
一方で、千葉と埼玉の民営借家の1畳当たり家賃は、全国の平均とほぼ同じでした。物価指数の「住居」では千葉が111.8と高く出ていて、2つの数字は一致しません。指数は2025年の価格の調査、1畳当たり家賃は2023年の住宅の調査で、調べ方と対象が違います。
8-2. 築年数をそろえた家賃:23区の築30年超は名古屋の築浅より高い
私は、関東と同じ予算なら、関東以外では駅に近い築浅の物件が苦労せずに見つかり、関東ではオンボロ物件ばかり出てくると考えています。まず家賃で、築年数をそろえて比べます。住宅・土地統計調査(2023年)の、民営借家(鉄筋コンクリートなどの非木造)の1畳当たり家賃(1か月)です。この表は家賃0円の住宅も含む数字で、8-1の表とは定義が少し違います。
| 地域 | 2016〜2020年築 | 2001〜2005年築 | 1981〜1990年築 |
|---|---|---|---|
| 東京23区 | 8,383円 | 7,678円 | 5,751円 |
| 横浜市 | 6,231円 | 5,181円 | 4,251円 |
| 川崎市 | 6,436円 | 5,450円 | 4,669円 |
| さいたま市 | 5,133円 | 4,564円 | 3,525円 |
| 千葉市 | 4,771円 | 4,199円 | 3,226円 |
| 名古屋市 | 5,184円 | 4,034円 | 3,082円 |
| 大阪市 | 6,149円 | 5,114円 | 3,965円 |
| 京都市 | 5,890円 | 5,056円 | 4,144円 |
| 神戸市 | 5,043円 | 4,817円 | 3,506円 |
| 全国 | 5,177円 | 4,246円 | 3,543円 |
23区の1981〜1990年築(築33〜42年)の5,751円は、名古屋市の2016〜2020年築(築3〜7年)の5,184円より高く、大阪市の2016〜2020年築の6,149円をやや下回る額です。どちらも建った時期ごとの平均で、駅からの距離や設備はそろえていませんが、23区の築30年を超える貸家の1畳当たり家賃は、名古屋市の築浅の貸家を上回っていました。
築年数をそろえた23区と名古屋市の差は、2016〜2020年築で1.62倍でした。築年数をそろえない民営借家(非木造)全体では1.83倍なので、家賃では、築年数をそろえても差は広がりませんでした。また、千葉市とさいたま市は、築浅でも名古屋市と同じかそれより安い水準です。関東でひとくくりにはできず、名古屋市より大きく高いのは23区で、横浜市・川崎市は大阪市と同じくらいです。
8-3. 古さ・広さ・買う場合・通勤:要点
ここから先の、物件の古さと広さ、買う場合の値段、通勤時間、古い家と暮らしの質の詳しい数字は、上京して家賃を払っている人の目線で21の大都市まで広げて比べた東京の家賃は高すぎる?の記事に移しました。ここでは、40代の年収と並べて見るための要点だけを残します。
| 項目 | 東京23区 | 名古屋市 | 大阪市 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| 民営借家の広さ(1住宅当たり延べ面積) | 37.6㎡ | 43.7㎡ | 36.7㎡ | 住宅・土地統計調査(2023年) |
| 持ち家の広さ | 85.9㎡ | 108.9㎡ | 87.1㎡ | 同上 |
| 貸家(非木造)のうち2011年以降に建った割合 | 32% | 30% | 30% | 同上 |
| 駅徒歩10分以内・築10年以内・55〜85㎡の中古マンションの成約価格(中央値) | 1億2,000万円 | 4,300万円 | 7,500万円 | 国土交通省 不動産情報ライブラリ(2025年4月〜2026年3月) |
| 上の条件で5,000万円以下で成約した物件のうち築10年以内 | 4% | 22% | 9% | 同上 |
| 通勤時間の中央値(片道) | 41.9分 | 31.9分 | 32.4分 | 住宅・土地統計調査(2023年) |
- 今住まれている23区の貸家は、名古屋市・大阪市より古いわけではありません。ただし、8-2のとおり、23区の古い貸家の家賃は名古屋市の築浅を上回ります
- 首都圏で中古マンションを買った人は、その他の地域より1㎡当たり約1.6倍の値段を払っています(住宅金融支援機構「2025年度フラット35利用者調査」。年収倍率6.2倍、その他の地域は4.7倍)
- 通勤時間は、横浜市50.9分、さいたま市52.3分で、名古屋市より約20分長くなっています。ドイツの追跡調査(Stutzer・Frey、2008年)では、片道1時間の通勤で生活満足度が約0.2点(0〜10点)低くなっていました
- 断熱性への不満は、1981〜1990年に建った住宅で54%、2016〜2020年で23%でした(国土交通省「住生活総合調査」2023年)。2025年4月から新築の省エネ基準適合が義務になり、遅くとも2030年までにZEH水準へ引き上げる予定なので、20年後の築20年は今の築20年より断熱の良い住宅が増える見込みです
8-4. 私の主張は、数字で当たっているか
- 平均で見ると、東京で働く40代の給与は、物価全体で割っても全国1位です。東京については、「収入が高くても意味がない」とまでは言えません
- 借りて住む人に限ると、話が変わります。同じ広さの家賃の差は、20〜30畳で額面の給与の差の約4〜6割に当たります
- 駅徒歩10分以内・築10年以内で比べると、23区の中古マンションは名古屋市の約2.8倍で、同じ予算で成約した駅近物件は23区のほうが古くなっていました。ただし、さいたま市・千葉市は名古屋市に近く、大阪市は23区と名古屋市の間です
- 「狭い」は名古屋市と比べれば当たりですが、大阪市も23区と同じくらい狭い。通勤時間は、23区は名古屋市より10分、横浜市・さいたま市は約20分長くなっていました
- 駐車場が見つかりにくいかどうかは、公的な統計がなく確かめられませんでした
9. 私の考え:額面の線に意味はない
私は年齢で報酬を決めたことがなく、その仕事の相場で決めてきました。相場は、成果物1件あたりの単価で測ってきました。だから、40代の「勝ち組」や「普通」を額面の線で決めることに、意味はないと考えています。
収入が高くても、物価水準の高い生活をしていたら可処分所得は下がるので、あまり意味がないと考えています。家賃や物件取得費が著しく高く、その負担が平均より高いなら、収入が平均より高くても意味がありません。広かったり作りが良かったりすれば話は別ですが、築20年を超えるようなマンションや戸建てでも高いので、コスパがとても悪いと考えています。私は、関東と同じ予算なら、関東以外では駅に近い築浅の物件が苦労せずに見つかり、駐車場も簡単に見つかると考えています。関東は人口密度がムダに高いため、狭くて古くて不便な生活を強いられる、というのが私の大局観です。8章で確かめると、23区・横浜市と名古屋市の比較では、駅近・築浅の値段と通勤時間は、この見方と同じ向きでした。駐車場は公的な統計がなく確かめられず、今人が住んでいる貸家の古さは名古屋市・大阪市と変わりませんでした。
見てほしいのは2つです。1つは、市場の相場で自分の値段を確かめることです。もう1つは、生活費を引いて残るお金を見ることです。会社員なら、厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)で、職業ごとの賃金(年収)の統計を調べられます。ただし、職業分類に基づく統計で、求人の年収や、自分が得られる報酬そのものではありません。年代別の平均は、相場を確かめる材料の1つでしかありません。転職したときの年収の変わり方は、45歳の転職の記事に書きました。
10. 計算機:同年代で上位何%か
年齢層・性別・学歴・会社の規模を選び、毎月の所定内給与か年収を入れると、同じ区分の中で上位何%かと、区分の平均・中央値との差を出します。都道府県を選ぶと、物価で割った数字と、民営借家の家賃の水準も出します。所定内給与が分からないときは、年収だけでも目安を出します。
40代の年収:同年代で上位何%か(物価と家賃で割った数字つき)
入れた数字は、このページの中で計算に使うだけで、どこにも送られません。初めから入っている数字は、40〜44歳の平均(令和7年賃金構造基本統計調査)を使った入力の例です。自分の数字に置き換えてください。
11. よくある質問
40代の平均年収はいくらですか?
国税庁の2025年分の調査で、40〜44歳531万円、45〜49歳550万円です。男性は648万円・683万円、女性は370万円・377万円です。パートを除くフルタイムの人では、595万円・614万円です(2章)。
40代の年収の中央値はいくらですか?
年収の中央値は、公的な統計では出ていません。フルタイムの人の所定内給与の中央値は40〜44歳32.6万円、45〜49歳33.5万円で、平均的な残業代と賞与の比率で年収に直すと約531万円・約544万円です(目安、3章)。
40代で年収800万円は普通ですか?
所定内給与の分布に年収を当てた目安で、40〜44歳のフルタイムの人の中で上位約15%、男性だけなら上位約21%です(4章)。中央値の約531万円よりかなり上です。私は、額面の線で普通かどうかを決めることに意味はないと考えています。住んでいる地域の家賃によって、残るお金は大きく変わります(8章)。
40代の勝ち組の年収はいくらですか?
「勝ち組」の公的な定義はありません。参考までに、40〜44歳のフルタイムの人で上位10%の線は所定内給与54.7万円で、年収にすると約893万円が目安です。私は、額面の線に意味はないと考えています(9章)。
44歳で課長クラスの年収はいくらですか?
課長級の所定内給与は52.9万円(男性54.1万円、女性47.0万円)で、平均年齢は49.5歳です。12か月分で約635万円で、これに賞与などが加わります(6章)。
40歳で年収500万円は平均より少ないですか?
平均よりは少ないです。40〜44歳の平均は国税庁で531万円、フルタイムの人で595万円です。ただ、目安では、フルタイムの人の中で上位約57%(下位約43%)で、中央値に近い位置です。男性だけなら上位約71%、女性だけなら上位約31%です(4章)。
40代女性の平均年収はいくらですか?
国税庁の調査で、40〜44歳370万円、45〜49歳377万円です。パートを除くフルタイムの人では、470万円・473万円です(2章・5章)。
12. まとめ
- 40代の平均年収は、国税庁で40〜44歳531万円・45〜49歳550万円、フルタイムの人で595万円・614万円
- 所定内給与で見ると、平均は少数の高い人に引き上げられていて、平均より下に約6割いる。所定内給与の中央値は40〜44歳32.6万円、年収に直した目安は約531万円
- 40〜44歳のフルタイムの人で、年収800万円は上位約15%、1,000万円は上位約7%(目安)
- 会社の規模で大きく違い、40〜44歳で1,000人以上723万円、10〜99人486万円
- 東京で働く40代の平均の給与は、東京都の物価全体の指数で割っても全国1位。神奈川・千葉・埼玉は順位が下がる
- 借りて住む人に限ると、東京の給与の高さは家賃でかなり削られる。民営借家の1畳当たり家賃は全国の1.7倍で、23区の築30年超の家賃で名古屋市の築浅が借りられる
- 駅徒歩10分以内・築10年以内・55〜85㎡の中古マンションは、23区1億2,000万円、名古屋市4,300万円で約2.8倍。5,000万円以下で成約した駅近物件のうち築10年以内は23区4%、名古屋市22%
- 古い家ほど断熱といたみへの不満が多い(断熱性への不満は1980年代築54%、2016〜2020年築23%)。2025年以降は建てる最低の基準が上がるので、20年後の築20年は今より断熱の良い住宅が増える見込み
- 通勤時間(片道の中央値)は23区41.9分・横浜市50.9分、名古屋市31.9分・大阪市32.4分。今住まれている23区の貸家は名古屋・大阪より古くない
- 私は、額面の線に意味はないと考えている。市場の相場で自分の値段を確かめ、生活費を引いて残るお金を見る
13. 出典
- 国税庁「令和7年分 民間給与実態統計調査結果について」https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan/gaiyou/2025.htm
- 国税庁「令和7年分 民間給与実態統計調査」標本調査結果(第11表 企業規模別及び年齢階層別の給与所得者数・給与額)https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2025/minkan.htm
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」一般労働者 第1表(e-Stat)https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000040420843&fileKind=4
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」一般労働者 第3表 年齢階級、所定内給与額階級別労働者数及び所定内給与額の分布特性値(e-Stat)https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000040420874&fileKind=4
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」都道府県別 第1表 都道府県、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(例:東京・神奈川、e-Stat)https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000040421173&fileKind=4
- 厚生労働省「賃金構造基本統計調査で使用されている主な用語の説明」https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/yougo-01.html
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」(役職別にみた賃金)https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2025/index.html
- 総務省統計局「消費者物価地域差指数 -小売物価統計調査(構造編)2025年(令和7年)結果-」https://www.stat.go.jp/data/kouri/kouzou/pdf/g_2025.pdf
- 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果」https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/pdf/kihon_gaiyou.pdf
- 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」121-2-2 住宅の所有の関係(4区分)別1畳当たり家賃(借家(専用住宅))-全国、都道府県、市区(e-Stat)https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0004021488
- 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」107-2 住宅の種類、住宅の所有の関係、建築の時期別借家の1畳当たり家賃-全国、都道府県、21大都市(e-Stat)https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0004021447
- 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」第5-1表 住宅の種類、住宅の所有の関係、建築の時期別住宅数(e-Stat)https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000040209849&fileKind=0
- 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」第15表 建築の時期、住宅の所有の関係別延べ面積別住宅数及び1住宅当たり延べ面積(e-Stat)https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000040209873&fileKind=0
- 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」第127-1表 住宅の所有の関係、1か月当たり家賃別家計を主に支える者の通勤時間別主世帯数及び通勤時間中位数(e-Stat)https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000040210071&fileKind=0
- 総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査 用語の解説」(通勤時間は片道)https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/pdf/yougo.pdf
- 国土交通省「不動産情報ライブラリ」不動産価格(取引価格・成約価格)情報の検索・ダウンロード(中古マンション等、2025年第2四半期〜2026年第1四半期)https://www.reinfolib.mlit.go.jp/realEstatePrices/
- 国土交通省「令和5年住生活総合調査(確報集計)報告書」https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001907386.pdf
- 国土交通省「令和5年住生活総合調査(確報集計)」表19 住宅の各要素の満足度⑩断熱性(e-Stat。表2・13・15・17・18も同じ集計の表)https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000040313621&fileKind=0
- 国土交通省「省エネ基準引き上げへ。脱炭素化も。」https://www.mlit.go.jp/shoene-jutaku/
- Alois Stutzer, Bruno S. Frey「Stress that Doesn’t Pay: The Commuting Paradox」Scandinavian Journal of Economics, 2008https://wwz.unibas.ch/fileadmin/user_upload/wwz/00_Professuren/Stutzer_Politische_Oekonomie/Publications/Stutzer_Frey_CommutingStress_SJEa.pdf
- 住宅金融支援機構「2025年度【フラット35】利用者調査」https://www.jhf.go.jp/about/research/loan/flat35/index.html
- 住宅金融支援機構「2025年度フラット35利用者調査」(詳細資料)https://www.jhf.go.jp/files/topics/4941_ext_99_1.pdf
- 厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)」https://shigoto.mhlw.go.jp/User/
14. あわせて読む
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