「買ってはいけない株主優待」「優待株 失敗」で調べて来られた方に、先に結論を書きます。
買ってはいけないのは、「優待がなくなったら持っていたくない株」です。優待は、会社がいつでも変えたり、やめたりできます。ジョーシン(Joshin)は2025年9月末の分から1株の優待をやめ、JTは2022年12月末、オリックスは2024年3月末を最後に優待そのものを廃止しました。JTとオリックスは、配当などによる利益の還元に集約する、と理由を書いています。そして、株価が少し下がるだけで、優待の何年分もが消えます。たとえば30万円で買った株が10%下がれば3万円で、1年5,000円分の優待の6年分です。
私は、優待を目当てに株を買ったことがあります。優待券を売った利益も、株価の値上がりの利益も出ました。ただ、それはこういう理由だった、と私は見ています。
「優待せどりで利益が出ただけでなくて株のキャピタルゲインでも利益が出せたがそれは地合いが良くて日経平均が凄まじい勢いで上がっている年だっただから。これからも優待で利益を出してキャピタルゲインでも利益を出せる保証はどこにもない。」
そもそも私は、優待より、そのお金で事業を強くしてほしい、という立場です(5章)。
この記事では、銘柄の名前を挙げて「買ってはいけない」とは書きません。どの株にも当てはめられる確かめ方と、その計算機を置きます。
| 知りたいこと | 答え | 章 |
|---|---|---|
| 買ってはいけない優待株とは | 優待がなくなったら持っていたくない株。優待がなくても持つ理由が残るかで決める | 2章 |
| 優待は本当になくなるのか | なくなる。ジョーシンの1株優待、JT、オリックスの公式の開示 | 3章 |
| 優待目当てで買った人はどうなったか | 私は優待でも株価でも利益が出たが、地合いのおかげだった | 4章 |
| 筆者は優待をどう見ているか | 優待に回すお金があるなら、事業投資や研究開発に入れてほしい。株価が上がり続けることを求める | 5章 |
| 自分の株で確かめたい | 優待がなくなったときの利回り、株価が下がったときに消える年数、時給を計算機で出す | 6章 |
1. 先に、立場を書きます
私は中古品の売買を20年近く続けていて(古物商許可あり)、投資は事業で稼いだお金の範囲でやってきました。株主優待とのかかわりは、こうです。
| 優待を目当てに個別株を買ったこと | 「ある」。ジョーシンは1株だけ持って、届いた優待券を売っていた |
| 優待券や優待品を売ったこと | 「フリマ・ヤフオクで売った」 |
| いまの株 | 投資信託とETFだけ。AIを使って個別株を半年やったが、プラスにはなっても指数には勝てなかった(新高値ブレイク投資法の記事) |
優待で稼ぐことについては、こう見ています。
「抽選、予約と同じで時間あたり収益率で計算すると普通にせどりやってるほうがいいと思う」
ジョーシンについては、こうでした。
「ジョーシン電機が一株でも優待券をもらえたので保有していたが塞がれたので株式を売却してやめた。せどり目的での保有で株単体でも利益は出たし何度も売ったので利回りも良かった」
この記事の会社の話は、各社の開示資料と株主優待のページ、国税庁のページで、2026年10月10日に確かめました。
2. 買ってはいけない株主優待の見分け方
2-1. 優待がなくなっても持つか:配当だけの利回りで決める
優待は、会社が決めて、会社が変えます(3章)。だから、買う前に確かめるのは「優待がなくなっても、この株を持ち続ける理由があるか」です。そのとき残るのは、配当と、業績や株価への見込みです。
- 配当がない、または小さいのに、優待だけが大きく、優待を目当てに買う株は、優待がなくなったときに持つ理由が残りにくい。利益を配当に回さず事業に使う会社もあるので、無配であること自体が悪いわけではありません。目当てが優待かどうか、の話です
- 優待がなくなったあとの配当も、今と同じとは限りません。JTとオリックスは配当などによる還元に集約すると書きましたが、業績が悪くて優待をやめる会社なら、配当が減ることもあり得ます
- 配当には税金がかかります。上場株式等の配当等は、所得税・復興特別所得税15.315%と住民税5%が源泉徴収されます(国税庁 No.1330。NISAや大口株主などは扱いが違います)
2-2. 株価が少し下がるだけで、優待の何年分も消える
株価の下落で減る額は「株を買った金額×下落率」で、優待の価値は「1年の額」です。30万円の株が10%下がれば3万円で、1年5,000円の優待の6年分です。優待の利回りが小さいほど、株価の小さな下げで何年分もが消えます。自分の数字は6章の計算機で出せます。
これは、下げの大きさを優待の年数に置き換えて見るための数字です。評価額の減りは売るまで確定しませんし、株価は戻ることも、さらに下がることもあります。「6年持てば取り戻せる」という意味ではありません。
2-3. 自分で使わない優待は、額面ではなく売れる手取りで数える
食事券や割引券は、使わなければ価値はゼロです。使う場合も、額面どおりに使えるとは限りません。ジョーシンの今の「株主ご優待カード」は、2,000円(税込)の買い物ごとに200円分しか使えません。売るつもりなら、会社と売り場の決まりを先に確かめます。マクドナルドは株主優待のページに「株主ご優待券は転売禁止」と書き、ジョーシンの今の「株主ご優待カード」は、約款でフリマ・オークションへの出品と転売を禁じています。売ってよいかの決まりは、株主優待券の転売の記事にまとめました。
2-4. 買ったその日からもらえるとは限らない
- 権利付き最終日:オリエンタルランドの株主優待のページは、権利付き最終日(基準日の2営業日前)までに株を買っておかないと、基準日に株主として登録されない、と説明しています。その日を過ぎてから買っても、その回の優待はもらえません
- 長く持つことが条件の優待:マクドナルドは、100株以上を1年以上(同じ株主番号で3回以上続けて)持つ株主が対象です。ジョーシンは、2年以上(3月31日の株主名簿に同じ株主番号で3回以上続けて)持つと加算があります。オリエンタルランドは、同じ株主番号で7回以上続けて載った株主に1枚追加します
- 株主番号が変わると数え直し:オリエンタルランドとマクドナルドは、証券会社を変えた、貸株サービスを使った、全部売って買い戻した、などで株主番号が変わると対象から外れることがある、と書いています
3. 優待は本当になくなる:公式の開示
| 会社 | 開示の日 | 何が変わったか | 会社が書いた理由 |
|---|---|---|---|
| Joshin(上新電機) | 2025年5月9日 | 9月30日基準の優待を、全株主(1株でも200円券25枚)から100株以上だけ(200円券50枚)に。2025年9月30日の株主から | 株主の分布を踏まえ、優待を続けられるように見直す |
| Joshin(上新電機) | 2026年5月26日 | 紙の200円券を「株主ご優待カード」に。2026年3月31日の株主から(優待の基準は変えない)。カードの利用約款(2026年6月1日から)で、フリマ・オークションへの出品と転売を禁止 | (電子化の開示) |
| JT(日本たばこ産業) | 2022年2月14日 | 株主優待を廃止。2022年12月31日の株主名簿に載った株主への分が最後 | すべての株主への公平な還元の観点から、配当による還元に集約する |
| オリックス | 2022年5月11日 | 株主優待(株主カード、ふるさと優待)を廃止。2024年3月31日の株主名簿に載った株主への分が最後 | 株主への公平な利益還元のあり方を検討し、配当などによる利益還元に集約する |
開示の日から、変更が当てはまる基準日、または最後の基準日までは、ジョーシンが約5か月(2025年5月9日→9月30日)、JTが約10か月(2022年2月14日→12月31日)、オリックスが約1年10か月(2022年5月11日→2024年3月31日)でした。開示に書かれているのは、理由と基準日までです。発表のあと株価がどう動くかは、開示には書かれていません。
4. 優待目当てで株を買った私の結果
私は、ジョーシンを1株だけ持って優待券を受け取り、フリマ・ヤフオクで売っていました。ジョーシン以外にも、優待を目当てに買った株があります。結果は、1章に引いたとおり、優待でも株価でも利益が出ました。
ただし、その利益について、私はこう書いておきます。
「優待せどりで利益が出ただけでなくて株のキャピタルゲインでも利益が出せたがそれは地合いが良くて日経平均が凄まじい勢いで上がっている年だっただから。これからも優待で利益を出してキャピタルゲインでも利益を出せる保証はどこにもない。」
そして、ジョーシンの1株優待は、会社の判断で「塞がれた」ので、株を売ってやめました。優待を目当てにした利益は、株価の地合いと、会社が決める優待の条件の、両方に左右されます。どちらも、自分では決められません。
手間と比べたときの見方は、「抽選、予約と同じで時間あたり収益率で計算すると普通にせどりやってるほうがいいと思う」です。6章の計算機には、優待にかけた時間で割った時給の欄を入れました。
5. 私の見方:優待に回すお金は、事業に入れてほしい
株主優待そのものについて、私の考えはこうです。
「そもそも私の株式に対する考えとしたら優待に回すお金があるなら事業投資や研究開発にお金を入れてもっと強い事業を作れと言いたい。優待ってのはそれを放棄して株価の維持を正当化しているように見える。私は株価が上がり続けることを投資先に求めるので、それでは満足できない。それがナスダック、TQQQに目線が移動していった理由でもある。」
3章のJTとオリックスは、優待をやめて、配当などによる還元に集約する、と書きました。還元のしかたを決めるのは会社です。私が投資先に求めるものは、上に書いたとおりで、それが今の持ち方につながっています。TQQQを分割で買っている経緯は、TQQQはやめとけ、は本当かに書きました。
6. 計算ツール:優待がなくなったとき、株価が下がったとき、時給で見たとき
株を買う金額、配当、優待の価値、株価の下落率、優待にかける時間、比べる時給から、次の3つを出します。
- 配当と優待の利回りと、優待がなくなったときに残る配当の利回り
- 株価が下がったときの評価額の減りが、優待の何年分にあたるか
- 優待の価値をかけた時間で割った時給と、比べる時給の差
優待がなくなったとき、株価が下がったとき、時給で見たときを出す
初めに入っている数字は計算の例で、どこかの会社の実際の株価・配当・優待ではありません。買う前に、自分が見ている株の数字に入れ替えてください。
「優待の価値」には、自分が実際に使う額か、売るなら手数料と送料を引いた手取りを入れます。額面を入れると、使わない券まで価値に数えてしまいます。この欄は税金を引く前の額です。優待は、国税庁の確定申告書等作成コーナーの案内では雑所得として扱われ、配当と同じ源泉徴収の税率ではありません。
「時給」は、優待を受け取って使う・売る作業にかけた時間で、優待の価値を割ったものです。株を買う金額は、そのあいだ値下がりのリスクを負ったまま寝かせているので、時給だけで比べられるものではありません。
7. よくある質問
優待目当てで株を買うのは、やめたほうがいいですか?
優待がなくなっても、配当と株価で持ち続けられる株なら、優待はおまけとして受け取れます。優待がなくなったら持たない株なら、優待の廃止と株価の下落の両方を負います(2章)。私は優待でも株価でも利益が出ましたが、それは地合いが良かったからで、これからも同じになる保証はない、と見ています(4章)。
優待は、急になくなることがありますか?
3章の3社では、開示から基準日まで約5か月~約1年10か月ありました。ただし、会社が決めることで、ほかの会社が同じだけ時間をおくとは限りません。
1株だけ買って優待をもらう方法は、まだ使えますか?
会社によります。ジョーシンは2025年9月30日基準の分から、1株の優待をやめました(3章)。
株主優待に税金はかかりますか?
配当は、上場株式等の配当等として15.315%(所得税・復興特別所得税)と5%(住民税)が源泉徴収されます(国税庁 No.1330)。株主優待そのものについては、国税庁の確定申告書等作成コーナーのよくある質問が、受け取った場合は「雑所得(その他)」として入力する、と案内しています。
どの銘柄を買ってはいけないか、教えてください
この記事では、銘柄の名前を挙げません。優待の条件は会社がいつでも変え、株価は毎日動くので、名前を挙げた一覧は書いた時点の話にしかなりません。6章の計算機に、自分が見ている株の数字を入れて確かめてください。
8. まとめ
- 買ってはいけないのは、優待がなくなったら持っていたくない株。配当だけの利回りで持てるかを確かめる
- 優待は会社が変え、やめる。ジョーシンの1株優待、JT、オリックスは公式に開示して変えた・やめた
- 株価の小さな下げで、優待の何年分も消える。30万円の株が10%下がれば、1年5,000円の優待の6年分
- 使わない優待は、売れる手取りで数える。転売を禁じる会社もある
- 私の見方は「これからも優待で利益を出してキャピタルゲインでも利益を出せる保証はどこにもない」。時間あたりで見れば、普通のせどりのほうがいい
- そもそも「優待に回すお金があるなら事業投資や研究開発にお金を入れてもっと強い事業を作れと言いたい」。株価が上がり続けることを求めるので、ナスダック、TQQQに目線が移った
9. 出典
- Joshin「株主優待制度の変更に関するお知らせ」(2025年5月9日)https://www.joshin.co.jp/ja/ir/news/auto_20250505530890/pdfFile.pdf
- Joshin「株主優待」(株主ご優待カード利用約款を含む)https://www.joshin.co.jp/ja/ir/stock/benefits.html
- JT「Notice Concerning the Abolition of the Shareholder Benefit Plan」(2022年2月14日)https://www.jt.com/media/news/2022/pdf/20220214_14.pdf
- オリックス「株主優待制度の廃止に関するお知らせ」(2022年5月11日)https://www.orix.co.jp/grp/company/newsroom/newsrelease/pdf/220511_ORIXJ4.pdf
- 日本マクドナルドホールディングス「株主優待・配当金」https://www.mcd-holdings.co.jp/ir/individual/shareholder_benefits/
- オリエンタルランド「株主優待制度」https://www.olc.co.jp/ja/ir/benefit.html
- 国税庁 タックスアンサー No.1330「配当金を受け取ったとき(配当所得)」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1330.htm
- 国税庁 確定申告書等作成コーナー よくある質問「株主優待を受け取った場合」https://www.keisan.nta.go.jp/r1yokuaru/cat2/cat21/cat21e/cid459.html
(いずれも2026年10月10日に確認)
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11. この記事について
| 書いた人 | 中古品の売買を20年近く続けてきた古物商。いまの株は投資信託とETFだけ |
| 確かめた日 | 2026年10月10日(Joshin・JT・オリックスの開示、マクドナルド・オリエンタルランド・Joshinの株主優待のページ、国税庁のページ2件) |
| 私の経験から書いたこと | 優待を目当てに個別株を買ったことが「ある」こと、ジョーシンを1株持って優待券を売り、1株優待がなくなって株を売ってやめたこと、優待でも株価でも利益が出たのは地合いのおかげだったという見方、時間あたりではせどりのほうがいいという見方、優待に回すお金は事業投資や研究開発に入れてほしいという見方と、それがナスダック・TQQQに目線が移った理由だということ、いまは投資信託とETFだけで、AIを使った個別株は指数に勝てなかったこと |
| 書かなかったこと | 「買ってはいけない」銘柄の名前(条件と株価が変わるため)、優待の廃止が発表されたあとの株価の動き(公式の開示に書かれていない) |
| 更新 | 2025年9月の記事を、2026年10月に作り直しました |
