この記事は全面的に書き直しました。前の版には「一般的に言われるアカウント作り直しの手順」という章があり、新しい端末、新しいSIM、新しいIPアドレス、別人格の個人情報、別人名義の銀行口座が並んでいました。「非推奨」と書いてありましたが、章ごと削除しました。
そして、前の版には事実の誤りが2つありました。訂正して2章に書きます。
先に、立場を明かします
| アカウント停止 | 別のプラットフォームで、規約違反により止められた経験があります |
| その後 | 動かせる状態に戻りました。ただし、そのやり方は書きません |
| 中古品の二次流通 | 国内で20年近く続けています |
| この記事で使うもの | メルカリ利用規約の条文です。すべて出典を置きました |
| 売っているもの | この記事にはありません。本文中の宣伝は0本です |
止められた側の経験はあります。だからこそ、手順ではなく、条文を書きます。
1. 作り直しの手順は、書きません
期待して来られた方には、先にお詫びします。理由を3つ書きます。
1-1. 規約が、登録を拒否できると書いています
メルカリ利用規約 第4条4項(登録拒否)
「弊社は、ユーザー登録をされようとする方が以下各号のいずれかに該当する場合、ユーザー登録の申請を承認しないことがあります。」
「過去に本規約違反等により、弊社から利用停止等の処分を受けている場合」
作り直しは、この条文に該当する行為です。
1-2. そして、通っても状態が続きます
こちらのほうが本題です。同じ規約の次の条を見てください。
メルカリ利用規約 第5条2項(サービスの利用禁止等)
「弊社は、本条の措置を受けたユーザーに対し、将来にわたって弊社が提供するサービスの利用及びアクセスを禁止することができるものとします。」
| 4条4項が言っていること | 5条2項が言っていること |
|---|---|
| 過去に処分を受けた人の登録は、承認しないことがあります | 措置を受けた人には、将来にわたって利用を禁止できます |
「将来にわたって」です。期限が書かれていません。
だから、仮に登録が通ったとしても、その状態が終わることはありません。1年動いても、3年動いても、条文上の立場は初日と同じです。
| それが意味すること | |
|---|---|
| 作り直しが通った | 復活ではありません。期限のない状態が続きます |
| その上に積むもの | 出品、評価、顧客、そして引き出していない売上金 |
| 積むほど | 止まったときに失うものが増えます |
時間が経つほど、やり直しコストが悪くなります。続けるほど選択肢が増えるのが普通ですが、この件だけは逆です。
1-3. 手順の中に、別の法律の話が混ざっていました
前の版が並べていた手順には、こういう項目がありました。
| 前の版に書いてあった項目 | 削除した理由 |
|---|---|
| 別人格の個人情報(氏名、住所、生年月日) | 他人の情報を使う話です。規約以前の問題になります |
| 別人名義の銀行口座 | 他人名義の口座を使う話です。犯罪収益移転防止法が関わる領域です |
| 家族や友人を巻き込む | 前の版も「絶対にNG」と書いていましたが、並べた時点で選択肢になります |
「非現実的です」と書きながら手順を並べるのは、手順を渡しているのと同じです。
ちなみに、規約にはこういう条文もあります。
第5条1項(措置をとることができる場合の一つ)
「ユーザーが登録した金融機関の口座に関し違法、不適切その他の問題があることが当該金融機関による指摘等により判明した場合」
口座は、金融機関の側からも見られています。
2. 前の版の誤りを、2つ訂正します
ここは訂正です。私が書いたものです。
2-1. 「没収」という規定は、規約にありません
| 前の版に書いてあったこと | 実際 |
|---|---|
| 「実際に売上金が没収されたケースも(利用規約第11条)」 | 第11条は「支払及び取引の実行」です。売買契約の成立、支払期限、発送についての条文で、没収の規定ではありません |
| 「悲劇②:売上金が全額没収される(法的根拠あり)」 | メルカリ利用規約に「没収」という語は出てきません |
条番号も、規定の存在も、両方が誤りでした。訂正します。
2-2. 実際にあるのは、180日という期限です
メルカリ利用規約 第14条2項(引出申請)
「取引完了となった場合…出品者…は、当該取引完了時から180日以内に、メルカリアプリにおける所定の手続により、加盟店規約に基づき、売上金の引出請求をメルペイ社に対して行うものとします。」
| 起算点 | 取引完了時 |
| 期限 | 180日以内 |
| 手段 | メルカリアプリにおける所定の手続 |
「没収される」ではなく、「180日の期限があり、その手続きはアプリでしかできない」です。
この差は、書き方の問題ではありません。行動が変わります。
| どう理解するか | 今日やること |
|---|---|
| 「没収される」 | 何もありません。怖がるだけです |
| 「取引完了から180日」 | いちばん古い取引完了日を確認します。残り日数が出ます |
2-3. 退会にも、同じ話があります
第6条(ユーザーの退会)
「但し、取引の決済や商品の郵送等の取引の手続が未完のものがある場合は退会することができず…完了させた後、弊社に退会の申し出を行わなければなりません。ユーザーが退会を希望する時点で売上金、メルペイ残高又はポイントを保有している場合は…全て出金又は利用した上で退会してください。」
自分から抜ける場合も、先に売上金を出しておく必要があります。
つまり、止まった側でも、やめる側でも、確認する順番は同じです。未完の取引と、まだ出していない売上金。そこが最初です。
3. 停止は、予告なしに来ます
前の版には「アカウント停止の前に来る『警告メッセージ』を見逃すな」という項目がありました。警告が来ることはあります。ただし、規約はそれを約束していません。
3-1. 条文を読みます
メルカリ利用規約 第5条1項(ユーザー登録の取消・利用停止等)
「弊社は、ユーザーが以下の各号のいずれかに該当した場合又は該当したと弊社が合理的な理由に基づき判断した場合、事前の通知なしに、ユーザー登録の取消、本サービスの全部若しくは一部へのアクセスの拒否、利用停止等、又は、ユーザーに関連するコンテンツや情報の全部若しくは一部の削除の措置をとることができるものとし、弊社は、その理由を説明する義務を負わないものとします。」
| 条文が書いていること | |
|---|---|
| 事前の通知なしに | 警告が来ない場合があります |
| 理由を説明する義務を負わない | 止まった理由が示されない場合があります |
| 該当したと弊社が判断した場合 | 実際に違反していたかどうかとは別に、判断で足ります |
だから「警告を見逃さなければ大丈夫」という対策は、規約の側から見ると成り立ちません。
3-2. 該当する場合として、条文に並んでいるもの
| 第5条1項の各号(抜粋) |
|---|
| 法令又は本規約に違反した場合 |
| 不正行為があった場合 |
| 登録した情報が虚偽の情報であると弊社が判断した場合 |
| 登録した情報が既存の登録と重複している場合 |
| 登録した金融機関の口座に関し違法、不適切その他の問題があることが判明した場合 |
| 他のユーザーや第三者に不当に迷惑をかけた場合 |
| その他弊社がユーザーに相応しくないと判断した場合 |
4行目に注目してください。「登録した情報が既存の登録と重複している場合」。複数アカウントは、ここで検知の対象として名前が挙がっています。
そして最後の行です。「その他弊社がユーザーに相応しくないと判断した場合」。個別の違反を挙げなくても措置がとれる形になっています。
原因を完全に列挙することは、この条文がある以上できません。前の版は「5つの理由」と書いていましたが、条文はもっと広く書かれています。
3-3. 措置の損害について
第5条3項(弊社の免責)
「弊社は、本条の措置により生じる損害について、弊社の故意又は過失に起因する場合を除き、責任を負わないものとします。」
止まったことで生じた損害は、原則として自分で負うことになります。だから2章の順番が先に来ます。
4. 複数登録の禁止は、条文で明確です
メルカリ利用規約 第4条2項(複数登録の禁止)
「個人のユーザー及びユーザー登録をされようとする方…は、複数のユーザー登録を行うことができないものとします。」
例外の記載がありません。そして3-2で見たとおり、重複は措置の事由にも挙がっています。
4-1. プラットフォームによって、答えが正反対です
「物販では複数アカウントが普通」という言い方を見かけます。場所によります。
| 複数アカウント | 根拠 | |
|---|---|---|
| メルカリ | できません | 利用規約 第4条2項 |
| BUYMA | 措置の対象です | 利用規約 第7条2項(2)「複数の会員登録をしていた場合」 |
| eBay | 公式に許可されています | 「ユーザーはeBay複数アカウントを保有することができます」 |
「他でやっていたから」は、通じません。移るたびに読み直すことになります。
eBayについては別の記事に書きました。ただし、そのeBayでも「制限やリミットを回避するための新規作成」は禁止されています。許可されているのは目的が別の場合だけです。
5. 「家族のアカウントを借りる」も、禁止されています
前の版には「案①【最終手段】家族のアカウントで利用させてもらう際の注意点」という項目がありました。削除しました。
メルカリ利用規約 第4条7項(アカウント情報の管理)
「ユーザーは、アカウント情報を第三者に利用させることや、譲渡、売買、質入、貸与、賃貸その他形態を問わず処分することはできません。」
| 条文の書き方 | |
|---|---|
| 「第三者に利用させること」 | 貸す側が禁止されています |
| 「その他形態を問わず」 | 無償でも、家族でも、区別されていません |
5-1. 巻き込む相手に、何が起きるか
| 起きうること | |
|---|---|
| 貸した側 | 4条7項に違反した状態になります。5条1項の措置の対象です |
| その人の売上金 | 止まれば、同じく2章の話になります |
| その人の取引相手 | 進行中の取引がある場合、そこにも影響します |
止まっているのは自分のアカウントですが、借りた瞬間に、止まる対象がもう1人分増えます。
また、第4条1項にはこう書かれています。
「ユーザー登録は、必ず本人が行ってください。また、ユーザー登録の際は、必ず正確な情報を入力してください。」
6. 止まった日にやること
2章と3章から、順番が決まります。
| 順番 | やること | 根拠 |
|---|---|---|
| 1 | まだ画面が見られるなら、いちばん古い「取引完了日」を確認します。180日の残りが出ます | 14条2項 |
| 2 | 未完の取引を数えます。発送済みで評価待ちのもの、発送前のもの | 6条 |
| 3 | 引き出していない売上金の額を控えます | 14条2項 |
| 4 | 売れた記録を手元に落とします。何が、いくらで、何点売れたか | — |
| 5 | 事務局へは、事実を時系列で。文面のテクニックはありません | — |
1番と4番は、画面が見られなくなってからでは取り返せません。
6-1. 事務局への連絡について
3-1のとおり、規約は「理由を説明する義務を負わない」と書いています。だから、理由を教えてもらう前提で書くと噛み合いません。
| 書けること | 書けないこと |
|---|---|
| いつ、何をしたか。事実を時系列で | 通る文面。存在しません |
| 心当たりがある場合は、その内容 | 解除の期間の目安。公表されていません |
通る文面があるなら、全員がそれを使います。
7. 続ける場合の選択肢
作り直し以外で、実際に取れる形を並べます。
| 選択肢 | 規約上の位置 | 実務上の注意 |
|---|---|---|
| 他のフリマ・オークションサービスを使う | 問題ありません | 各サービスの規約を読み直します。複数登録の扱いも違います(4-1) |
| 買取店・リサイクルショップに売る | 問題ありません | 手取りは下がります。ただし1回で終わります |
| 自分のネットショップを立てる | 問題ありません | 集客が丸ごと自分に乗ります。時間がかかります |
| 作り直す | 4条4項2号・5条2項 | この記事では扱いません |
| 家族のアカウントを借りる | 4条7項に違反します | 相手も止まります(5-1) |
7-1. 在庫を抱えている場合
いちばん切実なのは、売り先を失った在庫です。ここだけは、急ぐ理由があります。
| 在庫の性質 | 判断 |
|---|---|
| 季節物・トレンド物 | 時間で価値が落ちます。手取りが下がっても早い出口を選ぶ理由になります |
| 型番があって相場が安定しているもの | 急ぐ必要は小さいです。別の売り場を落ち着いて探せます |
止まった直後は、全部を急ぎたくなります。急ぐ必要があるのは上の行だけです。
7-2. 移った先で、同じことが起きないために
3-2で見たとおり、条文は広く書かれています。「これをしなければ大丈夫」という線は引けません。ただ、1つだけ確実に言えることがあります。
| 止まったとき | |
|---|---|
| 売り先が1つだけ | 収入がゼロになります |
| 売り先が複数ある | 1つが止まります |
ここでいう「複数」は、同じサービスに複数のアカウントを持つことではありません。違うサービスに出す、という意味です。
同じサービスの複数アカウントは、4条2項で禁止されています。そして仮に持てたとしても、3-2の「登録した情報が既存の登録と重複している場合」に該当します。分散になりません。
8. まとめ
| この記事で書いたこと | |
|---|---|
| 1章 | 作り直しの手順は書きません。4条4項2号で登録拒否の対象、5条2項で「将来にわたって」禁止できると書かれています |
| 2章 | 「没収」という規定は規約にありません。あるのは14条2項の「取引完了時から180日以内」です |
| 3章 | 5条1項は「事前の通知なしに」「理由を説明する義務を負わない」と書いています |
| 4章 | 複数登録は4条2項で禁止。eBayは許可。プラットフォームによって正反対です |
| 5章 | 家族のアカウントを借りるのは4条7項に違反します。相手も止まります |
| 6章 | 止まった日にやることは5つ。1番と4番は後から取り返せません |
全部を1行にすると、こうなります。
止まった日にいちばん急ぐのは、作り直しの方法を調べることではなく、いちばん古い取引完了日を確認することです。そこから180日の残りが出ます。
8-1. 明日からの1手
まだ画面が開けるなら、取引完了日と売上金の額を、今日メモしてください。
それだけです。開けなくなってからでは、確認する手段がなくなります。
| メモする項目 |
|---|
| いちばん古い取引の完了日 |
| 引き出していない売上金の額 |
| 未完の取引の件数と内容 |
| 何が、いくらで、何点売れたか |
4行目は、次にどこで売るとしても、最初に必要になります。アカウントも評価も持ち出せませんが、これは持ち出せます。
9. 出典
| 出典 | この記事で使った箇所 |
|---|---|
| メルカリ利用規約 | 第4条1項(本人による登録)・2項(複数登録の禁止)・4項2号(登録拒否)・7項(アカウント情報の管理)、第5条1項(事前の通知なし・理由の説明義務なし・各号)・2項(将来にわたる利用禁止)・3項(免責)、第6条(未完の取引がある場合の退会)、第11条(支払及び取引の実行)、第14条2項(取引完了時から180日以内の引出請求)(1章〜6章) |
| BUYMA利用規約 | 第7条2項(2)「複数の会員登録をしていた場合」が措置の対象である旨(4-1) |
| eBay Japan「複数アカウント使用について」 | 複数アカウントの許可と、回避目的の新規作成が禁止である旨(4-1) |
規約は改定されます。この記事の条文は執筆時点のものです。条番号も内容も変わることがあるので、必ずリンク先で最新の規約を確認してください。前の版が条番号を間違えていたのは、まさにこの確認をしなかったからです。
10. あわせて読む
| 記事 | 共通している考え方 |
|---|---|
| BUYMAアカウント停止・強制退会 | 同じ形です。規約の条文で、なぜ再登録に価値がないかを見ています |
| eBay複数アカウントは公式に許可 | 許可されている場所の条件。「隠す必要があるか」で判定できます |
11. この記事について
| 立場 | 別のプラットフォームで、規約違反によりアカウントを止められた経験があります。その後、動かせる状態にも戻りました |
| 書いていないこと | 作り直しの手順、回避の方法、復活の確率、解除までの期間。前の版にあった手順は章ごと削除しました |
| 削除した章 | 「一般的に言われるアカウント作り直しの手順」(新端末・新SIM・新IP・別人格の個人情報・別人名義の銀行口座)と、「家族のアカウントで利用させてもらう際の注意点」 |
| 訂正したこと | 前の版の「売上金が全額没収される(法的根拠あり)」「利用規約第11条」は、どちらも誤りでした。規約に「没収」という語はなく、第11条は「支払及び取引の実行」です(2-1) |
| 削除した表現 | 「悲劇①〜⑤」「永久追放」「個人情報がブラックリストに登録される可能性」——出典のない断定を削除しました |
| 専門家ではない部分 | 弁護士ではありません。個別のケースが条文に該当するかどうかの判断はしていません |
| 本文中の宣伝 | 0本です |
前の版は、怖がらせる材料を並べていました。この版が渡すのは、今日確認できる日付です。怖がっても残り日数は増えません。

コメント