ヤフオクの落札相場の調べ方|180日・無料・過去10年を使い分ける全手順と「儲かる相場の読み方」

ヤフオク落札相場調べ方 せどり

落札相場は調べた。相場どおりの価格で出品した。それなのに売れない。あるいは売れたのに、手元にはほとんど残らない。

このキーワードで検索している人の多くは、実は「はじめて調べる人」ではありません。一度調べて、そのとおりにやってみて、うまくいかなかったから、もう一度調べ方を確認しに来ている。私はそう考えています。

だとすれば、必要なのは手順の説明ではありません。落札相場の「読み方」です。

ヤフオクの落札相場画面に出てくる平均価格は、1円スタートもジャンクも部品取りも全部混ざった数字です。しかもそこには、同じ価格で出して売れなかった商品が1件も映っていません。最初から上振れした数字を見て値付けしているのですから、売れないのはむしろ当然です。

この記事では、次の3つを順番に扱います。

  1. 公式・無料ツール・有料ツールの正しい使い分けと、それぞれ何日前まで遡れるのか
  2. 平均ではなく中央値と件数で読む方法、そして売れ残りをどう推定するか
  3. 価格ではなく拘束日数あたりの利益で判断する計算式

最後に、私が実際に扱っているニンテンドー ゲームキューブ(DOL-001)の実データで、相場調査から「いくらまでなら買っていいか」を出すところまで通しでやります。結論を先に言うと、同じ相場・同じ商材でも、自分の作業時間が3時間か1時間かで買取上限は6倍動きます。相場を100%正確に調べても、それだけでは判断できないということです。

読み終わる頃には、「いくらで出すか」だけでなく「何日で見切るか」を出品前に決められるようになっているはずです。

1. 結論:ヤフオクの落札相場は「3つの窓」からしか見えない

先に全体像を出します。落札相場を調べる手段は、実質的に次の3つです。

手段 費用 遡れる範囲 向いている用途
ヤフオク公式「落札相場」 無料 終了180日間 日常的な値付け。まずここ
オークフリー(aucfree) 無料 2015年6月以降を月単位で指定可 季節性の確認、低回転品、出品者の追跡
オークファン(有料プラン) 有料 長期(数年〜10年規模) 年に数件しか出ない希少品

結論から言えば、大半の商材は公式とオークフリーの2つで完結します。課金が必要になるのは、後述する特定の条件を満たす商材だけです。

1-1. ヤフオク公式の「落札相場」=終了180日間

最初に使うべきはヤフオク自身の機能です。終了したオークションを検索すると、その期間内の最安・平均・最高の落札価格と、個々の商品の落札価格・入札数・終了日時が一覧で出てきます。

対象期間は終了180日間です。検索結果ページにも「終了180日間」「180日間の落札相場」と表示されます。

PCブラウザでの手順

  1. ヤフオクのトップページで、調べたい商品名や型番を検索する
  2. 検索結果ページの「〇〇の落札相場を調べる」をクリックする
  3. 終了分の一覧が表示される。ページ上部に最安・平均・最高が出る
  4. 並び替え(落札価格の高い順/安い順/終了日時が近い順)と絞り込み(カテゴリ、価格帯、商品の状態)を使う

スマホアプリでの手順

  1. アプリで商品名や型番を検索する
  2. 「落札相場」をタップする
  3. 絞り込み条件(カテゴリ、メーカー・ブランド、価格帯)を指定する

【重要】「120日」という数字と混同していませんか

ここで多くの人がつまずきます。ネット上には「ヤフオクは120日しか見られない」という記述が大量にありますが、これは落札相場の話ではありません

  • 落札相場=市場の成約データを調べる機能。終了180日間が対象
  • マイ・オークションの取引履歴=自分が落札・出品した記録。相場調査とは別機能

後者の表示期間については過去に改定が入っており、記事によって記述が食い違っています。自分の取引記録を遡りたい場合は、公式ヘルプで現行の仕様を確認してください。この2つを混同すると、「120日しか見られないのか」と誤解して、必要のないツール探しに時間を使うことになります。

1-2. オークフリー(aucfree)=無料で、さらに過去まで

公式の180日で足りないとき、最初に試すべき無料ツールがオークフリーです。会員登録は不要です。

「期間指定検索」と「絞込検索」は別物です

ここがオークフリーの理解を分けるポイントです。

画面上部にある期間指定検索のボタンは「最近30日/3ヶ月間/6ヶ月間/1年間」の4つです。ここだけを見て「オークフリーも半年か1年までしか見られない」と書いている記事があります。

しかし、サイドバーの絞込検索では、対象期間を年月で指定できます。ここでは2015年6月以降の任意の月を指定でき、たとえば「2015年6月から現在まで」といった長期の一括検索も可能です。実際、期間を指定した検索結果ページには「〇〇年〇月から〇〇年〇月の落札価格一覧」というタイトルが表示されます。

この違いを知らないと、無料で調べられるはずのデータに到達できません。

出品者ID検索という使い方

オークフリーには出品者IDで落札履歴を検索する機能があります。これが実務では非常に効きます。

同じ商材を継続的に捌いている出品者を見つけて、そのIDで検索すれば、その人が何を、いくらで、どのくらいの頻度で売っているかが見えます。この記事の第3章で使う「予想滞留日数」の材料は、ここからも取れます。

オークフリーでできないこと

  • CSVでのデータ書き出し
  • 出品中(開催中)の商品データ
  • ヤフオク以外のモール横断検索

1-3. オークファン(有料)=過去10年規模

オークファンの有料プランでは、より長期の落札データを検索できます。料金プランは改定されることがあるため、金額は公式サイトで確認してください。

課金が正当化される商材の条件

結論を言うと、年間の落札件数が一桁レベルの商材を扱う人だけです。具体的には業務用機器、特殊工具、ヴィンテージ、絶版品といった低回転の商品群です。

この手の商品は、180日で検索しても0件と表示されます。ここで多くの人が「価値がない商品だ」と判断してしまう。しかし0件が意味するのは「価値がない」ではなく「データがない」です。この誤読は、本来なら数万円で売れる商品を数百円で手放すという形で、非常に高くつきます。

逆に言えば、年に数十件以上落札されるような一般的な商材なら、課金する必要はありません。公式180日とオークフリーで十分です。

1-4. その他の無料相場サイト

補助的な選択肢として、オークション価格相場研究所などのサイトもあります。同サイトは2018年7月以降のログを無料で公開していると案内しています。メインで使うというより、公式とオークフリーで結果が薄いときのセカンドオピニオンとして押さえておく程度で十分です。

2. 「調べ方」が分かったのに儲からない、3つの構造的な理由

ここからが本題です。ツールの使い方を完璧に覚えても、利益は増えません。理由は3つあります。

2-1. 理由①:平均落札価格を見ている限り、判断は必ず歪む

平均を壊しているのは、同一キーワード内の別商品です

同じキーワードで検索すると、次のようなものが全部同居しています。

  • 完動品・美品・付属品完備
  • 動作未確認
  • ジャンク・部品取り
  • 複数台まとめ売り(いわゆる「山」)
  • 1円スタートで終わったもの

これらを分けずに平均を取るのは、健康な人と入院患者を混ぜて平均体温を出すようなものです。数字は出ますが、その数字が指し示す対象が存在しません。

使うべきは平均ではなく「中央値」と「第1四分位」

実務でやることは単純です。

  1. 落札価格順に並び替える
  2. 件数のちょうど真ん中の価格を見る(=中央値)。これが値付けの基準
  3. 下から4分の1あたりの価格を見る(=第1四分位)。これが損益分岐を確認する下限の目安

上位25%の価格は、美品・希少色・付属品完備・箱ありといった条件付きの価格です。自分の手元にある商品がその条件を満たしていないなら、その価格は参考になりません。

件数が足りない相場は、相場ではありません

180日で3件しか落札がない商品の「平均」を考えてみてください。たまたま高値で競り合った人が1組いれば、平均は簡単に倍になります。

だから価格より先に件数(N)を見ます。件数が少なければ、期間を延ばすか、ツールを変えるか、あるいは判断を保留する。この「判断しない」という選択肢を持っているかどうかが、長期的な成績を分けます。

2-2. 理由②:落札相場には「売れなかった商品」が1件も映っていない

落札相場は生存者バイアスのかたまりです

これは構造の話です。落札相場に表示されるのは成約したものだけ。同じ商品を同じ価格で出品して、誰も入札せずに終了した出品は、統計から完全に消えています。

つまり、あなたが見ている相場は「その価格で売れた人だけを集めた成功例集」です。「相場どおりに出したのに売れない」というのは、あなたの落ち度ではなく、データの構造がそうなっているだけです。

消化率をどう近似するか

売れ残りは直接は見えませんが、粗い近似はできます。

粗い消化率 = 直近期間の落札件数 ÷(落札件数 + 現在の出品件数)

落札件数は落札相場から、現在の出品件数は開催中の検索結果から取れます。厳密な数字ではありませんが、「この商材は捌けているのか、溜まっているのか」という方向性は分かります。

消化率が低い商材は、価格の問題ではありません

出品数が落札数を大きく上回っている商材は、値下げしても順番待ちの列が長いだけです。この場合に検討すべきは価格ではなく、販路そのものを変えることです。

2-3. 理由③:相場は価格の話ではなく、時間の話だから

「1万円で売れる」という情報は、それ単独では不完全です。

1万円で、平均何日で売れるのか。そこまで揃って初めて判断材料になります。同じ1万円でも、7日で売れるのと90日かかるのとでは、まったく別の商売です。

次の章で、この「時間」を数字にします。

3. 落札相場を「利益の判断材料」に変換する3つの指標

ここで使う指標は3つだけです。すべて電卓で計算できます。

3-1. 指標①:予想滞留日数

落札件数だけでは滞留日数は出ません

よくある誤りが「180日で12件売れているから15日に1台売れる、だから自分の1台も15日で売れる」という計算です。これは違います。それは市場全体の成約間隔であって、自分の1点が捌けるまでの日数ではありません。

正しくは、待ち行列理論のリトルの法則を使います。

1日あたり落札件数 = 調査期間の落札件数 ÷ 調査期間の日数 平均滞留日数 = 現在の出品件数 ÷ 1日あたり落札件数

在庫が何個あって、1日に何個ずつ捌けるのか。その割り算です。たとえば1日あたり12件成約していて、開催中の出品が400件あるなら、平均滞留日数は約33日。あなたの1点も、おおむねその列に並びます。

※在庫と流量から待ち時間を出すこの関係は、製造業や物流の在庫管理では標準的な考え方です。中古品の相場にもそのまま適用できます。

3-2. 指標②:拘束日数あたり利益(日次利益)

手残り = 落札価格 −(落札システム利用料)− 送料負担 − 仕入原価 − 部品・資材費 − 人件費 日次利益 = 手残り ÷(仕入から入金までの総拘束日数)

※落札システム利用料の料率は会員区分によって異なります。本記事の計算では10%を用いていますが、実際の料率は公式ヘルプで確認してください。

「粗利1万円」より「日次利益」で並べ替えると、扱う商品が変わります

ケース 粗利 拘束日数 日次利益
A:粗利は大きいが動かない 10,000円 90日 111円
B:粗利は小さいが速い 3,000円 7日 429円

粗利で見ればAが3倍以上優秀に見えます。しかし同じ資金と同じ時間を使うなら、Bを4回転させたほうが結果は上です。利益率信仰から抜けられない人は、Aばかり集めて在庫の山を作ります。

拘束日数を工程に分解する

総拘束日数は次のように分解できます。

  • 仕入 → 検品・清掃・(必要なら修理)→ 撮影・出品:作業日
  • 出品 → 落札:滞留日(=指標①)
  • 落札 → 発送 → 入金:決済日

ここで重要なのは、作業日は直列にしか処理できないが、滞留日は並列に処理できるということです。10点同時に出品すれば滞留は重なりますが、10点分の修理作業は重なりません。だから規模を追うとき、最初にボトルネックになるのは常に作業時間です。

3-3. 指標③:撤退ライン——「店を出るタイミング」を出品前に決める

なぜ出品後に決めてはいけないのか

出品してから値下げを判断すると、判断が歪みます。仕入れた金額、かけた手間、費やした時間——すでに回収不能な投下コストが、「もう少し待てば」という形で判断に混入するからです。

だから、出品ボタンを押す前に、何日でいくら下げるかを決めて書いておきます

ルールの例

私が使っている基準は次のような形です。数字は商材によって調整してください。

  • 予想滞留日数の1.5倍を超えたら、中央値まで下げる
  • 2倍を超えたら、第1四分位まで下げる
  • 3倍を超えたら、別販路に移すか、損切りする

損切りは損失ではなく、資金と時間の回収です

在庫は、現金に戻る前の中間状態です。売れずに滞留している間、その資金は次の仕入れに使えません。滞留とは複利の停止であり、値下げして回収するのは、次の回転を始めるための行為です。

4. 実例:ゲームキューブ DOL-001 で、相場調査から買取上限まで通す

ここまでの内容を、実際に私が扱っている商材でやってみます。ニンテンドー ゲームキューブ(型番 DOL-001)です。

4-1. 検索キーワードは型番まで落とす

「ゲームキューブ」で検索すると、ソフト・コントローラー・メモリーカード・ACアダプタ・互換品まで全部混ざります。本体の相場を知りたいなら、型番DOL-001まで指定します。

4-2. 相場は1本ではなく、状態別に引く

同じDOL-001でも、落札価格は2,600円から13,000円まで開きます。これは「相場のブレ」ではありません。状態と付属品という別々の商品が、同じキーワードに同居しているだけです。

状態 想定落札価格
本体のみ(付属品なし・動作未確認を含む) 6,000円〜
メンテナンス済み・付属品完備・箱あり 〜13,000円

第2章で「平均は使えない」と書いた理由が、ここで実物として現れます。この2つを平均すると、どちらの実態も表さない数字が出ます。

4-3. ゲームキューブに必要な修理と、その部品原価

この年代の機体は、電解コンデンサの劣化と内蔵電池の消耗が定番の症状です。交換に必要な部品を、個別に調達した場合の原価を出します。

パーツ内容 数量 単価相場 合計
SMD電解コンデンサ 220μF 6.3V 1個 20〜40円 約30円
SMD電解コンデンサ 100μF 6V/6.3V 3個 15〜30円 約60円
SMD電解コンデンサ 47μF 6V/6.3V 1個 15〜30円 約20円
SMD電解コンデンサ 47μF 4V/6.3V 5個 15〜30円 約100円
CR2032 電池ソケット(基板用) 1個 30〜80円 約50円
青色LED(3mm 砲弾型) 1個 10〜30円 約20円
純粋な部品原価 12点 約280円

これにハンダ・フラックス・清掃用アルコール・綿棒などの消耗品を按分して約120円を足し、実効部品原価は約400円とします。

ここで一つ、自分の失敗を書いておきます。

私はこの原価を、当初「コンデンサ一式で300〜1,000円、電池と電池ホルダーで200〜500円、合計600〜1,800円くらい」と見積もっていました。感覚です。実際に部品単位で調達価格を洗い出したら、約280円でした。上振れの見積もりと比べれば6倍以上の開きがあります。

相場は測っていたのに、原価は測っていなかった。この記事で「測れ」と書いている人間が、この体たらくです。だからこそ書いています。

4-4. 【核心】買取上限は、相場ではなく「自分の作業時間」で決まる

落札相場を調べる本当の目的は、「いくらで売るか」ではありません。「いくらまでなら買っていいか」を決めることです。式にすると次のようになります。

買取上限 = 想定落札価格 ×(1 − 手数料率) − 部品原価 − 梱包資材費 − 作業時間 × 実質人件費単価 − 目標日次利益 × 予想拘束日数

計算の前提をすべて開示します

  • 落札システム利用料:10%として計算(会員区分により異なるため要確認)
  • 実効部品原価:400円/梱包資材:200円/送料は落札者負担
  • 実質人件費:1,400円/時

人件費の根拠を書いておきます。地域別最低賃金は2025年10月3日発効で時間額1,100円前後です。これに社会保険料・雇用保険料・交通費を乗せると、実際に事業者が負担する額は概ね2割増しになります。だから1,400円で計算しています。自分でやる場合も、この額は計上します。自分の時間をタダだと思った瞬間、計算は必ず狂うからです。

作業時間だけで、買取上限が6倍動きます

ゲームキューブのコンデンサ交換と電池交換にかかる時間は、習熟度で劇的に変わります。私の実感では、初回は分解にも組み戻しにも手間取り、3時間以上かかります。それが10台前後をこなすと、1台40分前後まで縮みます。

本体のみ(想定落札6,000円)で計算するとこうなります。

1台あたり作業時間 習熟段階 人件費 買取上限(利益ゼロ)
3.0時間 初回〜数台目 4,200円 600円
1.5時間 5台目前後 2,100円 2,700円
1.0時間 シビアに見積もった実務値 1,400円 3,400円
40分 10台以上こなして習熟 933円 3,867円

同じ商材、同じ相場、同じ部品原価。それでも買取上限は600円から3,867円まで、6倍以上動きます。

たとえば1台2,600円で仕入れた場合。3時間かかるうちは2,000円の逆ザヤです。1時間まで縮めば800円の黒字になります。相場を100%正確に調べても、この表がなければ「買っていいかどうか」は決まりません。

これが、この記事でいちばん伝えたいことです。相場調査は必要条件であって、十分条件ではありません。もう半分は、自分の側にあります。

歩留まり(修理失敗率)を入れると、初期はもっと厳しい

慣れないうちは失敗します。基板のランドを剥がす、パターンを傷つける、組み戻しでツメを折る。全損になることもあります。

成功率70%・作業3時間で期待値を計算すると、こうなります。

0.7 ×(6,000 − 600 − 200)− 400 − 4,200 = −960円

これは仕入原価をゼロ円として計算した結果です。つまり習熟前は、本体を無料でもらってきても赤字になります。「慣れれば儲かる」は事実ですが、慣れるまでの授業料がいくらかを先に計算しておくべきです。

箱あり・付属品完備の場合

想定落札13,000円で同じ計算をすると、買取上限は6,850円(3時間)〜9,650円(1時間)になります。しかし私が実際に提示するのは3,000〜5,000円です。

この差はリスクプレミアムです。相場が下振れする可能性、修理に失敗する可能性、想定より状態が悪い可能性、そして売れ残る可能性。計算値をそのまま提示額にしないことが実務です。計算は上限を教えてくれますが、上限で買ってはいけません。

4-5. 【核心その2】流通量が30倍違う。だから始める順序が決まる

次に、公式の落札相場で180日間の落札件数を数えました。

状態 180日落札件数 1日あたり 成約間隔 年換算
本体のみ 2,193件 12.2件 約2時間に1件 約4,450件
箱あり 74件 0.41件 約2.4日に1件 約150件

箱ありは全体の3.3%。流通量に約30倍の差があります。中古市場では箱や付属品が真っ先に失われるので、これ自体は多くのカテゴリで見られる傾向です。

数字の精度について、先に断っておきます。

この件数はキーワード検索の結果であり、複数台まとめ売りが1件としてカウントされていますし、周辺機器の混入もあります。したがって「約30倍」「桁が1つ半違う」という粒度でしか使えません。

第2章で「件数が足りない相場は相場ではない」と書いておきながら、自分の使っている数字の精度に触れないのは筋が通りません。ただし、30倍という差はこの程度のノイズでは埋まりません。オーダーとしては信用してよい、細部は信用してはいけない。そういう数字です。

ここから出る結論は、直感と逆になります

買取上限は箱あり9,650円に対して本体のみ3,400円(いずれも1時間換算)。利幅は3倍近い差があります。素直に考えれば「箱ありだけを狙えばいい」となります。

しかし、その戦略は成立しません。

箱ありは年に約150件しか市場に出ません。そのうち自分が仕入れられるのは、さらにごく一部です。ところが前節で見たとおり、作業時間を3時間から1時間に縮めるには10台前後の実践が必要です。年150件しか流通しない商材で、その10台をどうやって集めるのか。

集められません。だから3時間のまま、赤字を出し続けて撤退することになります。

正しい順序はこうです。

年4,450件が流通している「本体のみ」で授業料を払い切り、作業時間を40分まで縮める。そのうえで、年150件しか出てこない箱ありを拾いに行く。

価格(いくらで売れるか)と流量(どれだけ市場に出るか)は別の軸です。後者を見ない限り、参入する順序は決められません。

4-6. 学習曲線は「コスト」として計上する

3時間から40分への短縮は、10台前後の実践で起きます。この10台が事実上の授業料です。参入判断とは、その赤字期間を織り込んだうえで入るかどうかの判断であって、1台あたりの利益が出るかどうかの判断ではありません。

また、工程を分けて記録すると、人に任せられる範囲が見えてきます。

  • 移管しやすい:清掃、撮影、出品作業、梱包
  • 適性に依存する:分解・組み立て、コンデンサ交換(表面実装のハンダ付け)

アルバイトを雇う場合でも、適性がある人なら40分前後までは到達します。逆に適性がない人は3時間から下がりません。人件費は「時間単価」ではなく「時間単価 × 適性」で決まります。

4-7. 買い取る側に回るなら、古物商許可が必要です

ここまで買取価格の話をしてきましたが、前提として、中古品を反復継続して買い取り、転売する行為には古物営業法上の許可が必要です。所轄の警察署(生活安全課)で申請します。

不用品を売るだけなら不要ですが、この記事の内容を実践して「仕入れる側」に回るなら必須です。ここを飛ばして始めると、事業として拡大できません。

4-8. 修理を挟むと、相場のどこを見ることになるか

修理を絡める場合、見るべきは相場の絶対値ではなく差分です。

修理で取れる粗利の上限 = 完動品の相場 − ジャンク品の相場

ここから部品原価と作業時間を引いたものが、実際の取り分です。この視点で相場を眺めると、判断が明確になります。

  • 差分が小さい商材=直しても報われない。手を出さない
  • 差分が大きい商材=候補。ただし技術的難易度と部品入手性を確認する
  • 差分が大きいのに誰もやっていない商材=理由がある。部品が出ないか、直しても壊れるか、規制があるか

3番目は必ず理由を突き止めてから入ってください。「みんな気づいていないだけ」というケースは、実際にはほとんどありません。

4-9. 測る対象を広げると、扱う商品そのものが変わる

最後に、この検証をしていて気づいたことを書いておきます。

ゲームキューブの交換部品は、12点で約280円でした。この部品を100個単位でまとめて調達し、説明書を付けたキットとして販売するという選択肢があります。梱包作業だけなら1件数分です。単純に労働時間あたりで比べれば、本体を仕入れて直して売るより効率は上回ります。在庫リスクも、100セットで3万円弱に収まります。

同じ相場データを見ていても、「本体を仕入れて直して売る」と「部品を売る」では答えが変わるということです。

ただし、私はまだこれを実行していません。検証できていないことが3つあるからです。

  1. 月間の需要規模——既に販売している人がいます。その出品者IDを追って、過去の販売件数を数えれば分かります。この記事で書いた手法そのものです
  2. サポート工数——後述
  3. 部品の品質ばらつき——安価なSMD電解コンデンサには当たり外れがあります。不良品を1件出せば、ショップの評価は簡単に飛びます

2番目について、もう一度自分の失敗を書きます。

私はこの試算を「梱包5分」で立てました。しかし、説明書を付けた瞬間に質問が来ます。「どのコンデンサがどれか分からない」「交換したら映らなくなった」「ランドを剥がしてしまった」。1件10分の対応が3件に1件発生すれば、実効作業時間は5分から8分を超えます。返品対応まで入れば、さらに伸びます。

修理時間は測ったのに、サポート工数は測っていなかった。第2章で批判した「見えている部分だけ測る」構造に、自分が片足を突っ込んでいたわけです。

だから、この話は「儲かる」とは書きません。測っていないものを儲かると書くのは、この記事の主張そのものへの裏切りだからです。

ただ、方向としてはこう言えます。

相場を測ると、値付けが変わる。もっと測ると、扱う商品そのものが変わる。

5. 落札相場を読み違える、典型的な5つのパターン

5-1. 型番を入れずに商品名だけで検索している

世代違い、色違い、互換品、周辺機器が全部混ざります。型番・型式・モデル名まで落として初めて、比較可能なデータになります。

5-2. 送料込みと送料別が混在している

大型商品なら数千円の差になります。落札価格だけを比べても、手残りベースでは順位が入れ替わります。比較するなら送料条件を揃えます。

5-3. セット出品・まとめ売りが混ざっている

「ジャンク5台まとめ」が1件としてカウントされているので、1台あたりの単価が読めません。件数を数えるときは特に注意が必要です。

5-4. 季節性を無視している

冬物を夏に調べても意味がありません。前年の同じ月をピンポイントで指定して調べる——これがオークフリーの絞込検索の、いちばん正しい使い方です。

5-5. 終了日時を見ていない

落札相場の一覧には終了日時が表示されます。高値落札が特定の曜日・時間帯に偏っていないか確認してください。出品時に終了時刻を設定するときの、実データに基づいた根拠になります。

6. 「毎回調べる」から「勝手に溜まる」へ

ここまで実行できる人が次にぶつかる壁は、単純です。毎回この計算をするのが面倒くさい。

解決策も単純で、記録することです。スプレッドシート1枚で足ります。

6-1. 記録すべき5項目

項目 取得元
商材名・型番
中央値/第1四分位 落札相場の並び替え
予想滞留日数 開催中件数 ÷ 1日あたり落札件数
日次利益 手残り ÷ 総拘束日数
撤退ライン(日数と価格) 出品前に決めて記入

6-2. 3ヶ月続けると見えてくるもの

3ヶ月分溜まると、日次利益の列で並び替えるだけで自分の得意商材が数字で判明します。「なんとなく好きだから扱っていた商材」が実は最下位だった、ということも起こります。私の場合は起こりました。

そして重要なのは、この台帳が他人にはコピーできないことです。あなたの作業速度、あなたの仕入れルート、あなたの適性が反映された数字だからです。相場データは誰でも見られますが、この台帳は自分でしか作れません。

6-3. 測っている人と、測っていない人の差は複利で開く

測らない人は、毎回ゼロから判断します。測る人は、前回の判断を土台にして次の判断をします。この差は1回の取引では見えません。50回、100回と積み重なったときに、埋めようのない差になります。

儲からないのは、努力が足りないからではありません。測っていないからです。

よくある質問

Q. ヤフオクの落札相場は、何日前まで見られますか?
公式の落札相場機能は、終了180日間が対象です。検索結果ページにもその旨が表示されます。なお「120日」という数字を目にすることがありますが、それは自分の取引履歴(マイ・オークション)の表示期間に関する話で、相場調査とは別の機能です。取引履歴の仕様は改定が入っているため、公式ヘルプで現行の内容を確認してください。
Q. 無料で、もっと過去の落札相場を調べる方法はありますか?
オークフリーの絞込検索で対象期間を年月指定すると、2015年6月以降のデータを調べられます。画面上部の「最近30日/3ヶ月間/6ヶ月間/1年間」のボタンとは別の機能なので、そこだけを見て「1年までしか見られない」と判断しないでください。ほかに、オークション価格相場研究所などの無料サイトもあります。
Q. オークファンは課金する価値がありますか?
180日で落札件数が一桁以下になるような低回転の商材を扱うなら、価値があります。業務用機器、特殊工具、絶版品などです。逆に年間数十件以上落札される一般的な商材なら、公式の180日とオークフリーで十分足ります。
Q. 落札相場の平均価格どおりに出品すれば売れますか?
売れないことが多いです。理由は2つあります。1つは、平均にジャンクや1円スタートや複数台まとめ売りが混ざっていること。もう1つは、同じ価格で出して売れなかった出品が統計に一切含まれていないことです。平均ではなく中央値を基準にし、件数(N)を必ず確認してください。
Q. 相場より安く出せば、早く売れますか?
早く売れる傾向はあります。ただし判断すべきは価格ではなく日次利益です。値下げによる手残りの減少と、滞留日数の短縮による回転向上のどちらが大きいかを比較してください。この記事の第3章の計算式がそのまま使えます。
Q. 落札相場が「0件」と表示されました。価値がない商品ということですか?
違います。0件は「データがない」であって「価値がない」ではありません。低回転の希少品ほど0件になりやすいので、オークフリーで期間を延ばして再確認してください。この誤読は、本来なら高く売れる商品を安く手放すという形で高くつきます。
Q. 修理して売る場合、どこを見ればいいですか?
相場を2本引きます。完動品の相場とジャンク品の相場です。その差分が、修理で取れる粗利の上限になります。そこから部品原価と作業時間を引いた残りが、実際の取り分です。差分が小さい商材は、直しても報われません。

※本記事の計算に用いた落札システム利用料の料率、および各サービスの料金プランは変更される可能性があります。実際の数値は各公式サイトで確認してください。中古品を反復継続して買い取り転売する場合は、古物営業法上の許可が必要です。

無料メール講座・全14通
壊れた中古品を利益に変える考え方

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── 無料メール講座(全6章・14通)──
真面目に働いても給料が上がらないのは、
あなたの能力ではなく
買い手が一社しかいないからです。
売り手が多数いて、買い手が一者しかいない市場では、
価格は買い手の内部規則で決まります。
転職しても、買い手が別の一社に変わるだけ。
構造は変わりません。
必要なのは努力の量でも我慢でもなく、
会社以外に
「自分の判断にお金を払う相手」
を一つ持つこと。
月3万円で構いません。
それだけで、組織との距離の取り方が変わります。
動かない録画機器を1,000円以下で仕入れ、
中古ドライブ(部品代2,000円)に交換。
ついでに容量を増やして15,000円で販売。
── 20年の現場から、実例の一部
この無料講座で扱う内容
  • 壊れた商品のどこに価格差が眠るのか
    「歪みの4類型」
  • 手数料・送料・作業時間まで含めた
    「1件の利益計算式」
  • 絶対に手を出してはいけない
    「除外リスト7項目」
  • 6日目には、元手ゼロで
    今週できる実践ワーク(約70分)
※手を動かさずに稼ぐ方法をお探しの方には向きません。
そのことも講座内で明記しています。
20年
現場での実践
全14通・2週間。
1通3〜5分で、通勤中にも読み切れる分量です。
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第1通の冒頭で明記します。
せどり

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