出張買取は危険?押し買いの手口と、クーリング・オフ8日・物を渡さなくてよい決まり(計算機つき)

出張買取は危険?出張買取を守る決まり(特定商取引法の訪問購入):頼んでいない訪問・勧誘は×、頼んでいない物(貴金属など)の勧誘は×、書面から8日はクーリング・オフ○、その間は物を渡さなくていい○、本・据え置き家電・ソフトは対象外(施行令34条)。訪問購入の相談は2025年度7,523件、70歳以上55.9%(国民生活センター)。押し買いの手口と、法律で守られる線 古物商・古物市場・卸

「出張買取 危険」「押し買い」「訪問購入 クーリングオフ」で調べて来られた方に、先に結論を書きます。

出張買取(業者が自宅に来て物を買い取る取引)そのものは、禁じられた取引ではありません。危険と言われるのは、頼んでいない訪問や、頼んだ物とは別の物(多くは貴金属)を強引に買い取られたという相談が続いているからです。国民生活センターによると、訪問購入の相談は2025年度に7,523件あり(2026年5月31日現在)、訪問購入の相談の契約当事者のうち70歳以上が55.9%でした。

自宅で物を売る契約には、特定商取引法の「訪問購入」の決まりがかかります。業者は、勧誘の前に名称・勧誘の目的・物の種類を告げ、頼まれていない勧誘をせず、決まった書面を渡さなければなりません。売った人は、書面を受け取った日から数えて8日以内ならクーリング・オフ(契約の解除)ができ、その間は物を渡さなくてかまいません(58条の14・58条の15)。ただし、自動車(二輪のものを除く)・据え置きの家電・家具・本・CDやDVDやゲームソフトなどは、この決まりの対象外です(施行令34条)。また、「いくらでも良いので買い取ってほしい」のように、自宅で売る契約の申込みや締結を自分からはっきり求めた場合は、クーリング・オフなどの決まりがかかりません(58条の17第2項1号)。見積もりのためだけに来てもらった場合は、この「請求」に当たらない、と消費者庁は解説しています(5章)。

筆者は古物商として、出張買取をしていたことがあります。客からの問い合わせでだけ訪ね、クーリング・オフの書面を渡していました(7章)。

知りたいこと 答え 章
出張買取は危険? 取引そのものは禁じられていない。危険と言われるのは、頼んでいない訪問や、頼んでいない物を強引に買い取る手口の相談が続いているから(訪問購入の相談は2025年度7,523件、訪問購入の相談の契約当事者のうち70歳以上が55.9%。国民生活センター) 2章
押し買いとは? 法律の定義語ではない。消費者庁の解説でも「押し買い的なもの」という表現が使われている。この記事では、頼んでいない訪問・勧誘や、頼んだ物以外を強引に買い取ることを指して使う 2章
業者は何を守る決まり? 勧誘の前に名称・目的・物の種類を告げる。頼まれていない勧誘をしない。訪ねた先で勧誘を受ける意思を確かめる。断った人に勧誘しない。決まった書面を渡す(特定商取引法58条の5〜58条の9) 3章
クーリング・オフはできる? 訪問購入なら、書面を受け取った日から数えて8日以内に、書面かメールなどで通知すればできる。通知を発した時に効力が出る。損害賠償・違約金は要らない 4章
物はいつ渡せばいい? クーリング・オフの期間中は、引渡しの期日が決まっていても渡さなくてよい(58条の15) 4章
自分で呼んだらクーリング・オフできない? 呼んだだけでは決まらない。「いくらでも良いので買い取ってほしい」のように、自宅で売る契約の申込みや締結をはっきり求めた人には、クーリング・オフなどの決まりがかからない(58条の17第2項1号)。見積もりのためだけに来てもらった場合は、この「請求」に当たらない、と消費者庁は解説している 5章
本・家電・ゲームを売るときは? 据え置きの家電・家具・本・CDやDVDやゲームソフトなどは訪問購入の対象外(施行令34条)なので、訪問購入のクーリング・オフはかからない。持ち運びが容易な家電は対象 5章
身分証を見せる必要はある? 古物商は、買い取るときに相手を確かめる決まりがある(古物営業法15条)。総額1万円未満なら不要だが、本・ゲームソフト・CDやDVDなどは1万円未満でも確かめる 6章
業者が帰らないときは? 断った人への勧誘は禁止(58条の6第3項)。威迫して困らせることも禁止(58条の10)。身の危険を感じたら110番、相談は消費者ホットライン188 8章
自分の場合 勧誘の要請があったかの判定、クーリング・オフの期限、物を渡す前のチェック、業者チェックリストを計算機で 10章

1. 先に、この記事の資料と筆者の立場について

この記事は、次の公式の資料だけで書いています。

  • 法令(e-Gov 法令検索):特定商取引法と施行令・施行規則、古物営業法と施行規則。条文は2026年10月28日時点の現行のものです
  • 消費者庁:特定商取引に関する法律の解説(令和7年6月1日時点版)、特定商取引法ガイド、訪問購入の規制を入れたときの改正の概要(2013年2月)、行政処分の公表
  • 国民生活センター:訪問購入の相談件数と注意喚起
  • 環境省、川崎市、東京都、警察庁・都道府県警

買取業者の自社サイトのコラムや比較サイトは、出典にしていません。

筆者は、個人で古物商の許可を取り、東京都中央区で買取をしていました。出張買取もしていました(7章)。この記事は、特定の買取業者を勧めるものではありません。会社名・人名も書きません。

2. 出張買取が「危険」と言われる理由:相談の件数と手口

2-1. 相談の件数と、誰が相談しているか

国民生活センターによると、訪問購入の相談件数(消費生活センター等からの経由相談を含まない)は、次のとおりです(2026年5月31日現在)。

年度 訪問購入の相談件数
2023年度 8,623件
2024年度 7,909件
2025年度 7,523件

2年続けて減っていますが、2025年度も7,000件を超えています。2025年度の全国の消費生活相談 1,006,377件のうち0.7%です。同じ年度、訪問購入の相談の契約当事者のうち70歳以上が55.9%でした(国民生活センター「2025年度 全国の消費生活相談の状況」2026年8月5日、8ページ)。

訪問購入の決まりが入る前は、相談が急に増えていました。消費者庁の改正の概要(2013年2月)では、PIO-NETの相談件数は平成19年度の30件から、平成23年度の4,142件に増えています。この決まりの施行日は平成25年2月21日です(同資料。資料の時点では予定日として書かれています)。

2-2. よくある手口(国民生活センターの発表から)

国民生活センターは、2023年9月27日の発表で、次のような手口を挙げています。

  • 電話で来訪の承諾を得ようとする(「電話であの手この手で来訪の承諾を得ようとする」)
  • 断っても粘り、「売らなくてもいいから見るだけ見てあげる」と言って家に上がる
  • 業者名や、買い取る物の品目を告げない
  • 「鑑定するだけ」と言って、貴金属を出させる
  • 物の名前と価格を書いた書面を渡さない
  • 物の引渡しを拒めることを告げない

2024年9月18日の発表は、主に80歳以上の女性が当事者になった深刻な事例を挙げています。切手帳の買い取りで訪問され、ふと目を離した隙に貴金属が持ち去られた、「身に着けている指輪を外せ」と迫られた、などです。国民生活センターの訪問購入のページには、古本の買い取りを頼んだら玄関先の貴金属を安く買い取られた、ネットで見つけた出張買取業者に売ってクーリング・オフを申し出たが一部しか返品されなかった、という事例も載っています。

2-3. 国が処分した例:電話で「不要品」、訪ねると貴金属

2024年12月から2026年8月までに消費者庁と経済産業局が公表した訪問購入業者への処分のうち、この記事で確認した国の公表案件は5件です(処分の対象は計9社。消費者庁の執行状況の一覧で、題名に「訪問購入」を含むものを数えました。都道府県の処分は集計に入れていません)。会社名は書きません。

公表日 処分した機関 業務停止の期間 認定された違反
2024年12月24日 九州経済産業局 6か月 58条の6第1項・第2項・第3項、58条の8第2項、58条の9
2025年8月28日 東北経済産業局(3社) 6か月 58条の6第1項・第2項、58条の8第2項、58条の9
2025年11月27日 消費者庁 9か月 58条の6第1項・第3項、58条の8第2項、58条の9
2026年2月18日 東北経済産業局 6か月 58条の6第1項・第2項・第3項、58条の8第2項
2026年8月5日 九州経済産業局(3社) 9か月 58条の5、58条の6第1項・第2項・第3項、58条の8第2項、58条の9

確認した5件すべてで、頼んでいない人への勧誘(58条の6第1項)と、書面の記載の不備(58条の8第2項)が認定されています。書面の不備の中身は共通していて、クーリング・オフの期間中に電磁的記録(メールなど)で解除できることと、その効力が通知を発した時に生じることが、書面に書かれていませんでした。

勧誘の型も似ています。5件のうち4件は、電話で不要品(食器・衣類・植木鉢・マッサージチェア・書籍など)の買い取りを持ちかけて訪問の承諾を取り、訪ねた先で、承諾していない貴金属・アクセサリー・宝石を勧誘したものでした。電話の言葉の例として、「いらない時計やカメラ、その他余っている物を買い取ります」「何か処分するのはありませんか」が公表資料に載っています。

2-4. 「何でも買い取る」で呼んで、回収費用を請求される

川崎市の消費者行政センターは、「何でも買い取る」とうたう業者を電話やチラシで呼んだら、買い取れないと言われて有料の回収を勧められたり、想定外の貴金属を勧誘されたりした、という相談を紹介しています(2022年6月24日)。訪ねてきた業者とその場で結んだ回収サービスの契約は訪問販売に当たり、クーリング・オフで解除できる可能性がある、としています。

家庭のごみの回収には、買取とは別の許可が要ります。環境省は「ご家庭の廃棄物を回収するには、市区町村の「一般廃棄物処理業許可」や委託が必要です。「産業廃棄物処理業の許可」や「古物商の許可」では回収できません」と書いています。くわしくは不用品回収・遺品整理の開業の記事に書きました。

2-5. 「押し買い」は法律の定義語ではない

「押し買い」は、法律で定義された言葉ではありません。ただ、消費者庁の解説でも「押し買い的なもの」という表現が使われています(印刷頁四五四)。この記事では、頼んでいない訪問や勧誘、頼んだ物以外を強引に買い取ることを指して使います。法律で禁じられているかどうかは、次の章の決まりで見ます。

3. 出張買取を守る決まり(特定商取引法の訪問購入)

3-1. 出張買取は「訪問購入」に当たる

特定商取引法の訪問購入は、物品の購入を業として営む者(購入業者)が、営業所等以外の場所で売買契約の申込みを受けたり契約を結んだりして行う物品の購入です(58条の4)。業者が自宅に来て物を買い取る出張買取は、対象外の物品や適用除外の場合を除き、58条の4の訪問購入に当たります。業者の店舗に持ち込んで売る店頭買取は当たらず、国民生活センターは「店舗での買取はクーリング・オフ制度の対象外です」としています(2026年9月2日)。

「対象外の物品」(施行令34条)は、そもそも訪問購入の定義に入らない物です。「適用除外」(58条の17)は、訪問購入に当たる取引に、決まりの全部または一部をかけない場合です。別の仕組みなので、5章で分けて書きます。

3-2. 勧誘の前に名乗る(58条の5)

業者は、訪問購入をしようとするときは、勧誘に先立って、業者の氏名または名称、売買契約の締結について勧誘をする目的であること、勧誘に係る物品の種類を告げなければなりません(58条の5)。消費者庁の解説(印刷頁407〜408)は、次の2点を挙げています。

  • 架空の名称や通称だけを告げても、名称を告げたことにならない
  • 「不用品」「不必要な物品」と告げても、具体的な物品の種類を明示したことにはならない

東京都の消費生活のFAQは、「消費者からの要請を受けて訪問した時も同様で、」業者は氏名や勧誘の目的を告げなければならない、としています。自分で呼んだ業者でも、名乗りの決まりはかかります。

3-3. 頼んでいない勧誘の禁止(58条の6)

業者は、訪問購入の契約の締結について「勧誘の要請をしていない者に対し、営業所等以外の場所において」勧誘したり、勧誘を受ける意思の有無を確かめたりしてはなりません(58条の6第1項)。消費者庁の解説は、これにより、いわゆる「飛び込み勧誘」は訪問購入を行う場合禁止されることになる、としています。

何が「勧誘の要請」に当たるかは、同じ解説(PDF 7ページ、印刷頁409)に書かれています。

場面 消費者庁の解説
判断のしかた 勧誘の要請の有無は、購入業者と相手方の言動や行為の状況等を総合的に考慮しつつ判断される
広告を見て自分から連絡した 広告等を見た相手方から、電話等で「○○を売りたいので、契約について話を聞きたい。」と話があったときなどは、「勧誘の要請」があったといえる
査定だけを頼んだ 単に査定のみを依頼した場合や、一般的な事項に関する照会や資料の郵送の依頼等があったことをもって、「勧誘の要請」があったとすることはできない
業者から電話がかかってきた 購入業者から電話をかけ、訪問して勧誘を行ってよいか否かを積極的に尋ねて、相手方から「勧誘の要請」を取り付けるような場合も同様(要請があったとはできない)
頼んだ物と別の物 「不要な食器を売りたいので、契約について話を聞きたい。」と頼まれて訪ねた場合でも、訪ねた先で「いらない指輪もあれば、売ってくれないか。」などとほかの物品を勧誘することは禁止される
査定を勧める言い方 「無料で査定を行っていますが、いかがですか。」などと物品の査定を勧める場合でも、契約締結の意思の形成に影響を与えるものとなる場合には、勧誘とみなし得る

つまり、業者からの電話で訪問を承諾しただけでは、勧誘を頼んだことにはなりません。2-3の処分の例は、まさにこの形です。国民生活センターは「購入業者から電話がかかってきても、安易に訪問を承諾しないようにしましょう。」と呼びかけています。

ほかに、次の2つの決まりがあります。

  • 訪ねた先での確認:勧誘に先立って、相手に勧誘を受ける意思があることを確かめずに勧誘してはならない(58条の6第2項)。消費者庁の解説は、電話などで確かめるだけでは足りないとしている(印刷頁410)
  • 断った人:売らないと意思を示した人に、勧誘してはならない(58条の6第3項)

3-4. 書面を渡す(58条の7・58条の8)

業者は、自宅などで申込みを受けたら直ちに、契約を結んだら遅滞なく(申込みと同時に結んだら直ちに)、決まった事項を書いた書面を渡さなければなりません(58条の7・58条の8)。書く事項は、物品の種類、購入価格、代金の支払の時期と方法、物品の引渡しの時期と方法、クーリング・オフに関する事項、物品の引渡しの拒絶に関する事項などです(58条の7第1項)。

クーリング・オフと引渡しの拒絶の事項は、書面の中で「赤枠の中に赤字で記載しなければならない」とされています(施行規則134条)。文字は8ポイント(官報の字の大きさ)以上です(消費者庁の解説 印刷頁416)。相手の承諾があれば、書面の代わりに電磁的な方法で渡すこともできます(58条の7第2項)。

3-5. 物を受け取るときの告知と、うそ・威迫の禁止(58条の9・58条の10)

  • 業者が売った人から直接物を受け取るときは、クーリング・オフの期間中は物の引渡しを拒めることを告げなければならない(58条の9)。消費者庁の解説は、相手の面前で直接物品を受け取る時に告げる、としている(印刷頁422)
  • 勧誘のときやクーリング・オフを妨げるために、物の種類・品質・購入価格・クーリング・オフなどについて、うそを言うこと(不実告知)、わざと告げないこと、人を威迫して困惑させることは禁止(58条の10第1項〜第3項)。物を受け取るために、うそを言うことや威迫して困惑させることも禁止(同条第4項・第5項)

3-6. 違反したら:罰則と処分

違反 どうなるか
58条の10の禁止行為(うそを言う・わざと告げない・威迫して困惑させる) 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(併科あり。70条1号)
書面を渡さない・書くべきことを書かない(58条の7第1項、58条の8第1項・第2項) 6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(併科あり。71条1号)
名乗り(58条の5)・頼んでいない勧誘(58条の6)など 違反を直接罰する条文は見当たらない。指示(58条の12)や、2年以内の業務停止(58条の13)の対象になる
業務停止命令(58条の13)・業務禁止命令(58条の13の2)に違反 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(併科あり。70条3号)
指示(58条の12第1項)に違反 6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(併科あり。71条2号)

「違反を直接罰する条文は見当たらない」としたのは、この記事の資料で70条〜72条を見た範囲での判断です。

4. クーリング・オフと、物を渡さなくてよい期間

4-1. 8日の数え方

クーリング・オフができるのは、契約の書面(58条の8の書面)を受け取った日から起算して8日を経過するまでです。それより前に申込みの書面(58条の7の書面)を受け取っていたら、その日から数えます(58条の14第1項)。消費者庁の特定商取引法ガイドは「法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内であれば、」と書いています。

たとえば10月28日に書面を受け取ったら、10月28日を1日目として数え、11月4日が8日目です(当てはめ)。計算機2で日付を出せます。

4-2. やり方:書面かメールなどで、発した時に効力

  • 書面か電磁的記録(メール・専用フォーム・FAXなど)で、申込みの撤回または契約の解除を通知する(58条の14第1項。電磁的記録の例は消費者庁のQ&A)
  • 効力は「通知を発した時に、その効力を生ずる。」(58条の14第2項)。8日目までに出せば(郵便なら出す、メールなら送る)間に合う
  • 書面なら「特定記録郵便、書留、内容証明郵便等で行うことが薦められます」(消費者庁の特定商取引法ガイド)。メールなら、送ったメールを保存し、画面のスクリーンショットを残しておくのが望ましい、と消費者庁のQ&Aにある
  • 業者が通知の方法を不合理に限る特約は無効と考えられる、と消費者庁のQ&Aにある

4-3. お金:損害賠償・違約金は要らない

  • 業者は、クーリング・オフに伴う損害賠償や違約金を請求できない(58条の14第4項)
  • 代金をすでに受け取っていたら返すが、その返還にかかる費用と利息は業者の負担(同条第5項)。消費者庁のガイドは「代金の利息を返却する必要はありません。」としている
  • これらに反する特約で、売った人に不利なものは無効(同条第6項)

4-4. 8日を過ぎても、できる場合

業者にうそを言われて誤認したり(「クーリング・オフはできない」など)、威迫されて困惑したりして、8日のうちにクーリング・オフをしなかった場合は、8日を過ぎてもできます。この場合は、改めてクーリング・オフができると書いた書面を受け取った日から8日です(58条の14第1項ただし書)。長野県警は、悪質な訪問購入業者の言い分の例として「買取りはクーリング・オフできない」「キャンセル料が発生する」を挙げています。訪問購入なら、法律上は8日のクーリング・オフがあります。

書面を受け取っていない場合は、条文が書面を受け取った日から数える形なので、8日の数え始めがない、と読めます(当てはめ)。書面に書くべきことが欠けていた場合に8日が数え始まるかは、この記事の資料では確かめられませんでした(未確認)。

4-5. 物は、期間中は渡さなくてよい(58条の15)

クーリング・オフの期間中は、「引渡しの期日の定めがあるときにおいても」、業者とその承継人に物の引渡しを拒めます(58条の15)。消費者庁のガイドは「売買契約の相手方は、クーリング・オフ期間内は債務不履行に陥ることなく、」物品の引渡しを拒める、としています。引渡しを拒める期間は、クーリング・オフの期間と同じです(消費者庁の解説 印刷頁412・414)。

迷ったら、期間中は物を渡さずにおき、売るのをやめたいなら、期間内にクーリング・オフを通知します。業者には、物を受け取るときに、期間中は引渡しを拒めることを告げる義務があります(58条の9)。

4-6. もう転売されていたら

  • 業者は、クーリング・オフの期間中に物を第三者に渡したら、そのことを遅滞なく売った人に通知し(58条の11)、渡す相手の第三者にも、契約が解除されうることを通知する(58条の11の2)
  • クーリング・オフによる解除は、第三者にも主張できる。ただし「第三者が善意であり、かつ、過失がないときは」主張できない(58条の14第3項)
  • 消費者庁の解説は、クーリング・オフをした人は、第三者が善意無過失の場合を除き、所有権に基づいて返還を求められる、としている(印刷頁428)

5. 決まりがかからない場合:対象外の物・自分から請求した場合・店頭

5-1. 対象外の物品(施行令34条)

次の物品は、訪問購入の対象から外れています(施行令34条)。

  • 自動車(二輪のものを除く)※
  • 家庭用電気機械器具(携行が容易なものを除く)
  • 家具
  • 書籍
  • 有価証券
  • レコード、CD・DVD・ブルーレイ、家庭用ゲームソフトを含むコンピューターソフトなど、音・影像・プログラムを記録した物

※「二輪のものを除く」は、消費者庁の具体例の資料の書き方です。e-Govの条文での括弧書きは、この記事では確かめられませんでした。

消費者庁の具体例の資料には、家電として温水器・食器洗い機・テレビ・冷蔵庫・洗濯機・エアコン・掃除機などが挙がっています。「携行が容易」かどうかは、業者が売った人の自宅などから引き取るときに、搬送要員などの特段の準備が要るかどうかで判断する、と消費者庁の解説にあります(印刷頁405)。持ち運びが容易な家電は、訪問購入の対象に残ります。

これらの物だけを売った場合は、訪問購入の決まり(書面・クーリング・オフ・引渡しの拒絶など)はかかりません。ただし、古物営業法の決まり(6章)は別にかかります。

5-2. 営業として売る場合(58条の17第1項)

58条の17第1項は「この章の規定は、次の訪問購入については、適用しない。」とし、1号に、売買契約を、申込みをした者または相手方が「営業のために若しくは営業として締結するもの」を挙げています。家庭で使っていた物を売るのではなく、商売として売る契約なら、訪問購入の章はかかりません。

5-3. 自宅で売る契約を、自分から請求した場合(58条の17第2項1号)

58条の17第2項は「第五十八条の六第一項及び第五十八条の七から前条までの規定は、次の訪問購入については、適用しない。」とし、1号に「その住居において売買契約の申込みをし又は売買契約を締結することを請求した者に対して行う訪問購入」を挙げています。この場合、頼んでいない勧誘の禁止(58条の6第1項)と、書面・クーリング・オフ・引渡しの拒絶など(58条の7〜58条の16)がかかりません。名乗り(58条の5)と、訪ねた先での確認・断った人への再勧誘の禁止(58条の6第2項・第3項)は残ります。

ここで注意することが3つあります。

  • 「勧誘の要請」(58条の6第1項)と、この「請求」(58条の17第2項1号)は、別の言葉で、別の概念です。「○○を売りたいので、契約について話を聞きたい」と頼んだだけで、自宅で売る契約の申込み・締結を請求したことになるとは限りません
  • 見積もりのためだけに来てもらった場合は、この「請求」に当たらない、と消費者庁は解説しています。下の表のとおりです
  • 消費者庁の特定商取引法ガイドの訪問購入のページには、適用除外として、いわゆる御用聞き取引・常連取引・住居からの退去に際して相手から取引を誘った場合(施行令37条)が書かれていますが、この「請求」の場合は書かれていません。消費者庁の改正の概要(2013年)と東京都のFAQには書かれています

消費者庁の解説(PDF 52〜53ページ、印刷頁四五四〜四五五)は、この適用除外を「相手方の「請求」に応じて行うその住居における購入を適用除外とするもの」と説明し、次の例を挙げています。

「請求した者」に当たる例 当たらない例
「○○を△△円で売却するから来訪されたい。」のように、契約の申込みや締結をはっきり示した場合 購入価格に事前に同意していても、訪ねたあとに手数料や搬出料などで実質的に減額する場合
契約の細かい中身が決まっていなくても、自宅で契約の申込みや締結をしたいという明確な意思を示した場合(例:「いくらでも良いので、当該物品を買い取ってほしい。」、事前に購入価格を聞いたうえで「あの価格であれば売りたいので来訪されたい。」) 単なる問い合わせや資料の郵送を頼んだときに、業者から訪ねて説明したいと申し出があり、承諾しただけの場合
業者が示した価格に幅があり、その範囲で契約したいと請求した場合 「見積もりをしてほしいので来訪されたい。」と、取引の明確な意思がないまま、契約の準備のために自宅に来てもらった場合

また、着物を売るために呼んだのに、売る予定のなかった指輪も買い取った場合の指輪は、「請求」に当たらない例として挙げられています。

つまり、見積もり(査定)のためだけに来てもらった場合は「請求」に当たらず、書面やクーリング・オフなどの決まりは残ります。呼んだときに頼んだ物以外の物も、「請求」の外です。

業者を呼ぶときは、「見積もりをしてほしい」のか「売る契約をしたい」のかを分けて伝え、メールや予約の画面などの記録を残しておくと、あとで何を頼んだかを確かめられます(当てはめ)。

5-4. 店頭での買取

自分で業者の店舗に持ち込んで売る店頭買取は、訪問購入に当たらず、国民生活センターは「店舗での買取はクーリング・オフ制度の対象外です」としています(2026年9月2日)。

6. 古物営業法:身分証を見せる理由と、業者が持っているべき許可証

6-1. 業者は許可証を持ち歩き、求められたら見せる(11条)

古物営業法11条1項は「古物商は、行商をし、又は競り売りをするときは、許可証を携帯していなければならない。」としています。従業者に行商させるときは行商従業者証を持たせ(2項)、行商をする場合に取引の相手から許可証などの提示を求められたら、見せなければなりません(3項)。相手の住所・居所で行う古物の売買は行商に含まれる、と警察庁の解釈運用基準にあります(11ページ)。出張買取で来た業者には、許可証を見せてもらえます。

環境省は「古物商の許可を有し、信用できる業者に中古品としての買取りを依頼してください。」と書いています。

6-2. 身分証を見せる理由(15条)

古物商は、古物を買い受けるとき、「相手方の真偽を確認するため」に、住所・氏名・職業・年齢を確かめるなどの措置をとらなければなりません(古物営業法15条1項)。対面では、身分証明書・運転免許証などの提示を受けて確かめます(施行規則15条1項)。出張買取で身分証を求められるのは、この決まりのためです。

  • 対価の総額が1万円未満なら、この確認は要らない(15条2項1号、施行規則16条1項)
  • 「総額」は一度に持ち込まれた物品の対価を全部足した額で、1万円には消費税を含まないと解される(警察庁の解釈運用基準 26〜27ページ)
  • 次の物は、1万円未満でも確認が要る(施行規則16条2項):自動二輪車と原動機付自転車(部分品を含む)、エアコンの室外ユニットと電気温水機器のヒートポンプ、家庭用ゲームソフト、CDやDVDなど音や影像を記録した物、電線、金属製のグレーチング、書籍

古物商は、買い取った物と相手のことを帳簿に記録します(16条)。何を記録するかは古物台帳の記事に書きました。

6-3. 18歳未満から買い取ることの制限(東京都の例)

東京都の青少年の健全な育成に関する条例は、古物商が18歳未満の者から古物を買い受けることを禁じています(15条2項)。保護者の委託を受けた場合や、保護者の同行・同意がある場合は除かれます(同条3項)。警告に従わずに違反すると30万円以下の罰金です(25条)。ほかの道府県は、それぞれの条例を確かめてください。

6-4. 自宅での買取は、古物営業法でできる場所

古物商は、営業所と「取引の相手方の住所若しくは居所」以外の場所で、古物商以外の者から古物を受け取ってはなりません(14条1項。届け出た仮設店舗の例外があります)。相手の自宅での出張買取は、この制限に当たりません。

7. 筆者がやっていた出張買取(筆者の体験)

私は、個人で取った古物商の許可で、東京都中央区で買取をしていました。出張買取もしていました。

  • 訪ねたのは、客からの問い合わせがあったときだけです。飛び込みで訪ねたり、自分から電話をかけて訪問の約束を取ったりはしていません
  • 買い取っていたのは、主に家電・本・ゲームなど、貴金属以外の物です
  • クーリング・オフの書面を渡していました
  • 断られたことも、値段が合わなかったこともあります

このうち据え置きの家電・本・ゲームソフトは、訪問購入の対象外の物品です(施行令34条。5-1)。家電のうち持ち運びが容易な物は、対象に残ります(その判断は、引き取りに搬送要員などの特段の準備が要るかどうか。消費者庁の解説)。

8. 頼む前・当日・売ったあとの手順

8-1. 頼む前

  • 業者から電話がかかってきて訪問を持ちかけられても、承諾しない(国民生活センター「購入業者から電話がかかってきても、安易に訪問を承諾しないようにしましょう。」)。業者からの電話で取り付けた承諾は、勧誘の要請に当たらない(消費者庁の解説)
  • 自分から問い合わせ、売りたい物を具体的に伝える。査定だけなら、査定だけと伝える。メールや予約の画面などの記録を残す(5-3)
  • 業者の正式な名称・住所と、古物商の許可を確かめる。古物商は、事業の規模が著しく小さい場合などを除き、氏名または名称、許可をした公安委員会の名称、許可証の番号をネットで公開する決まりがある(古物営業法12条2項)
  • 「何でも買い取る」「無料で引き取る」という業者は、買い取れない物の有料の回収の話になることがある(川崎市)。家庭のごみの回収には、市区町村の一般廃棄物処理業の許可か委託が要る(環境省)

8-2. 当日

  • 一人で対応しない。目を離さない(国民生活センター「一人では対応しないようにしましょう」。大阪府警「訪問を承諾しても1人で対応しない、絶対に目を離さない」)
  • 最初に、正式な名称・買い取るための勧誘であること・物の種類を告げたか(58条の5)
  • 古物商の許可証を見せてもらう(古物営業法11条3項)
  • 頼んでいない物(貴金属など)を出すよう言われたら、断る。見せる必要はない(58条の6第1項、消費者庁の解説)
  • 身分証の確認は、古物営業法の決まり(15条)。総額1万円未満でも、本・ゲームソフト・CDやDVDなどは確かめられる
  • 値段に納得できなければ売らない。断った人に勧誘を続けることは禁止(58条の6第3項)。威迫して困らせることも禁止(58条の10第3項)
  • 売るなら、書面を受け取る。クーリング・オフと引渡しの拒絶が赤枠の中に赤字で書いてあるかを見る(施行規則134条)
  • 物は、クーリング・オフの期間中は渡さなくてよい(58条の15)。迷ったら期間中は渡さず、売るのをやめたいなら期間内にクーリング・オフを通知する。業者は、物を受け取るときにこのことを告げる義務がある(58条の9)

8-3. 売ったあと

  • 8日以内なら、書面かメールなどでクーリング・オフができる。発した時に効力が出る。送った記録を残す(4章)
  • 代金を受け取っていたら返すが、利息は要らず、返す費用は業者の負担(58条の14第5項、消費者庁のガイド)

8-4. 困ったときの相談先

  • 消費者ホットライン188:お住まいの地域の消費生活センターなどを案内する全国共通の番号(消費者庁・国民生活センター)
  • 警察相談専用電話 #9110
  • 身の危険を感じたら110番(国民生活センター 2024年9月18日の発表、大阪府警)

9. 買取を始める人へ:出張買取で業者が守ること

買取を始める側から見ると、出張買取には次の決まりがかかります。広告やチラシ、電話の決まりは買取の集客方法の記事に、古物商の許可の条件と費用は古物商許可はせどりに必要かの記事に書きました。

場面 決まり 根拠
訪ねる前 勧誘を頼まれていない人に、訪ねて勧誘しない。業者からの電話で取り付けた承諾は、勧誘の要請に当たらない 特定商取引法58条の6第1項、消費者庁の解説
勧誘の前 正式な名称・勧誘の目的・物品の種類を告げる。通称だけ・「不用品」だけでは足りない 58条の5、消費者庁の解説
訪ねた先 その場で勧誘を受ける意思を確かめる。断った人に勧誘しない。頼まれた物以外を勧誘しない 58条の6第2項・第3項、消費者庁の解説
申込み・契約 決まった書面を渡す。クーリング・オフと引渡しの拒絶は赤枠の中に赤字。電磁的記録で解除できることと、通知を発した時に効力が出ることも書く 58条の7・58条の8、施行規則134条、処分の例
物を受け取るとき 期間中は引渡しを拒めると告げる 58条の9
期間中に転売するとき 売った人と、渡す相手の第三者に通知する 58条の11・58条の11の2
古物営業法 許可証の携帯と提示、相手の確認、帳簿への記録 古物営業法11条・15条・16条
18歳未満 東京都では、保護者の委託・同行・同意がなければ買い受けない 東京都の条例15条2項・3項

2-3で確認した国の公表案件5件では、すべてで、頼んでいない人への勧誘と書面の記載の不備が認定されていました。家庭のごみの回収を引き受けるのは、買取とは別の許可の話です(2-4)。古物営業法と特定商取引法のほかに罰則がある法律はせどり・転売は違法かの記事、買取の値段がどう決まるかは買取ビジネスの仕組みの記事に書きました。古物商の許可の審査は古物商の審査に落ちる理由の記事、許可を取ったあとの届出は古物商の変更届の記事にまとめています。

10. 計算機:勧誘の要請があったかの判定/クーリング・オフの期限/物を渡す前のチェック/業者チェックリスト

4つは別々に使えます。

  • 1. 勧誘の要請があったかの判定:誰から連絡したか、何を頼んだか、売る物、頼んでいない物を求められたか、自宅での契約を自分から請求したかを選ぶと、消費者庁の解説の該当箇所と、確かめることを出します(当てはめ)
  • 2. クーリング・オフの期限:書面を受け取った日から、8日目の日付と、今日から何日あるかを出します。店頭買取・対象外の物・自分から請求した場合の注意も出します
  • 3. 物を渡す前のチェック:物を渡したか、期間内か、業者の告知、書面の中身、急がされたか、転売されたかから、引渡しを拒めるかと確かめることを出します
  • 4. 業者チェックリスト:名乗り、許可証、頼んでいない物、身分確認、書面、告知、急がせ、回収費用、18歳未満を選ぶと、「確かめること」の一覧を出します。点数は付けません

どれも、条文と公式資料の書き方に当てはめた目安です。法律上どうなるかを保証するものではありません。

勧誘の要請があったかの判定/クーリング・オフの期限/物を渡す前のチェック/業者チェックリスト

選んだ内容と日付は、このページの中で使うだけで、どこにも送られません。4つは別々に使えます。結果は、条文と公式資料の書き方に当てはめた目安です。

1. 勧誘の要請があったかの判定

2. クーリング・オフの期限

3. 物を渡す前のチェック

4. 業者チェックリスト

11. よくある質問

出張買取は、クーリング・オフできますか?

訪問購入に当たる取引なら、契約の書面を受け取った日から数えて8日以内(それより前に申込みの書面を受け取っていればその日から)に、書面かメールなどで通知すればできます。通知を発した時に効力が出ます。損害賠償や違約金は要りません(58条の14)。ただし、据え置きの家電・家具・本・CDやDVDやゲームソフト・自動車(二輪のものを除く)などは対象外です(施行令34条)。

自分で呼んだ業者でも、クーリング・オフできますか?

呼んだだけでは決まりません。自宅で売る契約の申込みや締結を自分からはっきり求めた場合(「○○を△△円で売却するから来訪されたい。」「いくらでも良いので、当該物品を買い取ってほしい。」など)は、クーリング・オフなどの決まりがかかりません(58条の17第2項1号)。一方、「見積もりをしてほしいので来訪されたい。」のように、取引の明確な意思がないまま見積もりのために来てもらった場合は、この「請求」に当たらない、と消費者庁は解説しています。その場合は、書面やクーリング・オフなどの決まりが残ります(5-3)。

本や家電を出張買取で売りました。クーリング・オフできますか?

据え置きの家電・本・CDやDVDやゲームソフトだけなら、訪問購入の対象外の物品なので、訪問購入のクーリング・オフはかかりません(施行令34条)。持ち運びが容易な家電は対象です。対象外の物でも、業者には古物営業法の確認や記録の決まりがかかります(5-1・6章)。

身分証を見せないといけませんか?

古物商は、買い取るときに相手の住所・氏名・職業・年齢を確かめる決まりがあります(古物営業法15条1項)。対価の総額が1万円未満なら確認は要りませんが、本・ゲームソフト・CDやDVDなどは1万円未満でも確かめます(施行規則16条2項)。身分証の確認があるのは、業者が古物営業法の決まりを守っているからです(6-2)。

業者が帰ってくれません。どうすればいいですか?

売らないと伝えた人に勧誘を続けることは禁じられています(58条の6第3項)。人を威迫して困惑させることも禁止です(58条の10第3項)。身の危険を感じたら110番に通報し、あとで消費者ホットライン188に相談してください(国民生活センター)。

電話で「不用品を買い取ります」と言われ、訪問を承諾してしまいました

業者からの電話で訪問を承諾しただけでは、勧誘の要請があったことになりません(消費者庁の解説)。訪ねてきても、頼んでいない物を見せる必要はなく、断ってかまいません。国が処分した例の多くが、この形でした(2-3)。訪問を断るなら、電話で断っておけます。

「無料で引き取る」と言われました。頼んでいいですか?

家庭のごみの回収には、市区町村の一般廃棄物処理業の許可か委託が要り、古物商の許可では回収できません(環境省)。「何でも買い取る」で呼んだら、買い取れない物の回収費用を請求された、という相談もあります(川崎市)。不用品の処分は、市区町村の粗大ごみの制度などを確かめてください(2-4)。

出張買取の業者は、許可証を持っていますか?

古物商は、出張買取のような行商をするとき、許可証を携帯する決まりがあり、相手から求められたら見せなければなりません(古物営業法11条1項・3項)。従業者は行商従業者証を持ちます(6-1)。

12. まとめ

  • 出張買取そのものは禁じられていない。危険と言われるのは、頼んでいない訪問や頼んでいない物を強引に買い取る手口の相談が続いているから。訪問購入の相談は2025年度7,523件、訪問購入の相談の契約当事者のうち70歳以上が55.9%(国民生活センター)
  • 2024年12月〜2026年8月の国の公表案件で確認した5件(処分の対象は計9社。都道府県の処分は集計に入れていない)は、すべて頼んでいない人への勧誘と書面の不備。多くは電話で不要品の買い取りを持ちかけ、訪ねると貴金属を勧誘する形
  • 業者は、勧誘の前に名称・目的・物の種類を告げ、頼まれていない勧誘をせず、訪ねた先で意思を確かめ、断った人に勧誘せず、決まった書面を渡す(特定商取引法58条の5〜58条の9)
  • 売った人は、書面を受け取った日から数えて8日以内なら、書面かメールなどでクーリング・オフができ、発した時に効力が出る。期間中は物を渡さなくてよい(58条の14・58条の15)
  • 据え置きの家電・家具・本・CDやDVDやゲームソフト・自動車(二輪のものを除く)などは対象外。自宅で売る契約の申込み・締結をはっきり求めた場合もクーリング・オフなどはかからないが、見積もりのためだけに来てもらった場合は「請求」に当たらない(消費者庁の解説)
  • 身分証の確認と許可証の提示は、古物営業法の決まり。困ったら消費者ホットライン188、身の危険があれば110番

13. 出典

14. あわせて読む

 

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