古着の仕入れ先5ルート|古物市場に入る条件と、仕入れ前に要る手続き

転売

古着の仕入れ先」を検索すると、卸業者のリストが並んだ記事がいくつも出てきます。当サイトにも以前そういう記事がありました。

ただ、実際に仕入れを始めようとすると、リストより先に詰まるところがあります。そのルートで取引できる資格を、自分が持っているかどうかです。

たとえば古物市場。プロ同士が古着を売買する市場で、仕入れ値はいちばん安くなり得ます。ところが許可申請のときに「行商をしない」と届け出ていると、そもそも参加できません。これを知らずに許可を取ってしまい、市場の入口で止まる人がいます。

あるいはフリマアプリ。安く買えることはあります。ただし1万円以上の取引は、匿名配送のままでは実質的に仕入れられません。国税庁が明示的に回答しています。

この記事では、古着の仕入れルートを5つに整理して、それぞれ「取引できる条件」から確認していきます。業者名のリストではなく、業者と取引できる状態になるための手続きの話です。

この記事の調べ方について

法令はe-Gov法令検索で現行条文を、実務解釈は警察庁の解釈運用基準を、税務は国税庁の公表資料を、関税は税関の実行関税率表(2026年8月8日版)を確認しました。貿易統計は財務省貿易統計(e-Stat)から直接集計しています。
古着卸業者・買い付け代行業者・開業スクールのサイトは、出典として使っていません。自社の販売価格を「相場」として提示する立場にあるためです。その結果として「確認できず」と書いた項目がいくつかあります。
調査時点:2026年8月。

先に全体像:5つのルートと、必要な資格

ルート 古物商許可 行商の記載 その他の条件
①古物市場
プロ同士の市場
必須
(法14条3項)
必要 入会金・参加費。紹介が要る市場もある
②国内の古着卸
倉庫・オンライン
業者による
(求める先が多い)
不要 会員登録、最低ロット、アポイント
③海外から直輸入 不要
(輸入自体には)
不要 関税・輸入消費税・通関。国によって税率が違う
④個人から買取 必須 出張買取なら必要 本人確認、帳簿。買える場所が限定される
⑤フリマアプリ 実態による 不要 1万円以上は本人確認の壁

①と④に「行商」が出てくるところが、この表のポイントです。

どのルートから始めるべきか

全部を同時に使う必要はありません。条件で絞ると、選択肢はかなり減ります。

こういう状況なら 現実的なルート 理由
まだ古物商許可を取っていない ②の一部、③ ①④は許可必須。ただし許可なしで転売を続ければ無許可営業に当たり得る
資金が小さい/点数を絞りたい ②(ピック) 1点ずつ選べる。売れない在庫を自分で制御できる
単価をとにかく下げたい ①、②(ベール) ①は行商の記載が前提。②のベールは外れ分を負担できる資金が要る
他店と品揃えを変えたい ③、④ 同じ卸から買えば品揃えは似る。差をつけるなら仕入れ元を変えるしかない
店舗があり、地域客がいる 買取は仕入れ原価が最も低くなり得る。ただし義務が最も重い
ネットだけで完結させたい ②(オンライン卸) ⑤は1万円の壁があり、主力にはできない

順に見ていきます。

ルート①:古物市場 ── 入口に「行商」の壁がある

古物市場は、古物商同士が古着を売買する市場です。中間マージンが少ない分、仕入れ値は最も低くなり得ます。

そもそも古物市場とは何か

古物営業法第2条第2項第2号が定義しています。

古物市場(古物商間の古物の売買又は交換のための市場をいう。以下同じ。)を経営する営業

そして参加資格が、第14条第3項で明確に限定されています。

古物市場においては、古物商間でなければ古物を売買し、交換し、又は売却若しくは交換の委託を受けてはならない。

つまり古物商許可がなければ、そもそも入れません。ここまでは多くの記事が書いています。

【重要】古物市場での取引は「行商」に該当する

ここが、あまり書かれていない部分です。

警察庁の「古物営業法等の解釈運用基準について」(令和6年8月14日付)は、行商の定義をこう説明しています。

法第5条第1項第5号の「行商」とは、古物商が営業所以外の場所で行う古物の取引をいう。したがって、①自動車のセールスマン等が取引の相手方の住所又は居所において行う古物の売買 ②古物市場において古物商間で行う古物の取引 ③いわゆる展示即売会における古物の売却 ④仮設店舗における古物の売買 等は全て行商に含まれる。

そして古物商許可の申請書には、次の記載欄があります(法第5条第1項第5号)。

五 (略)行商(仮設店舗(営業所以外の場所に仮に設けられる店舗であつて、容易に移転することができるものをいう。以下同じ。)を出すことを含む。以下同じ。)をしようとする者であるかどうかの別

許可申請のときに「行商をしない」を選んでいると、古物市場に参加できません。
これは後から変更できますが、変更届出という別の手続きが必要になります(法第7条第2項。期限は施行規則第5条第6項により、変更の日から14日以内、登記事項証明書を添付すべき場合は20日以内)。
なお「行商の届出」という独立した制度は古物営業法に存在しません。許可申請書の記載事項です。この点も誤解が多いところです。

あわせて、行商をするときは許可証の携帯義務があります(法第11条第1項)。従業者に行商させる場合は行商従業者証を携帯させる必要があります(同第2項)。取引相手から提示を求められたら、応じなければなりません(同第3項)。

全国にどれくらいあるのか

警察庁が「古物営業・質屋営業の概況」を毎年公表しています。

年末時点 令和2年 令和4年 令和6年 令和7年
古物商 395,526 483,276 571,946 614,118
古物市場主 852 902 1,078 1,076

出典:警察庁「令和7年中における古物営業・質屋営業の概況」

この数字を読むときの注意が2つあります。
令和元年から令和2年にかけて古物商が77万→39万に半減していますが、廃業ではありません。2020年4月1日施行の改正で、都道府県ごとの許可から「主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会」の許可に変わり、重複カウントが解消されたためです。令和2年以降の数字だけを比較してください
「古物市場主1,076件」は市場の数ではありません。1人の古物市場主が複数の市場を経営できます。警察庁は古物市場の箇所数を公表していません

実在する古着・アパレルの古物市場

業界紙の取材記事で条件まで確認できたものを挙げます。

項目 ジャパンアパレルオークション(JAA)
会場 神奈川県横浜市中区曙町
開催 毎月28日(毛皮)・29日(アパレル)=大会/26日=平場
平均出品数 3,500〜4,500点
平均参加社数 40社
入会金 2万円(紹介の場合1万円)/年会費なし
参加費 3,000円(食事付き)
売り歩 アパレル3.24%、毛皮5.4%

出典:リユース経済新聞(2019年5月)

この記事は2019年のものです。2026年現在も同じ会場・同じ条件で開催されているかは確認できませんでした。参加を検討する場合は必ず現在の情報を直接確認してください。
また全国の古着専門の古物市場を網羅した一覧は、公的機関にも業界団体にも存在しません。「全国◯箇所」という数字を見かけたら、根拠を確認したほうがいいです。

取引の形式

業界紙は3類型で説明しています。

  • 手競り型——会場で声を出して競る
  • オンライン型——PC・スマホで入札。現物の下見ができない場合が多い
  • 入札型——下見をしてから入札。最高入札額が指値を上回れば成立

手数料は「歩銭(ぶせん)」と呼ばれ、売り手・買い手の双方または片方に発生します。会場によっては新規参加を募っていなかったり、既存参加者の紹介が必要だったりします(リユース経済新聞)。

なお、古物市場の中で行う競り売りには、公安委員会への届出は不要です。法第10条第1項が届出を求めているのは「古物市場主の経営する古物市場以外において競り売りをしようとするとき」だからです。

ルート②:国内の古着卸 ── ピックとベール

倉庫に出向いて選ぶか、オンラインで買うか。初心者がまず使うのはここです。

2つの買い方

ピック(1点選び) ベール(まとめ買い)
買い方 1点ずつ現物を見て選ぶ 圧縮梱包された塊を、中身を見ずに買う
単価 高い 低い
売れない在庫 自分の目利き次第 一定数は必ず出る
資金 少額から始められる 1回の支出が大きい

【正直に書きます】ベールの数字には、出典がありません

ベールについて調べると、「1ベール=約45kg、100〜200着」「相場は◯万円」「ロス率は◯%」といった数字がたくさん出てきます。これらの出典を探しましたが、検証できるものは見つかりませんでした。

確認できなかったもの

ベールの重量規格(45kg等)を示す公的資料・業界紙
ベールの価格相場——ネット上の情報源は、ほぼすべて古着卸業者・買い付け代行業者・開業スクールのサイトです。自社の販売価格を「相場」として提示している当事者であり、出典として使えません
ロス率(売り物にならない割合)——公的資料・業界紙のいずれにも見当たりません
ベールは「当たり外れがある」と言われますが、その外れがどの程度なのかを示す客観的なデータは、少なくとも公開されていません。

公的資料で確認できたのは「梱(こり)=約100kg」まで

環境省が故繊維業者に行ったヒアリング調査に、日本国内の梱包単位についての記述があります。

商品カテゴリーごとの選別の種類数は業者によって異なるが、少ない事業者でも50種類程度、多い事業者では1500種類であった。(中略)商品カテゴリーごとに選別された後、100kg程度の単位で梱包され(「梱(こり)」と呼ばれる)、商品として国内及び国外に向けて出荷される。

出典:環境省「中古衣類を対象とした海外でのリユース実態調査」

注目したいのは「少ない事業者でも50種類、多い事業者では1500種類」という部分です。仕分けの粒度が業者によって30倍違う。同じ「ベール」でも、中身の揃い方は業者ごとにまったく別物だということです。

だから、業者に聞くべきことは決まっている

相場が公開されていない以上、比較するには自分で聞くしかありません。最低限これを揃えて聞けば、業者間の比較ができます。

  1. 会員登録の要否、入会金、年会費
  2. 最低購入ロット/最低購入金額
  3. 古物商許可の提示を求められるか
  4. ピック単価と、ベール単価(同じ業者で両方の条件を聞く)
  5. 仕分けの粒度——カテゴリを何種類に分けているか。前述のとおり業者間で大きく違う
  6. ベールの重量と、想定入り数(規格が業界共通ではないので、必ず個別に確認)
  7. 返品・交換の可否——不良品が混ざっていた場合の扱い
  8. 送料(1箱あたり/重量あたり/どこ発か)
  9. 決済方法と支払いサイト

4と5と6を聞かずに単価だけ比べても、意味のある比較になりません。

業者リストについて

この記事では、卸業者の実名リストを載せていません。各社の営業形態や取引条件を当方で確認できていないためです。条件が変わっている可能性のあるリストを並べても、読者が結局は自分で調べ直すことになります。

業界紙のリユース経済新聞が古着卸業者のディレクトリ記事を継続的に更新しているので、そちらのほうが実用的です。第三者である業界紙が作っているという点でも、卸業者自身のサイトより中立です。

ルート③:海外から直輸入 ── 国によって関税が違う

ここは数字がはっきりしています。

日本が古着をどこから買っているか

財務省貿易統計から、中古衣類(HS6309)の輸入相手国を集計しました。

順位 2025年の構成比
(金額ベース)
1 アメリカ合衆国 50.7%
2 タイ 15.3%
3 インド 6.5%
4 パキスタン 4.9%
5 イタリア 3.8%

米国のシェアは2021年42.5%→2023年48.7%→2025年50.7%。2024年にいったん47.0%へ下げていますが、趨勢としては上昇し、ついに半数を超えました(e-Stat 普通貿易統計 品別国別表より集計。数量ベースだと米国のシェアは16.8%で、金額ベースとは大きく異なります)。

【重要】米国から輸入すると関税5.8%がかかる

税関の実行関税率表(2026年4月1日版)で、中古衣類(6309.00-000)の税率を確認しました。

税率区分 税率 主な該当国
基本 7%
WTO協定 5.8% アメリカ合衆国(EPAの適用欄がない)
EPA・特恵 無税 タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナム、フィリピン、インド、EU、英国、韓国、豪州ほか
RCEP(中国) 2.6% 中華人民共和国

出典:税関 実行関税率表 第63類(2026年8月8日版)

日本の輸入1位である米国には、無税になるEPAの欄がありません。日米貿易協定の欄は空欄で、CPTPPに米国は参加していません。
つまりアメリカ古着を輸入すると、原則としてWTO協定税率5.8%がかかります。一方、タイやマレーシアからは原産地証明などの要件を満たせば無税です。
「アメリカ古着は安い」という前提で原価を組むときは、この5.8%を必ず乗せてください。

20万円以下なら、簡易税率5%も選べる

課税価格の合計が20万円以下の輸入には、簡易税率という別の税率表が使えます(関税定率法第3条の3)。

中古衣類は「区分7:前各号に掲げる品目以外のもの」に当たり、簡易税率は5%です。WTO協定税率5.8%より低いので、20万円以下の輸入では簡易税率のほうが有利になります。

なお、しばしば「ニット製衣類は簡易税率の対象外」と説明されますが、それは第61類(メリヤス編みの衣類)の話です。中古衣類として6309で分類されるものは、簡易税率を適用しない貨物のリストに含まれていません(関税定率法施行令第1条の3)。

出典:税関 カスタムスアンサー1001

1万円以下なら免税になる

課税価格の合計額が1万円以下の輸入は、関税と消費税が免税されます(税関 カスタムスアンサー1006)。

ここも誤解があります。税関のFAQは免税の対象外として「編物製衣類(Tシャツ、セーター等)、革製のカバン、革靴等」を挙げているため、古着も除外されそうに見えます。しかし根拠規定である関税定率法施行令第16条の3に列挙されているのは第61類・第42類・第64類などで、第6309項は含まれていません。中古衣類として6309で分類されるものは、免税の対象になります。

ただし分割しても合算されます。1つのインボイスに係る貨物を分割して申告した場合は、そのインボイスに記載されたすべての貨物の課税価格が合計されます。郵便物も、同一差出人から同一名宛人に同一時期に分散して送られたものは合計されます。

輸入消費税は「CIF+関税」に10%

ここを間違えると原価がずれます。消費税法第28条第4項により、輸入消費税の課税標準は課税価格に関税額を加算した金額です。

課税価格(CIF)   1,000,000円
関税 5.8%        58,000円
──────────────────────
消費税の課税標準  1,058,000円
消費税・地方消費税 10% 105,800円
──────────────────────
納付合計       163,800円(原価の約16.4%)

※米国から100万円分を輸入した場合の概算です。実際の申告では端数処理があります。

【見落としやすい】買付手数料は課税価格に入らない

課税価格に加算すべき項目(加算要素)の中に、こういう括弧書きがあります。

仲介手数料その他の手数料(買付けに関しその買手を代理する者に対し、その買付けに係る業務の対価として支払われるものを除く。

つまり買付代理人(バイイングエージェント)に払う買付手数料は、課税価格に含めません。一方、売手側の仲介手数料は含めます。

買い付け代行を使う場合、その手数料が「買付代理人への対価」として契約・書類上で明確に区分されていれば、関税と輸入消費税の課税ベースを圧縮できます。ただし適用には契約実態の裏付けが必要で、最終的には税関の判断です。

出典:税関 カスタムスアンサー1403

そして、輸入単価は4年で61%上がっている

輸入数量 平均単価
2021年 8,701トン 897円/kg
2022年 10,463トン 1,098円/kg
2023年 9,542トン 1,262円/kg
2024年 9,739トン 1,321円/kg
2025年 9,135トン 1,443円/kg

CIF価格ベース、全輸入相手国の合計です。2021年から2025年で61%の上昇。数量は2022年をピークに減っています。

「昔は安く仕入れられた」という話には、統計上の裏付けがあります。数年前の体験談を参考に原価を組むと、確実にずれます。

実際の買い付けで原価がどう積み上がるかは、マレーシア買い付けの記事パリ買い付けの記事で、日本到着原価まで計算しています。

ルート④:個人から買い取る ── 買える場所が決まっている

店頭買取・出張買取・宅配買取。ここは古物営業法の義務が最も重くかかります。

【重要】買取ができる場所は、原則2つ+届出制の1つ

法第14条第1項です。

古物商は、その営業所又は取引の相手方の住所若しくは居所以外の場所において、買い受け、若しくは交換するため、又は売却若しくは交換の委託を受けるため、古物商以外の者から古物を受け取つてはならない。ただし、仮設店舗において古物営業を営む場合において、あらかじめ、その日時及び場所を、その場所を管轄する公安委員会に届け出たときは、この限りでない。

つまり買い取れるのは——
自分の営業所
相手の住所または居所(=出張買取。ただし行商に当たるので許可証の携帯が必要)
事前に届け出た仮設店舗
喫茶店やファミレス、コンビニの駐車場で買い取るのは違法です。違反すると法第32条により1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金。「相手が持ってきてくれるから駅前で」は通りません。

催事やイベントで買取をする場合の仮設店舗の届出は、営業する日から3日前までに、場所を管轄する警察署長を経由して提出します(施行規則第14条の2)。

なお警察庁の解釈運用基準は、古物の受け取りを行わない仮設店舗(売るだけの出店)は届出不要としています。ただしその場合も行商には該当するので、許可証の携帯義務と標識の掲示義務はかかります。

本人確認は「税抜1万円」から

法第15条第1項が本人確認義務を定め、第2項が例外を定めています。金額の基準は施行規則第16条第1項で1万円です。

ここに、実務上重要な補足が3つあります。

論点 警察庁の解釈
1点ずつ?合計? 「対価の総額」とは一度に持ち込まれた物品の対価を全て足し合わせた額を基準とし、個々の物品単価を基準としない
→ 3,000円のTシャツ4枚=12,000円なら確認義務あり
税込?税抜? 「この1万円には、消費税を含まないと解される
→ 税抜1万円以上で確認義務あり
分けて持ち込まれたら? 各回が1万円未満なら義務は免除される。ただし正当な理由なく数回に分けて売却を希望する相手については、不正品の申告義務が生じる場合がある

出典:警察庁「古物営業法等の解釈運用基準について」

官庁間で記載が食い違っている点があります。警察庁は上記のとおり「消費税を含まない」としていますが、国税庁のインボイスQ&A(問110)は「1万円以上(税込み)」と書いています。
古物営業法の解釈権限は警察庁にあるので、台帳の要否判断は警察庁の解釈に従うのが安全です。迷うなら税抜1万円以上で確認・記帳する運用にしておけば、どちらの基準でも足ります。

【通説の訂正】1万円未満でも本人確認が必要な品目は7つある

「1万円未満でも本人確認が必要な品目」として、よく「バイク、ゲームソフト、CD・DVD、書籍」の4つが挙げられます。現行の施行規則では7つです。

品目
自動二輪車及び原動機付自転車(部分品を含む。ただしねじ・ボルト・ナット・コードその他の汎用性の部分品は除く
エアコンディショナーの室外ユニット及び電気温水機器のヒートポンプ
専ら家庭用コンピュータゲームに用いられるプログラムを記録した物
光学的方法により音又は影像を記録した物(CD・DVD・ブルーレイ等)
電線
グレーチング(金属製のものに限る)
書籍

色をつけた3つが、金属盗難対策として追加されたものです(古物営業法施行規則 第16条第2項)。

古着屋には直接関係しない品目が多いのですが、店頭で古本やDVDを併せて買い取る場合は、金額にかかわらず本人確認と帳簿記載が必要になります。

細かい線引きも決まっています。警察庁の解釈運用基準(令和6年8月14日付。当時の第3号=現行の第4号について)によれば、「光学的方法により…記録した物」はCD・LD・DVD・ブルーレイ等であり、カセットテープ、ビデオテープ、MD、フラッシュメモリは対象になりません。音楽関係を扱う場合は、この区別が効いてきます。

【古着屋に有利】衣類は「売るとき」の帳簿記載が不要

これは知っておく価値があります。

法第16条は帳簿記載義務を定めていますが、ただし書で「当該記載又は記録の必要のないものとして国家公安委員会規則で定める古物を引き渡した場合」を除外しています。これを受けた施行規則第18条第1項が、記載が必要な品目を4区分に限定しています。

売却(引渡し)時に帳簿記載が必要なのは、この4区分だけ

一 美術品類  二 時計・宝飾品類  三 自動車  四 自動二輪車及び原動機付自転車
衣類は含まれていません。

つまり古着屋の場合、販売するたびに古物台帳へ記載する必要はありません。記載が必要なのは買い取るときで、しかも税抜1万円以上のとき(および前掲の7品目は金額を問わず)だけです。

帳簿の保存期間は最終の記載をした日から3年間(法第18条第1項)。ただし後述するインボイスの古物商特例を使う場合は、この3年では足りません。

なお記載は「その都度」行う必要があり、警察庁の解釈運用基準は「1週間分や1月分をまとめて記載するようなことは許されない」と明記しています。

ルート⑤:フリマアプリ ── 1万円の壁がある

メルカリ等から仕入れることについて、国税庁が正面から回答を出しています。

国税庁の回答

インボイス制度のQ&A 問106-2(フリマアプリ等により商品を仕入れた場合の仕入税額控除)です。

その際、対価の総額が1万円未満であれば、古物台帳に相手方の住所、氏名、職業及び年齢の記載は不要であるため、匿名で取引が行われていたとしても古物商等特例の適用は可能ですが、1万円以上の場合、それらの記載が必要となるため、これらの点について、古物営業法に規定された方法により相手方の確認を行う必要があります。

出典:国税庁 インボイスQ&A 問106-2

フリマアプリの匿名配送では、相手の住所・氏名・職業・年齢を確認できません。したがって1万円以上の取引は、古物営業法上の確認義務を果たせないことになります。
匿名配送のままでは、1万円以上のフリマ仕入れは実質的に成立しません。制度上は非対面の本人確認手段(実印+印鑑登録証明書、本人限定受取郵便など。施行規則第15条第3項)もありますが、フリマの一般的な取引の流れで使えるものではありません。

相手が課税事業者かどうかの確認方法まで書いてある

同じQ&Aに、実務でそのまま使える方法が示されています。

メッセージ機能等により「適格請求書発行事業者としての譲渡である場合は登録番号を教えてください。連絡がない場合には、消費者としての譲渡と考えさせていただきます。」と確認を行った上で、何らの連絡がない場合には、仕入先を適格請求書発行事業者以外の者と取り扱って差し支えありません。

また、適格請求書発行事業者である個人事業者であっても、消費者として譲渡する場合には適格請求書発行事業者以外の者と取り扱って差し支えないとされています。

なお各フリマアプリの利用規約における転売目的購入の可否は、この記事では確認していません。規約は改定頻度が高いので、各社の最新の規約を直接確認してください。

仕入れたあとに効く:インボイスの「古物商特例」

ここは競合記事がほとんど触れていない部分ですが、仕入れの実質コストに直結します。

何ができる特例か

消費税の仕入税額控除は、原則としてインボイス(適格請求書)の保存が必要です。ところが古着の仕入れ先は、個人や免税事業者であることが多く、インボイスをもらえません。

そこで消費税法施行令第49条第1項第1号ハ(1)が、古物商が適格請求書発行事業者以外の者から古物を買い受けた場合は、帳簿の保存だけで仕入税額控除を認めています。これが古物商特例です。

4つの要件

要件
1 古物営業法の許可を受けて古物営業を営む古物商であること
2 相手方が適格請求書発行事業者でないこと
3 棚卸資産(消耗品を除く)として仕入れること
4 帳簿に「古物商特例に該当する旨」と「相手方の住所又は所在地」を記載すること

要件1の意味は大きいです。古物商許可を持っていないと、この特例は一切使えません。
「古着転売くらいなら許可はいらない」という話をときどき見かけますが、少なくとも消費税の面では、許可がないほうが不利になります。
また要件3により、転売する在庫だけが対象です。自分で使う什器・備品・固定資産は対象外です。

【最大の落とし穴】古物台帳は7年保存になる

国税庁のQ&A 問110に、実務上の最適解と、その注意点が書かれています。

古物台帳と⑤の事項について記載した帳簿(総勘定元帳等)を合わせて保存することで、帳簿の保存要件を満たすことができます。
この場合、古物台帳については帳簿の保存期間(課税期間に係る確定申告書の提出期限の翌日から7年間)保存しておく必要がある点にご留意ください

・古物営業法上の保存期間:最終記載日から3年間(法第18条第1項)
・消費税法上の保存期間:確定申告期限の翌日から7年間
古物商特例を使うなら、古物台帳を3年で捨ててはいけません。古物営業法だけを見て3年で処分すると、消費税の仕入税額控除の要件を満たさなくなります。

出典:国税庁 インボイスQ&A 問110

2026年10月から、許可の有無で差が開きます

免税事業者から仕入れた場合の経過措置(一定割合を控除できる仕組み)は、段階的に縮小されます。

期間 控除できる割合
〜2026年9月30日 80%
2026年10月1日〜 70%
2028年10月〜 50%
2030年10月〜 30%
2031年10月〜 0%

ここで効いてくるのが、古物商特例には割合の縮小がないことです。要件を満たせば全額が控除対象になります。

経過措置が縮小するほど、古物商許可を持っている側と持っていない側の差が開きます。2026年8月時点で、この特例は有効です(令和8年度税制改正でも廃止・縮小されていません)。

もうひとつ制限があります。2024年4月1日以後、輸出物品販売場(免税店)で消費税が免除された物品であることを知りながら行った課税仕入れについては、古物商特例の有無にかかわらず仕入税額控除を受けられません。ブランド品の転売で問題になった論点ですが、古着でも同じルールです。

仕入れで最も高くつくリスク:盗品をつかむこと

古物営業法の目的は、実は「業者の管理」ではありません。第1条が掲げているのは盗品の流通防止です。本人確認も帳簿も、すべてそのための仕組みです。

そして、この法律には仕入れ側にとって重い規定があります。

盗品は、1年間タダで取り上げられる

法第20条(盗品及び遺失物の回復)です。長いのですが、ここは条文を読む価値があります。

古物商が買い受け、又は交換した古物(中略)のうちに盗品又は遺失物があつた場合においては、その古物商が当該盗品又は遺失物を公の市場において又は同種の物を取り扱う営業者から善意で譲り受けた場合においても、被害者又は遺失主は、古物商に対し、これを無償で回復することを求めることができる。ただし、盗難又は遺失の時から一年を経過した後においては、この限りでない。

この条文で最も重要なのは、太字にした部分です。

民法第194条では、公の市場や同種の商人から善意で買った場合、被害者は代価を弁償しなければ取り戻せません。古物営業法第20条は、その保護を古物商から外しています。
つまり「ちゃんとした古物市場で買った」「同業の卸から善意で買った」場合であっても、無償で返さなければなりません。ここを「例外があるから安心」と読むと逆になります。
例外は2つだけです。①指図証券・記名式所持人払証券・無記名証券である古物は対象外。②盗難または遺失の時から1年を経過した後は、無償回復を請求できない(1年経過後は民法の原則に戻ります)。

つまり「安く買えた」の裏に盗品が混ざっていた場合、仕入れ代金が丸ごと消える可能性があります。売ってしまった後でも、追及は自分に来ます。

本人確認と帳簿は、行政上の義務であると同時に、この損失を回避するための実務でもあります。誰から買ったかを残しておけば、少なくとも自分が最終的な負担者になる可能性は下がります。

怪しいと思ったら、申告義務がある

法第15条第3項です。

古物商は、古物を買い受け(中略)ようとする場合において、当該古物について不正品の疑いがあると認めるときは、直ちに、警察官にその旨を申告しなければならない。

警察庁の解釈運用基準は、この「不正品」を「盗品等」よりも広い概念と説明しています。刑法上の財産犯かどうかが明らかでなくても、何らかの犯罪によって領得された物である疑念を持ったら申告する、という建て付けです。

前述した「正当な理由なく数回に分けて売却を希望する相手」も、この申告義務のトリガーになり得ます。

実際にどれくらい起きているのか

令和7年 件数
古物商による不正品申告 総数 129件
 うち道具類 37件
 うち時計・宝飾品類 31件
 うち機械工具類 22件
 うち衣類 2件

出典:警察庁「令和7年中における古物営業・質屋営業の概況」

衣類の申告は年間2件です。申告件数で見るかぎり、時計・宝飾品類や道具類に比べて桁違いに少ない。
ただしこれは「古物商が疑って警察官に申告した件数」であって、盗品が持ち込まれる頻度そのものではありません。申告義務がどれだけ履行されたかも反映される数字です。

ただしブランド品を扱う場合は話が変わります。時計・宝飾品類が31件、道具類が37件という数字は、価値の高いものほど盗品が流れやすいことを示しています。ブランド古着に手を広げるなら、確認の水準を上げる必要があります。

品触れ(しなぶれ)への対応

警察本部長等は、盗品等の品触れを書面で発することができます(法第19条第1項)。受け取った古物商には義務が生じます。

  • 書面に到達の日付を記載し、その日から6か月間保存する(第2項)
  • 品触れを受けた日にその古物を所持していたとき、または6か月の期間内に品触れに相当する古物を受け取ったときは、直ちに警察官に届け出る(第3項)

違反は法第33条により6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金。第3項・第4項については、過失による違反も拘留または科料の対象です(法第37条)。

免税店で買われた品にも注意

前述したとおり、2024年4月1日以後、免税店で消費税が免除された物品と知りながら仕入れると、仕入税額控除を受けられません。古物商特例の有無は関係ありません。

これは盗品とは別の話ですが、「相場より不自然に安い」という共通のサインが出る場面です。安さの理由を説明できない仕入れ先とは、距離を置いたほうが結果的に安く済みます。

ついでに:日本は古着を「出す」側でもある

仕入れの話をしてきましたが、逆方向の数字を見ておくと市場の構造がわかります。

2025年 数量 平均単価
輸入 9,135トン 1,443円/kg
輸出 203,885トン 69.7円/kg

日本は、輸入量の約22倍を輸出しています。そして輸出単価は輸入単価の約1/21です。

輸出先の1位はマレーシアで、2025年の構成比57.2%。ただしこれは「マレーシアで日本の古着が人気だから」ではありません。環境省の調査報告書がこう説明しています。

マレーシアは日系企業の多くが選別拠点を設けている国であり、選別後に再輸出されているという状況と一致する。

同報告書は、輸出単価の高低が「選別をどこでやるか」で決まると分析しています。単価が安い国へは選別前の状態で送られ、現地で選別される。単価が高い国へは日本国内で細かく選別してから送られる。

この構造から読み取れるのは、古着の値段を決めているのは「服そのもの」ではなく「誰がどこまで選別したか」だということです。
たとえば、選別前なら1kg 70円で出ていく。選別を経たものは1kg 1,443円で入ってくる。仕入れで払っているお金の相当部分は、選別の手間賃です。
ベールが安い理由も、ピックが高い理由も、ここにあります。
※輸出と輸入は別の物流で、同じ衣類が往復しているわけではありません。また輸出額はFOB、輸入額はCIFで建値が異なります。

※環境省の単価分析は2009〜2013年のデータに基づくもので、2025年時点でも同じ構造かは検証されていません。

前提になる古物商許可の取り方

ここまで何度も出てきたので、手続きをまとめておきます。

項目 内容
許可権者 都道府県公安委員会(法第3条)
提出先 主たる営業所の所在地を管轄する警察署長を経由して、1通(施行規則第1条の3第2項)。東京都の場合は生活安全担当課
区分 衣類(和服類、洋服類、その他の衣料品)
手数料 19,000円(政令が定める標準額。実際の徴収は各都道府県の条例による)
標準処理期間 東京都は40日(行政庁の休日を含まない)。都道府県ごとに定められます
申請書の要注意欄 行商をする/しない(法第5条第1項第5号)
ウェブサイトのURL(同第6号)

出典:e-Gov 古物営業法東京都公安委員会 審査基準

URLの届出が不要なケース

ネット販売をする場合はURLの記載が必要ですが、警察庁の解釈運用基準は例外を明示しています。

古物の売買、交換等の申込みの誘引が行われていないウェブサイトは(中略)URLの届出対象とはならない。
また、個々の情報ごとに無作為にURLが割り当てられ、古物商が一定のURLを反復継続して用いることができないインターネット上の掲示板に、古物取引に関する情報を掲載する場合も、URLの届出対象とはならない。

つまり会社紹介だけのサイトや、出品するたびにURLが変わるページは届出不要。自社のネットショップは対象です。

すでに許可を持っていて、新たにネット販売を始めたときやURLを変えたときも、変更届出が必要になります。

無許可のリスクと、実際の検挙状況

無許可営業は法第31条第1号により3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。2025年6月1日施行の改正により「懲役」ではなく「拘禁刑」表記になっています。「3年以下の懲役」と書いている解説は改正前の情報です。

令和7年 古物営業法違反の検挙 件数
無許可 7件
身分確認 8件
帳簿等記載 1件
変更届出 1件
その他 2件
総数 19件(検挙人員12人)

あわせて行政処分が874件(取消し11件、営業停止8件、指示855件)。

件数だけ見れば少ないのですが、注目したいのは無許可(7件)より身分確認違反(8件)のほうが多いことです。許可を取った後の運用のほうが、実際には引っかかっています。本人確認と帳簿を「取ったら終わり」と考えないほうがいいということです。

仕入れを始める前のチェックリスト

  1. 古物商許可を取っているか。手数料19,000円、標準処理期間は都道府県により定められ、東京都は40日(行政庁の休日を除く)
  2. 許可申請で「行商をする」を選んでいるか。古物市場に入るなら必須。選んでいなければ変更届出(14日以内)
  3. ネット販売するなら、URLを届け出ているか。自社ECは対象。会社紹介だけのサイトや、毎回URLが変わる出品ページは対象外
  4. 買取をするなら、買える場所を理解しているか。営業所か相手の住所・居所のみ。催事は3日前までに届出
  5. 古物台帳を用意したか。買取時・税抜1万円以上で記載。所定様式でなくても、取引伝票を取引順に綴じる方式でよい
  6. インボイスの古物商特例を使うなら、台帳を7年保存する体制にしたか
  7. 海外から仕入れるなら、その国の関税率を確認したか。米国は5.8%、タイ・マレーシア等は無税
  8. 原価にCIF+関税+輸入消費税を乗せて計算したか

まとめ

  1. 古物市場での取引は「行商」に該当します。許可申請で「行商をしない」と届け出ていると参加できません
  2. 買取ができるのは営業所か相手の住所・居所(+事前に届け出た仮設店舗)だけ。喫茶店での買取は違法(1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)
  3. 本人確認の基準は税抜1万円(警察庁解釈)。一度に持ち込まれた合計額で判断します
  4. 1万円未満でも本人確認が必要な品目は7つ。通説の4つでは不足しています
  5. 衣類は売却時の帳簿記載が不要です(施行規則18条1項)。必要なのは買取時だけ
  6. フリマから1万円以上は、匿名配送のままでは実質仕入れられません(国税庁 問106-2)
  7. インボイス古物商特例を使うなら、古物台帳は3年ではなく7年保存
  8. 輸入1位はアメリカで50.7%。ただし米国にはEPAがなく関税5.8%がかかります
  9. 輸入単価は4年で61%上昇(897円/kg → 1,443円/kg)
  10. ベールの重量規格・相場・ロス率に、検証できる出典はありませんでした

仕入れ先を探す前に、そのルートで取引できる状態になっているかを先に確認したほうが、結果的に早いと思います。とくに古物市場は、行商の記載ひとつで入口が閉じます。

仕入れた先の採算——利益率や資金繰りの話は、古着屋は儲かるのかの記事にまとめてあります。粗利率と営業利益率が別物であることを含めて、公的統計で整理しています。

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※本記事の法令・税率・数値は、記載の出典に基づき2026年8月時点で確認したものです。法令はe-Gov法令検索で現行条文を、関税率は税関の実行関税率表(2026年8月8日版)を確認しています。制度・税率・相場は変動しますので、実際の判断にあたっては必ず最新の一次情報をご確認ください。
※法律・税務に関する記述は条文および公表資料に基づく整理であり、個別事案についての助言ではありません。古物営業法の手続きは所轄の警察署(生活安全担当課)、関税・輸入手続きは税関、消費税の取扱いは税務署または税理士にご確認ください。

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