地元に帰りたいのは甘え?東京を出る20〜34歳は年7.5万人、帰るとお金と時間はどう変わるか(計算機つき)

地元に帰りたいのは甘え?お金・仕事・通勤を比較:東京のビル街と地元の街並みのあいだで迷う会社員 生き方・キャリア

「地元に帰りたい」で調べて来られた方に、先に結論を書きます。

地元に帰りたいと思っている人は、少なくありません。内閣官房の調査(2024年秋)では、東京圏に住む20代の40.3%が地方への移住に関心があり、東京圏の外の出身者では47.8%でした。実際に東京を出る人も多く、2025年に東京圏の外から東京都に移ってきた20〜34歳13万8,962人に対し、同じ年齢で東京都から東京圏の外へ出た人は7万5,454人で、5割強に当たる数です(日本人、総務省の住民基本台帳人口移動報告。入ってくる人と出ていく人は別の人で、何人が地元に帰ったのかは分かりません)。30〜34歳では、入ってくる人と出ていく人がほぼ同じ数です。ただ、出ていく人の数はコロナの時期の2021年に増えたあと毎年減っていて、2025年は2012年以降で一番少なくなっています。お金で見ると、帰ると額面の給料は下がり、家賃も下がります。20〜29㎡の部屋に住む前提で、額面の年収の目安の差から家賃の差を引いた機械的な参考値では、地元のほうが多く残るのは、東京圏の外の43道府県のうち、20〜24歳で20、25〜29歳で愛知県だけ、30〜34歳ではゼロでした(引っ越したあとに実際に手元に残る金額ではありません)。実家に住んで家賃がかからないなら、25〜29歳でも20の道府県で地元のほうが多く残ります。通勤時間は、東京都の片道43.7分に対し、東京圏の外の43道府県のうち40が30分未満です。私は、都落ちするから不幸になるのではなく、どの因数が自分に効いているかを見極めることが大事だと考えています。帰るなら、地元そのものより、その地域で一番勢いのある都市から考えることを勧めます。地元と年齢を選んで比べる計算機を9章に置きました。

知りたいこと 答え 章
地元に帰りたい人はどれくらいいるか 東京圏に住む20代の40.3%が地方移住に関心(東京圏の外の出身者は47.8%)。ただし関心はコロナの時期より少し下がった 2章
実際に東京を出ている人は何人か 2025年、東京都から東京圏の外へ出た20〜34歳は7万5,454人。東京圏の外から入ってきた同じ年齢の人の5割強 3章
増えているのか 東京都から東京圏の外への転出は減っている(2021年16万8,648人→2025年15万3,010人)。Uターンだけの増減は分からない 3章
地元に帰りたいのは甘えか 統計では決められない。30〜34歳では東京都を出る人と入ってくる人がほぼ同じ数だが、何人が地元に帰ったかは分からない 4章
帰るとお金はどうなるか 地元のほうが多く残るのは、43道府県のうち20〜24歳で20、25〜29歳で愛知県だけ(実家なら20)、30〜34歳でゼロ(額面の平均を足し引きした機械的な参考値) 5章
地元(田舎)に仕事はないのか 働く場所で数えた有効求人倍率は東京都1.07倍、全国1.18倍。ほかの46道府県のうち39で東京都より高い。希望の職種や正社員の求人は別に確かめる必要がある 6章
時間はどうなるか 通勤時間(片道の中央値)は東京都43.7分。東京圏の外の43道府県のうち40は30分未満 7章
どこに帰るか 地元そのものより、その地域で一番勢いのある都市から考える 8章

1. 先に、立場を書きます

この記事は、地方から東京に出てきて、地元に帰ろうか迷っている学生や会社員に向けて書いています。数字は内閣官房・内閣府・総務省・厚生労働省・東京都の公的な統計から取っています。民間の調査は、内閣府の報告書が引用しているものだけを、そう書いて使います。

私自身は地方出身ではありません。イギリスで生まれ、関東で育ち、東京の月島では親が買った家に20年住みました。家賃は払っていません。そのあと横浜市の東戸塚と千葉市の海浜幕張で家賃を払って住み、これから関東を出て名古屋に引っ越すことを決めています。地方の暮らしについて書けるのは、中学の3年間を木更津の寮で、高校の3年間を土浦で過ごしたことと、店舗せどりで北海道と四国以外のほぼ全国を車で回ったことからです。

この記事を作るにあたって、次の問いに答えました。

私の見立て 若い人が毎年入ってくると同時に、都会に疲れて都落ちする人も毎年かなりいるのでは。今は東京の家賃がインフレしていて、郊外から会社や学校に通うことになり、それがQOLの低下に拍車をかける。疲弊の速度が加速して、もう地元に帰ろう、Uターン就職しようと考える人が増えているのでは
帰る場所の選び方 まず地域で一番勢いのある場所に、ワンルームでもいいので引っ越す(九州なら福岡、難しければ熊本、それも難しければ自分の市か隣の市で一番強い所)。家賃はそこまで変わらないはず。そこで水準が上がり、稼げる・成長できたら、もっと都会へ
都会に住む意味 人生で一度は都会に住む価値がある(特に若いとき。人との出会いや刺激で感性が影響を受ける)。ただし競争が激しく毒もあるので、強い成長意欲がある人に限られる

1つ目の見立てを統計で確かめたところ、当たっている部分と、外れている部分がありました。3章で書きます。2つ目の「家賃はそこまで変わらないはず」は8章で確かめます。

2. 地元に帰りたい人は、どれくらいいるか

内閣官房が2024年9〜10月に行った「東京圏に在住する若年層の移動に関する意識調査」では、東京圏に住む20代2,622人のうち40.3%が、地方への移住に「関心がある」(強い関心とやや関心の合計)と答えました。東京圏の外の出身者では47.8%で、半分近くになります。

ただし、この1年半で関心が「高くなった」人は17.3%で、「低くなった」人の23.7%より少ない結果でした。2026年3月に出た同じ調査の報告書でも、新型コロナウイルスの5類移行などを経て、東京圏に住む20代の地方移住への関心は若干下がったとまとめられています。

一方で、まだ働いていない大学生では、地元に戻って働きたい人の割合が上がっています。内閣府の「地域課題分析レポート(2024年秋号)」は、マイナビの「2025年卒大学生Uターン・地元就職に関する調査」(マイナビに登録した大学生・大学院生)を引いて、出身高校のある地域の外へ進学した人のうち、一番就職したい地域が出身高校のある地域と同じ人の割合が、2025年卒では2020年卒と比べてすべての地域で上がり、東海と九州の出身者では50%を超えたと書いています。年ごとに調べた学生は別の人で、実際にUターンで就職した人の数でもありません。

3. 実際に、どれくらいの人が東京を出ているか

総務省の住民基本台帳人口移動報告(2025年、日本人)から、東京都と東京圏の外(埼玉・千葉・神奈川以外の道府県)との間の移動を、年齢別に見ます。

年齢 東京圏の外から東京都へ 東京都から東京圏の外へ 出ていく人÷入ってくる人
20〜24歳 72,862人 25,391人 35%
25〜29歳 44,365人 30,237人 68%
30〜34歳 21,735人 19,826人 91%
35〜39歳 12,699人 13,107人 103%
全年齢 217,640人 153,010人 70%

20代前半は入ってくる人が多く、年齢が上がるほど出ていく人の割合が増えて、30代後半では出ていく人のほうが多くなります。入ってくる人と出ていく人は別の人なので、上京した人の何割が帰ったかを示す数字ではありません。出ていく人が地元に帰ったのかどうかも、引っ越しの理由(転勤・転職・結婚・進学なのか、疲れて帰るのか)も、この統計では分かりません。言えるのは、毎年かなりの人が東京都から東京圏の外へ移っていることまでです。

では、出ていく人は増えているのか。同じ報告の長期の表で、年ごとの数を見ます。

年 東京都から東京圏の外へ 東京圏から東京圏の外へ 東京都が埼玉・千葉・神奈川から得た人数(差し引き)
2012年 171,840人 389,535人 +14,516人
2019年 157,539人 352,084人 +3,340人
2021年 168,648人 366,367人 −35,281人
2023年 160,019人 353,262人 −10,227人
2024年 155,746人 343,051人 +484人
2025年 153,010人 337,730人 +967人

東京都から東京圏の外へ出る人は、コロナの時期の2021年に増えたあと毎年減っていて、2025年は2012年以降で一番少ない数でした。東京圏全体から外へ出る人も同じです。疲れて帰る人が増えているという見立ては、実際の引っ越しの数では確かめられませんでした(Uターンだけの数は、この統計からは取り出せません)。

当たっていたのは、家賃と郊外の部分です。東京都区部の民営家賃は、消費者物価指数で9月の前年同月比が、2024年0.7%、2025年1.7%、2026年2.2%と、上がり方が速くなっています(2024・2025年は2020年基準、2026年は2025年基準の数字)。ただし、消費者物価指数の民営家賃は、今借りている人の家賃も含めた値上がりで、新しく募集される部屋の家賃の上がり方ではありません。郊外との間では、2025年に東京都から埼玉・千葉・神奈川へ出た人が入ってきた人を上回ったのは、30〜34歳(差し引き1,305人)、35〜39歳(1,625人)と0〜4歳(1,188人)で、子育て世帯が郊外へ移っていることと合う形です。ただし年齢ごとの統計なので、世帯ごとの移動までは確かめられません。2012年には東京都が3県から差し引きで1万4,516人を集めていましたが、2024〜2025年は500〜1,000人ほどで、東京都が郊外から人を集める力は弱くなっています。ただし、その原因が家賃なのかまでは、この統計からは言えません。

4. 地元に帰りたいのは、甘えか

甘えかどうかは、統計では決められません。数字で言えるのは、2025年に東京都から東京圏の外へ移った30〜34歳が1万9,826人で、同じ年齢で東京圏の外から入ってきた人(2万1,735人)とほぼ同じ数だったことです。ただ、そのうち何人が地元に帰ったのかは分かりません。

私自身、20代から30代前半にかけて、「努力できないのは甘え」と本気で思っていました。実際には、住む家に困らないという土台があったから安心して長い目でビジネスができ、若いうちに努力が報われる経験ができたので、努力を信じられていただけでした。

上京して「高いお金を払っている割に、得られるものが浅い」と感じだしたなら、私は、今の短期的なしんどさは、古い世界への違和感や合っていないことを知らせる信号で、広い視野で世界に向き合う機会だと考えています。世間から見れば、私も都落ち、関東落ちする人です。しかし私から見れば、関東にしがみついて、仕事のために住みたくもない家や待遇に甘んじているほうが、よほど不幸です。都落ちするから不幸になるのではなく、どの因数が自分に効いているかを見極めることが大事だと考えています。

5. 帰ると、お金はどう変わるか

厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和7年)の都道府県別の数字で、年齢ごとの年収の目安(毎月のきまって支給する給与×12+前の年の賞与)を出し、総務省の住宅・土地統計調査(2023年)の20〜29㎡の借家の平均家賃と並べました。年収は10人以上の会社で働くフルタイムの人(正社員以外も含む)の平均で、働いている事業所の所在地で集計されています。家賃は管理費を除き、公営住宅なども含む借家の平均です。

地元 20〜29㎡の家賃(月) 年収の目安 20〜24歳 25〜29歳 30〜34歳
東京(家賃は23区、年収は東京都) 75,264円 388.2万円 500.2万円 605.3万円
北海道 38,330円 334.2万円 398.9万円 432.4万円
宮城県 45,117円 349.2万円 424.6万円 459.7万円
新潟県 38,950円 336.6万円 397.2万円 431.3万円
長野県 38,614円 350.5万円 428.1万円 453.1万円
静岡県 41,659円 356.6万円 418.6万円 477.9万円
愛知県 46,258円 381.6万円 466.8万円 512.1万円
大阪府 51,264円 360.6万円 446.4万円 494.8万円
広島県 42,966円 355.8万円 420.8万円 478.5万円
福岡県 43,719円 359.8万円 424.1万円 464.4万円
熊本県 38,004円 327.1万円 397.4万円 421.3万円
沖縄県 43,200円 303.4万円 356.2万円 391.6万円

東京から地元に帰ったときの、年収の目安(額面)の差から、20〜29㎡の家賃の差(年)を引いた機械的な参考値です。引っ越したあとに実際に手元に残る金額ではありません。プラスは地元のほうが多く残る、マイナスは東京のほうが多く残るという意味です。

地元 20〜24歳 25〜29歳 30〜34歳
北海道 −9.7万円 −57.0万円 −128.6万円
宮城県 −2.8万円 −39.4万円 −109.4万円
長野県 +6.3万円 −28.1万円 −108.2万円
静岡県 +8.7万円 −41.3万円 −87.1万円
愛知県 +28.2万円 +1.4万円 −58.4万円
大阪府 +1.2万円 −25.0万円 −81.7万円
広島県 +6.4万円 −40.6万円 −88.0万円
福岡県 +9.5万円 −38.2万円 −103.0万円
熊本県 −16.4万円 −58.1万円 −139.3万円

東京圏の外の43道府県で数えると、地元のほうが多く残るのは、20〜24歳で20、25〜29歳で1(愛知県)、30〜34歳でゼロでした。実家に住んで家賃がかからない場合(地元の家賃を0円として計算)は、20〜24歳で43すべて、25〜29歳で20、30〜34歳でゼロです。お金だけで見ると、地元のほうが多く残る道府県は、20〜24歳で半分近く(実家なら全部)、25〜29歳では実家に住む場合に半分近くあり、30〜34歳では実家に住んでも、どの道府県でも東京のほうが平均では多く残る計算です。

読むときに気をつけてほしい点があります。給料は「その都道府県で働く人」の2025年の平均、家賃は「その都道府県の借家に住む人」の2023年の平均で、比べている人の集まりが違います。都道府県の平均には、どんな会社や仕事が多いかの違いが入っていて、同じ人が引っ越したときの給料の変化ではありません。給料は額面なので、手取りで比べると差は小さくなります。東京は、家賃が23区、年収が東京都全体の数字で、範囲もそろっていません。実家に住むときに家に入れるお金は、ここには入れていません(家に入れるお金はこどおじの記事で実額で検証しました)。また、30代の東京の平均が高いのは別の人たちの平均で、20代に東京で働いた人が30代で給料が上がるかどうかは、この統計からは分かりません。

6. 地元(田舎)に仕事はないのか

「地元に帰りたいけど仕事がない」「田舎にはろくな仕事がない」という悩みを、厚生労働省の一般職業紹介状況(2026年8月、季節調整値)の有効求人倍率で見ます。ハローワークに出た求人の数を、仕事を探している人の数で割った値で、1倍を超えると求人のほうが多い状態です。仕事をする場所の都道府県で数えた「就業地別」の数字です。

都道府県 有効求人倍率(就業地別)
東京都 1.07倍
全国 1.18倍
福井県(最も高い) 1.72倍
香川県 1.53倍
長野県 1.43倍
新潟県 1.40倍
熊本県 1.31倍
広島県 1.29倍
静岡県 1.20倍
愛知県 1.18倍
宮城県 1.14倍
北海道 0.98倍
福岡県 0.97倍
大阪府(最も低い) 0.95倍

仕事の数で見れば、東京都より求人倍率が高いのは、ほかの46道府県のうち39でした。東京都は、求人を出した場所で数える「受理地別」では1.70倍と全国で最も高くなりますが、これは本社などが東京でまとめて求人を出すことが多いためで、実際に働く場所で数えると1.07倍です。ただし、この数字にはパートタイムも入っていて、職種の内訳も地域で違います。全国の正社員の有効求人倍率は1.00倍で、全体の1.18倍より低くなります。求人倍率は求人の数と仕事を探す人の数の比で、希望する職種や正社員の求人、給料の条件に合う仕事があるかは、別に確かめる必要があります。給料の水準が東京より低いことは、5章のとおりです。

「田舎にはろくな仕事がない」を数字に分けると、求人の数では、地方のほうが東京都より求人倍率の高い県が多くあります。違いが大きいのは給料の水準で、25〜29歳の年収の目安は、東京圏の外の43道府県のうち愛知県を除く42で、東京都より50万円以上低くなっています(5章)。仕事の数よりも、給料と、希望する職種や正社員の求人があるかどうかが、地方で「ろくな仕事がない」と感じる中身だと数字からは読めます。どの職種の求人がどれだけあるかは、ハローワークインターネットサービスで、勤務地を地元にして求人を検索すると確かめられます。

7. 帰ると、時間はどう変わるか

総務省の住宅・土地統計調査(2023年)から、家計を主に支える人が雇われて働いている世帯の、片道の通勤時間の中央値です。

地域 通勤時間の中央値(片道) 1時間以上かかる人の割合
東京都 43.7分 23.3%
東京23区 41.9分 17.0%
北海道 20.2分 4.2%
宮城県 26.4分 8.3%
新潟県 20.8分 3.8%
愛知県 29.0分 12.3%
大阪府 36.2分 18.2%
広島県 25.5分 7.8%
福岡県 26.8分 9.8%
熊本県 21.9分 5.4%
沖縄県 22.9分 4.8%
全国 28.1分 15.2%

東京都の43.7分に対し、北海道や熊本県は20分台前半で、東京圏の外の43道府県のうち40が30分未満でした。仮に片道が20分短くなり、年240日出勤するなら、年160時間になります。ただし、これは地域ごとの中央値の差で、同じ人が引っ越したときに通勤がどれだけ短くなるかではありません。5章のお金の差と、この時間の差をどう比べるかは、人によって違います。海外の研究では、通勤が長いほど生活の満足度が下がり、給料で埋め合わされていないという結果があり、東京の家賃は高すぎる?の記事で詳しく書きました。

8. 地元そのものより、地域で一番勢いのある都市へ

帰ると決めたときに、地元そのものに戻る前に考えてほしいのが、その地域で一番勢いのある都市に、ワンルームでもいいので移るという段階の踏み方です。九州の例で、福岡市と熊本市を並べます。家賃と通勤時間は市の数字、年収の目安と有効求人倍率は市の数字がないので県の数字です。

東京23区 福岡市 熊本市
20〜29㎡の家賃(月) 75,264円 46,656円 39,211円
年収の目安(25〜29歳、県) 500.2万円(東京都) 424.1万円(福岡県) 397.4万円(熊本県)
有効求人倍率(就業地別、県) 1.07倍(東京都) 0.97倍(福岡県) 1.31倍(熊本県)
通勤時間(片道の中央値) 41.9分 28.6分 24.5分

福岡市と熊本市の20〜29㎡の家賃の差は月7,445円で、東京23区と熊本市の差(月3万6,053円)の約5分の1です。年収の目安は、25〜29歳で福岡県が熊本県より26.7万円高く、年収の目安の差から家賃の差を引いた参考値では、福岡市のほうが年17.8万円多く残る計算です。県の平均年収と市の平均家賃を組み合わせた仮の比べで、福岡市と熊本市で実際に働いたときの差ではありません。「家賃はそこまで変わらないはず」という私の見立ては、九州のこの例の家賃では数字と合っていました。ほかの地域でも同じとは限らないので、9章の計算機で自分の地元と、その地域の中心の都市を比べてみてください。

私は、そこで水準が上がって稼げるようになったり、成長できたりしたら、もっと都会へ移ればいいと考えています。この段階の踏み方は、田舎生まれのハンデの記事でも書いています。

9. 計算機:地元に帰ると、お金と時間はどう変わるか

地元と今住んでいる所(都道府県か政令指定都市)、年齢、部屋の広さを選ぶと、家賃の差、年収の目安の差、その差し引きの参考値、有効求人倍率、通勤時間を並べます。地元で実家に住むなら、地元で払う家賃に0を入れてください。東京圏の外が地元なら、2025年にその道府県と東京圏の間で移動した人数も出します。

地元に帰ると、お金と時間はどう変わるか

入れた数字は、このページの中で計算に使うだけで、どこにも送られません。

10. よくある質問

地元に帰りたいのは甘えですか?

甘えかどうかは、統計では決められません。2025年に東京都と東京圏の外を行き来した30〜34歳は、入ってくる人と出ていく人がほぼ同じ数でした(何人が地元に帰ったかは分かりません)。私は、都落ちするから不幸になるのではなく、どの因数が自分に効いているかを見極めることが大事だと考えています(3章・4章)。

30代で地元に帰るのは逃げですか?

30代は、東京都に入ってくる人に対して、東京圏の外へ出ていく人の割合が高くなる年代です(出ていく人数そのものは20代後半のほうが多い)。30〜34歳では入ってくる人と出ていく人がほぼ同じで、35〜39歳では出ていく人のほうが多くなります。何人が地元に帰ったかは分かりません。一方で、お金だけで見ると、30〜34歳では実家に住んでも東京に残るほうが平均では多く残ります(5章)。

地元に帰りたいけど仕事がありません。

働く場所で数えた有効求人倍率は、東京都1.07倍に対し、全国1.18倍で、地方のほうが高い県が多くあります。ただし、給料の水準は東京より低く、25〜29歳の年収の目安は、東京圏の外の43道府県のうち愛知県を除く42で、東京都より50万円以上低くなっています。希望する職種の正社員の求人があるかは、別に確かめる必要があります(5章・6章)。

田舎にはろくな仕事がないのは本当ですか?

仕事の数だけで見ると、本当ではありません。働く場所で数えた有効求人倍率は、東京都の1.07倍より高い道府県が46のうち39ありました。一方で、給料の水準は東京都より低い道府県がほとんどで、パートを含む求人倍率なので、正社員の求人や希望する職種の求人が多いとは限りません。「ろくな仕事」が給料や職種のことなら、その差は数字にも出ています(5章・6章)。

地元に帰る人は増えていますか?

東京都から東京圏の外への引っ越しの数は、増えていません。東京都から東京圏の外への転出は、2021年の16万8,648人から2025年の15万3,010人へ減っています。東京圏に住む20代の地方移住への関心も、コロナの時期より少し下がりました。Uターンだけの数は統計から取り出せません。割合が上がっているのは、出身地の外へ進学した大学生のUターン就職の希望です(2章・3章)。

地元に帰るなら、早いほうがいいですか?

お金だけで見ると、地元のほうが多く残る道府県は、年齢が上がるほど減ります(東京圏の外の43道府県のうち、20〜24歳で20、25〜29歳で1、30〜34歳で0)。ただし、これは年齢ごとの別の人たちの平均で、東京で働いた人が年を取ってから帰ったときの給料は分かりません。私は、人生で一度は都会に住む価値があり、特に若いときは人との出会いや刺激で感性が影響を受けると考えていますが、それは強い成長意欲がある人に限られます(5章)。

11. まとめ

  • 東京圏に住む20代の40.3%が地方移住に関心があり、東京圏の外の出身者では47.8%(内閣官房、2024年秋)
  • 2025年、東京都から東京圏の外へ出た20〜34歳は7万5,454人で、東京圏の外から入ってきた同じ年齢の人の5割強に当たる数。30〜34歳では出入りがほぼ同じ数(何人が地元に帰ったかは分からない)
  • ただし、出ていく人はコロナの時期の2021年から毎年減り、2025年は2012年以降で最少。割合が上がっているのは、出身地の外へ進学した大学生のUターン就職の希望
  • 東京都区部の民営家賃の上がり方は速くなっていて(9月の前年同月比 2024年0.7%→2026年2.2%)、30代と0〜4歳は東京都から近くの3県へ出る人のほうが多い
  • お金で見ると、地元のほうが多く残るのは20〜24歳で20道府県、25〜29歳で1、30〜34歳でゼロ。実家なら25〜29歳でも20道府県(額面の平均を足し引きした機械的な参考値)
  • 働く場所で数えた有効求人倍率は東京都1.07倍で、ほかの46道府県のうち39で東京都より高い。通勤時間は東京都43.7分、東京圏の外の43道府県のうち40が30分未満
  • 甘えかどうかは統計では決められない。私は、都落ちするから不幸になるのではなく、どの因数が自分に効いているかを見極めることが大事だと考える
  • 帰るなら、地元そのものより、その地域で一番勢いのある都市から考える。九州の例では、福岡市と熊本市の家賃の差は月7,445円で、東京23区と熊本市の差の約5分の1

12. 出典

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