行商従業者証とは?作り方と書き方(大きさ・写真・裏面)、古物商本人は許可証を持つ理由(出張買取の判定ツールつき)

行商従業者証の作り方と書き方。表面は「行商従業者証」・氏名・生年月日・写真(縦2.5cm以上・横2.0cm以上)、裏面は古物商の氏名又は名称・住所又は居所・許可証番号・主として取り扱う古物の区分。縦5.5cm・横8.5cm・プラスチック。出張買取で本人が行くなら許可証、従業者が行くなら行商従業者証、客の家以外で受け取る・屋号やロゴを入れるのは×(古物営業法11条・14条、施行規則10条・13条) 古物商・古物市場・卸

「行商従業者証」で調べて来られた方に、先に結論を書きます。

行商従業者証は、古物商が、代理人・使用人その他の従業者(代理人等)に行商をさせるときに持たせる証明書です(古物営業法11条2項)。古物商本人が行商をするときに持つのは、行商従業者証ではなく許可証です(11条1項)。岡山県警察は、個人許可で許可者自身が行商に従事する場合は「許可証そのものを携帯する必要があります。」と案内しています。どちらも、取引の相手方から求められたら見せます(11条3項)。許可証を持たない、従業者に行商従業者証を持たせないと、10万円以下の罰金の対象です(35条2号)。

行商は、警察庁の解釈運用基準で「古物商が営業所以外の場所で行う古物の取引」とされ、取引の相手方の住所又は居所での売買、古物市場での古物商間の取引、展示即売会、仮設店舗での売買が例に挙がっています。客の自宅へ行って買い取る出張買取は、1つ目の例に当たると読めます。

様式は古物営業法施行規則10条の別記様式第12号です。縦5.5cm・横8.5cm(様式の図示の長さ)、材質はプラスチック又はこれと同程度以上の耐久性を有するもの。表に行商をする人の氏名・生年月日・写真(縦2.5cm以上・横2.0cm以上)、裏に古物商の氏名又は名称・住所又は居所・許可証番号・主として取り扱う古物の区分を書きます(警視庁・大阪府警察の案内)。警察が作って渡すと書いた公式の資料は見つからず、大阪府警察・愛知県警察は「許可証をよく確認して間違いのないように作成してください。」と案内しています。

私は古物商許可を約20年持っていて、出張買取は自分で行っていました。本人が行くので持つのは許可証で、行商従業者証は作ったことがありません。この記事では、従業者に行商をさせるときに要ることを、法令と警察の案内で確かめられた範囲で並べます。

知りたいこと 答え 章
行商従業者証とは? 古物商が、行商をさせる代理人等(代理人、使用人その他の従業者)に持たせる証明書(11条2項) 2章
本人も要る? 本人が持つのは許可証(11条1項)。個人許可の本人は許可証そのもの(岡山県警察)。法人の代表者・役員の扱いは未確認 2章
出張買取は行商? 行商は営業所以外の場所で行う古物の取引。相手方の住所又は居所での売買が例に挙がっていて、出張買取はこれに当たると読める 3章
客の家以外で買い取っていい? 古物商以外の人から受け取れるのは、営業所・相手方の住所又は居所・届け出た仮設店舗だけ(14条1項)。違反は1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の対象 3章
申請で何をする? 許可申請書で行商を「する」にする。あとから始めるなら変更の届出(記載事項に当たるときは許可証の書換え) 4章
大きさ・材質は? 縦5.5cm・横8.5cm(それ以外の大きさの可否は未確認)、プラスチック又はこれと同程度以上の耐久性。写真は縦2.5cm以上・横2.0cm以上。ラミネートした紙の可否は未確認 5章
何を書く? 表に行商をする人の氏名・生年月日・写真、裏に古物商の氏名又は名称・住所又は居所・許可証番号・主として取り扱う古物の区分 6章
誰が作る? 作る人を決めた規定はない。大阪府警察・愛知県警察は古物商に「作成してください」と案内。福島県警察は県防犯協会連合会の作成の代行(手数料あり)を案内 7章
持たせないと? 10万円以下の罰金の対象(35条2号)。見せなかったことの罰則の条文はない 8章
自分の場合 誰が何を持つか、カードの文字、様式、罰則を計算機で確かめる 10章
項目 私の場合
古物商許可 持っている(約20年。個人で取得)
出張買取 自分で行っていた。客から問い合わせがあったときだけで、主に家電・本・ゲームなど
行商従業者証 作ったことがない
この記事で売っているもの ありません。紹介リンクもありません

1. 先に、この記事の資料について

この記事は、次の資料だけで書いています。

  • 法令(e-Gov 法令検索・法令API):古物営業法と古物営業法施行規則。どちらも2026年10月29日時点の現行のものです
  • 警察庁:古物営業法等の解釈運用基準(令和8年5月14日)
  • 都道府県警察:警視庁、大阪府警察、愛知県警察、岡山県警察、島根県警察、和歌山県警察、静岡県警察、福島県警察、神奈川県警察の案内

行政書士事務所のページ、カードを作る店のページ、個人のブログは、出典にも数字の参考にもしていません。別記様式第12号の原本は図のファイルで、この記事では中身を読み取れなかったので、大きさ・材質・写真・欄の名前は、様式を書き写している警視庁・大阪府警察などの案内で確かめました。条文や案内を組み合わせて読んだところは「当てはめ」、公式の資料で確かめられなかったところは「未確認」と書きます。

2. 行商従業者証とは:本人は許可証、従業者は行商従業者証

2-1. 11条1項と2項で、持つものが分かれる

古物営業法11条1項は「古物商は、行商をし、又は競り売りをするときは、許可証を携帯していなければならない。」と定めています。2項は、古物商が「その代理人、使用人その他の従業者(以下「代理人等」という。)に行商をさせるときは、当該代理人等に、国家公安委員会規則で定める様式の行商従業者証を携帯させなければならない。」としています。

つまり、古物商本人が行くなら許可証、代理人・使用人その他の従業者に行商をさせるなら行商従業者証です。法人の役員や業務委託の人がどれに当たるかは未確認です(2-4)。2項の義務を負うのは、持たせる側の古物商です。岡山県警察は「個人許可の場合で、許可者自身が行商に従事する場合は、」「許可証そのものを携帯する必要があります。」と案内しています。

行商従業者証は持ち歩くもので、営業所に掲げる標識(プレート、12条)とは別のものです。行商をする古物商も、営業所の標識は掲げます。標識の様式と書き方は古物商のプレート(標識)は自作でいい?大きさ・色・材質と3段の書き方、紙や屋号がだめな理由(判定ツールつき)にまとめました。

2-2. 求められたら見せる

11条3項は「古物商又はその代理人等は、行商をする場合において、取引の相手方から許可証又は前項の行商従業者証の提示を求められたときは、これを提示しなければならない。」と定めています。持っているだけでなく、相手方に見せられる状態にしておくものです。

2-3. 競り売りのとき

1項は、行商のほかに競り売りのときも許可証を持つと定めています。一方、2項の行商従業者証は「行商をさせるとき」だけで、競り売りは書かれていません。代理人等が競り売りをするときに何を持つかを書いた公式の資料は、この記事では見つかりませんでした(未確認)。

2-4. 法人の代表者・役員、家族、業務委託の人の場合(要確認)

法人で許可を受けた場合に、代表者が行商をするときに許可証を持つのか、行商従業者証を持つのか、代表者以外の役員が「代理人等」に当たるのかを書いた公式の資料は、この記事では見つかりませんでした(未確認)。岡山県警察の「許可証そのもの」の案内は「個人許可の場合」と限っています。法人で行商をするときは、主たる営業所を管轄する警察署で確かめてください。

家族や業務委託の人も、家族であること、委託であることだけでは決まりません。古物商の営業として、代理人・使用人その他の従業者に行商をさせるなら、行商従業者証を持たせます(11条2項)。どれに当たるかを書いた公式の資料は見つからなかったので、主たる営業所を管轄する警察署で確かめてください。

3. 「行商」とは:出張買取・古物市場・催事

3-1. 営業所以外の場所で行う古物の取引

古物営業法に「行商とは〜をいう」という定義の条文はありません。許可申請書の記載事項(5条1項5号)に、仮設店舗を出すことを含む形で「行商」が出てきて、その意味を警察庁の解釈運用基準(第5の3(1))が次のように説明しています。

  • 5条1項5号の「行商」を、「古物商が営業所以外の場所で行う古物の取引をいう。」としています
  • 例として、1つ目に「自動車のセールスマン等が取引の相手方の住所又は居所において行う古物の売買」、2つ目に「古物市場において古物商間で行う古物の取引」、3つ目に「いわゆる展示即売会における古物の売却」、4つ目に「仮設店舗における古物の売買」を挙げ、これらの「等は全て行商に含まれる。」と書いています

解釈運用基準に「出張」という言葉は出てきませんが、客の自宅へ行って買い取る出張買取は、1つ目の例の「取引の相手方の住所又は居所において行う古物の売買」に当たると読めます(当てはめ)。福島県警察も「自動車等の訪問セールスも行商になります。」と案内しています。古物市場へ仕入れに行くのも、2つ目の例で行商です。

店舗を持たずに行商だけをする古物商については、解釈運用基準は、住所又は居所を営業所とみなすとしています(第5の1(1))。

3-2. 出張買取で受け取れる場所:客の自宅

古物営業法14条1項は、古物商は「その営業所又は取引の相手方の住所若しくは居所以外の場所において」、買い受けるためなどに「古物商以外の者から古物を受け取つてはならない。」と定めています(仮設店舗で、あらかじめ日時と場所を届け出たときは別)。違反は「一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金」の対象です(32条)。

客の自宅(取引の相手方の住所又は居所)は受け取ってよい場所です。客の自宅以外、たとえば喫茶店・駅・駐車場で待ち合わせて受け取ることは、条文の文言ではどの場所にも当たりません(当てはめ)。具体例を挙げた公式の資料は見つかりませんでしたが、静岡県警察も「営業所、相手の住所や居所、」「予め届出した仮設店舗以外の場所で」「古物を買い取ってはいけない。」と案内しています。

出張先で買い取るときも、相手方の確認(15条1項)と帳簿への記載(16条)の決まりは、営業所で買い取るときと同じです。買い取る場所で義務は変わりません。ただし、15条2項は「前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、同項に規定する措置をとることを要しない。」とし、1号に「対価の総額が国家公安委員会規則で定める金額未満である取引をする場合(特に前項に規定する措置をとる必要があるものとして国家公安委員会規則で定める古物に係る取引をする場合を除く。)」、2号に「自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受ける場合」を挙げています。1号の金額は、施行規則16条1項で「…金額は、一万円とする。」とされています。1万円未満でも確認が要る古物として、施行規則16条2項は次の7つを定めています。

  • 自動二輪車及び原動機付自転車(これらの部分品を含む。ねじ、ボルト、ナット、コードその他の汎用性の部分品を除く)
  • エアコンディショナーの室外ユニット及び電気温水機器のヒートポンプ
  • 専ら家庭用コンピュータゲームに用いられるプログラムを記録した物(家庭用ゲームソフト)
  • 光学的方法により音又は影像を記録した物(CD・DVDなど)
  • 電線
  • グレーチング(金属製のものに限る)
  • 書籍

確認が要らない取引は、帳簿への記載も要りません(16条ただし書「ただし、前条第二項各号に掲げる場合及び当該記載又は記録の必要のないものとして国家公安委員会規則で定める古物を引き渡した場合は、この限りでない。」)。私が出張買取で扱っていた本と、ゲームのうちソフトは、この7つの「書籍」と家庭用ゲームソフトに当たるので、1万円未満でも確認と帳簿の記載が要る品目です。帳簿の付け方は古物台帳の書き方と記入例|ゲームソフトは1万円未満でも必要、本体は不要な理由(判定ツールつき)に書きました。

出張買取は、古物営業法の行商とは別に、特定商取引法の訪問購入にも当たることがあります。売る側から見た決まり(勧誘の制限やクーリング・オフ)は出張買取は危険?押し買いの手口と、クーリング・オフ8日・物を渡さなくてよい決まり(計算機つき)に、出張買取の広告の決まりは買取の集客方法|チラシ・ポスティング・ホームページを1件の費用で比べる。出張買取の広告の決まり(計算機つき)にまとめています。

3-3. 催事・仮設店舗

催事場のブースなどの仮設店舗で一般の人から買い取るときは、14条1項ただし書の「仮設店舗において古物営業を営む場合において、あらかじめ、その日時及び場所を、その場所を管轄する公安委員会に届け出たときは、この限りでない。」に当たるよう、日時と場所を届け出ます。届出は、仮設店舗で営業を営む日から3日前までに、仮設店舗営業届出書(施行規則14条の2・別記様式第14号の2)で出します。どこまで細かく書くか(営業時間・建物の階など)は、届け出る警察署で確かめてください。古物を受け取らない(売るだけの)仮設店舗は届出は要りませんが、行商に当たるので、許可証又は行商従業者証の携帯や標識の掲示が要ると解釈運用基準(第13の3)は書いています。

なお、解釈運用基準のこの箇所と静岡県警察の資料は「行商従事者証」と書いていますが、法令での名前は「行商従業者証」です。

4. 許可申請で行商を「する」にする:あとから始めるときの変更の届出

許可申請書には「行商(仮設店舗…を出すことを含む。…)をしようとする者であるかどうかの別」を書きます(古物営業法5条1項5号)。申請書の欄で「する」「しない」を選ぶ形で(神奈川県警察の記載例)、許可証にも行商の「する・しない」の欄があります(島根県警察の手引きにある許可証の様式の図)。これは申請書の記載事項なので、出張買取や古物市場での取引をするなら「する」にします。申請の流れと費用は古物商許可はせどりに必要か|3条件と、費用19,000円の内訳にまとめています。

「しない」で許可を受けたあとで行商を始めるなら、5条1項5号の事項が変わるので、変更の届出が要ります(7条2項)。期限は変更の日から14日以内(登記事項証明書を添付すべき場合は20日以内。施行規則5条6項)です。届け出る事項が許可証の記載事項に当たるときは、書換えも受けます(7条5項「…当該届出書に係る事項が許可証の記載事項に該当するときは、その書換えを受けなければならない。」)。許可証には行商の欄があり、警視庁は書換えの手数料を1,500円と案内しています。届出をしないと10万円以下の罰金の対象です(35条1号)。手続の詳しいところは古物商の変更届|何が変わったら何を出すか。期限は3日前・14日・20日、書換えは1,500円(判定ツールつき)に書きました。

「しない」のまま行商を始めた場合も、5条1項5号の事項が変わっているので、期限までに届け出なければ7条2項の違反として35条1号の対象になると読めます(当てはめ)。

5. 様式:大きさ・材質・写真

5-1. 決まりの一覧

施行規則10条は、行商従業者証の様式を「別記様式第十二号又は第十二条第一項の規定による承認を受けた様式とする。」と定めています。警視庁「行商従業者証の様式」は、別記様式第12号の備考を次のように書いています。

項目 決まり 出典
大きさ 「図示の長さは、縦5.5センチメートル、横8.5センチメートル。」 警視庁(大阪府警察も縦5.5cm・横8.5cm)
材質 「材質は、プラスチック又はこれと同程度以上の耐久性を有するもの。」 警視庁
表面の氏名・生年月日 「行商をする代理人等の氏名及び生年月日を記載。」 警視庁
写真 行商をする代理人等の写真「(縦2.5センチメートル以上、横2.0センチメートル以上のもの)」をはり付け 警視庁
裏面 「裏面は、許可内容を記載します。」 大阪府警察

5-2. 大きさに「以上」はない。写真には「以上」がある

カードの大きさは「縦5.5センチメートル、横8.5センチメートル」で、「以上」とは書かれていません。確実に様式どおりにするなら、縦5.5cm・横8.5cmの横長です。これと違う大きさでよいかを書いた公式の資料は、この記事では見つかりませんでした(未確認)。写真は「縦2.5センチメートル以上、横2.0センチメートル以上」で、こちらは「以上」です。

5-3. 材質:プラスチック又はこれと同程度以上の耐久性

材質は「プラスチック又はこれと同程度以上の耐久性を有するもの」です。基準は加工の方法ではなく、この耐久性があるかどうかです。紙は、プラスチックと同程度以上の耐久性があるとは読めません(当てはめ)。紙に印刷してラミネートしたものがこれに当たるかを書いた公式の資料は、この記事では見つかりませんでした(未確認)。確実に様式どおりにするなら、プラスチックのカードです。

5-4. 標識(プレート)との違い

項目 行商従業者証 標識(プレート)
根拠 11条2項、施行規則10条(別記様式第12号) 12条1項、施行規則11条(別記様式第13号)
使い方 行商をする人が持ち歩く 営業所・仮設店舗ごとに掲げる
大きさ 縦5.5cm・横8.5cm 縦8cm・横16cm
材質 プラスチック又はこれと同程度以上の耐久性 金属、プラスチック又はこれらと同程度以上の耐久性
色 警視庁の備考に色の項目はない 紺色地に白文字
写真 行商をする人の写真をはり付ける なし

標識の詳しい様式は古物商のプレート(標識)は自作でいい?大きさ・色・材質と3段の書き方、紙や屋号がだめな理由(判定ツールつき)にあります。

6. 書き方:表面と裏面

6-1. 表面:行商をする人の氏名・生年月日・写真

表面には「氏名」「生年月日」「写真」の欄があり、書くのは行商をする代理人等の氏名と生年月日、はるのはその人の写真です(警視庁)。古物商(社長など)の名前ではありません。愛知県警察は「行商をする当該従業員の氏名及び生年月日を記載してください。」と書いています。

6-2. 裏面:許可の内容

大阪府警察は「裏面は、許可内容を記載します。」とし、欄ごとに次のように案内しています。

欄 書くこと 出典
古物商の氏名又は名称 個人許可の場合は氏名、法人許可の場合は法人の正式名称 大阪府警察・愛知県警察
古物商の住所又は居所 個人許可の場合は許可者の住所、法人許可の場合は法人の住所(「営業所の住所ではありません」) 大阪府警察(愛知県警察は「法人の所在地」)
許可証番号 「公安委員会名」と「許可証番号」 大阪府警察・愛知県警察
主として取り扱う古物の区分 「届け出ている主品目を記載してください。」 大阪府警察・愛知県警察

大阪府警察・愛知県警察は「許可証をよく確認して間違いのないように作成してください。」と書いています。許可証の番号は12桁です(愛知県警察の標識の案内)。許可証に書かれた公安委員会の名前と番号を、1字ずつ写してください。

区分の欄は「届け出ている主品目」で、標識の中段のような「○○商」の書き方を使うかは、行商従業者証の案内には書かれていません。この記事の計算機では、施行規則2条の区分の名前(「道具類」など)で示します。

6-3. 様式にない文字は入れない

施行規則13条は「法第十一条第二項の行商従業者証又は」「法第十二条の標識には、」犯罪の防止又はその被害の迅速な回復に特に資すると認められる場合を除き、決められた文字又は標章以外の文字又は標章を「記載、はり付けその他の方法により表示してはならない。」と定めています。屋号・ロゴ・電話番号・URL、役職名や社員番号は、様式にない文字なので入れないでください(当てはめ)。

7. 誰が作るか:自作・作成の代行・団体の様式

7-1. 作る人を決めた規定はない

施行規則10条が決めているのは様式で、誰が作るかではありません。大阪府警察・愛知県警察は、様式を示したうえで、古物商に向けて「許可証をよく確認して間違いのないように作成してください。」と書いています。愛知県警察は「定めにしたがって作成してしてください。」(原文のまま)とも書いています。警察が行商従業者証を作って渡す、売ると書いた公式の資料は、この記事では見つかりませんでした。

「自作してよい」「自作は不可」とはっきり書いた公式のページもありません。言えるのは、作る人を限る規定はなく、様式(5章・6章)と、様式にない文字を入れない決まり(6-3)を守る、というところまでです。

7-2. 作成の代行

福島県警察は、行商従業者証の説明のあとに「県防犯協会連合会で、作成の代行を受け付けております。」「(手数料あり)」と案内しています。料金や申込みの方法、ほかの都道府県で同じ扱いがあるかは、この記事では確かめていません(未確認)。

7-3. 団体の様式

施行規則10条は、別記様式第12号のほかに、施行規則12条1項の承認を受けた様式も使えるとしています。島根県警察の手引きは、承認されている例として社団法人日本中古自動車販売協会連合会の様式(「くまのマーク入り」)を挙げています。団体の様式は、その団体の構成員である古物商が共通して使うものです。今も承認が続いているかは確かめていません(未確認)。

7-4. 作ったあとの扱い(未確認)

作った行商従業者証を警察に届ける・見せる手続、有効期限、退職したときや失くしたときの扱いを書いた公式の資料は、この記事では見つかりませんでした(未確認)。人の入れ替わりがあるときは、営業所を管轄する警察署で確かめてください。

8. 持たせないと:罰則

古物営業法35条は「十万円以下の罰金に処する。」者として、2号に「第八条第一項、第十一条第一項若しくは第二項又は第十二条の規定に違反した者」を挙げています。許可証を持たずに行商をすること(11条1項)も、代理人等に行商従業者証を持たせずに行商をさせること(11条2項)も、この罰則の対象です。38条は「法人の代表者又は法人若しくは人の代理人等が、その法人又は人の業務又は財産に関し、第三十一条から第三十五条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。」と定めています。法人の古物商だけでなく、個人の古物商(「人」)も対象です。従業者などが業務に関して違反したときに古物商にも罰金刑が及びうる、ということで、違反が成り立つかは個別の判断です。

見せなかったこと(11条3項)は、31条から37条までの罰則の条文には挙がっていません。法令違反として、公安委員会の指示(23条)の対象にはなりえます(当てはめ)。

ほかに、行商に関わる罰則は次のとおりです。

  • 営業所・取引の相手方の住所又は居所・届け出た仮設店舗のほかで、買い受け等のために古物商以外の者から古物を受け取った(14条1項):1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の対象(32条)
  • 行商の「する・しない」が変わったのに届け出なかった(7条2項):10万円以下の罰金の対象(35条1号)

9. 出張買取を自分でしていた私の見方

私は出張買取を自分で行っていました。客から問い合わせがあったときだけ行き、主に家電・本・ゲームなど、貴金属以外を買い取っていました。本人が行くので持つのは許可証で、行商従業者証は作ったことがありません。作り方の経験談はないので、この記事では法令と警察の案内で確かめられたことだけを書いています。

行商従業者証が要るのは、代理人・使用人その他の従業者に行商をさせるときです(11条2項)。従業員やアルバイトに出張買取や古物市場での仕入れを任せるなら、行く人ごとに、その人の氏名・生年月日・写真の入ったカードを作って持たせます。家族、法人の役員、業務委託の人がどれに当たるかは未確認なので、主たる営業所を管轄する警察署で確かめてください。任せる前に、次を確かめておくと抜けが少なくなります。

  • 許可証の行商の欄が「する」になっているか(「しない」なら変更の届出。許可証の記載事項に当たるときは書換え)
  • 行く人の分の行商従業者証があり、表面がその人の氏名・生年月日・写真になっているか
  • 裏面の古物商の氏名又は名称・住所又は居所・許可証番号・区分が、許可証と同じか
  • プラスチックのカードで、縦5.5cm・横8.5cmか。屋号・ロゴ・電話番号が入っていないか
  • 受け取るのが客の自宅か(喫茶店や駅で受け取らないか)
  • 相手方の確認と帳簿の記載を、営業所で買い取るときと同じようにできるか(1万円未満でも確認が要る品目があるか)
  • 家族・法人の役員・業務委託の人が行くなど、扱いが決まっていないところを警察署で確かめたか

10. 計算機:誰が何を持つか、行商従業者証の文字、様式、罰則

行商をする人と、することを選ぶと、何を持つかを示します。あわせて、次の4つを確かめます。

  • 1. 誰が何を持つか:本人・法人の代表者・役員・従業員・家族・業務委託の人と、出張買取・古物市場・催事・決められた場所(営業所・相手方の住所や居所・届け出た仮設店舗)のほかでの買取・営業所の中だけの取引から、許可証か行商従業者証か、行商の届出、受け取る場所、相手方の確認と帳簿の注意
  • 2. 行商従業者証の文字:公安委員会・許可証の番号・区分・個人か法人か・名前と住所・行商をする人の氏名と生年月日から、表面と裏面の文字を並べる(許可証の番号が12桁の数字のときだけ)
  • 3. 様式:カードの縦・横、材質(紙・ラミネート・カードケースを含む)、写真の縦・横、様式にない文字
  • 4. 罰則:持たない・持たせない・見せない・決められた場所のほかで受け取る・届け出ない、のそれぞれの条文と38条

表面と裏面の文字は、許可証の番号を12桁の数字で入れたときだけ出します。番号が空のときや12桁の数字でないときは、文字は出さずに、番号を入れるよう表示します。12桁かどうかは形だけを確かめるもので、番号と公安委員会名が正しいかは、許可証の原本と照らしてください。判定は入力の範囲のもので、現物のカードを確かめるものではありません。

誰が何を持つか、行商従業者証の文字、様式、罰則の確認

入れた値は、このページの中で使うだけで、どこにも送られません。初めから入っている値は入力の例です。判定は入力の範囲のもので、現物のカードを確かめるものではありません。

1. 誰が、どこで取引するか

2. 行商従業者証の文字

3. カードの様式

4. 罰則

11. よくある質問

行商従業者証は、古物商本人も必要ですか?

本人が行商をするときに持つのは許可証です(11条1項)。行商従業者証は、代理人等に行商をさせるときに持たせるものです(11条2項)。岡山県警察は、個人許可で許可者自身が行商に従事する場合は許可証そのものを持つと案内しています。法人の代表者・役員の扱いは未確認です。

出張買取は行商に当たりますか?

警察庁の解釈運用基準は、行商を「古物商が営業所以外の場所で行う古物の取引」とし、取引の相手方の住所又は居所での売買を例に挙げています。客の自宅で買い取る出張買取は、これに当たると読めます(当てはめ)。

行商従業者証は警察署でもらえますか?

警察が作って渡す、売ると書いた公式の資料は、この記事では見つかりませんでした。大阪府警察・愛知県警察は、古物商に作成を案内しています。福島県警察は、県防犯協会連合会が作成の代行を受け付けている(手数料あり)と案内しています。

行商従業者証は自作してもいいですか?

作る人を決めた規定はなく、様式(施行規則10条・別記様式第12号)に合っていればよい、というのが条文から言えることです。「自作してよい」「自作は不可」と明言した公式のページは見つかりませんでした。

大きさは決まっていますか?

確実に様式どおりにするなら、縦5.5cm・横8.5cmです(様式の図示の長さ。警視庁・大阪府警察)。「以上」とは書かれておらず、それ以外の大きさでよいかは未確認です。写真は縦2.5cm以上・横2.0cm以上です。

ラミネートした紙でもいいですか?

材質は「プラスチック又はこれと同程度以上の耐久性を有するもの」で、基準は加工の方法ではなくこの耐久性です。ラミネートした紙がこれに当たるかを書いた公式の資料は見つかりませんでした(未確認)。確実に様式どおりにするなら、プラスチックのカードです。

裏面の住所は、営業所の住所ですか?

個人許可なら許可を受けた人の住所、法人許可なら法人の住所です。大阪府警察は「営業所の住所ではありません」と案内しています。

屋号や会社のロゴを入れてもいいですか?

入れないでください。施行規則13条は、行商従業者証に、犯罪の防止又はその被害の迅速な回復に特に資すると認められる場合を除き、様式で決まった文字以外を表示してはならないとしています。

許可申請で行商を「しない」にしていました。

行商を始めるなら、変更の届出が要ります(7条2項。変更の日から14日以内:施行規則5条6項)。許可証の記載事項に当たるときは、書換えも受けます(7条5項)。届出をしないと10万円以下の罰金の対象です(35条1号)。

喫茶店で待ち合わせて買い取ってもいいですか?

古物商以外の人から古物を受け取れるのは、営業所、取引の相手方の住所又は居所、届け出た仮設店舗だけです(14条1項)。喫茶店はどれにも当たらないと読めます(当てはめ)。違反は1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金の対象です(32条)。

持たせていないと、どうなりますか?

11条2項の違反として、10万円以下の罰金の対象です(35条2号)。法人の代表者や代理人等が業務又は財産に関して違反したときは、行為者のほかに法人又は人(個人の古物商も含む)にも罰金刑を科す規定があります(38条)。違反が成り立つかは個別の判断です。

出張買取でも、1万円未満なら相手方の確認は要りませんか?

対価の総額が1万円未満の取引は、確認が要りません(15条2項1号、施行規則16条1項)。ただし、施行規則16条2項の7つ(家庭用ゲームソフト、CD・DVDなど光学的方法で音や影像を記録した物、書籍など)は、1万円未満でも確認が要ります。確認が要らない取引は、帳簿の記載も要りません(16条ただし書)。買い取る場所が出張先でも、この決まりは同じです。

12. まとめ

  • 行商従業者証は、古物商が代理人等(代理人、使用人その他の従業者)に行商をさせるときに持たせるもの(11条2項)。本人が行くなら許可証(11条1項)
  • 行商は営業所以外の場所で行う古物の取引。出張買取(相手方の住所又は居所での売買)、古物市場、展示即売会、仮設店舗が例
  • 古物商以外の人から受け取れるのは、営業所・相手方の住所又は居所・届け出た仮設店舗だけ(14条1項、違反は32条)
  • 許可申請書で行商を「する」にする。あとから始めるなら変更の届出(7条2項)、許可証の記載事項に当たるときは書換え(7条5項)。届け出ないと10万円以下の罰金の対象(35条1号)
  • 出張先でも相手方の確認と帳簿の決まりは同じ。1万円未満は確認が要らないが、書籍・家庭用ゲームソフトなど施行規則16条2項の7つは1万円未満でも要る
  • 確実に様式どおりにするなら縦5.5cm・横8.5cm(それ以外の大きさの可否は未確認)。プラスチック又はこれと同程度以上の耐久性。写真は縦2.5cm以上・横2.0cm以上
  • 表に行商をする人の氏名・生年月日・写真、裏に古物商の氏名又は名称・住所又は居所(法人は法人の住所)・許可証番号・主として取り扱う古物の区分
  • 作る人を決めた規定はない。大阪府警察・愛知県警察は古物商に作成を案内。屋号・ロゴなど様式にない文字は入れない(施行規則13条)
  • 持たない・持たせないと10万円以下の罰金の対象(35条2号)。38条で法人・個人の古物商にも罰金刑が及びうる。法人の代表者・役員、家族、業務委託の人の扱いは警察署で確かめる。作ったあとの届出・退職・紛失の扱いは未確認

13. 出典

14. あわせて読む

記事 この記事とのつながり
古物商のプレート(標識)は自作でいい?大きさ・色・材質と3段の書き方、紙や屋号がだめな理由(判定ツールつき) 営業所に掲げる標識(プレート)の様式と3段の書き方。行商従業者証とは大きさ・材質・書くことが違う
古物商の変更届|何が変わったら何を出すか。期限は3日前・14日・20日、書換えは1,500円(判定ツールつき) 行商の「する・しない」を変えるときの変更の届出と、許可証の書換え
出張買取は危険?押し買いの手口と、クーリング・オフ8日・物を渡さなくてよい決まり(計算機つき) 出張買取を受ける側から見た決まり(訪問購入の勧誘の制限、クーリング・オフ)
買取の集客方法|チラシ・ポスティング・ホームページを1件の費用で比べる。出張買取の広告の決まり(計算機つき) 出張買取の集客と、広告の決まり
古物台帳の書き方と記入例|ゲームソフトは1万円未満でも必要、本体は不要な理由(判定ツールつき) 出張先で買い取ったときも付ける帳簿の書き方
古物商許可はせどりに必要か|3条件と、費用19,000円の内訳 古物商許可の条件と費用、申請の実際
古物商許可で何ができる?個人・副業でできること6つ、できないこと|法人との違いと取ったあとの義務(判定ツールつき) 古物商許可でできること・できないことと、取ったあとの義務の一覧

15. この記事について

この記事は、古物商許可を約20年持ち、出張買取を自分で行っていた私の立場と、e-Govの法令、警察庁の解釈運用基準、警視庁・大阪府警察・愛知県警察・岡山県警察などの公式の資料をもとに書きました。行商従業者証は作ったことがないので、作り方は警察の案内の書き写しです。様式や案内は変わることがあります。行商従業者証を作る前や、従業者に行商をさせる前に、営業所を管轄する警察署の案内を確かめてください。

 

── 無料メール講座(全6章・14通)──
真面目に働いても給料が上がらないのは、
あなたの能力ではなく
買い手が一社しかいないからです。
売り手が多数いて、買い手が一者しかいない市場では、
価格は買い手の内部規則で決まります。
転職しても、買い手が別の一社に変わるだけ。
構造は変わりません。
必要なのは努力の量でも我慢でもなく、
会社以外に
「自分の判断にお金を払う相手」
を一つ持つこと。
月3万円で構いません。
それだけで、組織との距離の取り方が変わります。
動かない録画機器を1,000円以下で仕入れ、
中古ドライブ(部品代2,000円)に交換。
ついでに容量を増やして15,000円で販売。
── 20年の現場から、実例の一部
この無料講座で扱う内容
  • 壊れた商品のどこに価格差が眠るのか
    「歪みの4類型」
  • 手数料・送料・作業時間まで含めた
    「1件の利益計算式」
  • 絶対に手を出してはいけない
    「除外リスト7項目」
  • 6日目には、元手ゼロで
    今週できる実践ワーク(約70分)
※手を動かさずに稼ぐ方法をお探しの方には向きません。
そのことも講座内で明記しています。
20年
現場での実践
全14通・2週間。
1通3〜5分で、通勤中にも読み切れる分量です。
まずは14通の無料講座で、
「第二の買い手」という考え方を確認してください。
登録30秒・無料・いつでも解除できます


「第二の買い手」を作る14通を無料で読む →

※後半に有料商品のご案内があります。
第1通の冒頭で明記します。

にほんブログ村の「せどり」ランキングに参加しています

にほんブログ村 小遣いブログ せどりへ PVアクセスランキング にほんブログ村
古物商・古物市場・卸