前回の記事では、新規事業に適している「せどり事業」の基本をお話してきました。
この記事では、発生しやすいトラブルの対処法や、利益をとりこぼさないために意識するポイントなど、効率的に事業を成功させるコツをご紹介します。
せどり事業はもともと再現性の高いビジネスですが、この記事を読むことでより成功率を高めることができますので、ぜひ最後までチェックしておいてください。
せどり事業で売上を伸ばすためのコツ
せどり事業は初期投資がほとんどかからず、短期間で黒字化できて再現性が高い方法であることから、新規事業としてもおすすめの方法です。
時間と作業場所を選ばず、学歴がなくてもできるビジネスではあるのですが、何も考えずに実践していては停滞してしまう可能性もあります。
前回の記事ではお伝えしきれなかった、「売り上げを伸ばすためのコツ」をご紹介しますので、ビジネスを大きくしていきたい方は取り入れてみて下さい。
1.競合のリサーチをする
ここからは、基本的な業務の中で売上を上げるための方法をご紹介します。
まず、どのような商品を扱う場合も、競合はリサーチしておいた方がいいでしょう。
- 商品の単価
- ライバルの人数
- 売れる頻度
などは事前にしっかりチェックしておきましょう。
また、前回の記事ではAmazonでの出品をおすすめしてきましたが、商品によってはAmazon以外のプラットフォームを利用したほうが結果が出やすい場合もあります。
例えば、Amazonでは男性向けの商品が売れやすい傾向にあるので、取り扱っている商品のターゲット層が合っていれば成功しやすくなります。
また、女性向けの商品は楽天市場などの方が人気があり、取り扱う商品のターゲットが女性の場合はAmazonよりも楽天市場を選択したほうが上手くいくケースもあります。
また、売れる商品を出品している競合をチェックしていくと「売れる商品ばかりを扱っているアカウント」が見つかります。
そのようなアカウントを見つけたら、出品している他の商品をチェックすることで、新たな利益商品が見つかります。
2.こまめな価格改定
商品を出品した後は、売れるまで放置するのではなく「売れやすい価格」に変更します。
ちなみに、商品の価格は基本的に「最安値」に合わせて設定します。
Amazonだけに限った話ではありませんが、商品の需要と供給、消費者の嗜好、競合他社の行動、季節、在庫状況等、さまざまな要素が常に変動し、商品の相場に影響を与えます。
これらの動向に迅速に反応し、Amazonの「最安値」に適した価格設定を行なうことで、販売機会を最大化することができます。
リサーチして、ライバルが1人しかいないような商品であれば、2週間に1度チェックする程度でもいいのですが、ライバルが数十人いるような商品では、毎日の価格チェックが必要です。
こうした価格改定を行う際には、手動で一つひとつ改定するのではなく、価格改定ツールを活用しましょう。価格改定ツールは、事前に設定したルールに基づき、自動で価格の調整を行ってくれます。
価格改定ツールを利用することで、最適な価格に保ちながらも手間や人件費を削減することができます。
3.商品の特典や詳細情報で差別化
Amazonは相乗り出品という形式になっているので、同じ商品を扱うライバルがいるという場合がほとんどです。
その中で、いかに自社の出品した商品を購入してもらえるのかを考えた時に、「特典を付ける」「商品情報を詳細に書く」などの方法があります。
特典の例としては、赤字が出ない範囲で「Amazonポイント」や「クーポン」を付与するとかなりお得感があるので、購入されやすくなります。
可能であれば、延長保証やギフト包装に対応したり、サンプルやおまけを特典としてつけることで、他社との差別化を図ることができます。
また、商品情報を丁寧に説明を書くことで購入者さんから「なんだか信頼できそう」というイメージを持たれます。
特に商品の写真はかなり重要で、写真は多い方が早く購入されやすいです。
ぼやけたりしないように注意し、いろんな角度から撮った写真を掲載しましょう。
4.リピート率を上げる
新規の顧客を集めるよりも、リピート率を上げる方が大切です。
梱包なども丁寧に行い、お客様が荷物を受け取った時に「この会社から買ってよかった」と思ってもらえる仕事を心がけましょう。
お客様の満足度を高めることで、そのお客様が口コミで紹介してくれる可能性もあります。
5.独自の仕入れ先を確保する
せどり事業の第一歩として「独自の仕入れ先を確保する」ということが重要になります。
メーカーや卸業者は、今まで「家電量販店」などとしか契約しない風潮がありました。
「メーカー」や「卸売業者」と直接契約できれば、安定して商品を仕入れることができます。
前回の記事では、「近隣のメーカーや卸業者に連絡を取って交渉する」「展示会へ行く」という方法をご紹介しましたが、もう一つ「コミュニティに参加し紹介してもらう」という方法もあります。
リアルでしたら商工会議所などへ参加して人脈を増やし、商品を卸してもらえる業者さんにつないでもらう機会を作りましょう。
記事の後半で紹介する「国内OEM」などの事業にもつながっていくので、ここは力を入れたいところですね。
7.外注化する
せどり事業が上手く回りだすと、同じ人数では手が回らなくなります。
商品の梱包や発送などは、Amazonが対応してくれるのでこちらの作業は人がいなくても問題ありません。
しかし、取引先を開拓したい場合は新しい人材が必要になります。
5~10社ほどであれば一人でも対応できますが、それ以上になってくると厳しいので、人を増やす必要があります。
また、中古商品を取り扱う場合は、新品の商品と違って状態のチェックや動作確認などの検品(商品のチェック)にも時間がかかりますので、量が多い場合は増員が必要です。
そのため、社員には新規事業の「管理者」になってもらい、新しいスタッフを外から雇うという方法を取ることができます。
新しい人を雇いたい場合は、求人広告を出したり、ハローワークで募集してみましょう。
スタッフに向いている人の特徴と育成のコツ
せどり事業のスタッフに向いている人の特徴や、育てる時のコツをご紹介します。
採用や教育の際に参考にして頂ければと思います。
1.せどり事業に向いている人の特徴5選
せどり事業に向いている人の特徴は、以下の通りです。
- 学びたいという気持ちがある人
- 一人で黙々と作業するのが好きな人
- 新しいものやトレンドが好きな人
- 分析力がある人
- 計算が得意な人
せどり事業では、特別な技術が必要になるような工程はありません。
しかし「常に学ぶ姿勢」ができるというのは必要な要素であり、この特徴さえ押さえていれば、仕事内容は問題なく覚えてくれます。
その他、コツコツと一人で作業ができる人、売上や販売数などの「数字」を見て分析できる人はとても向いていると思います。
また、新しいものやトレンドが好きな人は、売れる商品をキャッチするアンテナを持っていますので、新しい商品を見つける時に才能を発揮してくれるはずです。
2.基本的にはパソコンを使える人ならOK
とはいえ、基本的にはパソコンさえ使えればOKです。
マウスとキーボードを操作して文字が打てるレベルであれば、研修を経て業務ができるようになります。
3.担当者の興味のあるジャンルの商品もチェックする
その他、会社がピックアップした商品だけではなく、担当者が興味あるジャンルの商品を任せてみるのも良いと思います。
自分で興味のない商品を扱うよりも、好きなものを扱った方が積極的にうごいてくれますし、詳しい知識があればライバルと被らない利益商品を見つけられるかもしれません。
4.「仕入れたものが売れた」という成功体験をさせる
最初から大きな利益を狙うのではなく、まずは担当者の中に「仕入れたものが売れた」という成功体験をしてもらいましょう。
最初は少額でも構いません。まずは、「仕入れて売る」までをやってみて、「自分でもできるんだ」と自信をつけてもらうのが第一段階です。
5.スタッフに作業や決断を丸投げしない
いくらシンプルなビジネスモデルだからといって、外注さんに作業を丸投げしてまかせっきりにしないようにしましょう。
個人ではあまり扱うことのない大きな予算や、膨大な量の商品の管理は初めてだと戸惑うことも多いと思います。
どんな風に判断するのかの基準をよく話し合ったり、相談したいことがある時は見逃さない、間違った方向に進んでいたら軌道修正するなど、責任者がしっかりサポートしてあげられる体制を作りましょう。
OEMや事業売却で数億単位のお金を残すことも可能
せどり事業が安定したら、さらに事業を拡大して売却することで、莫大な金額を会社や自分に残すことができます。
せどり事業では、メーカーと直接契約して商品を仕入れていきます。
一般的なせどりではこれを繰り返すだけになりますが、さらに事業を大きくしたい場合は「自社商品を販売する」「事業を売却する」などのビジネスまでつなげる方法がありますのでご紹介します。
- ステップ1地元のメーカー、卸と契約して仕入を行う(せどり)
- ステップ2販売実績を作り、融資を受ける
- ステップ3契約しているメーカーと国内OEM商品を作成する
- ステップ4Amazonに広告を出稿して国内OEM商品にレビューを集める
- ステップ5自社商品を作成し、Amazonと自社ECで販売を行う(国内外OEM)
- ステップ6事業を売却する(個人が副業として参入する場合)
1.取引先に提案して改良商品やコラボ商品を販売する
- ステップ1商品レビューを集めるまず、Amazonで契約した会社の商品を販売していくと、商品レビューが集まってきます。
- ステップ2分析・提案するレビューを丁寧に分析していくと、改良型や新商品のアイデアが見えてきますので、企画書にまとめて提携していたメーカーに提案しましょう。
- ステップ3改良型やコラボ商品を制作・販売する契約した会社の商品の改良型を販売したり、自社でコラボした商品を制作し販売していきます。
2.国内外OEMで事業を拡大する
コラボ商品が売れるようになってきたら、自社商品の制作・販売をしていきましょう。
- ステップ1自社商品を制作する(国内外OEM)さらに、コラボ商品が売れるようになってきたら、独自のブランディングを施した強いコンセプトの商品を自社で制作します。日本の工場だけではなく、中国の工場で作って販売するという選択肢もあります。
- ステップ2自社ECサイトを立ち上げて販売する自社商品が出来たら、広告を使って集客をして、Amazonと自社のECサイトで販売していきましょう。
3.事業を売却する
事業が大きくなったら、自社の事業を売却(M&A)する方法があります。
例えば、ECサイトの売却はネットでも手続きすることができ、「営業利益の1~3年分+純資産額」が売却価格の目安です。(参考:https://ma-succeed.jp/content/knowledge/post-5992)
そうなれば、一気に大きな金額を手元に残すことができます。
ただし、次のようなECサイトは売却しにくいので、いずれ事業売却を考えている場合は注意してください。
- サイト運営者の人柄に人気がある
- 検索される期間が短いキーワードで運営されている
- 無料ドメインや無料ブログで作成されている
- ショッピングモールで運営している
サイトの運営者に人気がある場合、運営者が変わるとアクセスが減ってしまうことが考えられますので売れにくいです。
また、「ショッピングモールで運営していると売れにくい」というのは、楽天市場やYahooショッピングはもちろん、Amazonも対象になります。
前回の記事では「Amazonで販売する」という手法を紹介していたのですが、今回の記事の「自社ECサイトを作る」というところまで持っていければ、この問題はクリアできます。
また、事業を売却する場合は、複数の売却先と交渉するようにして適正価格で販売できるように動きましょう。
企業がせどりをする場合の注意点
企業がせどりをする場合の注意点は、以下の通りです。
- 出品NGの商品がある
- 資金ショートしてしまう
- スタッフとのトラブルが発生する
1.出品NGの商品がある
Amazonでは、出品が禁止・制限されている商品があります。
仕入れる前にちゃんと出品できる商品なのかどうかはしっかりと確認しておき、該当する場合は仕入れないようにしましょう。
【危険物判定になるのでFBAが使えない商品の例】
-
- 主に「危険物」に該当する条件
- 商品またはパッケージに、「腐食性」、「可燃性」、「刺激性」、「有害性」、「環境に有害」、「有毒」、「限定量」、「危険」、「まぜるな危険」などの警告が示されている
- 引火点が250℃以下
- スプレー缶に入っている
- 圧縮されたガスである
- 主に「危険物」に該当する条件
【具体的な商品例】
- 爆発物・火薬類 花火・クラッカー・発煙筒・爆竹
- 引火性ガス ガス入りライター・引火性エアゾール類、小型燃料ガスボンベ、カ
セットコンロ用ガス - 非引火性ガス 酸素・炭酸・エアガンガス・ヘリウムなどの圧縮ガス、消火器、液
体窒素、ダイビング用ボンベ・ソーダストリームのカートリッジ - 引火性液体
オイルライター、ペイント類、ネイルグッズ、香水、接着剤、ガソリンアルコール、印刷用インク、香料、灯油、アロマオイル、アルコールやグリセリン、精油などの引火性液体を原料に使用し
た、消毒液や化粧品、一部のヘアオイル - 可燃性物質 マッチ・カルシウム・マグネシウム・着火剤・活性炭・アルコールタイプのウェットティッシュ
- 酸化性物質 漂白剤・小型酸素発生器・過酸化水素水を含む育毛剤
- 毒物類 殺虫剤・農薬・消毒剤・バクテリア・ウィルス・蚊取り線香
- 放射線物質 ウラン鉱石・イオン化式煙探知機・右のマークがついている商品
- 腐食性物質 鉛蓄電池・一部の洗剤・台所用漂白剤・水銀・硫酸・酢酸・チオ尿酸
- その他 エンジン・強い磁石・自動車用液体バッテリー・電動自転車
参考:https://s3.amazonaws.com/JP_AM/su/376.pdf
ちなみに、出品が制限される商品はアカウント毎に異なります。
2.資金ショートしてしまう
また、資金ショートをしないように注意する必要があります。
Amazonは大口出品の場合、2週間に1度のペースで入金があります。
入金が入る前に事業資金を商品の仕入れに使ってしまうと、手元にお金が残らず黒字倒産してしまう可能性があるので、あらかじめ融資を受けておくなど予算を多めに持っておきましょう。
実践をする上で、資金ショートしないためのポイントは次の3つです。
- リサーチの精度を上げる
- 3ヶ月以上売れない場合は損切り
- 決算月には在庫を0にしておく
2.1.リサーチの精度を上げる
商品を仕入れる際に、利益率だけ見ていると資金ショートを起こしやすくなります。
利益率も大事ではありますがそれだけではなく、どのくらいの頻度で商品が売れているのかもしっかりチェックしておきましょう。
リサーチツールを使えば、指定した期間の間にどのくらいの数が売れているのかがわかります。
予算を確保した上で、キャッシュフローを確認しながら事業を行っていきましょう。
2.2.3ヶ月以上売れない場合は損切り
仕入れは「売れる商品」を選んでいくので、基本的にはあまり売れ残ることはありません。
しかし、マーケットの状況が変わって3ヶ月以上売れ残ってしまった場合は、値段を下げて売り切ってしまいましょう。
利益が出るはずだった商品でも、売れなければ現金になりません。
損切りして現金に変えて、利益が出てなおかつ早く売れそうな別の商品を仕入れていく方が成功につながります。
2.3.決算月には在庫を減らしておく
決算月に在庫が残っていると、すべて資産計上されてしまいますので、決算月にはなるべく在庫を減らしておくのがおすすめです。
あまり売れ行きの良くない商品は、早めに仕入れを辞めて在庫を減らしていくようにしましょう。
決算月に在庫を減らすことで、お金の管理がしやすくなりますし、在庫を長期間保有していると価値が下がる可能性もあります。
在庫を減らすということは、手元に現金が残るということなので、現金を有効に活用することができます。
在庫をたくさん持っておくよりも、すぐに売り切ってしまう方がビジネスの持続的な成長に役立つと言えます。
3.スタッフとのトラブルが発生する
また、スタッフと以下のようなトラブルが起こることもありますので、あらかじめ対処方法を知っておいた方がいいでしょう。
- スタッフが辞めてしまう
- 横領が起こる
- インセンティブを導入して失敗する
3.1.スタッフが辞めてしまい事業が回らなくなる
少数のスタッフでも回る事業というのはメリットでもありますが、その分その人が辞めてしまったら事業が一気にストップしてしまいます。
スタッフが独立してしまうのではないかという不安もあると思いますが、メーカーや卸業者との取引は法人だからこそできることであり、個人が同じことをやろうとしても難しいです。
そこではなく、スタッフとの関係を良好に保ち、働きやすい労働環境を作るなど、仕事を辞めてしまわないための対策を考えましょう。
また、知り合いに声をかけたりした上でどうしても人手が足りない時は、クラウドソーシングなどのサービスを利用するという手もあります。
3.2.横領されないための対策をする
また、古物業界ではスタッフの「横領」が起こりやすいです。
経理担当者をダブルチェックにしたり、監視カメラをつけるなどの対策が必要です。
事業の規模が大きくなったタイミングで、このようなセキュリティを見直すようにしましょう。
古物業界は横領がとても多いので、ここを事前に知っておくのは大きなショートカットになると思います。
3.3.インセンティブで釣らない
先ほど「人が辞めてしまうリスク」についてお話しましたが、小売業界はそもそもの給与が安いので、高い報酬を設定しなくても新しい人が来てくれます。
例えば、利益の一部をインセンティブにした場合、お客様を騙して無理やり安い値段で買い取るスタッフが出てくる可能性があります。
その結果お店の悪評が広がってしまい、買取に来てくれるお客様がいなくなってしまうというわけです。
このように、一見合理的に見えるインセンティブありきの経営は、思ったほど上手くいきません。
4.仕入れ先を一つしか持たない
取引先といい関係を築くのはとてもいいことです。
しかし、取引先が一つしかないと、そこが倒産や移転をしてしまった場合に商品を仕入れることができなくなり事業がストップしてしまいます。
特定の仕入れ先に依存することなく、取引先を分散させておきましょう。
Amazonを使ったEC事業は様々な業種で応用できる
この記事では、企業がAmazonで売上を伸ばすための具体的なポイントをご紹介してきました。
せどり事業は、最終的にOEMや事業売却まで発展させることができる可能性のあるビジネスです。
メーカーや卸業者と契約してAmazonで販売する方法を基本として、自社の商品を試験的に出品してみるなど色々な使い方ができます。
このAmazonを使ったEC事業はポイントを押さえて実践することで、より失敗しにくいビジネスになっていくと思います。
僕もあらゆるジャンルの「せどり」を経験してきて、最近では法人のお客様にコンサルをさせていただくことも増えてきました。
前回の記事とこの記事を読んでもわからないことがあったり、相談したいことがある方は、こちらのメッセージフォームからお問い合わせください。
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