「ブランド リカラー」で調べて来られた方に、先に結論を書きます。
私は、不人気カラーのブランドバッグを安く買い、人気カラーに染め替えて売っていました。儲かりました。扱ったのはヴィトンのヴェルニ、シャネル、ボッテガ、プラダ、エルメスで、1万〜2万円前後で仕入れて3万〜5万円ほどで売るパターンが多かったです。ただし作業は1個あたり3時間以上かかり、やるのはまあまあ大変でした。
違法か適法かは、いまの私には判断できません。ブランドが駄目だと言えば駄目だと思っています。当時は「本当に駄目なものなら古物市場で流通しないし、メルカリやヤフオクでも削除されるはず」という認識でやっていました。この記事では、その認識で足りない部分も含めて書きます。
| 知りたいこと | 答え | 章 |
|---|---|---|
| リカラー品とは | 色あせを同じ色で塗り直したもの(補色・染め直し)と、元と違う色に染め替えたもの(色変え)の両方がこう呼ばれる | 1 |
| どのくらい儲かった? | 1万〜2万円前後で仕入れて3万〜5万円で売るパターンが多かった。作業は1個3時間以上 | 2・3 |
| 自分でできる? | 色を作る作業とエアブラシが要る。私は研修を受けて覚えた | 4 |
| 違法? | リカラーそのものの判例は見つからない。近い判例では、本物に品質に影響する改変をして売ると商標権侵害とされ、「後から加工した」と広告に書いていても結論は変わらなかった | 5 |
| メルカリで売れる? | メルカリのガイドは「ブランド品の全部または一部を加工したリメイク品」を違反の例に挙げている。明記しても出品が認められる保証はない | 6 |
1. リカラーとは|同じ色に戻すのか、違う色に変えるのか
リカラーは、革の色を塗り直すことです。中古のブランド品では、同じ「リカラー」という言葉が2つの意味で使われています。
- 同じ色に戻す:色あせ、擦れ、色落ちを、元の色で塗り直す。補色や染め直しとも呼ばれます
- 違う色に変える:元の色から別の色に染め替える。色変えや染め替えとも呼ばれます
商品説明に「リカラー」「リカラー済み」とあれば、少なくとも工場から出たときの塗装のままではありません。どちらの意味なのかは、説明を読むか出品者に聞かないと分かりません。
この記事で扱うのは主に後者、違う色に変えて売るほうです。同じ色に戻す補色や、持ち手の交換などの修理はブランドリペア転売は稼げないのかに書いています。
2. 私がやっていたこと|色の人気の差を取る
やっていたことは単純です。同じモデルでも、色によって中古の値段が違います。その不人気カラーを安く仕入れ、人気カラーに染め替えて売る。
扱っていたのは、ヴィトンのヴェルニ、シャネル、ボッテガ、プラダ、エルメスです。仕入れは1万〜2万円前後、売値は3万〜5万円ほどになるパターンが多かったです。
壊れた物を直して売るリペア転売とは、利益の出どころが違います。リペア転売は「壊れているから安い」を取りに行きます。リカラーは「色が不人気だから安い」を取りに行きます。傷んでいない個体でも、色だけで値段に差がついていれば、その差が取れるということです。
売るときは、リカラーしたことを必ず商品説明に書いていました。
3. 1個あたりの手残りと時給を計算する
仕入れ1万〜2万円、売値3万〜5万円の範囲から、仮の組み合わせを3つ置いて計算するとこうなります。販売手数料は10%、染め替えは「3時間以上」の下限の180分で置き、送料と材料費は入れていません。実際の取引をこの3件で行ったという記録ではありません。撮影・出品・梱包・発送の55分は、私が財布で測った時間(撮影20分、出品15分、梱包10分、発送10分)を置いています。
| 仕入れ(仮定) | 売値(仮定) | 手残り(送料・材料費の前) | 作業時給(235分で割る) |
|---|---|---|---|
| 2万円 | 3万円 | 7,000円 | 約1,790円 |
| 1.5万円 | 4万円 | 21,000円 | 約5,360円 |
| 1万円 | 5万円 | 35,000円 | 約8,940円 |
1点の手残りは、財布の引手交換(送料前で4,150円、70分)よりずっと大きくなります。そのかわり、1個に3時間以上張り付きます。そして同じ作業時間でも、仕入れ値と売値の組み合わせで時給は約1,790円から約8,940円まで5倍の差が出ます。作業時間は下限で置いているうえ、調色の準備、乾燥、塗り直し、真贋の確認、売れるまでの日数は入っていないので、実際の時給はこれより下がります。作業の重さはどの色でも変わらないので、計算上は、値段の差が大きい色の組み合わせを選べるかどうかがそのまま時給になります。
計算機の「色を変えずにそのまま売った場合の価格」の欄に数字を入れると、染め替えで増えた分だけを試算して、作業1時間あたりに直せます。色を変える前と後の値段は、どちらも実際に売れた相場から入れてください。不人気カラーのままでもそれなりの値で売れる個体なら、3時間かけて色を変える意味は薄くなります。
4. やるのが大変な理由
同じ色に戻す染め直しでも、私は色がなかなか作れず、調整に時間を取られて、1回2時間以上かかっていました。材料は1回200円ほどの使用量でも、時間のほうが重い作業です。エアブラシ(スプレーガン)が要り、専用の作業場がないと続けられないと思っています。色そのものを変えるリカラーは、それより長く、1個3時間以上かかっていました。
技術は、大阪の専門業者の研修で覚えました。二泊三日で、染め直し、スプレーガンの使い方、調色を習い、費用は10万円と大阪までの旅費でした。リペア全般について、研修なしで始めるのはきついと考えています。道具は、エアブラシ、コンプレッサー、塗装ブース、染料、マスキングテープなどです。安物を買って買い直したものも含めて、ブランドリペア転売は稼げないのかの「揃える道具」の章に書いています。
5. 違法か適法か|いまの私には判断できない
5-1. 当時の私の認識
当時の私は、こう考えてやっていました。本当に駄目なものなら、古物市場で流通しないはずだ。実際、私がリカラーしたものがエコリングの競りに流れてきて、それを仕入れて売ると、また売れました。ヤフオクやメルカリでも、駄目なら削除されるはずだ、と。
5-2. その認識で足りない部分
ただ、流通していることや削除されていないことは、権利者や運営がまだ動いていないことを示すだけで、問題がないことの証明にはなりません。メルカリには、権利者が侵害品の削除を申し立てる手続きがあります。申し立てがあれば、あとから消されることもあります。
いまの私の考えは、判断はできない、ブランドが駄目だと言えば駄目、です。
ただし法律の上では、ブランドが反対したから必ず侵害になるわけでも、警告が来ていないから問題ないわけでもありません。侵害かどうかは、加工の中身や売り方で個別に判断されます。自分でその判断がつかないので、ブランドの判断に従う、というのが私の立ち位置です。
5-3. 法律の側から見た線
リカラーそのものを扱った判例は、調べた範囲では見つかりませんでした。近い考え方は次の2つです。
- 修理と改変の線(消尽):弁護士の回答では、商標権者は商品を売った時点で対価を回収しているので、性能や品質を保つための加工(一般にいう修理)は商標権を侵害しない。一方で、ハンドバッグをポーチに作り替えるように別の商品を作り出すと侵害になる、と説明されています。ただしこれは一般論で、塗り直す色で線を引いているわけではありません
- アフターダイヤモンド事件(東京地裁 平成17年12月20日判決):本物のカルティエの時計などに、第三者がダイヤモンドを付ける加工をして売った事件です。裁判所は、付けたダイヤモンドが純正品より小さく、一見して傷があって品質が良くないこと、カルティエ自身もダイヤモンド付きの時計を売っていて混同のおそれがあることを挙げ、商標の出所表示機能と品質保証機能を害するとしました。広告に「アフターダイヤ」と後付けであることを書いていても、この結論は変わりませんでした。判決は販売の差止め、廃棄、約3,498万円の損害賠償を命じています
リカラーに引き直すと、気になる点が2つあります。1つは、人気カラーはブランド自身が売っている色なので、染め替えた品は純正のその色の品と混同されうること。もう1つは、「後から加工した」と書いていても侵害が否定されなかったことです。「リカラー済み」と書いたから大丈夫、とは言えません。
同じ色に戻す場合でも、加工の程度や品質への影響は問題になりえます。違う色への変更は、元の商品との違いが大きいぶん、さらに慎重に見る必要があります。リカラーのどこまでが許されるかを決めた判断は出ていないので、この記事では断定しません。やる前に、商標に詳しい弁護士か弁理士に確認してください。
6. メルカリとヤフオクのルール
- メルカリ:ガイド「知的財産権を侵害するもの」は、違反になるものの例に「ブランド品の全部または一部を加工したリメイク品」を挙げています。リカラーを名指しはしていませんが、色を変えるのは加工なので、この例に当たると判断される可能性があります。「リカラー済み」と書いても、出品が認められる保証はありません。事務局が該当すると判断すれば、取引のキャンセル、商品の削除、利用制限などの措置があります
- ヤフオク:2026年1月26日に改定されたガイドライン細則は、出品禁止物に「知的財産権などを侵害しまたは侵害するおそれのある商品」を挙げています。この項目に、リメイクや加工を名指しした文言はありません。一方で、真贋が確認できない、または正規品である確証がない状態の商品も禁止に入っています
明記して売っていても、この判断は別です。「リカラー済み」と書くのは買う人への説明で、ルールや権利の問題を消すものではありません。
7. リカラー品を買う側・手放す側へ
- 買うとき:商品説明の「リカラー」を読み、元の色と今の色、塗った範囲、誰が加工したかを確かめてください。書いていなければ、出品者に聞いてください。使ううちに色が落ちたり服に移ったりしないかも、聞いておくと安心です
- 流通のしかた:私が染めたものが古物市場の競りに戻ってきたように、リカラー品は持ち主を変えながら市場に残ります
- 売るとき・手放すとき:リカラー品なら、「リカラー済み」の一言だけでなく、元の色と今の色、第三者が加工したこと、塗った範囲を書いてください。元の色が分からなければ、分からないと書きます。書かずに売ると、届いてから買った人とのトラブルになりえます
8. いまからやるなら
- 計算機で、色を変えて増える分が作業時間に見合うかを見る。そのままでも売れる個体に3時間かける意味はありません
- 出品先のルールを先に読む。メルカリはリメイク品を違反の例に挙げています
- リカラーしたことを必ず書く。元の色と今の色、塗った範囲まで書く
- 判断がつかないうちは、「警告が来るまで試しに売る」はやらない。判決では、差止めに加えて過去の販売分の賠償も命じられています。ブランドが駄目だと言えば駄目、というのが私の考えです
- 仕入れて売るなら古物商許可を取る。ネットで売るときの古物商の表示や、個人から仕入れるときの本人確認もあります。ブランドリペア転売は稼げないのかの古物商許可の章と、古物商許可はせどりに必要かに書いています
お客さん自身のバッグの色を変えたいという依頼を受ける形は、仕入れて加工品を売る商売とは、検討することが違います。ただし、受託なら無条件に問題ない、とも言えません。受注の始め方は修理の受注を始める順番にまとめています。
9. よくある質問
リカラー品とは何ですか?
革の色を塗り直した中古品です。色あせを元の色で塗り直したもの(補色・染め直し)と、元と違う色に染め替えたもの(色変え)の両方が、こう呼ばれています。どちらなのかは商品説明で確かめてください。
リカラーはどのくらい儲かりますか?
私の場合は、1万〜2万円前後で仕入れて3万〜5万円で売るパターンが多く、作業は1個3時間以上でした。その範囲から仮の組み合わせを3つ置いて手数料10%で計算すると、送料と材料費の前で1個7,000〜35,000円、作業時給で約1,790〜8,940円です。これは試算で、実際の取引の記録ではなく、同じ結果になる保証もありません。3章の計算機で、自分の数字で計算してください。
リカラーは違法ですか?
私には判断できません。リカラーそのものの判例は見つかりませんでしたが、本物に品質に影響する改変をして売った事件では商標権の侵害が認められ、「後から加工した」と広告に書いていても結論は変わりませんでした。人気カラーはブランドが売っている色なので、純正品との混同も気になる点です。やる前に専門家に確認してください。
メルカリでリカラー品を売れますか?
メルカリのガイドは「ブランド品の全部または一部を加工したリメイク品」を違反の例に挙げています。リカラーは名指しされていませんが、色を変えるのは加工なので、該当すると判断される可能性があります。明記しても出品が認められる保証はなく、削除や利用制限の対象になりうる前提で考えてください。
自分でリカラーできますか?
色を作る作業とエアブラシが要り、私でも1個3時間以上かかりました。私は二泊三日の研修(10万円と旅費)で覚えています。道具をそろえる順番は、補色から始めて、エアブラシなどの設備を最後にするのが安全です。順番と理由はブランドリペア転売は稼げないのかのよくある質問に書いています。
10. まとめ
- リカラーには「同じ色に戻す」と「違う色に変える」の2つがあり、どちらもリカラーと呼ばれる
- 私は不人気カラーを1万〜2万円前後で仕入れ、人気カラーに染め替えて3万〜5万円で売っていた。儲かったが、1個3時間以上かかり、まあまあ大変
- 仮の組み合わせで計算すると、送料と材料費の前で作業時給は約1,790〜8,940円。値段の差が大きい色の組み合わせを選べるかで5倍変わる。作業時間は下限で置いた試算
- 違法かどうかは、いまの私には判断できない。ブランドが駄目だと言えば駄目
- 当時は「古物市場で流通し、削除もされないなら問題ない」と考えていたが、流通していることは問題がないことの証明にはならない
- 近い判例では、後から加工したと表示していても商標権の侵害が認められた。「リカラー済み」と書けば大丈夫、とは言えない
- メルカリのガイドは「ブランド品の全部または一部を加工したリメイク品」を違反の例に挙げている。明記しても出品が認められる保証はない
11. 出典
| 資料 | 使ったところ |
|---|---|
| IP Force「平成17(ワ)8928」(東京地裁 平成17年12月20日判決) | 5章。本物に品質にも影響する改変をして売ると、商標の出所表示機能と品質保証機能を害するとされた判断。「アフターダイヤ」の表示があっても結論が変わらなかったこと。主文(差止め・廃棄・約3,498万円の賠償) |
| ココナラ法律相談「ブランド物の靴やバッグを修理してオークションなどに出品したりすることは商標権の侵害にあたりますか?」 | 5章。修理と改変の線(消尽) |
| メルカリ「知的財産権を侵害するもの(禁止されている出品物)」 | 6章。リメイク品が違反の例にあること、事務局の措置、権利者の削除申し立て |
| Yahoo!オークション「ガイドライン細則改定予定のお知らせ(知的財産権などを侵害する商品等に関する改定)」 | 6章。2026年1月26日改定後の出品禁止物の文言 |
12. あわせて読む
| 記事 | つながっているところ |
|---|---|
| ブランドリペア転売は稼げないのか | 壊れた個体を直して売る側。補色・部品交換の採算、道具、古物商許可 |
| オンライン古物市場は2社で足りる | 5章のエコリング。古物市場での仕入れ |
| ハイブランドの仕入れルート | ブランド品をどこで仕入れていたか |
| 修理の受注を始める順番 | 自分で売らずに、依頼を受けて直す形 |
| 財布のリペアのやり方 | 自分で直せる範囲(引手・補色・角の充填)と、店に出す範囲(ファスナー・縫い直し・内側) |
| 古物商許可はせどりに必要か | 仕入れて売るなら要る許可と、費用の内訳 |
13. この記事について
| 書いた人 | 中古品の売買を20年近く続けている出品者(古物商許可あり)。ブランドリペア転売をやり、そのコンサルを販売していた |
| 確かめた日 | 2026年9月30日(判決文1件、弁護士の回答1件、メルカリのガイド1件、ヤフオクのお知らせ1件) |
| 私の経験から書いたこと | 不人気カラーを人気カラーに染め替えて売っていたこと。扱ったブランド(ヴィトンのヴェルニ、シャネル、ボッテガ、プラダ、エルメス)。1万〜2万円前後で仕入れて3万〜5万円で売るパターンが多かったこと。1個3時間以上かかったこと。必ず明記していたこと。自分が染めたものがエコリングの競りに戻ってきて、仕入れて再び売れたこと。研修の中身と費用。財布での撮影・出品・梱包・発送の時間 |
| 確かめられなかったこと | リカラーの月間検索数。染め替え1回あたりの材料費。リカラーそのものを扱った判例。リカラー品が買取店でどう査定されるか(私は売る側だった)。当時どの販路で何点売ったか |

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