「Amazon 相乗り出品」で調べて来られた方に、先に結論を書きます。
相乗り出品は、Amazonにすでにある商品ページに、別の出品者が同じ商品を出品することです。Amazonの公式ページも「相乗り出品」と呼んでいて、規則の範囲で認められた出品の仕方です。私は相乗りで売っていたこともあり、自社の中国OEM商品に相乗りされて、安値でカートを取られたこともあります。そのときは、商標登録とAmazonブランド登録、相手へのメッセージ、セット化・仕様変更で商品自体を変えて別のページにする、の3つをやって、排除できました。
| 知りたいこと | 答え |
|---|---|
| 相乗り出品とは | すでに商品詳細ページ(カタログ)がある商品を、そのページで売ること。Amazonは1つの商品に1つの商品詳細ページという作りで、同じ商品を売る出品者は同じページを使う |
| 相乗りしてよい商品 | ページの商品とまったく同じ商品だけ。別の商標(ブランド名やメーカー名)の商品や、ノーブランド品は、既存のページに出さずに新しいページ(ASIN)を作るのがAmazonの規則 |
| カートは誰が取るか | 商品詳細ページで最初に「カートに入れる」「今すぐ買う」ボタンが付く出品を、Amazonは「おすすめ出品」と呼ぶ。価格と配送料、早くて無料の配送、お届け予定日の確実さ、購入者の体験で選ばれ、差がなければ複数の出品者で入れ替わる。2026年8月10日に、事前の「利用資格」の判定はなくなった |
| 相乗りされたら | 私は商標登録とブランド登録、相手へのメッセージ、セット化・仕様変更で商品自体を変えて別ページ、の3つをやって排除できた。ブランド登録は、出願中の商標でも申請できる |
| 偽造品の相乗りをめぐる裁判 | 一審(東京地裁、2025年4月25日)はAmazonに3,500万円の賠償を命じた。二審(東京高裁、2026年5月27日)は201万2,472円に減額し、「違う商品が相乗りされている」と申告しただけではAmazonに調査の義務は生じず、申告した側が合理的かつ客観的な根拠を示す必要があるとした。原告は最高裁に上告したと報じられている |
1. 相乗り出品とは
Amazonの出品サービスの公式ページは、相乗り出品を「既にAmazonで販売されている(カタログがある)商品を販売する方法」と説明しています。商品詳細ページがすでにあるので、商品登録が比較的簡単です。反対に、まだAmazonで売られていない商品は、自分で新しい商品詳細ページを作って出品します(新規出品)。
Amazonは「1つの商品に対して、商品詳細ページが1つ」という作りです。セラーセントラルの「商品詳細ページの規則」も、すでに商品詳細ページがある商品について重複するページを作ることを禁止していて、「作成した商品詳細ページは、同じ商品を出品する他の出品者によって使用される可能性があります」と書いています。自分で作ったページでも、同じ商品なら、ほかの出品者が相乗りできるということです。
| 相乗り出品 | 新規出品 | |
|---|---|---|
| 商品詳細ページ | すでにあるページを使う | 自分で作る |
| 手間 | 商品登録が比較的簡単 | 写真や説明を自分で用意する |
| 同じページのライバル | いる。カート(おすすめ出品)を取り合う | 最初はいない。ただし、同じ商品なら、あとから相乗りされることがある |
2. 相乗りで売る側:カートを取れるかで決まる
私がやっていたこと
私はAmazonせどりで、相乗りで売っていました。価格の調整には、GAGAという安い価格改定ツールを使っていました。2番手の価格で売ることや、値上げに合わせることはできないツールでしたが、問題なく稼げました。価格改定ツールについては価格改定ツールの記事に書きました。
おすすめ出品(カート)の選ばれ方
同じページに出品者が何人もいるとき、商品詳細ページで最初に「カートに入れる」「今すぐ買う」ボタンが付く出品を、Amazonは「おすすめ出品」と呼びます。ほかの出品者の商品も、すべての出品の一覧から買えます。セラーセントラルのヘルプは、おすすめ出品に選ばれやすくなる条件を次のように説明しています。
| Amazonが挙げていること | 中身 |
|---|---|
| 競争力のある価格 | 商品の価格と配送料の両方を見て評価する |
| 早くて無料の配送 | 早くて無料の配送で、お届け予定日の幅が狭い出品が選ばれやすい。購入者に配送できない出品は選ばれない |
| 購入者の体験 | 破損のない正しい商品を届ける。商品とコンディションをページの表示と一致させる(新品の注文に中古品を送らないなど)。正規品であること |
| 差がないとき | どの出品も明確に魅力的とはいえない場合、おすすめ出品は複数の出品の間で入れ替わる |
自分の商品がどれだけおすすめ出品になっていたかは、セラーセントラルのビジネスレポートで割合を確かめられる、ともヘルプに書かれています。
Amazonは、2026年8月10日に、おすすめ出品の「利用資格」の要件を廃止しました。それまでは、まず出品者のパフォーマンス指標などで利用資格があるかを判定し、資格のある出品の中から選んでいました。廃止後も、競争力のある価格、配送スピード、パフォーマンスなどで選ぶ方法そのものは変わらないとしています。
相乗りしてはいけない商品
「商品詳細ページの規則」は、別の商標(ブランド名やメーカー名)で商品を出品する場合は、既存のASINを編集せずにASINを新しく作るとしています。既存のASINがノーブランド品として作られている場合も同じです。見た目が同じでも、ブランドが違えば、そのページに相乗りしてはいけません。
相乗りできないときの主な理由
相乗りできないときは、承認が要るブランドやカテゴリーの出品制限、ページの商品とブランドや中身が一致しない(ノーブランドとして作られたページを含む)、権利者からの申し立て、のどれかであることが多いです。私が相乗りで売ろうとして、実際にできなかったのは次の3つです。
| 場面 | 中身 |
|---|---|
| 出品制限 | 承認が要るブランドやカテゴリーで、出品できなかった(解除の話は出品制限の記事) |
| 商標権者からの警告・申し立て | 出品したら、ブランドの権利を持つ側から警告や申し立てを受けた |
| 新品で出せない | 新品のコンディションで出品できず、中古でしか出せなかった |
3. 相乗りされる側:私はこうやって排除した
起きたこと
私は中国OEMで自社商品を作り、Amazonでカタログを登録し、広告を出して売っていました。その自社商品のページに相乗りされ、安値で出されて、カートを取られました。
やった3つのこと
| やったこと | Amazonの規則・公式の説明 |
|---|---|
| 商標登録とAmazonブランド登録 | ブランド登録には、ブランド名かロゴの「保留中または登録済みの商標」が要る(日本のAmazonなら日本の特許庁)。ブランド名かロゴが商品やパッケージに付いていることも条件。登録すると、権利侵害の疑いを報告できる |
| 相手にメッセージで警告 | Amazonに報告する正式な窓口は、ブランド登録の違反報告のほか、サイトで提供されている権利侵害申告フォームがある(裁判でも使われた) |
| セット化・仕様変更で商品自体を変えて、別のページに | 色・サイズ・原材料・機能・商品名などが変わり、商品が著しく異なる場合は、新しいASINを作る必要がある。パッケージの色やデザインを変えただけなら、新しいASINは要らない |
この3つをやって、相乗りを排除できました。
順番に注意してください。相乗りを避けたいから別のページを作る、のではありません。商品自体を変えた結果、規則上、新しいASINが必要になり、元のページの相乗りとは切り離された、という形です。同じ商品で重複するページを作るのは禁止で、パッケージを変えただけで別のページを作ることはできません。
ブランド登録の公式ページは、登録したブランドの商品詳細ページは、ブランド所有者と、ブランドに関連付けられた出品者だけが作成や更新の提案をできると説明しています。一方で、同じ本物の商品をほかの出品者が売ることを止められるとは書いていません。
OEMをやってみての見方
OEMでAmazonに出ても、返品されたり、競合に真似をされたりして、実際は普通にせどりをやっているのと大差ありませんでした。中国OEMの損益は中国OEMはオワコンかで計算しています。
4. 偽造品の相乗りで、Amazonの責任が争われた裁判
相乗り出品をめぐっては、Amazonの責任が争われた裁判があります。一審と二審の判決文は、裁判所のサイトで公開されています。
| 中身 | |
|---|---|
| 原告 | パルスオキシメーターのメーカー(トライアンドイー)と販売会社(エクセルプラン)。どちらも神戸市 |
| 被告 | アマゾンジャパン合同会社 |
| 一審(東京地裁、2025年4月25日) | 販売会社に3,500万円の賠償を命じ、メーカーの請求は退けた。Amazonは、出品者の適正な販売機会を守るために不正な出品を監視し、取り締まるなどの義務を負うとした。販売会社の申告を受けたのに、申告の真偽を確かめる調査や、違う商品だけを出品停止にする対応をせず、販売会社の出品を含めて商品詳細ページ全体を削除したことを、義務違反とした |
| 一審が認めなかったこと | 医療機器を出品させる前に、出品者が薬機法の販売許可を持っているかを確かめる義務 |
| 二審(東京高裁、2026年5月27日) | 賠償額を201万2,472円に減らした。「違う商品が相乗りされている」と申告しただけでは、Amazonに調査の義務は直ちに生じず、申告した側が合理的かつ客観的な根拠を示した場合に、調査や削除などの義務を負うとした。調査の手続や措置の中身は、Amazonの合理的な裁量に委ねられるとした |
| 二審が義務違反に当たらないとしたこと | 商品詳細ページ全体の削除。販売会社が権利侵害申告フォームで、そのASINに関連する「すべての商品」を選んで申告していたため、申告どおりに削除したものとされた |
| 二審が賠償を認めたこと | 販売会社の3商品で、出品停止の解除に、解除の請求から46日〜73日かかったこと。ほかの商品は1週間ほどで解除されていた |
| その後 | 原告2社は最高裁に上告したと、2026年6月16日に報じられている |
この裁判から分かるのは、申告の出し方で結果が変わるということです。この裁判では、ASINの「すべての商品」を選んだ申告が、自分の出品を含むページ全体の削除につながりました。違う商品だと申告するなら、テスト購入した現物と自分の商品の違いのように、具体的で客観的な根拠が要るというのが二審の判断です。
5. 相乗りで減る利益と、商標の費用を比べる(計算機)
相乗りされてカートを分け合い、値下げもした場合に減る利益と、特許庁に払う商標の費用を比べます。
相乗り後の1か月の利益 = そのページで1か月に売れていた個数 × 自分が取れるカートの割合 ×(1個の利益 − 値下げした額)
特許庁に払う費用 = 出願のとき 3,400円 + 8,600円 × 区分数、登録が決まったら 32,900円 × 区分数(10年分)
初期値で計算すると、相乗りされる前の1か月の利益は8万円で、相乗りされた後は3万円です。1か月で5万円、6か月で30万円減ります。特許庁に払う商標の費用は、1区分なら出願のときに1万2,000円、登録が決まって10年分を払うときに3万2,900円で、登録まで進めば合計4万4,900円です。初期値は、特許庁の料金を除いて、説明のための仮の数字です。商標を取っても、相乗りがなくなるとは限りません。
6. よくある質問
相乗り出品は違反ですか?
Amazonの出品サービスの公式ページが「相乗り出品」として説明している、認められた出品の仕方です。ただし、ページの商品と違う商品や、別のブランドの商品を既存のページに出すのは、商品詳細ページの規則に反します。
相乗りされたら、ブランド登録で必ず排除できますか?
必ずとはいえません。ブランド登録の公式ページは、商品詳細ページの管理や違反の報告ができると説明していますが、同じ本物の商品をほかの出品者が売るのを止められるとは書いていません。私は、商標登録とブランド登録、相手へのメッセージ、セット化・仕様変更で商品自体を変える、の3つをやって排除しました。
違う商品を相乗りされたと申告すれば、Amazonは調べてくれますか?
4章の二審判決は、申告しただけではAmazonに調査の義務は直ちに生じず、申告した側が合理的かつ客観的な根拠を示した場合に義務を負うとしました。申告フォームで対象を選ぶときは、特定の出品者を選ぶか、ASINの「すべての商品」を選ぶかで、削除される範囲が変わります。
商標登録には、いくらかかりますか?
特許庁に払う料金は、出願のときの出願料が3,400円+8,600円×区分数、登録が決まったときの登録料が10年分で32,900円×区分数です(2022年4月1日からの料金)。1区分なら、登録まで進んで合計4万4,900円です。登録料を5年分ずつ払う場合は1区分17,200円で、2回払うと34,400円です。弁理士に頼む場合は、別に費用がかかります。
商標がまだ登録されていなくても、ブランド登録できますか?
ブランド登録の公式ページは、要件を「保留中または登録済みの商標」としているので、出願中の商標でも申請できます。
相乗りできないのはなぜですか?
主な理由は、承認の要るブランドやカテゴリーの出品制限、ページの商品とブランドや中身が一致しない(ノーブランドとして作られたページに自分のブランドの商品を出すなど)、権利者からの申し立て、です。私の場合は、出品制限、商標権者からの警告や申し立て、新品で出せず中古しか出せなかったこと、の3つでした。
7. まとめ
- 相乗り出品は、すでにある商品詳細ページで同じ商品を売ること。Amazonの公式も「相乗り出品」と呼ぶ認められた出品の仕方
- 別のブランドやノーブランドの商品は、既存のページに出さず、新しいASINを作るのが規則
- カート(おすすめ出品)は、価格と配送料、早くて無料の配送、購入者の体験で選ばれ、差がなければ入れ替わる。2026年8月10日に事前の利用資格の判定はなくなった
- 私は中国OEMの自社商品に相乗りされ、安値でカートを取られた。商標登録とブランド登録、相手へのメッセージ、セット化・仕様変更で商品自体を変えて別ページ、の3つで排除できた
- 偽造品の相乗りをめぐる裁判は、一審3,500万円、二審201万2,472円の賠償。二審は、違う商品だと申告するなら合理的かつ客観的な根拠が要るとした。原告は上告したと報じられている
- 相乗りで減る利益と商標の費用は、5章の計算機で比べられる
8. 出典
| 資料 | 確かめたこと |
|---|---|
| Amazon出品サービス「Amazon商品登録の完全ガイド」 | 相乗り出品と新規出品の説明、1つの商品に商品詳細ページが1つ |
| セラーセントラル「商品詳細ページの規則」 | 重複ページの禁止、別の商標ならASINを新規作成、他の出品者がページを使う可能性、新しいASINが要る場合と要らない場合 |
| セラーセントラル「おすすめ出品になるためには」 | おすすめ出品の定義、選ばれやすくなる条件、入れ替わり、ほかの出品も一覧から買えること、ビジネスレポートの割合 |
| Amazon(セラーフォーラムのお知らせ)「おすすめ出品の利用資格の要件を廃止します」 | 2026年8月10日に利用資格の要件を廃止、選定方法は変わらないこと |
| Amazon出品サービス「Amazon Brand Registry」 | 保留中または登録済みの商標が要ること、商品詳細ページの作成・更新の提案、違反の報告 |
| 特許庁「産業財産権関係料金一覧」 | 商標の出願料、登録料(10年分・5年分) |
| 東京地裁 令和7年4月25日判決(令和4年(ワ)第24415号) | 一審の主文(3,500万円)、Amazonの義務と義務違反の判断 |
| 東京高裁 令和8年5月27日判決(令和7年(ネ)第2787号) | 二審の主文(201万2,472円)、調査義務の要件、ページ全体の削除と出品停止の解除についての判断 |
| ITmedia NEWS(2026年6月16日) | 原告2社が最高裁に上告したこと |
9. あわせて読む
| 知りたいこと | 記事 |
|---|---|
| 出品制限の解除と、仕入れ前の確認 | Amazonの出品制限(出品規制)の解除 |
| 価格改定ツールは要るか | Amazonの価格改定ツールは要るのか |
| 中国OEMの損益 | 中国OEMはオワコンか |
| 偽物が届いたときの返品と保証 | Amazonで偽物が届いたら |
| 真贋調査で出す請求書 | Amazonの真贋調査 |
| 相乗りする商品の売れ行きの見方 | Keepaの使い方 |
10. この記事について
相乗り出品の説明、商品詳細ページの規則、おすすめ出品の条件、ブランド登録の要件、商標の料金は、出典の資料を2026年10月1日に確認したものです。Amazonの規則と料金は変わることがあるので、出品の前にセラーセントラルで最新の内容を確かめてください。裁判の内容は、裁判所のサイトで公開されている一審と二審の判決文で確かめました。上告の後の結果は確かめていません。
相乗りで売っていたこと、価格改定ツール、相乗りできなかった3つの場面、中国OEMの自社商品に相乗りされたこと、排除のためにやった3つと排除できたこと、OEMの見方は、私自身の経験です。
5章の計算機は、そのページで売れる個数の合計は変わらず、自分の取り分だけがカートの割合で減ると仮定した目安です。初期値は、特許庁の料金を除いて、説明のための仮の数字です。この記事は法律の助言ではありません。商標や権利侵害の判断は、弁理士や弁護士に確かめてください。

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