ヒーローズジャーニー(英雄の旅)とは|12ステージと、私が古本の転売を始めた話を当てはめた実例

ヒーローズジャーニー(英雄の旅)とは|12ステージと、私が古本の転売を始めた話を当てはめた実例 情報発信

ヒーローズジャーニー(英雄の旅)は、主人公が日常を出て、試練をくぐり、何かを持って帰ってくる、という物語の型です。日本では「神話の法則」という名前でも知られています。映画の脚本の作り方として広まりましたが、私はこれを、自己紹介と、メール講座の登録ページを作るときの土台にしています。

この記事では、12のステージを先に説明し、そのあとで、私自身が古本の転売を始めた経緯を、この型に当てはめたものを実例として出します。作り話の例ではなく、実際に私の発信で使っている筋です。最後に、売る文章で使うときに私が守っていることと、この型の限界を書きます。

1. ヒーローズジャーニーとは

神話学者のジョーゼフ・キャンベルが、世界中の神話に共通する流れを『千の顔を持つ英雄』(1949年)でまとめました。キャンベルの分け方は17段階です。それを、ハリウッドで脚本の分析をしていたクリストファー・ボグラーが、脚本家向けに12のステージに整理しました。その本の日本語の題名が『神話の法則』です。つまり、「ヒーローズジャーニー」「英雄の旅」「神話の法則」は、同じ型の別の呼び名です。

2. 12のステージ

例には、この型でいちばんよく分析される映画『スター・ウォーズ』(1977年の第1作)を使います。ジョージ・ルーカスがキャンベルの影響を公言している作品です。

ステージ 何が起きるか 『スター・ウォーズ』では
1 日常の世界 主人公の、旅に出る前の暮らし。何かが足りない 辺境の星の農場で働くルーク
2 冒険への誘い 日常を破る知らせや出来事 ロボットに入っていたレイア姫の伝言
3 冒険の拒否 主人公は、いったん断る 農場の仕事がある、と断る
4 賢者との出会い 導く人が現れる オビ=ワン・ケノービ
5 第一関門の突破 後戻りできない一歩 家族を失い、星を出る
6 試練、仲間、敵 新しい世界のルールを学ぶ ハン・ソロたちと組む
7 最も危険な場所への接近 いちばん怖い場所へ近づく デス・スターの内部へ入る
8 最大の試練 死に近い体験。何かを失う オビ=ワンを失う
9 報酬 試練の先で、何かを手に入れる 姫を救い出し、設計図を持ち帰る
10 帰路 追われながら戻る デス・スターが基地に迫る
11 復活 最後の戦いで、別の人間になる 計器を切り、自分の感覚を信じて撃つ
12 宝を持っての帰還 手に入れたものを、元の世界に持ち帰る 仲間のもとへ戻る

大きく分けると、旅立ち(1〜5)、試練(6〜9)、帰還(10〜12)の3つです。

3. 実例:私が古本の転売を始めた話を、当てはめる

12は、自分の話を書くには多すぎます。私は、4つに絞って書いています。

日常の世界

大学3年生。研究室には受け入れてもらえず、就職活動では面接で落ち続けていました。まわりの、ほかの大学の学生のレベルの高さに圧倒され、ここまで差がついているのかと絶望していました。

冒険への誘い

ある日、就活の帰りに、たまたまブックオフの門前仲町の店に入りました。数日前にAmazonで買ったばかりのロジカルシンキングの本が、100円で売られていました。あまりに安いので買って、Amazonに出してみたら、30分で売れました。これは、同じことを繰り返せるのではないか。

最も危険な場所への接近

内定は取れました。けれど、自分が社会人としてやっていける確信が持てません。頼んでインターンをさせてもらい、任されたのはホームページの更新でした。かんたんな更新なのに、3時間、4時間かけても、まったくできません。隣の席には、1年先に入った、自分より年下の先輩がいて、上司から、仕事ができないことを延々と怒られ続けていました。この場所で、やっていけるのか。

宝を持っての帰還

インターンが終わり、留年も決まったので、内定を辞退しました。もう一度就活をやり直し、今度は証券会社に行きたいと思って、学生団体の勉強会にも通いました。IT業界を志望していたときより、志望動機はすらすら話せて、面接は進みます。それでも、三次面接や最終面接で落とされました。そのかたわら、友人と起業もしましたが、しっくりこなくて辞めました。

行きたい会社がない。それなら、自分が行きたい会社を、自分で作るしかない。そう考えて、並行してうまくいっていた古本の転売でやっていくと決めました。弟子入りした先輩の指導が自分に合っていて、言われたことを全部やったら、月の収入が50万円まで上がり、就職する必要がなくなりました。

当てはめて分かること

  • 現実は、型の順番どおりには起きません。私の場合、「賢者との出会い」(弟子入りした先輩)は4番目ではなく、最後に来ます。「冒険の拒否」にあたるのは、本が30分で売れたあとも就職するつもりで就活を続けていた期間です。順番を型に合わせるために、事実を動かしてはいけません
  • 宝は、小さくてかまいません。私の話の宝は「就職する必要がなくなった」です。大金持ちになった、ではありません。読む人が自分の話として読めるのは、手が届く大きさの宝のほうです
  • 省きたくなるのは、3つ目です。3時間かけてもホームページを更新できなかった話は、書いていて気分のいいものではありません。でも、ここを省くと、残るのはただの成功談です

4. 売る文章での使い方は、2つある

4-1. 自分の話を、この型で語る

3章がそれです。自己紹介や、メール講座の早い回で使います。目的は、信用してもらうことよりも、覚えてもらうことです。私自身、この型で作られた作品は、あとまで覚えています。案内を受け取る側にとっても同じで、「ほかの売り手とは違う何か」として記憶に残ります。いろいろな型を試しましたが、結果がいちばん安定したのは、この型を表現の土台にしたときでした。

4-2. 読む人を、主人公にする

私のメール講座の登録ページは、章がそのまま旅のステージになっています。ページの中の小さな英語の見出しも、THE ORDINARY WORLD(日常の世界)、THE CALL(誘い)、THE THRESHOLD(関門)、CROSSING THE THRESHOLD(関門の突破)と、ステージの名前をそのまま使っています。ただし、主人公は私ではなく、読む人です。

登録ページの章 ステージ 書いてあること
いまの現在地 日常の世界 正しい選択が通らない、承認を3週間待たされる、という読む人の毎日
同じ構造が、別の場所にもある 冒険への誘い 「壊れているから安い」のではない、という知らせ
ここで、たいてい足が止まる 冒険の拒否 「自分に直せるのか」という、断る理由への答え
私は、あなたとは真逆の地点から始めました 賢者との出会い 私の経歴。私は主人公ではなく、案内する側
まず14通、受け取ってください 第一関門の突破 登録

売る側が主人公のままのページは、自慢話になります。読む人を主人公にして、自分は4番目の「賢者」の席に座る。これが、売る文章でのいちばん大事な使い方だと考えています。ページ全体の構成はLPの作り方に書きました。

5. 使うときに、私が守っていること

  • 事実を動かさない。型に合わせるために、順番や出来事を作らない
  • 宝を大きく書かない。「あなたもこうなれます」と約束しない。私の50万円は、当時の古本の相場での数字です。いま同じことをやって、同じ結果になるわけではありません
  • 試練を省かない。うまくいった場面だけを並べると、型はただの自慢の順番表になります
  • 帰還のあとも書く。私の場合、就職しなくてよくなったあとに、自分の作業時間がそのまま収入の上限になる、という別の壁が来ました。旅は1回で終わりません。続きは自己紹介に書いてあります

6. この型の限界

この型で書けば売れる、ということはありません。私は同じ作り方で、個別指導の案内をしてきました。教える中身が無在庫転売だった時期は、およそ30人に1人が申し込みました。修理して売る方法に変えてからは、およそ100人に1人です。物語は、覚えてもらうためのものです。買う理由そのものは、商品と、相手との相性が決めます。

登場人物の型(アーキタイプ)は、私は意識して使っていません。ボグラーの本には、賢者、門番、影、といった登場人物の型も出てきます。物語を作る人には役に立つ道具です。ただ、私の発信の中身は、特定のキャラクターを演じることからではなく、自分との対話と内省から出てきました。12タイプの一覧と診断はアーキタイプ診断に置いてあります。

どの話にも当てはまるわけではありません。旅に出ない主人公、帰ってこない主人公の物語もあります。型は、書き終わったあとに「試練を省いていないか」「宝を盛っていないか」を点検する道具として使うのが、ちょうどよい距離です。

7. 自分の話を、4つの問いで書く

  1. 日常の世界:始める前、どこで、何に行き詰まっていたか。(場所と、年と、具体的な場面)
  2. 冒険への誘い:最初の「あれ?」は何だったか。(日付が浮かぶくらいの、小さな出来事)
  3. 最も危険な場所への接近:いちばん「自分はだめかもしれない」と思った場面はどこか。
  4. 宝を持っての帰還:何を手に入れて、何をしなくてよくなったか。(小さく、正確に)

この4つに答えを書いてから、文章にするところはAIに手伝わせてかまいません。逆の順番、つまり、AIに「感動的な起業ストーリーを書いて」と頼むと、誰の話でもない話が出てきます。材料と文章の分け方はコンテンツの作り方に書きました。

8. まとめ

  • ヒーローズジャーニー、英雄の旅、神話の法則は、同じ型の別の呼び名。キャンベルが17段階でまとめ、ボグラーが12ステージに整理した
  • 自分の話を書くなら、日常・誘い・接近・帰還の4つで足りる
  • 売る文章では、読む人を主人公にして、自分は「賢者」の席に座る
  • 事実を動かさない。宝を大きく書かない。試練を省かない
  • 物語は覚えてもらうためのもの。売れるかどうかは、商品と相手が決める

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