「ワイン投資」で調べて来られた方に、先に立場を明かします。
私はワインを投資として買ったことがありません。ただし、値上がりを待って寝かせるという手法は、別の商材でやったことがあります。そして、その手法から降りました。
この記事では、稼げるか稼げないかを断定しません。代わりに、実際にやると人が降りる場所を、順番に並べます。
8つあります。全部越えられるなら、この手法はあなたに向いています。
おもちゃで同じことをやったときは7つでした。ワインには、もう1つあります。8つ目は、ワインにしかありません。
まず、いちばん強い数字を認めておきます
否定から入る前に、肯定側の証拠を出します。
Fine Wineの取引所であるLiv-exが、市場の指数を公開しています。直近1年の数字は、こうです。
| 指数 | 直近1年 |
|---|---|
| Liv-ex Fine Wine 100 | +3.7% |
| Liv-ex Port 50 | +3.3% |
| Liv-ex Rhone 100 | +3.2% |
| Liv-ex Fine Wine 50 | +2.7% |
| Liv-ex Burgundy 150 | +2.6% |
| Liv-ex Champagne 50 | +1.9% |
| Liv-ex Fine Wine 1000 | +1.6% |
公開されている12の指数のうち、11がプラスです。市場は戻っています。これは事実として認めます。
そして5年で見てもプラスの指数が3つあります。
| 指数 | 5年 |
|---|---|
| Liv-ex Champagne 50 | +7.2% |
| Liv-ex Italy 100 | +3.0% |
| Liv-ex Burgundy 150 | +2.4% |
ここまでが肯定側です。問題は、そこから先です。
同じ表の、残りの9つ
| 指数 | 直近1年 | 5年 |
|---|---|---|
| Liv-ex Fine Wine 50 | +2.7% | −23.2% |
| Liv-ex Bordeaux 500 | +0.2% | −19.5% |
| Liv-ex Rhone 100 | +3.2% | −18.6% |
| Rest of the World 60 | −0.3% | −13.9% |
| Bordeaux Legends 40 | +1.7% | −12.9% |
| California 50 | +1.1% | −9.9% |
| Liv-ex Fine Wine 1000 | +1.6% | −9.1% |
| Liv-ex Fine Wine 100 | +3.7% | −8.6% |
| Liv-ex Port 50 | +3.3% | −8.2% |
5年で見ると、12のうち9がマイナスです。いちばん代表的な Fine Wine 50 は、5年で−23.2%。
直近1年はほぼ全部プラスで、5年ではほぼ全部マイナス。これは「回復している」であって、「戻った」ではありません。
そして、ここがこの記事の出発点です。
5年でいちばん良かった指数が+7.2%、いちばん悪かった指数が−23.2%。その差は30ポイントあります。
どちらも「ワイン」です。ワインを買うかどうかではなく、どのワインを買うかで、5年後が30ポイント変わっています。これは指数どうしの差なので、個別の銘柄はもっと散ります。
先に、この記事の前の版を取り下げます
このページには以前、「ワイン投資で資産を守る完全ガイド|年利10%超も可能な富裕層の秘密戦略」という記事を置いていました。取り下げます。
| 旧版に書いていたこと | なぜ取り下げるか |
|---|---|
| 「日本人投資家Aさんが3年で資産を2倍にした具体的な成功事例」 | これがいちばん悪い点です。そんな人はいません。実在しない人物の成績を「具体的な成功事例」として書いていました |
| 「過去20年間で高級ワインの価格は平均して年率12.4%上昇」 | 出典を示していませんでした。そしていま公開されている指数は、5年で12のうち9がマイナスです |
| 「秘密の抜け道」「富裕層だけが知る美味しい投資法」 | 秘密ではありません。Liv-exが指数を公開しています |
| 「ロマネ・コンティのように数百%も高騰する銘柄も存在する」 | 存在します。ただし、それを事前に特定できるとは限りません。最高の成功例を先に見せるのは、判断材料ではなく煽りです |
| 「万が一市場が崩壊しても『飲んで楽しむ』という選択肢がある唯一の投資商品」 | 飲めば、商品は消えます。これは出口ではなく、損失の確定です(段階4) |
| 「趣味と実益を兼ね備えた完璧な資産防衛術」 | 完璧な資産はありません |
段階1:定価では買えません
最初の壁がここです。
値上がりが見込まれる銘柄は、そもそも定価で確保できません。生産量が限られていて、輸入元や販売店の割当で流れていきます。買えなければ、その先の話は一切発生しません。
これは、おもちゃで抽選に外れるのと同じ構造です。ただし、ワインのほうが不利な点が1つあります。
抽選には誰でも応募できますが、割当には順番があります。
継続して買っている店の顧客が優先されます。つまり「まず、値上がりしないワインを買い続ける」ことが、条件になっている場合があります。その買い続けたぶんのコストは、あとで値上がり益から引かれます。
ここで降りる人が、いちばん多いはずです。「買えなかった」で終わるからです。
段階2:1本買えても、指数にはなりません
ここが、この手法でいちばん誤解されている部分です。
Liv-exの指数は、銘柄群の平均です。Fine Wine 100 は100銘柄、Fine Wine 1000 は1000銘柄の集合です。あなたが買う1本は、その集合ではありません。
指数どうしですら、5年で30ポイント開いています。個別の銘柄なら、その散らばりはもっと大きくなります。
「ワインは値上がりする」が正しくても、「あなたのワインが値上がりする」は別の話です。
点数を持てば勝てる、という話でもありません
私の実例を書きます。ワインではなく、別の商材です。
ゲームのサントラで、上がると思ったものを10枚買いました。上がったのは1枚だけです。残りは損切りして、トータルではマイナスで終わりました。
ここで分かることがあります。
点数を持つことは、平均に近づくための必要条件でしかありません。近づいた先の平均がプラスである保証は、どこにもありません。
そしてワインの場合、近づいた先の平均が、5年で−23.2%だった指数があります。
点数を持つと、次の段階に進みます。そしてワインでは、ここからが本番です。
段階3:置き場所ではなく、環境が要ります
おもちゃで寝かせをやるとき、段階3は「置き場所」でした。ワインでは、ここが変わります。
| おもちゃ | ワイン | |
|---|---|---|
| 押し入れに置けるか | 置けます(状態は落ちます) | 置けません |
| 要るもの | スペース | 温度・湿度・振動・光の管理 |
| 置き方 | 積まない | 横に寝かせる(コルクを乾かさないため) |
| 設備 | 不要 | セラー、または専門の倉庫 |
おもちゃで書いたことを、そのまま持ってきます。
1万円分の金は指先に乗りますが、1万円分のレゴは箱です。
ワインはこうなります。
1万円分のワインは、電源の入った箱です。
ここが決定的な違いです。おもちゃの保管は「置いておく」で始められますが、ワインの保管は最初の1本から設備が要ります。
そして設備には容量があります。段階2で「点数を持て」と書きましたが、点数を増やすには設備を増やすことになります。この2つは同時に効いてきます。
段階4:中身が生きているかは、開けるまで分かりません
ここが、ワイン投資でいちばん構造的に難しい部分です。
おもちゃの寝かせでも、同じ問題があります。未開封品は、開けた時点で「未開封」ではなくなるので、中身を確認できません。確認する行為そのものが、価値を壊します。
ワインは、それがもっと徹底しています。
| おもちゃ | ワイン | |
|---|---|---|
| 開けて確認したら | 「開封済み」として売れます | 商品が消えます |
| 劣化するのは | 主に外箱 | 中身そのもの |
| 外から分かること | 箱の状態は見えます | 液面の下がりは見えます |
| 外から分からないこと | 中身の樹脂・電池 | 中身が生きているかどうか |
| 間違いに気づくのは | 売るとき | 買った人が開けたとき |
いちばん下の行が重いです。
おもちゃなら、失敗は自分が売るときに分かります。ワインは、買った相手が開けたときに分かります。
「飲めばいい」は、出口ではありません
旧版に、こう書いていました。
「万が一市場が崩壊しても『飲んで楽しむ』という選択肢がある唯一の投資商品」
書き直します。
飲めば、その1本は消えます。10万円のワインを飲むというのは、10万円を消費したということです。資産としては、そこで終わりです。
これは出口ではなく、損失の確定に「楽しかった」を足しただけです。
もちろん、それが悪いという話ではありません。飲むために買うなら、最初からそう言えばいい。問題は、投資として説明しておいて、出口として飲用を挙げることです。それは出口の説明になっていません。
そして、修正がききません
おもちゃのときに書いたことが、そのまま当てはまります。
これは「気をつければいい」という話ではありません。構造として、途中で修正がきかないということです。
数年経ってから、最初の置き方が間違っていたと分かる可能性が、ずっと残り続けます。そしてワインの場合、それが分かるのは自分ではなく買い手です。
段階5:保管には、金がかかります
自宅にセラーを置くなら、設備費と電気代がかかります。そして電気代は、寝かせている年数だけ毎月かかり続けます。
専門の倉庫に預けるなら、保管料がかかります。料金は業者によって違うので、ここには金額を書きません。代わりに、計算の形だけ置きます。
保管の総額 = 月あたりの保管費 × 本数 × 寝かせる月数
| 書き込む | |
|---|---|
| 1本あたり月の保管費(電気代または倉庫料) | 円 |
| 持つ本数 | 本 |
| 寝かせる月数 | か月 |
| 保管の総額 | 円 |
| 1本あたりの保管費(総額 ÷ 本数) | 円 |
いちばん下が、値上がり益から引かれる金額です。指数の+7.2%は、ここを引く前の数字です。
ここに、ワイン特有の点が1つあります
おもちゃの保管では、止まっても在庫は残ります。倉庫の空調が止まっても、箱はそこにあります。
ワインでは違います。
保管が止まると、商品が失われます。
長期の停電、セラーの故障、引っ越し中の温度変化。おもちゃなら「状態が落ちる」で済むものが、ワインでは「商品でなくなる」になります。そして段階4のとおり、それが起きたかどうかは開けるまで分かりません。
段階6:その間、資金は止まっています
ここが本丸です。そして、ほとんどの解説がここを飛ばしています。
寝かせるというのは、買った瞬間から売れる日まで、その資金が使えないということです。
私は別の商材で同じことをやりました。廃番が決まった商品の残り在庫を買って、寝かせていました。数か月、物によっては1年以上、資金が止まりました。そして年間の利回りに直すと、決していい数字にはなりませんでした。
利幅そのものは大きく見えるのに、分母が長すぎるからです。
だから、利益額ではなく「利益 ÷ 拘束日数」で見てください
実数を出します。ワインではなく、私が実際にやった例です。
| ゲームの設定資料集 | |
|---|---|
| 買値 | 5,500円 |
| 売値 | 14,500円(2.6倍) |
| 年率に直すと | 20%台後半 |
| 手数料と送料を引いた手取り | 7,000円台 |
| 拘束された日数 | 約1,460日(4年) |
| 利益 ÷ 拘束日数 | 1日あたり5円前後 |
年率20%台後半です。Liv-exのどの指数よりも良い数字です。それでも1日5円でした。
率で勝っていても、回転で負けます。
そしてワインは、おもちゃより寝かせる期間が長いのが普通です。分母がさらに大きくなります。この考え方の出どころは別の記事に書きました。
そして、資金が止まると次が買えません
段階2に戻ります。平均に近づくには点数が要ります。ところが資金が止まっていると、点数を増やせません。
点数を増やすには回転が要る。回転を止めるのがこの手法。この2つは同時に成立しません。
解決策は1つしかありません。止めても困らない資金を、最初から持っていることです。そういう人にとっては、この手法は成立します。
資金と回転の関係はせどりで儲かるジャンルは全部で計算しました。
段階7:出口にも、手間と税がかかります
値上がりしても、売れるまでは紙の上の数字です。
売る作業は、そのまま時間です
撮影して、説明を書いて、出品して、質問に答えて、梱包して、発送する。1本ずつです。
そしてワインには、おもちゃにない手間があります。
| ワインの出口で要るもの | |
|---|---|
| 来歴の説明 | どこで買い、どこでどう保管していたか。これがないと、高額帯では買われません |
| 液面の写真 | 状態の証明として求められます |
| 温度を保った配送 | 送っている間に劣化させたら、売った意味がありません |
| 割れないための梱包 | 重く、割れます |
| 手数料 | フリマ・オークションで10%前後。専門のオークションはさらに条件が異なります |
「来歴」がこの商材の特徴です。おもちゃは、状態が良ければ来歴を問われません。ワインは、状態が外から見えないぶん、来歴が価格の一部になります。
つまり、保管の記録そのものが商品の一部です。記録を残していない期間は、値段が下がります。
税の器が、株とは違います
ここが「投資」という言葉のいちばん大きな穴です。条文を置きます。
所得税法 第33条第2項第1号
(譲渡所得に含まれないもの)
「たな卸資産(これに準ずる資産として政令で定めるものを含む。)の譲渡その他営利を目的として継続的に行なわれる資産の譲渡による所得」
言い換えます。
営利を目的として継続的に売っているなら、それは譲渡所得ではありません。
雑所得または事業所得になり、他の所得と合算されて累進で課税されます。株式の売却益が原則20.315%の分離課税であるのと、器が違います。
| 税の器 | |
|---|---|
| 上場株式の売却益 | 原則20.315%の分離課税。NISAの枠内なら非課税 |
| 営利目的で継続的に売った利益 | 雑所得または事業所得。他の所得と合算して累進 |
同じ「増えた10万円」でも、器が違えば手元に残る額が違います。指数と株価指数を並べて比べている解説を見かけますが、その比較を手取りでやっているものを、私はあまり見たことがありません。
「30万円を超えなければ非課税」という理解について
これもよく見かけるので、条文を置いておきます。
所得税法施行令 第25条(譲渡所得について非課税とされる生活用動産の範囲)
「法第九条第一項第九号(非課税所得)に規定する政令で定める資産は、生活に通常必要な動産のうち、次に掲げるもの(一個又は一組の価額が三十万円を超えるものに限る。)以外のものとする。
一 貴石、半貴石、貴金属、真珠及びこれらの製品、べつこう製品、さんご製品、こはく製品、ぞうげ製品並びに七宝製品
二 書画、こつとう及び美術工芸品」
ワインは、この列挙に出てきません。ただし、そもそもこの規定は生活用動産の話です。段階7の冒頭に書いたとおり、営利を目的として継続的に売っているなら、譲渡所得の話に入る前に器が変わります。
「30万円まで非課税」という理解で計画を立てないでください。
自分の規模と売り方がどちらに当たるかは、税理士に確認してください。私は税理士ではありません。
段階8:そして、売る免許が要ります
ここまでの7つは、おもちゃ投資と同じ構造です。ワインには、8つ目があります。
条文を置きます。
酒税法 第9条第1項(酒類の販売業免許)
「酒類の販売業又は販売の代理業若しくは媒介業(以下「販売業」と総称する。)をしようとする者は、政令で定める手続により、販売場(継続して販売業をする場所をいう。以下同じ。)ごとにその販売場の所在地(販売場を設けない場合には、住所地)の所轄税務署長の免許(以下「販売業免許」という。)を受けなければならない。」
ここが、おもちゃとの決定的な違いです
| おもちゃ | ワイン | |
|---|---|---|
| 買うのに免許 | 不要 | 不要 |
| 持つのに免許 | 不要 | 不要 |
| 継続して売るのに免許 | 不要 | 要ります |
そして条文の括弧の中を、もう一度見てください。
「販売場を設けない場合には、住所地」
店を持たないから関係ない、にはなりません。ネットだけで売る場合も、住所地の所轄税務署長の免許という形で規定されています。
つまり、順番が変わります
おもちゃ投資では、こうでした。
買う → 寝かせる → 売れるかどうか
ワイン投資では、こうなります。
買う → 寝かせる → 売っていいかどうか → 売れるかどうか
「売れない」より前に、「売ってはいけない」があります。そして、これは寝かせ終わってから気づくと手遅れです。免許の審査には時間がかかりますし、必ず下りるものでもありません。
線引きは、自分で判断しないでください
1本だけ手放すのと、継続して売るのとでは、扱いが変わり得ます。条文にある「継続して販売業をする場所」という言葉が、その線引きにあたる部分です。
自分の売り方がどちらに当たるかは、買う前に、所轄の税務署に自分の計画を具体的に説明して確認してください。これは私が判断できることではありませんし、ネットの解説で決めていい話でもありません。
この段階だけは、他の7つと性質が違います。他は「損をするかどうか」ですが、ここは「やっていいかどうか」です。
8つを通したあとで、もう一度比べてください
ここまでを、順に引いてみます。
| 段階 | ここで何が引かれるか |
|---|---|
| 1. 定価では買えない | そもそも参加できない。割当のために買い続けたぶんのコスト |
| 2. 1本では指数にならない | 点数が要る=必要な資金が跳ね上がる |
| 3. 環境が要る | 設備費。最初の1本から |
| 4. 中身が見えない | 守りきれなかったぶんの価値。しかも気づくのは買い手 |
| 5. 保管コスト | 電気代または倉庫料 × 本数 × 月数。止まれば商品が失われます |
| 6. 資金拘束 | その期間に他で稼げたはずの分 |
| 7. 出口 | 手数料・送料・作業時間・来歴の記録・税 |
| 8. 免許 | ここは金額ではありません。可否です |
指数の+7.2%や+3.7%は、この8つを引く前の数字です。
そして株式指数と比べるなら、もう1つ違いがあります。
株は必要になったとき、翌日には現金になります。ワインは、買い手が現れるまで現金になりません。そして売るのに免許が要ります。
それでも成立する条件
「誰がやっても無駄」という話ではありません。成立する条件があります。
| 条件 | 中身 |
|---|---|
| 止めても困らない資金がある | 生活費と切り離した資金で、数年動かさなくていい人 |
| 環境が確保できている | 追加のコストなしで、温度・湿度・振動・光を何年も保てる場所 |
| 点数を持てる | 1本や2本ではなく、平均に近づく数を買える |
| 売る資格の問題が片づいている | 段階8。買う前に確認が済んでいること |
| ワインが好き | 売れなくても、持っていて損した気にならない |
最後の1つは冗談ではありません。売れない期間が数年になったとき、投資として持っている人は精神的に持ちませんが、好きで持っている人は平気です。そして最悪の場合、飲めます。
ただし段階4で書いたとおり、飲むのは出口ではありません。それでも、損を確定させる方法としては、他の商材より気が楽だという言い方はできます。
この手法でいちばん必要なのは、待てることです。
逆に、「資金が小さいので大きく増やしたい」という動機で来た人には、いちばん向きません。資金が小さい人ほど、止められる期間が短いからです。
私が出した結論
ここまでを踏まえて、自分の場合を書きます。
私はワインを投資として買っていません。そして、寝かせという手法そのものからは、すでに降りています。降りた場所は段階6でした。
| 私がやったこと | 結果 |
|---|---|
| ゲームの設定資料集を4年寝かせた | 2.6倍。ただし手取り7,000円台、1日あたり5円前後 |
| ゲームのサントラを10枚買った | 上がったのは1枚。トータルではマイナス |
| 廃番品を寝かせた | 数か月〜1年以上、資金が止まった |
率が良く見える例と、金額で負ける例の両方を、自分でやりました。そして「普通に回していたほうがよかった」という結論になりました。
そのうえで、ワインを外から見るとこうなります
おもちゃで降りた段階6は、ワインではさらに厳しくなります。寝かせる期間が長いからです。
そして、おもちゃにはなかった段階が3つ足されます。
| ワインで足される負担 | |
|---|---|
| 段階3 | 最初の1本から設備が要ります |
| 段階5 | 保管が止まると、状態が落ちるのではなく商品が失われます |
| 段階8 | 売るのに免許が要ります |
おもちゃの寝かせで段階6に耐えられなかった人間から見ると、ワインは同じ構造をより厳しい条件でやるものに見えます。
これは私が自分の条件で出した見方です。金融商品を勧めているわけでも、やめろと言っているわけでもありません。私は投資助言を行う立場にありません。資金量も、環境も、待てる期間も人によって違うので、上の8段階を自分の条件で通してみてください。
資金が小さいなら、逆の性質を選ぶ
待てない側にいるなら、方向が逆になります。
待つことで増える資産の反対は、手を入れることで増える資産です。
状態を直す、部品を替える、説明を書く。時間はかかりますが、値上がりを待つのと違って、自分の作業で結果が決まります。
そして、そちらには競争相手が少ないという性質があります。大手が値を付けられない商品には、値を付けている人がほとんどいません。考え方は買取ビジネスは儲からないのかにまとめました。
同じ「寝かせ」をおもちゃで検算したものはおもちゃ投資は稼げるのかに、レゴ単体での検算はレゴ投資は儲かるのかにあります。この記事は、その2本と同じ形をしています。
よくある質問
ワイン投資は儲かりますか
Liv-exの指数では、直近1年は12のうち11がプラスです。ただし5年で見ると、12のうち9がマイナスです。いちばん代表的なFine Wine 50は5年で−23.2%でした。
そしてこれは指数の数字であって、手数料・保管費・税を引く前のものです。あなたが買う1本の数字でもありません。
何から始めればいいですか
買う前に、段階8を確認してください。継続して売るつもりなら、酒類販売業免許の話が先に来ます。所轄の税務署に、自分の計画を説明して聞いてください。
その次が、保管環境と、止めても困らない資金の額です。この2つが決まらないうちに買うと、途中で売らざるを得なくなります。途中で売ると、この手法は成立しません。
自宅の冷暗所に置いておけば、保管費はゼロですか
費用はゼロですが、条件は満たせていない可能性があります。温度・湿度・振動・光の4つを同時に、何年も管理する必要があります。
そして段階4のとおり、うまくいっていたかどうかは開けるまで分かりません。ワインの場合、開けるのは自分ではなく買い手です。
飲まずに置いておけば、損はしませんか
置いている間も、保管費と資金拘束は発生し続けます。そして中身は劣化します。
「持っているだけ」は無料ではありません。
ワインファンドや関連株はどうですか
それは、この記事の話ではありません。ワインそのものを買って保管して売るのがワイン投資で、ファンドの持分や株式を買うのは金融商品への投資です。段階3から段階8までが、まるごと関係なくなります。
別のものなので、別に判断してください。そして私は、そちらについて助言できる立場にありません。
Liv-exの指数はどこで見られますか
Liv-exが公開しています。この記事の出典に置きました。販売する側が出す上昇率ではなく、市場の指数と比べてください。
個別の銘柄が+10%でも、その期間に指数が+20%なら、上がったから成功したことにはなりません。
SP500と比べてどうですか
比べるなら、手取りで比べてください。段階7に書いたとおり、税の器が違います。株式の売却益は原則20.315%の分離課税で、営利目的で継続的に売った利益は雑所得または事業所得です。
そして、株には段階3・4・5・8がありません。
まとめ
- 直近1年は、公開されている12の指数のうち11がプラスです。市場は戻っています。これは認めます
- ただし5年で見ると、12のうち9がマイナスです。Fine Wine 50は−23.2%、Bordeaux 500は−19.5%でした
- 5年でいちばん良かった指数と悪かった指数の差は30ポイントあります。どちらも「ワイン」です。これは指数どうしの差なので、個別銘柄はもっと散ります
- 段階1:定価では買えません。割当のために、値上がりしないワインを買い続けることが条件になっている場合があります
- 段階2:1本買っても、指数にはなりません。点数を持つのは平均に近づくための必要条件でしかなく、近づいた先がプラスとは限りません
- 段階3:置き場所ではなく環境が要ります。1万円分のワインは、電源の入った箱です。最初の1本から設備が要ります
- 段階4:中身が生きているかは開けるまで分かりません。そしてワインでは、開けるのは買い手です。失敗に気づくのが自分ではありません
- 「飲めばいい」は出口ではありません。飲めば商品は消えます。損失の確定に「楽しかった」を足しただけです
- 段階5:保管が止まると、状態が落ちるのではなく商品が失われます
- 段階6:資金が止まります。私が4年寝かせた例は、2.6倍・年率20%台後半でも、1日あたり5円前後でした。率で勝っても回転で負けます
- 段階7:来歴の記録が商品の一部です。そして税の器が株と違います。営利目的で継続的に売った利益は、譲渡所得ではありません(所得税法33条2項1号)
- 段階8:売るのに免許が要ります(酒税法9条1項)。「販売場を設けない場合には、住所地」と書かれているので、ネットだけでも同じです
- この8つ目だけ、性質が違います。他の7つは「損をするかどうか」ですが、ここは「やっていいかどうか」です。そして寝かせ終わってから気づくと手遅れです
- おもちゃ投資は7段階でした。ワインは8段階で、そのうち3つがより厳しくなっています
最後に1つ。この記事は「ワインはやめておけ」という話ではありません。
Champagne 50は5年で+7.2%、Burgundy 150は+2.4%、Italy 100は+3.0%です。プラスの領域は実在します。ただし、そこにたどり着くまでに降りる場所が8つある。それを買う前に数えてほしい、というだけの記事です。
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この記事で参照した情報源
| 内容 | 出典 |
|---|---|
| Fine Wine 50 / 100 / 1000、Bordeaux 500、Burgundy 150、Champagne 50、Italy 100 ほかの指数値と1年・5年騰落率 | Liv-ex Indices |
| Liv-exの位置づけ(fine wineの取引所であること) | Liv-ex |
| 酒類の販売業免許(酒税法第9条第1項) | e-Gov法令検索 酒税法 |
| 酒類の販売業免許の申請 | 国税庁 酒類の免許 |
| 譲渡所得に含まれないもの(所得税法第33条第2項第1号) | e-Gov法令検索 所得税法 |
| 譲渡所得について非課税とされる生活用動産の範囲(所得税法施行令第25条) | e-Gov法令検索 所得税法施行令 |
この記事の数字について
Liv-exの指数値と騰落率は、本記事の執筆時点で同社が公開していたものです。指数は日々変動します。実際に判断する前に、必ず最新の数値をご自身で確認してください。
本文中の保管費・拘束日数の記入欄は、計算のための枠です。金額はご自身の見積もりに置き換えてください。私が実際にやった例として挙げている数字(設定資料集の4年・1日5円前後、サントラ10枚)は、ワインではなく別の商材でのものです。
私は投資助言・代理業者ではありません。この記事は特定の銘柄・商品・手法を推奨するものではなく、特定の収益を保証するものでもありません。投資の判断は、ご自身の責任で行ってください。
酒類の販売業免許が必要かどうかは、販売の方法・継続性・規模によって変わります。買う前に、所轄の税務署にご自身の計画を具体的に説明して確認してください。税務上の扱いについては税理士にご相談ください。法令は改正されます。実行の前に、必ず最新の原典をご確認ください。
最終更新:2026年8月31日

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