「アウトレットせどり」で調べて来られた方に、先に立場を明かします。
私はアウトレットで仕入れていた時期があります。ティファールやアディダスのように値引き率が決まっている店舗に行って、買って、Amazonで売っていました。いまは店舗を回る仕入れから離れていて、中古品の買取・修理・販売が中心です。20年ほどこの商売を続けています。
そのうえで、この記事に書かないものを先に書いておきます。
モール別の攻略法は書きません。御殿場や木更津に何度も通っていたわけではないので、書けば嘘になります。ブランドのおすすめリストも書きません。ブランド名を並べるだけの記事は、いま検索すればいくらでも出てきます。
代わりに書くのは、私が実際に見ていた1つの条件と、割引率が判断材料にならない理由です。
結論:私が見ていたのは、割引率ではありませんでした
当時やっていたことを、そのまま書きます。
アディダスのアウトレット店では、値引き率が50%で固定されていました。つまり定価の半額で買えます。そしてAmazonで定価のまま出せば、その50%がそのまま利益率になります。
ここまでは、誰でも思いつきます。問題は、定価で出して本当に売れるのかです。
売れる商品には、共通点がありました。
Amazonでその商品が欠品していて、しかもレビューが入っている。
この2つが揃っているものを仕入れて、出品して、放置する。それだけで売れました。値下げも、写真の工夫も、タイトルの調整もしていません。
なぜ、この2つなのか
それぞれが何を意味しているかを分けると、理由が出ます。
- レビューが入っている=過去に売れた証拠です。需要があることが、他人の手で証明されています。自分で予想する必要がありません
- 欠品している=いま供給がありません。出品者がゼロなら、価格を比べられる相手がいません
この2つが同時に成立している棚は、需要が確認済みで、競合がいない状態です。
だから定価で出せます。安くする理由がありません。そして安くしないので、値引き分の50%がまるごと残ります。
逆に言えば、50%引きで買えたこと自体は、利益の理由ではありません。同じ50%引きでも、出品者が20人いる商品を買えば、価格は下がるところまで下がります。
利益を作っていたのは割引率ではなく、競合がいない棚を選んだことでした。
この構造は、アウトレットに限りません
私は中古品の買取でも同じことをしています。大手の査定表に載らない商品には、値を付けている人がほとんどいません。値を付けている人がいなければ、価格競争という現象そのものが起きません。
整理は買取ビジネスは儲からないのかに書きました。やっていることは、アウトレットの棚で「欠品していてレビューがある」を探すのと同じです。
アウトレットが特殊なのは、正規の流通から消えた商品が、値引きされて物理的にそこに置いてあるという点だけです。場所の性質であって、安さの性質ではありません。
正直に書きます。当時と同じことは、いまはできません
ここを飛ばすと、この記事は嘘になります。
当時は出品規制がありませんでした。ティファールもアディダスも、新品でそのまま出せました。
いまは多くのブランドが、出品に申請と書類を必要とします。つまり「買ってきて出すだけ」という部分が、そのまま成立しません。
そして規制については、もう1つ書いておくことがあります。外せる規制は、参入障壁になりません。申請すれば通るなら、通した人が全員入ってきます。手続きの中身と、その考え方はレゴ投資は儲かるのかを検算した記事にまとめました。
つまり、いまアウトレットで昔と同じ結果は出ません。ただし、見ていた条件のほうは、いまも使えます。「需要が実証されていて、供給が切れている」は、規制とは無関係に成立する条件だからです。
割引率が判断材料にならない、制度上の理由
ここからは、私の実感ではなく制度の話です。
「定価30,000円→70%OFF」という表示を見たとき、その30,000円が何なのかを考えたことがあるでしょうか。
消費者庁の価格表示ガイドラインには、比較対照価格の要件が書かれています。過去の販売価格を持ち出す場合の要件は、こうです。
「二重価格表示を行う最近時(最近時については、セール開始時点からさかのぼる8週間について検討されるものとする…)」、そして「当該価格で販売されていた期間が当該商品が販売されていた期間の過半を占めているとき」に「最近相当期間にわたって販売されていた価格」とみてよい、とされています。さらに「通算して2週間未満の場合、又は当該価格で販売された最後の日から2週間以上経過している場合」は、そうはいえない、とされています。
メーカー希望小売価格についても要件があります。「製造業者等により設定され、あらかじめ公表されているとはいえない価格を、希望小売価格と称して比較対照価格に用いるときには、一般消費者に販売価格が安いとの誤認を与え、不当表示に該当するおそれがある」と書かれています。
ここから何が言えるか
要件があるということは、「元価格」が何を指しているかは1種類ではないということです。
そして、せどりの判断にとって決定的な事実がここにあります。
あなたが仕入れたい商品の相場は、その店の元価格とは無関係に決まっています。相場を決めているのは、二次流通で実際にいくらで取引されたかです。
だから、割引率が何%であっても、判断は変わりません。90%OFFでも売値より高ければ赤字ですし、20%OFFでも売値より安ければ利益です。
割引率を見て仕入れるというのは、分母が不明な数字を根拠に判断しているということです。
アウトレットに並んでいる商品を、3つに分けます
ブランドで分けても意味がありません。「なぜ値下がりしているか」で分けてください。ここが判断の分かれ目になります。
| 種類 | 何が起きているか | 二次流通での扱い |
|---|---|---|
| 正規流通の売れ残り | 通常店舗で売られていたものが流れてきた | 相場が引ける。型番で過去の取引を確認できる |
| 廃番・型落ち | 現行品でなくなり、供給が止まる | ここが本命。供給が減る一方なので、欠品が起こりやすい |
| アウトレット向けの商品 | そもそも通常店舗で売られていない | 相場が引けない。比較対象になる取引履歴がない |
3つ目が、いちばん危ない種類です。通常の流通に乗っていない以上、「過去にいくらで売れたか」という記録が存在しません。そして記録が存在しないということは、レビューも付いていないということです。
私が見ていた条件で言えば、この種類は最初から候補に入りません。レビューがないからです。
見分け方は、割引率ではなく型番です
店頭でやることは1つです。タグの型番を、そのまま検索してください。
- 型番で過去の取引が出てくる……正規流通に乗っていた商品です。相場が引けます
- 型番で何も出てこない……相場が引けません。安く見えても、比較できるものがありません
POPや値札の割引率は見なくていいです。見るのは型番と、その型番で出てくる取引履歴だけです。
値下がりしている理由で、期待できるものが変わります
もう少し細かく分けると、狙う理由がはっきりします。
| 値下がりの理由 | 二次流通で何が起きるか |
|---|---|
| 廃番 | 供給が止まる。欠品が起こりやすい |
| 型落ち(新モデル発売) | 旧モデルを指名で探す層が残る |
| 季節外れ | 次のシーズンまで待てば需要が戻る。ただし資金が止まる |
| サイズ偏り | 店頭では売れないサイズが、全国の需要には接続する |
| カラー不人気 | 同上。店頭の客層と、二次流通の客層は違う |
| 箱・外装の難 | 中身が同じなら、状態を明記して売れる |
サイズ偏りが、私の場合はいちばん効きました。アディダスの靴は、店頭で売れ残るサイズが決まっています。そしてそのサイズが、Amazonでは欠品していました。
店舗にとっては「売れないから残っている」ものが、全国から探す人が来る場所では「探しても無い」ものになります。同じ在庫が、置く場所で逆の意味になります。
そして、仕入れない判断のほうが重要です
利益が出そうに見えても、仕入れないほうがいい場合があります。基準は利益額ではありません。
- 出品者が多い……欠品していないなら、価格は下がる方向にしか動きません
- レビューがない……売れた記録がありません。需要を自分で予想することになります
- 型番で何も出てこない……相場が引けません
- 売れるまでの想定日数が長い……利益額が同じでも、資金が止まる期間が違います
- 季節を待つ前提になっている……次のシーズンまで在庫を抱える体力が要ります
最後の2つは、同じことを言っています。利益額ではなく「利益 ÷ 拘束日数」で見てください。
3,000円の利益が2週間で戻るのと、5,000円の利益が半年戻らないのは、まったく別の商売です。そして店舗仕入れでは、後者のほうが「大きく見える」ので選ばれがちです。検算の方法は利益を拘束日数で割って見た記事に書きました。
行くかどうかも、計算で決められます
アウトレットは、たいてい遠くにあります。だから、1日分の判断がそのまま損益になります。
店舗仕入れの成否は、その日の運ではなく、測っているかどうかで決まります。1日あたりの実質を出す式は、こうなります。
1日の実質 =(仕入れた商品の想定利益の合計)- 交通費 - その他経費
時間あたりに直すなら、これを移動時間を含めた拘束時間で割ってください。朝出て夕方帰るなら、8時間や10時間になります。
この数字を1回でも出すと、判断が変わります。「今日は3万円の利益商品が見つかった」が、必ずしも良い1日ではなくなるからです。
店舗仕入れが続かなくなる理由は、たいてい腕ではなくここにあります。整理は店舗せどりが儲からない本当の理由に書きました。私自身、店舗を回る仕入れからは体力の問題で離れています。その経緯はビームせどりで終わったのは何だったのかにあります。
行く前にやることと、行ってからやること
いまなら、現地でやる作業はかなり減らせます。分けて考えてください。
| 行く前(画面でできる) | 現地(現物がないとできない) |
|---|---|
| 入っているブランドの確認 | タグの型番の確認 |
| セール期間の確認 | 店頭価格の確認 |
| 扱うブランドの出品条件の確認 | 実物の状態・傷の確認 |
| 候補の型番で、欠品とレビューの確認 | 在庫数の確認 |
| 過去の取引価格の確認 | 最終的な仕入れ判断 |
左側は、家で全部終わります。そして左側を終わらせずに行くと、現地でスマホを見ている時間が、そのまま拘束時間になります。
いちばん先に確認すべきなのは、扱うブランドの出品条件です。買ってから出せないと分かるのが、最悪の順番です。
よくある質問
アウトレットせどりは儲かりますか
割引率を見ているうちは、儲かりません。50%引きで買っても、出品者が並んでいる商品なら価格は下がります。見るのは割引率ではなく、その型番が欠品しているかと、レビューがあるかです。
どのアウトレットに行けばいいですか
私は特定のモールを推せる立場にありません。何度も通っていたわけではないからです。選ぶ基準を挙げるなら、扱いたいブランドが入っていることと、往復の時間が短いことです。遠いほど、1日の拘束時間が伸びて、時間あたりの数字が落ちます。
アウトレット専用の商品は買ってはいけませんか
「買ってはいけない」ではなく「相場が引けない」です。通常の流通に乗っていない商品には、過去の取引記録がありません。記録がなければ、いくらで売れるかを判断する材料がありません。型番を検索して何も出てこないなら、そういう商品です。
B品や訳あり品はどうですか
状態を正確に書けるなら、選択肢になります。ただし新品として出すことはできません。状態の説明が曖昧なまま出すと、返品とクレームで利益が消えます。安く買えた分は、説明の手間で払うことになります。
ハイブランドを扱えば利益が大きくなりますか
単価は上がりますが、真贋の申し立てを受けたときに必要な書類のハードルも上がります。そして小売店で買ったときの領収書は、仕入先の請求書としての要件を満たさない場合があります。単価の大きさと、扱いやすさは別です。
免税で買った商品を転売できますか
免税は、日本国外に持ち出す前提の制度です。国内で転売する前提の購入には使えません。ここは制度の話なので、自分の立場で該当するかを確認してください。
初心者は何から始めればいいですか
行く前に、扱いたいブランドの出品条件を確認してください。そのうえで、そのブランドの型番をいくつか調べて、欠品していてレビューがあるものが実際に存在するかを見てください。存在しないなら、そのブランドは行っても始まりません。ここまでは1円もかからず、家で終わります。
まとめ
- 私が見ていたのは割引率ではなく「Amazonで欠品していて、レビューが入っている」の2条件。これが揃った商品は、定価で出して放置しても売れた
- レビュー=需要が他人の手で証明されている。欠品=競合がいない。この2つが揃うと、価格を下げる理由がなくなる
- 50%引きで買えたことは、利益の理由ではない。同じ50%引きでも、出品者が並んでいれば価格は下がる
- 当時は出品規制がなく、そのまま出せた。いまは申請と書類が要る。ここは再現しません。ただし条件のほうは規制と無関係に成立します
- 割引率は判断に使えない。比較対照価格には制度上の要件があり、何と比べた割引かで意味が変わります。相場を決めているのは二次流通の実売価格です
- ブランドではなく、値下がりの理由で分ける。廃番・型落ち・季節外れ・サイズ偏り・カラー・外装難
- サイズ偏りが効く。店頭で売れ残るサイズが、全国の需要には接続する
- 店頭で見るのは型番だけ。型番で取引履歴が出なければ、相場が引けない商品です
- 仕入れる基準は利益額ではなく「利益 ÷ 拘束日数」。季節を待つ前提の商品は、資金が止まります
- 1日の実質=想定利益の合計 - 交通費 - その他経費。これを移動込みの拘束時間で割ると、行くべきかが出ます
アウトレットせどりが「安く買う技術」だと思われているうちは、割引率の大きい店を探すことになります。ただ、割引率はその店の中でしか意味を持ちません。
値段を決めているのは、いつも別の場所です。その別の場所で、欲しい人がいて、売っている人がいない。探すのはそれだけです。
Sources:消費者庁「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」(比較対照価格の要件・最近相当期間・希望小売価格の取扱い)
