店舗せどりが儲からない本当の理由は「測っていない」から|2007年から見てきた3つの数字

店舗せどり儲からない せどり

朝から車を出して、5店舗回った。

Keepaを開いては閉じ、棚の前でしゃがみ、また立ち上がる。気づけば夕方で、収穫はゼロ。消えたのはガソリン代と、半日という時間だけ。

帰り道の信号待ちで、スマホに「店舗せどり 儲からない」と打ち込む。

出てくる記事は、だいたい同じことを書いています。「リサーチが足りない」「行動量が足りない」「継続すれば結果は出る」。

——それは、原因ではありません。結果です。

本当の問題は、あなたのせどりが儲かっているのか儲かっていないのかを、判断するための物差しを持っていないことにあります。だから「今日はダメだった」で処理するしかなく、翌週も同じ店に同じ時間に行き、同じ結果になる。

この記事では、店舗せどりを「利益÷拘束時間」「来店タイミング」「在庫の滞留日数」という3つの数字に分解します。感覚でやっていた仕入れを、Excelとデータで判断できる作業に変える手順です。

読み終えたとき、「今日はダメだった」という感想は、「この店舗の水曜午前は切る」という判断に変わります。続けるか辞めるかを、感情ではなく数字で決められるようになります。


最初に、私の立ち位置をはっきりさせておきます

この手の記事で一番危険なのは、書き手が今どこにいるのかを隠したまま語ることです。先に書いておきます。

私は現役の店舗せどりプレイヤーではありません。

私が店舗せどりを始めたのは2007年頃です。当時は中古本のアービトラージから入り、そこからブランド品の修理・再生、ニッチな電子機器の修理、レトロゲーム機の買取へと事業を移してきました。今は「仕入れて売る側」ではなく、**「買い取る側」「直して価値を足す側」**にいます。

ですから、この記事に「私が先月回った○店舗のデータ」は出てきません。持っていないものを出すことはできませんし、それらしい数字をでっち上げるのは、この記事が批判している「精神論の記事」より悪質だと考えています。

その代わりに出せるものが2つあります。

  1. 2007年から現在までの、市場が壊れていく過程を実際に見てきたこと
  2. 買い取る側・値付けする側から見た、在庫の歪みがどこで生まれるかという視点

そして何より、この記事の中心にあるのは計測の設計そのものです。数字はあなたが自分の圏内で取ってください。私が提供するのは、何をどう測り、どう並べ替えれば判断できるようになるかという型です。


1. 結論:儲からない原因は「努力不足」ではなく「未計測」

1-1. 多くの人は、仕入れられなかった日を”感情”で処理している

1-1-1. 「今日はダメだった」は記録ではなく感想

ボウズだった日、あなたは何を残していますか。

おそらく、何も残していません。仕入れができた日はスプレッドシートに商品名と仕入値を打ち込むけれど、ゼロだった日は何も書かずに終わる。これが最初の、そして最大の落とし穴です。

ゼロの日を記録しないと、母数が永久に貯まりません。

3回に1回しか当たらない店と、10回に1回しか当たらない店。当たった日の記録だけを見ていると、この2つは見分けがつきません。どちらも「あの店で仕入れられたことがある」という記憶として、等価に保存されてしまうからです。

そして人間の記憶は、成功例を優先的に思い出すようにできています。一度大きな利益商品が取れた店は、その後10回空振りしても「あそこは出る店」として残り続ける。あなたのルートには、そうやって残り続けている店が必ず混ざっています。

1-1-2. 記録がないと、原因の切り分けが永久にできない

仕入れられなかった。その原因の候補は、少なくとも4つあります。

  • 店舗が悪い(そもそも歪みが発生しにくい店)
  • 時間帯が悪い(歪みは発生するが、その時刻には既に取られている)
  • ジャンルが悪い(自分が見ている棚に歪みがない)
  • 自分が悪い(判断基準や検索速度の問題)

記録がなければ、この4つは一生切り分けられません。そして切り分けられないまま「たぶん自分の努力が足りない」という、最も検証しづらい仮説に落ち着く。

競合記事が「行動量を増やせ」と書くのは、実は不誠実というよりそれしか言えないからです。切り分けができていない相手に対して、試行回数を増やせという以外に助言のしようがない。

でも、切り分けはできます。記録さえあれば。

1-2. 儲かっている人が見ているのは、粗利ではなく「時間あたり粗利」

1-2-1. 拘束時間を過小申告していないか

「今月は月利5万円だった」

この数字だけを見ている限り、良いのか悪いのかは判断できません。分母がないからです。

店舗せどりの拘束時間は、店内にいる時間だけではありません。

工程 見落とされがちな理由
移動時間 「運転は作業じゃない」と無意識に除外される
店内滞在時間 ここだけは数えている人が多い
検品・クリーニング 「ながらでやっている」ので計上されない
出品・撮影・採寸 夜の自由時間に溶けている
梱包・発送・納品 「ついで」で処理されている
リサーチ・情報収集 趣味との境界が曖昧

このうち店内滞在だけを数えて「効率がいい」と判断しているケースが、非常に多い。

1-2-2. 時給に換算した瞬間に見えるもの

計算してみます。以下は私の実測値ではなく、計算の型を示すための例です。

  • 月利:50,000円
  • 月間拘束時間:80時間(週20時間 × 4週)
  • 時間単価:625円

さらに交通費を引きます。

  • ガソリン代・駐車場代:月12,000円
  • 実質:38,000円 ÷ 80時間 = 475円/h

この数字を見て「安い」と思ったなら、正常な判断力があります。

ただし、ここで即座に「だから店舗せどりはダメだ」と結論づけないでください。重要なのはこの数字が出せるようになったこと自体です。数字が出れば、改善対象が特定できます。分子を上げるのか、分母を下げるのか。どの店舗が分母を食っているのか。

測っていない人には、この問いすら立てられません。

1-2-3. 「利益は小さいが近い店」が最強である場合

時間あたりで見ると、評価が逆転する店が必ず出てきます。

片道40分かけて行く店で1回あたり8,000円の粗利。往復80分+滞在40分=2時間なので、時間あたり4,000円。

片道5分の店で1回あたり2,000円の粗利。往復10分+滞在20分=30分なので、時間あたり4,000円

同じです。しかも近い店は、通勤の帰りに寄れる、雨の日でも行ける、1日に2回チェックできる、という追加の優位性があります。

粗利額で店舗をランキングしている限り、この逆転は絶対に見えません。

1-3. この記事で扱う3つの指標

以降、すべての話はこの3つに紐づきます。

指標 測るもの 答えが出る問い
① 時間あたり期待粗利 粗利 ÷ 拘束時間 どの店を切るべきか
② 来店タイミング分布 曜日 × 時間帯 × 成果 いつ行くべきか
③ 在庫の滞留日数 仕入から入金までの日数 いくら仕入れられるか

2. 前提の確認:2007年から何が変わり、何が変わっていないのか

2-1. 私が始めた頃は、正直に言って誰でも稼げた

2-1-1. 100円の棚に、800円で売れる本が並んでいた

2007年頃の中古本市場は、今から見ると信じられない状態でした。

100円コーナーに、800円や1,000円以上で売れる本がゴロゴロ置いてあった。特別な嗅覚は要りません。バーコードを読み取る端末を持って棚の端から端までなぞれば、それだけで仕入れが成立していました。

私が今こうして事業を続けていられるのは、能力があったからというより、歪みが巨大だった時期に、たまたまそこにいたからです。これは実力の話ではなく、タイミングの話です。

2-1-2. なぜその歪みが存在したのか

理由ははっきりしています。情報の非対称性です。

当時、店舗側は自店の中古在庫がネット上でいくらで売れているかを、リアルタイムで把握していませんでした。値付けは主に状態と発行年、そして棚の回転で決まっていた。一方でせどり側は、相場データベースへのアクセスを持っていた。

片方だけが相場を知っている。だから歪みが生まれた。

2-2. デジタル化で、主戦場そのものが縮小した

2-2-1. 本・CD・ゲームという一次市場の構造変化

その後に起きたことは、ご存知の通りです。

電子書籍、サブスクリプション型の音楽配信、ゲームのダウンロード販売。物理メディアそのものの流通量が減りました。中古市場に流れ込む「元」が減れば、そこから拾える歪みの総量も減ります。

これは景気の波ではなく、構造の変化です。元には戻りません。

2-2-2. そこへライバルが流入した

さらに、副業ブームとノウハウ販売の拡大によって、参入者は増え続けました。

市場のパイが縮小し、参加者が増えた。難易度は上がっています。これは事実として認めます。

「今でも余裕で月100万円稼げます」と書いてある記事があったら、その先に何を売りたいのかを疑ってください。**私は、難易度が上がったことを認めます。**その上で話を続けます。

2-3. しかし、変わっていないものが一つだけある

2-3-1. 店舗せどりの本質は「処分ニーズの歪み」を取ること

ここが、この記事の中核です。

店舗せどりとは何をしているビジネスか。安く買って高く売る、では説明が粗すぎます。正確にはこうです。

店舗せどりとは、店舗側に発生する「在庫を処分したいというニーズ」が生む価格の歪みを、取りに行くビジネスである。

新品であれ中古であれ、小売店は必ず余剰在庫を抱えます。そして新商品が投入されれば、旧製品を棚から外して処分しなければならない。棚の面積は有限だからです。

このとき、店舗にとっての商品の価値は「相場価格」ではなく「その棚を空けることの価値」に変わります。ここで歪みが発生します。

2-3-2. 歪みの発生源は、カレンダーで決まっている

そして重要なことに、この処分ニーズはランダムに発生しません

  • 新モデル投入前後の型落ち処分
  • 季節商品のシーズン終了
  • 棚替え・レイアウト変更
  • 決算期の在庫圧縮
  • 買取が集中した直後の在庫過多

いずれも、店舗の運営サイクルに紐づいています。つまり時間軸上のどこかに集中しているということです。

2-3-3. 歪みは消えていない。外しているのは発生タイミング

小売店が在庫を持ち、棚が有限で、新商品が投入され続ける限り、処分ニーズは構造的に消えません。だから歪みも消えません。

私は今、買い取る側にいます。この立場から言えることがあります。**在庫が過剰になる瞬間、値付けが相場から離れる瞬間は、今も日常的に発生しています。**それは中古も新品も同じです。

では、なぜあなたは取れないのか。

2-4. 「儲からない」の正体は、歪みの発生時刻にその場にいないこと

答えはこれです。

歪みが発生する時刻に、あなたがその店にいない。あるいは、いても既に誰かが取った後である。

問題は、時代でも、才能でも、飽和でもありません。時間座標の問題です。

そして時間座標の問題であるならば、これは測定と設計で解ける問題だということになります。


3. 儲からない人に共通する、5つの構造的失敗

3-1. 失敗①:回っている店舗数が絶対的に足りない

3-1-1. 圏内に、実際は何店舗ありますか

地図アプリを開いて、自宅から片道30分圏内を数えてみてください。

中古を扱う店だけでも、大手チェーンのリユース店、地域のリサイクルショップ、古本店、中古ゲーム店を合わせれば30店舗以上あるはずです。新品も対象にするなら、家電量販店、ホームセンター、ドラッグストア、量販型スーパー、専門店を含めて50店舗以上が仕入先候補になります。

一方で、儲からないと言っている人の多くは、実際には3〜5店舗をぐるぐる回っているだけです。

3-1-2. 全店舗を回って利益ゼロは、構造上ほぼ起こり得ない

ここは数理の話です。

処分ニーズの発生は、店舗ごとにほぼ独立した事象です。A店の棚替えとB店の決算セールは連動しません。つまり、店舗数を増やすことは独立試行の回数を増やすことに相当します。

各店舗で歪みに遭遇する確率がどれだけ低くても、独立試行が50回あれば、少なくとも1回も遭遇しない確率は急速に小さくなります。

50店舗すべてを回って、利益が全く出ないという状態は、構造上ほとんど起こりません。もしそうなっているなら、原因は店舗数ではなく判断基準の側にあります。

ただし——ここが重要ですが——**50店舗を毎回回れという話ではありません。**50店舗を測って、回るべき店を絞り込めという話です。

3-2. 失敗②:来店タイミングが競合と丸かぶりしている

3-2-1. 店舗せどりは、本質的にタイミングゲーである

ここまでの話を統合すると、こうなります。

歪みはカレンダーに沿って発生する。ライバルは増えている。同じ店に複数のせどらーが通っている。

この条件下で勝敗を決めるのは、誰が先にその場にいたかです。商品知識でも、判断の速さでもありません。到着順です。

3-2-2. あなたはサイクルを把握していますか

  • その店の値下げシールが貼られる曜日
  • 買取品が棚に並ぶタイミング
  • 棚替えが行われる週
  • 開店直後と閉店前で、棚の中身がどう違うか

これらを把握しないまま通っている限り、あなたは常に「誰かが取った後の棚」を見ていることになります。

3-2-3. 土日昼しか動けないなら、土日昼で勝てる店を選ぶ

会社員の副業なら、動ける時間は限られます。これは変えられません。

だからこそ、逆算します。「土日の昼にライバルが少ない店はどこか」を測って特定する。競合が平日夜に来る店なら、土日昼のあなたには勝機があります。

時間帯を店に合わせるのではなく、店を時間帯に合わせる。

3-3. 失敗③:神店舗への依存

3-3-1. あなたが神店舗だと知っている店は、ライバルも知っている

「あの店は出る」という評判は、必ず共有されます。SNSでも、コミュニティでも、単に駐車場で顔を合わせることでも。

神店舗であるという事実は、そのまま競合密度が高いという事実とセットになっています。

3-3-2. 見落とされている「塩店舗 × 競合不在」

2×2で整理します。

競合が多い 競合が少ない
歪みが多い(神店舗) 激戦区。到着順の勝負 理想。ただし稀
歪みが少ない(塩店舗) 最悪。行く価値なし 見落とされている領域

多くの人が「神店舗×競合多」だけを回り、「塩店舗×競合少」を最初から候補に入れていません。

しかし期待値で見ると、後者が上回る場合があります。歪みの発生頻度が低くても、発生したときに確実に取れるなら、取得期待値は決して低くない。神店舗で毎回敗けるより、塩店舗で月2回確実に取る方が積み上がることは、普通に起こります。

3-3-3. 正しい戦略は「神店舗を軸に固める」。ただし前提がある

誤解のないように書きますが、私の考えは「神店舗を捨てろ」ではありません。神店舗を中心に据えて固めていくスタンスで正しいと考えています。

問題は、その「神店舗」をあなたがどう認定したかです。

感覚と記憶で認定したのなら、それはおそらく間違っています。**どの店が本当に神店舗なのかを知るには、多くの店を回って測るしかありません。**軸を決めるために全体を測る。順序が逆になっている人が多い。

3-4. 失敗④:店を出るタイミングを決めていない

3-4-1. 滞在時間の限界利益は、逓減する

入店直後の15分と、45分経過後の15分は、価値が等しくありません。

最初に見る棚は、期待値の高い棚です。値下げワゴン、処分コーナー、型落ちの島。ここに歪みがあれば、たいてい最初の10〜20分で見つかります。

その後は、期待値の低い棚を順番に潰していく作業になります。時間あたりの発見確率は下がり続ける。

3-4-2. 撤退ルールを、事前に数字で決める

だから、ルールを先に決めます。

入店から20分で1点も候補が出なければ、その店は出る。

この20分という数字は、あなたのデータから決めるべきものです。記録が貯まれば、「自分の仕入れの何%が入店何分以内に発生しているか」が分かります。8割が20分以内に発生しているなら、20分でいい。

重要なのは、その場の気分で決めないことです。

3-4-3. 粘ることは、努力ではない

45分粘るという判断は、次の店に行く機会を捨てるという判断と同じです。

粘りは美徳ではなく、機会費用の支払いです。店舗せどりにおける「損切り」とは、在庫の損切りではなく滞在時間の損切りのことです。

このコストを認識していない人が、非常に多い。

3-5. 失敗⑤:在庫の滞留日数を見ていない

3-5-1. 利益率より、回転率

粗利率50%の商品が3ヶ月売れないのと、粗利率20%の商品が2週間で売れるのとでは、後者が圧倒的に強い。

理由は単純で、現金が戻らなければ次の仕入れができないからです。

店舗せどりの制約は、多くの場合スキルではなく資金です。10万円の運転資金で回している人にとって、資金が滞留在庫に固定された瞬間、その月の仕入れは終わります。翌週に神店舗で歪みを見つけても、買えません。

3-5-2. 滞留在庫は「含み益」ではなく「凍結した資金」

売れていない在庫を、想定売価で資産計上していませんか。

それは含み益ではありません。凍結した資金です。しかも中古商品の相場は時間とともに下がる方向に動くことが多いので、凍結しているだけでなく目減りしています。

3-5-3. 見るべきは月利ではなく、資金の年間回転数

正しい指標はこれです。

年間利益 ≒ 投下資金 × 年間回転数 × 利益率

10万円の資金を年12回転させて利益率20%なら、年間24万円。 10万円の資金を年4回転させて利益率40%なら、年間16万円。

利益率が2倍でも、回転数が3分の1なら負けます。

「利益率の高い商品を狙え」というアドバイスが、必ずしも正しくない理由がここにあります。


4. 実践:仕入れを”感覚”から”データ”に変える計測フレーム

ここからが本題です。

4-1. Excelで作る、店舗データベースの最小構成

4-1-1. 記録項目は9つで十分

続かない最大の原因は、項目を増やしすぎることです。最小構成はこれで足ります。

項目 記入例
A 来店日 2026/08/22
B 曜日
C 店舗名 ○○店
D 到着時刻 14:20
E 滞在分 35
F 片道移動分 18
G 交通費 340
H 仕入点数 0
I 見込粗利合計 0

スマホのメモでもいいので、店を出た瞬間に入力してください。帰宅後にまとめて入力しようとすると、続きません。

4-1-2. ボウズの日こそ、記録する

この記事で一つだけ持ち帰るものがあるとすれば、これです。

仕入れがゼロだった日を記録しないデータベースは、平均値が壊れます。

H列とI列に「0」を入れる。これが最も面倒で、最も価値のある作業です。

ゼロ行が入っていないデータは、単なる成功事例集です。判断材料にはなりません。

4-2. 3つの指標を計算する

記録が2〜4週間分貯まったら、集計します。

4-2-1. 指標①:店舗別・時間あたり期待粗利(EV/h)

EV/h = その店舗の見込粗利合計 ÷ (滞在分合計 + 往復移動分合計)× 60

ゼロの日も分母に含めるのがポイントです。これで店舗をソートすれば、切るべき店が上から順に浮かび上がります。

4-2-2. 指標②:交通費込みの損益分岐

1来店あたり純粗利 = 平均見込粗利 - 交通費 - (往復移動分 ÷ 60 × 自分の時間単価)

自分の時間単価は、本業の時給でも、目標時給でもかまいません。ここを1,500円と置くか3,000円と置くかで、遠方店舗の評価は大きく変わります。

この計算をすると、片道40分の神店舗が赤字判定になることがよくあります。

4-2-3. 指標③:曜日 × 時間帯のヒートマップ

来店を「曜日 × 時間帯(午前/昼/夕方/夜)」でクロス集計し、成果率を色分けします。

Excelなら条件付き書式で数分です。ここに、あなたの圏内における歪みの発生時刻が可視化されます。

4-3. AIに分析させる

私は現在の事業でも、判断が必要な場面ではデータをAIに投げて分析させています。感覚で決めていた部分を減らすためです。

4-3-1. CSVを渡して、切るべき店舗を出力させる

集計したCSVをそのまま渡して、こう指示します。

【役割】
あなたは小売仕入れのオペレーション分析担当です。

【入力】
添付CSV(列:来店日/曜日/店舗名/到着時刻/滞在分/片道移動分/
交通費/仕入点数/見込粗利合計)

【前提】
- 私の時間単価は 〇〇 円とする
- 見込粗利は手数料・送料控除後の値である
- 仕入点数0の行も有効なデータであり、除外しないこと

【出力】
1. 店舗別に「時間あたり純粗利」を算出し、降順で表にする
   (純粗利=見込粗利 - 交通費 - 移動時間コスト)
2. 上記をもとに全店舗を3分類する
   - 継続:時間あたり純粗利が私の時間単価を上回る
   - 試行保留:データ数が5回未満で判断不能
   - 撤退:時間単価を下回る、かつデータ数5回以上
3. 曜日×時間帯のクロス集計を行い、成果率が高い枠と低い枠を指摘する
4. 「滞在分」と「仕入点数」の関係から、
   撤退すべき滞在時間の閾値を推定する
5. データが不足していて判断できない項目を明示する
   (推測で埋めないこと)

【制約】
- 数値の根拠を必ず併記すること
- サンプル数が少ない結論には、その旨を明記すること

最後の2行が重要です。データが足りない部分を、それらしく埋めさせないための指定です。

4-3-2. 出力をそのまま信じない

AIの出力は、あくまで叩き台です。サンプル数5回程度で「撤退」と出た店を鵜呑みにすると、たまたま悪かっただけの店を切ることになります。

判断は、最低でも各店10回のデータが貯まってからにしてください。

4-4. 30日でルート表を作り替える

4-4-1. 「切る」「残す」「試す」の3分類

集計結果を、この3つに落とします。

  • 切る:時間あたり純粗利が自分の時間単価を下回り、データが十分にある店
  • 残す:上回っている店。ここを軸に固める
  • 試す:まだ一度も行っていない店。切った店の枠に、ここから補充する

「切る」と「試す」を同数にすれば、回る店舗数は変わらないまま、ルートの質だけが入れ替わります。

4-4-2. 固定ルートは、必ず劣化する

そして、これを1回で終わらせないでください。

競合は入れ替わります。店舗の担当者も、値付け方針も、棚割りも変わります。半年前の神店舗が、今も神店舗である保証はどこにもありません。

**月1回、再集計してルートを組み替える。**この習慣がある人とない人で、1年後の差が決まります。


5. それでも店舗せどりを選ぶべきか——電脳せどりとの冷静な比較

5-1. 効率だけを見れば、電脳せどりが上です

5-1-1. 移動時間と交通費という概念が存在しない

正直に書きます。

純粋に「安く仕入れる」という目的だけなら、ネット仕入れ(電脳せどり)の方が効率的です。

移動時間がゼロ。交通費がゼロ。営業時間の制約がなく、深夜でも早朝でも動ける。同時に複数のサイトを監視できる。

ここまで「時間あたり粗利」で語ってきた以上、この事実を隠すわけにはいきません。分母が構造的に小さいのは電脳です。

5-1-2. これを認めない記事は、疑ってください

「店舗せどりこそ王道」「現場に行かないと分からない」といった精神論だけで店舗を推している記事があれば、その先で何が売られているかを確認してください。

私は自分の出自が店舗せどりですが、それを理由に有利に見せることはしません。

5-2. それでも店舗に優位性が残る、3つの領域

その上で、店舗にしかない優位性を挙げます。

5-2-1. 現物確認が必要な中古・ジャンク

画像と説明文では、状態は分かりません。

動作の微妙な不安定さ、匂い、パーツの欠品、通電の可否。これらは手に取らないと判定できない。判定できない情報があるということは、そこに価格の歪みが残っているということです。

情報の非対称性が消えていない最後の領域が、ここです。

5-2-2. 値付けがデータベース化されていない棚

すべての商品にJANコードがあり、相場が瞬時に引けるわけではありません。

型番が読み取りにくい旧製品、セット品、付属品込みの箱、業務用機器。相場が自動で引けない棚には、今も歪みが残っています。

5-2-3. 修理・整備を挟める領域

ここは、私が実際に事業として移行した先の話です。

私は中古本のアービトラージから始めて、ブランド品の修理・再生、ニッチな電子機器の修理、そしてレトロゲーム機の買取へと軸足を移しました。理由は明確です。

**仕入値と売値の差だけで利ざやを作る商売は、情報が行き渡るほど薄くなる。**しかし「直せる」という能力を持っていれば、他の人にとって価値のないジャンク品が、自分にとってだけ価値のある在庫になります。

これは相場の歪みではなく、自分側に作った歪みです。相場が公開されても消えません。

店舗せどりを続けるなら、この方向への出口が視野に入っているかどうかで、5年後の景色が変わります。

5-3. 判断基準:制約条件から逆算する

5-3-1. 4つの変数

「店舗せどりは儲かるか」という問いは、そもそも答えの出ない問いです。正しくは、次の4変数の関数として考えます。

変数 店舗が有利になる条件
使える時間帯 平日昼など、競合が少ない時間に動ける
可処分資金 少額でも、現物を見て確実性の高い仕入れができる
圏内店舗密度 30店舗以上が近距離に集積している
移動手段 車があり、まとめ買いと積載に制約がない

5-3-2. 正しい問いはこれです

「店舗せどりは儲かるか」ではなく、「私の制約条件の下で、店舗せどりは最適か」

この問いに答えるには、やはり測るしかありません。


6. まとめ:測れば、続けるか辞めるかを数字で決められる

長くなったので、要点を3つに絞ります。

1. 儲からない原因は、才能でも飽和でもなく「未計測」です。 歪みは今も発生しています。取れていないのは、発生する時刻にその場にいないから。これは時間座標の問題であり、測定と設計で解けます。

2. 測るべきは3つだけです。 時間あたり粗利、来店タイミングの分布、在庫の滞留日数。9列のExcelから始まります。

3. 測った結果「割に合わない」と出たなら、それも立派な成果です。 この記事は「諦めるな」とは言いません。撤退は失敗ではなく、判断です。ただしその判断は、感情ではなく数字で下してください。数字で下した撤退は、次の挑戦の資産になります。感情で下した撤退は、何も残しません。


そして、これは店舗せどりに限った話ではありません。

副業でも、投資でも、事業でも、うまくいかないときに人は「努力が足りない」という最も検証しづらい説明に逃げ込みます。そこから抜け出す方法は一つしかない。測ることです。

次の一手は、単純です。

明日、店を出た瞬間に、スマホに1行だけ書いてください。

8/23 日 ○○店 14:20 滞在35分 移動18分 交通費340円 0点 0円

それが、データベースの1行目です。

<!– ▼CTAウィジェット②(記事末) 訴求文脈:「測って数字で判断する」という思考法を、副業・投資・不動産など他領域にも展開している編集方針への接続 ※サイドバーウィジェットは全記事共通で常時表示 –>


よくある質問

Q1. 店舗せどりはもう飽和していて、稼げないのでは?

カテゴリ単位では、確かに縮小しています。本・CD・ゲームといった物理メディアの市場は、デジタル化で構造的に小さくなりました。

ただし、店舗が在庫を持ち、棚の面積が有限で、新商品が投入され続ける限り、**処分ニーズは構造的に発生し続けます。**飽和しているのは市場全体ではなく、「誰でも思いつく店舗の、誰でも行ける時間帯」です。

Q2. 何店舗くらい回れば利益が出ますか?

店舗数そのものより、測った店舗数が重要です。

目安として、まず圏内の候補を30〜50店舗リストアップし、全店を1周してデータを取ることを推奨します。その後は測定結果に基づいて絞り込むので、常時回る店舗数はむしろ減っていきます。

Q3. 仕入れゼロの日が続いています。辞めるべきでしょうか?

判断は、データが揃ってからにしてください。

ゼロが続く原因が「店舗選定」「時間帯」「ジャンル」「判断基準」のどれなのかを切り分けないまま辞めると、次に何を始めても同じ失敗を繰り返します。切り分けができた上での撤退なら、その経験は次に持ち越せます。

Q4. 電脳せどりに移行した方が効率的ですか?

移動時間と交通費がゼロになる分、時間あたりの効率は電脳が上です。

ただし、現物確認が必要な中古・ジャンク、相場がデータベース化されていない商品、修理や整備で付加価値を足せる領域には、店舗の優位性が残ります。どちらか一方ではなく、自分の強みがどちらに乗るかで選んでください。

Q5. 交通費はどこまで経費として計算すべきですか?

ガソリン代・駐車場代・電車賃に加えて、移動時間も自分の時間単価で費用計上してください。

これを入れないと、遠方の神店舗が過大評価されます。片道40分の店は、往復80分ぶんのコストを背負っていることになります。時間単価1,500円なら、それだけで1回あたり2,000円のハンデです。

Q6. Excelでの記録が続きません。

項目を減らしてください。9列でも多いなら、最初は「日付/店舗/滞在分/粗利」の4列で始めても構いません。

続かない原因のほぼすべては、完璧なフォーマットを作ろうとすることです。粗くても、ゼロの日が入っているデータの方が価値があります。

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真面目に働いても給料が上がらないのは、
あなたの能力ではなく
買い手が一社しかいないからです。
売り手が多数いて、買い手が一者しかいない市場では、
価格は買い手の内部規則で決まります。
転職しても、買い手が別の一社に変わるだけ。
構造は変わりません。
必要なのは努力の量でも我慢でもなく、
会社以外に
「自分の判断にお金を払う相手」
を一つ持つこと。
月3万円で構いません。
それだけで、組織との距離の取り方が変わります。
動かない録画機器を1,000円以下で仕入れ、
中古ドライブ(部品代2,000円)に交換。
ついでに容量を増やして15,000円で販売。
── 20年の現場から、実例の一部
この無料講座で扱う内容
  • 壊れた商品のどこに価格差が眠るのか
    「歪みの4類型」
  • 手数料・送料・作業時間まで含めた
    「1件の利益計算式」
  • 絶対に手を出してはいけない
    「除外リスト7項目」
  • 6日目には、元手ゼロで
    今週できる実践ワーク(約70分)
※手を動かさずに稼ぐ方法をお探しの方には向きません。
そのことも講座内で明記しています。
20年
現場での実践
全14通・2週間。
1通3〜5分で、通勤中にも読み切れる分量です。
まずは14通の無料講座で、
「第二の買い手」という考え方を確認してください。
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※後半に有料商品のご案内があります。
第1通の冒頭で明記します。
せどり

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