買取フランチャイズは儲かる?加盟金・ロイヤリティを本部の公式の数字で並べ、失敗する前に損益分岐を計算する(計算機つき)

買取フランチャイズは儲かる?本部の公式ページでロイヤリティの額が載っていた2本部は、どちらも定額(5万円(税込)、月275,000円(税込))。古物商の許可は2020年末から2025年末で55%増、消費者のリユース購入額(自動車・バイク除く)は2021年から2024年で3.9%増、ブランド品は6.3%減。ただし許可は店の数ではなく、購入額は買取の利益ではない。公庫が融資した開業1年以内の企業(全業種)の赤字基調は33%で、買取フランチャイズの失敗率ではない。加盟する前に損益分岐と回収の月数を計算する 古物商・古物市場・卸

「買取 フランチャイズ」「買取フランチャイズ 失敗」で調べて来られた方に、先に結論を書きます。

買取フランチャイズで手元にいくら残るかは、本部の看板ではなく、加盟金・ロイヤリティ・家賃・人件費・自分の給与を引いた後の数字で決まります。本部の公式ページを見たところ、ロイヤリティの額が載っていたのは2本部で、どちらも定額の書き方でした(5万円(税込)と月275,000円(税込))。売上や粗利に対する歩合の率を載せた本部はありませんでした。初期費用一式の目安を本文に載せていたのは1本部で、10坪想定で1,300万〜1,560万円(保証金以外は別途消費税、運転資金・リース料は含まない、という公式の注記つき)でした。本部が示す収支モデルを見るときは、人件費や自分の給与が入っているかを先に確かめます。

「参入者が増えて飽和している」かを、公的な数字で直接確かめることはできませんでした。手がかりは二つです。古物商の許可件数は、2020年末の395,526件から2025年末の614,118件へ、5年で55.3%増えました(警察庁。計算)。消費者がリユース品を買った額(自動車・バイクを除く)は、2021年から2024年の3年で3.9%増え、そのうちブランド品は6.3%減りました(環境省)。ただし許可件数は店の数ではなく、消費者が買った額は買取の仕入れや利益ではなく、期間もそろっていません。店あたりの売上・利益がどう変わったかは、この二つからは分かりません。買取フランチャイズの店舗数や廃業率の公的な統計も見つかりませんでした。

私は古物商の許可を持っていて、フランチャイズには入らずに、仲間と作った会社で買取の拠点を持っていました(いまはたたんでいます)。フランチャイズに加盟したことも、本部の説明会に出たことも、資料を取り寄せたこともありません。だからこの記事では、本部の条件は本部の公式ページの言葉だけで書き、本部ごとの良し悪しや順位は書きません。私自身の見方は、6章に分けて書きます。

知りたいこと 答え 章
買取フランチャイズは儲かる? 本部の名前では決まらない。月の粗利から、固定費・ロイヤリティ・自分の給与を引いて残るかで決まる。日本政策金融公庫が融資した開業1年以内の企業(全業種)の回答では赤字基調が33.0%だが、これは買取フランチャイズの失敗率・廃業率ではない 3章・5章
費用はいくら? 公式ページに額が載っていた例:加盟金0円・100万円(期間限定価格、税別)・275万円(税込)、ロイヤリティ5万円(税込)・月275,000円(税込、定額)、開業資金一式1,300万〜1,560万円(1本部、10坪想定、保証金以外は税別、運転資金・リース料は含まない)。額を本文に載せていない本部も多い 2章
飽和している? 直接示す公的な統計はない。古物商の許可は5年で55.3%増(2020年末→2025年末)、消費者のリユース購入額(自動車・バイク除く)は3年で3.9%増、ブランド品は6.3%減(2021年→2024年)。ただし許可件数は店の数ではなく、購入額は買取の仕入れ・利益ではない。店あたりの売上・利益の変化は分からない 3章
なぜ失敗する? 予想売上げと実際の差、毎月の固定費、途中でやめるときの違約金、契約後の競業禁止、偽物・盗品・売れ残りの損失(誰が負うかは方式と契約で違う)。公正取引委員会の考え方と中小企業庁のパンフレットに、確かめる点が書かれている 4章
契約前に何を確かめる? 開示書面、預けるお金と戻らない額、加盟金の中身と返還、ロイヤリティの計算、ロイヤリティ以外の支払い、予測の根拠、違約金、競業禁止、テリトリー、買い取った品物の売り先、本部の買取の有無、損失の負担など17項目 4章・5章
自分の場合 フランチャイズと独立の費用の比較、ロイヤリティの方式ごとの月額、損益分岐と回収の月数、契約前のチェック表を計算機で 5章

1. 先に、この記事の資料と、書いている人について

1-1. 使った資料

この記事は、次の公式の資料だけで書いています。比較サイト、フランチャイズの紹介サイト、ニュース、個人のブログの数字は使っていません。

  • 買取・リユースのフランチャイズを募集している本部の、自社の公式ページ(2026年10月28日に閲覧)
  • 中小小売商業振興法と同法施行規則(e-Gov)
  • 公正取引委員会「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方」(令和3年4月28日改正)と、公正取引委員会の実態調査(平成23年・令和2年)
  • 中小企業庁「フランチャイズ事業を始めるにあたって」(2025年6月の表記)
  • 警察庁「令和7年中における古物営業・質屋営業の概況」
  • 環境省「令和6年度リユース市場規模調査報告書(概要版)」(令和7年6月)
  • 日本政策金融公庫総合研究所「2025年度新規開業実態調査」(2025年12月5日)
  • 古物営業法(e-Gov)

1-2. 書いている人

私は古物商の許可を持ち、中古品の買取・修理・販売を続けてきました。買取は、せどり仲間と作った会社で、長野県佐久市に倉庫を兼ねた拠点を置いてやっていました。フランチャイズには入っていません。集客はホームページでやり、会社は役割分担の食い違いと体力の問題でたたみました。その経緯と、資本のない後発が大手より高く買える理由は、買取ビジネスの仕組みは?儲からないと言われる4つの理由と、資本がない後発が大手より高く買える理由(計算機つき)に書いています。

フランチャイズについては、加盟も、説明会への参加も、資料請求もしていません。本部の内側のことは書けないので、本部が公式ページに出している言葉と、法令・行政の資料だけを使います。

2. 本部の公式ページに載っている数字(2026年10月28日に閲覧)

買取・リユースのフランチャイズを募集している本部の、自社の公式ページだけを見ました。並べるだけで、本部ごとの良し悪しは書きません。期間限定・キャンペーンの額があり、額は変わります。加盟を考えるなら、本部が書面で出す最新の条件で確かめてください。

2-1. 公式ページに載っていた額と条件

本部(ブランド) 加盟金(税の表記) ロイヤリティ(税の表記・方式) 返ることがある金銭 開業資金の目安と、含まれる項目 加盟の条件・注記など
BRAND OFF(株式会社K-ブランドオフ) 100万円(「※期間限定価格」。通常の額の記載なし。「※保証金以外は別途消費税がかかります。」) 「固定費といたしております」。額の記載なし 保証金100万円(不課税)。返す条件の記載なし 開業資金合計1,300万〜1,560万円(「※10坪の物件を想定」)。加盟金・開業前研修費(50万円/開催)・保証金・店舗開発業務委託など・開店時広告宣伝費・内外装工事など・物件取得費を含む。「※運転資金・リース料は含みません。」「※保証金以外は別途消費税がかかります。」 年齢・性別・個人法人の別は問わないとFAQに記載。契約期間の記載なし。月の収支モデルに「※人件費・福利厚生費は含まれておりません」「※これはあくまでシミュレーションです。」と注記
銀座パリス(株式会社オオトリインターナショナル) 0円(税の表記なし) 5万円(税込)。月額かどうか・方式の表記なし 記載なし 記載なし 記載なし
買取わかば(株式会社BuySell Technologies) 275万円(税込。FAQ「最低275万は必要となります。この金額は加盟金の税込みです。」) 「月額275,000円(税込)」「完全固定制」 記載なし FAQに「加盟金の他平均500万ほどのキャッシュアウトが必要」(内訳の記載なし) 個人の加盟可(FAQ)。公式ページは、2026年7月から「バイセル」の名で募集すると案内
バイセル(株式会社BuySell Technologies) 公式トップに記載なし 公式トップに記載なし 記載なし 記載なし お知らせ「2026.09.10 好評につき、0次募集キャンペーンは終了しました。」
エコリング(株式会社エコリング) 額の記載なし 記載なし 加盟登録申込金50万円(消費税別)は加盟契約のときに加盟金に充てる。契約に至らなかった場合は「本部の調査及び活動経費並びに情報開示費用等を合算した20万円(消費税別途付加)を控除し、残金を返金致します。」 記載なし 法人限定。契約期間5年。「エコリングリモートシステム利用中は、鑑定・査定・買取のリスクは、エコリング本部が負います。」
ハードオフ(工具館、オフハウス アウトドア&スポーツ) 記載なし 記載なし 記載なし 記載なし(推奨100〜150坪。物件は加盟店が用意) 法人限定。5年(以降は2年ごとの更新)
買取大吉(株式会社エンパワー) 記載なし(額を書かずに「加盟金をご入金いただきます」) 記載なし 記載なし 記載なし(収支モデルは画像で、本文に数字なし) 研修7日間
おたからや(株式会社いーふらん) 記載なし 記載なし 記載なし 記載なし(「3坪程度のスペースで開業可能。」) 一部のページは閲覧時にエラーで開けませんでした

「記載なし」は、その本部の自社のフランチャイズ募集ページの本文に、その項目の額が出てこなかったという意味です。画像の中の数字と、説明会・資料請求で出る額は、この記事では確かめていません。税込・税別の表記がないものは、表記なしと書いています。並べた額は、含まれる項目も税の扱いもそろっていないので、そのまま足したり比べたりはできません。

2-2. 公式ページから読めること・読めないこと

  • ロイヤリティの額が載っていたのは2本部で、どちらも定額の書き方でした。もう1本部は「固定費」と書き、額は載せていません。売上や粗利に対する歩合の率を載せている本部は、今回見た中にはありませんでした。定額は、売上が少ない月ほど重くなります(計算機2)。
  • 本部が示す収支モデルは、何が入っていて何が入っていないかを先に読みます。人件費・福利厚生費や自分の給与が入っているか、何坪・家賃いくらの想定か、という試算の前提です(計算機4の6番)。計算機3は、人件費と自分の給与を必ず入れる形にしています。
  • 回収や黒字化の目安を載せた本部もありました。目安を見たら、月に何件買い取り、誰が店に立ち、何を費用に入れた数字かを、書面で聞きます。公正取引委員会の考え方は、予想売上げや予想収益を示すなら、根拠ある事実と合理的な算定方法に基づくことが必要だとしています(4-1)。
  • 加盟金・ロイヤリティの額を本文に載せていない本部が多くありました。載っていない額は、比べようがありません。比べるなら、同じ項目を書面で出してもらって、計算機1〜3に入れます。
  • 買い取った品物の売り先と指定の有無、本部による買取や買取保証の有無、偽物・盗品・売れ残りの損失を誰が負うか、売るときの手数料・代金が入るまでの日数・売値の決め方は、公式ページの本文からはほとんど分かりませんでした(未確認)。本部が鑑定・査定・買取のリスクを負うと書く仕組みもありました(表のエコリングの行)。どれも計算機4で書面を求める項目に入れています。優劣はつけません。

3. 「飽和している」は、公的な数字でどこまで分かるか

買取の店が増えすぎているかを直接示す公的な統計は、見つかりませんでした。手がかりとして、許可を持つ人の数と、消費者がリユース品を買う額を並べます。

3-1. 古物商の許可は、5年で55.3%増えた

年末 古物商の許可件数 前の年からの増加(計算)
2020年(令和2年) 395,526件 (比べられる最初の年)
2021年(令和3年) 440,874件 45,348件
2022年(令和4年) 483,276件 42,402件
2023年(令和5年) 529,024件 45,748件
2024年(令和6年) 571,946件 42,922件
2025年(令和7年) 614,118件 42,172件

出典は警察庁「令和7年中における古物営業・質屋営業の概況」の表1です。古物市場主を合わせた令和7年末の許可件数は615,194件で、「前年比4万2,170件の増加」と書かれています。

  • 2019年末より前とは比べられません。令和2年4月1日施行の改正で、許可が営業所のある都道府県ごとから、主たる営業所の都道府県の許可に改められたためです(表1の注記)。2019年末の778,332件から、2020年末には半分ほどになっています。表1には、この改正の注記があります。
  • 許可件数は、店の数ではありません。個人でネット販売をする人も許可を取ります。買取店がいくつあるかは、この表からは分かりません。
  • 廃止の件数は載っていません。増えた件数が、そのまま新しく取った人の数とは限りません。

3-2. 消費者がリユース品を買う額は、3年で3.9%増

年 全体(自動車・バイクを含む) 自動車・バイクを除く そのうちブランド品
2012年 31,047億円 11,887億円 1,774億円
2015年 31,424億円 11,235億円 1,887億円
2018年 32,492億円 11,906億円 2,301億円
2021年 34,048億円 12,328億円 2,357億円
2024年 34,986億円 12,813億円 2,208億円

出典は環境省「令和6年度リユース市場規模調査報告書(概要版)」の推移の表です。2024年は2021年に比べて、全体で約2.8%(約938億円)、自動車・バイクを除くと3.9%(約486億円)増え、ブランド品は6.3%(149億円)減っています。

  • これは消費者が買った額で、買取店が消費者から買い取った額ではありません。報告書は「事業者が購入する中古品・リユース品は含まれない」としています。業者オークションの取引額も入っていません。
  • 2024年の自動車・バイクを除く12,813億円のうち、リユースショップの店頭で買われたのは4,468億円(34.9%)、ネットオークションが3,130億円(24.4%)、ネットショッピングサイトが2,846億円(22.2%)、フリマアプリが1,765億円(13.8%)でした。

3-3. 二つの数字から言えること・言えないこと

言えること:許可を持つ人は、2020年末から2025年末の5年で1.55倍になりました。消費者がリユース品を買う額(自動車・バイクを除く)は、2021年から2024年の3年で1.04倍、2012年からの12年で1.08倍でした(計算)。ブランド品の購入額は2021年から減っています。

言えないこと:許可件数は店の数ではありません。消費者が買った額は、買取店の仕入れの額でも利益でもありません。二つの期間もそろっていません。だから、買取の店あたりの売上や利益が増えたか減ったかは、この二つの統計からは分かりません。買取フランチャイズの店舗数・閉店数・廃業率の公的な統計も見つかりませんでした。日本フランチャイズチェーン協会(業界団体)の会長あいさつのページには、2024年度の統計としてチェーン数1,291チェーン、店舗数約25万店、売上高約29兆円とありますが、業種別にリユースや買取の分類があるかは確かめられませんでした。

3-4. 開業した人全体の数字(フランチャイズに限らない)

日本政策金融公庫総合研究所「2025年度新規開業実態調査」は、公庫が融資した開業1年以内の企業へのアンケートです(回収2,165社、回収率25.4%)。フランチャイズかどうかの区分はありません。

項目 数字
開業費用 平均975万円、中央値600万円
予想していた月商に届いていない 41.3%(達成率50%未満10.5%、50〜75%未満16.6%、75〜100%未満14.2%の足し算)
採算 黒字基調67.0%、赤字基調33.0%
1週間の労働時間が50時間以上 49.8%
開業したときの平均年齢 43.9歳

融資を受けられなかった人や、すでに廃業した人は入っていません。そのうえで、この調査の回答では、開業して1年以内の3人に1人が赤字基調で、4割ほどが予想の月商に届いていません。全業種の数字で、買取フランチャイズの失敗率・廃業率ではありません。開業費用の平均975万円も、買取フランチャイズの相場ではありません。

4. 失敗と言われる形を、決まりから見る

フランチャイズ一般の構造(本部が先に回収し、加盟者がリスクを持つ形)は、フランチャイズはやめたほうがいいのか|本部が先に回収し、加盟者がリスクを持つ構造を数字で分解するで分解しました。ここでは、公正取引委員会と中小企業庁が「確かめるべき点」として書いていることを、買取に当てはめます。

4-1. 予想売上げと、実際の差

公正取引委員会「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方」(令和3年4月28日改正)は、本部が予想売上げや予想収益を示すなら、「類似した環境にある既存店舗の実績等根拠ある事実,合理的な算定方法等に基づくことが必要」としています。根拠を欠く額で勧誘すれば、不公正な取引方法の「ぎまん的顧客誘引」(一般指定第8項)に当たりうるとして、算定根拠が合理性を欠いていないか、ロイヤリティを実際より低く見せていないか、などを判断の要素に挙げています。

公正取引委員会の実態調査には、予想と実際の差の数字があります。どちらも買取の調査ではありません。

  • 平成23年の調査(飲食料品などを売る小売のチェーン。数字はコンビニの加盟店545店の回答):開示された内容と実際が違ったものとして、「予想売上げや収支モデルの額」を挙げたのが53.0%
  • 令和2年の調査(コンビニのみ):加盟前に受けた説明より、実際の状況のほうが悪かったが41.1%。差が出た理由は、来店客数が過大に見積もられていた63.3%、人件費の過少見積もり47.0%

中小企業庁のパンフレットは、「収益予測は売上を最小に見積もり、必要経費は最大に見積もることも大切です。」としています。計算機3には、件数が見込みより少なかった場合の行を入れています。

4-2. ロイヤリティと、途中でやめるときの違約金

公正取引委員会の考え方は、本部が開示することが望ましい事項として、加盟のときに払う金銭の性質・額・返還の条件、ロイヤリティの額・算定方法・徴収の時期、契約の期間と更新・解除・中途解約の条件を挙げています。中途解約については、「実際には高額な違約金を本部に徴収されることについて十分な開示を行っているか」を、ぎまん的顧客誘引の判断の要素にしています。

平成23年の調査では、コンビニの加盟店(回答294店)の69.7%が、途中で解約すると「一定の解約料を本部に支払うこととされている」と答えています。中小企業庁のパンフレットも、「どのような解約にいくらの解約違約金を支払うこととなるのか」を確かめるよう書いています。

4-3. 契約が終わった後の競業禁止と、テリトリー

公正取引委員会の考え方は、優越的地位の濫用になりうる例として、契約終了後に「必要な範囲を超えるような地域,期間又は内容の競業禁止義務を課すこと」を挙げています。契約が終わった後に、同じ地域で買取ができるかは、契約前に読んでおきます。

近くに本部や他の加盟店が出店するか(テリトリー)も、中小企業庁のパンフレットが「テリトリー権が認められているのか、」を確かめる点に挙げています。

4-4. 法定の開示書面は、買取のフランチャイズでも出るのか

中小小売商業振興法11条は、特定連鎖化事業の本部に、加盟しようとする人へ書面を渡して説明する義務を課しています。書面に書くのは、加盟金・保証金などの金銭、商品の販売条件、経営の指導、商標、契約の期間・更新・解除と、施行規則10条の18項目(本部の直近3事業年度の決算、加盟店の数の推移、立地が似た店舗の直近3事業年度の収支、訴訟の件数、テリトリー、競業禁止、ロイヤリティ、違約金など)です。中小企業庁のパンフレットは、法定の開示事項は「23項目にわたっています」としています。

中小企業庁の「特定連鎖化事業(フランチャイズ)について」は、この法律の対象になる特定連鎖化事業の要件を6つ挙げています。主として中小小売商業者を加盟店とすること、定型的な約款による契約であること、継続的に商品を販売し又は販売をあっせんすること、継続的に経営に関する指導を行うこと、商標・商号などを使用させること、加盟金・保証金などを徴収すること、です。

消費者から買い取って業者オークションなどに売る買取専門店のフランチャイズが、「中小小売商業者への継続的な商品の販売・あっせん」などに当たるかは、方式ごとの個別の判断になり、一律の結論を示した公式の資料は見つかりませんでした(未確認)。一方、公正取引委員会の考え方は業種を限らず、「その呼称を問わず」当てはまるとしています。だから契約の前に、同じ項目を書面で出してもらえるかを本部に聞きます(計算機4の1番)。

4-5. 買取に特有の損失を、誰が負うか

  • 本人確認と帳簿は、営業する人の義務です。古物営業法は、古物を買い受けるときに相手の住所・氏名などを確認すること(15条)、取引ごとに帳簿等に記載すること(16条)、最後の記載から3年間保存すること(18条)を古物商に課しています(1万円未満の取引などの例外があります)。古物商の許可は、営業する人が主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会から受けます(3条・5条)。許可の取り方と費用は、古物商許可はせどりに必要か|3条件と、費用19,000円の内訳に書きました。
  • 盗品は、払った額が戻らないことがあります。古物営業法20条は、盗品・遺失物を古物商が買い受けた場合、被害者などは盗難・遺失の時から1年以内なら、古物商に無償での回復を求めることができるとしています。
  • 偽物・盗品・売れ残りの損失を誰が負うかは、フランチャイズの方式と契約で違います。本部が鑑定・査定・買取のリスクを負うと書く仕組みもあります(エコリングの公式ページ:「エコリングリモートシステム利用中は、鑑定・査定・買取のリスクは、エコリング本部が負います。」)。補償される範囲・上限・負わない場合(免責)は、書面で確かめます(計算機4の14番)。計算機は、この損失を入れていません。加盟者が負う分があるなら、1件あたりの平均粗利を、その分だけ低く入れてください。

5. 計算機:フランチャイズと独立の費用、ロイヤリティ、損益分岐、契約前のチェック

4つの計算機は別々に使えます。初めから入っている値は計算の例で、どこかの本部の条件ではありません。

  • 1. フランチャイズと独立の費用の比較:開業前に出ていくお金を「返らない費用」「返ることがある保証金」「買取資金・運転資金」に分けて、毎月の固定費とともにフランチャイズと独立で並べ、年数ぶんの単純な支出の差を出します。会社員を続けた場合の手取りを入れると、同じ額を自分に払うのに要る月の粗利も出します
  • 2. ロイヤリティの方式ごとの月額:同じ売上で、定額・売上歩合・粗利歩合のそれぞれの月額と粗利に占める割合、売上が変わったときの額、定額と歩合が同じになる売上(歩合の最低額がある場合の扱いも)を出します
  • 3. 損益分岐と投資を回収する月数:1件あたりの平均粗利と月の件数から、自分の給与を払った後の月の利益(返済の前)、借入の返済後の手元、初期費用を取り戻す月数(返済前の単純な月数と、返済後の手元で割った参考の月数)、粗利歩合を引いた損益分岐の件数を出します。人件費と自分の給与は必ず入れます。件数が見込みより少なかった場合の行も出します
  • 4. 契約前のチェック表:17項目を「書面で確かめた/まだ/書面がない」で選ぶと、残っている項目と、その根拠になる法令・資料を出します

FCと独立の費用の比較/ロイヤリティの方式ごとの月額/損益分岐と投資を回収する月数/契約前のチェック表

入れた値は、このページの中で使うだけで、どこにも送られません。初めから入っている値は計算の例で、どこかの本部の条件ではありません。金額は万円で入れます(1件あたりの粗利だけ円)。4つは別々に使えます。

1. FCと独立の費用の比較

2. ロイヤリティの方式ごとの月額

3. 損益分岐と投資を回収する月数

4. 契約前のチェック表

6. 私の考え

ここからは私の見方です。特定の本部についての評価ではありません。

「フランチャイズに加盟して期待値が低いビジネスをやる理由がわからない。参入者が増えすぎて飽和してるジャンルばかり」

「fcに加盟するなら会社員やってるほうがよほどよい。買取ビジネスのfcは数あるFCのなかでもコンビニの次に意味不明」

上の2文は筆者の見方で、個別の加盟店の採算や本部の支援内容を調べて出した結論ではありません。立地・契約条件・本部の支援で、採算は変わります。3章の統計も、この見方を裏付けるものとしては使っていません。

会社員を続けるのと比べるときは、計算機1に今の手取りを入れてください。フランチャイズは、開業前のお金を出したうえで、毎月の固定費とロイヤリティを払い、そのうえで自分の給与を出します。40代・50代で会社を離れることを考えている方は、早期退職のその後で後悔しない条件|50代の再就職の年収と、黒字リストラの割増退職金を計算と45歳の転職は厳しい?年収は下がるか、何割が転職しているか、失敗した場合を統計で確かめた(計算機つき)で、会社に残る・転職するの数字も並べてから決めてください。

フランチャイズに入らずに買取をやる場合、仕入れた物を売る先は自分で持つことになります。業者間の市場は、オンライン古物市場は2社で足りる|入会金無料が罠になる理由とエコリングオークションは儲からない?撤退理由と利益を出すプロの具体的手法に書きました。

7. よくある質問

買取フランチャイズは儲かりますか?

本部の名前では決まりません。月の粗利から、家賃・人件費・ロイヤリティ・ロイヤリティ以外の支払い・自分の給与を引いて残るかで決まります。日本政策金融公庫が融資した開業1年以内の企業(全業種)の回答では、赤字基調が33.0%でしたが、これは買取フランチャイズの失敗率・廃業率ではありません。自分の数字は計算機3で確かめてください。

買取フランチャイズの費用はいくらですか?

公式ページに額が載っていた例では、加盟金が0円、100万円(期間限定価格、税別)、275万円(税込)、ロイヤリティが5万円(税込)と月275,000円(税込、定額)、開業資金一式の目安を載せていた1本部が1,300万〜1,560万円(10坪想定、保証金以外は税別、運転資金・リース料は含まない)でした(2026年10月28日に閲覧)。含まれる項目も税の扱いもそろっていないので、そのまま比べられません。額を本文に載せていない本部も多く、期間限定の額もあります。日本政策金融公庫の調査の開業費用(平均975万円、中央値600万円)は全業種の数字で、買取フランチャイズの相場ではありません。

おすすめの本部やランキングはありますか?

この記事では書きません。公式ページに載っている項目が本部ごとにそろっておらず、同じ物差しで並べられないからです。比べるなら、計算機4の17項目を書面で出してもらい、その数字を計算機1〜3に入れてください。

失敗する原因は何ですか?

公的な資料から言えるのは、予想売上げと実際の差(公正取引委員会のコンビニの調査で、説明より実際が悪かった41.1%)、毎月の固定費、途中でやめるときの違約金、契約後の競業禁止、の4つが確かめる点として書かれていることです。買取ではこれに、偽物・盗品・売れ残りの損失が加わります。誰が負うかは方式と契約で違います(4-5)。

本部の収支モデルや回収の目安は、どう読めばいいですか?

何を含めた数字かを先に読みます。人件費・福利厚生費や自分の給与が入っているか、何坪・家賃いくらの想定か、月に何件買い取り、誰が店に立つ前提かを書面で聞き、計算機3に自分の数字を入れて比べてください。

法定の開示書面は、必ずもらえますか?

中小小売商業振興法の書面の義務は、中小企業庁が示す6つの要件に当てはまる特定連鎖化事業が対象で、買取専門店のフランチャイズが当てはまるかは方式ごとの判断になり、一律の結論は見つかりませんでした。対象かどうかにかかわらず、同じ項目を書面で出してもらえるかを聞いてください。

古物商の許可は、本部が取ってくれますか?

古物営業法では、許可は営業する人が、主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会から受けます。本人確認・帳簿・保存の義務も、営業する古物商にかかります。誰の名義で、どの営業所で取るかを、契約前に確かめてください。

不用品回収や遺品整理の開業は、買取と何が違いますか?

家庭から出る廃棄物を回収するには、古物商の許可ではなく、市区町村の一般廃棄物処理業の許可や委託が必要です(環境省のQ&A)。開業の手続きと許可は、不用品回収・遺品整理の開業に要る許可|古物商だけでは回収できない。一般廃棄物の許可、許可業者と組む形、運送と開業資金(計算機つき)にまとめました。

8. まとめ

  • 買取フランチャイズで残る額は、本部の名前ではなく、月の粗利から固定費・ロイヤリティ・自分の給与を引いた後の数字で決まる
  • 本部の公式ページ(2026年10月28日に閲覧)でロイヤリティの額が載っていたのは2本部で、どちらも定額の書き方(5万円(税込)、月275,000円(税込))。歩合の率を載せた本部はなかった。加盟金は0円、100万円(期間限定価格、税別)、275万円(税込)の例
  • 開業資金一式の目安を載せていたのは1本部(10坪想定で1,300万〜1,560万円、保証金以外は税別、運転資金・リース料は含まない)。本部の収支モデルは、人件費・自分の給与・試算の前提を先に確かめる
  • 古物商の許可は2020年末から2025年末の5年で55.3%増。消費者のリユース購入額(自動車・バイク除く)は2021年から2024年の3年で3.9%増、ブランド品は6.3%減。ただし許可件数は店の数ではなく、購入額は買取の仕入れ・利益ではないので、店あたりの売上・利益の変化は分からない。買取の店舗数・廃業率の公的な統計はない
  • 日本政策金融公庫が融資した開業1年以内の企業(全業種)では、赤字基調が33.0%、予想の月商に届いていないのが41.3%。買取フランチャイズの失敗率・廃業率ではない
  • 契約前に、預けるお金と戻らない額、予測の根拠、ロイヤリティ以外の支払い、途中でやめるときの違約金、契約後の競業禁止、テリトリー、買い取った品物の売り先、本部の買取の有無を書面で確かめる。買取専門店のフランチャイズが中小小売商業振興法の対象かは方式ごとの判断で、一律の結論は見つからなかったので、同じ項目を書面で出してもらえるかを聞く
  • 本人確認・帳簿は営業する古物商の義務。偽物・盗品・売れ残りの損失を誰が負うかは方式と契約で違うので、補償の範囲・上限・免責を書面で確かめる

9. 出典

10. あわせて読む

 

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