毎月チャリンチャリンと銀行口座にお金が振り込まれる「配当金生活」。想像するだけで、ワクワクしませんか?
その夢を現実にするための強力な選択肢として、今、絶大な人気を誇る高配当ETFが**「JEPI」と「JEPQ」**です。
しかし、いざ投資を始めようにも、「安定のJEPIか、成長のJEPQか…結局どっちを選べば、自分の資産が一番効率よく増えるんだろう?」と、多くの人が同じ悩みを抱えています。
もし、毎月の給料に加えて、自由に使えるお金が5万円、10万円と自動的に増えていったら、あなたの人生はどう変わるでしょうか。我慢していた旅行へ行ったり、ワンランク上の食事を楽しんだり、あるいはその配当金をさらに投資に回して、雪だるま式に資産を増やしたり…。
もう、情報収集に時間を溶かすのはやめにしませんか?
この記事では、単に両者のスペックを比較するだけではありません。2025年最新のデータを基に、あなたの投資目標やリスク許容度から**「本当に選ぶべき最適な1本」**を、誰にでも分かるように徹底的に、そして具体的に解説します。
さらに、謎に包まれた超高配当ETF**「QQQI」**との本質的な違いにも踏み込み、あなたの知識をアップデート。
この記事を読み終える頃には、あなたは迷いを確信に変え、理想の「配当金生活」へ向けた、最も賢い一歩を踏み出せるはずです。
1. 【結論】JEPIとJEPQ、あなたへのおすすめはこれだ!
早速、この記事の結論からお伝えします。数ある高配当ETFの中でも絶大な人気を誇るJEPIとJEPQ、あなたがどちらを選ぶべきかは、**「安定」と「成長」**のどちらをより重視するかで明確に分かれます。
1-1. 安定性を重視し、S&P500のマイルドな値動きを好むなら「JEPI」
あなたが投資において、まず**「毎月の安定したインカム(分配金)」を最優先し、株価の大きな変動はできるだけ避けたいと考えるなら、選ぶべきはJEPI**です。
JEPIは、アメリカを代表する優良企業500社で構成される**「S&P500指数」の値動きをベースにしています。これは、経済の嵐の中でも比較的揺れの少ない大型客船**のようなもの。市場全体の値動きに近いため、安心感を持って資産形成の土台を築きたい投資家や、リタイア後の生活資金を安定的に得たいと考えている方に最適な選択肢と言えるでしょう。
1-2. 値上がり益も狙いたい、ナスダック100の成長性に期待するなら「JEPQ」
一方、あなたは高い分配金をもらいつつも、「将来的な株価の値上がり益(キャピタルゲイン)」も積極的に狙っていきたい、という野心的な投資家でしょうか。それならば、選ぶべきはJEPQです。
JEPQは、GAFAMに代表されるハイテク・グロース企業100社で構成される**「ナスダック100指数」をベースにしています。こちらは、波の影響を受けやすい一方で、圧倒的なスピードで突き進む高速艇**のイメージ。値動きの変動(ボラティリティ)はJEPIより大きいですが、その分、今後のテクノロジーの進化と共に大きなリターンをもたらす可能性を秘めています。
1-3. まずは両方の特徴が一目でわかる比較サマリー表
言葉だけでは分かりにくい部分を、以下の表で整理しました。二つのETFの核心的な違いを一目で確認し、あなたの投資判断の参考にしてください。
項目 | JEPI (安定の王道) | JEPQ (成長のパートナー) |
投資対象 (ベンチマーク) | S&P500指数 | ナスダック100指数 |
特徴 | 安定したインカムを重視 | 高いインカム+値上がり益を追求 |
構成銘柄の傾向 | 幅広い業種の優良企業 (例: 金融, ヘルスケア, 一般消費財) | ハイテク・グロース株中心 (例: IT, AI, EV) |
値動き (リスク) | 比較的マイルド | 比較的大きい |
分配金利回り (目安) | 約7% ~ 9% | 約9% ~ 11% |
経費率 | 0.35% | 0.35% |
※2025年8月時点の一般的な水準です。分配金利回りは変動します。
いかがでしょうか。あなたがどちらの船に乗り込みたいか、少しイメージが湧いてきましたか?
この後の章では、この表の各項目について、具体的なデータや過去のパフォーマンスを交えながら、さらに深く、そして分かりやすく掘り下げていきます。
2. そもそもJEPI・JEPQ・QQQIとは?基本情報を徹底比較
前の章で「安定のJEPI」「成長のJEPQ」という結論をお伝えしましたが、ここでは一歩進んで、それぞれのETFがどのような特徴を持つのか、基本情報から深掘りしていきましょう。
また、最近投資家の間で話題沸騰中の「QQQI」についても参考として加え、3つのETFを客観的に比較します。
2-1. 3つのETFの基本情報比較表
はい、承知いたしました。
ご指摘いただいた内容を反映し、QQQIの情報を**「NEOS Nasdaq-100 High Income ETF」**として正確なものに修正します。以下が修正後の文章です。
まずは、運用会社や経費率、そして気になる分配金利回りなどを一覧で見てみましょう。この表を見るだけでも、それぞれのETFが持つ個性や立ち位置がクリアになります。
項目 | JEPI (JPモルガン・米国株式・プレミアム・インカム) | JEPQ (JPモルガン・ナスダック100・プレミアム・インカム) | QQQI (参考) (NEOS・ナスダック100・ハイ・インカム) |
運用会社 | JPモルガン・アセット・マネジメント | JPモルガン・アセット・マネジメント | NEOS・マネジメント |
ベンチマーク | S&P500指数 | ナスダック100指数 | ナスダック100指数 |
設定日 | 2020年5月20日 | 2022年5月3日 | 2023年1月30日 |
資産総額 (目安) | 約351億ドル | 約143億ドル | 約8.2億ドル |
経費率 | 0.35% | 0.35% | 0.68% |
分配金利回り (年率目安) | 約7.5% | 約9.8% | 約12.5% |
<br>
※資産総額、分配金利回りは2025年8月時点のデータに基づく概算値であり、常に変動します。
2-2. 共通の仕組み「カバードコール戦略」とは?高配当の源泉をわかりやすく解説
「それにしても、なぜこんなに高い分配金が出せるの?」——これは、誰もが抱く最大の疑問でしょう。
その秘密は、JEPIとJEPQが共通して採用している**「カバードコール戦略」**という仕組みにあります。専門用語に聞こえますが、実は非常にシンプルな考え方です。
一言でいうと、**「保有している株の値上がり益を一部放棄する代わりに、オプションプレミアムという手数料を受け取る戦略」**です。
もう少し分かりやすく、リンゴ農家で例えてみましょう。
- 現物株を保有する(=リンゴを収穫する)
- まず、ETFはS&P500やナスダック100構成銘柄などの株式を実際に保有します。これが基本の資産です。(農家がリンゴを収穫して持っている状態)
- コールオプションを売る(=未来のリンゴを売る予約をする)
- 次に、その保有株に対して「将来、あらかじめ決めた価格で買う権利(=コールオプション)」を他の投資家に売却します。(「このリンゴ、1ヶ月後に1個110円で買う権利をあげますよ」と予約販売するイメージ)
- プレミアム収入を得る(=予約金をもらう)
- この「権利」を売ることで、**「オプションプレミアム」**と呼ばれる手数料収入を得ることができます。このプレミアム収入こそが、高い分配金の主な源泉となっているのです。(権利を売った対価として、予約金10円をもらうイメージ)
この戦略にはメリットとデメリットがあります。
- メリット: 株価が横ばいや、ゆるやかに下落する相場でも「プレミアム収入」が着実に入るため、安定して高い分配金を生み出すことができます。
- デメリット: もし株価が急騰した場合、あらかじめ決めた価格で株を売らなければならないため、大きな値上がり益は得られません。(リンゴが1個150円に高騰しても、予約した人には約束通り110円で売らなければならず、差額の40円は儲けられない)
つまりJEPIやJEPQは、大儲けのチャンスを一部手放す代わりに、毎月コツコツと手数料を稼ぎ、それを私たち投資家に分配してくれているのです。
2-3. 【注意】現時点(2025年)でQQQIは日本の主要ネット証券では購入不可
ここで非常に重要なお知らせがあります。
驚異的な利回りで話題のQQQIですが、2025年8月現在、日本のSBI証券、楽天証券、マネックス証券といった主要なネット証券では購入することができません。
これは、QQQIが日本の金融庁への「外国投資信託に関する届出」をまだ行っていないためです。日本の投資家保護の観点から、届け出が承認されない限り、証券会社はこれを取り扱うことができないのです。
将来的に日本でも購入できるようになる可能性はゼロではありませんが、現時点では「こういう尖ったETFもあるのか」という知識としてインプットするに留め、投資の具体的な検討はJEPIとJEPQに絞って進めていきましょう。
3. JEPIとJEPQの5つの主要な違いを深掘り 🔎
結論として「安定のJEPI」「成長のJEPQ」と解説しましたが、その違いはどこから生まれるのでしょうか?ここでは、2つのETFの本質的な差を生み出す5つのポイントを、データと共に徹底的に解剖します。この章を読めば、あなたの投資スタイルにどちらが本当にフィットするのか、解像度が格段に上がるはずです。
3-1. 違い①:ベンチマーク (投資先の指針)
全ての違いの源泉は、それぞれのETFが指標とする「ベンチマーク」にあります。
- JEPI:S&P500指数米国市場を代表する、厳選された優良企業500社の株価を基にした指数です。金融、ヘルスケア、情報技術、一般消費財など、幅広い業種に分散されているのが最大の特徴。経済全体の動きを反映しやすく、安定的で予測可能性が高いとされています。
- JEPQ:ナスダック100指数ナスダック市場に上場する、金融を除く時価総額上位100社で構成される指数です。AppleやMicrosoft、NVIDIAといった巨大ハイテク企業やグロース株が大部分を占めています。良くも悪くも時代の最先端を走るため、成長性は高いものの、S&P500より値動きが激しくなる傾向にあります。
一言でいうと、JEPIは「米国経済のオールスターチーム」、JEPQは「未来を創るIT・ハイテクのドリームチーム」に投資するイメージです。
3-2. 違い②:構成銘柄 (ETFの中身)
ベンチマークが違えば、当然ETFの中身である構成銘柄も大きく異なります。最新の上位銘柄を見てみましょう。
順位 | JEPI の主な構成銘柄 | JEPQ の主な構成銘柄 |
1 | マイクロソフト (MSFT) | マイクロソフト (MSFT) |
2 | アマゾン・ドット・コム (AMZN) | アップル (AAPL) |
3 | アドビ (ADBE) | エヌビディア (NVDA) |
4 | プログレッシブ (PGR) | アマゾン・ドット・コム (AMZN) |
5 | トラベラーズ (TRV) | メタ・プラットフォームズ (META) |
※上記は代表例であり、実際の順位や銘柄は変動します。
JEPQの上位が巨大IT企業で占められているのに対し、JEPIには保険会社(プログレッシブ、トラベラーズ)など、より伝統的で安定した業種の企業も含まれているのが分かります。この構成銘柄の違いが、次の「値動き」の違いに直結します。
3-3. 違い③:値動き (ボラティリティ)
結論から言うと、値動きの激しさ(ボラティリティ)は JEPQ > JEPI
となります。
これは、それぞれのETFの親とも言える指数連動ETF、**S&P500に連動する「VOO」とナスダック100に連動する「QQQ」**の値動きを比較すると一目瞭然です。一般的に、QQQはVOOよりも上下の振れ幅が大きく、好景気ではより上昇し、不景気ではより下落する傾向があります。
JEPIとJEPQもこの特性を引き継いでいます。
- JEPI: S&P500がベースなので、株価の動きは比較的穏やかです。大きな下落リスクを避けたい方には安心材料となります。
- JEPQ: ナスダック100がベースなので、株価の動きは活発です。ハイテクセクターの成長に乗って大きな値上がりも期待できますが、その逆も然りです。
3-4. 違い④:分配金利回り
一般的に、分配金利回りの高さも JEPQ > JEPI
となる傾向があります。
- JEPIの利回り目安:約7% 〜 9%
- JEPQの利回り目安:約9% 〜 11%
「なぜ値動きが激しいJEPQの方が、分配金利回りが高くなるの?」
その答えは、高配当の源泉である**「カバードコール戦略」**にあります。この戦略では、保有する株の「コールオプション(将来買う権利)」を売ってプレミアム(手数料)を得ます。
そして、オプションのプレミアムは、対象となる資産の値動き(ボラティリティ)が大きいほど高くなるという性質があります。つまり、値動きが激しいナスダック100銘柄を対象とするJEPQは、より高いプレミアムを得られるため、結果としてJEPIよりも高い分配金を出すことができるのです。
3-5. 違い⑤:トータルリターン (最終的な儲け)
投資の最終成績である「トータルリターン(株価の値上がり益+分配金)」は、相場の状況によって大きく変わります。
- 上昇相場 (ブル相場) 📈
- パフォーマンス予測:
QQQ > JEPQ > VOO > JEPI
- カバードコール戦略は大きな値上がり益を放棄するため、JEPIもJEPQも親指数(VOOやQQQ)には劣後します。ただし、ナスダック100の成長性が高いため、JEPQがJEPIを上回る可能性が高いです。
- パフォーマンス予測:
- 下落相場 (ベア相場) 📉
- パフォーマンス予測:
JEPI > JEPQ > VOO > QQQ
- 分配金がクッションとなり、JEPIもJEPQも親指数より下落率を抑えられます。より安定的な銘柄で構成されるJEPIが、最も下落に強い(ディフェンシブな)動きを見せるでしょう。
- パフォーマンス予測:
- 横ばい相場 (レンジ相場) 횡
- パフォーマンス予測:
JEPQ > JEPI > QQQ ≒ VOO
- JEPIとJEPQが最も輝くのがこの相場です。株価が変わらなくても、毎月着実に分配金(プレミアム収入)が積み重なっていくため、株価が変わらない親指数を尻目に、トータルリターンで大きく上回ることができます。
- パフォーマンス予測:
4. 【タイプ別診断】あなたが選ぶべきはJEPI?それともJEPQ? ✅
さて、ここまでJEPIとJEPQの様々な違いを分析してきました。ここからは、その知識を基に、あなたがどちらのタイプに当てはまるのかを診断してみましょう。
以下のチェックリストで、ご自身の投資スタイルや考え方に近い方を選んでみてください。それが、あなたの資産形成のベストパートナーとなるETFです。
4-1. 【安定・守備型】JEPIがおすすめな人
もしあなたが以下の項目に一つでも強く当てはまるなら、ポートフォリオの心強い「守りの要」としてJEPIが最適です。
- ☑️ 毎月の安定したインカムを最優先したい「株価の値上がりは二の次でいい。とにかく毎月、年金や給料にプラスされる安定したキャッシュフローが欲しい」という方。JEPIはS&P500をベースにしているため、JEPQよりも分配金のブレが少なく、計画的な資金計画を立てやすいのが魅力です。
- ☑️ 市場全体の値動きに近い、比較的マイルドなリスクを好む「日々の株価の大きな変動に一喜一憂したくない。安心して長く持ち続けたい」という方。米国経済全体を反映するJEPIは、暴落時の下落率もJEPQより抑えられる傾向にあり、精神的な負担が少ない「守備的な運用」が可能です。
- ☑️ ポートフォリオの守備的な中核としたい(例:60代からの資産運用)すでに十分な資産を築き、これからは「増やす」よりも「守りながら使う」フェーズに入った方、特に60代以降のリタイアメント世代にJEPIは最適です。資産全体の揺るぎない土台としてJEPIを据えることで、安定した配当金生活を実現しやすくなります。
4-2. 【成長・積極型】JEPQがおすすめな人
もしあなたが以下の項目のように、未来への期待感を持ちながら資産を増やしたいと考えるなら、ポートフォリオの「攻めのエース」としてJEPQが最高の相棒になります。
- ☑️ 高いインカムに加え、株価の値上がり益も積極的に狙いたい「どうせなら分配金だけでなく、株価自体の成長も期待したい」という欲張りな方。JEPQは高い分配金利回りを維持しつつも、ナスダック100の成長ポテンシャルを秘めているため、「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」の両方を狙うことができます。
- ☑️ ハイテク株の将来的な成長性を信じている「AI、クラウド、EV…これからの世界はテクノロジーが牽引していくはずだ」と強く信じている方。JEPQはまさにその未来に賭けるETFです。構成銘柄であるハイテク企業の成長が、あなたの資産を大きく飛躍させる原動力となるでしょう。
- ☑️ ある程度の価格変動リスクは許容できる(例:30代〜50代の働き盛り世代)投資に回せる期間がまだ長く、一時的な株価の下落にも動じない30代〜50代の働き盛り世代にJEPQはフィットします。短期的な値動きよりも、長期的な視点で資産を最大化することを目指す、積極的な投資家向けの選択肢です。
いかがでしたでしょうか。ご自身の投資家としての「性格」が見えてきたかと思います。
しかし、「どちらか一方なんて選べない…」と感じた方もご安心ください。次の章では、この2つを組み合わせる「良いとこ取り」の戦略をご紹介します。
5. JEPIとJEPQを組み合わせる「良いとこ取り」ポートフォリオ戦略 🤝
「安定のJEPIも魅力的だけど、JEPQの成長性も捨てがたい…」
タイプ別診断を読んで、そう感じた方も多いのではないでしょうか。ご安心ください。投資の世界では、必ずしも白黒つける必要はありません。この2つのETFを組み合わせることで、あなただけのオーダーメイドのインカム戦略を築くことが可能です。
5-1. なぜ組み合わせるのが有効なのか?分散投資のメリット
JEPIとJEPQを組み合わせる最大のメリットは、リスクとリターンのバランスを自分好みに調整できることにあります。
これは、お風呂の温度を調整する感覚に似ています。
- JEPI:安定感のある「ぬるま湯」。安心して浸かっていられます。
- JEPQ:刺激的でパワフルな「熱いお湯」。エキサイティングですが、長湯は禁物です。
この2つを混ぜ合わせることで、あなたは「少し熱めの快適な温度」を自在に作り出せるのです。
具体的には、以下のメリットがあります。
- セクター分散: JEPIが米国市場全体に広く投資するのに対し、JEPQはハイテクセクターに集中しています。組み合わせることで、特定のセクターの不調がポートフォリオ全体に与える影響を和らげることができます。
- リターンの平準化: 値動きの穏やかなJEPIと、活発なJEPQを合わせることで、ポートフォリオ全体の価格変動をマイルドにし、より安定したトータルリターンを目指せます。
5-2. 具体的な組み合わせ比率の例
では、具体的にどのような比率で組み合わせるのが良いのでしょうか。ここでは代表的な3つのモデルポートフォリオをご紹介します。
① 安定重視型:JEPI 70%:JEPQ 30% 🛡️
リタイア後の生活など、安定したインカムを最優先しつつも、資産の目減りを防ぐために少しだけ成長のスパイスを加えたい方向けの、最も保守的な配分です。ポートフォリオの大部分がJEPIであるため、安心感を保ちながらJEPQがもたらすリターンの上乗せを期待できます。
② バランス型:JEPI 50%:JEPQ 50% ⚖️
安定と成長、どちらも同じくらい重要だと考える方に最適な、まさに「良いとこ取り」の配分です。JEPIが守備の基盤を固め、JEPQが積極的にリターンを狙いにいく、攻守のバランスが取れた理想的なポートフォリオと言えるでしょう。多くの方が、まずこの比率から試してみる価値があります。
③ 成長重視型:JEPI 30%:JEPQ 70% 🚀
まだ投資期間を長く取れる働き盛りの世代など、ある程度のリスクを取ってでも高いリターンを追求したい方向けの積極的な配分です。ポートフォリオの主役はJEPQとなり、高い成長性を期待できます。JEPIを3割加えることで、ナスダック市場が不調な時期のクッション役を果たしてくれます。
5-3. 新NISAの成長投資枠をどう活用するか?
この強力な組み合わせ戦略を、さらに加速させる制度が**「新NISA」**です。
JEPIとJEPQは、どちらも新NISAの**「成長投資枠」(年間240万円)の対象銘柄です。この枠を活用する最大のメリットは、なんと言っても分配金が非課税になる**ことです。
例えば、年間8%の分配金を出すETFに100万円投資した場合、
- 通常口座: 分配金8万円 → 税金約1.6万円が引かれ、手取りは約6.4万円
- NISA口座: 分配金8万円 → 税金はゼロ! 手取りはまるごと8万円
この差は歴然です。高配当ETFにとって、NISAはまさに最高のパートナーと言えます。
具体的な活用法としては、まずご自身で決めた比率(例:バランス型の50:50)に基づき、成長投資枠の年間240万円を上限に、JEPIを120万円分、JEPQを120万円分購入するといった方法が考えられます。
税金という足かせを外すことで、あなたの「配当金生活」への道のりは、よりスピーディーで確実なものになるでしょう。
6. 【参考】話題のQQQIとは?JEPI・JEPQとの決定的な違い 💡
さて、ここまではJPモルガン社が提供するJEPIとJEPQを解説してきました。しかし、高配当インカム戦略の世界には、JEPQの強力なライバルとなりうる、ユニークな仕組みを持つETFが存在します。その代表格が**「NEOS Nasdaq-100 High Income ETF (QQQI)」**です。
注意:この章で解説するQQQIは、JEPQと似て非なる戦略を持つETFです。現時点では日本で購入できませんが、JEPQとの違いを知識として理解しておくと、今後のETF選びの視野が広がります。
6-1. QQQIの仕組み:「カバードコール」+「プット売り」による二階建て戦略
QQQIの最大の特徴は、収入源を増やすことで、より高い分配金と税効率を目指す巧みな仕組みにあります。
- ナスダック100銘柄の保有とカバードコール
- まず、JEPQと同様に、ナスダック100に連動するETF(例:QQQ)などを保有し、その資産に対して「コールオプションを売る(カバードコール)」ことでプレミアム収入を得ます。ここまではJEPQと全く同じです。
- プットオプションの売り
- QQQIはそれに加えて、**「プットオプションを売る」**ことでもプレミアム収入を得ます。これは「将来、あらかじめ決めた価格で株を買う義務」を負う代わりに、手数料を受け取る戦略です。
つまり、QQQIは**「①コール売り」と「②プット売り」の二つのオプション戦略を組み合わせることで、JEPQよりも多くのプレミアム収入を集め、より高い分配金を目指す「二階建てのインカム戦略」**を採用しているのです。
6-2. 高配当のカラクリと新たなリスク
QQQIの魅力的な分配金の源泉と、それに伴うリスクを見ていきましょう。
- カラクリ:収入源の多さ
- QQQIの高い分配金は、この「コール売り」と「プット売り」の二階建て戦略によって得られる、豊富なプレミアム収入によって実現されています。また、この戦略は米国では税制上有利に働くよう設計されており、税効率の高さも謳われています。
- 新たなリスク:プット売りの義務
- QQQIはJEPQが負っていないリスクを一つ抱えています。それは**「相場が暴落した際に、割高な価格で株を買い取らなければならない義務(プット売りのリスク)」**です。
- もしナスダック100が大きく下落すると、JEPQは保有資産の値下がりというダメージだけですみます。しかしQQQIは、それに加えて「下落した株を、下落前の高い価格で買い取る」という損失が発生する可能性があります。
- このため、下落相場におけるダメージは、QQQIの方がJEPQより大きくなる可能性があることを理解しておく必要があります。
6-3. もし日本で購入できるようになったら、どのような投資家に向くか?
仮に将来、QQQIが日本で購入可能になった場合、それはJEPQを検討する投資家にとって、より積極的な選択肢となります。
- 向いている可能性のある人:
- JEPQ以上のインカムを追求したい投資家
- JEPQの仕組みを理解した上で、さらに高い分配金を狙いたい方。
- オプション戦略に精通した中〜上級者
- プット売りのリスクを正しく理解し、ナスダック100が暴落しないという相場観を持っている方。
- JEPQの強力なライバル、または代替案として
- JEPQとQQQIの経費率や、暴落時のパフォーマンスを比較検討し、より自分のリスク許容度に合った方を選びたい方。
- JEPQ以上のインカムを追求したい投資家
結論として、QQQIはJEPQの「いとこ」のような存在でありながら、より高いリターンを目指す分、下落相場でのリスクを一つ多く背負っているETFです。もし投資対象となれば、JEPQと並べて比較検討すべき、非常に興味深い高配当ETFと言えるでしょう。
7. JEPI・JEPQに関するよくある質問(Q&A)
ここまで読み進めて、JEPIやJEPQへの投資がかなり現実味を帯びてきたのではないでしょうか。この章では、投資を実行する前に多くの方が抱くであろう、税金やNISA、リスクに関する具体的な疑問にQ&A形式でお答えします。
Q1. 分配金にかかる税金はどうなりますか?(二重課税調整など)
A. JEPI・JEPQの分配金には、①アメリカと②日本の二段階で税金がかかりますが、**「外国税額控除」**という制度で一部を取り戻すことが可能です。
- 米国での源泉徴収 (10%)まず、分配金に対して米国で10%の税金が源泉徴収されます。これは避けることができません。
- 日本での課税 (20.315%)次に、米国で税金が引かれた後の金額に対して、日本で20.315%(所得税+復興特別所得税+住民税)が課税されます。
【重要】二重課税を取り戻す「外国税額控除」
このままでは日米で二重に税金を払うことになってしまうため、確定申告で「外国税額控除」を申請することにより、米国で支払った10%分の税金の一部または全部を、日本の所得税や住民税から差し引く(還付してもらう)ことができます。
- NISA口座の場合: 日本の税金(20.315%)は非課税になります。ただし、米国での源泉徴収10%は引かれてしまい、この分は外国税額控除で取り戻すことはできません。それでも、日本の税金がかからないメリットは非常に大きいです。
Q2. 新NISA(つみたて投資枠・成長投資枠)での取り扱いは?
A. JEPI・JEPQは**「成長投資枠」でのみ購入可能**です。
- 成長投資枠:〇 対象です年間240万円までの非課税枠を使って、JEPIやJEPQに投資できます。高配当ETFの分配金を非課税で受け取れるため、相性は抜群です。
- つみたて投資枠:✕ 対象外ですつみたて投資枠は、金融庁が定めた長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託が対象のため、JEPIやJEPQのような海外ETFは対象外となります。
Q3. 暴落時の値動きはどれくらい下がりますか?過去のショック時の実績は?
A. 「暴落時でも全く下がらない」訳ではありませんが、通常の指数よりは下落を抑える(ディフェンシブな)動きが期待できます。
直近の大きな下落相場である2022年の金利上昇局面を見てみましょう。
この年、ハイテク株を中心に市場は大きく下落しました。
- ナスダック100 (QQQ): 年間で約-33%
- JEPQ: 年間で約-24%
- S&P500 (VOO): 年間で約-19%
- JEPI: 年間で約-14%
(※数値は概算)
このように、JEPIもJEPQも、元となる指数(QQQやVOO)と比較して下落率が小さく抑えられていることが分かります。これは、株価が下がる局面でもカバードコール戦略によるプレミアム収入がクッションの役割を果たした結果です。
未来を保証するものではありませんが、この「下落耐性」はJEPI・JEPQの大きな魅力の一つです。
Q4. 為替リスクはどのように考えれば良いですか?
A. 円高はリスク、円安はプラスに働きます。
JEPIとJEPQは米ドル建ての資産のため、私たちの最終的な円でのリターンは、ETFの株価だけでなく**「米ドル/円」の為替レート**に大きく影響されます。
- 円高・ドル安の局面
- リスクになります。 例えば1ドル=150円の時に買った100ドルのETFが、1ドル=130円になると、ETFの価格が変わらなくても円換算での資産は15,000円→13,000円に目減りします。受け取る分配金も同様に円での価値が減ります。
- 円安・ドル高の局面
- プラスに働きます。 上記とは逆に、1ドル=150円→170円のように円安が進むと、円換算での資産価値は上昇し、追い風となります。
【考え方】
米国ETFへの投資は、資産を円だけでなくドルでも持つことになり、資産の通貨分散に繋がると捉えることができます。短期的な為替の動きを予測するのは困難ですが、長期的な視点で見れば、円資産だけに偏るリスクをヘッジする効果も期待できるのです。
8. まとめ:自分の投資目標に合ったETFを選び、賢く資産形成を始めよう
ここまで、高配当ETFの二大巨頭であるJEPIとJEPQについて、その仕組みから具体的な戦略まで、徹底的に解説してきました。数々の情報に目を通してこられた今、あなたがどちらの船に乗るべきか、その航路はかなり明確になったのではないでしょうか。
最後にもう一度、重要なポイントを振り返りましょう。
- 安定したインカムを最優先し、ポートフォリオの守りの要を築きたいなら【JEPI】米国市場全体に連動する安心感と、比較的マイルドな値動きが、あなたの資産を着実に守りながら育ててくれます。
- 高いインカムに加えて、未来の成長による値上がり益も狙いたいなら【JEPQ】ナスダック100の成長性を信じ、多少のリスクを取ってでも積極的にリターンを追求する、あなたの野心に応えてくれるでしょう。
そして、忘れてはならないのが**「組み合わせる」**という第三の選択肢です。安定のJEPIと成長のJEPQを自分だけの黄金比でブレンドすることで、リスクとリターンのバランスを完璧に調整した、オーダーメイドのポートフォリオを創り上げることができます。
究極的には、「どちらが優れているか」という問いに絶対の答えはありません。**「どちらが、あなたの描く未来図にフィットするか」**が全てです。
この記事で、あなたは判断に必要な知識という武器を手にしました。あとは、その武器を使って最初の一歩を踏み出すだけです。
まだ証券口座をお持ちでなければ、まずは**新NISAの「成長投資枠」**が使えるネット証券(SBI証券や楽天証券など)で口座を開設することから始めてみましょう。
毎月自動的にチャリンと振り込まれる配当金が、あなたの生活を少しずつ豊かにし、選択肢を広げてくれる。そんな「配当金のある暮らし」は、今日この瞬間の、あなたの小さな行動から始まります。
賢い選択で、未来の自分を楽にしてあげましょう。あなたの資産形成の旅が、実り多きものになることを心から願っています。
コメント