卒論でChatGPT・生成AIは使っていい?大学の方針、使い方ごとの可否、記載の書き方、不正とされたときの処分(計算機つき)

卒論でChatGPTは使っていい?大学・学部の生成AIの方針44件のうち、卒論・学位論文について利用を制限3件・論文での利用方針を教員に委ねると明示2件・本人が作成する原則5件・条件を示す5件・記載なし29件。出力をそのまま提出することには31件が触れ、不可・禁止など14件・不正行為になる・なりうる7件。明記を求める資料は43件中26件。使ってよいかは大学・学部の規定と指導教員の指示で決まる 生き方・キャリア

「卒論 チャットgpt」「卒論 ai」「卒論 ai バレる」で調べて来られた方に、先に結論を書きます。

卒論でChatGPTなどの生成AIを使ってよいかは、あなたの大学・学部の規定と、指導教員の指示で決まります。文部科学省は、卒論での利用を一律に禁止も許可もせず、各大学が教育の実態に応じて対応を検討することを重んじたうえで、成果物の扱い・剽窃のおそれ・使用の明記・判定ツールを過信しないことなどの注意事項を示しました(令和5年7月13日の周知。「卒業論文」の語はありません)。

この記事で原文を読んだ大学・学部の公式の方針44件のうち、卒業論文・学位論文での扱いを書いていたのは15件でした。書き方で分けると、利用を制限するもの3件(長崎大学は「流用することは不可」、上智大学は「受講生本人が作成したものとしては認められません」、法政大学は「教員による使用許可がない限り」処分の対象となりうる)、論文での利用方針を教員に委ねると明示するもの2件、本人が考えて作成する原則を書くもの5件、条件(明記する・そのまま使わない)を示すもの5件でした(分け方は筆者の当てはめ。全国の割合ではありません)。残る29件は卒論について書いておらず、そのうち24件は「担当教員の指示に従う」または「教員に相談する」と書いています(計算)。

学修全般の例示では、アイデア出し・文献探し・要約・翻訳・文章の校正・プログラムの補助を「有効」とする資料が多くありました(卒論での許可ではありません)。出力をそのまま・AIだけで提出することには44件中31件が触れ、そのうち「不可」「禁止」などと書くのが14件、「不正行為」になる・なりうると書くのが7件でした(計算)。使ったことの明記を求める(求めることがある)資料は43件中26件でしたが、書く必要があるか・何を書くかは、大学・学部の規定と指導教員の指示によります。

「バレるか」については、AI検出ツールの判定を決定的な証拠にしないと書く大学がある一方、処分の規程が対象にしているのは、検出ではなく「許可なく使った」「使ったのに書かなかった」「そのまま出した」という行為そのものです。処分の例は、その科目の無効、その学期の全科目の不可、停学などの懲戒です。卒業後に分かった場合も自動的に学位が取り消されるのではなく、各大学の学位規程の取消しの要件に当たるかで判断されます。

私は研究室に所属せず、卒業研究・卒論なしで卒業しました。この記事は、文部科学省と大学・学部の公式の資料(方針・ガイドライン・処分の基準・学則・学位規程)の原文だけで書いています。AIを使ったことを見つからないようにする方法や、検出ツールへの対策は書きません。

知りたいこと 答え 章
卒論でChatGPTを使っていい? 大学・学部の規定と指導教員の指示しだい。今回の44件では、卒論について書いたのは15件(利用を制限3・教員に委ねると明示2・本人が作成する原則5・条件を示す5)。書いていない29件のうち24件は「担当教員の指示に従う」「教員に相談する」 2章
文科省は禁止している? 一律に禁止も許可もしていない。大学ごとの対応を重んじつつ、出力をそのまま使うことは「一般に不適切」などの注意事項を示した(令和5年7月13日) 2章
どんな使い方ならいい? 学修全般の例示では、アイデア出し・文献探し・要約・翻訳・校正・プログラムの補助を有効とする資料が多い。本文をそのまま出すことは使わない方向の書き方が多い。図の作成を可とした資料は見つからなかった(不可という意味ではない) 3章
使ったら書く? 明記を求める(求めることがある)資料は43件中26件(計算)。書く必要があるか・何を書くかは大学・学部の規定と指導教員の指示による(横浜市立大学は基本的な文法・スペルチェックを除く) 4章
卒論のAIはバレる? 検出ツールの判定を決定的な証拠にしないと書く大学がある。一方で処分の規程は、無断の利用・書かないこと・そのまま出すことを対象にしている 5章
不正とされたら? 科目の無効、学期の全科目の不可、停学などの懲戒。卒業後に分かった場合は、学位規程の取消しの要件に当たるかで判断される 6章
自分の場合 方針別の判定、使い方ごとの可否の表、使ったことの記載文、処分の例を計算機で 7章

1. 先に、この記事の資料と、書いている人について

私は研究室に所属せず、卒業研究・卒論なしで卒業しました。この記事は、次の公式の資料だけで書きました。AIの会社の記事、個人のブログ、Q&Aサイト、メディアの記事は出典にしていません。

  • 文部科学省「大学・高専における生成AIの教学面の取扱いについて(周知)」(令和5年7月13日)と、「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」(平成26年8月26日)とそのFAQ
  • 大学・学部の生成AIの方針・ガイドライン44件(国立16件・公立6件・私立22件。全学の方針40件・学部の方針4件)
  • 大学の不正行為の処分基準・学則・学位規程・研究不正防止規程・卒業論文の確認書など
  • e-Gov の学位規則

44件は、検索で見つかり原文を読めた公式資料を数えただけで、全国の大学から選んだものではありません。件数と割合は「この44件の中で」の値です。各大学の方針は改訂されることが多いので、表には版の日付を書きました(44件のうち2025年以降の版は18件)。2023年の版のまま新しい版が見つからなかったものもあり、新しい版があるかは確かめきれていません。

数字は「出典の数字そのもの」と、「出典の件数を足し算・割り算しただけの値(計算)」を分けて書きます。方針の文を組み合わせて読んだところ、方針を型に分けたところは「当てはめ」、公式の資料で確かめられなかったところは「未確認」と書きます。この記事は、あなたの卒論でAIを使ってよいかを決めるものではありません。最後は、指導教員と大学の窓口に確かめてください。

2. 卒論でAIを使ってよいかは、大学・学部と指導教員が決める

2-1. 文部科学省は、卒論での利用を一律に禁止・許可せず、注意事項を示した

文部科学省は令和5年7月13日に「大学・高専における生成AIの教学面の取扱いについて」を大学に周知しました。卒論での利用を一律に禁止も許可もせず、「各大学・高専において、具体的に行われている教育の実態等に応じて対応を検討することが重要であり、」とし、「生成 AI の利活用可否や利活用不可の場面でこれに反した行為を行った際の措置等」を含む対応を大学が検討して、「学生や教職員に対して適切に示すことが望ましい。」としています。そのうえで、次のような注意事項を示しました。

同じ周知は、成績評価について「生成 AI の出力をそのまま用いるなど学生自らの手によらずにレポート等の成果物を作成することは、」「学生自身の学びを深めることに繋がらないため、一般に不適切と考えられること。」とし、「生成 AI の出力に著作物の内容がそのまま含まれていた場合、これに気付かずに当該出力をレポート等に用いると、意図せずとも剽窃に当たる可能性がある」と書いています。使った場合には「利活用した旨や利活用した生成 AI の種類・箇所等を明記させること」も有効とし、AIが生成した文章かを判定するツールについては「その結果を過信しないことが重要であること。」としています(5-1)。

周知の本文に「卒業論文」の語はなく、「レポート等」です。この周知の改訂版・後継の通知は見つかりませんでした(未確認)。全国の大学のうち何割が卒論でのAIを禁止・許可しているかの公的な集計も見つかりませんでした(未確認)。「文部科学省が卒論でのAIを禁止した」「国が卒論でのAIを認めた」とは書けません(当てはめ)。

2-2. 大学の方針44件のうち、卒論について書いたのは15件

大学・学部の方針44件(42大学)を、卒業論文・学位論文での扱いで分けると、次のとおりでした(計算。分類は筆者の当てはめ)。

型 件数 意味
利用を制限する 3件 書き方はそれぞれ違う。長崎大学は「流用することは不可」、上智大学は出力した文章などを「受講生本人が作成したものとしては認められません」、法政大学の処分基準は「教員による使用許可がない限り」出力を利用した成果物の作成も処分の対象となりうる
論文での利用方針を教員に委ねると明示 2件 京都大学(論文執筆では担当教員・指導教員が示す方針に従う)、桃山学院大学(事前に担当教員や指導教員に確認)
本人が考えて作成する原則を書く 5件 卒論・学位論文は学生が自分で考えて作る前提だと書く。使ってよいかは書いていないか、教員の指示・相談に触れるだけ(鹿児島大学・宮崎大学・大阪教育大学・長野県立大学・帝京大学)
条件を示す 5件 「そのまま使わない」「利用を明記する」などの条件を示す(岩手大学・横浜市立大学・福井工業大学・阪南大学・新潟医療福祉大学)
卒論について記載なし 29件 卒論・学位論文での扱いを書いていない(レポート・課題一般の方針だけ)

15件の書き方はばらばらで、「卒論でのAIは禁止」「卒論でのAIは許可」のどちらかにまとめることはできません(当てはめ)。「禁止」と読める3件も、流用は不可(長崎)、本人が作成したものと認めない(上智)、許可のない利用は処分の対象となりうる(法政)と、書き方が違います。修士論文・博士論文も「学位論文」として同じ文に入っている大学が多く、修士論文の審査の基準は修論がゴミ・成果なしでも修了できる?に書きました。

2-3. 卒論・学位論文について書いた15件の原文

型(当てはめ) 大学(版) 原文
利用を制限(流用は不可) 長崎大学(2023年4月25日) 「本学においては,レポートや学位論文等の作成に生成系 AI から得た内容を流用することは不可とします。」
利用を制限(本人が作成したものと認めない) 上智大学(2025年11月11日 一部改訂) 「課題(リアクションペーパー、レポート、小論文、学位論文等)への取り組みにおいて、生成AI が出力した文章、プログラムソースコード、計算結果等は、受講生本人が作成したものとしては認められません。」2023年3月27日の文書は「教員の許可があればその指示の範囲内で使うことは可とする。」
利用を制限(許可なく使うと処分の対象となりうる) 法政大学「試験等における不正行為の処分基準」(2023年7月1日から) 論文(卒業論文を含む)の項に「※教員による使用許可がない限り、課題に関連する成果物の全部または一部において、自動生成された文章・画像・プログラム等を利用してこれを作成した者も、上記に準じて処分の対象となりうる。」(方針ではなく処分基準)
教員に委ねると明示 京都大学(2026年3月11日) 「授業の履修(レポート執筆等を含む)や論文執筆に当たっては、担当教員・指導教員が示す生成AI利用方針に従うこと。」
本人が作成する原則 鹿児島大学(2023年11月28日) 「生成 AI に頼ってレポートや論文を書くことは厳に慎む必要があります。」「疑問や懸念が生じた場合は授業担当教員や指導教員に必ず相談し、その指示に従ってください。」
本人が作成する原則 宮崎大学(2023年6月20日) 「レポート、卒業論文等については、今まで以上に自分の著作物であるという意識を持つよう指導を行うとともに」「生成系 AI の講義等の学習上の利用条件に関しては、学部、研究科の指示に従うこと。」
本人が作成する原則 大阪教育大学(2023年6月1日) 「授業等において課されるレポート等(学位論文を含む)の作成は学生本人が自身で考えて作文することを前提としていること。」(教員が必要な指示を与える書き方)
本人が作成する原則 長野県立大学(日付の記載なし) 「授業やゼミナールにおける課題やレポート、卒業論文等を含むあらゆる提出物、定期試験は、学生自身が考えて作成・回答することが前提となっています。」「学修・教育活動においては教職員の指示に従い、」
教員に委ねると明示 桃山学院大学(2025年1月22日 改訂施行) 「生成AIを利用する際は、事前に担当教員や指導教員に確認してください。」「生成AIの出力結果をそのままレジュメ、発表資料、レポート、卒業論文等に用いてはなりません。」
本人が作成する原則 帝京大学(2023年11月1日) 「レポートや学位論文等の課題は、学生が自身の考えに基づき、自身で作成し、自身が責任を負うことが前提です。」(学生は教員の指示に従って利用する、という書き方)
条件を示す 岩手大学(最終改正 2025年12月23日) 「学位論文では、生成 AI の利用の明記および引用元の明示・明記を遵守してください。」
条件を示す 横浜市立大学(2025年9月22日) 「リアクションペーパーやレポート、小論文、学位論文等は、学生自身が考え、作成するものであり、提出物の著者としての責任は学生自身にあります。」「文法やスペルのチェックなどの基本的なツールとして利用した場合を除いて、提出物の一部に生成系 AI を利用する場合には、例に則って開示(ツールとして利用する場合)または引用(文章を引用する場合)してください。」(例文は4章)
条件を示す 福井工業大学(2024年7月4日) 「受講科目で課せられたレポートや課題、卒業論文等の作成において、生成AIで出力された回答をそのまま用いるのは厳に慎んでください。」
条件を示す 阪南大学(2025年7月18日) 「レポート・課題・卒論・制作などで生成 AI を使用した場合は、その旨・使用したサービス名・どの部分にどのように利用したか明記してください。」
条件を示す 新潟医療福祉大学(2026年4月1日) 「学位論文等の作成において、生成AIでの出力内容をそのまま記載することは剽窃とみなされる場合があり」

型の線引きには筆者の判断が入っています。「教員に委ねると明示」は、論文での利用方針を教員が示す・事前に教員に確認する、と書いた2件だけにしました。鹿児島大学(迷ったら指導教員に相談し、その指示に従う)と帝京大学(教員の指示に従って利用する)は教員の指示にも触れていますが、論文での利用方針を教員に委ねるとまでは書いていないので「本人が作成する原則」に入れました(境界)。横浜市立大学は学位論文を本人が作成するものとしたうえで、利用したときの開示を求めているので「条件を示す」に入れました。法政大学は生成AIの方針ではなく処分の基準ですが、「論文(卒業論文を含む)」の項で教員の許可のない自動生成の利用を処分の対象になりうると書いているので「利用を制限」に入れました。

2-4. 卒論について書いていない大学では、指導教員に確かめる

卒論について書いていない29件のうち、24件は「担当教員の指示に従う」または「教員に相談・確認する」と書き、18件は出力をそのまま・AIだけで提出することについて書いています(どちらかを書いたのは28件。計算)。44件全体では、担当教員の指示に従う・教員が可否を示すと書いたのが31件、迷ったら教員に相談・確認すると書いたのが10件でした(計算)。

京都産業大学(2026年7月10日)は「大学全体のルールよりも、各授業で指示や条件がある場合は、その内容が優先されます。」と書いています。卒論は「卒業研究」「卒業論文」という科目で、担当は指導教員なので、多くの大学の方針は「卒論での可否は指導教員の指示による」と読めます(当てはめ)。ただし方針の文で「指導教員」と書いていたのは、京都大学・鹿児島大学・桃山学院大学など一部で、ほかは「担当教員」「授業担当教員」です。

判定の順番は次のとおりです(当てはめ)。

  • 自分の大学・学部の生成AIの方針(最新の版と日付)に、卒業論文・学位論文の記載があるかを見る
  • 記載がない、または「担当教員の指示に従う」型なら、指導教員にゼミとしての方針を聞く
  • 使える場合でも、出力をそのまま本文にしない。使ったことを書く必要があるか・何を書くかを、大学・学部の規定と指導教員の指示で確かめる
  • 文献・データは一次資料で確かめる。草稿・研究データ・個人情報を入れてよいかも確かめる
  • 大学の規定と指導教員の指示が食い違うときは、学部の教務の窓口と指導教員の両方に確認する

指導教員にメールで聞きにくい、返信が来ないときの考え方は教授・指導教員と合わないに書きました。

3. 使い方ごとの可否の書き方:校正などは有効の例示が多く、本文のそのまま提出には否定的

3-1. 使い方ごとの件数

卒業論文について、使い方の例ごとに可否を書いた公式資料は見つかりませんでした。下は、レポート・課題を含む学修全般で、使い方の例を書いていた19件の資料の書き方です(計算。○=有効・可と例示、△=条件つき、×=使わない方向の書き方〔不可・禁止・不正行為になりうる・慎む など。強さは資料による〕)。学修全般についての原文の書き方で、卒論での許可・禁止ではありません。一覧は7章の計算機2で出せます。

使い方 書き方の件数 例
テーマ・論点のアイデア出し ○13件 明治大学 経営学部(2025年3月7日改訂)「テーマ探しや論点の明確化、ブレインストーミング等に生成AIを用いることは、全く問題ありません。」。京都産業大学(2026年7月10日)は、卒業論文のテーマ設定までを生成AIに委ねることを問題の例に挙げている
文献探し・情報収集 ○9件・△2件 筑波大学(2024年10月22日)「それらの論文を自分で実際に精読することが大切です。」
文献の要約 ○6件・△2件 京都大学(2026年3月11日)「適切に入手した論文の要約や翻訳を生成AIにさせたい場合」の条件つき
翻訳 ○7件・△2件 阪南大学(2025年7月18日)「外国語学習時の翻訳・添削・会話練習」
自分の文章の校正・推敲 ○10件・△4件 横浜市立大学(2025年9月22日)は文法やスペルのチェックだけの利用を開示の対象から外している
本文をAIに書かせて、そのまま使う ×14件 明治大学 経営学部(2025年3月7日改訂)「生成された文章をそのままレポート・論文に使用・引用すべきではありません。」
データ分析・プログラムの補助 ○8件・△5件・×1件 明治大学 経営学部(2025年3月7日改訂)「結果の正確性・妥当性は自ら再検証する必要があります。」
図の作成 △1件・×2件 可と書いた資料は見つからなかった(不可という意味ではない)。東京農工大学(2026年2月2日)は学会の指示に従う、京都工芸繊維大学(2025年4月8日)は原図をそのまま使うことを禁止(要旨)

出力をそのまま・AIだけで提出することについては、方針44件のうち31件が書いていました。書き方で分けると次のとおりです(計算。分け方は当てはめ)。

  • 「不可」「禁止」「認められない」「してはいけない」などと書く:14件(東京大学・長崎大学・山形大学・岩手大学・神戸市外国語大学・島根県立大学・上智大学・法政大学 情報科学部・中央大学・桃山学院大学・帝京大学・阪南大学・福岡工業大学・明海大学)
  • 「不正行為」になる・なりうると書く:7件(京都大学・宮崎大学・大阪教育大学・早稲田大学 商学部・法政大学の処分基準・京都産業大学・新潟医療福祉大学)
  • 本人が作成する原則や、「慎む」「すべきではない」「適切ではない」と書く:7件(鹿児島大学・名古屋大学・山梨県立大学・明治大学 経営学部・福井工業大学・相模女子大学・聖学院大学)
  • 原文の語を取れておらず、分けられない:3件(京都工芸繊維大学・早稲田大学の全学・大阪体育大学。要旨だけ)

アイデア出しは有効と例示する資料が多い使い方ですが、京都産業大学は問題の例として「卒業論文のテーマ設定や、「自分が何に興味を持つべきか」「何を学ぶべきか」といった学習の目的や欲求の決定までを生成AIに委ねてしまう。」を挙げています。テーマの決め方と、指導教員への相談の文面は研究テーマが決まらない・思いつかないに書きました。

本文の字数が足りないところをAIの文章で埋めるのは、「本文をAIに書かせて、そのまま使う」に当たります(当てはめ)。字数の規定と、足りないときに受理されない・減点される例は卒論の文字数は何文字?に書きました。

3-2. 文献・事実は、一次資料で確かめる

出力の事実を確かめるよう注意していた資料は41件中39件でした(計算。東京大学・上智大学はこの項を確かめておらず、法政大学の処分基準は対象外)。存在しない文献をはっきり名指ししたのは3件です。

  • 九州大学(令和5年9月時点):「存在しないホームページ・書籍等を出典として挙げてきたりすることがあります。」「生成AIが出力した情報の正確性は、必ず信頼できる情報源で確認してください。」
  • 山形大学(2026年3月16日 暫定版):「引用元とした文献が実際には存在していない場合があります。裏付けの確認は必ず行ってください。」
  • 明治大学 経営学部:「生成AIが情報の出典を示した場合でも、その出典が誤っていることや実在しないことがあります。」

京都大学は「生成AIの出力結果を常に疑い、一次資料に基づいた厳格な検証(ファクトチェック等)を行うこと。」と書いています。AIが挙げた文献を、自分で図書館の検索や論文のデータベースで見つけられないまま参考文献に入れると、存在しない文献を引くことになりえます。早稲田大学 商学部は、生成AI自体が捏造などをした内容を使ってレポートやゼミ論文等を提出した本人も懲戒処分の対象になると書いています(6章)。

3-3. 草稿・研究データ・個人情報を入れてよいか

個人情報の入力に注意していた資料は41件中37件、未発表の研究データ・論文を名指しした資料は41件中19件でした(計算)。

  • 立命館大学(2023年4月25日):「個人情報や秘匿性の高い情報、未発表の論文(卒業論文およびその草稿等)や研究データ等を入力することは非常に危険ですので、安易に入力(送信)しないように注意してください。」
  • 鹿児島大学:「個人情報や機密情報、研究データ (実験結果、アンケート結果等)などを絶対に提供(入力)しないでください。」
  • 京都大学:「未発表の研究データそのものを入力することは原則として避けるべきです。」

横浜市立大学(2025年9月22日)は「学生生活で知り得た個人情報や機密情報などは入力しないでください。」と書き、岩手大学(最終改正 2025年12月23日)は翻訳・校正に使う場合に「数値をぼかす・文意をぼかす等を行い、」と書いています。

卒論の草稿、実験データ、アンケートの回答、インタビューの記録は「未発表のデータ」「個人情報」に当たりえます。入れてよいかは、指導教員の確認だけでなく、大学の情報管理の規定と、使うサービスのデータの扱い(入力した内容が保存されるか、学習に使われるか)にもよります。大学が入力しないよう求めている情報は、指導教員の許可だけで入れてよいことにはなりません。食い違うときは、学部の教務の窓口と指導教員の両方に確かめます(当てはめ)。

4. AIを使ったことの書き方

4-1. 明記を求める資料は43件中26件

使ったことを明記するよう求める(求めることがある)資料は、43件中26件(60.5%)でした(計算。処分基準の法政大学を除く)。書く項目の共通部分は「生成AIの名称(バージョン)」「どこに使ったか」「どう使ったか(目的)」で、日付・指示文(プロンプト)まで求める資料もあります(当てはめ)。卒業論文の語を入れた桃山学院大学(2025年1月22日 改訂施行)は、「利用した事実や生成AIを利用した該当箇所等を明記しなければならない場合があります。」と書いています。ただし、書く必要があるか・何を書くかは、大学・学部の規定と指導教員の指示によります。横浜市立大学(2025年9月22日)は「文法やスペルのチェックなどの基本的なツールとして利用した場合を除いて」開示するよう書いており、基本的な文法・スペルのチェックは開示の対象外です。書き方を例文で示していたのは4件でした。

4-2. 大学が示している例文と項目

大学(版) 示している例文・項目
横浜市立大学(2025年9月22日) 例文「本資料の作成にあたり、私(〇〇)は、〇〇(生成系 AI の名称)を〇〇(使用目的)のために使用しました。私は、本 AI ツールから得られた内容を吟味し、必要に応じて修正しており、提出物の全責任は私にあります。」。文法やスペルのチェックなどの基本的なツールとしての利用は開示の対象外
阪南大学(2025年7月18日) 例「本レポートの文章校正に ChatGPT を利用した」。「その旨・使用したサービス名・どの部分にどのように利用したか明記してください。」
聖隷クリストファー大学(2023年10月19日施行) 「【生成 AI 名】により作成」と資料中に明記し、質問と回答(生成)内容を記録しておく」
上智大学(2025年11月11日) 文末に「使用した生成 AI の種類」「文章を生成した年月日」「用いたプロンプトの文言(AI にどのように指示したか)」
明治大学 経営学部(2025年3月7日改訂) 「利用した生成AIの名称、バージョン、入力した指示文(プロンプト)、出力された応答、日時などが考えられます。」
山形大学(2026年3月16日 暫定版) 「「使用したソフトウェア・バージョン」、「利用した箇所」、「利用方法」を付記するなど、利用の透明性を確保してください。」
九州大学(令和5年9月時点) 「生成AI の出力を引用した箇所、生成AIサービスの名称、バージョンを明記するようにしてください。」

書き方は大学・学部・指導教員によって違います。指導教員の指定があれば、そちらに従います。7章の計算機3は、上の例に沿った文面を作りますが、大学の指定の代わりにはなりません。京都大学は、文章表現の修正の枠を越えて使う場合に「作業プロセスの記録を保存すること。」を求めています。指示文と出力の記録を残しておくと、口頭試問などで聞かれたときに説明できます(当てはめ)。

4-3. 書かないと不正行為になりうる例

  • 京都精華大学(2025年4月1日):「生成 AI を使用したにもかかわらず、使用した旨と、使用の範囲を明記していない場合は、不正行為と認定される場合があります。」
  • 阪南大学:「利用申告がない場合や虚偽申告は不正行為と見なされることがあります。」
  • 三重大学(2023年5月30日):「付記することなく AI を利用して、授業の課題等や質問・問題に解答した場合は、不正行為(剽窃等)とみなされ、懲戒処分の対象となる場合があります。」
  • 横浜市立大学:「引用が明記されていない場合は、剽窃・盗用とみなされることがあります。」

5. 「卒論のAIはバレるか」に、大学の公式の文で答える

5-1. AI検出ツールの判定を、決定的な証拠にしないと書く大学

  • 文部科学省(令和5年7月13日):「AI が生成した文章かを判定するツールを学修成果の評価等に活用する場合でも、その結果を過信しないことが重要であること。」
  • 東京大学(教員向け、2023年4月28日):「学生が不正に言語生成系AIを利用した証拠としては不十分であるという認識を持っていただきたいと思います」
  • 山形大学(2026年3月16日 暫定版):「「AI生成かどうか」を判定する検知ツールは誤判定(「偽陽性」)となる場合があるため、決定的な証拠とはなりません。」
  • 帝京大学(2023年11月1日):判定は正確に行うことが困難で、「ツールの判定を過信すべきではありません。」
  • 上智大学(2025年11月11日、教員への説明):「現時点では生成 AI の使用を検出ツール(例: Turnitin の AI 検出機能)によって正確に検出することは困難ですので、慎重にご対応ください。」

5-2. 処分の規程が対象にしているのは、検出ではなく行為

一方で、処分の規程・方針の文が対象にしているのは、ツールが何と判定したかではなく、次のような行為です(当てはめ)。

  • 教員の許可なく使った:法政大学の処分基準「教員による使用許可がない限り、…自動生成された文章・画像・プログラム等を利用してこれを作成した者も、上記に準じて処分の対象となりうる。」、早稲田大学 商学部「担当教員が生成 AI の利用を禁止・制限しているにもかかわらず、無断で利用して」(対象はレポートやゼミ論文等)
  • 使ったのに書かなかった:4-3の京都精華大学・阪南大学・三重大学・横浜市立大学
  • 出力をそのまま出した:京都大学「生成AIの出力結果をそのまま自分の成果物とすることは、不正行為となることがある。」

検出ツールの判定が決定的な証拠にならないことと、規程に反した使い方が処分の対象にならないことは、別の話です(当てはめ)。法政大学 情報科学部(2023年4月11日)は「生成系AIの使用が疑われる場合、関連する内容について対面ヒアリングが実施されます。」と書いています。

5-3. 審査では、本人が説明できるかが見られる

文部科学省の周知は、評価の方法として「小テストや口述試験等を併用するなど評価方法の工夫を行うことも有効と考えられる」としています。卒論でも、中間発表や口頭試問を行う大学・学部では、本人が研究の中身を説明できるかを見られます(当てはめ)。口頭試問で聞かれることの例と、答えに詰まったときのことは卒論がやばい・終わらないの5章に書きました。

5-4. 剽窃チェック(類似度チェック)のツール

大学院の学位論文で、類似度を調べるツールを使うと公式に書いた例はあります(筑波大学大学院 図書館情報メディア研究科の修士の学位申請の手引 2026年4月「「iThenticate」以外のチェックツールは認めない。」、早稲田大学 情報生産システム研究科の博士の学位申請 2026年8月19日「受理審査時は、iThenticateによる類似度確認を行い、判定結果をIPS事務所へ提出してください。」)。学部の卒業論文の提出時にこうしたツールを使うと書いた公式資料は、今回は見つかりませんでした(未確認)。神戸大学 経営学部は卒論の提出時に剽窃をしていないことを自ら宣誓させ、広島大学は「研究上の不正行為(捏造,改ざん,盗用等)を行っていないこと。」などを確かめる確認書を出させています。

6. 不正とされたときの処分

6-1. 処分の型は4つ

今回見た規程・方針の例を分けると、処分は次の4つの型でした(当てはめ)。

  • その科目の無効・不可・0点(法政大学「当該科目は無効(E評価)」、長崎大学「成績評価点をゼロにするなどの厳格な対応を授業担当教員の判断で行うこととします。」、信州大学)
  • その学期の全科目の無効・不可(早稲田大学 商学部〔対象はレポートやゼミ論文等〕・文学学術院、神戸大学 経営学部 内規3条「当該学期に履修した授業科目の成績を全て無効とする。」、静岡大学 農学部、慶應義塾大学 SFC)
  • 懲戒(厳重注意・譴責・訓告・停学・退学)
  • 卒業後に分かり、学位規程の取消しの要件に当たると判断された場合の学位の取消し(6-5)

6-2. 法政大学の処分基準(2023年7月1日から。論文、卒業論文を含む)

不正行為の区分 例(要旨) 処分内容
剽窃行為 他人の論文・出版物・ウェブサイト・作品等から、適切な引用処理を行わずに限定的に流用した 「厳重注意または譴責」
悪質な剽窃行為 適切な引用処理を行わずに流用した、他人の論文等を自己の氏名に書き換えて提出した、など 「停学3カ月未満」「当該科目は無効(E評価)」
代筆依頼 論文・レポート等の作成を代行する企業・個人等の他者に作成を請け負わせ、納品物を自己が作成したものとして提出した 「停学3カ月以上6カ月未満」「当該科目は無効(E評価)」
その他不正行為 「データの捏造(ねつぞう)、改竄(かいざん)」 「停学3カ月未満」「当該科目は無効(E評価)」

この区分の下に、生成AIについて「※教員による使用許可がない限り、課題に関連する成果物の全部または一部において、自動生成された文章・画像・プログラム等を利用してこれを作成した者も、上記に準じて処分の対象となりうる。」とあります。どの区分に準じるかは書かれていません(未確認)。

6-3. 早稲田大学 商学部:2026年7月15日版で「停学処分、当該学期全科目不可」

早稲田大学 商学部の「生成 AI の利用に関する取り扱いと注意事項」(2026年7月15日)は、原則として「担当教員から特段の指示がない場合には利用して差し支えありません。」としたうえで、次を不正行為としています。

  • 「担当教員が生成 AI の利用を禁止・制限しているにもかかわらず、無断で利用して、レポートやゼミ論文等を作成し提出した場合、不正行為として懲戒処分の対象になります。(停学処分、当該学期全科目不可)」
  • 「生成 AI が作成した内容を流用し、レポートやゼミ論文等の全部あるいは主要部分を作成・提出する行為は、代作にあたり、不正行為として懲戒処分の対象になります。」
  • 「生成 AI 自体が剽窃、不適切な引用、改ざん、捏造等を行った場合に、その内容を利用してレポートやゼミ論文等を提出した本人も、不正行為として懲戒処分の対象になります。」

この文書の対象は「レポートやゼミ論文等」で、「卒業論文」の語はありません。卒論にそのまま当てはまるかは、この文書だけでは確定できません(当てはめ)。

同じ文書の2025年10月8日版では、括弧の中が「(無期停学処分、当該学期全科目不可)」でした。版によって書き方が変わることがあるので、自分の大学の最新の版で確かめます(当てはめ)。

6-4. 卒業・内定への影響

卒論が必修の学部では、卒論の科目が無効・不可になると、その年には卒業できません(当てはめ)。学期の全科目が無効になる大学では、ほかの科目の単位も失います。大阪大学の学部学則33条は「停学の期間は、第9条に規定する在学年限に算入し、第8条に規定する修業年限に算入しない。」としています(1月未満の停学の例外あり)。立命館大学(2026年4月)は「懲戒処分により卒業延期となった上に、就職内定を棒にふることにもなりかねません。」と学生に呼びかけています。卒業できなかったときの内定の扱いと学費は卒論がやばい・終わらないの6章に書きました。

6-5. 卒業した後に分かった場合:学位の取消し

卒業後に不正が分かっても、学位は自動的に取り消されるのではなく、各大学の学位規程の取消しの要件(不正の方法により学位の授与を受けた事実など)に当たるかで判断されます(当てはめ)。学位規則(文部科学省令)には学位の取消しの条文がなく、13条で学位に関し必要な事項を大学が定めるとしています。取消しの要件は各大学の学位規程で決まります。

  • 北海道大学 学位規程16条1項:「学位を授与された者が、不正の方法により学位の授与を受けた事実が判明したときは、総長は、学部、研究科等又は教育部の教授会の議を経て学位の授与を取り消し、学位記を返還させ、かつ、その旨を公表する。」
  • 福知山公立大学 学位規程4条:「学位を授与された者に、不正の方法により学位の授与を受けた事実があると認められたとき、学長は学位を取り消し、学位記を返還させ、かつ、その旨を公表する。」(3条で学部の卒業者に学士を授与)
  • 神戸大学 経営学部のガイドライン(卒業論文を含む学位論文が対象):「剽窃が発覚した場合は,以下の規定に基づき学位の取り消し等の処分が行われます。」

卒論の不正が「不正の方法により学位の授与を受けた」に当たるかを、学士について書いた公式の例は、今回は神戸大学 経営学部だけでした(ほかは未確認)。

6-6. 研究不正のガイドラインと卒論

文部科学省の「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」(平成26年8月26日)は、捏造・改ざん・盗用を不正行為と定めています。FAQは「原則学生は、研究者には含まれません」とし、「大学院の教育の一環として作成される学位論文における不正行為は、本ガイドラインの対象とはなりません。」としています。学部の卒論の不正は、主に大学の処分基準・懲戒の規程で扱われます(当てはめ)。

ただし、京都女子大学の研究不正防止規程のように、学部学生を「研究者等」に含める大学もあります。卒論を学会発表や論文として公表すると、その公表した論文はガイドラインの対象になりうる、とFAQは書いています(「その限りではありません。」)。

7. 計算機:方針別の判定/使い方ごとの可否の表/使ったことの記載文/処分の例

4つは別々に使えます。

  • 1. 方針別の判定:大学・学部の方針の型、指導教員の指示、使い方、AIに入れるものを選ぶと、判定(当てはめ)と、使う前に誰に何を確かめるかを出します。大学の規定で制限・注意されている使い方や入力を、指導教員の許可だけで「使ってよい」とは出しません
  • 2. 使い方ごとの可否の表:8つの使い方について、3章の19件の資料の書き方(○・△・×と原文)を一覧にします。学修全般についての書き方で、卒論での許可・禁止ではありません
  • 3. AIを使ったことの記載文:名称・バージョン・日付・箇所・目的・指示文を入れると、書く場合の文面を、横浜市立大学・阪南大学の例と、上智大学・明治大学 経営学部などの項目に沿って作ります。書く必要があるかは、大学・学部の規定と指導教員の指示によります
  • 4. 処分の例:行為と、いつ分かったかを選ぶと、今回見た規程の原文と処分の型、卒業への影響(卒業後なら、学位の取消しの要件との関係)を出します

方針別の判定/使い方ごとの可否の表/AIを使ったことの記載文/不正とされたときの処分の例

入れた値は、このページの中で使うだけで、どこにも送られません。初めから入っている値は入力の例です。4つは別々に使えます。

1. 方針別の判定:使ってよいか、誰に何を確かめるか

2. 使い方ごとの可否の表(学修全般についての大学の書き方。卒論での許可・禁止ではありません)

3. AIを使ったことの記載文

4. 不正とされたときの処分の例

8. よくある質問

卒論でChatGPTを使うのは禁止ですか?

大学・学部と指導教員によります。今回見た方針44件のうち、卒論・学位論文での扱いを書いていたのは15件で、利用を制限するものが3件(書き方はそれぞれ違う)、論文での利用方針を教員に委ねると明示するものが2件、本人が作成する原則を書くものが5件、条件を示すものが5件でした(計算。全国の割合ではありません)。卒論について書いていない大学では、指導教員に確かめます。大学の規定と指導教員の指示が食い違うときは、学部の教務の窓口と指導教員の両方に確認します。

文部科学省は卒論でのAIを禁止していますか?

一律に禁止も許可もしていません。令和5年7月13日の周知は、各大学が教育の実態に応じて対応を検討することを重んじたうえで、出力をそのまま使ってレポート等を作ることを「一般に不適切」とし、剽窃のおそれ、使用の明記、判定ツールを過信しないことなどの注意事項を示しました。本文に「卒業論文」の語はなく、改訂・後継の通知も見つかりませんでした。

どこまでなら使っていいですか?

大学と指導教員が決めます。学修全般の例示では、アイデア出し・文献探し・要約・翻訳・文章の校正・プログラムの補助は有効とする資料が多く、本文をAIに書かせてそのまま出すことは使わない方向で書く資料が多い、という書き方でした(3章。卒論での許可・禁止ではありません)。図の作成を可とした資料は見つかりませんでした(不可という意味ではありません)。

卒論のAIはバレますか?

AI検出ツールの判定を決定的な証拠にしないと書く大学がある一方、処分の規程が対象にしているのは、許可なく使う・使ったのに書かない・出力をそのまま出す、という行為そのものです。審査では、口頭試問などで本人が説明できるかも見られます。この記事は、見つからないようにする方法は扱いません(5章)。

AIを使ったら、どこにどう書きますか?

書く必要があるか・何を書くかは、大学・学部の規定と指導教員の指示によります(横浜市立大学は基本的な文法・スペルチェックを開示の対象から除き、桃山学院大学は明記しなければならない「場合があります」と書いています)。指定がない場合の例として、横浜市立大学は「本資料の作成にあたり、私(〇〇)は、〇〇(生成系 AI の名称)を〇〇(使用目的)のために使用しました。」、上智大学は文末に「使用した生成 AI の種類」「文章を生成した年月日」「用いたプロンプトの文言」を書く形を示しています(4章)。

参考文献をAIに探させてもいいですか?

文献探し・情報収集は有効とする資料が多い使い方ですが、AIは存在しない文献を挙げることがあると、九州大学・山形大学・明治大学 経営学部が書いています。挙がった文献は、自分で見つけて読んでから引きます(3-2)。

不正とされたらどうなりますか?

規程の例では、その科目の無効、その学期の全科目の不可、停学などの懲戒でした。卒論が必修の学部では、その年に卒業できなくなりえます。卒業後に分かった場合は、自動的に取り消されるのではなく、各大学の学位規程の取消しの要件(不正の方法により学位の授与を受けた事実など)に当たるかで判断されます(6章)。

修士論文・博士論文でも同じですか?

修士論文・博士論文も、大学・研究科の方針と指導教員の指示で決まる、という読み方になります(当てはめ)。今回の44件では、「学位論文」の語を含むものが7件ありました(計算)。大学院では、類似度のチェックツールを学位論文の審査に使うと書いた研究科もあります(5-4)。研究不正のガイドラインは、大学院の教育の一環としての学位論文を原則として対象にしていません(6-6)。

9. まとめ

  • 卒論で生成AIを使ってよいかは、大学・学部の規定と指導教員の指示で決まる。文科省は一律に禁止も許可もせず、大学ごとの対応を重んじつつ注意事項を示した
  • 今回の44件では、卒論・学位論文について書いたのは15件(利用を制限3・教員に委ねると明示2・本人が作成する原則5・条件を示す5)。残る29件のうち24件は「担当教員の指示に従う」「教員に相談する」と書く(計算)
  • 学修全般の例示では、アイデア出し・文献探し・要約・翻訳・校正・プログラムの補助を有効とする資料が多い。出力をそのまま出すことには31件が触れ、不可・禁止など14件、不正行為になる・なりうる7件
  • 明記を求める(求めることがある)資料は43件中26件。書く必要があるか・何を書くかは、大学・学部の規定と指導教員の指示による
  • AIが挙げた文献・データは一次資料で確かめる。草稿・研究データ・個人情報を入れてよいかは、大学の情報管理の規定と使うサービスのデータの扱いにもよる
  • 大学の規定と指導教員の指示が食い違うときは、学部の教務の窓口と指導教員の両方に確認する
  • 検出ツールの判定を決定的な証拠にしない大学がある一方、処分の規程は行為そのものを対象にしている
  • 処分の例は、科目の無効、学期の全科目の不可、停学。卒業後は、学位規程の取消しの要件に当たるかで判断される

10. 出典

方針の分類(2章)・使い方ごとの件数(3章)の元にした44件の一覧は、上の資料のほか、弘前大学・名古屋大学・神戸市外国語大学・山梨県立大学・島根県立大学・東北大学 法学部・早稲田大学(全学)・聖学院大学・芝浦工業大学・明海大学・東京大学(学生向け)の公式資料を含みます。

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