SOXLで長期保有すると何が起きるか|私が位置確認と分割でしか入らない理由

資産運用

この記事は全面的に書き直しました。前の版は「SOXLで億り人になれるか」という枠組みで書いてありました。その枠組みごと捨てます。

理由は単純です。

私はSOXLを実際に売買していますが、一発を当てる道具として使っていないからです。

先に、書けることと書けないことを分けます

書けること 書けないこと
SOXLが何に連動しているか(運用会社の公表資料) 年利、期待リターン
レバレッジ型商品が、なぜ上下で減るのか(取引所の公表資料) いくらになるか、いくらまで増えるか
私が実際にやっている手順 買い時、売り時
倍率を下げる方法があること 特定の銘柄を買うべきかどうか

当サイトは投資助言・代理業の登録をしていません。だから右の列は書けませんし、書きません。この記事に出てくるのは、公表されている仕組みと、私自身の手順だけです。

同じ手順で同じ結果になるとは限りません。

1. まず、SOXLが何に連動しているか

ここを間違えている説明を、よく見ます。

正式名称 Direxion Daily Semiconductor Bull 3X Shares
運用会社 Direxion
連動対象 NYSE Semiconductor Index(ICESEMIT)
目標 Daily Target +300%

「SOX指数の3倍」ではありません。

いわゆるSOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)と、SOXLが連動しているNYSE Semiconductor Indexは、別の指数です。混同したまま「SOX指数が◯%だからSOXLは◯%」と計算すると、前提から違います。

これは運用会社の公表情報で確認できます。他人の説明ではなく、そこを見てください。

2. 「3倍」がかかるのは、1日だけです

ここが、この商品のいちばん重要な性質です。運用会社自身が、はっきり書いています。

「These leveraged ETFs seek a return that is 300% or -300% of the return of their benchmark index for a single day.」
(このレバレッジETFは、ベンチマーク指数のリターンの300%または−300%を、1日単位で目指します)

「The funds should not be expected to provide three times or negative three times the return of the benchmark’s cumulative return for periods greater than a day.」
(1日を超える期間の累積リターンについて、3倍または−3倍になることを期待すべきではありません)

「They seek daily goals and should not be expected to track the underlying index over periods longer than one day.」
(日次の目標を追うものであり、1日を超える期間にわたって原指数に連動することを期待すべきではありません)

売っている側が、3回書いています。

「1日を超えたら、3倍にはなりません」

これは注意書きではなく、商品の設計そのものです。毎日リバランスして、その日の3倍を目指す。だから翌日は、前日の終値を起点に計算し直されます。

3. 上下を繰り返すと、減ります

2章の設計から、必然的に起きることがあります。

日本取引所グループが、レバレッジ型指標についてこう説明しています。

「前営業日と比較するとその変動率はTOPIX(東証株価指数)の2倍となりますが、2営業日以上離れた日との比較においては、複利効果により、TOPIX(東証株価指数)の変動率の2倍超又は未満となる場合があります。

「TOPIX(東証株価指数)が上昇・下落を相互に繰り返す場合、上記の複利効果によりTOPIXレバレッジ(2倍)指数は逓減していくという特性があり」

そして、数値の例が示されています。

原指標(TOPIX) レバレッジ2倍指数
上昇・下落を繰り返して100に戻る 100から98.6に低下

元の指数は行って来いで戻っているのに、レバレッジ側は減っています。

これは手数料の話ではありません。毎日リバランスするという設計から、算数として出てくる結果です。

そして、これは2倍の例です。SOXLは3倍なので、同じ動きでも差はもっと大きくなります。

3-1. 2日間だけで、確かめられます

難しい計算は要りません。仮に、こういう2日間があったとします。

1日目 2日目 2日後
元の指数 −10% +11.1% 元の水準に戻ります
その3倍を毎日目指す商品 −30% +33.3% 元の水準には戻りません

数字を追ってみます。元の指数を100とすると、1日目に90になり、2日目に11.1%戻って100です。行って来いです。

3倍側は、同じ100から始めて1日目に70になります。そこから33.3%戻っても、70の33.3%なので93.3にしかなりません。

元の指数が完全に戻った日に、3倍側は6.7%足りていません。たった2日でです。

これが起きた原因は、下げを当てられなかったことではありません。2日目の上げが、減ったあとの残高に対してかかったからです。だから、上下を繰り返す回数が増えるほど積み上がります。

3-2. だから「持っていれば戻る」が成立しません

普通の株式や、レバレッジのかかっていない指数連動のETFなら、元の水準に戻れば、自分の評価額も戻ります。

指数が元の水準に戻ったとき
レバレッジなし おおむね戻ります
レバレッジあり 戻るとは限りません。上下が激しいほど、減ります

取引所は、こう書いています。

「原指標の上昇と下落が相互に繰り返されるような相場においては、複利効果により、原指標と比較して指数のパフォーマンスが逓減して行くという特性があり、投資者は利益を得にくくなります
中長期にわたってレバレッジ型商品に投資をする場合、原指標の変動率とレバレッジ型指標の変動率の乖離が大きくなる可能性があり、留意が必要です

「下がったから、戻るまで待つ」という持ち方と、いちばん相性が悪い商品です。

4. では、私がどう扱っているか

ここからは、私が実際にやっている手順です。

推奨ではありません。同じことをして同じ結果になるとは限りません。

先に、この章に書いていないことを言っておきます。私がどこで利益を確定して、どこで損切りしているか——出口の基準は書きません。金額や時期によって変わるものなので、書くと売買の推奨になってしまうからです。

そのうえで、入り方の手順は書けます。やっていることは4つだけです。

やること 何をコントロールしているか
1. いまどこにいるかを確認する 買う場所
2. 入る場所を、さらに絞る 買う値段
3. 指値で入る その日の気分
4. 分割で入る 1回の判断の重み

4つとも、当てるためのものではありません。全部、外したときの被害を小さくするためのものです。

4-1. いまどこにいるかを、移動平均で確認する

最初にやるのは、価格が高いか安いかを当てることではありません。いま、どのあたりにいるのかを確認することです。

私は移動平均線を使っています。たとえば120日移動平均線より下にいるかどうかを見ます。

ここは正確に書きます。「120日線の下だから安い」ではありません。

私が「安いと定義している位置」というだけです。移動平均線は過去の価格の平均であって、将来を示すものではありません。下にあるから上がる、という意味は含んでいません。

ではなぜ見るのか。

意味
基準を先に決めておく その日の気分で「安い」と思わなくて済みます
買わない日を作る 条件を満たさない日は、何もしません
記録が残る あとで、判断そのものを検証できます

2番目がいちばん大きいです。3章に書いたとおり、この商品は上下を繰り返す領域に長く置くほど減ります。だから「置かない日」を決めることが、そのまま設計になります。

4-2. 入る場所を、さらに絞る

位置を確認したら、その中のどこで入るかを決めます。私が見ているのはこのあたりです。

使うもの それが示すもの
ピボット 前の期間の高値・安値・終値から計算される、基準の価格帯
フィボナッチ ある値幅に対する、一定比率の水準
2シグマ 一定期間の値動きの散らばりから見て、外側にあたる水準

どれも、当たる場所を教えてくれるものではありません。「ここまで来たら入る」という線を、あらかじめ引いておくための道具です。

線を先に引いておくと、線が来るまで何もしなくて済みます。

4-3. 指値で入る

成行では入りません。

起きること
成行 「いま買う」と決めた瞬間の値段で買います。動いている最中ほど、追いかけることになります
指値 決めた値段まで来なければ、約定しません。来なければ、買わずに終わります

買わずに終わる日があること自体が、目的です。4-1で書いたのと同じ理屈です。

4-4. 分割で入る

1回で全部入れません。

1回で入れると、その1回の判断が全部を決めてしまいます。

分割すると、こうなります。

1回で入れた場合 分割した場合
読みが外れたとき 全額が外れた場所にあります 一部だけです
そこからさらに下げたとき 何もできません 残りで対応できます
平均取得価格 1点で決まります ならされます

これは「必ず勝てる」という話ではありません。下げ続ければ、分割していても損失は増えます。変わるのは、1回の判断に全部を賭けなくて済むという点だけです。

5. なぜ「当てにいかない」のか

4章の4つは、全部同じことを言っています。

この商品は、置いている期間の長さと、その間の上下の激しさで減ります。

だから、やることは2つに絞られます。

やること 4章のどれが対応するか
置く期間を、必要以上に長くしない 4-1(条件を満たさない日は何もしない)/4-3(来なければ買わない)
1回の判断の重みを下げる 4-2(線を先に引く)/4-4(分割)

当てにいくと、この2つが両方壊れます。当てにいく人は、来ていない場所で買い、1回で入れ、外したあとも「戻るはず」で持ち続けます。3章で見たとおり、それがいちばん減る持ち方です。

減価は、当てられなかったから起きるのではありません。長く持ったから起きます。

6. やり過ぎだと思ったら、倍率だけを下げられます

ここが、この記事でいちばん実用的な部分です。

SOXLは3倍です。3章で見たとおり、上下が激しいほど減ります。だから「この商品は自分には強すぎる」と感じる場面があります。

そのときに取れる選択肢は、やめるか続けるかの2つではありません。

同じ指数に連動する、レバレッジのかかっていないETFがあります。

6-1. その前に|指数そのものは、買えません

ここは、言葉の整理です。

「レバレッジなしの指数でやればいい」という言い方をよく見ます(私も、そう考えていました)。ただし、指数そのものは売買できません。

指数 数値です。株価の集計結果であって、買えるものではありません
ETF その指数に連動することを目指す商品です。こちらを売買します

だから「倍率を下げる」というのは、正確には「同じ指数に連動する、倍率の違う商品に替える」ということです。

6-2. SOXLとSOXXは、同じ指数を見ています

これは運用会社の公表情報で確認できます。

SOXL SOXX
正式名称 Direxion Daily Semiconductor Bull 3X Shares iShares Semiconductor ETF
運用会社 Direxion iShares(BlackRock)
連動対象 NYSE Semiconductor Index NYSE Semiconductor Index
倍率 1日あたり3倍を目指します レバレッジなし
毎日のリバランス あります ありません
上下を繰り返したときの減価 効きます この仕組みによる減価はありません

見ている対象は同じで、違うのは倍率だけです。

これが分かると、4章の手順をそのまま使えます。位置を確認して、線を引いて、指値で、分割で入る。手順は1つも変えずに、かかる倍率だけを下げられます。

6-3. 何が変わって、何が変わらないか

倍率を下げると
値動きの幅 小さくなります
上下を繰り返したときの減価 この仕組みによる減価がなくなります
持っていられる期間 長くしても、減価の理由が1つ減ります
半導体という対象そのもののリスク 変わりません
下がるときに下がること 変わりません。幅が小さくなるだけです
元本が保証されるか されません

下2行を強調しておきます。倍率を下げても、下がるときは下がります。消えるのは「レバレッジ由来の減価」だけであって、価格変動そのものではありません。

6-4. これは「SOXLをやめろ」という話ではありません

私はSOXLをやめていません。

そのうえで、勧めてもいません。書いているのは、次のことだけです。

この記事が言っていること 言っていないこと
倍率は、選べます どちらを買うべきか
同じ指数の1倍版が存在します いくら増えるか
強すぎると感じたら、手順を変えずに倍率を下げられます いつ買っていつ売るか

ティッカーは自分で確認してください。運用会社の商品ページに、連動対象も倍率も経費率も書いてあります。この記事も含めて、他人の説明を出発点にしないほうがいいです。

7. 判定表|自分の持ち方を、6つで確認する

ここまでの内容を、確認できる形に落とします。

確認すること 該当したら 対応する章
買う位置の基準を、買う前に決めていない その日の気分が判断になっています 4-1
上がっている最中に、成行で追いかけている いちばん高い場所で入る形です 4-3
1回で全部入れている 1回の判断が全額を決めています 4-4
下がったので「戻るまで待つ」と考えている この商品でいちばん相性の悪い持ち方です 3-2
なぜ上下を繰り返すと減るのか、人に説明できない 商品の設計を知らずに持っています 2・3
生活に必要なお金が入っている 下げたときに、判断ではなく事情で降りることになります

6つとも、当たるかどうかの話ではありません。全部、外したときにどうなるかの話です。

最後の1行だけ、章の対応がありません。ここは仕組みの問題ではなく、金額の置き方の問題だからです。そして、いちばん効きます。

生活資金が入っていると、下げたときに「まだ持つべきか」ではなく「いま現金が要る」で降りることになります。4章の4つは全部、判断で降りるための手順です。事情で降りる状態になっていると、手順そのものが効かなくなります。

8. 明日からの1手

1つだけ挙げます。

いま持っている(あるいは買おうとしている)商品の、運用会社の公式ページを開いて、連動対象と倍率を自分の目で確認してください。

1章で書いたとおり、SOXLはSOX指数の3倍ではありません。この1点を間違えたまま計算している説明が、たくさんあります。

確認する項目 どこに書いてあるか
連動対象の指数名 運用会社の商品ページ
倍率と、それが何日単位のものか 同じページ
経費率 同じページ
1日を超える期間についての注意書き 同じページ。たいてい、はっきり書いてあります

この記事も含めて、他人の説明を出発点にしないでください。私が2章で引用した3つの文は、全部、売っている側が自分で書いたものです。

9. まとめ

この記事で書いたこと
1章 SOXLはSOX指数ではなく、NYSE Semiconductor Indexに連動しています
2章 3倍がかかるのは1日だけです。運用会社が3回書いています
3章 上下を繰り返すと減ります。元の指数が2日で元の水準に戻っても、3倍側は戻りません
4章 私は、位置の確認・線引き・指値・分割の4つだけをやっています
5章 4つとも、当てるためではなく、置く期間と1回の重みを下げるためのものです
6章 同じ指数の1倍版があります。手順を変えずに倍率だけ下げられます
7章 判定は6つ。最後の1つ(生活資金)がいちばん効きます

全体を1行にすると、こうなります。

この商品は、当てるための道具ではありません。位置を確認してから、分割で入るための道具です。そして、強すぎると思ったら、倍率だけを下げられます。

前の版に書いてあった「億り人」という枠組みは、全部削除しました。理由は5章のとおりです。一発を当てにいく持ち方は、この商品の設計といちばん相性が悪いからです。

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11. 出典

出典 この記事で使った箇所
Direxion「SOXL, SOXS: Semiconductor Bull and Bear 3X ETFs」 正式名称、連動対象(NYSE Semiconductor Index/ICESEMIT)、Daily Target、1日を超える期間についての3つの記載(1章・2章)
iShares「iShares Semiconductor ETF|SOXX」 SOXXの連動対象がNYSE Semiconductor Indexであること(6章)
日本取引所グループ「レバレッジ型指標」 2営業日以上離れた比較、上昇・下落の繰り返しによる逓減、100が98.6になる数値例(3章)
日本取引所グループ「レバレッジ型商品のリスク(ETF)」 利益を得にくくなること、中長期投資での乖離(3-2)

数字と英文の引用は、上の4つからそのまま取っています。日付や数値は改定される可能性があるので、読むときは必ず原典を開いてください。

12. この記事について

立場 私はSOXLを実際に売買しています。売買しているからこそ、成績ではなく手順だけを書いています
書いていないこと 年利、期待リターン、目標株価、買い時、売り時、特定銘柄の売買推奨
登録 当サイトは投資助言・代理業の登録をしていません
再現性 4章の手順は私のやり方です。同じことをして同じ結果になる保証はありません
元本 レバレッジ型の商品は、元本を大きく毀損する可能性があります
前の版との違い 「億り人」という枠組み、到達シミュレーション、売買タイミングの示唆は全部削除しました
本文中の宣伝 0本です

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