ヤフオクのブラックリストを調べて来られた方に、先に結論を書きます。
使うと落札額は下がります。入札できる人を減らすのだから当然です。
ただし下がるのは短期だけです。そして登録すべき相手は、評価が悪い人ではありません。
この記事は出品者の立場で書いています。登録された側から見た話——理由が開示されないこと、外してもらう手段がないこと——は入札取り消しの記事に分けてまとめてあります。
入札取り消しとブラックリストは、目的がまったく違う
この2つを同じものとして扱うと、判断を間違えます。私は使い分けています。
| 入札取り消し | ブラックリスト | |
|---|---|---|
| 対象 | 評価が極端に悪い/評価がゼロ | 実際に被害を出した相手 |
| 判断のもと | 確率(まだ何もされていない) | 実績(すでにやられた) |
| 性格 | 予防 | 記録 |
| 使う頻度 | しばしば使う | 相当な理由がないと使わない |
入札取り消しは、まだ何もされていない相手を、確率で弾く行為です。評価がゼロというだけで取り消すこともあります。相手に落ち度はありません。判断材料がないから避けている、それだけです。
ブラックリストは違います。実際に被害を受けた相手を、記録として残す行為です。だから頻度がまったく違います。
評価ゼロの入札者をブラックリストに入れる必要はありません。その場で取り消せば済むからです。
ブラックリストに入れるのは、この2種類だけです
私が登録するのは、次の2つに該当した相手です。
1. 落札したのに支払わない
2. 受け取ったあとで難癖をつけてくる
共通しているのは、どちらも在庫が止まるという点です。
支払われない場合、支払い期限が来るまで商品を動かせません。その間、他に買いたい人がいても売れない。期限が過ぎたら落札者削除の手続きをして、再出品して、また入札を待つことになります。1件で数日から1週間、その商品が止まります。
受け取り後の難癖も同じです。返品や値引きの交渉に時間を取られ、戻ってきた商品をもう一度売り直すことになります。
つまりブラックリストの判断基準は「腹が立ったかどうか」ではありません。その相手と再び当たったとき、また在庫が止まるかどうかです。
傾向として、神経質なタイプは当たりやすい
2番目のパターンについては、事前にある程度読めることがあります。取引前のやり取りが細かい、質問の量が多い、確認事項を何度も送ってくる。こういう相手は、届いた後にも同じ密度で連絡してきます。
ただしこれは登録の理由にはなりません。丁寧なだけの人も同じ挙動をします。あくまで、実際にトラブルになった後で振り返ると傾向が見える、という程度の話です。
落札額は下がります。ただし短期だけです
ここが、この記事でいちばん重要な部分です。
ブラックリストに登録すれば、その人は入札できなくなります。入札者が減れば競りが弱くなり、落札額は下がります。これは事実で、否定しても仕方がありません。
問題は、それがいつまで続くかです。
ヤフオクの参加者は入れ替わり続けます。新しく登録する人がいて、久しぶりに戻ってくる人がいて、いままで別のカテゴリを見ていた人が流れてくる。母集団は常に更新されています。
だから、数人を弾いたことによる影響はしばらくすれば消えます。相場通りに売れる状態に戻ります。
短期的には損、長期的にはキャッシュフローの防衛
整理するとこうなります。
- 失うもの……一時的な落札額。時間が経てば戻る
- 守るもの……在庫が止まる期間と、それに使う自分の時間
支払われない取引が1件起きると、その商品は数日から1週間動きません。その間、仕入れに使えたはずの資金が寝ています。これは落札額が数百円下がることより、事業として重い損失です。
物販で辞めていく人の多くは、商品選定ではなくキャッシュフローの管理でつまずきます。在庫が回らなくなることが、いちばん効きます。手残りと回転の関係は手数料と送料の実額で計算した記事に整理してあります。
ブラックリストは、感情の処理ではありません。短期の落札額を払って、在庫が止まる期間を買い戻している操作です。そう捉えると、使う基準がはっきりします。
リストは審査ではなく、記憶です
運用について、正直に書いておきます。私は登録したリストを見直しません。
ブラックリストには登録できる件数の上限があります。上限に達したら、古いものから消していく。それだけです。
なぜ見直さないのかというと、見直すコストのほうが高いからです。登録した理由を一件ずつ思い出して、いまも登録しておくべきか判断する。その時間があるなら出品を1つ増やしたほうがいい。
そして上限で古いものが消えていくのは、運用として都合がいい面もあります。何年も前のトラブルは、自然に忘れられていくということです。意図的に管理する必要がありません。
※登録できる上限の件数は仕様変更されることがあるため、実際の数はYahoo!オークションの公式ヘルプでご確認ください。
登録と解除の手順
操作自体は数秒で終わります。
登録……対象の相手の表示名を開き、出品リストから「ブラックリストに追加する」を選びます。
解除……「オプション」から「その他の設定」に進むとブラックリストの一覧が表示されるので、外したいIDにチェックを入れて削除します。
画面の名称や導線は変更されることがあるので、うまく見つからない場合は公式ヘルプで最新の手順を確認してください。
登録する前に、取り消しで足りないか確認する
迷ったときは、この順で考えてください。
- この相手から、実際に被害を受けたか
受けていないなら、ブラックリストではなく入札取り消しで足ります - 受けた被害は、在庫が止まるものだったか
連絡が少し遅い、質問が多いといった程度なら、次の取引で困ることはありません - また当たったとき、同じことが起きそうか
支払わない人は、次も支払いません。難癖をつける人は、次もつけます
3つとも「はい」なら登録してください。1つでも「いいえ」があるなら、その場の取り消しで十分です。
登録された側には、何も見えていません
出品者として知っておくべき事実があります。登録された相手は、理由を知る手段も、外してもらう手段も持っていません。
Yahoo! JAPANのヘルプセンターは、ブラックリストを出品者の判断で利用する機能と位置づけており、登録理由の確認やリストからの削除には応じないとしています。相手は質問を送ることもできなくなるため、交渉の窓口そのものが閉じます。
つまりこの機能は、相手にとって説明も反論もできない措置です。だからこそ、実際に被害を受けた相手にだけ使うべきだと考えています。気に入らないという理由で使い始めると、入札者を減らしているだけの状態になります。
登録された側の視点は入札取り消しの記事で詳しく扱っています。
そもそもトラブルを減らす
ブラックリストは事後の対処なので、その前に打てる手があります。
- 商品説明で条件を先に出し切る……受け取り後の難癖は、認識の差から起きます。文面の作り方は出品用テンプレート集にまとめました
- 入札者の条件を設定しておく……評価による制限をかけておけば、そもそも取り消しの回数が減ります
- 交渉に応じる相手を選ぶ……値下げ依頼への対応も同じ考え方です。値下げ依頼を無視していい記事に判断基準を書いています
よくある質問
ブラックリストに登録すると、相手に通知されますか?
登録した時点での通知はありません。ただし相手が入札しようとすると、ブラックリストに登録されているため入札できない旨が表示されます。そこで気づかれます。
評価が悪い人は、全員登録すべきですか?
いいえ。評価が悪い、評価がゼロというだけなら、その場の入札取り消しで足ります。ブラックリストは、実際に支払いをしなかった相手や、受け取り後にトラブルを起こした相手のために取っておいてください。
ブラックリストを使うと、売上が落ちませんか?
短期的には落ちます。入札できる人を減らすので当然です。ただしヤフオクの参加者は入れ替わり続けるため、しばらくすれば相場通りに戻ります。それに対して、支払われない取引1件で在庫が数日から1週間止まることのほうが、事業としては重い損失です。
登録したリストは、定期的に見直すべきですか?
私は見直していません。見直すコストのほうが高いからです。登録上限に達したら古いものから消える運用で、実務上は困っていません。
取引中の相手を登録できますか?
操作自体は可能ですが、進行中の取引を先に終わらせることをおすすめします。登録すると相手からの連絡経路が閉じるため、取引の完了処理が進めにくくなります。支払いや発送が済んでから登録してください。
解除するとどうなりますか?
相手は再び入札できるようになります。解除したことも相手には通知されません。
まとめ
- 入札取り消しは「予防」で、まだ何もされていない相手を確率で弾く行為。ブラックリストは「記録」で、実際に被害を受けた相手に使う
- 登録するのは2種類だけ。落札したのに支払わない相手と、受け取り後に難癖をつけてくる相手
- 共通点は、どちらも在庫が止まること。判断基準は腹が立ったかどうかではなく、また当たったときに在庫が止まるかどうか
- 使えば落札額は下がる。ただし下がるのは短期だけで、参加者は入れ替わり続けるのでしばらくすれば相場通りに戻る
- つまり短期の落札額を払って、在庫が止まる期間を買い戻している操作。感情の処理ではなくキャッシュフローの防衛
- リストは見直さない。上限に達したら古いものから消えていく運用で足りる
- 登録された側には理由も解除手段もない。だから実際に被害を受けた相手にだけ使う
迷ったときの基準は1つです。その相手ともう一度取引したとき、また在庫が止まるか。止まらないなら、登録する必要はありません。

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