タイ古着仕入れ|ベールはB品率ではなくS+A率で見る

タイ古着仕入れ|ベールはB品率ではなくS+A率で見る せどり

タイ古着仕入れの記事は、たいてい「ロンクルア市場へ行け」で終わります。

そこは間違っていません。ただ、それだけだと年に1回の遠征で終わります。事業になりません。

この記事の主張はひとつです。

タイで開拓すべきは「市場」ではなく「卸業者」です。そして買うのは商品ではなくベールの期待値です。

ベールの良し悪しを決めるのは、多くの記事が言う「B品率」ではありません。S+A率です。この2つはまったく別の指標で、そこを取り違えると、70着売れているのに赤字という状態になります。

まず、そこから計算します。

※為替は2026年8月時点で1バーツ≒4.8円。渡航前に必ずご自身で確認してください。

1. タイと韓国は、戦い方がまったく違います

先に位置づけを整理します。同じ「海外古着仕入れ」でも、構造が違います。

韓国 タイ
構造 欧米古着 × 韓国の選別眼 × 市場 世界中から流入する古着 × ベール × 巨大衣料流通
買い方 1着ずつ選ぶ(ピック) ベール単位・カテゴリー単位
強い商材 ブランド古着・ワーク・一点物 Tシャツ・低単価・大量
問い 「Carharttをどこで探すか」 「どの業者のどのベールを買えば、日本で売れる商品が何%出るか」

タイでは「どこで探すか」ではなく「どのベールを買うか」というゲームになります。だから最初に必要なのは、市場の地図ではなくベールを評価する式です。

2. 【核心】ベールの期待値は「S+A率」で決まります

2-1. 「B品率30%」では判断できません

多くの記事が「B品率は最低30%を織り込め」と書いています。それは廃棄率の話です。

問題は、残った70着がいくらで売れるかです。70着売れても、全部が2,000円のCグレードなら赤字になります。

2-2. 等級で分解する

Tシャツ100着入りのベールを10万円で買ったとします。等級分布を仮にこう置きます。

等級 着数 想定売価 手取り/着 小計
S 10着 15,000円 13,200円 132,000円
A 20着 8,000円 6,900円 138,000円
B 30着 4,000円 3,300円 99,000円
C 20着 2,000円 1,500円 30,000円
廃棄 20着 — — 0円
合計 100着 — — 399,000円

※手取りは販売手数料10%・国内送料300円を控除。売価は仮定値です。

ここで見るべき数字は合計ではありません。

S+Aだけで270,000円。ベール代10万円の2.70倍です。
つまりS+Aで原価を回収し終えており、B以下の129,000円はまるごと利益になります。

2-3. だから判定ルールは1本です

S+Aの手取り > ベールの総原価

これを満たすベールだけ買う。満たさないなら、いくら安くても見送る。

S+A率を動かすと、こうなります。

S+A率 S+Aの手取り 総手取り ベール代の回収倍率
30% 270,000円 381,300円 2.70倍
21% 189,000円 313,200円 1.89倍
15% 135,000円 268,800円 1.35倍
9% 81,000円 226,200円 0.81倍 ← 割れる
3% 27,000円 181,800円 0.27倍

S+A率が9%まで落ちると、S+Aだけではベール代を回収できません。B以下の売上に依存する構造になり、そこには作業時間という別のコストが待っています。

2-4. B以下の売上には、時間がかかります

上の表の総手取りだけを見ると、S+A率3%でも181,800円あるように見えます。ですがそれは80着を売り切った後の数字です。

80着を検品・洗濯・撮影・採寸・出品・梱包・発送する時間を考えてください。1着20分なら26時間以上。廃棄する20着にも検品時間はかかります。

S+A率が高いベールは、少ない作業時間で原価を回収できます。低いベールは、同じ回収に何倍もの作業を要求します。これが「安いベール」の本当のコストです。

2-5. 現地で測るべきもの

ベールは開けるまで中身が分かりません。だからこそ、業者ごとの実績を記録してください。

記録項目 用途
業者名・ベールの種類 次回の指名買い
ベール価格・重量・入り数 1着あたり原価
S / A / B / C / 廃棄の実数 S+A率
選別と出品にかかった時間 時間あたり利益

2〜3ベール分の記録が溜まれば、業者ごとのS+A率が見えます。そこから先は、良い業者からだけ買えばいい。これが「市場を回る」より強い理由です。

3. 本丸は市場ではなく「卸・倉庫」です

3-1. なぜ卸なのか

バンコクには、古着をベール・セット・カテゴリー別・コンテナ単位で扱う業者があります。スターターとして1〜5ベールから購入でき、少量なら航空輸送、10ベール以上なら海上輸送に対応するところもあります。

これが意味するのは、こういうことです。

「タイに行って20着買う」ではなく、「タイで業者を開拓して、帰国後もベール単位で仕入れ続ける」というモデルが成立します。

市場で1着ずつ拾うモデルは、渡航しないと仕入れができません。卸を開拓すれば、渡航は初回だけで済む可能性があります。

3-2. 最低ロットと輸送方法を先に聞く

業者を回るとき、商品より先に確認すべきはこの3つです。

  • 最低ロット(1ベールから買えるか、10ベールからか)
  • カテゴリーの選択肢(Tシャツ/デニム/アウター/ミックス)
  • 日本への輸送に対応しているか(航空/海上、どちらから)

ここが噛み合わない業者は、どれだけ商品が良くても継続取引になりません。

3-3. 初日に買わない

これがタイと韓国の最大の違いです。

ベールは開けるまで中身が分からないので、1社目で決めてはいけません。最低でも5〜10社を比較してください。そのうえで、良さそうな1〜2社でまず1ベールだけ買う。

大量購入は、S+A率を実測してからです。

4. エリアは「役割」で分ける

場所 役割 優先度
古着卸・倉庫 ベール仕入れの本丸 ★★★★★
ボーベー市場 流通の隙間(余剰在庫・ファクトリーセカンド) ★★★★☆
プラトゥーナム 市場調査(新品卸の巨大流通) ★★★☆☆
チャトゥチャック 価格調査+一点物 ★★★☆☆
ロットファイ 「日本で高く売れる変な商品」 ★★★☆☆
ロンクルア市場 上級者向け・年1回の遠征 ★★☆☆☆

4-1. プラトゥーナムは「仕入れ場所」ではありません

ここは巨大な衣料卸市場ですが、主力は新品・低価格アパレルです。古着せどりの仕入れ先ではありません。

見るのは以下です。

  • タイ人が何を着ているか
  • どんなシルエットが大量に流通しているか
  • 卸価格はいくらか
  • 韓国系デザインがどの程度浸透しているか

市場調査として使ってください。買う場所ではありません。

4-2. ボーベー市場は早朝勝負

バンコクの古い衣料卸市場のひとつで、基本は新品・低価格衣料ですが、余剰在庫、ファクトリーセカンド、中古衣料が混ざるという情報があります。プロの買い付けは早朝が中心です。

狙うのは「古着専門店」ではなく「流通の隙間」です。

4-3. チャトゥチャックは価格調査

ヴィンテージ・セカンドハンド衣料があり、Levi’sやバンドTシャツも見つかります。ただし観光地化とバイヤー増加により、誰でも見つけられる商品の価格は上がりやすい。

だから主戦場にしません。「昨日まで見ていた卸商品との価格差」を確認する場所として使います。ここが重要で、卸で買ったものが小売でいくらで売られているかを見れば、自分の仕入れ値が妥当だったか判定できます。

エリアはセクション5・6周辺。MRTガムペーンペット駅2番出口すぐです。交渉は電卓を渡し合うのが最もスムーズです。

4-4. ロットファイは「変な商品」を探す

もともと鉄道市場として始まったヴィンテージ/ナイトマーケット系です。ヴィンテージ、アメリカンカルチャー、アンティーク、雑貨が並びます。

ここで探すのは「仕入れ価格が安い商品」ではなく「日本で高く売れる変な商品」です。1点あたりの利益額が大きいものを狙ってください。

4-5. ロンクルア市場は「年1回の遠征」として

カンボジア国境のアランヤプラテートにある、タイ古着流通の源流です。世界中から運ばれたベールが最初に開封される場所で、一次選別しか行われていないため単価が最も安いのは事実です。

ただし、この記事では優先度を下げます。理由は3つです。

  • バンコクから片道5時間以上。前日入りが必要で、往復で2日を消費します
  • 継続取引に繋がりにくい。遠すぎて次回も同じコストがかかります
  • 環境が過酷。灼熱と砂埃の中、早朝6時から勝負。体力を消耗すると判断が鈍ります

行くなら、バンコクの卸で実績を作り、S+A率のデータが溜まってからにしてください。何を買うべきか分かっていない状態で最も安い場所に行っても、安いゴミを大量に買うだけです。

装備は必須です。高機能マスク、厚手の軍手、ヘッドライト、大量の飲料水。通訳兼ポーター(アテンド)も実質的に必要で、費用は1日1,500〜2,000バーツ(約7,200〜9,600円)が相場とされます。

ただしアテンドに丸投げしないでください。彼らは手足であって頭脳ではありません。価格交渉の前に自分で相場を把握し、「この金額で買いたい」という意思を先に伝えてください。

5. 何を買うか:ブランドではなく「カテゴリー」

5-1. タイの本命はTシャツです

気候上、タイには厚手のアウターよりTシャツ・シャツ・薄手のトップスが大量に流通します。そしてアメリカンヴィンテージTとの相性が非常に良い。

探すのは「ブランドT」より「グラフィックT」です。

5-2. Sクラス:アメリカンヴィンテージ(グラフィック)

Harley-Davidson/NASCAR/Coca-Cola/Disney/NASA/企業ロゴ/カレッジ/バンドT/映画T/アートT

見分けの手がかりは3つです。

  • コピーライトの年号:プリント下の「©1995」等が年代の最速判定
  • タグ:Screen Stars、Giant、Brockum などは年代の目安
  • シングルステッチ:袖や裾が一本縫いならヴィンテージの可能性

山の前で1枚ずつタグを見る時間はありません。まず遠目からグラフィックを「面」でスキャンし、引っかかったものだけタグを確認する順序にしてください。

5-3. Aクラス:ワーク/デニム/アウトドア

カテゴリー ブランド 見るポイント
ワーク Carhartt/Dickies/Red Kap/Ben Davis/Wrangler Made in USA、80〜90年代、色落ち
デニム Levi’s/Lee/Wrangler 型番(501/505/517/550/560)
アウトドア Patagonia/The North Face/Columbia/L.L.Bean フリースの毛玉、ジッパーの動作
スポーツ Nike/adidas/Champion/Russell トレフォイル、銀タグ、リバースウィーブ

Levi’sは501以外も型番で覚えてください。517(ブーツカット)、505(テーパード)、550・560(ルーズ)は需要の波があり、501より安く拾えることがあります。

5-4. 最も面白いのは「日本人がまだ値付けできていないカテゴリー」

ここがタイ遠征の本当の狙い目です。

  • タイのローカル企業T
  • タイの古い観光T
  • タイ独特のグラフィック
  • ムエタイパンツ(サテン地にタイ文字。日本では「ハズし」として需要あり)

これらは日本側で「海外ヴィンテージ」として提示できる可能性があります。

ただし全部が売れるわけではありません。最初は少量テストにしてください。2-5の記録を取り、実際に売れた型だけ次回に増やす。これが唯一の進め方です。

5-5. 「タイだから安い」を仕入れ理由にしない

韓国の記事にも同じことを書きましたが、こちらでも同じです。

タイで50バーツ(約240円)でも、日本で1,500円でしか売れず、送料と手数料で消えるなら意味がありません。判断は日本到着原価に対する期待粗利です。

6. 3泊4日のルート

設計思想は「初日に買わない。比較してから買う」です。

DAY 1:ボーベー → プラトゥーナム → 卸探し → ロットファイ

朝:ボーベー。早朝が勝負です。流通の隙間を見ます。
昼:プラトゥーナム。市場調査。買いません。
午後:卸・倉庫業者を探す。ここが本番の準備です。
夜:ロットファイ。変な商品を1〜2点拾う程度。

DAY 2:卸・倉庫を5〜10社比較(メイン)

朝から昼まで、業者を回り続けてください。3-2の3項目(最低ロット/カテゴリー/輸送対応)を全社で確認します。

午後は分類作業です。カテゴリーごとに仕入れ上限を決めます。

カテゴリー 日本での想定売価 仕入れ上限
Harley T ◯円 ◯円
企業T・NASCAR ◯円 ◯円
90s Nike ◯円 ◯円
Levi’s 501 ◯円 ◯円
Carhartt ◯円 ◯円
ノーブランド ◯円 ◯円

この表を埋めてから、翌日以降の交渉に入ります。上限が決まっていないと、現地で値段を見た瞬間に判断がぶれます。

DAY 3:チャトゥチャックで価格差を検証 → 夜ロットファイ

土日ならチャトゥチャック。ここで「昨日まで見ていた卸商品が、小売でいくらで売られているか」を確認します。

これが最も重要な検証です。卸価格と小売価格の差が、あなたの取り分の上限を示しています。

DAY 4:最も良かった卸へ戻って本購入

ここが韓国のルートと違うところです。

1日目に探す → 2日目に比較 → 3日目に販売価格を検証 → 4日目に購入

初日に全部買わない。ベールは開けるまで中身が分からないので、比較と検証を先に済ませてください。そして初回は1〜2ベールに留めること。S+A率が読めるまで大量に買わない。

7. 輸送と関税

7-1. 輸送手段は3つ

超過手荷物 クーリエ(DHL/FedEx) カーゴ(LCL混載)
目安 30kg未満 30〜100kg 100kg以上
スピード 最速(同時) 3〜5日 船便で数週間
1kg単価 最も高い 中間 最も安い
手続き 不要 代行あり フォワーダー経由

ベール仕入れをするなら、実質的にカーゴ一択です。バンコクには日系のフォワーダーもあり、日本語で相談できます。渡航前に連絡を取り、「◯月◯日に約◯kgの古着を仕入れる予定」と伝えておくと、集荷から日本の配送先までのプランを組めます。

7-2. ベールは「既に圧縮されている」ことが有利に働きます

国際輸送では、実重量と容積重量を比較して大きい方で課金されます。ゆるく手詰めした古着は、実重量より容積重量の方が大きくなり、空気に金を払うことになります。

ベールは機械圧縮されているため密度が高く、実重量で課金される側に入ります。これはベール仕入れの、あまり語られない利点です。

逆に、日本でベールを開封して選別したあと、B・C品を再度どこかへ送る場合は密度が落ちます。そこは通常の梱包と同じ計算になります。

※容積重量の計算式と、どこまで圧縮すれば足りるかの分岐点については、韓国仕入れの記事で詳しく計算しています。

7-3. 関税と消費税

制度は変更され得ます。品目分類や原産地によって税率は変わります。実際の取り扱いは必ず税関にご確認ください。この記事は税務上の助言ではありません。

中古衣類は関税が無税となる区分が多い一方、消費税は必ずかかります。そして販売目的の商用輸入では、課税価格はCIF(商品代+運賃+保険料)が基準です。

輸入消費税 = (CIF + 関税)× 10%

個人使用の「海外小売価格×60%」という計算とは違います。混同しないでください。

7-4. インボイスは具体的に書く

「Used Clothing」という曖昧な記載は、開封検査の原因になります。時間と追加費用が発生します。

「Used Cotton T-shirts 100pcs」「Used Denim Pants 50pcs」のように、素材とアイテム名と数量を書いてください。素材によって区分が変わるため、正確な記載が自分を守ります。

そしてアンダーバリュー(過少申告)は絶対にやめてください。発覚すればペナルティの対象です。

7-5. 税率と、特恵が使えるかどうか

欄 税率 タイで使えるか
基本 7% —
WTO協定 5.8% 使えます
特恵 無税 使えません

タイは、平成31年4月1日に特恵を卒業しています。(税関「特恵卒業(除外)国・地域一覧」)

日タイ経済連携協定など、別の協定の欄もあります。ただし、どの欄が使えるかは原産地で決まります。ベールは各国から集まった服の集合なので、原産地を一律に示すことはできません。

原価計算では、WTO協定の5.8%を見込んでおくのが安全です。無税を前提に組むと、使えなかった時点で計算が崩れます。

7-6. 日本には、いくらで入ってきているか

国連ComtradeでHS6309(中古の衣類その他の物品)の日本の輸入を引きます。2025年です。

相手国 金額(USD) 数量(kg) 1kgあたり
世界計 88,180,036 9,134,675 9.65 USD
アメリカ 44,712,068 3,070,093 14.56 USD
タイ 13,532,092 1,266,073 10.69 USD
パキスタン 4,353,225 535,344 8.13 USD
マレーシア 309,984 933,521 0.33 USD
韓国 292,739 556,546 0.53 USD
タイの位置
順位 金額・数量とも第2位です
1kgあたり 10.69 USD。世界計の9.65 USDを上回っています

ここが重要です。現地のベールは安いのに、日本に着いた時点の単価は世界平均より高くなっています。マレーシアの0.33 USD、韓国の0.53 USDとは桁が違います。

これは、2章で書いたS+A率の話と同じことを言っています。タイから日本へ商業ベースで入ってくるのは、ベールそのものではなく、選別を通ったあとのものです。安いのは選別前の話で、日本で売れるものだけを抜いた時点で、その安さは残っていません。

参照:税関「実行関税率表 第63類」/税関「特恵卒業(除外)国・地域一覧」/国連Comtrade

8. 韓国とタイ、どう使い分けるか

韓国 タイ
一点物 ★★★★★ ★★★★
ブランド古着 ★★★★★ ★★★★
Tシャツ ★★★★ ★★★★★
ワーク ★★★★★ ★★★★
ベール ★★★ ★★★★★
卸の開拓しやすさ ★★★★ ★★★★★
低単価の大量仕入れ ★★★★ ★★★★★
現地トレンドの把握 ★★★★★ ★★★★
事業化のしやすさ ★★★★ ★★★★★

この表から導かれる使い分けは、こうなります。

韓国:一点物・ブランド・トレンド情報
タイ:卸・ベール・大量仕入れ・Tシャツ

そして面白いのは、この2つを別々の仕入れ先として考えないことです。

韓国でトレンド情報を取る → タイで安く大量に仕入れる → 日本で、韓国で見たトレンドに合わせてタイの商品を選別する

韓国は選別眼が効いた市場なので、「今、何が評価されているか」の答え合わせに向いています。タイはその答えに合う商品を、安く大量に供給できます。

9. 最終的に目指す形

「年に1回タイへ買い付けに行く」から「タイの倉庫から定期的に送ってもらう」へ。

手順はこうです。

  1. 渡航して、卸・倉庫を5〜10社比較する
  2. 1〜2ベールだけ買って帰る
  3. 日本で選別し、業者ごとのS+A率を実測する
  4. 良かった業者に、次はベール単位で発注する
  5. 売れたカテゴリーのデータを業者にフィードバックし、「このカテゴリーを増やしてくれ」に変える

4番と5番に到達すると、渡航費が原価から消えます。そして2-5で取った記録が、そのまま発注の精度になります。

市場を回り続けている限り、この段階には行けません。だから本丸は市場ではなく卸業者です。

10. まとめ

  • タイは「どこで探すか」ではなく「どのベールを買うか」のゲームです。
  • ベールの評価はB品率ではなくS+A率。判定ルールは「S+Aの手取り > ベールの総原価」の1本だけです。
  • S+A率30%ならベール代の2.70倍を回収できますが、9%まで落ちると0.81倍で割れます。
  • そしてS+A率が低いベールは、同じ回収に何倍もの作業時間を要求します。これが「安いベール」の本当のコストです。
  • 本丸は市場ではなく卸・倉庫。1〜5ベールから買える業者を5〜10社比較し、初回は1〜2ベールに留める。
  • ロンクルアは年1回の遠征として、S+A率のデータが溜まってから行く。
  • 狙うのはブランドではなくカテゴリー。タイの本命はグラフィックTです。
  • ルートの設計思想は「初日に買わない」。1日目に探し、2日目に比較し、3日目に販売価格を検証し、4日目に買う。

【持ち帰った後の話】

海外仕入れでいちばん多い失敗は、目利きではありません。「売れるとは思ったが、売れるまでが長かった」です。

10万円で仕入れて20日で売れるなら、その10万円は年に18回働きます。
同じ10万円で60日かかるなら、年に6回しか働きません。
利益率が同じでも、年間の粗利は3倍違います。

そしてベール仕入れは、1回の量が桁違いです。100着入りのベールを1つ買えば、100着ぶんの検品・洗濯・撮影・採寸・出品が待っています。売れる速度を読まずに買えば、資金も時間も全部在庫に変わります。

だから私は、仕入れる前に日数を出します。出品中の件数と、その期間に売れた件数さえ数えれば、計算できます。

「過去に売れているか」と「何日で売れるか」は、まったく別の情報です。

よくある質問

タイ古着のベールは買う価値がありますか?

S+A率次第です。Tシャツ100着入り10万円のベールで、S(15,000円で売れる)10着とA(8,000円)20着が出れば、S+Aだけで手取り27万円となりベール代の2.70倍を回収できます。しかしS+A率が9%まで落ちると0.81倍となり、S+Aだけでは回収できません。判定ルールは「S+Aの手取りがベールの総原価を上回るか」の1本です。

B品率30%を織り込めばいいのですか?

それは廃棄率の話であって、判断材料としては不十分です。100着中70着売れても、全部が2,000円のCグレードなら赤字になります。見るべきは廃棄率ではなくS+A率です。そしてS+A率が低いベールは、同じ金額を回収するのに何倍もの選別・出品作業を要求します。

ロンクルア市場には行くべきですか?

優先度は高くありません。バンコクから片道5時間以上で往復2日を消費し、継続取引にも繋がりにくいためです。単価が最も安いのは事実ですが、何を買うべきか分かっていない状態で行っても、安いゴミを大量に買うだけになります。バンコクの卸で実績を作り、S+A率のデータが溜まってから年1回の遠征として組んでください。

どこで仕入れるのが一番良いですか?

市場ではなく卸・倉庫です。バンコクには1〜5ベールから購入でき、日本への輸送に対応する業者があります。市場で1着ずつ拾うモデルは渡航しないと仕入れができませんが、卸を開拓すれば帰国後もベール単位で発注でき、渡航は初回だけで済む可能性があります。

タイで狙うべき商品は何ですか?

ブランドよりカテゴリーで考えてください。気候上タイにはTシャツ・薄手のトップスが大量に流通するため、本命はグラフィックTです。Harley-Davidson、NASCAR、Coca-Cola、Disney、NASA、企業ロゴ、カレッジ、バンドTなど。加えて、タイのローカル企業Tや古い観光Tなど「日本人がまだ値付けできていないカテゴリー」も狙い目ですが、最初は少量テストにしてください。

韓国とタイ、どちらが良いですか?

用途が違います。韓国は一点物・ブランド古着・ワーク、そして現地トレンドの把握に強い。タイはベール・卸・低単価の大量仕入れ、特にTシャツに強い。組み合わせるなら、韓国でトレンド情報を取り、タイで安く大量に仕入れ、日本で韓国基準に照らして選別するという流れが成立します。

韓国古着仕入れ|日本到着原価で考える・梱包密度166.7kg/m³という分岐点
韓国古着仕入れ|日本到着原価で考える・梱包密度166.7kg/m³という分岐点
韓国古着仕入れは「安く買える」だけでは儲かりません。渡航費・国際送料・関税・輸入消費税・加工費まで含む日本到着原価で採算を計算。東廟・広蔵市場・卸の回り方、物流費の計算、梱包密度166.7kg/m³の分岐点、革靴の高関税まで解説します。

 

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