Etsyで稼げるかを、国内で中古品を扱ってきた立場から検証します。先に、私の立場と結論を書きます。
私はEtsyで販売したことはありません。国内で仕入れて売っている中古品を、海外のEtsyでも併売する価値があるかを調べた記録です。結論を先に言うと、「20年以上前の個体(ヴィンテージ)」「クラフト素材」「名入れ品」など、Etsyの出品区分に合う物を、国内と併売して回転を上げる余地はあります。ただし、ふつうの新品市販品を右から左に流す場ではないので、無在庫転売の場としては向きません。
出典はEtsy公式(Creativity Standards・手数料・セラーハンドブック)、経済産業省、環境省です(2026年9月に確認)。制度は変わるので、実際に出す前にご自身で最新の条件を確認してください。私は税理士でも輸出の専門家でもありません。
まず、Etsyの出品区分は4つ(「20年」は一部の条件)
Etsyは、出品する物が次の4つのどれかに当てはまることを求めています(Creativity Standards)。
| 区分 | 主な対象 |
|---|---|
| セラーが作った | 自作・手を加えた・組み立てた・機械で製作した物 |
| セラーがデザインした | オリジナルデザイン、デジタル商品、制作パートナーに作らせた物など |
| セラーが選んだ | ヴィンテージ(20年以上前の物)、一定の自然物、ギフトセットなど |
| セラーが調達した | クラフト素材、パーティー用品、名入れ品など |
ここが、私が前に書き間違えていたところです。「20年」という条件は、この4つのうち「セラーが選んだ」の中のヴィンテージ区分だけの条件で、Etsy全体で20年より新しい市販品が一律に出せない、という意味ではありません。
とはいえ、仕入れて売る(転売する)人にとって現実的に残る道は、限られます。自分で作る・デザインするのでなければ、ヴィンテージ(20年以上前の個体)、クラフト素材、名入れ品あたりです。ふつうの新品市販品を仕入れてそのまま並べるのは、この区分のどれにも当てはまりません。Etsyは、メルカリやAmazonのような一般の再販の場ではない、というのが正しい理解です。
ヴィンテージは「発売年」ではなく「その個体の製造年」で20年
ここは仕入れ判断に直結するので、いちばん大事です。
Etsyがヴィンテージとして求めているのは、商品そのものが20年以上前の物であることです。機種の発売から20年経ったこと、ではありません。同じ機種でも、個体の製造時期で判定が変わります。
| 例(2026年時点) | 判断 |
|---|---|
| 2004年発売の機種で、2004年製造の個体 | 年代条件を満たしうる |
| 同じ機種でも、2009年製造の個体 | まだ20年に達していない |
| 製造時期を確認できない個体 | 発売年だけでは確定できない |
だから、「この機種は何年に解禁」という発売年ベースの表は作れません。使えるのは、「年代確認の候補になる機種」までで、最後は個体の製造時期を見るという順番です。マニュアルの著作権表示の年も、それだけでは個体の製造年の証明にはなりません。
古い電気製品:3つを分けて考える
古いオーディオなどを扱うと、次に安全の話が出てきます。ここで、Etsyが「自分で修理しろ」と言っている、という誤解をしないでください。次の3つは別のことです。
- 正常に動くこと
- 今の基準で安全だと確認できること
- 自分で修理できること
Etsyのセラーハンドブックは、今の安全基準で安全と確認できない古い電気製品は、装飾用途(飾り・小道具)として売る、電源を入れないよう警告する、電源コードを切って通電できないようにする、といった扱いを案内しています。一律に使用禁止でもなければ、セラー本人による修理を求めているわけでもありません(出典:Etsy Seller Handbook「Product Safety Essentials」)。
つまり、成立の道は「修理して自分で直す」だけではありません。安全と確認できる完成品を仕入れる道も、装飾用途として売る道もあります。私自身は修理ができるので修理を前提に考えますが、それが誰にとっても必須条件だ、とまでは言えません。外注して直す場合は、その外注費を積んでから採算を見てください。
日本側の法令:PSEとバーゼル法
PSE(電気用品安全法)は、まず「対象品目か・どの表示があるか」から
「PSEマークがない中古の電気製品は、国内では一律に売れない」というのは、正確ではありません。順番はこうです。
- その製品がPSE法の対象品目かを確認する(対象外の品目もある)。
- 対象なら、どの表示があるかを確認する。経済産業省は、旧・電気用品取締法(電取法)の表示がある製品の取扱いについて案内しており、PSEマークがないことだけを理由に販売不可とは判断できません(出典:経済産業省「改正電気用品安全法における旧電気用品取締法表示製品の取扱いについて」)。古いオーディオでは、この旧法表示の有無が重要です。
- そのうえで、PSE法の販売制限は国内での販売に対するものなので、輸出目的の販売はこの制限の外にあります。ただし、国内の販売制限から外れることと、輸出先の国で売れることは別の確認事項です。
バーゼル法は「輸出禁止」ではなく「承認不要の条件」の話
中古の電気・電子機器を輸出するとき、リユース目的であれば規制の対象外になりますが、それを輸出者が証明する必要があります。環境省の中古品判断基準では、正常に動くことだけでなく、取引の実態や輸入国の中古市場の状況なども確認の対象です(出典:環境省「使用済み電気・電子機器の輸出時における中古品判断基準について」)。
だから、次の3つを混同しないでください。
- 通電しただけで、すべての条件を満たしたことにはならない
- 修理しただけで、承認不要と確定するわけではない
- 承認不要の条件を満たせないことと、あらゆる輸出が禁止されることは、同じではない
判断がつかない個体は、経済産業省・環境省の事前相談で確認先が用意されています(出典:経済産業省「バーゼル法輸出入規制事前相談」)。
手数料:Offsite Adsを正しく計算する
Etsyの手数料でつまずきやすいのがOffsite Ads(オフサイト広告)です。ここは明確に直せます。
- 基準は累計売上ではなく、直近365日間の売上1万ドルです。
- 直近365日が1万ドル未満の店は、広告費15%。参加は任意で、オプトアウト(不参加)できます。
- 直近365日が1万ドル以上になった店は、参加が必須になり、以後ずっと12%です。
- そして、この広告費がかかるのは「広告経由の注文」だけです(広告がクリックされ、30日以内にその店で注文が入ったもの)。すべての注文にかかるわけではありません。
出典:Etsy「Fees & Payments Policy」
たとえば279ドルの商品を月2台、ほかに売上がないなら、年間で279×2×12=6,696ドルです。18か月続けても、直近365日で1万ドルには届かないので、Offsite Adsが必須化することはありません(オプトアウトできます)。
だから手残りは、「広告なし」「広告15%(広告経由の注文だけ)」「12%(1万ドル到達後)」を分けて見てください。通貨換算の手数料は、広告費とは別の費用として分けます。私が前に書いた「全注文に広告費がかかり、途中からオプトアウトできない」という説明は、1万ドル未満の店には当てはまりません。
需要データ(Alura等の推定)は、候補探しまで
Etsyの販売数を推定するツール(Aluraなど)の数字は、調べる商品の候補を探す用途までにとどめてください。推定値であることに加えて、世代別の需要を比べるには、掲載期間・価格・状態・販売者・露出の違いをそろえる必要があり、それがそろっていないからです。型番不明の物を古い世代側に混ぜても、年代別の需要比較にはなりません。
成約率から販売日数を出す計算も同じです。仮に成約率が0.5%でも、1日200閲覧なら1日、1日10閲覧なら20日、1日1閲覧なら200日で、閲覧数が分からなければ販売までの日数は推定できません。「たくさん売れていそう」までは言えても、「何か月で売れる」は、この推定データからは出せません。
併売としての判断:国内と比べていくら多く残るか
ここまでを踏まえて、私の判断を書きます。
まず利益は、年利回りに換算しないでください。修理費や関税を引く前の差額を年利回りに直すと、注意書きより大きな数字だけが印象に残ります。見る順番はこうです。
- 売価と、実際に受け取る通貨(円換算)を決める
- Etsy手数料・配送・梱包・(必要なら)修理費を積み上げる
- 関税など未確定の費用は、未確定のまま残す
- その結果、国内で売るより、いくら多く残る必要があるかを判断する
税関の公示レートは、実際の円受取額を保証するものではなく、試算用の仮定です。米国向けは、2026年7月9日からEtsyでDDP(関税元払い)の要件が案内されているので、配送費の見積もりがDDP対応の費用と合っているかも確認してください(出典:Etsy Seller Handbook「Navigating Evolving Global Tariff Policies」)。
併売として置くなら、順番があります。まず国内で回している中古品のうち、区分(ヴィンテージ・クラフト素材・名入れ)と個体の年代に合う物だけを選ぶ。国内で売れているものを、同じ在庫のまま海外にも並べる。ここで回転が上がるなら、併売は成立します。ただし、国内の売り場がヤフオクかYahoo!フリマなら、同じ商品をEtsyのような他社の売り場にも出すことは、両社のガイドライン細則で禁止されています。国内で売れないものを、海外なら売れるはず、と持ち込むのは逆で、これはうまくいきません。
仕入れて売るなら、古物商許可が必要です(自分の不用品を売るだけなら不要)。古物の考え方は古物商許可はせどりに必要かにまとめています。
まとめ:確認したことと、書けなかったこと
- Etsyの出品区分は4つ。「20年」はヴィンテージ区分だけの条件で、市販品全般の禁止ではない
- ヴィンテージは発売年ではなく、その個体が20年以上前か。機種表は候補探しまで
- 古い電気製品は「動く」「安全と確認できる」「自分で修理できる」を分ける。Etsyは自分での修理を求めていない(装飾用途の道もある)
- PSEは対象品目か・旧法表示があるかを先に確認。輸出目的は国内販売制限の外だが、輸出先で売れるかは別
- バーゼル法は「承認不要の条件」の話。通電・修理だけでは確定せず、判断がつかなければ事前相談
- Offsite Adsは直近365日1万ドル・15%/12%・広告経由の注文だけ。少額なら必須化しない
- 採算は年利回りにせず、国内よりいくら多く残るかで見る。併売は国内で売れている物から
私が書けなかったのは、実際にEtsyで売った数字です。私はEtsyで販売していないので、ここは仕組みと公式情報の検証にとどめました。実際に併売するなら、まず1点、区分と年代に合う物を出して、手数料と入金の実額を自分で取ってから広げるのが安全です。

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