eBayから仕入れて国内で売る。円安が続くなかで逆行するようですが、この検索をしている人は一定数います。
先に結論を書きます。私は一度だけeBayから仕入れをして、利益は出ました。それでもやめました。儲からなかったからではありません。再現性がないと判断したからです。
この記事は「eBay仕入れのやり方」を教えるものではありません。20年間、国内の中古品売買を本業にしてきた人間が、なぜ輸入仕入れを主軸にしなかったのか。その判断の中身を書きます。輸入を検討している人にとっては、始める前に知っておいたほうがいい話だと思います。
結論:eBay仕入れは利益率ではなく「検品工数」で死ぬ
輸入仕入れの解説記事の多くは、利益率の話をします。仕入れ値、国際送料、関税、為替、販売手数料。これらを引いて何パーセント残るか。
この計算自体は正しいのですが、中古品を扱う場合、ここに乗ってこない項目があります。検品にかかる工数です。
そして、これが厄介なのは、他のコストと挙動がまったく違うからです。
| コスト項目 | 個数を増やしたときの挙動 |
|---|---|
| 国際送料 | 1個あたりは下がる(按分できる) |
| 通関手数料 | 1個あたりは下がる(按分できる) |
| 為替手数料 | 1個あたりは下がる(按分できる) |
| 検品工数 | 1個あたりは変わらない(按分できない) |
「まとめて買えば送料が薄まる」というのは正しい。しかし、そのまとめ買いが検品を必要とする商材だった場合、送料を薄めた分だけ検品工数が積み上がります。片方だけが按分され、もう片方は線形に増える。ここを見落とすと、計算上は儲かるのに実際には手が止まる、という状態になります。
私が実際にそうなりました。
私がeBayで仕入れたのは、100個のAthlonだけ
1個あたり約150円で100個
大学生の頃の話です。eBayのセラーが、AMDのAthlon(CPU)を100個まとめて出品していました。総額でおよそ130ドル。当時のレートで1万数千円です。1個あたり150円前後という計算になります。
当時、国内の中古PCパーツ市場ではAthlonにまだ値が付いていました。1個あたり数百円から、状態と型番によってはそれ以上。単純な差額だけを見れば、明らかに利益が出る取引に見えました。
実際に届いて、利益も出ています。この点は正直に書いておきます。eBay仕入れそのものが赤字だったわけではありません。
問題は、届いてから始まった
届いた100個のうち、動作しないものがかなりの割合で混ざっていました。ジャンク混入率が事前に分からない状態でロット買いをしたので、これは想定すべきリスクではありました。
ここで手が止まります。CPUの動作確認をするには、マザーボードに挿し、電源をつなぎ、クーラーを取り付け、起動を確認して、また外す。1個あたり数分から十数分。これを100回繰り返す必要があります。
1個あたりの粗利が数百円の商材で、1個あたり10分の検品工数がかかる。時給換算すると、この時点で成立していません。そして先ほどの表のとおり、この工数は個数を増やしても1個あたりが下がりません。100個買ったから検品が楽になる、ということは起きない。
私は途中で検証が面倒になり、投げました。
最後は山にして捨てた
残った在庫は、まとめて処分しました。売却ではなく廃棄です。
これが輸入仕入れのもうひとつの側面だと思っています。国内の仕入れなら、売れ残っても最悪はリサイクルショップや古物市場に流せます。仕入れ値を割っても、現金には戻る。しかし検品コストが利益を上回った在庫は、売り先がある・ないの問題ではなく、手を動かす価値そのものがない状態になります。出口が売却ではなく廃棄で終端した。
利益は出たのに、続ける気にならなかった。理由はここです。
利益÷拘束日数で見ると、輸入は国内に構造的に負ける
私は仕入れの良し悪しを、利益率ではなく「利益 ÷ 資金が拘束された日数」で見ています。年間で何回転できるかが、最終的な手残りを決めるからです。
この物差しを当てると、輸入仕入れは国内仕入れに対してかなり不利になります。
| 国内仕入れ | eBay輸入仕入れ | |
|---|---|---|
| 支払いから着荷まで | 即日〜数日 | おおむね2〜4週間 |
| 検品の可否 | 買う前に現物を見られる | 届くまで分からない |
| 不良時の返品 | 国内で完結 | 返送料が利益を超えることが多い |
| 売れ残りの出口 | 古物市場・買取店に流せる | 同左だが着荷までの日数が上乗せ |
同じ利益率だったとしても、着荷までに3週間かかれば、その資金は年間で回せる回数が国内より少なくなります。利益率で勝っていても、回転数で負ければ年間の手残りは逆転します。
さらに、返品が実質的に機能しないという点が効いてきます。国内なら不良品を返せますが、海外セラーに返送すると、返送料だけで1個あたりの利益が飛びます。結果として「不良は自分で飲む」前提の仕入れになり、これが検品工数の話に戻ってくる。
「個人輸入」でeBayから仕入れることはできない
ここは誤解が多いところなので、制度の話を挟みます。
「eBay 仕入れ」と「個人輸入」を同じ文脈で調べている人がいますが、税制上、この2つは両立しません。
0.6掛けの特例は、販売目的では使えない
個人輸入について調べると、必ず「16,666円までは免税」という話が出てきます。これは以下の仕組みによるものです。
- 課税価格の合計が1万円以下なら、関税・消費税が原則として免除される
- 個人が自分で使う目的で輸入する場合、課税価格は海外小売価格に0.6を掛けた額になる
- したがって 10,000円 ÷ 0.6 = 約16,666円 までは免税、という計算になる
問題は2つ目です。この0.6掛けは「個人的な使用に供される貨物」に対する特例であり、販売目的・事業目的の輸入には適用されません。
販売目的で輸入する場合は商業輸入として扱われ、課税価格は商品代金に運賃と保険料を加えた額(CIF価格)になります。0.6は掛かりません。
つまり、仕入れのために輸入する時点で、個人輸入の優遇は最初から対象外ということです。「個人名義で個人輸入として通して、あとで売る」という発想は、制度の趣旨から外れており、反復すれば申告の適正さが問われる領域に入ります。
さらに、その0.6掛け自体が廃止されます
もう一点、時間軸の話です。
この0.6掛けの特例(課税価格決定の特例)は、越境ECの拡大によって適用件数が急増し、国内事業者との課税上の不公平が問題視されていました。財務省の資料によれば、この特例は令和10年3月末をもって廃止されます。令和10年4月1日以後は、少額免税の判定も課税価格の合計額が1万円以下かどうかで行われることになります。
なお、ネット上には「2026年4月に廃止済み」と書いている記事が複数ありますが、財務省の資料と照らすとこれは誤りです。根拠法(関税定率法等の一部を改正する法律・令和8年法律第5号)は成立していますが、この項目の効力が切れるのは令和10年3月末です。
いずれにせよ、方向は一貫して「海外から少額を買うことの税制上の優位を潰す」側に動いています。制度の追い風を前提にした輸入モデルは、時間が経つほど不利になります。
免税にならない品目もある
補足として、課税価格が1万円以下でも免除されない品目があります。革製のバッグ、パンスト・タイツ、手袋・履物、スキー靴、ニット製衣類など。アパレル系を輸入で考えている場合は、ここを先に確認したほうがいいです。
それでもeBay仕入れが成立する3つの条件
ここまで否定的なことばかり書きましたが、輸入仕入れが構造的に不可能だと言いたいわけではありません。私のCPUの件が失敗したのは、条件を満たしていない商材でやったからです。
逆算すると、成立する条件は3つに絞れます。
1. 単価が高く、軽い
国際送料は重量で決まります。1個あたりの粗利が数百円の商材に、1個あたり数百円の送料が乗れば何も残りません。粗利に対して送料の比率が小さくなる価格帯でなければ、そもそも土俵に上がれない。
私のAthlonは1個150円でした。この時点で、送料をどれだけ按分しても構造的に厳しかったということです。
2. 検品が不要か、検品そのものが付加価値になる
ここが最大の分岐点です。
検品が不要な商材(未開封品、動作確認が不要なもの)であれば、工数の問題は消えます。あるいは逆に、検品と修理そのものが価値になる商材なら、工数はコストではなく付加価値の源泉に変わります。
同じ「1個10分の検証」でも、その結果が「動く/動かないの仕分け」にしかならないなら赤字ですが、「動かないものを直して価値を戻す」ところまで行くなら、その10分は投資になります。私のCPUは前者でした。壊れているものを直す手段がなかったので、検証は純粋なコストにしかならなかった。
3. 国内で価値を戻せる技術がある
結局、2番を突き詰めるとここに行き着きます。
海外から安く買える理由の多くは、「壊れているから」「動作未確認だから」「向こうで需要がないから」です。このうち前2つは、直せる人にとっては値引き要因であり、直せない人にとっては地雷です。同じ商品が、技術の有無で仕入れ値としての意味を変えます。
逆に言えば、直す技術を持たずに海外のジャンクに手を出すと、私と同じことになります。届いてから検品して、動くものだけ売って、残りを捨てる。それは仕入れではなく、ただの抽選です。
私が輸入をやらなかった、いちばん単純な理由
制度の話も工数の話も、後から整理した理屈です。当時の判断はもっと単純でした。
国内せどりのほうが、圧倒的に稼げていたからです。
輸入ビジネスの教材も買いましたし、それなりに研究もしました。ただ、どれだけ計算しても、国内で仕入れて国内で売るほうが利益額でも回転数でも上回っていた。同じ時間を使うなら、勝っているほうに投下する。それだけです。
輸入を掘る必要性を感じなかった。これが20年やってきた人間の、輸入仕入れに対する率直な評価です。
ただしこれは「輸入は誰にとってもダメ」という意味ではありません。私の場合は、比較対象として国内せどりという十分に強い選択肢が既に手元にあった。もし国内の仕入れルートを持っていなければ、判断は変わったかもしれません。輸入が不利なのではなく、私にとっての機会費用が高すぎたというのが正確な表現です。
まとめ
- eBayから仕入れて利益を出すこと自体は可能。私も出た
- ただし国際送料は個数で按分できるが、検品工数は按分できない。中古・ジャンク系のロット買いはここで崩れる
- 着荷まで2〜4週間かかるため、利益率が同じでも年間の回転数で国内仕入れに負ける
- 販売目的の輸入に個人輸入の0.6掛けは使えない。その特例自体も令和10年3月末で廃止される
- 成立条件は「高単価・軽量」「検品が不要か価値になる」「国内で価値を戻せる」の3つ
始める前に確認すべきなのは、利益率ではなく「届いてから売れるまでに、自分が何時間手を動かすことになるか」です。その時間に自分の時給を掛けて、それでも残るなら、その仕入れは成立します。
私は残らなかったので、やめました。
よくある質問
eBay仕入れに古物商許可は必要ですか?
海外の売主から直接買い付けて輸入し、それを国内で販売する形態については、日本の古物営業法の適用範囲をめぐって整理が必要になります。一方で、国内の相手から古物を買い受ける行為が入る場合は許可が必要です。輸入と国内買取を併用するなら、取得しておくのが確実です。判断に迷う場合は所轄の警察署(生活安全課)に確認してください。
関税はいくらかかりますか?
品目によって税率が異なります。課税価格の合計が20万円以下であれば簡易税率が適用される場合があり、7区分に大別されています。20万円を超える場合や簡易税率の対象外品目は一般税率になります。実際の税率は税関の実行関税率表で品目ごとに確認してください。
まとめ買いすれば送料が安くなるので有利では?
1個あたりの送料は確かに下がります。ただし本文で書いたとおり、検品が必要な商材では検品工数が個数に比例して増えるため、送料の削減分を工数が食い潰します。まとめ買いが有効なのは、検品が不要な商材か、検品自体が付加価値になる場合に限られます。
円安なのに輸入をやる意味はありますか?
円安は輸入の逆風です。ただし為替は仕入れ判断の一要素にすぎず、円高に振れれば有利になります。より本質的なのは、円高になったときに成立する仕入れが、円安のときには成立しないという点です。為替頼みで成立している仕入れは、為替が戻れば消えます。為替が動いても残る優位性があるかどうかで判断したほうがいい。

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