フィリピン古着仕入れ|ukay-ukayは安い。ただし輸出という壁がある

フィリピン古着仕入れ 輸入

フィリピンには、ukay-ukay(ウカイウカイ)と呼ばれる巨大な中古衣料市場があります。

価格は安く、供給量も大きい。そしてアメリカ古着との相性がいい。仕入れ先としての魅力は、はっきりあります。

ただし、この記事で最初に書いておくべきことがあります。

フィリピンでは、中古衣料の商業輸入が法律で禁止されています。
これは「フィリピンへ持ち込むこと」の話であって、「フィリピンから日本へ持ち出すこと」とは別の問題です。ただし、現地の古着流通がどう成り立っているかを理解せずに「卸から100kg買って日本へ送ればいい」と考えるのは危険です。

この記事は、商品の探し方と同じくらい、そこを丁寧に扱います。

※制度は変更され得ます。実際の輸出入は必ず現地の通関業者と日本側の輸入者双方でご確認ください。この記事は法的助言ではありません。

1. フィリピンは、渡航費が2番目に軽い国です

1-1. まず位置を確認する

海外仕入れの原価で最も重いのは渡航費です。そしてそれは持ち帰る点数で割られます。

LCC往復3.5万円、宿3泊2万円、現地移動1.5万円で、渡航費を7万円とします。

仕入れ点数 1点あたりの渡航費按分
50点 1,400円
100点 700円
175点 400円
300点 233円
600点 117円

1-2. 他の国と比べる

1点400円の按分にするのに、何点必要か。

仕入れ先 渡航費の目安 必要点数
台湾 40,000円 100点
フィリピン 70,000円 175点
韓国 75,000円 188点
タイ 150,000円 375点
マレーシア 250,000円 625点
アメリカ 400,000円 1,000点

フィリピンは台湾に次いで2番目に軽い。マレーシアの3分の1以下、アメリカの6分の1です。

これが意味するのは、ベールを買わなくても成立するということです。次章で説明します。

2. 【重要】最初からベールを買ってはいけません

2-1. フィリピンにはベール市場があります

業界資料では、45kg・55kg・80kg・100kg などが流通単位として紹介されています。マレーシアやタイと同じく、圧縮梱包を丸ごと買う方式です。

そして「100kgなら安い」と考えるのが、最も典型的な失敗です。

2-2. 日本で処理する時間を計算してください

1kgあたり3着、販売可能率60%、1着の処理に20分(検品・洗濯・スチーム・撮影・採寸・出品・梱包)として計算します。

ベール 着数 販売可能 作業時間 1日8時間なら
45kg 135着 81着 27時間 3日
55kg 165着 99着 33時間 4日
80kg 240着 144着 48時間 6日
100kg 300着 180着 60時間 8日
300kg 900着 540着 180時間 22日

100kgのベールを1本買えば、日本で8営業日ぶんの作業が発生します。そして売れない120着も、あなたは重量分の代金を払っています。

2-3. だから、フィリピンでは「選別して買う」

1-2で見た通り、フィリピンは175点で成立します。ベールを買わなくても届く数字です。

ベールを買うのではなく、ベールを開けている業者・店舗から選別して買う。

これがフィリピンの正解です。渡航費が軽いからこそ、この方式が成立します。

マレーシアで「1,000着買わないと成立しない」、アメリカで「1,000点必要」と結論したのとは、条件が違います。

3. フィリピンの勝ち筋は「選別速度」

3-1. 国によって、勝ち方が違います

重要になるもの
韓国 卸ルートを作ること
マレーシア 物流固定費をどう吸収するか
アメリカ 選別率 × 修理可能性
フィリピン 大量の中から、いかに速く当たりを抜くか

ukay-ukay は、選別されていない大量の服が並ぶ市場です。そこで効くのは目利きの深さではなく、判断の速さです。

3-2. 1着10秒で判断する

ラックの前で悩んでいたら、時間が尽きます。判断の順序を固定してください。

① ブランド → ② 形 → ③ 状態 → ④ 日本での販売価格 → ⑤ 到着原価

迷ったら買わない。これだけです。

1-1の表を思い出してください。渡航費7万円を3泊で割ると、現地での1日は約2.3万円です。悩んでいる時間は、そのまま原価になります。

4. どこで買うか

4-1. 初回はマニラ → バギオ → マニラ

いきなり地方都市を何都市も飛び回らないでください。マニラで市場構造を把握してからバギオへ行くのが効率的です。

4-2. マニラのエリア別の役割

マニラには複数の ukay エリアがあり、価格と商品の選別度が異なります。

エリア 役割
Anonas 大量の ukay 探索
Baclaran / Pasay 低価格・量狙い
Quiapo 周辺 超低価格の掘り出し物
Cubao 少し選別されたヴィンテージ・ストリート系
Divisoria 卸・大量流通の観察
Makati 高価格帯・セレクト系との比較

Makati は買う場所ではありません。選別済みの店で価格を見ることで、Anonas や Quiapo の価格が「どれだけ安いか」の基準ができます。

4-3. 本命はバギオの夜市

バギオは単なる観光地ではありません。Harrison Road の Night Market には大量の ukay-ukay が並びます。

2026年の情報では、おおむね21時〜翌2時の市場として案内されています。歴史的にも、Harrison Road の市場は ukay-ukay を中心に形成され、現在は市によって一定程度制度化されています。

韓国の市場とは時間感覚が逆です。夜が本番なので、日中の予定と体力配分を先に決めておいてください。

4-4. バギオでやるのは「ラック単位で見る」こと

バギオはブランドを買う場所ではありません。ラック単位で高速に見る場所です。

見る対象を先に決めておきます。

企業ロゴ/カレッジ/ワーク/フリース/ナイロン/アウトドア/スウェット/シャツ/デニム/ミリタリー

この10種類を頭に入れて、それ以外は見ない。3-2の10秒判断は、対象を絞って初めて成立します。

5. 何を買うか

5-1. フィリピンで強いのは「アメリカ古着」です

ここが理解の要です。

フィリピンの ukay 市場は、輸入中古衣料の流通を背景に形成されています。業界資料でも、米国・韓国・中国・欧州などからのベールが流通する市場として説明されています。

つまり狙いはこうなります。

×「フィリピンでしか買えないブランド」を探す
「フィリピンで安く残っているアメリカ古着」を拾う

アメリカ記事で書いた通り、アメリカ現地で1,000点を集めるには渡航費40万円がかかります。フィリピンなら7万円で、同じ系統の商品に触れられる可能性があります。

5-2. Aランクのブランド

Carhartt/Dickies/Levi’s/Ralph Lauren/Champion/Nike/adidas/The North Face/Patagonia/Columbia/L.L.Bean

ただし、ブランド名だけで買わないでください。

5-3. 日本人が選ばない服を見る

ここがフィリピンで最も面白い部分です。

カテゴリ 具体例
企業ロゴ Ford、Coca-Cola、Harley-Davidson、建設会社、ガソリン会社
カレッジ・スポーツ 大学、スポーツチーム
ワーク Carhartt、Dickies、Red Kap、Wrangler、Lee
アウトドア Columbia、The North Face、Patagonia、L.L.Bean
90s〜00sスポーツ Nike、adidas、Reebok、Champion

企業ロゴものは日本人バイヤーが見落としやすい領域です。現地では「ただの古いTシャツ」でも、日本では一定の需要があります。

5-4. そして「ブランドなし」をかなり見る

これがフィリピン攻略の本質だと考えています。

Nike 1,000ペソより、ノーブランドの短丈ナイロンジャケット 150ペソの方が面白い。

理由は単純で、日本ではブランド名ではなく形で売れるからです。

見るべき要素は以下です。

短丈/ボックスシルエット/ワイド/フェード/カレッジ/企業ロゴ/ハーフジップ/ナイロン/フリース/ミリタリー/ワーク

韓国の記事でも同じことを書きました。買い手も形で検索します。

6. 【核心】輸出という壁

ここが、フィリピンが他の国と決定的に違う点です。

6-1. フィリピンでは中古衣料の商業輸入が禁止されています

RA 4653 は中古衣料・古布の商業輸入を禁止しており、フィリピン税関も現在この禁止を明示しています。

税関の資料では、中古衣料をベールにして持ち込むケースや、balikbayan box に入れるケースなども問題として挙げられています。

6-2. ただし、混同しないでください

正確に切り分けます。

内容
禁止されているもの 中古衣料をフィリピンへ商業輸入すること
この記事で扱うもの フィリピン国内で買った商品を、日本へ持ち出すこと

この2つは別の問題です。そして現地では ukay-ukay の店舗が普通に営業しており、自治体が営業許可を出しています。

6-3. それでも、単純化してはいけない理由

問題は、供給の成り立ちにあります。

フィリピンで流通している中古衣料の相当部分が、法律上は輸入が禁じられているルートから来ている可能性があります。だから、こう考えないでください。

×「ukay-ukay 業者から100kg買って、日本へカーゴで送ればいい」

フィリピン国内で流通している商品を買うことと、その商品を商業貨物として国外へ輸出することは別です。輸出には、フィリピン側の輸出手続きと日本側の輸入手続きの両方が必要になります。

6-4. だから、確認してから動く

実際に輸出する前に、現地の輸出業者・通関業者と、日本側の輸入者の双方で確認してください。

そして税関の取締りは現在も継続しています。押収された中古衣料は処分の対象になります。供給が法的に不安定な市場から、継続的な仕入れルートを作ろうとするのは、事業としてリスクがあります。

加えて、外国人には処罰に関して重い規定があります。罰金より、そちらの方が実質的な損害は大きい。

6-5. 現実的な進め方

段階 やること
初回 現地調査+少量の選別購入。日本で本当に売れるかを確認する
2回目 売れたカテゴリだけを買う
3回目 現地業者に商品条件を指定する
その後 輸出・通関を適法に処理できる業者との継続取引

初回でいきなり大量輸出を計画しないでください。1-2で見た通り、フィリピンは175点で成立します。まず少量で、日本での販売と輸出実務の両方を検証する段階を置いてください。

7. 3泊4日のルート

DAY 1:マニラ(市場価格の把握)

Anonas → Baclaran / Pasay → Quiapo の順に回ります。

この日は大量購入しません。目的は価格の把握です。何がいくらで売られているかを知らずに、バギオで判断はできません。

DAY 2:マニラ → バギオ

朝に移動し、午後にバギオ入り。夜、Harrison Road の Night Market を回ります。

4-3の通り、21時頃から深夜までの市場です。日中に体力を使いすぎないでください。

DAY 3:バギオ

昼は地元の ukay を探索。夜はもう一度 Harrison Road へ。

1日目とは違う目線で見てください。2日間で相場観が更新されているので、初日に見送ったものの評価が変わっているはずです。

DAY 4:マニラへ戻って再選別

持ち帰るものを「日本で売れるものだけ」に絞り直します。

そして帰国前に、以下を測ってください。

  • 総仕入れ額
  • 総点数
  • 総重量
  • 販売可能と見込む点数
  • 渡航費の実額

これがあれば、1-1の表に自分の数字を入れられます。次回の判断が、感覚ではなく計算になります。

8. フィリピンは初心者向けか

正直に書きます。「初心者向け」と断定するのは早いです。

8-1. 魅力はある

  • ブランド競争が他国ほど激しくない可能性
  • 安価な個体が多い
  • ukay 市場の規模が大きい
  • アメリカ古着との相性が良い
  • 渡航費が2番目に軽い

8-2. ただし、壁がある

  • 輸出・法規制の確認が必要
  • 供給が法的に不安定
  • 物流の確認が必要

8-3. 結論

「仕入れが簡単な国」ではありません。「商品探索は面白いが、輸出実務を解決できる人向けの国」です。

商品を見つけることと、それを合法的に日本へ運ぶことは、別の能力です。前者だけを見て参入すると、後者で止まります。

9. 他の仕入れ先との比較

台湾 フィリピン 韓国 タイ マレーシア アメリカ
必要点数 100点 175点 188点 375点 625点 1,000点
主役の変数 回転数 選別速度 物流密度 S+A率 選別率と点数 選別率×修理
買い方 少量ピック ベールを開けた店から選別 1着ずつ ベール Bundle 重量販売
最大の壁 低単価品 輸出・法規制 物流費 B品率 固定費 距離と物流

5カ国を並べると、こうなります。

調べた結果
韓国 物流と競争を計算すると、簡単ではない
タイ 安さだけでは利益にならない
マレーシア 小ロットでは固定費を吸収できない
アメリカ 供給量は圧倒的だが、1,000点規模でないと成立しない
台湾 少量なら成立する。ただし低単価品は無理
フィリピン 安い ukay は確かにある。しかし輸出という別の壁が出てくる

「海外なら安く仕入れられる」という前提が、国ごとに違う理由で崩れます。

10. まとめ

  • フィリピンは渡航費が2番目に軽い国です。7万円で、175点あれば1点400円の按分になります。
  • だからベールを買う必要がありません。100kgのベールは日本で8営業日ぶんの作業を生みます。
  • 正解は「ベールを開けている業者・店舗から選別して買う」ことです。
  • 勝ち筋は選別速度。1着10秒で、ブランド→形→状態→日本価格→到着原価の順に判断します。
  • 狙うのは「フィリピンで安く残っているアメリカ古着」。特に企業ロゴものは日本人が見落としがちです。
  • そしてノーブランドの形を見てください。Nike 1,000ペソより、短丈ナイロン150ペソの方が面白い。
  • ただし輸出という壁があります。フィリピンは中古衣料の商業輸入を禁じており、供給が法的に不安定です。初回は少量で、輸出実務ごと検証してください。

【持ち帰った後の話】

海外仕入れでいちばん多い失敗は、目利きではありません。「売れるとは思ったが、売れるまでが長かった」です。

10万円で仕入れて20日で売れるなら、その10万円は年に18回働きます。
同じ10万円で60日かかるなら、年に6回しか働きません。
利益率が同じでも、年間の粗利は3倍違います。

フィリピンでベールを勧めなかったのは、これが理由です。180着を抱えたとき、それが何日で現金に戻るのか。読めないまま買えば、資金も時間も全部在庫に変わります。

だから私は、仕入れる前に日数を出します。出品中の件数と、その期間に売れた件数さえ数えれば、計算できます。

「過去に売れているか」と「何日で売れるか」は、まったく別の情報です。

よくある質問

フィリピンの ukay-ukay は仕入れに使えますか?

商品の探索先としては魅力があります。米国・韓国・中国・欧州などからのベールが流通する市場なので、アメリカ古着が安く残っている可能性があります。ただしフィリピンでは中古衣料の商業輸入が法律で禁止されており、供給が法的に不安定です。日本へ商業貨物として輸出する場合は、現地の通関業者と日本側の輸入者の双方で事前に確認してください。

ベールで買った方が安いのではないですか?

単価は下がりますが、処理量が問題になります。100kgのベールは約300着で、販売可能率60%なら180着。1着20分で処理すると60時間、8営業日ぶんの作業です。そして売れない120着分の重量も支払っています。フィリピンは渡航費が軽く175点で成立するため、ベールを買わず「ベールを開けている業者から選別して買う」方が合理的です。

何点くらい仕入れれば成立しますか?

175点で1点あたり400円の按分になります。渡航費7万円(LCC往復3.5万・宿3泊2万・現地移動1.5万)で計算した場合です。台湾の100点に次いで軽く、マレーシアの625点、アメリカの1,000点と比べると大きな差があります。

マニラとバギオ、どちらに行くべきですか?

両方です。順番はマニラ→バギオ→マニラ。マニラで市場構造と価格を把握してからバギオへ行きます。マニラにはAnonas、Baclaran/Pasay、Quiapo、Cubao、Divisoria、Makatiと複数のukayエリアがあり、価格と選別度が異なります。バギオはHarrison RoadのNight Marketが本命で、おおむね21時〜翌2時の市場です。

フィリピンでは何を狙うべきですか?

フィリピンでしか買えないブランドではなく、フィリピンで安く残っているアメリカ古着です。特に企業ロゴもの(Ford、Coca-Cola、Harley-Davidson、建設会社など)は日本人バイヤーが見落としやすい領域です。加えてノーブランドでも、短丈・ボックスシルエット・ナイロン・フリースなど「形」で選ぶと、日本での需要があります。

フィリピンは初心者向けですか?

断定できません。ブランド競争が激しくない可能性、安価な個体の多さ、渡航費の軽さという魅力はあります。一方で輸出・法規制・物流の確認が必要です。「仕入れが簡単な国」ではなく「商品探索は面白いが、輸出実務を解決できる人向けの国」だと考えてください。

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