「Amazonの価格改定ツール」で調べて来られた方に、先に結論を書きます。
比較で最初に見るべきなのは、料金でも機能でもありません。そのツールが、AmazonのAPI変更に追随しているかどうかです。
理由は単純です。Amazonが古いAPIを止めた時点で、追随できなかったツールは動かなくなるからです。そして、それは実際に起きました。
私の立場も書いておきます。私はAmazonで出品していた期間があり、いまは中古品の買取・修理・販売が中心です。20年ほどこの商売を続けています。
この記事は2022年に書いたものを、全部確認し直しました。当時13社を並べた表は、いま出せる状態にありません。理由も含めて書きます。
その前に:純正の機能を開いてみてください
順番として、ここが先です。
Amazonのセラーセントラルには「価格の自動設定」という機能があります。Amazon自身が出品者向けに案内している機能で、告知にはこう書かれています。
「出品価格の下限と上限を、現在の価格、または他の国の出品に設定している価格の下限/上限を使用して、最大50個のSKUに一括で設定できるようになりました」
出品プランとは別に利用料がかかる、という案内は出ていません。
正直に書きます。この記事は以前、13社を比較しておきながら、この選択肢に触れていませんでした。月に5,000円前後を払う判断をする前に、まず自分のセラーセントラルで開いてみてください。
それで足りるなら、この記事の残りは読まなくて済みます。
その前にもう1つ:必要な機能は、何を売っているかで決まります
ここを飛ばすと、比較そのものが無意味になります。私自身の話を書きます。
私が当時使っていたのはgagaというツールでした。価格追従の機能しかない、単純なものです。(いま同じ名前で探しても、同名の別のサービスばかり出てきます。この分野の入れ替わりの速さは、そういうことです)
それで足りていました。ところが同じものを同業に勧めたら、「価格追従しかないからダメだ」と言われました。
どちらも正しかったのだと思います。立場が違っただけです。
私が高機能な価格改定を必要としなかった理由
私は、価格で戦っていませんでした。
売っていたのは出品コメントです。商品説明の書き方と、手を入れたことそのもの。たとえばスーパーファミコンのソフトなら、セーブ用の電池を交換してあります、と書けます。
同じカタログに並んでいても、同じ商品として比べられていませんでした。だから最安値を取りに行く必要がありません。
結果、価格改定に求めていたのは2つだけです。
- 新品は最安値追従。新品は回転を取るものなので、早く抜けたい
- 中古は例外指定して、高値で放置。中古は利益を取るものなので、コンディションと手を入れた分の価値で待つ
新品で回転、中古で利益。この使い分けをしていたので、必要だったのは「一部の商品を改定の対象から外す」機能だけでした。それ以上の機能は、あっても使いません。
同業に必要だった理由
彼らは違いました。新品せどりで、寝かせもしていて、同じカタログの中で順位を管理する必要がある立場です。
最安値で売ると利益を削ります。かといって放置すると売れません。だから二番手や三番手を維持して、必要以上に下げないヘッジをかけます。
これをやるには、単純な追従では足りません。下限のリミッター、Amazon直販を除外する設定、コンディションを考慮した判定、何番手を維持するかの指定。全部要ります。
だから、比較表で1位を決めることに意味がありません
同じツールが、立場によって「これで十分」にも「論外」にもなります。
先に決めるのは、ツールではありません。自分が価格で戦っているかどうかです。
| 何で売っているか | 価格改定に求めるもの | 必要な機能 |
|---|---|---|
| 状態説明・手を入れた価値・写真や文章 | ほとんど不要 | 例外指定(改定対象から外す) |
| 新品・回転重視 | 最安値に追従できればいい | 最安値追従、下限リミッター |
| 新品・利益重視/寝かせ | 下げすぎないヘッジ | 二番手・三番手の維持、Amazon直販除外、上限下限、コンディション考慮 |
| 中古・状態差で売る | 特定の商品だけ動かさない | 例外指定、コンディション考慮 |
上の2行なら、純正機能か、安いツールで足ります。3行目の立場なら、機能を確認して選ぶ価値があります。
そして自分がどの行にいるかは、ツールを比べても分かりません。何で選ばれているかを先に決めてください。
2024年3月31日に、Amazonは古いAPIを止めました
ここが、この記事でいちばん重要な部分です。
価格改定ツールは、AmazonのAPIを通して価格や在庫のデータを取ります。そのAPIが、入れ替わりました。
Amazonの告知には、こう書かれています。
「Amazon Marketplace Web Service (MWS) will no longer be available after March 31, 2024.」
そして、移行しなかったアプリケーションについては、こうです。「Applications that do not fully migrate will not be able to successfully retrieve data from any sections in MWS beginning April 1, 2024.」
段階的に止められています。2023年8月31日に配送・注文・レポート系、2024年3月31日に商品・出品・在庫・売上を含む残り全部です。
これが意味すること
ツールの側は、新しいAPI(SP-API)へ移行する開発をしなければ、データを取れなくなりました。
費用と手間がかかる作業です。そして、これはツールの利用者が選べることではありません。Amazonの都合で起きて、対応できるかどうかは開発元次第です。
私は別の場所で同じことに当たりました。使っていたWordPressのプラグインが更新されなくなり、Amazonの仕様変更に対応できなくなって、アフィリエイトの仕組みごと動かなくなりました。便利だったものが、ある日そのまま止まります。
だから機能表の〇×を数える前に、そのツールが今も追随しているかを見てください。
確認方法は3つあります
専門知識は要りません。販売ページを見るだけです。
- APIの表記……「MWS」と書いてあるなら、その記載は2024年3月で終わったものです。「SP-API」なら現行です
- 対応OSの表記……PCインストール型の場合。Windows 11が入っていないなら、しばらく更新されていない可能性があります
- 日付の痕跡……利用者数や実績の表記が何年のものか。更新履歴やお知らせがあるか
3つとも、契約前に無料で確認できます。
実例:いちばん安いツールを、この方法で見てみます
確認できた中でいちばん安いのは「自価調」です。月額980円(税別)、年額9,980円(税込)、初期費用なし、14日間の無料試用。PCインストール型です。
2022年に確認したときは月額3,240円だったので、値下がりしています。機能も、値下げの下限設定、ライバルの除外条件、低評価出品者を無視する設定、新品と中古で別条件、カートボックス対応など、必要なものは並んでいます。
安くて、機能も足りている。ここまでは候補になります。
ただし、販売ページにこう書かれています
「当ツールは、AmazonのMWS(マーケットプレイスWebサービス)を使用して価格データ等の取得を行います。」
MWSは、2024年3月31日で終了しています。
あわせて、同じページの記載を挙げておきます。
- 対応OSは「Windows 7 / 8(8.1) / 10」。Windows 11の記載がありません
- 実績の表記が「2020年5月現在、262名以上(旧契約形態も含む)のユーザー様にご利用頂いております。」
- 一方で「2009年に開発してからこれまで何度もAmazonの仕様変更に対応している実績があり」とも書かれています
結論は「使うな」ではありません
ページの記載が古いだけで、ソフト本体はSP-APIへ移行している可能性があります。2009年から続いているツールなので、実績の記述も嘘ではないでしょう。
ただ、ここは推測で判断する場所ではありません。
契約する前に、開発元に直接聞いてください。「SP-APIに移行済みですか」「Windows 11で動きますか」。この2つに明確な回答が返ってくるなら、安さは正当な理由になります。返ってこないなら、月980円は安くありません。
安いものを買うときに確認すべきなのは、安い理由です。
2026年8月時点で確認できた料金
各社の公式ページで、実際に確認できたものだけを並べます。
| ツール | 料金 | 無料期間 | 形態 |
|---|---|---|---|
| 自価調 | 月980円(税別)/年9,980円(税込) | 14日間 | PCインストール |
| 価格改定王 | 年9,800円(銀行振込) | 7日間 | PCインストール |
| セラースケット | 2,980円/5,480円(税込・本体+価格改定500円) | 20日間 | WEB |
| マカド! | 月4,980円(税込) | 登録月と翌月 | WEB |
| プライスター | 月5,280円(税込) | 1ヶ月 | WEB |
1つ補足があります。価格改定王は、2022年の時点では新規申込を停止していました。いまは再開しています。ただし販売ページに、APIの記載も対応OSの記載も、更新日の記載も見当たりませんでした。上の3つの確認方法が、どれも使えない状態です。問い合わせて確かめてください。
確認できなかったツールについて
正直に書きます。2022年にこの記事へ載せていた13社のうち、現在の料金を確認できたのは上の5つだけです。
ARPAcart、Cappy、D-plus、ECザウルス、Mariah、アマストリーム、アマトピア、ウォッチベル。当時の導線から、現在の料金ページにたどり着けませんでした。
サービスが終了したのか、移転したのか、私が見つけられていないだけなのかは分かりません。分からないものを表に入れないことにしました。
以前のこの記事には「調査中」というセルが入った比較表が載っていました。調べていないものを表に入れると、読んだ人はそこも比較したつもりになります。そこは直しました。
もう1つ、料金の並びから見えること
ここは数字そのものより面白い話です。
2022年と2026年で、料金がほとんど動いていません。プライスターは5,280円のまま、マカド!は4,980円のまま、セラースケットも2,980円/5,480円のままです。
同じ期間に、他のツールは上がっています。リサーチツールのERESA PROは月4,980円から5,980円に改定されました。Keepaはユーロ建てなので、円での支払額はさらに動きます。
つまり「価格改定」という機能だけが、値段を上げられていません。
理由は、この記事の最初に戻ります。Amazonが純正で同じことをやり始めているからです。そして機能そのものも、各社で大きくは変わりません。
誰でも提供できるようになった機能は、値段を上げられません。これは価格改定ツールに限った話ではなく、この商売で繰り返し起きている形です。私は店舗せどりでも同じ構造に当たりました。整理はビームせどりで終わったのは何だったのかにあります。
だから、選ぶ基準が変わります
機能で差が付かず、料金も動かないなら、比べるべきは「続くかどうか」です。
APIの入れ替えに追随できる開発体制があるか。4年前に停止していたものが再開していたり、逆に導線ごと消えていたりする世界です。ツールが止まると、止まった日から手作業に戻ります。
払う前に、固定費として計算してください
金額の性質の話です。ツールの利用料は固定費で、1件も売れなくても毎月出ていきます。
必要な月商 =(手元に残したい額 + 月の固定費)÷ 利益率
利益率10%なら、月5,000円の固定費を吸収するだけで月商が5万円分増えます。価格追跡ツールや真贋対策の契約も足すと、必要な月商はさらに動きます。
自分の数字で試せるようにしたものをAmazon刈り取りの損益分岐点を計算した記事に置きました。契約する前に、固定費の欄に入れてみてください。
順番をまとめます
- セラーセントラルの「価格の自動設定」を開く。これで足りるなら、契約は要りません
- 自分が価格で戦っているかを決める。状態説明や手を入れた価値で売っているなら、要るのは例外指定だけです
- 足りないと感じた場面を1つ書き出す。書けないうちは、まだ必要になっていません
- 候補の販売ページで、APIの表記・対応OS・日付の痕跡を見る。ここで落ちるものは落とします
- 無料期間で試す。マカド!は登録月と翌月、プライスターは1ヶ月、セラースケットは20日間、自価調は14日間、価格改定王は7日間
- 固定費として計算に入れる。吸収するのに必要な月商を出してから決めます
3番目を飛ばさないでください。ここだけは、無料期間を使う前にできます。
よくある質問
価格改定ツールは必要ですか
出品数が少ないうちは、要りません。Amazonの純正機能で下限と上限を設定できます。必要になるのは、手で回せない点数になってからです。
結局、いちばんおすすめはどれですか
1つに決められません。私は価格追従しかできないツールで足りていましたが、同業からは「それではダメだ」と言われました。私が価格で戦っていなかったからです。先に決めるのは、ツールではなく自分の立場のほうです。
いちばん安いのはどれですか
確認できた中では自価調(月980円・税別)です。ただし販売ページがMWSを使うと書いたままになっています。MWSは2024年3月31日で終了しているので、契約前に開発元へSP-API対応を確認してください。
PCインストール型とWEB型は、どちらがいいですか
PCインストール型は安く、WEB型は起動していなくても動きます。ただし2026年の論点はそこではありません。どちらの型でも、APIに追随できていなければ止まります。型より先に、そちらを確認してください。
2022年の比較記事に載っていたツールが見つかりません
私も見つけられませんでした。13社のうち、現在の料金を確認できたのは5つです。この分野は入れ替わりがあります。数年前の比較記事は、そのまま信じないでください。この記事も同じです。
Keepaの契約は別に必要ですか
ツールによります。価格改定と商品リサーチは別の機能なので、リサーチ側を別途契約する形になっている場合があります。リサーチ側には無料で使える選択肢もあるので、Amazonの価格推移をKeepa以外で調べる方法を先に見てください。
中古を扱っています。高機能なツールは要りますか
要らない場合があります。中古は状態と付属品で別の商品として動くので、同じカタログでも価格だけで比べられていないことがあります。その場合に必要なのは、特定の商品を改定の対象から外す機能だけです。私は新品を最安値追従、中古を例外指定して高値で放置する、という形で回していました。
最安値-1円で自動改定すれば売れますか
全員が同じことをすると、下限まで一直線に落ちます。そして下限は自分で決めるものです。ツールに任せる前に、いくらまで下げていいのかを先に決めてください。その額は、利益額ではなく資金が止まる日数から逆算します。考え方は利益を拘束日数で割って検算した記事に書きました。
まとめ
- 最初に見るのは料金でも機能でもなく、AmazonのAPI変更に追随しているか
- MWSは2024年3月31日で終了した。移行しなかったツールは、2024年4月1日以降データを取れない
- 確認方法は3つ。販売ページのAPI表記/対応OSにWindows 11があるか/日付の痕跡があるか。全部無料でできます
- Amazonには純正の「価格の自動設定」がある。出品プランと別の利用料の案内は出ていません。まずここを開く
- 確認できた料金(2026年8月)……自価調 月980円(税別)/価格改定王 年9,800円/セラースケット 2,980円・5,480円/マカド! 4,980円/プライスター 5,280円
- いちばん安い自価調は、販売ページがMWSのまま。契約前に開発元へSP-API対応を確認すること
- 13社のうち、現在の料金を確認できたのは5つだけ。確認できなかったものは表に入れていません
- 4年間ほぼ値上げされていない。Amazonが純正で同じことを始め、機能でも差が付かなくなった領域だから
- 必要な機能は、何を売っているかで決まる。価格で戦っていないなら、要るのは例外指定だけ。私は価格追従しかできないツールで足りていました
- 同じツールが、立場によって「十分」にも「論外」にもなる。だから比較表で1位を決めることに意味がない
- 新品で回転、中古で利益。新品は最安値追従、中古は例外指定して高値で放置、という使い分けができます
- だから選ぶ基準は「続くかどうか」。止まった日から手作業に戻ります
- ツールの利用料は固定費。利益率10%なら、月5,000円を吸収するのに月商が5万円分増える
比較表を作ると、〇の数が多いものが良く見えます。ただ、〇の数は動いている前提の話です。
2024年に、動いている前提のほうが崩れました。そして崩れたことは、比較表には出てきません。販売ページに1行、古いAPIの名前が残っているだけです。
Sources:Amazon「Important: Amazon Marketplace Web Service (MWS) End-of-Life Dates」(MWSの提供終了日)/Amazon出品者向け告知「価格の自動設定を使用して、出品価格の下限と上限を一括で設定できるようになりました」/各社公式ページ(自価調・価格改定王・セラースケット・マカド!・プライスターの料金と無料期間、2026年8月確認)

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