「eBay 儲からない」は本当？最新データと専門家が語る厳しい現実と逆転戦略

1. 「eBayは儲からない」と言われる9つの深刻な理由と2025年の実態

「eBayはもはや儲からない」――この言葉の裏には、一体どのような厳しい現実が横たわっているのでしょうか？ かつて多くの成功者を生み出したこのプラットフォームで、なぜ今、これほどまでに収益化が困難になったのか。ここでは、2025年現在のeBay輸出を取り巻く9つの深刻な理由を、具体的な事例やデータと共に深掘りし、その実態を明らかにしていきます。これらの理由を知ることは、あなたがeBayで成功するための第一歩となるはずです。

1-1. 【理由1】日本人セラー激増と終わりなき価格競争：中古カメラ・ホビー市場の飽和と現状

かつてeBay輸出の主力商品として隆盛を誇った中古カメラや日本のアニメ・ゲーム関連ホビーグッズ。これらは高品質な日本製ということで海外バイヤーからの絶大な人気があり、参入障壁も比較的低かったため、多くの日本人セラーにとって「金のなる木」でした。しかし、2025年現在、その状況は一変しています。

1-1-1. 事例：月利100万円から赤字転落したAさんのケース

「2018年頃は、フィルムカメラの輸出で面白いように稼げました」と語るのは、都内で中古カメラ店も経営していたAさん。当時はeBayでの月利が100万円を超えることも珍しくなかったと言います。「仕入れも比較的簡単で、出品すればすぐに高値で売れていく。まさにボーナスステージでした」。

しかし、状況が暗転し始めたのは2020年頃から。副業ブームやYouTubeなどでの情報発信により、eBay輸出に参入する日本人セラーが急増。特にAさんの主戦場であった中古カメラ市場は、あっという間にライバルだらけになりました。「同じ商品に何十人もの日本人セラーが出品し、1ドルでも安くしようと価格競争が始まる。利益率はどんどん下がり、以前は1台で数万円の利益が出たカメラも、今では数千円、下手をすれば数百円の利益しか出ない。梱包や発送の手間を考えると、もはやボランティアに近い状態です」。

Aさんは2024年末、ついにeBay輸出事業からの撤退を決意。「人件費や固定費を考えると、完全に赤字。あの頃の栄光が嘘のようです」と肩を落とします。彼のケースは、特定の人気カテゴリーにおける競争激化の残酷な現実を物語っています。

1-1-2. データで見る日本人アクティブセラー数の推移と人気カテゴリの競争激化（2023年～2025年予測）

正確な公式統計は存在しませんが、各種調査やeBay関連サービスの利用者数から推測すると、2020年から2023年にかけて、eBayで活動する日本人セラーの数は推定で2倍以上に増加したと見られています。特に円安が進行した2022年以降は、さらにその勢いが増しました。そして2025年現在も、その数は高止まり、あるいは微増傾向にあると予測されます。

eBayの内部ツールであるTerapeakなどで特定の商品を検索すれば、その競争の激しさは一目瞭然です。例えば、人気の一眼レフカメラ「Nikon F3」やトレーディングカード「ポケモンカード リザードン 初期版」といったキーワードで検索すると、日本人と思われるセラーからの出品がズラリと並び、価格も数年前と比較して明らかに下落、あるいは僅差での競争が繰り広げられています。

こうした状況は、特に「ジャパン・ヴィンテージ」や「アニメ・ゲーム関連グッズ」といった、かつて日本人セラーが独壇場だったカテゴリーで顕著です。新規参入者が同じような商品を同じような価格帯で出品するため、必然的に価格競争が起こり、個々のセラーの利益が圧迫されるという構造が固定化してしまっているのです。

1-2. 【理由2】恐ろしいほど高い？eBay手数料の構造と2025年最新料率、利益を圧迫する隠れコスト

eBayで商品を販売する上で避けて通れないのが、各種手数料です。これらの手数料は年々複雑化し、料率も改定される傾向にあり、セラーの利益を確実に圧迫しています。「売上の15%～20%が手数料で消える」という声も珍しくありません。

1-2-1. 基本手数料（落札手数料、ストア購読料）の詳細とカテゴリー別比較

まず基本となるのが「落札手数料（Final Value Fee）」です。これは商品が売れた際に、商品代金＋送料の合計に対してかかる手数料で、2025年現在、多くのカテゴリーで12%～15%程度が一般的です。例えば、カメラカテゴリーでは約12.9%（＋$0.30/注文）、ファッションカテゴリーでは約15%（＋$0.30/注文）といった具合に、カテゴリーごとに細かく料率が設定されています。

さらに、ある程度の数の商品を出品する場合、多くのセラーが「eBayストア」を購読します。ストアにはベーシック、プレミアム、アンカーといったプランがあり、月額のストア購読料（例：ベーシックストアで月額約$22～$28程度）を支払うことで、無料出品枠が増えたり、落札手数料が若干割引されたりするメリットがあります。しかし、これも固定費としてのしかかってきます。

1-2-2. 海外決済手数料（旧PayPal手数料に代わるManaged Paymentsの手数料構造）

かつてeBayの主要な決済手段だったPayPalは、eBay Managed Payments（eBayペイメントサービス）に移行しました。これにより、売上金はeBayを通じて直接セラーの銀行口座に振り込まれるようになりましたが、決済に関する手数料がなくなったわけではありません。

2025年現在、Managed Paymentsにおける決済手数料は、注文総額に対して約2.9%～4.4% ＋ 固定手数料（通貨によって異なる、例えば米ドルなら$0.30）程度が一般的です。この手数料は、落札手数料とは別にかかるため、注意が必要です。

1-2-3. 意外な落とし穴：広告手数料（Promoted Listings Standard/Advanced）と為替手数料

露出を増やし販売機会を拡大するために、多くのセラーが利用するのが「Promoted Listings（プロモーテッド・リスティングス）」というeBay内の広告サービスです。Standardは売れた場合にのみ広告料（売上に対して数%～十数%をセラーが設定）が発生する成功報酬型ですが、Advancedはクリック課金型（PPC）です。特にStandardは手軽に利用できる反面、設定した料率がそのまま利益を圧迫します。仮に落札手数料13%、決済手数料3%、広告料10%とすると、これだけで売上の26%が消える計算になります。

また、日本在住のセラーが米ドル建てで売上を受け取り、日本円に換金する際には「為替手数料」も発生します。eBayが適用する両替レートには、この手数料が含まれており、市場レートよりも不利なレートで計算されることが一般的です。これも見えにくいコストの一つです。

1-2-4. 具体例：100ドルの商品を売った場合の手残りシミュレーション（2025年版）

仮にあなたが100ドルの商品を販売し、送料が20ドルだったとします。合計120ドル。

• 落札手数料：120ドル × 13% = 15.6ドル (＋0.3ドル) = 15.9ドル
• 決済手数料：120ドル × 3.5% (平均として) ＋ 0.3ドル = 4.5ドル
• 合計手数料：15.9ドル ＋ 4.5ドル = 20.4ドル この時点で、120ドルの売上に対して、手元に残るのは99.6ドルです。ここからさらに仕入れコスト、梱包材費、そして国際送料（これはバイヤー負担の場合とセラー負担の場合がある）を差し引く必要があります。もしPromoted Listings Standardを10%で設定していたら、さらに12ドルが引かれ、利益は極めて小さくなることがお分かりいただけるでしょう。

1-3. 【理由3】日本郵便EMSだけでは戦えない！国際送料の高騰と複雑化する配送オプション

かつて多くの日本人セラーが頼りにしていた日本郵便の国際郵便サービス（特にEMS）は、パンデミック以降、大幅なサービス変更や料金改定、引受停止措置などが頻発し、その利便性とコストメリットは大きく揺らぎました。2025年現在も、その影響は続いており、送料問題はセラーの頭を悩ませる大きな要因です。

1-3-1. 主要配送キャリア（日本郵便、DHL、FedEx、UPS）の2025年最新料金比較とサービスレベル

2025年現在、日本人セラーが利用できる主な国際配送キャリアは、日本郵便（EMS、国際eパケット、書留付き小形包装物など）、そしてクーリエ便であるDHL、FedEx、UPSなどです。

日本郵便のEMSは、依然として多くの国へ配送可能ですが、料金は数年前と比較して大幅に上昇しました。また、ウクライナ情勢などの影響で、一部地域への配送遅延や引受停止も散発的に発生しています。

一方、DHL、FedEx、UPSといったクーリエ便は、スピーディーで確実な配送が魅力ですが、料金は日本郵便のEMSと比較しても高額になるケースが多く、特に個人や小規模セラーにとっては利用のハードルが高いのが現状です。eBayはこれらのクーリエ便と法人契約を結び、割引料金を提供していますが、それでもコスト負担は小さくありません。

1-3-2. 燃油サーチャージ、緊急事態追加金…予測不能な追加コストの恐怖

国際送料を計算する上で見逃せないのが、「燃油サーチャージ（Fuel Surcharge）」と、パンデミック以降に常態化した「緊急事態追加金（Emergency Situation Surcharge）」などです。これらは航空燃料価格や国際情勢に応じて毎月のように変動し、時には数ヶ月で10%以上も送料が上乗せされることもあります。

これらの追加料金は非常に予測が難しく、出品時に正確な送料を見積もることが困難なため、セラーが差額を負担するリスクが常に付きまといます。

1-3-3. 小型包装物・eパケットライト廃止後の代替手段とセラーの苦悩

かつて軽量・小型の商品を安価に発送できた「書状（SAL便含む）扱いの小形包装物」や「国際eパケットライト」は、多くの国で引受が停止されたままか、サービス自体が廃止されました。これにより、低価格帯の商品（例：トレーディングカード1枚、小さなアクセサリーなど）を低コストで追跡付きで送る手段が実質的になくなり、これらの商品を主力としていたセラーは大きな打撃を受けました。

代替手段としては、追跡なしの航空便書状や、割高なEMSやクーリエ便を利用せざるを得ず、利益を出すことが極めて困難になっています。

1-3-4. 遠隔地手数料とサイズ重量オーバーによるペナルティ事例

クーリエ便を利用する際に注意が必要なのが「遠隔地手数料（Remote Area Surcharge）」です。これは配送先の住所が、DHLやFedExなどが定める「遠隔地」に該当する場合に追加で請求される料金で、数千円から1万円以上かかることもあります。バイヤーの住所が遠隔地かどうかは事前には分かりにくく、後から高額な請求が来て驚くケースが後を絶ちません。

また、商品のサイズや重量が規定を超過した場合にも、高額な追加料金やペナルティが発生します。梱包後のサイズを正確に把握し、各キャリアの規定を確認することが不可欠ですが、これを怠ると利益が吹き飛ぶどころか赤字になるリスクもあります。

1-4. 【理由4】円安でも儲からない？為替変動リスクと利益確定の難しさ

一般的に「円安は輸出に有利」と言われます。確かに、同じ100ドルの商品が売れた場合、1ドル100円なら1万円の売上ですが、1ドル150円なら1万5千円の売上となり、円ベースでの手取りは増えます。しかし、2025年現在のeBayセラーは、「円安なのに思ったように儲からない」あるいは「為替変動が激しすぎて利益が読めない」という悩みを抱えています。

1-4-1. 2024年～2025年の急激な為替変動がeBayセラーに与えた影響

2022年から2024年にかけて、米ドル/円相場は歴史的な円安水準となりました。一見すると輸出セラーには追い風のはずですが、実際には複雑な影響が出ています。

まず、仕入れコストの上昇です。輸入品や原材料価格が高騰し、国内での仕入れ値が上がったため、円安のメリットが相殺されてしまうケースがあります。また、国際送料も実質的に値上がりします（海外キャリアの料金がドル建ての場合など）。

さらに問題なのは、為替レートの「急変動」です。2024年から2025年初頭にかけても、市場介入の思惑や各国の金融政策発表により、1日のうちに数円単位で為替が動くことも珍しくありませんでした。出品時の想定レートと、売上金が日本円に振り込まれる際のレートが大きく異なると、期待していた利益が得られない、あるいは損失を被るリスクすらあります。特に薄利多売のビジネスモデルの場合、この為替リスクは死活問題となり得ます。

1-4-2. 為替予約や外貨口座活用のメリット・デメリット

為替リスクをヘッジする方法として、銀行などで「為替予約」を行う手段があります。これは将来の特定日に特定の為替レートで外貨を円に交換する契約を結ぶものですが、ある程度の取引量がないと利用しにくい、手数料がかかる、予約レートが必ずしも有利とは限らないといったデメリットがあります。

また、海外の決済代行サービスが提供する外貨口座（例えば米ドル口座）を利用し、売上金を外貨のまま保持しておき、有利なタイミングで円転するという方法もあります。しかし、これも口座維持手数料がかかったり、円転のタイミングを見極めるのが難しかったりします。多くの個人セラーにとっては、為替変動リスクを完全にコントロールすることは依然として困難な課題です。

1-5. 【理由5】頻繁なポリシー変更と突然のアカウント停止リスク：eBayの理不尽とどう向き合うか

eBayという巨大なプラットフォーム上でビジネスを行う以上、そのルール（ポリシー）に従うことは絶対です。しかし、そのポリシーはeBay側の都合で頻繁に変更され、時にはセラーにとって不利な内容となることも少なくありません。そして最も恐ろしいのが、何の前触れもなく訪れる「アカウントサスペンド（利用停止）」のリスクです。

1-5-1. 2025年までに変更された主要ポリシーとその影響（例：評価システム、返品ポリシー）

近年、eBayはバイヤー保護を強化する傾向にあり、それに伴いセラーへの要求も厳しくなっています。例えば、商品の状態に関するディスクリプションの正確性、迅速な発送、返品要求への柔軟な対応などがより一層求められるようになりました。

2023年から2024年にかけても、セラー評価システム（Seller Level）の基準見直しや、特定のカテゴリーにおける返品ポリシーの変更（例：より長い返品受付期間の義務化）などが行われました。これらの変更に対応できないセラーは、検索順位の低下や販売制限といったペナルティを受ける可能性があります。

1-5-2. アカウントサスペンドの種類（MC011、MC999など）と具体的な回避策・解除交渉術

eBayのアカウントサスペンドには様々な種類があり、その中でも特にセラーを震え上がらせるのが、理由が明確にされないまま一方的に通告される「MC011」や「MC999」といったコード名のサスペンドです。これらは、高リスクと判断されたアカウントや、ポリシー違反の疑いがある場合に発動されることが多いと言われています。

一度サスペンドされると、出品中の商品は全て取り消され、売上金の支払いも保留されるなど、ビジネスは完全に停止します。サスペンドを解除するためには、eBayに対して身分証明書や仕入れ証明、事業計画などを提出し、英語での煩雑な交渉が必要となりますが、必ずしも解除される保証はなく、数週間から数ヶ月かかることもあります。最悪の場合、永久にアカウントが利用できなくなるケースも後を絶ちません。

回避策としては、eBayのポリシーを遵守し、常に健全なアカウント状態を保つことですが、それでも「なぜ自分のアカウントが？」と理不尽に感じるサスペンド事例は、2025年現在も報告されています。

1-5-3. 「Below Standard」セラーの末路：売上激減とアカウント閉鎖の危機

eBayにはセラーのパフォーマンスを評価する「Seller Level」という指標があり、「Top Rated」「Above Standard」「Below Standard」の3段階に分類されます。このうち最も低い「Below Standard」に一度でも落ちてしまうと、検索結果での表示順位が大幅に下がる、出品数に厳しい制限が課される、落札手数料が割増になるなど、致命的なペナルティが科せられます。

Below Standardになる主な原因は、未解決ケースの多発、発送遅延、取引キャンセル率の高さなどです。一度この状態に陥ると、売上が激減し、そこから抜け出すのは非常に困難です。長期間改善が見られない場合、アカウントが永久に閉鎖されるリスクも高まります。

1-6. 【理由6】外国人バイヤーとのコミュニケーション地獄：言語の壁、文化摩擦、理不尽なクレーム事例集

eBayは世界中の人々が利用するプラットフォームであり、取引相手は基本的に外国人です。そのため、言語の壁や文化・商習慣の違いから生じるコミュニケーション上のトラブルは日常茶飯事と言っても過言ではありません。これらが積み重なると、セラーにとって大きな精神的負担となり、「儲からない」以前に「もう続けられない」と感じる原因にもなります。

1-6-1. 翻訳ツールでは対応しきれないニュアンスと誤解が生むトラブル

Google翻訳などの機械翻訳ツールは非常に進化しましたが、それでも微妙なニュアンスや専門用語、スラングなどを正確に翻訳するには限界があります。丁寧なつもりの表現が相手に誤解されたり、文化的な背景を理解しないまま直訳したことで失礼な印象を与えてしまったりするケースは少なくありません。

例えば、商品の僅かな傷について「It’s a small scratch, but no problem for use.（小さな傷ですが使用には問題ありません）」と伝えたつもりが、バイヤーには「傷があることを軽視している」と受け取られ、クレームに発展することがあります。

1-6-2. 「商品が届かない」「説明と違う」頻発するクレームとその背景

eBayで最も多いクレームの一つが「商品未着（Item Not Received）」と「商品が説明と異なる（Item Not As Described）」です。前者は、国際配送の遅延や紛失、あるいは追跡情報が不十分な場合に発生しやすく、セラーは返金対応を迫られることがあります。

後者は、商品の状態に関する認識の違いや、写真と実物のイメージの差異、あるいはバイヤー側の期待値が高すぎることなどが原因で起こります。特に中古品の場合、傷や汚れの程度に対する感覚は国や個人によって大きく異なるため、トラブルになりやすい傾向があります。中には、商品を受け取った後に意図的にクレームをつけ、一部返金や値引きを要求してくる悪質なバイヤーも存在します。

1-6-3. 返品・返金要求への対応とネガティブフィードバックの恐怖

バイヤーからクレームや返品要求があった場合、セラーは迅速かつ誠実に対応する必要があります。しかし、その要求が理不尽だと感じても、eBayのシステムはバイヤー保護に傾いているため、セラーが不利な状況に立たされることが少なくありません。高額な返品送料を負担させられたり、使用済みの商品が返品されたりするケースもあります。

そして、バイヤーが不満を持った場合に残される「ネガティブフィードバック（Negative Feedback）」は、セラーの評価を著しく低下させ、今後の売上に深刻な影響を与えます。たった一つのネガティブフィードバックが、アカウントの健全性を脅かすことすらあるのです。

1-7. 【理由7】情報過多と「儲かる」情報教材の罠：再現性の低いノウハウと時代遅れの戦略

インターネット上には、eBay輸出に関する情報が溢れかえっています。しかし、その中には信憑性の低い情報や、すでに通用しなくなった古いノウハウ、あるいは高額なだけで中身の薄い情報教材も多く紛れ込んでおり、これらが「儲からない」状況を助長している側面もあります。

1-7-1. 2010年代の成功法則は2025年では通用しない理由

かつてeBay輸出で成功したとされる手法、例えば「とにかく大量出品」「無在庫販売でノーリスク」「特定のリサーチツールを使えばお宝商品がザクザク」といったものは、2025年現在の市場環境ではほとんど通用しません。

前述の通り、競争は激化し、eBayのポリシーも厳格化しています。当時有効だった戦略は、ライバルに模倣され尽くし、あるいはプラットフォーム側から規制されるようになりました。古い成功体験にしがみついていると、時代の変化に取り残され、結果的に「儲からない」という状況に陥ってしまいます。

1-7-2. 高額塾・コンサルの実態と本当に価値のある情報源の見極め方

「誰でも簡単に月収100万円！」「最新の裏技を教えます！」といった甘い言葉で勧誘する高額なeBay輸出塾やコンサルティングも後を絶ちません。もちろん、中には本当に価値のある情報やサポートを提供しているものもありますが、残念ながら、受講料に見合わない内容だったり、再現性の低いノウハウしか教えなかったりするケースも少なくありません。

特に初心者は、「何から学べば良いか分からない」という不安から、こうした情報商材に安易に手を出してしまいがちです。しかし、高額な費用を支払ったにもかかわらず結果が出ず、借金だけが残ったという悲惨な話も耳にします。本当に価値のある情報源は、誇大な広告ではなく、実績や具体的な事例、そして透明性の高い情報開示を行っているものです。それらを見極めるリテラシーが、今の時代には不可欠です。

1-8. 【理由8】在庫管理と資金繰りのプレッシャー：無在庫販売のリスクと有在庫販売の重荷

eBayで商品を販売するスタイルは、大きく「無在庫販売」と「有在庫販売」に分けられますが、2025年現在、どちらのスタイルもそれぞれに大きな課題とリスクを抱えており、資金繰りのプレッシャーが「儲からない」要因となり得ます。

1-8-1. 無在庫販売規制強化の現状とペナルティ

無在庫販売とは、手元に在庫を持たず、注文が入ってから商品を仕入れて発送する手法です。初期投資が少なく済むため、特に初心者や副業セラーに人気がありましたが、eBayは近年、この無在庫販売に対する規制を強化しています。

主な理由としては、在庫切れによるキャンセルや発送遅延が多発し、バイヤー体験を損なうためです。eBayのポリシーでは、ドロップシッピング（サプライヤーから直接バイヤーに発送させる形態）は一定の条件下でのみ許可されていますが、多くの無在庫セラーが行っている「複数の小売サイトから商品を調達して転売する」という形態は、規約違反とみなされるリスクが高まっています。

規約違反が発覚した場合、出品制限、アカウントサスペンドといった厳しいペナルティが科せられます。また、仕入れ先の在庫状況や価格変動を常に把握する必要があり、その管理コストも無視できません。

1-8-2. 有在庫販売におけるキャッシュフロー問題と不良在庫化リスク

一方、有在庫販売は、商品を事前に仕入れて手元に保管し、注文後に発送するスタイルです。品質管理や迅速な発送が可能というメリットがありますが、初期投資としてまとまった仕入れ資金が必要となります。

問題は、仕入れた商品が計画通りに売れなかった場合です。売れない商品はキャッシュフローを圧迫し、保管スペースも取ります。長期間売れ残ると、商品の価値が下がり、最終的には仕入れ値を下回る価格で損切りせざるを得なくなる「不良在庫化」のリスクが常に伴います。

特に高額な商品を扱っている場合や、流行り廃りの早い商品を扱っている場合は、このキャッシュフロー問題と不良在庫化リスクが経営を直撃し、「儲かっているはずなのに手元にお金がない」という状況や、最悪の場合は資金ショートを引き起こす可能性もあります。

1-9. 【理由9】見落としがちな税金と法務：確定申告、インボイス制度、輸出規制と知的財産権

eBay輸出も事業である以上、税金や法律に関する知識は不可欠です。しかし、これらの複雑で面倒な側面を軽視したり、知らなかったりすることで、後々大きなトラブルに発展し、結果的に「儲けが吹き飛んだ」あるいは「事業継続が困難になった」というケースは少なくありません。

1-9-1. 副業でも必須！eBay輸出の確定申告と経費計上のポイント（2025年版）

eBay輸出で得た所得は、会社員の方の副業であっても、一定額を超えれば原則として確定申告が必要です。申告を怠れば、追徴課税や延滞税といったペナルティが科される可能性があります。

経費として計上できるもの（仕入れ費用、eBay手数料、送料、梱包材費、ツール利用料など）を正確に把握し、帳簿や領収書をきちんと管理することが重要ですが、国際取引が絡むため、国内ビジネスよりも経理処理が複雑になりがちです。特に2023年10月から始まったインボイス制度（適格請求書等保存方式）は、国内仕入れに関する消費税の取り扱いに影響を与えるため、輸出事業者も無関係ではありません。

1-9-2. 消費税還付の仕組みと注意点

輸出取引は、日本の消費税法上、消費税が免除される「輸出免税」の対象となります。そのため、課税事業者は、国内で商品を仕入れた際に支払った消費税について、確定申告を通じて還付を受けることができます。これは輸出セラーにとって大きなメリットですが、還付を受けるためには、輸出許可証や輸出の事実を証明する書類（インボイス、配送伝票など）を適切に保存・管理し、正確な申告を行う必要があります。手続きが煩雑で、税務署からの問い合わせに対応する必要が生じることもあります。

1-9-3. 輸出禁止・規制品リストと該非判定の重要性（ワシントン条約、PSEマークなど）

日本から海外へ輸出する際には、様々な法律や条約による規制があります。例えば、ワシントン条約で保護されている動植物やその製品（象牙、特定の爬虫類皮革など）、武器や麻薬はもちろんのこと、国によっては食品、化粧品、バッテリー（リチウムイオン電池など）の輸出にも厳しい制限が設けられています。

また、電気用品安全法におけるPSEマークのように、日本国内での販売には問題なくても、輸出先の国で特定の認証やマークが要求される場合もあります。これらの規制を知らずに輸出しようとすると、税関で没収されたり、返送されたりするだけでなく、罰金や処罰の対象となる可能性もあります。自身が扱う商品が輸出規制に該当しないか（該非判定）を事前に確認することは、セラーの責務です。

1-9-4. 偽ブランド品販売のリスクと真贋調査の重要性

eBayでは、偽ブランド品（模倣品・コピー品）の販売は固く禁じられています。意図的に販売するのは論外ですが、中古品を扱う場合など、知らずに偽物を仕入れて販売してしまうリスクもゼロではありません。

万が一、偽ブランド品を販売してしまうと、eBayからのアカウント永久停止はもちろんのこと、商標権侵害としてブランドホルダーから法的措置を取られたり、購入者から損害賠償を請求されたりする可能性があります。これはビジネスの終焉を意味するだけでなく、社会的な信用も失いかねない重大な問題です。信頼できる仕入れルートの確保と、真贋を見極める知識や鑑定体制の構築が不可欠です。

これらの9つの理由は、それぞれが複雑に絡み合い、2025年現在のeBay輸出における「儲からない」という厳しい現実を形成しています。しかし、これらの課題を正確に認識し、理解することこそが、次の一手を考え、逆境を乗り越えるためのスタートラインとなるのです。次の章では、これらの困難を踏まえた上で、それでもeBayで成功を掴むための具体的な戦略について掘り下げていきます。