「関税って難しい?」
「必ず払わないといけないの?」
「どうやって計算すればいい?」
海外から商品を購入すると、個人でも関税を払わなければなりません。インターネットで海外からの買い物が簡単になった反面、関税の存在を知らないまま輸入している方も多くいます。
購入した金額によっては、想定外の出費で困ってしまうことでしょう。
関税というと難しく感じるかもしれません。しかし、順を追って考えれば、関税の考え方はシンプルです。
いくらから支払うことになるのかを知っておけば、購入量や金額を調整し、関税を無料にできることも。
そこでこの記事では、海外輸入を始めたばかりの方でも関税の仕組みが分かるように、次の内容を紹介していきます。
- 関税の概要
- 支払いの対象となる金額と計算方法
- 輸入金額によって決まる3段階の関税
- 個人輸入と商業輸入の違い
- 一般税率の基準
- 一般税率の計算方法
- 関税について知っておきたいポイント
- 関税の他に支払うお金
後から関税を請求されて「お金がなくて払えない!」と困らないよう、こちらの記事をぜひ参考にしてみてください。
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関税は誰がどこに払う?
海外から購入した商品には、関税(税金)がかかります。
関税を払うのは購入者側。個人が日用品を買った場合でも、関税を払わなければなりません。
関税を集めているのは、日本の税関です。しかし通関業者が関税を立て替えてくれることがよくあります。
そのため、関税を代わりに払ってくれた通関業者から、購入者側に請求が届く流れが一般的です。
通関業者とは、日本に持ち込まれた商品について、購入者の代わりに手続きを進めてくれる会社のこと。配送業者や倉庫業者のことを指しています。
関税の対象となる金額と、いくら関税がかかるか計算する方法
関税の対象となる金額(課税標準額)は、次の3つの費用の合計で決まります。
- 商品代金(Cost)
- 保険料(Insurance)
- 送料(Freight)
これらの3つの金額から頭文字をとって、CIF価格とも呼ばれています。
この記事では課税標準額という言葉が何度も登場するので、ぜひここで覚えておいてください。
個人輸入の場合には、保険料はかからないケースも多いです。
「課税標準額×税率」で、関税として支払うべき金額を計算できます。
例えば、以下の内容で海外から輸入したとしましょう。
- 商品代金(Cost):45万円
- 保険料(Insurance):3万円
- 送料(Freight):2万円
3つの数字を合計した結果である課税標準額50万円に税率を掛け算します。
税率が5%の商品を購入したとしたら、請求される関税は2万5,000円です。
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関税はいくらから?関税は課税標準額によって3段階で決まる
輸入にかかった3つの価格の合計した課税標準額(CIF価格)が安ければ、関税を支払わなくてもいい場合があります。
逆に課税標準額が高いと関税の税率がアップしてしまうことも。
関税がいくらから発生するのか、次の3つのケースで解説していきます。
- 課税標準額が低ければ、関税の支払いはなし
- 20万円(33万3,333円)までの関税は簡易税率で安くなる
- 20万円(33万3,333円)以上の輸入では一般税率が適用される
それぞれ確認していきましょう。
1.課税標準額が低ければ、関税の支払いはなし
課税標準額が低ければ、関税の支払いはありません。関税が無料になるケースを「免税」といいます。
免税の対象となる課税標準額の基準は、次の通り。
- 商業輸入:課税標準額が1万円未満
- 個人輸入:課税標準額が1万6,666円未満(商業輸入の60%の金額)
個人で海外から仕入れる金額が1万6,700円だった場合、課税標準額が10円安くなるだけで関税を節約できるということです。
2.20万円(33万3,333円)までの関税は簡易税率で安くなる
簡易税率で計算されると、関税が少し安くなる可能性があります。
- 商業輸入:課税標準額が20万円未満
- 個人輸入:課税標準額が33万3,333円未満(商業輸入の60%の金額)
少額輸入貨物という扱いになり、本格的な貿易ではないと判断されるためです。
簡易税率が適用される品目は次の7つ。
(引用:税関「少額輸入貨物の簡易税率」)
ただしこの7品目に該当しても、次の商品だけは簡易税率になりません。
- 米などの穀物とその調製品
- ミルク、クリームなどとその調整品
- ハムや牛肉缶詰などの食肉調製品
- たばこ、精製塩
- 旅行用具、ハンドバッグなどの革製品
- ニット製衣類
- 履物
- 身辺用模造細貨類(卑金属製のものを除く)
(引用:税関「少額輸入貨物の簡易税率」)
簡易税率で関税の節約を狙って輸入する場合は、金額だけでなく品目にも注目しましょう。
3.20万円(33万3,333円)以上の輸入では一般税率が適用される
課税標準額が増えると、簡易税率ではなく一般税率が適用されます。
品目によっては30%と、高い税率が発生するので注意しましょう。
一般税率が適用される課税標準額の基準は次の通りです。
- 商業輸入:課税標準額が20万円以上
- 個人輸入:課税標準額が33万3,333円以上(商業輸入の60%の金額)
税率の目安は税関の「1204 主な商品の関税率の目安(カスタムスアンサー)」から確認できます。
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個人輸入と商業輸入の見分け方
個人輸入と商業輸入では、関税の判断基準となる課税標準額に違いがあります。個人輸入のほうが、免税や簡易税率が適用される金額の範囲が広いことが特徴です。
個人輸入と商業輸入を見分けるポイントは、次の考え方です。
- 自分で使うための輸入:個人輸入
- 販売することが目的の輸入:商業輸入
逆にいえば、個人で購入したものでもせどりで販売することを予定していれば、商業輸入として扱われるということです。
個人輸入か商業輸入かの最終的な判断は税関が行います。税関の明確な判断基準は公表されていません。
一般税率がいくらかかるか決まる基準
簡易税率と比べると、一般税率が決まる基準はやや複雑。同じ商品でも、原産国や輸入の相手国によって税率が変わるためです。
こちらでは、一般税率が決まる基準を解説していきます。
- 一般税率を決める基準は複数ある
- 税率を決める優先順位
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.一般税率を決める基準は複数ある
一般税率では、同じ商品でも条件によって税率が変わります。一般税率が決まる主な基準は次の通りです。
- 一般税率
- 開発途上国からの輸入で適用される税率(特別恩恵税率)
- 商品の原産国によって変わる税率
- 世界の経済状況によって都度修正される税率(暫定税率)
- 輸入の相手国が加盟している協定によって変わる税率
税率に影響を与える協定は、WTO(世界貿易機関)やEPA(経済連携協定)などです。
2.税率を決める優先順位
いくつかある税率の中から、どの基準をもとに関税を決めるかは、状況によって異なります。
商品の原産国を基準にして、次の順番でチェックし優先順位が決まります。
- 後発開発途上国か?(開発途上国の中でも特に開発に遅れがある国)
- EPAを締結しているか?
- 開発途上国か?
- WTOに加盟しているか?
1番から4番までチェックした結果、一般税率が適用される優先順位は次のように整理されます。
- 特別恩恵税率
- EPA税率
- 一般特恵税率
- WTO税率
- 暫定税率
- 基本税率
1番安い条件が適用されるわけではなく、商品の原産国の状況によって税率が変わるということです。
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一般税率で関税がいくらかかるか計算する手順3ステップ
一般税率で関税がいくらかかるのかは、次のステップでざっくりと導けます。
- 商品の原産国を知る
- 商品を品目で分類する
- 導き出された税率を課税標準額に掛ける
詳しく解説していきます。
税関側が商品を調べて税率を決めてくれるので、自分で関税を計算したり申告したりする必要はありません。
しかし、関税がいくら程度かかるのか知っておいたほうが、せどりの原価率を知るのに役立ちます。
1.商品の原産国を知る
まずは商品の原産国を調べます。
輸入国が原産国であるとは限りません。A国で作った商品をB国が販売しているというケースが考えられるからです。
原産国が分かったら、どのような基準の税率が適用されるのか確かめます。
- 後発開発途上国か?(開発途上国の中でも特に開発に遅れがある国)
- EPAを締結しているか?
- 開発途上国か?
- WTOに加盟しているか?
購入を予定している商品の説明をよく見て、原産国を確認してください。
2.商品を品目で分類する
関税の税率を決めるため、商品が品目というジャンルで分けられています。
商品がどの品目に該当するのか調べましょう。
品目の分け方は税関の「輸入貨物の品目分類事例」で解説されています。
そして「輸入統計品目表(実行関税率表)」から、品目ごとの正しい税率を探しましょう。
3.導き出された税率を課税標準額に掛ける
明らかになった税率を課税標準額に掛けた答えが、関税の支払い金額です。
の計算式で関税を計算できます。
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関税について知っておきたい4つのポイント
関税について知っておきたいポイントを紹介していきます。
- 関税がかからない品目がある
- 関税がいくらか正確に知るための制度
- 税関で止まり輸入できない商品もある
- 「アンダーバリュー」は不正行為
こちらでポイントを把握し、関税に対する認識間違いをなくしておきましょう。
1.関税がかからない品目がある
関税は全ての商品にかかるわけではありません。
特別に関税が免除される無税品という扱いがあるのです。
例えば、次のような品目で関税が無料になります。
- 羊毛
- 写真用フィルム
- ゴムタイヤ
全体の品目数の約35%と、無税品は意外と多く存在します。
2.関税がいくらか正確に知るための制度
商品を輸入する前に関税の解釈を教えてもらえる、事前教示制度があります。
事前教示制度で次のような内容が分かります。
- 商品の税率
- 商品に対して適用される法令など
- 原産地の考え方
- 減税・免税の判断
事前教示制度で判断された内容は、その後の通関手続きで尊重してもらえる場合もあります。
関税について分からないことがあったり、詳しい税率を知りたいと考えていたりする方は、ぜひ制度を活用しましょう。
3.税関で止まり輸入できない商品もある
一部の商品は、税関が関税を決める段階で、輸入不可と判断されることがあります。
日本や輸入相手国の法令で輸出入を禁じられていたり、ワシントン条約の保護下にある商品があったりするためです。
犯罪に関わっていないものや、個人から送ってもらったものでも税関のチェックに引っ掛かれば輸入できません。
輸入が禁止されているジャンルの例は、税関の「輸出入禁止・規制品目」からご確認ください。
4.「アンダーバリュー」は不正行為
アンダーバリューとは、高額商品であるにも関わらず、安い金額で申告する不正行為のことです。
課税標準額が低いと、免税や簡易税率が適用され、本来支払うべき関税の脱税になってしまいます。
販売者が「関税が安くなるように」と気を利かせてアンダーバリュー行為をすることがあるので注意しましょう。
アンダーバリュー行為は違法である上、発覚した際に罰せられるのは購入者本人です。
関税通知の書類を見て金額に違和感があったら、すぐに修正申告をしましょう。
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関税の他に支払うべき3つの費用
外国から商品を輸入する際は、関税以外にも次の費用がかかります。
- 消費税
- 個別消費税
- 通関手数料
関税と一緒に請求されることが多い費用なので、ぜひ覚えておきましょう。
1.消費税
消費税は、普段のお買い物でも支払っている馴染み深い税金です。
基本的には10%、飲料・食品では軽減税率の8%が追加されます。軽減税率は最終的に撤廃されて10%に統一される予定がありますが、2021年現在で切り替えの時期は明らかになっていません。
免税の対象となる、商業輸入1万円未満と個人輸入1万6,666円未満では、消費税も免除されます。
2.個別消費税
個別消費税は、たばこ税や酒税のことです。
製造方法やアルコール度数によって細かく税率が決められています。
消費税の一種ですが、関税の免税対象金額でも酒・たばこに関する税は免除されません。
酒とたばこにいくらの税率が設定されているかは、財務省の「お酒にはどれくらいの税金がかかっているのですか?」「たばこにはどれくらいの税金がかかっているのですか?」を参考にしてみてください。
3.通関手数料
通関手数料とは、輸入で関わる配送業者や倉庫業者が関税に関する手続きをしたり、関税を一時立て替えたりしてくれるのに対して支払う費用です。
手数料の基準は会社ごとに異なります。
各業者の公式サイトなどで、事前に手数料の目安を確認しておきましょう。
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関税がいくらから発生するか調べるチャート
関税がいくらかかるかは、次の2点で変わります。
- 個人輸入か商業輸入か
- 商品代金、保険料、送料の合計金額(課税標準額)
課税標準額が低ければ免税になったり、税率が少し安い簡易税率が適用されたりして、関税を節約できます。
ご自身の輸入でどのような関税制度が適用されるか、次のチャートでチェックしてみましょう。
個人で輸入したものでも、せどり目的では商業輸入として扱われるので注意しましょう。
ぜひこの記事を参考に、関税がいくらかかるか予想してみてください!
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