BNF氏の手法「乖離率の逆張り」は今も通用するか|日経平均26年分で確かめた結果

BNF氏の手法は25日線の逆張り。今もまねできる?−10%で買い3日で売る、難しいのは線の置き方 資産運用・ポイ活

この記事は、投資家のBNF氏の手法の話です。プログラミングのBNF記法(バッカス・ナウア記法)の話ではありません。

「BNF氏の手法は何で、今もまねできるのか」を調べて来られた方に、先に結論を書きます。

BNF氏の手法は、25日移動平均線から大きく下に離れた銘柄を買い、戻ったら数日で売る「逆張り」です。形だけなら、今でもまねできます。日経平均の2000年以降のデータで確かめると、25日線から10%以上下に離れた日に買った22回のうち、3日後に上がっていたのは17回でした。

ただし、この結果は線の置き方ひとつで崩れます。線を8%にずらすと、20日後の平均はマイナスになりました。10%の線に届いた機会は、26年で22回しかありません。BNF氏がやっていたのは、この「めったに来ない行き過ぎ」を個別株で探すことです。探すだけなら、今は無料のランキングで毎日できます。2026年9月24日には、25日線から10%以上下に離れた銘柄が60ありました。まねしにくいのは探すことではなく、その中から会社だけの悪材料で下げた銘柄を外すことと、相場の強さに合わせて線を動かすことだと私は考えています。

1. 結論:手法は単純、難しいのは「何を買わないか」と「線の置き方」

  • 手法:25日移動平均線からの下方向の乖離(かいり)で売られすぎを判断し、買って、反発したら短い期間で売る。
  • データ:日経平均が25日線から−10%以上離れた日に買うと、22回中17回が3日後にプラス(平均+3.34%)。
  • 弱点:線を−8%にすると20日後の平均が−0.11%に落ちる。2008年のリーマン・ショックでは、−10%で買った3日後にさらに12.6%下げた。
  • 線の置き方:日経平均が200日移動平均線より上にあるときは、−8%で買った7回が20日後にすべてプラス。下にあるときの−8%は、平均がマイナス。
  • 売り時:3日で売ると1回あたり平均+3.34%、25日線に戻るまで待つと+6.72%(平均14.1日)。持った1日あたりの効率は、3日で売るほうが高い。
  • 個別株の探し方:乖離率のランキングで毎日探せる。ただ上位には、会社だけの理由で下げた銘柄が多く入る。指数の検証は、この種類の下げを含まない。
  • 持ち続けて戻りを待つ逆張りとは、中身が逆。BNF氏の逆張りは数日で反発を取り、戻らなければ切る。

2. BNF氏とは|ジェイコム株の誤発注で約20億円

BNF氏は、個人投資家のハンドルネームです。名前が広く知られたのは、2005年12月8日のジェイコム株の誤発注事件でした。みずほ証券の担当者が、「61万円で1株売り」とするはずの注文を「1円で61万株売り」と入力した事件です。

このときBNF氏はジェイコム株を7,100株買い、約20億3,500万円の利益を得たと、翌日の読売新聞が大量保有報告書をもとに報じています。ただ、BNF氏の名前を有名にしたのはこの一件ですが、手法として語られているのは、ふだんの逆張りの売買のほうです。

3. 手法の中身|25日線からの乖離で「行き過ぎ」を買う

本人の掲示板への書き込みや雑誌の取材をもとにした解説で、共通して書かれている点は次の3つです。

項目 中身
見るもの 25日移動平均線からの乖離率。株価が平均からどれだけ下に離れたか
買う線 固定ではない。相場が弱い年ほど深く、強い年ほど浅く置く
持つ期間 1〜3日程度。反発したら売り、戻らなければ切る

乖離率は、「今日の株価÷25日移動平均−1」で出します。株価が平均より10%下にあれば、乖離率は−10%です。平均に引き戻される力を使って、行き過ぎた下げの反発だけを取る。やっていることはこれだけです。

4. 日経平均26年分で確かめた

この手法が今も働くのか、日経平均で確かめました。個別株ではなく指数なので、BNF氏の売買そのものではありません。「相場全体が売られすぎたときに買う」という骨格が、数字の上で成り立つかを見るためのものです。

データ:FRED(セントルイス連邦準備銀行)の日経平均の日次終値。2000年1月4日〜2026年9月18日の6,545営業日。25日の単純移動平均からの乖離率が、はじめて線を下回った日の終値で買い、3営業日後と20営業日後の終値と比べた。手数料と税金は入れていない。

買う線(乖離率) 回数 3日後に上がった回数 3日後の平均 20日後に上がった回数 20日後の平均 20日後の最悪
(いつでも買った場合) ― 53.5% +0.09% 56.3% +0.56% ―
−5% 138回 78回 +0.21% 83回 +1.25% −27.1%
−8% 58回 31回 +0.72% 32回 −0.11% −27.1%
−10% 22回 17回 +3.34% 18回 +7.19% −9.1%
−15% 7回 5回 +2.25% 5回 +5.83% −11.2%

表から読めることは3つです。

1つ目。深い線ほど、いつ買うより明らかに有利です。−10%の線では、3日後の平均が+3.34%でした。いつ買っても3日後の平均は+0.09%なので、差ははっきりしています。

2つ目。線をずらすと、結果が崩れます。−8%では、20日後の平均がマイナスでした。下げの途中で買ってしまい、そこからさらに下げる回が混ざるからです。「何%で買えば勝てる」という決まった数字はありません。BNF氏が相場に合わせて線を動かしていたとされるのは、このためだと思います。これは、あとで相場の強さで分けて確かめます。

3つ目。機会が少ない。−10%の線に届いたのは、26年で22回です。1年に1回もありません。指数で待つかぎり、この手法はほとんど出番がありません。BNF氏はこれを個別株で探していました。個別株なら、今は毎日ランキングで拾えます(6章)。

−10%に届いた日の、その後

日付 乖離率 3日後 20日後
2008年10月6日(リーマン・ショック) −12.6% −12.6% −9.1%
2011年3月15日(東日本大震災) −18.1% +7.0% +12.0%
2020年3月9日(コロナ・ショック) −13.0% −5.8% −3.8%
2024年8月5日 −20.4% +10.7% +23.0%
2025年4月7日 −15.1% +11.2% +18.6%

大きく勝った回と、買ったあとにさらに下げた回が、同じ「−10%超え」の中に混ざっています。リーマン・ショックとコロナ・ショックの入り口では、買った直後にさらに下げました。では、切るルールがあれば防げたのか。次で確かめます。

損切りのルールを入れると、どう変わるか

BNF氏本人の損切りの基準は、本人の発言として確かめられる資料が見つかりませんでした。解説で共通しているのは「戻らなければ切る」ということだけです。そこで、同じ22回に、切るルールを2通り入れて確かめました。

持ち方 平均 最悪の回 プラスで終わった回数
20営業日持つ +7.19% −9.1% 22回中18回
買値から−5%を下回った日の終値で切る(20営業日まで) +5.59% −12.1% 22回中15回
3営業日後に上がっていなければ、その日の終値で切る +6.08% −12.6% 22回中15回

データと買い方は上の表と同じ(日経平均・乖離率−10%・終値)。手数料と税金は入れていない。

日経平均では、切るルールを入れると、平均も最悪の回も悪くなりました。最悪の回はリーマン・ショックの入り口で、買った翌日と翌々日の2日で買値から−12%まで下げ、切る線に届いた日には、もう損が大きくなっていました。一方で、途中で下げてから戻った回(2000年5月、2008年1月、2016年1月)は、切ったことで損が確定しました。

指数で確かめるかぎり、「早く切れば損が小さくなる」とは言えませんでした。ただし個別株は、倒産や上場廃止まで下げ続けることがあるので、この結果をそのまま当てはめることはできません。

なお、この検証は終値で切っています。逆指値注文を置けば、終値を待たずに場中で切れるので、結果は変わる可能性があります。ただ、相場の状況によっては逆指値でも想定した値段で売れないことがあると、証券会社も注意しています。日経平均の場中の値動きのデータは今回使っていないので、ここは確かめていません。

いつ売るか:3日で売るか、25日線に戻るまで待つか

解説では「1〜3日で売る」とされます。指数ではどうか、同じ22回で売り方を3通り比べました。

売り方 平均 プラスで終わった回数 持った日数の平均 1日あたり
3営業日後に売る +3.34% 22回中17回 3日 +1.11%
25日線に戻った日に売る(戻らなければ20営業日で売る) +6.72% 22回中20回 14.1日 +0.48%
20営業日後に売る +7.19% 22回中18回 20日 +0.36%

データと買い方は上の表と同じ。「1日あたり」は、平均を持った日数の平均で割った目安。22回中21回は、20営業日以内に25日線まで戻った。

1回あたりの利益は、長く持つほど大きくなります。一方、持った1日あたりにすると、3日で売るのがいちばん高い。BNF氏が1〜3日で売っていたとされるのは、空いたお金をすぐ次の銘柄に回せるからだと私は考えています。指数のように年に1回しか機会がないなら、25日線に戻るまで待つほうが、1回で取れる額は大きく、プラスで終わる回も多くなります。

相場の強さで線を動かすと、どう変わるか

BNF氏は、相場が弱い年ほど線を深く、強い年ほど浅く置いていたとされます。何をもって強い・弱いとしたかは、本人の発言として確かめられませんでした。そこで物差しの1つとして、買った日の日経平均が200日移動平均線(約10か月の平均)より上にあるか、下にあるかで分けました。

買う線 買った日の日経平均 回数 3日後の平均 20日後に上がった回数 20日後の平均 20日後の最悪
−8% 200日線より上 7回 +1.99% 7回 +7.10% +2.1%
−8% 200日線より下 47回 +0.57% 23回 −0.72% −27.1%
−10% 200日線より下 20回 +3.25% 16回 +7.06% −9.1%
上なら−8%、下なら−10% ― 27回 +2.92% 23回 +7.07% −9.1%

データと買い方は上の表と同じ。200日線を出せるのは2000年10月20日以降なので、回数は上の表と少し違う。−10%で、200日線より上にあった回は1回だけだった。

上の表で−8%の線が崩れたのは、弱い相場で買った回が混ざっていたからでした。200日線より上の相場では、−8%でも7回すべてが20日後にプラスです。200日線より上なら−8%、下なら−10%で買うと、26年で27回。−10%だけで待つより機会が5回増え、平均はほぼ変わりません。BNF氏の「相場で線を動かす」は、指数の数字の上でも筋が通っていました。ただし、200日線より上で−8%に届いたのは7回しかなく、この数字をそのまま決まりにできるほどの回数ではありません。

5. 私の「戻りを待つ」持ち方と、BNF氏の逆張りは中身が逆

私も、下げた相場で持ち続けて、戻りを待つことがあります。ただ、中身はBNF氏と逆です。

2026年9月の時点で、私はKOSPI(韓国株)の2倍のレバレッジ型を、マイナス40%まで下げたところで、まだ持っています。戻るのに時間がかかっていて、年単位で持つことになるかもしれません。トントンか少しプラスまで戻ったところで決済するつもりです。SOXL(米国半導体株の3倍)は、マイナス36%の今も、あと1〜2年持つつもりでいます。私のやり方は、戻るまで数年待つやり方です。BNF氏の逆張りは、1〜3日で反発を取り、戻らなければ切るやり方です。同じ「下げに逆らう」でも、持つ期間も、切る基準もまったく違います。

私は、レバレッジ型ETF(UPRO・TQQQ・SOXL)の「下げたら買う」売買のルールを、AIと一緒に組んだことがあります。半年ほど、AIを使って個別株の売買もしました。プラスにはなりましたが、指数には勝てませんでした。今の株は、投資信託とETFだけです。FXでは、市販の自動売買を100個以上検証して、残ったものはほとんどありません。過去のデータで勝っていたルールが、その先も勝ち続けるとはかぎらない。これが、自分で試して残った実感です(FXで人生終わった人と、終わらなかった私の差)。

同じ日経平均のデータで、逆張りと反対の「上がっているものを買い、下がったら売る」順張り(cis氏)を確かめた結果はcis氏の手法に書いています。

6. 今の個人がまねするなら、確認すること

個別株は、乖離率のランキングで探せる

25日線からの乖離率は、今は自分で計算しなくても、無料で毎日見られます。Yahoo!ファイナンスの「高かい離率(25日・マイナス)」のランキングでは、2026年9月24日の時点で、25日線から10%以上下に離れた銘柄が60ありました。内訳は、東証グロース29、スタンダード15、プライム12、その他4です。

ただし、この日の日経平均は、25日線とほぼ同じ位置(+0.3%)でした。相場全体が売られた日ではないのに、60銘柄が−10%を超えていたことになります。多くは、決算や不祥事など、その会社だけの理由で下げたと考えられます。4章の検証は日経平均なので、相場全体が売られた下げしか見ていません。会社だけの理由で下げた銘柄が戻るかどうかは、この検証の外です。ランキングは入口で、そこから「相場全体につられて下げたのか、その会社だけが下げたのか」を、1銘柄ずつ見分ける作業が要ります。

買う前に確認すること

  • 下げた理由を確かめる時間はあるか:指数では年に1回来るかどうか。個別株で機会を拾うなら、ランキングの上位がなぜ下げたかを、1銘柄ずつ確かめる時間が要ります。
  • 切る基準を先に決めたか:表のとおり、買った直後にさらに下げる回は必ず混ざります。何日で、いくら下げたら切るかを、買う前に決めておきます。
  • 借金や信用取引を使わないか:私は、人生で一度も借金をして投資をしたことがなく、信用取引も使っていません。下げの途中で買う手法に借りたお金を乗せると、1回の外れで退場になります。
  • 大半の人には、指数の積み立てで十分ではないか:私自身、個別株では指数に勝てませんでした。まずeMAXIS SlimのS&P500やオルカンのような1倍の指数が土台で、その上に余剰資金で何を乗せるか、という順番だと考えています(レバレッジETFの長期保有は悪か)。

BNF氏のような成功者の話は、同じことをして消えた多くの人が見えないまま語られます。これは生存者バイアスそのものです。手法を知ることと、それで勝ち残ることの間には、何を買わないかを選ぶ判断と、線を相場に合わせて動かす判断という、大きな差があります。

よくある質問

BNF氏の手法で、乖離率は何%で買えばいいですか?

決まった数字はありません。日経平均で確かめると、−10%では22回中17回が3日後にプラスでしたが、−8%では20日後の平均がマイナスでした。BNF氏も相場の強さによって線を変えていたとされます。日経平均が200日線より上にあるときに限ると、−8%で買った7回は、20日後にすべてプラスでした。ただ7回しかないので、決まりにできる回数ではありません。

リーマン・ショックのような暴落でも通用しますか?

入り口では通用しませんでした。2008年10月6日に日経平均が25日線から−12.6%離れた日に買うと、3日後にさらに12.6%下げています。2020年3月のコロナ・ショックでも、3日後は−5.8%でした。切るルールを入れても、指数では損は小さくなりませんでした。急落が1〜2日で進み、切る線に届いたときには、もう損が大きくなっていたからです。

BNF氏の損切りの方法は?

本人の発言として確かめられる基準は見つかりませんでした。解説では「1〜3日で反発しなければ切る」と書かれています。日経平均の22回で、買値から−5%で切る、3日後に上がっていなければ切る、の2通りを試すと、どちらも20日持つより平均が下がりました(+7.19%に対して+5.59%と+6.08%)。指数では、急落が1〜2日で起きるため、切る前に損が大きくなっていたからです。

BNF氏の手法で、買う銘柄はどうやって探しますか?

25日線からの乖離率のランキングで探せます。Yahoo!ファイナンスの「高かい離率(25日・マイナス)」では、2026年9月24日に、25日線から10%以上下に離れた銘柄が60ありました。この日の日経平均は25日線とほぼ同じ位置(+0.3%)だったので、多くは相場全体ではなく、その会社の事情で下げたと考えられます。1銘柄ずつ、下げた理由を確かめてから判断します。

いつ売ればいいですか?

日経平均の22回では、3営業日後に売ると平均+3.34%、25日線に戻った日に売ると平均+6.72%(持った日数は平均14.1日)でした。1回あたりの利益は待つほうが大きく、持った1日あたりでは3日で売るほうが大きくなります。

BNF氏はいくら稼いだのですか?

はっきり確認できるのは、2005年のジェイコム株の誤発注で得た約20億3,500万円です。7,100株を買ったことが大量保有報告書で報じられています。それ以外の資産額は、報道や推測で語られる数字が多く、この記事では確かめられた数字として扱っていません。現在の取引や資産についても、本人が公表した資料は見つかりませんでした。

今からBNF氏の手法で勝てますか?

形はまねできますが、同じ結果になるとはかぎりません。指数では機会が少ないこと、線の置き方で結果が崩れること、個別株では会社だけの理由で下げた銘柄が混ざることを考えると、大半の人は指数の積み立てを土台にしたほうがいいと私は考えています。

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出典

 

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