PR

ハイイールド債ETFおすすめ5選|高配当&高利回りで資産を増やす

ハイイールド債 資産運用
-

銀行預金の金利はほぼゼロ。S&P 500の配当利回りは2%に満たない…。『もっと効率よく、今あるお金に働いてもらえないだろうか?』多くの投資家がそう感じているはずです。

もし、**年率7%を超える利回りを安定的に生み出す「金のなる木」**が、ETFという身近な形で手に入るとしたら、あなたの資産形成の常識は覆るかもしれません。

想像してみてください。

毎月、あるいは四半期ごとに、あなたの証券口座に振り込まれる数万円の分配金。それは、毎月のスマホ代や光熱費を余裕でまかない、週末に少し贅沢なディナーを楽しむためのお小遣いになるかもしれません。あるいは、全額を再投資に回すことで、資産が雪だるま式に増えていく**「複利の魔法」を、これまでとは全く違う速度で実感**することになるでしょう。

これが、ハイイールド債ETFがもたらす世界の入り口です。

しかし、『ハイイールド(高利回り)』の裏には、相応のリスクが隠れているのも事実です。別名『ジャンク債』と呼ばれるこのスリリングな資産と、どうすれば賢く付き合えるのか?

この記事では、数あるハイイールド債ETFの中から、2025年8月時点で特におすすめできる5銘柄を厳選。それぞれの特徴から、リスクを抑えるための選び方、新NISAでの活用法まで、あなたの資産を**「守りながら増やす」**ための全知識を、ここに凝縮しました。

今の低金利時代に別れを告げ、あなたの資産形成を次のステージへと加速させる準備はいいですか?

さあ、眠っているあなたのお金を叩き起こし、本当の「不労所得」を生み出す旅を始めましょう。

 

メルマガ

1. 結論:ハイイールド債ETFは「劇薬」。高利回りの裏にあるリスクを理解すれば、最高の武器になる

 

「利回り7%超え」「毎月分配型の高配当ETF」…

そんな魅力的な響きに惹かれ、インフレが進む現代で少しでも高いリターンを求め、あなたはこの「ハイイールド債ETF」という選択肢にたどり着いたのではないでしょうか。

最初に結論からお伝えします。ハイイールド債ETFは、あなたのポートフォリオを劇的に強化する可能性を秘めた**「最高の武器」になり得ます。しかし、その一方で、一歩間違えれば資産に大きなダメージを与えかねない「劇薬」**でもあるのです。

重要なのは、そのリスクとリターンの両面を正しく理解し、適切な「用法・用量」で付き合うこと。この記事は、そのための完全ガイドです。

 

1-1. なぜ今、ハイイールド債が注目されるのか?(高金利環境とインカム需要)

 

2025年8月現在、私たちがいるのは、歴史的な金融緩和時代が終わりを告げ、FRB(米連邦準備制度理事会)がインフレと戦うために政策金利を高水準で維持している世界です。

この**「高金利環境」**こそが、ハイイールド債に強い追い風を吹かせています。

債券の利回りは、政策金利に大きく影響されます。金利が上昇したことで、企業の社債もまた、以前とは比べ物にならないほど高い利回りで発行されるようになりました。特に、信用力が低い分、高い利率をつけざるを得ないハイイールド債の利回りは、7%~8%台という、株式のリターンに匹敵するほどの魅力的な水準に達しています。

一方で、投資家の間では、資産からの定期的で安定した収入、いわゆる**「インカム」**への需要が日に日に高まっています。この「高いインカムが欲しい」という投資家の強いニーズと、「高い利回りを提供する」というハイイールド債の特性が、今まさに完璧に合致している。これが、ハイイールド債ETFが注目を集める最大の理由です。

 

1-2. この記事の結論:あなたにおすすめのETFは、リスク許容度と投資戦略によって決まる

 

この記事では、代表的なハイイールド債ETFを複数取り上げ、その特徴を徹底的に比較します。しかし、「万人にとって一番のおすすめはコレです」という単純な答えを提示することはしません。なぜなら、そのような無責任なことはできないからです。

あなたにとっての最適なハイイールド債ETFは、あなたの**「リスク許容度」「投資戦略」**という、2つの変数によって決まります。

  • あなたは、どの程度の価格下落まで精神的に耐えられますか?(リスク許容度)
  • あなたは、為替の変動をどう考えますか?(投資戦略)
  • あなたは、今後の金利が上がると考えますか、下がると考えますか?(投資戦略)

この記事は、あなたがこれらの問いに自分自身で答えを出し、最適な「解」を導き出すための、羅針盤であり、分析ツールです。各ETFの客観的なデータと、現在のマクロ経済環境の分析を通じて、あなたの投資判断を全力でサポートします。

 

1-3. 警告:この記事は、ハイイールド債投資を無条件に推奨するものではありません

 

最後に、最も重要なことをお伝えします。

ハイイールド債は、別名**「ジャンク(ガラクタ)債」**とも呼ばれます。これは、発行体の企業の信用力が低く、景気後退期にはデフォルト(債務不履行)に陥るリスクを常に抱えているからです。株価が暴落するような金融危機では、安全資産であるどころか、株式以上に大きく値下がりすることさえあります。

したがって、ハイイールド債ETFは、ポートフォリオ全体のリスクを理解し、その一部として「スパイス」的に組み込む覚悟のある、中上級者向けの資産です。決して、あなたの資産の大部分を投じるべき対象ではありません。

この警告を理解し、同意いただける方のみ、この先へお進みください。

 

2.【1分でわかる】ハイイールド債ETFとは?メリット・デメリットを正しく知る

 

利回り7%超えという魅力的な数字に飛びつく前に、まずは投資対象である「ハイイールド債」が、一体どのような性質を持つ資産なのかを正しく理解しましょう。すべての投資判断は、この土台の上に成り立ちます。

 

2-1. 別名「ジャンク(ガラクタ)債」。投資不適格級の企業が発行する社債

 

ハイイールド債とは、S&Pやムーディーズといった信用格付け会社による評価が低い(例:S&PでBB格以下)企業が発行する社債のことです。

信用力が低いため、投資家からは「投資不適格級」と見なされます。その少し過激な呼び名が、**「ジャンク債(ジャンク=ガラクタ)」**です。

なぜ、そんなリスクのありそうな債券に投資するのでしょうか?

それは、企業が「私たちの信用力は低いですが、その分、高い利子を支払いますから、どうかお金を貸してください!」と、好条件を提示して資金調達を行っているからです。

そして、ハイイールド債ETFとは、こうした数百から数千ものハイイールド債を一つのパッケージにまとめ、個別株のように手軽に売買できるようにした金融商品です。一つの企業のデフォルト(倒産)リスクを、多くの債券に分散させる効果があります。


 

2-2. メリット①:圧倒的な高利回り(インカムゲイン)

 

ハイイールド債ETFの最大の魅力は、その名の通り、圧倒的に高い利回りにあります。

 

2-2-1. 国債や投資適格社債を大きく上回る分配金が魅力

 

2025年8月現在、各資産のおおよその利回りは以下のようになっています。

  • 米国債:約4~5%
  • 投資適格社債:約5~6%
  • ハイイールド債約7%~8%以上

[利回り比較のシンプルなグラフ画像]

この差は歴然です。他の債券資産とは一線を画す高い分配金(インカムゲイン)を定常的に受け取れること。これが、多くの投資家を惹きつける最大の理由です。

 

2-3. メリット②:株式との相関性

 

ハイイールド債は、「債券」でありながら、その値動きは「株式」に近いという二つの顔を持っています。これが、良い方向に働くのが景気拡大期です。

 

2-3-1. 景気拡大期には、株価と連動して値上がり益(キャピタルゲイン)も狙える

 

世の中の景気が良く、企業の業績が伸びている局面では、ハイイールド債を発行する企業の倒産リスク(デフォルトリスク)は低下します。投資家は安心し、より高いリターンを求めてハイイールド債を買い求めます。

その結果、債券の価格そのものが上昇し、**高い分配金(インカム)**を受け取りながら、**値上がりによる利益(キャピタル)**も同時に狙うことができるのです。


 

2-4. デメリット①:デフォルト(債務不履行)リスク

 

ここからは、目を背けてはいけないリスクの話です。高い利回りは、このリスクを引き受ける対価として支払われています。

 

2-4-1. 企業の業績悪化で、利払いや元本返済が滞る可能性

 

デフォルトとは、債券を発行した企業が経営不振に陥り、約束していた利子の支払いや、満期日の元本返済ができなくなることです。最悪の場合、投資した資金がほとんど返ってこない可能性もあります。

もちろん、ETFは数百の銘柄に分散投資しているため、数社がデフォルトしても、ETFの価値がゼロになることはありません。しかし、デフォルトのニュースは市場心理を悪化させ、ETFの価格を押し下げる大きな要因となります。

 

2-5. デメリット②:景気後退に極めて弱い

 

メリットとして挙げた「株式との相関性」は、景気後退期には最悪のデメリットとして牙を剥きます。

 

2-5-1. 株価暴落時には、株式以上に大きく値下がりすることも

 

景気が悪化し、企業の倒産が相次ぐようになると、投資家はリスクを回避するために、真っ先にハイイールド債を売りに出します。

リーマンショックやコロナショックのような株価暴落時には、ハイイールド債は「安全な債券」としては全く機能せず、むしろ株式と同じか、それ以上に激しく売り浴びせられます。

[リーマンショック時のS&P500とHYGの価格推移を比較したグラフ画像]

「債券だから、株価が下がっても大丈夫だろう」という安易な考えは、絶対に禁物です。この株式のようなリスクを内包しているからこそ、高いリターンが設定されているのだと、肝に銘じておく必要があります。

 

3.【プロの視点】2025年、ハイイールド債ETFに今、投資すべきか?

 

おすすめの個別ETFを知ることは、戦いのための「武器」を選ぶ作業です。しかし、それと同じくらい重要なのが、戦場である「市場環境」を正しく認識し、今が攻めるべき時か、守るべき時かを見極めることです。

ハイイールド債のパフォーマンスは、主に「金利」「景気」「デフォルト率」という3つの要素に大きく左右されます。2025年8月現在の状況をプロの視点で分析し、今が投資に適したタイミングなのかを考えていきましょう。

 

3-1. 金利環境の分析:FRBの利上げは最終局面か?

 

2022年からの歴史的な利上げサイクルを経て、FRB(米連邦準備制度理事会)は現在、政策金利を数十年ぶりの高水準に維持しています。市場の最大の関心事は、もはや「利上げがどこまで続くか」ではなく、**「この高金利がいつまで維持され、いつ利下げに転じるのか」**という点に移っています。

 

3-1-1. 高金利維持が企業業績に与える影響と、今後の金利見通し

 

「Higher for Longer(より長く高金利を)」という言葉が示す通り、金利が高い状態が長引けば、企業の資金調達コストは増大し続けます。特に、常に資金繰りに自転車操業の側面を持つ信用力の低い企業(=ハイイールド債の発行体)にとって、これは収益を圧迫する大きな逆風となります。

一方で、市場は2026年前半にも利下げが始まるとの期待を織り込み始めています。もし**利下げが始まれば、既存の債券価格は上昇します。**つまり、現在の高い利回りの債券を今のうちに買っておけば、将来的に大きな値上がり益(キャピタルゲイン)を得られる可能性があるのです。

【ポイント】

利下げ期待はハイイールド債価格の追い風。しかし、高金利の長期化は発行体の業績悪化リスクを高めるという、綱引き状態にあります。

 

3-2. 景気サイクルの分析:米国経済はソフトランディングできるのか?

 

現在の米国経済は、歴史上でも稀な、非常に判断が難しい局面にあります。

 

3-2-1. 景気後退(リセッション)懸念とハイイールド債のパフォーマンス

 

市場の最大のテーマは、**「米国経済は、深刻な景気後退(リセッション)を避け、緩やかな減速(ソフトランディング)を達成できるのか?」**という点です。

  • ソフトランディング・シナリオ(強気派の見方)

    インフレが抑制され、景気が大きく落ち込むことなく、企業業績が安定すれば、デフォルトリスクは低位に留まります。この場合、ハイイールド債は高い利回りを提供し続ける「最高の資産」となり、投資家は大きなリターンを得るでしょう。

  • リセッション・シナリオ(弱気派の見方)

    高金利の影響が時間差で経済を蝕み、失業率の上昇や企業倒産の増加を伴う本格的な景気後退に陥った場合、ハイイールド債市場はパニック的な売りに見舞われます。前章で述べた通り、株価と連動して大きく価格が下落し、高い利回りなど一瞬で吹き飛ぶほどの損失を被る可能性があります。

【ポイント】

ハイイールド債投資の成否は、今後の米国経済がソフトランディングできるかどうかにかかっていると言っても過言ではありません。

 

3-3. デフォルト率の分析:歴史的推移と今後の見通し

 

ハイイールド債投資における最大のリスクである、デフォルト(債務不履行)の動向を見てみましょう。

 

3-3-1. 格付け会社が予測するデフォルト率と、ETFが許容できる水準

 

[デフォルト率の歴史的推移と今後の予測を示したグラフ画像]

歴史的に、ハイイールド債のデフォルト率は平時で3~4%程度、リーマンショックのような金融危機時には10%以上に急騰します。

2025年8月現在、デフォルト率は歴史的な低水準からは上昇傾向にあるものの、まだ危険水域には達していません。 ムーディーズなどの大手格付け会社は、「今後1年のデフォルト率は、歴史的平均である4%前後の水準まで緩やかに上昇する」と予測しています。

これは何を意味するのでしょうか?

実は、ハイイールド債の7~8%という高い利回りは、この「4%程度のデフォルトによる損失」をあらかじめ織り込んだ上で設定されています。つまり、デフォルト率が予想の範囲内に収まる限り、投資家は十分なリターンを得られる計算になるのです。

【ポイント】

危険なのは、予想を上回る急激な景気悪化によって、デフォルト率が予測を大きく超えて急騰する場合です。格付け会社のレポートなどを定期的にチェックすることが重要です。

 

3-4. 結論:今は「守り」より「攻め」の局面か?ポートフォリオにおける最適なタイミングとは

 

これら3つの分析を踏まえ、今が投資に適したタイミングなのかを結論づけます。

  • 「攻め」の好機と見る考え方

    もしあなたが、「米国経済はソフトランディングを達成し、FRBは近い将来利下げに転じる」と考えるなら、市場がまだ景気後退を恐れている『今』こそが、絶好の投資機会です。高い利回りを享受しながら、将来の金利低下による値上がり益も狙える、最大のチャンスがここにあります。

  • 「守り」を重視する考え方

    もしあなたが、「高金利の影響による景気後退は避けられない」と考えるなら、今はまだ守りを固めるべきです。ハイイールド債への投資は見送るか、あるいはポートフォリオのごく一部(5%以内など)に留め、経済指標の明確な改善を待つのが賢明でしょう。

最終的な投資判断は、あなた自身の経済見通しに委ねられています。しかし、大きなリターンは、常に市場の不確実性の中にこそ眠っている、というのもまた事実なのです。

 

4.【徹底比較】米国ハイイールド債ETFの代表的なおすすめ5銘柄

 

市場環境を理解し、投資のタイミングを見極める知識を身につけたところで、いよいよ具体的な「武器」選びのフェーズに入ります。

数多く存在するハイイールド債ETFの中から、流動性、コスト、そして戦略的な特徴を考慮し、2025年現在、特におすすめできる代表的な5銘柄を厳選しました。それぞれの個性と、どのような投資家に適しているのかを、徹底的に比較・解説していきます。

 

4-1. 比較表で一目瞭然!経費率・利回り・デュレーション・純資産総額

 

まずは、今回ご紹介するETFの基本スペックを一覧表で比較してみましょう。各項目の意味を思い出しながら、それぞれのETFが持つ個性の違いを大まかに掴んでください。(※数値は2025年8月現在の概算値です)

銘柄 (ティッカー) 正式名称 経費率 直近利回り デュレーション 純資産総額 特徴
HYG iShares iBoxx $ High Yield Corporate Bond ETF 0.49% 約7.0% 約3.6年 約2.5兆円 最大手・高流動性
JNK SPDR Bloomberg High Yield Bond ETF 0.40% 約7.2% 約2.9年 約1.8兆円 低コスト・高利回り
SHYG iShares 0-5 Year High Yield Corporate Bond ETF 0.30% 約6.9% 約2.8年 約1.2兆円 短期債・低デュレーション
JMHI JPMorgan High Yield Municipal ETF ※参考 0.35% 約4.5% 約7.3年 約300億円 地方債・アクティブ型
iFreeActive iFreeActive ハイイールド債券ファンド 約0.50% 約6.8% 約150億円 国内投信・為替ヘッジ選択可

 

4-2. 【王道にして最大手】iShares iBoxx $ High Yield Corporate Bond ETF (HYG)

 

[HYGのロゴまたはチャート画像]

  • 経費率:0.49%
  • 直近利回り:約7.0%

 

4-2-1. 特徴:圧倒的な流動性と分散効果。初心者がまず検討すべき一本

 

HYGは、ハイイールド債ETFの世界における「王様」です。純資産総額、取引量ともに最大級であり、その圧倒的な流動性の高さから、いつでも好きな時に適正な価格で売買できるという安心感があります。

約1,300もの多様な企業の社債に分散投資しており、1社のデフォルトがETF全体に与える影響を最小限に抑える設計になっています。良くも悪くも、ハイイールド債市場全体の平均点を狙うインデックスファンドの代表格であり、「まず、ハイイールド債投資を始めてみたい」という方が、最初に検討すべきベンチマーク的な一本と言えるでしょう。

 

4-3. 【HYGの対抗馬】SPDR Bloomberg High Yield Bond ETF (JNK)

 

[JNKのロゴまたはチャート画像]

  • 経費率:0.40%
  • 直近利回り:約7.2%

 

4-3-1. 特徴:HYGよりやや信用格付けが低い銘柄を含み、利回りが高くなる傾向

 

JNKは、王者HYGに次ぐ規模を誇る、強力なライバルです。最大の特徴は、HYGよりも経費率が0.09%低いこと。長期で保有する場合、このわずかなコストの差が、将来のリターンに大きな影響を与えます。

また、構成銘柄の選定基準がHYGと若干異なり、より信用格付けの低い債券を含む傾向があるため、その分、分配金利回りがHYGを上回ることが多くなっています。「ベンチマークよりも、少しだけリスクを取ってでも高いリターンを狙いたい」という投資家にとって、魅力的な選択肢となります。

 

4-4. 【金利上昇に強い】iShares 0-5 Year High Yield Corporate Bond ETF (SHYG)

 

[SHYGのロゴまたはチャート画像]

  • 経費率:0.30%
  • 直近利回り:約6.9%

 

4-4-1. 特徴:短期債に特化し、デュレーションを短縮。金利変動リスクを抑制したい人向け

 

SHYGは、その名の通り、償還期間が5年未満の「短期」ハイイールド債のみで構成されたETFです。最大の特徴は、デュレーション(金利感応度)が短いこと。これにより、将来FRBが再度利上げに転じるようなことがあっても、他のETFに比べて債券価格が下落しにくい、金利変動に強いという耐性を持ちます。

さらに、経費率が0.30%と、今回紹介する米国ETFの中では最も低いのも大きな魅力です。「高い利回りは欲しいけれど、今後の金利の動きが読めず不安だ」という、保守的ながらもインカムを狙いたい投資家にとって、最適なバランスを提供してくれます。

 

4-5. 【アクティブ運用の選択肢】JPMorgan High Yield Municipal ETF (JMHI) ※参考

 

[JMHIのロゴまたはチャート画像]

  • 経費率:0.35%
  • 直近利回り:約4.5%

 

4-5-1. 特徴:プロが銘柄選定を行うアクティブ型。市場平均を上回るリターンを目指す

 

※注意:これは企業の社債ではなく、米国の州や市が発行する「地方債」に投資するETFです。

JMHIは、これまでのインデックスファンドとは異なり、JPモルガンのファンドマネージャーが、独自の調査に基づいて投資する銘柄を厳選する**「アクティブ運用」**のETFです。市場の平均点をとるのではなく、プロの目利きによって、より安全でリターンが高いと判断される銘柄に集中投資することで、市場平均を上回る成果を目指します。

ただし、地方債が中心のため、企業が発行する社債に比べて信用リスクが低い分、利回りはHYGやJNKに比べて見劣りします。(※米国居住者にとっては連邦所得税が非課税になるというメリットがあります)。「市場平均ではなく、プロの運用に賭けてみたい」「社債とは異なるリスクを持つ資産に分散したい」と考える上級者向けの、参考銘柄としてご紹介します。

 

4-6. 【国内で手軽に】iFreeActive ハイイールド債券ファンド(為替ヘッジあり/なし)

 

[iFreeActiveのロゴまたはチャート画像]

  • 経費率:約0.50%
  • 直近利回り:約6.8%

 

4-6-1. 特徴:円建てで投資可能。為替リスクをどう考えるかで選択

 

「ドル建ての取引は難しそう」「為替の変動が面倒」と感じる方には、SBI証券や楽天証券などで円建てで手軽に購入できる国内の投資信託という選択肢もあります。その代表格が、大和アセットマネジメントの「iFreeActive ハイイールド債券ファンド」です。

このファンドを選ぶ上で最大のポイントは、「為替ヘッジ」のあり・なしを選択できる点です。

  • 為替ヘッジなし:円安になれば基準価額が上昇し、円高になれば下落します。今後のさらなる円安を予想し、為替差益も狙いたい方向け。
  • 為替ヘッジあり:為替変動の影響を極力排除し、純粋な債券の利回り(からヘッジコストを差し引いたもの)を狙います。為替を気にせず、安定したインカムを円で受け取りたい方向け。

ただし、信託報酬などのコストは、米国のETFに直接投資するよりも割高になる傾向がある点は、トレードオフとして認識しておく必要があります。

 

5. あなたに最適なハイイールド債ETFの選び方とポートフォリオ戦略

 

前章では、それぞれに個性豊かなETFをご紹介しました。しかし、選択肢が多すぎると、かえって「自分はどれを選べばいいのか?」と迷ってしまうかもしれません。

このセクションでは、あなた自身の投資スタイルや考え方に合わせて、**最適な一本を絞り込んでいくための「3つのステップ」**と、資産全体の中でハイイールド債ETFをどう位置づけるべきかという、具体的なポートフォリオ戦略を解説します。

 

5-1. ステップ①:為替ヘッジの「あり」「なし」をどう判断するか

 

まず最初のステップは、為替変動のリスクをどう考えるかです。これは主に、国内の投資信託を選ぶ際に重要な判断基準となります。

 

5-1-1. 円安局面で利益を狙うなら「ヘッジなし」、利回りを安定させたいなら「ヘッジあり」

 

  • 為替ヘッジなし

    あなたの最終的な円建てのリターンは、**「(ETFのドル建てリターン)+(ドル/円の為替変動)」**で決まります。今後のさらなる円安(例:1ドル150円→160円)を予想し、為替差益も積極的に狙いたい方は、こちらを選ぶべきです。ただし、逆に円高が進めば、為替差損でリターンが大きく目減りするリスクも背負います。

  • 為替ヘッジあり

    あなたの最終的な円建てのリターンは、**「(ETFのドル建てリターン)-(ヘッジコスト)」**に近くなります。為替変動という不確定要素を極力排除し、純粋にハイイールド債の高い利回りを円で安定的に受け取りたい方は、こちらが適しています。ただし、為替ヘッジには金利差に応じたコストがかかるため、「ヘッジなし」に比べてリターンが少し低くなる点には注意が必要です。

【結論】

ご自身の為替相場に対する見通しによって、どちらを選ぶべきか判断しましょう。

 

5-2. ステップ②:デュレーション(金利感応度)をどう見るか

 

次に、今後の金利の動きをどう予測し、それにどう備えるかを考えます。ここで重要になるのが**「デュレーション」**という指標です。

難しく考える必要はありません。**「デュレーションが『3年』なら、金利が1%上昇すると、債券価格は理論上、約3%下落する」**という、金利の変動に対する価格の敏感さを示す指標だと覚えてください。

 

5-2-1. 今後の金利低下を予想するなら長期(HYG/JNK)、金利の先行きが不透明なら短期(SHYG)

 

  • デュレーションが長めのETF(HYG, JNKなど)

    デュレーションが3.5年前後と長めの商品は、金利変動の影響を大きく受けます。もしあなたが、「FRBは近い将来、利下げに踏み切る」と強く予想するなら、これらが最適です。金利低下時には、高い利回りに加えて、債券価格の上昇による大きなキャピタルゲインが期待できます。より積極的なリターンを狙う選択肢です。

  • デュレーションが短いETF(SHYGなど)

    デュレーションが2.8年程度と短いSHYGは、金利が上下しても価格が比較的安定しています。もしあなたが、「高金利はまだ当分続くかもしれない」「今後の金利の動きは全く読めない」と考えるなら、こちらが賢明な選択です。金利変動のリスクを抑えながら、安定的に高いインカムを確保することに特化した、保守的な選択肢と言えます。

【結論】

ご自身の金利見通しに合わせて、攻めの「長期」か、守りの「短期」かを選びましょう。

 

5-3. ステップ③:経費率の低さをどこまで重視するか

 

最後のステップは、運用にかかるコスト、すなわち「経費率」です。リターンが不確実であるのに対し、経費率は、毎年確実にあなたの資産から差し引かれる、確定したマイナスリターンです。

 

5-3-1. 長期保有における、0.1%の経費率の違いがもたらすリターンの差

 

例えば、利回りがほぼ同じHYG(経費率0.49%)とJNK(経費率0.40%)を比較してみましょう。その差は、わずか**0.09%**です。

しかし、この差は長期保有において、複利の効果によって無視できないリターンの差を生み出します。

仮に100万円を投資し、年率7%のリターンを上げ続けたとします。

  • JNK(実質リターン6.60%):20年後の資産は約368万円
  • HYG(実質リターン6.51%):20年後の資産は約358万円

その差は、実に約10万円にもなります。ETFの構成内容に大きな違いがないと感じるならば、経費率は低ければ低いほど良い、というのが合理的な判断です。

【結論】

特に長期で資産形成を目指す投資家にとって、経費率の低さは最も重視すべき判断基準の一つです。

 

5-4. ポートフォリオの何%までが適切か?コア・サテライト戦略での活用法

 

ここまでのステップで最適なETFを選べたとして、それを自分の資産全体の中で、どの程度の割合で保有するのが適切なのでしょうか。ここで役立つのが**「コア・サテライト戦略」**という考え方です。

[コア・サテライト戦略のシンプルな図解画像]

  • コア(核となる資産):資産の大部分(80~90%)を占める、守りの部分。全世界株式(オルカン)やS&P500といった、長期で安定的な成長が見込めるインデックスファンドがこれにあたります。
  • サテライト(衛星):資産の一部(10~20%)を占める、攻めの部分。個別株や新興国株、そして今回のようなハイイールド債ETFなどが含まれます。コア資産だけでは得られない、プラスアルファのリターンを狙うためのものです。

 

5-4-1. 全資産の5%~10%以内。あくまで「サテライト(衛星)」としての位置づけを厳守

 

ハイイールド債ETFは、そのリスク特性から、間違いなく**「サテライト」**に分類される資産です。ポートフォリオに占める割合は、あなたのリスク許容度に応じて、多くても全資産の5%~10%以内に留めることを強く推奨します。

その役割は、ポートフォリオ全体の「インカム収益をブーストさせる強力なスパイス」です。

**決して、あなたの資産の「コア」にしてはいけません。**このルールを厳守することこそが、ハイイールド債という「劇薬」と賢く付き合い、その恩恵だけを享受するための、最も重要なポートフォリオ戦略です。

 

6.【新NISA・税金】ハイイールド債ETF投資で知っておくべき制度の話

 

最適なETFを選び、ポートフォリオ戦略まで立てたあなたへ。最後に、そのリターンを最大化するために避けては通れない、**「新NISA」と「税金」**という制度面の話を解説します。

特に、海外資産であるハイイールド債ETFへの投資では、日本の税制に加えて、米国との関係も理解しておく必要があります。少し複雑に感じるかもしれませんが、知っているか知らないかで、手元に残るお金が大きく変わる重要な知識です。

 

6-1. 新NISAの成長投資枠で購入可能か?

 

2024年から始まった新NISAは、年間240万円までの投資で得た利益が非課税になる、非常に強力な制度です。この「成長投資枠」でハイイールド債ETFを購入できれば、分配金や売却益が非課税となり、大きなメリットがあります。

 

6-1-1. 米国ETF、国内投資信託それぞれの対象可否

 

結論から言うと、今回ご紹介したETFの多くは、成長投資枠の対象となります。

成長投資枠の対象外となるのは、主に以下の条件に当てはまる商品です。

  • 毎月分配型の投資信託
  • 高レバレッジ型のETF
  • 信託期間が20年未満の投資信託 など
  • 米国ETF(HYG, JNK, SHYGなど)

    これらの一般的な米国上場ETFは、上記の除外条件には当てはまらないため、原則として成長投資枠で購入可能です。SBI証券や楽天証券、マネックス証券などの主要なネット証券会社で取り扱いがあります。

  • 国内投資信託(iFreeActiveなど)

    こちらも、決算頻度が年1回または年2回など、「毎月分配型」でなければ、原則として対象となります。ただし、投資信託の場合は商品ごとに条件が異なるため、購入前に必ず、お使いの証券会社のウェブサイトで、NISA成長投資枠の対象商品リストに含まれているかを確認してください。

 

6-2. 分配金にかかる税金は?米国との二重課税と外国税額控除の仕組み

 

ここが、海外ETFに投資する上で最も重要なポイントです。

米国上場のハイイールド債ETFから分配金を受け取る際、実は**「米国」と「日本」の両方で税金が引かれており、二重課税の状態**になっています。

【二重課税の仕組み】

  1. ETFから100ドルの分配金が出たとします。
  2. まず、米国で10%(10ドル)が源泉徴収されます。
  3. あなたの手元には、残りの90ドルが円に換えられて入金されます。
  4. 次に、日本で、元々の100ドルに対して20.315%が課税されます。

このままでは、同じ利益に対して二重に税金を支払うことになり、大きな不利益を被ってしまいます。この不利益を解消するための制度が**「外国税額控除」**です。

【外国税額控除とは?】

外国で支払った税金(この場合は米国での10%)を、日本で納めるべき所得税や住民税から差し引く(控除する)ことができる制度です。

【※最重要※ 新NISA口座での注意点】

この外国税額控除は、課税口座(特定口座・一般口座)のみで利用可能な制度です。

新NISA口座は、そもそも日本での課税が0円(非課税)のため、差し引くべき日本の税金が存在しません。したがって、NISA口座で受け取った分配金は、米国で源泉徴収された10%の税金が引かれたままとなり、それを取り戻すことはできません。

  • 課税口座:二重課税になるが、確定申告で取り戻せる。
  • NISA口座:日本での20.315%は非課税になるが、米国での10%は引かれたまま戻ってこない。

どちらの口座で購入するかは、この点を理解した上で慎重に判断する必要があります。

 

6-2-1. 確定申告で税金を取り戻すための具体的な手順

 

課税口座で米国ETFを保有し、分配金を受け取った方は、年に一度の**「確定申告」**を行うことで、米国で支払った税金を取り戻すことができます。

※注意:税金の詳細は複雑なため、最終的な判断や手続きは、所轄の税務署または税理士にご確認ください。

【簡単な手順】

  1. 年間取引報告書を用意する

    年末年始になると、お使いの証券会社から、その年の取引内容と、源泉徴収された税額が記載された「年間取引報告書」が発行されます。ここに「外国所得税額」として、米国で支払った税金の合計額が記載されています。

    [年間取引報告書のサンプル画像]

  2. 確定申告書を作成する

    毎年2月16日~3月15日の確定申告期間中に、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」などを使って申告書を作成します。

  3. 「外国税額控除に関する明細書」を記入する

    申告書作成の過程で、「外国税額控除」の項目を選択し、年間取引報告書に記載された外国所得税の金額などを転記します。

この手続きを行うことで、納めすぎた税金が、所得税から還付されたり、翌年の住民税から差し引かれたりします。分配金の額が大きくなるほど、この手続きの重要性は増していきます。

 

7. まとめ:ハイイールド債はポートフォリオの”強力なスパイス”。主食にはしないこと

 

ここまで、ハイイールド債ETFの基本から、2025年8月現在の市場環境、具体的な銘柄選び、そして税金の話まで、包括的に解説してきました。

この記事の冒頭で、私たちはハイイールド債ETFを「劇薬」と表現しました。そのリスクとリターンの両面を理解した今、その言葉の意味をより深く実感いただけているのではないでしょうか。

最後に、あなたの資産全体の中で、この魅力と危険を併せ持つ資産と、どう付き合っていくべきか。その結論を、一つの料理に例えてお伝えします。

ハイイールド債ETFは、あなたの資産という料理を、格段に美味しくする「強力なスパイス」です。しかし、決して「主食」にしてはいけません。

あなたのポートフォリオの主食、すなわち資産の大部分(80%~90%)を構成すべきは、全世界株式やS&P500といった、栄養バランスに優れたインデックスファンドであるべきです。これらは、あなたの資産を長期的に、安定して成長させてくれる、いわば「白米」や「パン」のような存在です。

一方で、ハイイールド債ETFは、その主食に加えることで、料理全体の風味を劇的に引き立てる「スパイス」なのです。少量加えるだけで、高いインカム(分配金)という鮮烈な風味と、景気拡大期には値上がり益という刺激的な辛みをもたらしてくれます。

しかし、もしあなたがこのスパイスを主食にしようものなら、どうなるでしょうか。刺激が強すぎて、お腹を壊し、体調を崩してしまいます。つまり、景気後退期には、その高いリスクがあなたの資産全体を蝕み、取り返しのつかないダメージを与えかねないのです。

これからあなたが、ハイイールド債ETFの「買付」ボタンを押す前に、もう一度だけ、ご自身に以下の3つを問いかけてみてください。

  1. このETFのリスク(デフォルト、株価との同時下落)を、心から理解しているか?
  2. 私のポートフォリオ全体の中で、このETFが占める割合は10%以内という「スパイス」の分量を守れているか?
  3. 最悪の事態が起きても、パニック売りせずに冷静に保有を続けられるか?

この3つの問いに、自信を持って「イエス」と答えられるのであれば、ハイイールド債ETFは、あなたの資産形成を次のステージへと加速させる、最高の武器となるでしょう。

この記事が、あなたの資産形成の旅路において、賢明な判断を下すための一助となれば幸いです。

コメント

ビジネスと一杯のコーヒー
タイトルとURLをコピーしました