この記事は全面的に書き直しました。以前ここに置いていたのは、原因を5つに分けて処方箋を11個並べる、よくある形の記事です。自分で読み返して、書いた本人が一度も経験していないことばかり書いてあると気づいたので、消しました。
代わりに、自分のことを書きます。
私は、いわゆる正社員として働いたことがありません。最初から自宅で、20年近く、ほとんど一人で仕事をしてきました。
だからこの記事は、「テレワークがつらい人へのアドバイス」ではありません。そういう立場にないからです。書けるのは、会社という枠を一度も持たずに20年働いた人間に、何が起きたかという記録だけです。
先に線を引いておきます。
| 書けること | 書けないこと |
|---|---|
| 誰にも管理されずに20年働くと、何が起きるか | 会社員としての在宅勤務(経験がありません) |
| 一度だけ壊れたときの、原因と経過 | チャットに即レスしないといけない圧力 |
| 働く場所を自分で作り込んだ結果 | 上司への相談、人事制度、EAP |
| 5回住み替えて分かった、住む場所の効き方 | 症状の医学的な説明、診断、治療法 |
右の列については、この記事では一切扱いません。特にいちばん下は重要です。旧版には脳内物質や自律神経の話が書いてありましたが、私は医療者ではないので、全部落としました。
- 1. 会社が無料で渡していたものは、4つあります
- 2. 壊れた1回のことを書きます
- 3. 会社が渡していた5つ目のもの
- 4. 私が戻った方法は、人と会うことではありませんでした
- 5. 戻ったとき、もう同じ仕事には戻れませんでした
- 6. 4つの機能を、何で置き換えたか
- 7. 20年かけて作り込んだのは、3つだけです
- 8. 混雑は、一人で働く人にとって労働時間です
- 9. テレワークは「どこでも働ける」ではありません
- 10. 北柏で分かったこと|街は、進化しないことがあります
- 11. 東戸塚で分かったこと|選び方を、全部間違えました
- 12. 海浜幕張で分かったこと|計画して作られた街は、違います
- 13. 名古屋市港区|3回分の経験を、1か所に統合します
- 14. なぜ、5回住まないと分からなかったのか
- 15. 判定表
- 16. 明日からの1手
- 17. まとめ
- 18. あわせて読むもの
- 19. この記事で参照した情報源
- 20. この記事について
1. 会社が無料で渡していたものは、4つあります
まず、テレワークで失われるものを整理します。会社に所属していると、意識しないまま4つのものを渡されています。
| 会社が渡していたもの | 中身 | なくなると |
|---|---|---|
| 時間の枠 | 始業と終業を、他人が決めてくれる | 終わりが来ないので、ずっと薄く働き続けます |
| 場所の切替 | 通勤という、強制的な区切り | 同じ椅子で働いて休むので、どちらも中途半端になります |
| 進捗の外部確認 | 他人が見ている=進んでいる証拠になる | 自分で自分を評価するしかなくなります |
| 所属の確認 | 雑談。ここにいていい、という確認 | 成果を出していないと、いていい理由がなくなります |
ここまでは、たいていの記事に書いてあることです。問題は、その次です。
1-1. 私は、この4つを一度も持ったことがありません
| 会社が渡していたもの | 私の20年 |
|---|---|
| 時間の枠 | 持ったことがありません |
| 場所の切替(通勤) | 持ったことがありません |
| 進捗の外部確認(報告) | 雇われていないので、報告の義務がありません |
| 所属の確認(雑談) | 人と会うことが、ほとんどありません |
いま人と会うのは、コンサル契約をしている方とZOOMをするときと、契約の内容によってお客さんの活動エリアに出向くときだけです。頻度は、かなり低いです。
4つとも一度も持たずに20年働いて、おかしくなったのは1回だけです。
ここが、この記事でいちばん言いたいところです。
もし「会社が渡していた4つがなくなるとおかしくなる」が正しいなら、私は20年ずっとおかしいはずです。ところが、そうはなりませんでした。
1-2. 一般によく言われる原因を、自分に当てはめてみます
旧版の記事に書いてあった原因を、そのまま自分に当てはめます。
| よく挙げられる原因 | 私に当てはまるか |
|---|---|
| コミュニケーションが消える | 20年ずっと当てはまっています |
| 公私の境界がなくなる | 20年ずっと当てはまっています |
| 通勤がなくなって動かなくなる | 20年ずっと当てはまっています |
| 常時接続の圧力 | 当てはまりません(雇われていないので) |
| 環境が仕事に向いていない | 当てはまりません(後述しますが、作り込みました) |
3つは20年ずっと当てはまっているのに、19年は平気でした。ということは、これらは原因ではなく、条件です。あってもなくても壊れる人は壊れるし、壊れない人は壊れない。
では、私が壊れた1回は何だったのか。
2. 壊れた1回のことを書きます
古本せどりがメインだった頃です。期間としては、2年ほどです。
感覚としては、こういうものでした。
自分は、社会の誰の役にも立っていない。
そう感じるようになってから、金が入ってきても楽しくなくなりました。そしてベッドから起き上がれなくなりました。
実務にも出ました。
| 起きたこと |
|---|
| 梱包と発送が遅れるようになりました |
| お客さんからクレームが入りました |
| それでもやる気が起きず、遅れ続けました |
| どれだけ儲かっていても、同じでした |
最後の行が、この記事の分岐点です。
2-1. 金は、入っていました
「テレワークがつらいのは、収入が不安定だからだ」という説明があります。私の場合は、当てはまりません。
数字は出ていました。それでも起き上がれませんでした。
孤独が原因だ、という説明もあります。これも当てはまりません。孤独の量は、その2年間もそれ以外の18年間も、まったく同じだったからです。
通勤がないから、という説明も同じです。私は最初から通勤していません。
つまり、1章に挙げた4つのどれでもありませんでした。変わったものが1つだけあります。次の章がそれです。
3. 会社が渡していた5つ目のもの
4つの外に、もう1つあります。これがいちばん大きいのに、たいてい数えられていません。
自分の仕事が、誰に届いているかが見えること。
会社にいると、これは無料で手に入ります。同僚が困っていて、それを自分が解いた。その光景が、毎日目の前で起きます。誰も「ありがとう」と言わなくても、届いたことは分かります。
テレワークは、これを画面の向こうに追いやります。成果は数字で報告されますが、誰がどう助かったかは見えなくなります。
3-1. 古本の横流しには、受け手がいませんでした
当時やっていたのは、安く買って高く売ることです。右から左に流すだけの仕事でした。
| 自分がやっていること | 受け手 | |
|---|---|---|
| 横流し | 安く仕入れて、高く売る | 見えません。誰が何のために買ったのか分かりません |
| 修理して売る | 壊れているものを直して売る | 見えます。直っていなければ届かないからです |
この差が、2年分の不調になりました。
いま同じ商売を修理でやっていて、同じ状態にならないのは、直したという事実が、受け手の存在を証明しているからだと思っています。壊れたものが直って動いた。それは自分にしかできなかったことです。
3-2. だから、確認する質問はこれです
あなたの今日の仕事で、誰が、どう助かりましたか。
これに1文で答えられるなら、孤独でも、通勤がなくても、たぶん大丈夫です。
答えられないなら、そこが原因かもしれません。そしてそれは、家で働いているせいではありません。会社に行っていても、同じことは起きます。
| 状態 | 起きること |
|---|---|
| 受け手が見えている | 数字が悪い日でも、やった意味が分かります |
| 受け手が見えていない | 数字が良くても、意味が分かりません |
4. 私が戻った方法は、人と会うことではありませんでした
ここは、はっきり書き方を分けます。
以下は私に起きたことの記録です。治療法でも、おすすめでもありません。
私がやったのは、これだけです。
| 順番 | やったこと | そのあと |
|---|---|---|
| 1 | ジョギングとウォーキングを始めた | 少し良くなりました |
| 2 | ジムに通って筋トレを始めた | 直りました |
雑談の時間をスケジュールに入れたわけでも、仮想オフィスを導入したわけでも、誰かに相談したわけでもありません。人と会う量は、その前後で変わっていません。
ただし、これを一般化する気はありません。私にこう効いたというだけで、なぜ効いたのかを説明することもできません。説明できないことを、根拠があるように書くのはやめます。
4-1. いま同じ状態にいる人へ
私の記録は参考になりません。2年かかっていますし、その間ずっとお客さんに迷惑をかけました。短くする方法があるなら、そちらを取るべきです。
公的な相談先を置いておきます。
| 窓口 | 内容 |
|---|---|
| こころの耳 | 厚生労働省の「働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト」。電話・SNS・メールの相談窓口の案内があります |
| 日本いのちの電話連盟 | 全国の相談窓口の一覧が掲載されています |
これは最終手段ではありません。私は当時、相談するという選択肢を思いつきもしませんでした。それで2年かかりました。
5. 戻ったとき、もう同じ仕事には戻れませんでした
ここを省くと、話が「運動したら治った」という都合のいい話になってしまうので、書きます。
体調が戻った頃には、せどりが嫌になっていました。
それで別の分野を模索し始めました。治って元通り、ではありません。戻ったのは体調だけで、仕事のほうは戻りませんでした。
いま振り返ると、こう思っています。
| 当時の解釈 | いまの解釈 |
|---|---|
| 自分の気持ちの問題だ | その仕事を続けるな、という信号だったのかもしれません |
| 治せば元に戻る | 戻る先が、もうありませんでした |
断定はしません。そう解釈すると辻褄が合う、というだけです。ただ、「やる気が出ない」を根性の問題として処理していたら、たぶんもっと長引きました。
いま同じ仕事を修理という形でやっているのは、受け手が見える形に組み替えたからです。商材は同じ中古品で、変えたのは自分がやることのほうです。この経緯は買取ビジネスは儲からないのかに書きました。
6. 4つの機能を、何で置き換えたか
ここからは、20年かけて実際に組んだものの話です。
1章で、会社が渡していた4つを私は一度も持っていないと書きました。正確には、持っていないのではなく、別のもので置き換えていました。意識して置き換えたわけではなく、20年かけて自然にそうなりました。
| 会社が渡していたもの | 私が代わりに置いたもの |
|---|---|
| 時間の枠 | 集中力。落ちたら休み、回復したら再開します |
| 場所の切替(通勤) | 間取り。一人暮らしでも2LDK以上を選び、仕事部屋と寝室を分けます |
| 進捗の外部確認(報告) | 数字。メルマガの登録数と売上を、前月と比べます |
| 所属の確認(雑談) | 置いていません。20年なくても平気でした |
| 仕事の受け手が見えること | ここだけ置けませんでした。だから1回壊れました |
この表が、この記事の結論です。以下、上から順に中身を書きます。
6-1. 時間の枠の代わりに、集中力を置いています
仕事の終わりは、自分で決めています。時計では決めていません。
| 状態 | やること |
|---|---|
| 集中力が落ちた | 休みます |
| 回復した | 再び仕事をします |
| 見たい作品や、遊びたいゲームがある | 週末はそれに使います |
これは「時間で区切らないと際限なく働いてしまう」という一般的な助言の逆です。私の場合、時間で区切ると、集中しているのに止めることになります。そのほうが効率が落ちます。
ただし、これが成立する条件があります。集中力が落ちたことを、自分で認められることです。無理に続けたぶんは、その日ではなく翌日に返ってきます。
6-2. 通勤の代わりに、間取りを置いています
ここが、この記事でいちばん実務的な部分だと思います。
一人暮らしなのに、2LDK以上に住みます。そして分譲賃貸を選びます。
理由は1つです。
| 起きること | |
|---|---|
| 1部屋しかない | 同じ部屋で働いて、同じ部屋で寝ます。モードが切り替わりません |
| 仕事部屋と寝室が分かれている | 家の中でありながら、部屋を移動することが切替になります |
旧版の記事には「パーテーションや本棚で仕切る」と書いてありました。私はそれでは足りないと思っています。仕切りは視線を遮りますが、ドアを閉めて出ていくことができません。通勤の代わりになるのは、視線を遮ることではなく、その空間から出られることです。
一人暮らしで2LDK以上というのは、家賃だけ見れば無駄に見えます。ですが、会社員が毎日1時間かけて手に入れているものを、部屋数で買っていると考えると、割に合っています。
6-3. 報告の代わりに、数字を置いています
誰にも報告しないので、進んでいるかどうかは自分で判断するしかありません。感覚では判断しません。
| 見ているもの | 判断 |
|---|---|
| メルマガの登録数 | 前月より伸びていれば、評価します 伸び悩んでいれば、何かがズレている可能性を疑います |
| 売上 |
ここで重要なのは、絶対額を見ていないことです。見ているのは前月との差です。他人と比べることも、目標額と比べることもしません。比べる相手を1つに固定しておかないと、自己評価が気分で動きます。
この考え方の出どころは別の記事に書きました。
7. 20年かけて作り込んだのは、3つだけです
環境の作り込みについてです。数は多くありません。
| 買ったもの | グレード | 結果 |
|---|---|---|
| 椅子 | ハイエンド機種 | 腰痛と無縁です |
| 空気清浄機 | 最上位機種 | |
| 机 | ハイエンドではありません | — |
空気清浄機については、効いていると感じています。ただし、なぜ効くのかは書きません。体感であって、根拠を出せないからです。
この3つ以外に、作り込んだものはありません。アプリも、ツールも、追加していません。
金をかけたのは、座ること・呼吸すること・置くことの3つだけです。
旧版の記事には、瞑想アプリ、仮想オフィス、オンラインホワイトボード、タスク管理ツールが並んでいました。私は1つも使っていません。使っていないものを勧めていたので、消しました。
7-1. 増やすものと、減らすもの
| 私の場合 | |
|---|---|
| 金をかけたもの | 椅子、空気清浄機、部屋数 |
| 増やさなかったもの | ソフトウェア、ツール、連絡手段 |
| やめたもの | 外食(横浜に住んでいた頃はしていましたが、いまは全くしません) |
外食をやめたのは、物価が上がったことがきっかけです。調理家電を使って自分で作るようになりました。材料を入れてしまえば手が空くので、その間に仕事ができます。
8. 混雑は、一人で働く人にとって労働時間です
生活動線の話です。これは環境の作り込みより効きます。
いま千葉市に住んでいます。地方都市ですが、土日はどこも混雑します。だからこうしています。
金曜までに備えて、土日は買い物に行かなくていい状態にしておきます。
家の外に出るのは、この4つだけです。
| 用事 | 頻度 |
|---|---|
| 買い物 | 平日にまとめます |
| ジム | 定期的に行きます |
| 市役所や銀行などの用事 | 必要なとき |
| 通院(東京まで行きます) | 頻度は低いです |
会社員なら、混雑は避けられません。通勤時間も、買い物に行ける時間帯も、他人が決めているからです。一人で働く人だけが、混雑を避ける権利を持っています。そして、それを使っていない人が多いと思います。
渋滞に20分はまるのは、20分働かなかったのと同じです。
この考え方が、次の章につながります。
9. テレワークは「どこでも働ける」ではありません
ここから後半です。私が20年かけて、いちばん最後に気づいたことを書きます。
テレワークの説明には、必ずこう書いてあります。「場所を選ばずに働ける」。私の実感は、逆です。
どこでも働けるからこそ、住む場所が効きます。
会社員は、住む場所を職場との距離で決めています。選べないので、場所は変数になりません。だから「どこに住むか」を考えても仕方がない。
一人で働く人だけが、場所を変数として持っています。そして私は、その変数を20年近く使っていませんでした。
9-1. 気づくのに、5回の住み替えが必要でした
| 場所 | 住み方 | 築年数 | 間取り・面積 | 毎月払っていた額 |
|---|---|---|---|---|
| 北柏 | 親が新築で購入。20年住んで売却 | 新築から20年 | — | — |
| 月島 | 親が新築で購入。22年住んで売却 | 新築から22年 | — | — |
| 東戸塚(1年) | 人生で初めての賃貸。民間の収益物件 | 築36年 | 3LDK・83㎡ | 15.0万円 |
| 海浜幕張(現在) | 住宅供給公社の賃貸住宅 | 築28年 | 2LDK・70㎡ | 13.5万円 |
| 名古屋市港区(検討中) | 分譲マンションに、賃貸で入ります | 築6年 | 3LDK・70.43㎡ | 18.2万円 |
家賃だけでなく、管理費と駐車場を足した実額です。内訳はこうなっています。
| 東戸塚 | 海浜幕張 | 名古屋市港区 | |
|---|---|---|---|
| 家賃 | 130,000円 | 118,000円 | 160,000円 |
| 管理費・共益費 | 6,000円 | 6,000円 | 10,000円 |
| 駐車場 | 14,000円 | 11,000円 | 12,000円 |
| 合計 | 150,000円 | 135,000円 | 182,000円 |
東戸塚のほうが、いまより月15,000円高くて、しかも13平方メートル広い部屋でした。
いちばん広い部屋から、いちばん狭い部屋に移って、生活は良くなっています。ここが、この章で言いたいことの全部です。
東戸塚以降はすべて一人暮らしで、賃貸はどれも2LDK以上です。6章に書いた、通勤の代わりに間取りを置くという話です。
以下、1つずつ何が分かったかを書きます。
10. 北柏で分かったこと|街は、進化しないことがあります
幼少期を過ごした街です。私が20歳で月島に出るまで、街はまったく進化しませんでした。
その20年で駅前に増えたのは、コンビニとマクドナルドだけです。
これは北柏だけの話ではありません。千葉市の多くもそうです。1970年代から80年代に開発され、すでに40年以上が経っています。
| 古い開発の街に起きていること |
|---|
| 計画なしに作られているので、道が1車線しかありません |
| 歩道が狭いです |
| いまの車の量や生活の仕方に、街の作りが追いついていません |
| 結果として、移動の効率がとても悪くなります |
10-1. 資産としての結果も、街で違いました
親が2回、新築を買って、20年以上住んで売っています。やったことは同じですが、結果は違いました。
| 売った結果 | |
|---|---|
| 北柏 | 買った値段とほぼ同じ値段でした |
| 月島 | 大幅なプラスでした |
北柏はバブル崩壊後に買っているので、そこから下がらなかったこと自体は悪い結果ではありません。ただ、同じ「新築を買って20年以上住む」という行為で、これだけ差が出ます。
差を作ったのは、買い方ではなく街です。
11. 東戸塚で分かったこと|選び方を、全部間違えました
月島を出て、最初の1年です。人生で初めて自分で借りた部屋でした。
なぜそこを選んだかというと、中学のときの友達が住んでいて、30年前にそれを見て感動したからです。いつか住みたいと思っていました。
30年前に見て感動したことは、住む判断の材料になりません。
11-1. 何を間違えたか
| 選んだもの | 起きたこと |
|---|---|
| 坂の多い地形 | 移動が大変です。年を取ったら詰むと思いました |
| 駅から徒歩20分 | 立地としては悪い場所です |
| 幹線道路沿い | 車やバイクの音が、24時間入ってきます。眠れなくなりました |
| 築36年の収益物件 | |
| 駐車場が狭い | 車が入らないので、近隣の駐車場を別に契約しました |
横浜まで数キロしかないのに、車でも電車でも30分かかりました。田舎に住んでいるのに、車中心の生活の機動性が悪い。
入居して2か月で、無理だと判断しました。ただし違約金が発生するので、1年だけ我慢して、違約金を払って出ました。
11-2. スーパーに行くのが大変な街を、初めて見ました
住みながら観察していて、いちばんこたえたのはこれです。
年輩の方が、バスでスーパーに買い物に来ていました。
買い物ひとつで、こんなに大変な生活になるのかと思いました。坂の街では、歩いて帰れないからです。
私が受け取ったのは、こういうことです。
| 効いてくるもの | |
|---|---|
| いま | 移動時間。1回あたり数分の差が、毎日積み上がります |
| 20年後 | 坂を上れるかどうか。ここは努力ではどうにもなりません |
誤解のないように書いておきますが、これは横浜という街の評価ではありません。私が1年住んだのは、東戸塚の、駅から徒歩20分の、幹線道路沿いの、築36年の収益物件です。1件の物件と1つの地形から街全体を判断するのは、根拠として弱すぎます。
私が学んだのは、地名ではなく変数のほうです。坂か平地か。駅からの距離。幹線道路沿いかどうか。築年数。そして次の項目です。
11-3. 音は、設備の問題です
東戸塚では、築36年ということもあってサッシが弱く、外の音が24時間入ってきました。幹線道路沿いなので、車とバイクの音です。
これは、私が2回続けて経験することになります。いまの家でも起きているからです。
| 築年数 | 音 | |
|---|---|---|
| 東戸塚 | 築36年 | 外から(幹線道路) |
| いまの家 | 築28年 | 上から(上の住民の生活音) |
物件の種類は変わりました。民間の収益物件から、住宅供給公社の賃貸住宅へ。それでも音は消えていません。
効いている変数は物件の種類ではなく、築年数です。
一人で働く人にとって、音は設備の問題です。会社なら、うるさい席から移ればいい。家で働く人には、移る先がありません。
12. 海浜幕張で分かったこと|計画して作られた街は、違います
東戸塚を出るとき、条件を言語化しました。そして、その条件をAIに渡して探させました。
| 出した条件 |
|---|
| 平地であること |
| 湾岸沿いであること |
| 商業施設が充実していること |
提案されたのが海浜幕張でした。それで住むことにしました。
ここは、実際に住んでみて驚いたことがあります。
12-1. 1年住んで、渋滞に一度も遭っていません
夕方のピークの時間でも、渋滞を食らったことが一度もありません。
計画して開発された街なので、道路が広く、本数も多いからです。1車線しかない道を、みんなで使う必要がありません。
その結果、こうなりました。
| 移動効率 | |
|---|---|
| いま(海浜幕張) | ほぼすべての用事が、車で10分以内に完結します |
| 東京に住んでいた頃 | いまのほうが、移動効率は高いです |
ここは意外に思われるかもしれません。東京のほうが何でも近いはずだからです。ところが、近くても混雑していれば、かかる時間は同じか、それ以上になります。
12-2. 唯一の難点と、その扱い方
難点は東京へのアクセスの悪さです。ただし、8章に書いたとおり、東京に行く頻度自体が低いので、大きな問題になっていません。
行くときは、こうしています。
| 手順 |
|---|
| 駅前の1日1,000円の駐車場に車を止めます |
| 京葉線に乗ります |
| 新木場で乗り換えます |
そしてこのルートには、海が見える場所があります。私はそれが好きです。
ここで初めて、こう感じるようになりました。
湾岸エリアに住むというのは、見栄ではなく、自分に合っているのだ。
12-3. 内陸と湾岸で、何が違うのか
私が見つけた変数は、これです。
| 傾向 | |
|---|---|
| 内陸 | 開発がすでに終わっていて、昭和のままの街であることが多いです。後から開発された坂の多い街も、珍しくありません |
| 湾岸の埋立地 | 平地です。そして開発が新しいので、計画して作られていることが多いです |
坂と渋滞は、私の場合、確実に調子を崩します。1回あたりは数分の差でも、毎日のことなので積み上がります。
12-4. ただし、いまの家にも限界があります
海浜幕張には概ね満足しています。ですが、建物のほうには限界があります。
| いまの家 | 起きていること |
|---|---|
| 築28年 | 上の住民の生活音が入ってきて、気になります |
| 収益物件 |
東戸塚は外からの音でした。海浜幕張は中からの音です。種類は違いますが、原因は同じです。貸すために作られた、古い建物だからです。
13. 名古屋市港区|3回分の経験を、1か所に統合します
次に移る先として検討しているのが、名古屋市港区です。海浜幕張の上位互換だと考えています。
13-1. スマートシティであること
気に入っているのは、エネルギー効率と、非常時の冗長性を確保した作りになっていることです。
国土交通省は、スマートシティをこう定義しています。
「都市が抱える諸課題の解決に向けて、ICT等の新技術やデジタル情報を活用のうえ、計画、整備、管理・運営等のマネジメントを通じ、全体最適化が図られた持続可能な状態を目指す都市または地区における取組」
海浜幕張で「計画して作られた街は違う」と分かったので、その次の世代を選びに行くということです。
13-2. 分譲賃貸であること
音の問題に2回続けて当たったので、次は分譲マンションを賃貸で借ります。貸すために建てられた部屋ではなく、人が住むために建てられた部屋です。
ただし、これも予測です。11-3に書いたとおり、効いている変数は物件の種類ではなく築年数でした。次の物件は築6年です。築28年から築6年になるので改善するはずだ、というのが私の見立てで、根拠は築年数のほうです。
13-3. 金額を並べます
以下はすべて、私が実際に払っている金額と、検討している物件の掲載条件です。
| いま(海浜幕張) | 名古屋市港区 | |
|---|---|---|
| 家賃 | 118,000円 | 160,000円 |
| 管理費・共益費 | 6,000円 | 10,000円 |
| 駐車場 | 11,000円 | 12,000円 |
| 毎月の合計 | 135,000円 | 182,000円 |
| 間取り・面積 | 2LDK・70㎡ | 3LDK・70.43㎡ |
| 築年数 | 築28年 | 築6年 |
| 物件の種類 | 住宅供給公社 | 分譲賃貸 |
| 駅から | 徒歩15分 | 徒歩5分 |
月47,000円の追加で、築28年が築6年になり、駅まで15分が5分になります。
面積はほとんど変わりません。70平方メートルが70.43平方メートルです。広さは買っていません。買っているのは築年数と駅距離です。
そして、この金額には礼金と仲介手数料が別にかかります。公社にはどちらもありませんでした。戻ってこないお金がいくらになるかは、賃貸探しの記事に分けて書きました。
これが成立するのは、地域差があるからです。同じ条件の部屋を海浜幕張で探すと、築30年レベルでも22万円ほどになります。
13-4. 移動と、人口密度
| 名古屋市港区 | |
|---|---|
| 日常の用事 | 商業施設が充実していて、海浜幕張と同じく10分レベルで完結します |
| 新幹線、最寄り駅 | 名古屋駅まで電車で20分。最寄り駅まで徒歩8分(海浜幕張では徒歩15分だった) |
| 空港 | 中部国際空港 セントレア。鉄道で45分〜55分 |
| 人口密度 | 半分以下。7,025人/km²から2,909/km² |
人口密度については、公表されている数字があります。名古屋市の資料によると、港区は面積45.64平方キロメートル、人口132,755人、人口密度2,909人/平方キロメートルです(令和7年国勢調査の速報値、令和7年10月1日現在)。海浜幕張約7,025人/km²であるため、半分以下の人口密度になります。
陸・海・空のすべてにアクセスが開かれた三大都市で、しかも人口密度は下がります。
これが「上位互換」と書いた理由です。海浜幕張で得たものを1つも手放さずに、東京アクセスという唯一の難点だけが解消されます。
14. なぜ、5回住まないと分からなかったのか
ここまで読むと、最初から条件で選べばよかったのではと思われるかもしれません。私もそう思います。
ですが、実際にはこうでした。
| 住んだ場所 | そこで初めて分かった変数 |
|---|---|
| 北柏 | 街には、進化しない街がある |
| 月島 | 同じ買い方でも、街が違えば結果が違う |
| 東戸塚 | 地形(坂)/駅距離/幹線道路/築年数/物件の種類 |
| 海浜幕張 | 計画して開発された街は、移動効率が違う |
| 名古屋市港区(これから) | — |
1か所しか住んでいないと、そこが基準になります。だから変数として見えません。
北柏に20年住んでいたとき、私は街が進化しないことを異常だと思っていませんでした。月島に出て、初めて比較対象ができました。
同じように、坂が問題だと分かったのは、坂の街に住んでからです。渋滞のない街があると分かったのは、渋滞のない街に住んでからです。
これに20年近くかかりました。いま同じことをやるなら、条件を言語化して探すほうが早いと思います。私が海浜幕張を選んだときは、実際にそうしました。
15. 判定表
ここまでを、自分に当てはめられる形にします。
| 判定 | 状態 |
|---|---|
| ◎ | 今日の仕事で誰がどう助かったかを1文で言える+仕事する場所と寝る場所が分かれている+進捗を数字で見ている |
| ○ | 受け手は見えているが、場所も時間もまだ分かれていない |
| △ | 環境は整えたが、自分の仕事の受け手が誰なのか説明できない |
| × | 数字は出ているのに、やった意味が分からない |
| × | 寝る場所で仕事をしている。1日の中に、切り替わる瞬間がない |
| × | 進捗を気分で判断している(比べる相手が日によって変わる) |
| × | 音が気になる部屋で、毎日仕事をしている |
| × | ツールとアプリを増やしているが、椅子は買っていない |
| × | 混雑する時間に、混雑する場所へ買い物に行っている |
16. 明日からの1手
| # | やること | かかる時間 |
|---|---|---|
| 1 | 今日の仕事で、誰がどう助かったかを1文で書く | 3分 |
| 2 | 書けなかったら、それが原因かもしれないと疑う(環境の問題として処理しない) | — |
| 3 | 仕事する場所と寝る場所を、物理的に分ける。部屋がなければ、まず机の向きを変える | 1時間 |
| 4 | 進捗として見る数字を、1つか2つに決める。そして比べる相手を「前月の自分」に固定する | 10分 |
| 5 | 椅子をいま座っているものより上のグレードにする(アプリを増やすより先に) | — |
| 6 | 買い物に行く曜日を、混雑しない日に固定する | — |
| 7 | いま住んでいる場所を、変数に分解して採点する(次の章) | 15分 |
| 8 | 起き上がれない状態が続いているなら、4章の窓口を見る | — |
16-1. 住んでいる場所を、採点してみてください
これは引っ越しを勧める話ではありません。いまの場所の何が効いていて何が効いていないかを、言葉にするための表です。
| 変数 | 自分の場合 |
|---|---|
| 地形(平地か、坂か) | |
| 道路(渋滞するか) | |
| 街の年齢(開発から何年か。この10年で何が増えたか) | |
| 用事が終わるまでの時間(買い物・役所・病院) | 分 |
| 物件の種類(収益物件か、分譲か) | |
| 築年数 | 年 |
| 音(外から/上から) | |
| 部屋数(仕事と睡眠を分けられるか) |
3行目が、意外と効きます。この10年で駅前に何が増えたかを思い出してみてください。何も増えていないなら、次の10年も増えません。
17. まとめ
- 私は正社員をしたことがなく、20年近くずっと自宅で一人で働いてきました。だから会社員としてのテレワークは書けません
- 会社が渡していた4つ(時間の枠・場所の切替・進捗の外部確認・所属の確認)を、私は一度も持ったことがありません。それでも壊れたのは1回だけです
- よく挙げられる原因のうち3つは、私に20年ずっと当てはまっています。ということは、あれらは原因ではなく条件です
- 壊れた1回の原因は、そのどれでもありませんでした。金は入っていましたし、孤独の量も変わっていません
- 変わったのは、自分の仕事が誰に届いているかが見えなくなったことです。これが会社が渡していた5つ目のものです
- 戻った方法は、人と会うことではありませんでした。ただしこれは私の記録であって、処方ではありません
- そして戻ったとき、もう同じ仕事には戻れませんでした。体調だけが戻りました
- 4つの機能は、別のもので置き換えられます。時間の枠は集中力で、通勤は間取りで、報告は数字で
- 一人暮らしでも2LDK以上に住み、仕事部屋と寝室を分けます。仕切りでは足りません。ドアを閉めて出られることが切替になります
- 作り込んだのは椅子・空気清浄機・机の3つだけです。ツールもアプリも増やしていません
- 混雑は、一人で働く人にとって労働時間です。金曜までに備えて、土日は買い物に行きません
- テレワークは「どこでも働ける」の逆で、どこでも働けるからこそ場所が効きます。会社員は場所を選べないので、そもそも変数になりません
- 5回住み替えて、ようやく変数が見えました。坂、渋滞、街の年齢、物件の種類、築年数、音、部屋数
- 1か所しか住んでいないと、そこが基準になるので変数として見えません
- 13章だけは、住む前の予測です。何を期待しているかを先に書き出してあります。外れたら、外れたと追記します
18. あわせて読むもの
| 知りたいこと | 記事 |
|---|---|
| なぜ利益額ではなく時間で測るのか | 「続けていれば少しずつ増える」という助言を、撤回します |
| 受け手が見える商売とは何か | 買取ビジネスは儲からないのか |
| 人に任せられる仕事と、任せられない仕事 | メルカリの外注化 |
| 派手ではないが続く仕事の条件 | 地味に儲かる副業 |
| 実家に住みながら働くという選択 | 実家暮らしを続けるということ |
19. この記事で参照した情報源
| 内容 | 出典 |
|---|---|
| 働く人のメンタルヘルスに関する情報と相談窓口 | 厚生労働省「こころの耳」働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト |
| 全国の相談窓口一覧 | 日本いのちの電話連盟 |
| スマートシティの定義 | 国土交通省 スマートシティに関する取り組み |
| ZEH-M Orientedの外皮基準・省エネ基準 | 資源エネルギー庁「ZEHの定義(改定版)<集合住宅>」 |
| 名古屋市港区の面積・人口・人口密度 | 名古屋市「人口・国勢調査・面積と人口密度」 |
20. この記事について
本文に書いた不調の経過は、私に起きたことの記録です。診断でも、治療法でも、同じようにすれば同じ結果になるという主張でもありません。同じような状態にある方は、19章に挙げた窓口や医療機関にご相談ください。
家賃・築年数・間取りの数字は、私が実際に契約していた金額と、検討している物件の金額です。地域や時期によって条件は変わりますので、そのまま当てはめられるものではありません。
特定の地域や物件について、良し悪しを断定する意図はありません。東戸塚について書いたのは、私が選んだ1件の物件と、その立地で起きたことです。
本記事は特定の収益や成果を保証するものではありません。

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