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THE WEALTH LADDER(富の階段)完全ガイド:資産レベルが上がり続けるシンプルな戦略

富の階段 QOL
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「なぜ、同じように働いているのに、あの人と自分とでは資産に雲泥の差がつくのか?」

「毎月節約し、コツコツ投資もしている。それなのに、経済的な不安は一向に消えない…」

もしそう感じているなら、あなたの努力が足りないわけではありません。

ベストセラー『Just Keep Buying』の著者であり、データサイエンティストでもあるニック・マジウリ氏は断言します。

「あなたの問題は、努力不足ではない。自分の資産レベルに合っていない『間違った戦略』を続けていることだ」

 

本書『THE WEALTH LADDER(富の階段)』が提示するのは、富裕層だけが知る、資産レベルごとの「正解」。

純資産1万ドル未満の「レベル1」と、100万ドル超の「レベル4」では、支出、稼ぎ方、投資のすべてにおいて、取るべき行動は真逆です。

 

もし、あなたが今いる「現在地」を知り、次のステージに進むための「正しい戦略」に切り替えるだけで、資産が上がり続ける未来が手に入るとしたら?

この記事は、あなたの経済的人生を根本から変えるかもしれない「富の階段」の完全ガイドです。

自分が今いる「段」と、次に何をすべきかを明確にし、経済的自由への最短ルートを登り始めましょう。

 

メルマガ

0. 導入:なぜあなたの資産は増えないのか? 問題は「努力」ではなく「戦略」にある

 

多くの人々が「一生懸命働いているのに、一向に資産が増えない」「必死に節約しても、経済的な閉塞感から抜け出せない」という深刻な悩みを抱えています。彼らは、成功できない理由を自分の努力不足や不運のせいだと考えがちです

しかし、本書『THE WEALTH LADDER(富の階段)』の著者ニック・マジウリ氏は、その根本的な原因は「努力」ではなく「戦略」にあると断言します 。多くの人が、自分の資産レベル(現在地)に適していない、間違ったアプローチを続けているために、貴重な時間とエネルギーを浪費しているのです

例えば、ある専門家は「節約こそが成功の鍵だ」と言い、別の専門家は「ビジネスを始めるべきだ」と主張します。本書によれば、どちらも間違ってはいません。ただ、彼らは「富の階段」のまったく異なる段にいる人々へ向けて話しているだけなのです

 

本書の結論はシンプルです。純資産が1万ドル未満の「レベル1」と、100万ドルを超える「レベル4」では、支出、稼ぎ方、投資の「正解」が根本的に異なります。この「富の階段」という画期的なフレームワークを理解し、自分のレベルに合った戦略に切り替えることこそが、資産を増やし続ける唯一の道なのです

1. そもそも『THE WEALTH LADDER(富の階段)』とは何か?

 

『THE WEALTH LADDER(富の階段)』とは、資産構築のプロセスを直線的なものではなく、明確な「段階(レベル)」に分かれた「はしご(ラダー)」を登るようなものだと捉える、新しい資産形成のフレームワークです。

1-1. 著者ニック・マジウリ(Nick Maggiulli)氏とはどんな人物か?

 

この概念を提唱したのは、ニック・マジウリ氏です。彼は単なる理論家ではなく、データと実践の両方に精通した人物です。

  • Ritholtz Wealth ManagementのCOO兼データサイエンティスト彼は現在、著名な資産運用会社で最高執行責任者(COO)兼データサイエンティストを務めています。日々の業務で本物の富裕層の資産動向やビジネスインテリジェンスに触れています。
  • ベストセラー『Just Keep Buying』の著者彼の前著『Just Keep Buying』は、データに基づいたシンプルな投資継続の重要性を説き、世界的なベストセラーとなりました。
  • 労働者階級出身のバックグラウンド彼の特筆すべき点は、彼自身が労働者階級の家庭出身であることです。両親はマクドナルドで出会い、彼は幼少期に両親の離婚や複数回の自己破産を経験しています。彼は「富の階段」をゼロから自力で登ってきた実践者でもあります。

1-2. なぜ「階段(ラダー)」なのか? 富は直線的に増えないという現実

 

私たちは「資産が増えれば、その分だけ着実に生活が良くなる」と信じがちですが、マジウリ氏はこれを否定します。

  • $40万と$50万の生活はほぼ同じだが、$1,000と$10万の生活は全く違う例えば、純資産が$40万ドルから$50万ドルに増えても、運転する車や住む家、買い物をする店が劇的に変わることはほとんどありません。しかし、純資産が$1,000ドルの人と$10万ドルの人とでは、生活スタイルは根本的に異なります。
  • 富は「段階的」に生活の質を変化させる富の恩恵は、1ドル増えるごとに徐々に増えるのではなく、ある特定の「しきい値」を超えるたびに、ステップ状に(階段を一段登るように)大きく変化します。この「段階」こそが「富の階段(ウェルス・レベル)」なのです。

1-3. 【全体像】あなたの現在地は? 純資産で分ける6つの「ウェルス・レベル」

 

マジウリ氏は、この階段を純資産額に基づいて以下の6つのレベルに分類しました。各レベルは約10倍の差で区切られており、これはライフスタイルに大きな変化をもたらすために必要な富の増加量と一致しています

 

  • レベル1:純資産 < $10,000(1万ドル未満)

  • レベル2:純資産 $10,000 – $100,000(1万~10万ドル)

  • レベル3:純資産 $100,000 – $1,000,000(10万~100万ドル)

  • レベル4:純資産 $1,000,000 – $10,000,000(100万~1000万ドル)

  • レベル5:純資産 $10,000,000 – $100,000,000(1000万~1億ドル)

  • レベル6:純資産 $100,000,000+(1億ドル以上)

1-4. データで見る富の分布:あなたは多数派? それとも少数派?

 

このレベル分けは、世界と米国(裕福な先進国)とで、人々の分布が大きく異なります。

  • 世界の分布:レベル1・2が大多数(合計82.5%)2023年時点のデータでは、世界中の成人の大多数はレベル1(39.5%)とレベル2(43%)に集中しています 1010。この2つのレベルで、世界全体の82.5%を占めており、多くの人々がまだ階段の初期段階にいることがわかります。
  • 米国の分布:レベル3(ミドルクラス)が最多(43%)一方、富が集中している米国では、分布が上方にシフトしています。米国ではレベル3(10万~100万ドル)が43%と最も多く、いわゆるミドルクラスを形成しています。とはいえ、レベル4以上は少数派であることに変わりはありません。

2. レベル別3大戦略(支出・稼ぎ方・投資)はどう変わるか?

 

『THE WEALTH LADDER(富の階段)』の最も重要な教えは、あなたの資産レベルによって、取るべき最適な戦略が劇的に変わるという点です。レベル1の人がレベル6の人と同じ戦略(例:ビジネスの拡大)を採っても意味がなく、逆もまた然りです

 

ここでは、富の階段を登るために不可欠な「支出」「稼ぎ方」「投資」の3つの戦略が、レベルに応じてどう変わるかを解説します。

2-1. 【支出戦略】「0.01%ルール」と「〇〇の自由」

 

多くの人は収入に基づいて支出を決めますが、著者は**「富(純資産)に基づいて支出せよ」**と主張します。そのための指針が「0.01%ルール」と、それによって得られる「自由」のレベルです。

2-1-1. 0.01%ルールとは? 純資産の0.01%を「ささいな出費」と定義する

 

「0.01%ルール(Point Zero One Percent Rule)」とは、**あなたの純資産の0.01%(1万分の1)**にあたる金額を、長期的な資産に影響を与えない「ささいな出費」と見なす考え方です 

例えば、純資産が$10,000(レベル2)なら$1が、純資産$100,000(レベル3)なら$10が、迷わず支払える金額の目安となります

2-1-2. レベル別「支出の自由」:食料品→外食→旅行→家→インパクト

 

このルールに従うと、富のレベルが上がるにつれて「気にしなくてよい出費」のカテゴリーが上がり、精神的な「自由」が手に入ります

 

  • レベル1 (< $10k): 給料日前のやりくり(Paycheck-to-paycheck)

  • レベル2 ($10k–$100k): 食料品の自由(Grocery freedom) – スーパーで欲しいものが買える 

  • レベル3 ($100k–$1M): 外食の自由(Restaurant freedom) – レストランで食べたいものが選べる 

  • レベル4 ($1M–$10M): 旅行の自由(Travel freedom) – 好きな時に好きな場所へ行ける 

  • レベル5 ($10M–$100M): 家の自由(House freedom) – 夢の家が買える 

  • レベル6 ($100M+): インパクトの自由(Impact freedom) – 慈善事業などで他者に絶大な影響を与えられる 

2-1-3. なぜ収入ではなく「富(純資産)」で支出すべきか? 収入は不安定である

 

収入(フロー)は不安定です。特に高所得者ほど、収入が急減するショックは永続的なダメージとなりやすいというデータもあります。高収入アスリートが破産する例のように、収入に合わせた支出は危険です

 

一方、富(ストック)は、あなたが過去に規律を守り貯蓄した「証」です収入ではなく、築き上げた富のレベルに基づいて支出することで、不意の収入減によって階段から転落するリスクを防ぐことができます

 

2-2. 【稼ぎ方戦略】「1%ルール」と4つのレバレッジ

 

支出と同様に、「稼ぎ方」の戦略もレベルに応じて変えなければなりません。かつては割に合った仕事(例えば時給$20の副業)も、富が増えれば機会費用に見合わなくなります

2-2-1. 1%ルールとは? 純資産を1%増やす機会に集中せよ

 

稼ぎ方において著者が提唱するのが「1%ルール」です。**その収入機会があなたの純資産を最低1%増加させる可能性があるか?**を基準に判断します。もし$100しか純資産がないレベル1なら、$1(1%)の仕事でも価値がありますが、純資産$100万のレベル4なら、$10,000(1%)の価値が見込めない機会は無視すべきです。

2-2-2. レベル別「稼ぎ方」:時給労働からビジネスオーナーシップへ

 

このルールに基づき、富のレベルが上がるにつれて、時間の使い方(働き方)は「労働」から「投資」や「ビジネス」へとシフトしていきます 21

 

  • レベル1: 時給の仕事($10–$100の機会)

  • レベル2: 高スキル労働($100–$1,000の機会) 

  • レベル3: キャリアアップ、サイドハッスル、小規模投資($1k–$10kの機会)

  • レベル4: キャリア転換、ビジネス開始、中規模投資($10k–$100kの機会)

  • レベル5 & 6: ビジネスの成長、大規模投資、企業構築($100k以上の機会)

2-2-3. データが示す現実:高収入と高資産の強い相関(SCF 2022)

 

「収入が富を作る」。これは個人金融における最も強い関係性です。2022年の米国消費者金融調査(SCF)を見ても、富のレベルが高い世帯ほど、世帯収入の中央値も劇的に高いことがわかります

  • レベル1世帯の収入中央値:$32,427

  • レベル3世帯の収入中央値:$83,230

  • レベル5世帯の収入中央値:$724,211 29

今日の収入が、明日の富の基盤です

2-2-4. 収入を飛躍させる4つのレバレッジ:「労働」「資本」「コンテンツ」「コード」

 

収入を飛躍的に増やし、ラダーを登るには「レバレッジ(てこの原理)」が必要です。マジウリ氏はナヴァル・ラヴィカント氏の説を引き合いに、4種類のレバレッジを紹介しています

 

  • 労働: 他人を雇用し、管理することで、自分の時間以上の価値を生み出す(レベル3-6戦略)

  • 資本: 自分または他人のお金(資本)を投資し、増やす(レベル3-6戦略)

  • コンテンツ: 一度作れば無限に複製可能なメディア(ブログ、本、動画など)。許可が不要でスケーラブル(レベル2-4戦略)

  • コード: プログラミング。一度作れば無限に複製可能なソフトウェアやアプリ(レベル3-5戦略)

2-3. 【投資戦略】「お金がかかる資産」から「お金を生む資産」への大転換

 

あなたが何に投資しているか(資産構成)も、富のレベルを明確に反映します。決定的な違いは、その資産が「お金を消費するもの」か「お金を生み出すもの」かです。

2-3-1. レベル1-3のポートフォリオ:現金、車、自宅が中心

 

階段の低いレベルにいる世帯ほど、資産の多くが生活に必要なもの、つまり「非・収入生産資産」で占められています

 

  • レベル1: 資産の大部分は現金と車

  • レベル2: 車と主な住居(持ち家)が中心

  • レベル3: 主な住居と退職金口座が2大資産

2-3-2. レベル4-6のポートフォリオ:ビジネス、株式、不動産が中心

 

一方、階段の上位レベルでは資産構成が逆転します

 

  • レベル4: 主な住居、退職金口座に加え、株式の割合が増加します

  • レベル5: 資産のトップは株式・投資信託であり、次にビジネス権益、退職金口座が続きます

  • レベル6: 資産の大部分(平均55%)はビジネス権益(自身が経営・関与する事業)が占めます

2-3-3. 決定的な違い:「非・収入生産資産」から「収入生産資産」へのシフト

 

レベル1-3の世帯は資産の80%以上が「非・収入生産資産」であるのに対し、レベル4-6の世帯は資産の50%以上が「収入生産資産」です

富の階段を登るとは、言い換えれば、「お金がかかる資産」を「お金を生む資産」に組み替えていくプロセスなのです

3. 【レベル別】富の階段を登るための完全ロードマップ(第II部)

 

富の階段の全体像を理解したら、次は「今いる段から、どうやって次の段へ登るか」という具体的な戦略に移ります。第II部では、レベル1からレベル6まで、各段階で直面する特有の課題と、それを乗り越えるためのロードマップを詳述します。


3-1. レベル1(< k):生存と安定のフェーズ

 

3-1-1.テーマ:「非定型な結果は非定型な行動を必要とする」

 

レベル1は、経済的な基盤が最も脆弱な段階です。このレベルでは、機会が著しく制限され、小さな不運が人生を揺るがす危機になり得ます。この状況を脱するには、中途半端な行動ではなく、抜本的な行動が求められます。

3-1-2. 最大のリスク:高金利の借金(特にクレジットカード)と不運の増幅

 

このレベルで最も警戒すべきは、高金利の負債、特にクレジットカードのリボ払いです 3。ウォーレン・バフェット氏が言うように、年利18%や20%で借金をしていては、経済的に前進することは不可能です。レベル1では不運の影響が増幅されるため、借金はまさに経済的なアンカー(重り)となり、あなたを階段の底に縛り付けます。

3-1-3. 脱出戦略:支出削減より「収入増」。借金せずにスキルを磨く

 

レベル1の人々にとって、「支出を切り詰めろ」というアドバイスはほとんど役に立ちません 。データによれば、低所得層はすでにあらゆる支出を必需品に充てており、切り詰める余地がないからです

本当の問題は支出ではなく「収入」です。レベル1を脱出する唯一持続可能な方法は、収入を増やすこと。そのために、借金をして高額な教育を受けるのではなく、まずはお金をかけずに市場価値のあるスキルを身につけること(例:働きながら学ぶ、無料でスキルを教わる)に集中すべきです

 

3-2. レベル2(k–0k):キャリア構築のフェーズ

 

3-2-1.テーマ:「今日学び、永遠に稼ぐ」 

 

レベル2は、ある程度の経済的バッファ(緩衝材)が生まれ、目先の生存(レベル1)から将来の成長へと視点を移す段階です。

3-2-2. 最重要戦略:「教育」への投資。将来の高収入の基盤を作る

 

このレベルは、キャリアと将来の収入基盤を構築するための**「教育」に投資する絶好の機会(スイートスポット)**です。レベル1のように借金リスクに怯える必要がなく、レベル4以上のようにすでにお金がありすぎて教育投資のリターンが見合わなくなることもありません

 

教育は、一度身につければ誰にも奪うことのできない資産であり、あなたの人生全体にわたって配当(より高い収入)を生み出し続けます

3-2-3. キャリアの3要素:「得意なこと」「興味があること」「稼げること」

 

では、どのようなキャリア(教育)を選ぶべきか? 著者はポール・グレアムのフレームワークを引用しつつ、以下の3つの要素が重なる領域を見つけることが重要だと述べています

 

  1. あなたが(生まれつき)得意なこと

  2. あなたが深い興味を持てること

  3. 人々がお金を払ってくれること(=稼げること)

     

3-3. レベル3(0k–M):複利と多角化のフェーズ

 

3-3-1.テーマ:「Just Keep Buying(ただ買い続けよ)」

 

レベル3は、多くの人が「ミドルクラス」として留まる、広大な踊り場です。ここからレベル4へ突き抜けるには、戦略的な投資が不可欠です。

3-3-2. 最重要戦略:複利効果の最大化。「収入を生む資産」を買い続ける

 

レベル3は、投資があなたの将来の富を本格的に変え始めるレベルです$10,000の投資(レベル2)と$100,000の投資(レベル3)では、同じリターンでも得られる金額が10倍異なります。このレベルの戦略は、著者の前作のタイトルでもある「Just Keep Buying」—つまり、収入を生み出す資産(株式、債券、不動産など)を、規律を持って継続的に買い続けることです

3-3-3. 加速戦略:サイドハッスルの開始(例:ウォータースキーをするリス「Twiggy」)

 

投資と並行して、レベル4への上昇を加速させるのが**サイドハッスル(副業)**です。著者は、メリーランド州の「怖すぎる橋」を代わりに運転して渡るサービスや、ウォータースキーをするリス「Twiggy」のショービジネスといったユニークな例を挙げ、ニッチな需要を見つけることの重要性を示しています。

3-3-4. 最大のリスク:家や車など、高額な「見栄の消費」

 

レベル3から脱出できない最大の要因は、支出のコントロールミスです。データ上、レベル3は米国で持ち家率が90%に達するレベルであり、多くの人がここで資産の大半を(収入を生み出さない)マイホームに投じてしまいます。必要以上に高額な家や車といった「見栄のための消費」が、あなたをレベル3に縛り付ける最大の足かせとなります

 

3-4. レベル4(M–M):ゲームチェンジのフェーズ

 

3-4-1.テーマ:「ここに来るまでのやり方が、この先に連れて行ってくれるとは限らない」 

 

レベル4(ミリオネア)は、多くの人にとっての「ゴール」ですが、さらに上を目指す者にとっては最大の関門となります。なぜなら、ここまでの成功法則が通用しなくなるからです。

3-4-2. 課題:最も脱出が困難な「停滞レベル」。高収入の仕事だけでは限界


レベル4は、富の階段において最も脱出が困難なレベルです
。その理由は、レベル3まで有効だった「高収入の仕事+貯蓄+インデックス投資」という戦略が、ここでは限界を迎えるからです

 

試算によれば、純資産$100万の人が、たとえ毎年$20万ドル(約3000万円)という高額な貯蓄を続けても、レベル5($1000万)に到達するには21年もかかります。あなたの「仕事による貯蓄」は、すでに巨大化した「資産が生み出すリターン」の前では、影響力が小さくなっていくのです。

3-4-3. 脱出戦略:ビジネスオーナーシップ。エクイティ(株式)の獲得

 

レベル5へ進む戦略は、これまでとはまったく異なります。それは**「ビジネスオーナーシップ」であり、「エクイティ(株式、特に未公開株)」**の獲得です。レベル4を超える富裕層の多くは、高給取りの「従業員」ではなく、成功したビジネスの「オーナー」または「初期の出資者」なのです

3-5. レベル5(M–0M):リスク管理のフェーズ

 

3-5-1.テーマ:「偏執狂(パラノイア)だけが生き残る」 

 

レベル5に到達すると、戦略の主眼は「富の構築」から「富の防衛」へとシフトします。インテルの元CEOアンディ・グローブの言葉「偏執狂(パラノイア)だけが生き残る」がテーマです

3-5-2. 戦略的分岐点:ビジネスの売却か、さらなるスケールアップか

 

このレベルの起業家は、「既存のビジネスを売却して利益を確定(=リスク回避)する」か、「さらにスケールアップさせてレベル6を目指す」かの二択を迫られます。著者は、売却せずに後悔した人の話を多く聞くとして、売却によるリスク回避の重要性を示唆しています

3-5-3. 最大のリスク:「集中投資」の罠。富豪特有の人間関係・ストレス問題

 

レベル5への到達は、多くの場合「集中投資(自社株など)」によって達成されます。しかし、その富を維持するためには「分散投資」が不可欠です。富豪が階段から転落する最大の原因は、自社株などへの過度な「集中」なのです

 

さらに、このレベルではお金以外の深刻なリスクが顕在化します。

  • 信頼の喪失: 「彼らは私のお金が目当てではないか?」という他者への不信感

  • ストレスの増大: 一定レベルを超えると、富がメンタルヘルスを悪化させ始めるという研究結果

  • 家族関係の変化: 富が子供に与える過度なプレッシャーや、親からの孤立

3-6. レベル6(0M+):レガシー(遺産)のフェーズ

 

3-6-1.テーマ:「レガシー(遺産) = 行動 × 富」

 

レベル6は、消費生活においてはレベル5と大差ありません 42424242。このレベルでの関心事は、もはやお金儲けではなく、自分がこの世に何を残すかという「レガシー(遺産)」です。

3-6-2. 最重要戦略:富を「増やす」ことより「守る」こと(離婚、訴訟リスク)

 

このレベルの最重要戦略は、富を**「守る」ことです。脅威は市場の暴落だけではありません。世界の富豪トップ10のうち7人が離婚経験者であるという事実 が示すように、「離婚」は資産を半減させる最大のリスクの一つです。また、裕福であるというだけで「訴訟」**のターゲットになりやすく、法務・税務の専門家チームによる防衛が不可欠となります。

3-6-3. ケーススタディ:アルフレッド・ノーベルはなぜノーベル賞を創設したか

 

ダイナマイトの発明者ノーベルは、ある日、フランスの新聞に自分の死亡記事(実際は兄の死亡記事の誤報)が掲載されているのを見つけます。そこには「死の商人、昨日死す」と書かれていました。自分が後世にどう記憶されるかに衝撃を受けた彼は、遺言を書き換え、莫大な資産(現在の価値で2億ドル以上)の大半を投じてノーベル賞を創設しました。これは、レベル6の富が「レガシーの構築」に向けられた典型的な例です。

 

4. 実際、ラダーを登るのにどれくらい時間がかかるのか?(第10章)

 

「富の階段」を登る戦略を知ったとして、次の疑問は「それにはどれくらいの時間がかかるのか?」でしょう。私たちはメディアが作り上げた「若き億万長者」のイメージに惑わされがちですが、データが示す現実は異なります。資産形成は短距離走ではなく、時間という最大の味方を必要とするマラソンです。

4-1. 富裕層のリアル:レベル4(M)世帯の年齢中央値は「62歳」

 

衝撃的な事実からお伝えします。2022年の米国消費者金融調査(SCF)によると、レベル4(純資産100万ドル〜1000万ドル)の世帯主の年齢中央値は62歳です。これは、メディアで目にする30代や40代のミリオネア像が、いかに例外的であるかを示しています。

 

富のレベルが上がるにつれて年齢の中央値も上昇する傾向があり、レベル5では64歳、レベル6では66歳となっています。資産蓄積は、基本的に時間と強く相関するプロセスなのです。

 

4-2. 若き富裕層の割合:レベル4で51歳以下は25%しかいない

 

では、若くして富を築いた人々はどれくらいいるのでしょうか?

同調査によれば、**レベル4の世帯のうち、年齢が51歳以下なのは全体のわずか25%(4分の1)**です。さらに、レベル5(1000万ドル)で56歳以下は25%、レベル6(1億ドル)で60歳以下は25%と、その割合はさらに低くなります。

データは明確に「富の構築には時間がかかる」という事実を裏付けています。若くして成功できないからといって、焦る必要はまったくないのです。

4-3. 【PSIDデータ分析】10年間での移動確率:63%は同じレベルに留まる

 

マジウリ氏は、同じ世帯を長期間追跡したパネル調査(PSID)のデータを分析し、富のレベルが10年間でどう変化したかを明らかにしました。

 

その結果、すべての世帯のうち63%が、10年後も同じ富のレベルに留まっていることが判明しました。上に登る(21%)か下に落ちる(11%)かした世帯は少数派です。特にレベル3(72%)とレベル4(72%)は「停滞」しやすく、一度そのレベルに達すると、次の10年で抜け出すのは難しいことが示されています

 

4-4. 【PSIDデータ分析】20年間での移動確率:時間は最大の味方

 

では、10年ではなく20年という期間で見るとどうでしょうか? 結果は劇的に変わります。20年という時間をかければ、富の階段を登る確率は大幅に上昇するのです

4-4-1. レベル2 → レベル3:55%が昇格

 

レベル2(1万~10万ドル)からスタートした世帯のうち、20年後には55%(半数以上)がレベル3(10万ドル以上)へと昇格していました

4-4-2. レベル3 → レベル4:28%が昇格

 

レベル3(10万~100万ドル)からスタートした世帯では、20年後に28%(約4分の1)がレベル4(100万ドル以上)のミリオネアとなっています

4-4-3. レベル4 → レベル5:8%が昇格

 

そして、最も脱出が困難なレベル4(100万~1000万ドル)からスタートした世帯でも、20年後には8%がレベル5(1000万ドル以上)へと到達していました

これらのデータが示すように、10年単位では停滞して見えても、20年という長期的な視点を持てば、着実に階段を登れる可能性は開けています。重要なのは、正しい戦略を知り、時間をかけてそれを実行し続ける忍耐力です。

5. なぜ登るのか? お金と幸福の最終結論(第III部)

 

私たちはこれまで、富の階段を「どう登るか」という戦略(HOW)について詳述してきました。しかし、最終的に問われるべきは「なぜ登るのか」(WHY)です。第III部では、富のラダーを登るプロセスが、私たちの幸福や人生の目的にどう関わるのかを深掘りします。

5-1. Q. お金で幸福は買えるのか?

 

この古来からの問いに対し、著者は最新の研究とデータに基づき、明確な答えを提示します。

5-1-1. A.「貧しいならYes、幸福ならYes、不幸ならNo」

 

結論から言えば、お金で幸福は買えます。ただし、それには条件があります。著者が最新の研究を要約した結論は、驚くほど明快です。

  • もしあなたが貧しい(レベル1や2にいる)なら、お金は幸福度を高めるでしょう。

  • もしあなたがすでに幸福なら、お金はさらに幸福度を高めるでしょう。

  • しかし、もしあなたが貧しくない(レベル3以上)にもかかわらず不幸であるなら、それ以上お金を増やしても幸福にはなれません

お金は不幸に対する「万能薬」ではないのです。

5-1-2. カネマン&キリングスワースの最新研究:幸福度は対数的に増加(徐々に鈍化)する

 

かつてノーベル賞学者のダニエル・カネマン氏は「幸福度は年収75,000ドルで頭打ちになる」と発表しました。しかし、その後のマシュー・キリングスワース氏の研究(そしてカネマン氏自身も参加した共同研究)により、この説は覆されました

 

最新の結論では、幸福度は収入や富の増加に伴い上昇し続けますが、その関係は「対数的(Logarithmic)」です

 

つまり、最初はわずかな富の増加(例:$1万ドル)でも幸福度は急上昇しますが、富が増えるにつれて、同じ幸福度を得るためにはるかに多くの富(例:$100万ドル)が必要になるのです。レベル1の人にとっての$1万ドルは人生を変えますが、レベル6の人にとっては誤差でしかありません。

5-1-3. ロックフェラーの言葉:「あとほんの少しだけ」

 

この「幸福の鈍化」は、私たちが成功するにつれて満足の基準(ゴールポスト)自体が移動してしまうことにも起因します。かつて世界一の富豪ジョン・D・ロックフェラーは「十分なお金とはいくらか?」と問われ、こう答えました。

「あとほんの少しだけ(Just a little bit more.)」

 

富の階段を登るほど、次のレベルへのジャンプが指数関数的に困難になるのと同じように、私たちの欲望もまた際限なく膨らんでいく危険性があるのです。

5-2. お金は「塩」である:人生の「偉大なる強壮剤」

 

では、お金とは本質的に何なのでしょうか? 著者は、それを**「塩(Salt)」**に例えます

5-2-1. お金(塩)は、それ自体では味気ない

 

塩はスパイスではありません。塩単体を皿に盛って食べても、まったく美味しくありません。それと同じで、お金もそれ自体では何の価値ももたらしません。もしあなたが友人、家族、健康、そして人生の目的といった他のすべてを失えば、銀行口座の残高は無意味な数字の羅列と化します。

5-2-2. お金(塩)は、人生の他の要素を「強化」する

 

塩の真価は、他の食材が持つ「既存の風味を強化する」点にあります。お金もまったく同じです。**お金は、あなたの人生を構成する他の素晴らしい要素を「強化する強壮剤」**なのです 

 

  • 友人と音楽を聴くのが好きなら、お金は「コンサートに行く」体験へと強化します

  • テニス観戦が好きなら、お金は「全米オープンを現地で観戦する」体験へと強化します

     

お金は、あなたがすでに持っている「価値」を増幅させるツールなのです。

5-3. あなたは持っているか? 5つの「富」のバランス

 

著者はサヒル・ブルーム氏の言葉を引用し、人生にはお金以外に4つの重要な「富」があると述べます。

5-3-1. 経済的富(Financial)、社会的富(Social)、精神的富(Mental)、身体的富(Physical)、時間的富(Time)

 

真の豊かさとは、これら5つのバランスです。

  1. 経済的富(Financial): お金

  2. 社会的富(Social): 友人、家族、コミュニティとの質の高い人間関係

  3. 精神的富(Mental): 人生の目的意識、自尊心、ストレスのない心の状態

  4. 身体的富(Physical): 健康。研究によれば、良好な健康状態は年収$40万ドル(約6000万円)分もの幸福価値があります

  5. 時間的富(Time): 自分の時間を価値あるもの(家族や趣味など)に使える自由

5-3-2. 経済的富は「乗数」。他の富がゼロなら、いくら掛けてもゼロ

 

そして、これら5つの富の関係性について、著者は最も重要な結論を述べます。

経済的富(お金)は「乗数(Multiplier)」である

 

もし、あなたの社会的富、精神的富、身体的富が「ゼロ」ならば、そこにどれだけ経済的富を掛け合わせても、人生の豊かさは「ゼロ」のままです。富の階段を登ることに夢中になるあまり、他の4つの富をないがしろにしては、本末転倒なのです。

6. まとめ:自分の頂上を見つけ、複雑な世界をシンプルに生きる

 

『THE WEALTH LADDER(富の階段)』は、単なる資産構築の戦術書ではありません。それは、情報が氾濫する複雑な現代において、自分にとっての「豊かさ」とは何かを見定め、そこに至るまでの「シンプルな地図」を手に入れるためのガイドブックです。

6-1. 著者ニック・マジウリの歩み:レベル2からレベル4への具体的な道のり

 

著者のニック・マジウリ氏自身が、この階段をゼロから登ってきた実践者です。彼の両親はマクドナルドで出会った労働者階級で、彼は幼少期に両親の離婚と複数回の自己破産を経験しました

 

彼の人生の転機(インフレクション・ポイント)は、まさに「富の階段」の戦略と一致しています。

  1. レベル2 → レベル3:「教育」と「スキル」への集中スタンフォード大学で金融支援を受けながらも、裕福な同級生との差を痛感。友人の助言でインターンの重要性に気づき、必死で履歴書を磨き、データ分析やプログラミングといった高収入に繋がるスキルを習得。卒業後、高収入の仕事を得て猛烈に働き、貯蓄し、レベル3(純資産$10万)の壁を突破しました。
  2. レベル3 → レベル4:「キャリア」と「レバレッジ」の活用最初の仕事がキャリア的な行き止まり(デッドエンド)であることに気づき、情熱を注げる金融分野へ転身。同時に、趣味で始めたブログ「Of Dollars And Data」の執筆を開始。これが「コンテンツ・レバレッジ」となり、やがて本業の収入に匹敵するサイドハッスル(副業)へと成長しました。

彼は、高収入の「本業」と、レバレッジの効いた「副業(ビジネス)」、そして規律ある「投資」を組み合わせるという、レベル4の戦略を実践することで、34歳でレベル4(純資産$100万)に到達したのです

6-2. 複雑な金融の世界で「富の階段」というシンプルな地図を持つ意味

 

現代は、情報が過剰な時代です。1日にYouTubeには72万時間分の動画がアップロードされ、Googleでは35億回も検索が行われています。問題は情報不足ではなく、無関係な情報をふるい落とし、「シグナル(本質)」を見つけること(フィルター)にあります

 

金融の世界も同様に複雑怪奇です。しかし、世界で最も成功したヘッジファンドの一つが、実は「単純な回帰分析」というシンプルなツールを正しく使いこなしていたように、複雑な問題の核心は、しばしばシンプルな原理に基づいています

 

『THE WEALTH LADDER(富の階段)』は、この複雑な「お金」という問題に対し、極めてシンプルな「地図」を提供します

 

  • レベル1は「安全性」

  • レベル2は「教育」

  • レベル3は「投資」

  • レベル4は「ビジネスの開始」

  • レベル5は「ビジネスの拡大」

  • レベル6は「富の防衛」

     

このシンプルなフレームワークこそが、情報のノイズに惑わされず、着実に階段を登るための羅針盤となるのです。

6-3. あなたの「富の階段」を登り始めよう:今すぐできること

 

著者が示したように、レベル5や6に到達するには並外れたスキルや運が必要かもしれません。しかし、レベル3やレベル4は、著者自身が証明したように、正しい戦略と規律あるハードワーク、そしてキャリアプランニングによって、多くの人が到達可能です

この階段を登る価値は、単にお金が増えることだけではありません。それは、あなた自身の「お金との関係性」を変える旅でもあります。かつて著者が$9のビール代を節約するために奮闘していた状態から、今では家族が困ったときにいつでも手を差し伸べられる状態へと変化したように、お金は「欠乏の対象」から「人生を豊かにするツール」へと変わっていきます。

そして、この旅の最大の皮肉は、富の階段を登りきった者ほど、「人生で最も価値あるもの(友情、家族との時間、健康)のほとんどは無料である」という真実に気づくことです

 

重要なのは、お金それ自体ではなく、それを使ってどのような人生を築くかです

 

あなたの「富の階段」は、もう目の前にあります。

登るかどうかは、あなた次第です。

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