起業したいけどアイデアがない、という問いに、私が自分の経験から答えられることは3つです。中学の友人の起業に加わったが、合わずに途中で抜けたこと。師匠に弟子入りして、やり方の型をもらったこと。小さく試してから広げたことです。
「アイデアが思いつかない」ことを、起業しない理由として数えた公的な統計は、今回確認した資料では見つかりませんでした。総務省の「令和4年就業構造基本調査」では、今の仕事を辞めて、または仕事をしていない状態から「自分で事業を起こしたい」と答えた人が83.5万人いました。そのうち、実際に仕事を探したり、開業の準備をしたりしていた人は44.8万人(53.6%、当サイトで計算)です。今の仕事を続けながら事業も始めたい人は、この83.5万人に入っていません(5章)。
この記事では、私の3つと、公的統計の数字、試す前に確かめる手続きを書きます。小さく試すときの予算と時間を数える計算機もつけました。この記事は、起業をすすめるものではありません。起業するかどうかは、この記事では決めません。
※公的統計の数字は、2026年10月31日に、総務省統計局の公表資料(e-Statの統計表を含む)で確かめたものです。手続きは、2026年10月30日に、国税庁・e-Gov法令検索・大阪府警察・警視庁の公表資料で確かめました。
1. 起業したいけどアイデアがないとき、私の経験から言える3つ
先に3つを並べます。中身は2〜4章に書きます。どれも私がしたことの記録で、アイデアの見つけ方を一般に言うものではありません。
| 3つ | 私がしたこと | 章 |
|---|---|---|
| 友人の起業は合わなかった | 中学の友人から起業の相談を受け、フリーペーパーの事業に3人で加わった。手応えがなく、途中で抜けた。会社に入れた10万円ほどと、貸したパソコンは戻っていない | 2章 |
| 師匠から型をもらった | せどりでやっていくと決め、師匠を見つけて弟子入りした。指導がしっくり来て、言われた事を全部やった | 3章 |
| 小さく試してから広げる | 先輩からもらったPCパーツを売ったのが、私のせどりの原点。100円で買った本が30分で売れたのが、古本のせどりを始めたきっかけ。その後、師匠と会社を作り、拠点を借りた。いまもFXのテストは5万円の小規模な口座で行っている | 4章 |
私の住まいの条件(家賃を払わずに暮らせる家があったこと)も、4章に書きます。
1-1. 起業したいけどスキルもないとき
私も、始めたときにスキルはありませんでした。学生のころのインターンでは、ホームページの更新を3〜4時間かけてもできませんでした(インターンのことは2章)。古本のせどりは、100円で買った本が30分で売れたことから始めています(4-1)。そのあと師匠に弟子入りし、言われた事を全部やりました(3章)。
これは私に起きたことの記録です。スキルがなくても起業できる、スキルは要らない、とは言えません。どんなスキルが要るかは事業によって違い、この記事では扱っていません。
公的統計では、2022年に本業がフリーランスだった人に、今の働き方をしている主な理由を聞いた結果、最も多い選択肢は「専門的な技能等が生かせるから」(32.5%)でした(5-2)。これは理由として選ばれた割合で、技能を持っている人の割合でも、起業がうまくいく割合でもありません。技能がない人が起業できるかどうかは、この数字からは分かりません。自分の経験・技能・資格の書き出し方は6-1に、試すときに使ってよい総額と時間を決める計算機は7章に置きました。
2. 友人の起業は合わなかった:フリーペーパーの事業に加わって、途中で抜けた
学生のころ、私は古本のせどりをしながら、あるベンチャー企業でインターンをしていました。居心地が悪く、まるで仕事ができませんでした。
そのころ、中学時代の友人から起業の相談を受けました。事業はフリーペーパーで、漫画版と男性ファッション版です。友人の大学の同級生を加えた3人で始めました。
私には手応えがありませんでした。そのうち耳鳴りがするようになり、途中で抜けました。耳鳴りとこの仕事との関係は、私には分かりません。体の不調が続くときは、医療機関に相談することも考えてください。
せどりで得たお金から会社に入れた10万円ほどと、10万円ほどで買って貸したパソコンは、戻っていません。その友人とは、それ以来会っていません。一緒に起業しなければ、今も友人だったと私は考えています。この件は「友達と起業はやめとけ」を、友人の会社に10万円とパソコンを置いて抜けた側から書くに詳しく書きました。
2-1. この件から言えること、言えないこと
人が始める事業に加わるのも、アイデアがないときの入り方の1つです。私の場合は、合わずに抜けました。1件なので、加わるのがよいとも悪いとも言えません。合わなかった理由も、手応えがなかったこと以上には書けません。
言えるのは、私の件では、入れたお金と貸したパソコンが戻らなかった、という事実までです。
3. 師匠から型をもらった:弟子入りして、言われた事を全部やった
大学3年ごろから、私は古本のせどりをしていました(始めたきっかけは4章)。就職活動では内定をもらいましたが、社会人になる確信が持てませんでした。留年も決まり、内定を辞退しました。証券会社を志望して就職活動をやり直しましたが、最終面接で落ちました。
そこで就職への未練が消えました。せどりがうまくいっていたので、こちらでやっていこうと決めました。2章の友人との起業も、しっくりこずにやめています。そのときの考えは「行きたい会社がないなら自分で作るしかない」でした。会社員を選ばなかった話は会社員に向いてない・自営業に向いてる人|正社員経験のない私が、会社員を選ばなかった2つの理由(計算機つき)に書きました。
そして、師匠を見つけて弟子入りしました。弟子入りした先輩の指導が私にはしっくり来て、言われた事を全部やりました。
その後、師匠と会社を作りました(2009〜2011年ごろ)。地方の飲食店の居抜き物件を借りて、古本のせどりの買取受付・倉庫・発送の拠点にしました。
型を人から教わったのは、このときだけではありません。2017年ごろには、せどりから法人化して規模を大きくしていた、私より若い人に仕入れを習いました。そのときのことは他人と比べてしまう劣等感|年下に仕入れを習い、後から来た人に抜かれた私が、比べる相手を変えて燃料にした話(計算機つき)に書きました。
3-1. この件から言えること、言えないこと
すでにやり方を持っている人から型を教わるのは、アイデアがないときに私がした入り方の1つです。私の場合は、指導がしっくり来て、言われた事を全部やりました。教わる相手が合うかどうかは人によるので、教わればうまくいく、とは言えません。どんな型だったかの細かい中身は、この記事では書いていません。
4. 小さく試してから広げる:私が最初に売ったものと、そのときの条件
4-1. 最初に売ったもの:もらったPCパーツと、100円の本
大学時代、仕事が忙しい社会人の先輩の部屋に、使わなくなったPCパーツがありました。それをもらって、全部ヤフオクで売りました。売上は数万〜10万円超の規模で、先輩は半分をくれました。その後、先輩は、ボーナスのたびにパソコンの買い替えで出る不用品の売却を、私に回してくれるようになりました。これが、私のせどりの原点です。
古本のせどりを始めたきっかけは、大学3年のころ、就職活動の帰りにたまたま入った中古本の店です。数日前にAmazonで買ったロジカルシンキングの本が、100円で売られていました。それを買って出品したら、30分で売れました。このときのことは成功体験がない・成功体験を積むには|100円の本が30分で売れた私と、家賃のいらない住まいという下駄(計算機つき)に書きました。
せどりをやめたほうがいい人や、やめどきの話はせどりはやめたほうがいい?20年やった私が言い切れる3つの人と、やめどき・続けていい人・オワコンになったやり方(計算機つき)に書きました。
4-2. 振り返って整理した主な出来事
私がしたことのうち、主な出来事を振り返って並べると次のとおりです。
- 大学時代:先輩からもらったPCパーツをヤフオクで売った(私のせどりの原点)
- 大学3年のころ:100円で買った本が30分で売れ、古本のせどりを始めた
- 就職活動のあと:せどりがうまくいっていたので、就職せずに、こちらでやっていくと決めた
- そのあと:師匠に弟子入りし、言われた事を全部やった
- 2009〜2011年ごろ:師匠と会社を作り、地方に買取受付・倉庫・発送の拠点を借りた
PCパーツの件と100円の本の件の、どちらが先かは、この記事では決めていません。これは振り返っての整理で、当時、広げるための計画を立てて、この順番で進めた、という意味ではありません。全部ためしてからしぼった話は選択と集中とは|意味と具体例、失敗する理由。全部ためしてからしぼった私が、それでも分けておくものに、20年でせどりの手法を検証してきた話は飽き性は天才なのか|20年でせどりの全手法を検証して分かった「飽きる=検証が終わった」の判定式に書きました。
4-3. いまの試し方:先に損してもよい額を決めて、小さく試す
いまも、試すときは小さく始めています。先に、損してもよい額を決めてから、小さく試します。この考え方と、負けてもよい額で試すときの計算機は、失敗が怖い・立ち直り方|達成者ゼロの教材、FX、モニター全損、OEM撤退。4つの失敗のあとに私がやった3つ(計算機つき)に書きました。
小さく試している、いまの例を1つ書きます。FXは、いまは5万円の小規模な口座でテストしています。5万円は口座の規模で、私が損してもよいと決めた額をここに書いたものではありません。FXは通算でマイナスで、これから新しく始める人には、すすめていません。FXのことはFXで人生終わった人と、250万円以上失っても終わらなかった私の差|EAを100個以上検証して残らなかった理由に書きました。
4-4. 私の住まいの条件:家賃を払わずに暮らせる家
私が住んでいた家は親が買った家で、実質、家賃を払わない一人暮らしでした。FXで負けていた当時は、親が買ったマンションに住んでいて、そのことも破綻しなかった要因として大きい、と私は見ています。
この条件がどこまで効いていたかを、私が言えるのは、このFXの時期についてだけです。せどりや起業の全体について、この条件がどれだけ関係したかは書けません。同じ条件のない人もいるので、私の順番がそのまま当てはまるとは言えません。私が立っていた下駄の話は自己奉仕バイアスとは|意味と具体例。「努力できないのは甘え」と思っていた私が立っていた下駄に書きました。
5. 公的統計で見る、事業を起こしたい人と、準備している人
ここでは、総務省の「令和4年就業構造基本調査」の数字を見ます。全国の約54万世帯の15歳以上の世帯員約108万人を対象に、2022年10月1日現在の、ふだんの状態を聞いた調査で、数字は推計値です。どれも、私の経験を数字で確かめたものではありません。
5-1. 「自分で事業を起こしたい」人と、探したり準備したりしている人
この調査は、今の仕事を辞めてほかの仕事に変わりたい人(転職希望者)と、仕事をしていなくて収入になる仕事をしたい人(就業希望者)に、どんな形で働きたいかを聞いています。選択肢の1つが「自分で事業を起こしたい」です。あわせて、実際に仕事を探したり、準備したりしているかも聞いています。用語の解説では、「仕事を探したり、準備したりしている」とは、求人に応募したり職業紹介所に申し込んだりしている場合のほか、「事業を始めるための資金、資材、設備の調達などの準備をしている場合をいう。」とされています。
| 区分(2022年) | 「自分で事業を起こしたい」 | うち、仕事を探したり準備したりしている人 | 割合(当サイトで計算) |
|---|---|---|---|
| 今の仕事を辞めて、ほかの仕事に変わりたい人 | 49.5万人 | 25.6万人 | 51.6% |
| 仕事をしていなくて、収入になる仕事をしたい人 | 34.0万人 | 19.2万人 | 56.5% |
| 合計(当サイトで合算) | 83.5万人 | 44.8万人 | 53.6% |
出典:総務省「令和4年就業構造基本調査」第112表・第121表(e-Stat)をもとに当サイトで作成。「仕事を探したり準備したりしている人」は、調査の区分の「求職者」です。
「自分で事業を起こしたい」と答えた83.5万人のうち、仕事を探したり準備したりしていたのは44.8万人で、半分を少し超える割合でした。ただし、この「求職者」には、開業の準備をしている人のほかに、勤め先を探している人も入っています。開業の準備だけをしている人の数は、公表されている表からは分かりません。今の仕事を続けながら、ほかに事業も始めたい人は、この表には入れていません。
5-2. 本業がフリーランスの人が、今の働き方をしている主な理由
同じ調査は、本業がフリーランスの人(「実店舗がなく、雇人もいない自営業主又は一人社長であって、その仕事で収入を得る者」)に、今の働き方をしている理由も聞いています。総務省統計局の資料は、主な理由について「フリーランス(本業)で働く理由として割合が高いのは「専門的な技能等が生かせるから」(32.5%)、次いで「自分の都合の良い時間に働きたいから」(29.5%)」と書いています。
これは、フリーランスという今の働き方をしている理由で、事業の中身を決めた理由ではありません。何年も前から続けている人も入っています。
5-3. この数字から言えること、言えないこと
- 言えること:2022年に、今の仕事を辞めて、または仕事をしていない状態から「自分で事業を起こしたい」と答えた人は83.5万人。そのうち、仕事を探したり準備したりしていた人は44.8万人(53.6%、当サイトで計算)。今の仕事を続けながら事業も始めたい人は入っていない。
- 言えること:2022年の調査で本業がフリーランスだった人が今の働き方をしている主な理由は、「専門的な技能等が生かせるから」が32.5%で最も多い。事業の選び方を示した数字ではない。
- 言えないこと:「アイデアが思いつかない」から起業しない人の割合。そう理由を挙げた人を数えた公的な統計は、今回確認した資料では見つからなかった。同じ調査には、仕事をしていない就業希望者が仕事を探していない理由を聞いた項目もあるが、起業しない理由やアイデア不足を直接示すものではない。
- 言えないこと:準備していない人が、なぜ準備していないのか。準備していた人が、そのあと実際に事業を始めたかどうか。この表は、2022年10月の時点の状態を数えたもの。
- 言えないこと:アイデアがなくても事業がうまくいくかどうか。どの数字も、事業がうまくいったかどうかと結びつけたものではない。
6. アイデアがないときの探し方と、試す前に確かめること
6-1〜6-4は、この記事としての提案です。うまくいくことを確かめたものではありません。6-5は、手続きについて公的なページに書いてあることです。
6-1. 自分の経験・技能・資格を書き出す
5-2で、2022年の調査で本業がフリーランスだった人が今の働き方をしている主な理由は、「専門的な技能等が生かせるから」がいちばん多くなっていました。アイデアがないときは、新しいアイデアを探す前に、これまでの仕事の経験・技能と、持っている資格・知識を書き出してみる、というのがこの記事としての提案です。働き方の理由を聞いた数字で、事業の決め方を聞いたものではありません。それでうまくいくことを示すものでもありません。
6-2. 型を持っている人から教わる
3章の私のように、すでにやり方を持っている人から教わる、という入り方もあります。教わる相手を選ぶときは、何を教わるのか(内容)、その人がしてきたことを確かめられるか(実績)、教わるやり方が法令や利用規約に合っているか(適法性)を、先に確かめてください。6-5の古物商許可のように、やり方によっては許可や確認の義務がかかわります。お金を払って教わるときは、いくらかかるのか、途中でやめたらどうなるのかも確かめてください。教わることと、成果が出ることは別です。
6-3. 人の事業に加わるときは、入れるお金と貸す物を決めておく
2章の私は、友人の会社に10万円ほどを入れ、10万円ほどで買ったパソコンを貸して、どちらも戻りませんでした。人の事業に加わるときは、入れるお金や貸す物を、戻らなくても困らない範囲にとどめるかどうかを、先に決めておく、というのがこの記事としての提案です。
もう1つ、一般論としての提案です。人の事業にお金や物を出すときは、それが出資なのか、貸付けなのか、物を貸すだけなのかを分けて、返してもらう条件や、途中で抜けるときの扱いを、書面にしておくことです。2章の私の10万円がどれに当たるかは、この記事では書いていません。
6-4. 小さく試す前に、使ってよい総額と時間を決める
試す前に、試すのに使ってよい総額、1回に使う額、1回にかかる時間、1か月に使える時間を決めておくと、お金で何回分か、時間で何か月目に試し終えるかを数えられます。7章の計算機は、その数え方をするものです。
試した結果を続けるかどうかを期待値で決める話は期待値とは|意味と計算のしかた。仕入れも、損切りも、やめどきも、この数字で決めているに、試してから決めることを含む、私がいま使う4つの決め方は人生の選択を間違えた・後悔しない選択|編入の年次・二部・9月入学を後悔した私が、いま使う4つの決め方(計算機つき)に書きました。
6-5. 試す前に確かめる手続き:開業届と、中古品を仕入れて売るときの許可
個人で事業を始めたときの開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)について、国税庁のページは「事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限までに提出してください。」と書いています。続けて「なお、提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限となります。」とあります。この期限は、所得税法の改正により、2026年1月1日以後に事業を始めた場合に使われるものです。2025年12月31日以前に始めた場合は、改正前の決まりが使われます。
青色申告をするときの承認申請の期限は、国税庁のタックスアンサー(No.2090)の表で、「原則、青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後、新たに事業を開始したり不動産の貸付けをした場合には、その事業開始等の日から2月以内。)」とされています。
中古品を仕入れて売る形で試すときは、古物営業法の許可が要るかを、先に確かめる必要があります。古物営業法の第3条は、「前条第二項第一号又は第二号に掲げる営業を営もうとする者は、都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)の許可を受けなければならない。」としています。許可を受けないで営んだ場合の罰則は第31条にあり、「三年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。」とされています。
許可を受けたあとにも、守ることがあります。古物営業法の第15条は、「古物商は、古物を買い受け、若しくは交換し、又は売却若しくは交換の委託を受けようとするときは、相手方の真偽を確認するため、次の各号のいずれかに掲げる措置をとらなければならない。」としています。同じ条の第2項には、この措置が要らない場合も書かれていますが、その金額などを定める国家公安委員会規則は、今回は確かめていません。第3項は、不正品の疑いがあるときに「直ちに、警察官にその旨を申告しなければならない。」としています。
警視庁のページは、「インターネットオークションやフリマアプリを利用しての取引であっても、相手方の確認は必要です。」と書いています。相手と対面しない取引については、「単に「運転免許証のコピーの送付を受ける。」等の方法では不十分であり、古物営業法で定める確認を行ったことにはなりません。」としています。
大阪府警察の「古物営業法Q&A」は、自分で使っていた物を売る場合について、「自分で使用していたものも中古品ですので古物には該当しますが、自己使用していたもの、自己使用のために買ったが未使用のものを売却するだけの場合は、古物商の許可は必要ありません。」と書き、続けて「しかし、自己使用といいながら、実際は、転売するために古物を買って持っているのであれば、許可を取らなければなりません。」としています。
同じQ&Aは、無償で譲り受けた古物を売る場合について、「古物の買い受け、交換又はこれらの委託により、売主等に何らかの利益が生じる場合は、許可が必要ですが、全くの無償で引き取ってきたもの、あるいは、逆に、処分手数料等を徴収して引き取ったものを売る場合は、古物商の許可は必要ありません(廃棄物の処理及び清掃に関する法律で定められた許可を要する場合があります)。」と答えています。自分で使っていた物、転売するために買った物、無償で譲り受けた物では、許可の考え方が分かれています。4章の私の話でも、PCパーツは先輩からもらった物、本は買った物で、取引の形が違います。
警視庁のページでは、許可の申請先は主たる営業所の所在地を管轄する警察署で、手数料は19,000円です。これは警視庁(東京都)のページの額で、ほかの道府県の額は確かめていません。警視庁は、「オークションサイトやフリマアプリを利用して、古物商であることを表示せずに取引を行うことはできません。」とも書いています。
4章の私の件が許可の対象だったかどうかや、当時の手続きは、この記事では書いていません。自分の場合にどの手続きが要るかは、取引の形ごとに、税務署や警察署などの窓口で確かめてください。
7. 小さく試す予算の計算機
試すのに使ってよい総額、1回に使う額、1回にかかる時間、1か月に使える時間を入れると、総額を1回に使う額で割った回数と、その回数を1か月に使える時間で試していくと何か月目に試し終えるかを出します。1回に使う額が0円のとき(お金のかからない試し方のとき)は、お金では回数を数えず、時間だけを数えます。
出すのは割り算と掛け算の結果だけです。回数は、計算の上では総額の中に収まりますが、実際にかかる額が入れた額を超えたり、その回数を試せなかったりすることがあります。月数は、1回の作業を途中で区切り、月をまたいで続けられる場合の数え方で、続けて時間がかかり、途中で区切れない試し方には当てはまりません。うまくいく確率や、収入が出るかどうかも出しません。総額や時間をいくらにするかも、この計算では決めません。試すのに使う時間のほかの使い道(機会費用)は入っていません。機会費用の考え方は機会費用とは|意味と具体例。時間とお金のほかに、もう1つ計算に入れるべき資源がありますにあります。5章の公的調査とは、聞いていることが違うので比べません。
小さく試す予算:お金で数えた回数と、時間で見た月数
入れた値は、このページの中で使うだけで、どこにも送られません。初めから入っている値は入力の例です。額は「100000」「100,000円」「10万」「1.5万円」のように入れます(万の前の小数は4桁まで、上限は10億円)。時間は「3」「3時間」「1.5時間」「90分」のように入れます(数字だけなら時間の数。時間の小数は1桁まで、分は整数。1回にかかる時間の上限は1,000時間、1か月に使える時間の上限は744時間)。マイナス、「012」のように先頭に0がつく数、途中の空白、2つ以上の数の並びは、入力の誤りとして止めます。
8. 計算機の出力例
2026年10月30日に計算した例です。数字は計算機の例として置いたもので、私の数字ではありません。
8-1. 初めから入っている値(総額10万円、1回に使う額1万円、1回にかかる時間3時間、1か月に使える時間20時間)
- 【1】試すのに使ってよい総額:100,000円
- 【1】1回に使う額:10,000円
- 【1】総額を1回に使う額で割ると、10回分です。
- 【2】1回にかかる時間:3時間
- 【2】1か月に使える時間:20時間
- 【2】1か月に使える時間を1回にかかる時間で割ると、6回分です。
- 【2】6回分を引いた残りの2時間は、1回分に足りません。
- 【3】10回分を全部試すのにかかる時間:30時間
- 【3】1か月に20時間ずつ使うと、1か月分と10時間です。
- 【3】お金で数えた10回分を試し終えるのは、2か月目です。
8-2. 1か月の時間が1回分に足りない例(1回を途中で区切れる場合。総額3万円、1回に使う額5,000円、1回にかかる時間10時間、1か月に使える時間8時間)
- 【1】試すのに使ってよい総額:30,000円
- 【1】1回に使う額:5,000円
- 【1】総額を1回に使う額で割ると、6回分です。
- 【2】1回にかかる時間:10時間
- 【2】1か月に使える時間:8時間
- 【2】1か月に使える8時間は、1回にかかる10時間に足りません(割ると0回分)。1回を途中で区切り、2か月以上にまたがって試す数え方になります。続けて時間がかかり、途中で区切れない試し方には当てはまりません。
- 【3】6回分を全部試すのにかかる時間:60時間
- 【3】1か月に8時間ずつ使うと、7か月分と4時間です。
- 【3】お金で数えた6回分を試し終えるのは、8か月目です。
8-3. 入力の誤りの例(総額10万円、1回に使う額1万円、1回にかかる時間0時間、1か月に使える時間800時間)
- 【入力の確認】1回にかかる時間が0です。0では時間で数えられないので計算しません。
- 【入力の確認】1か月に使える時間が744時間(31日×24時間)を超えているので計算しません。時間を確かめてください。
9. よくある質問
起業したいけどアイデアがないときは、どうすればいい?
私の経験から言えるのは、友人の起業に加わったが合わなかったこと、師匠から型をもらったこと、小さく試してから広げたことの3つです(1章)。この記事としての提案は、自分の経験・技能・資格を書き出す、型を持っている人から教わる、人の事業に加わるときは入れるお金と貸す物を決めておく、試す前に使ってよい総額と時間を決める、の4つです(6章)。
起業で成功しやすい業種は?
成功しやすさを業種で比べた数字は、今回確認した資料では見つかりませんでした。5章の数字は、事業を起こしたい人の数と、働き方の理由を数えたもので、業種の成功しやすさを比べたものではありません。私の経験からも、業種のよしあしは言えません。
アイデアが思いつかない、どうしたら?
「アイデアが思いつかない」から起業しない人を数えた公的な統計は、今回確認した資料では見つかりませんでした(5-3)。2022年の調査で本業がフリーランスだった人が今の働き方をしている主な理由は、「専門的な技能等が生かせるから」が32.5%で最も多くなっています(5-2)。これは事業の選び方を示した数字ではありません。新しいアイデアを探す前に経験・技能・資格を書き出してみるのは、統計から導いたものではない、この記事としての提案です(6-1)。
スキルがなくても起業できますか?
私自身は、スキルがない状態から古本のせどりを始めました(1-1)。ただし、これは私の一例で、スキルがなくても事業を続けられるか、利益を出せるかまでは、この経験からは言えません。事業を起こしたい人と準備している人の数は5章に、試すときに使ってよい総額と時間を決める計算機は7章に置きました。
なぜみんな起業しないのか?
起業しない理由を数えた公的な統計は、今回確認した資料では見つかりませんでした。2022年の就業構造基本調査では、今の仕事を辞めて、または仕事をしていない状態から「自分で事業を起こしたい」と答えた83.5万人のうち、仕事を探したり準備したりしていたのは44.8万人(53.6%、当サイトで計算)でした(5-1)。今の仕事を続けながら事業も始めたい人は、この83.5万人に入っていません。準備していない人の理由までは、この数字からは分かりません。
友達と起業するのはやめたほうがいい?
私の1件では、合わずに抜け、入れたお金と貸したパソコンは戻らず、その友人とはそれ以来会っていません(2章)。1件なので、やめたほうがいいとは言い切れません。この件は「友達と起業はやめとけ」を、友人の会社に10万円とパソコンを置いて抜けた側から書くに詳しく書きました。
開業届はいつまでに出す?
国税庁のページでは、事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限までです(2026年1月1日以後に始めた場合)。期限が土・日曜日・祝日等に当たるときは、その翌日が期限です(6-5)。
試そうと思っても動けないときは?
せどりでは動けて、事務と引っ越しはAIなしでは進まなかった私の分け方は、行動力がある人・ない人の違い|せどりでは動けて、事務と引っ越しはAIなしでは進まなかった私の分け方(計算機つき)に書きました。
何のために働くのかから考えたいときは?
何のために働くのか、稼ぐ意味を書いたのが、働く理由・何のために働くのか・稼ぐ意味|暮らしたい水準から逆算した私の4つと、公的調査の数字(計算機つき)です。
会社員に向いてないと感じるときは?
行きたい会社がなかった私の話は、会社員に向いてない・自営業に向いてる人|正社員経験のない私が、会社員を選ばなかった2つの理由(計算機つき)に書きました。
成功体験がないときは?
100円の本が30分で売れた経験などから書いたのが、成功体験がない・成功体験を積むには|100円の本が30分で売れた私と、家賃のいらない住まいという下駄(計算機つき)です。
10. まとめ
- 起業したいけどアイデアがない、という問いに、私の経験から言えるのは3つ。友人の起業は合わずに抜けた、師匠から型をもらった、小さく試してから広げた
- 友人の起業では、会社に入れた10万円ほどと、貸したパソコンが戻らなかった。1件なので、加わるのがよい・悪いとは言えない
- 私のせどりの原点は、もらったPCパーツを売ったこと。古本のせどりのきっかけは、100円で買った本が30分で売れたこと。FXで負けていた当時は、家賃のいらない住まいが破綻しなかった要因として大きい、と私は見ている
- 総務省の就業構造基本調査(2022年)では、「自分で事業を起こしたい」と答えた83.5万人のうち、仕事を探したり準備したりしていたのは44.8万人(53.6%、当サイトで計算。今の仕事を続けながら事業も始めたい人は入らない)。「アイデアが思いつかない」を理由として数えた公的な統計は見つからなかった
- この記事としての提案は、経験・技能・資格を書き出す、型を持っている人から教わる、入れるお金と貸す物を決めておく、試す前に総額と時間を決める、の4つ
11. 出典
- 総務省統計局「令和4年就業構造基本調査」結果の概要(2023年7月21日公表):https://www.stat.go.jp/data/shugyou/2022/pdf/kgaiyou.pdf
- 総務省統計局「令和4年就業構造基本調査」第112表(転職希望者)(e-Stat):https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000040077383&fileKind=0
- 総務省統計局「令和4年就業構造基本調査」第121表(就業希望者)(e-Stat):https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000040077392&fileKind=0(5-1の表は、第112表と第121表の数字をもとに当サイトで合算・計算)
- 総務省統計局 労働力人口統計室「令和4年就業構造基本調査の結果について」資料1(2023年12月18日):https://www.stat.go.jp/info/kenkyu/roudou/r5/pdf/21siryou1.pdf
- 国税庁「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」:https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.2090「新たに事業を始めたときの届出など」:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2090.htm
- e-Gov法令検索「所得税法」第229条と附則(令和5年法律第3号)(法令ID 340AC0000000033)
- e-Gov法令検索「古物営業法」第3条・第15条・第31条(法令ID 324AC0000000108)
- 大阪府警察「古物営業法Q&A」:https://www.police.pref.osaka.lg.jp/tetsuduki/kyoninka/kobutsu/kobutsu/3685.html
- 警視庁「古物商許可申請」:https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/kobutsu/tetsuzuki/kyoka.html
- 警視庁「古物商許可申請をされる方へ」:https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/kobutsu/kaisetsu/kobutsu_shinsei.html
12. あわせて読む
13. この記事について
この記事は、私の起業の経験(友人の起業に加わって抜けたこと、師匠に弟子入りしたこと、小さく試してから広げたこと)と、総務省統計局・国税庁・e-Gov法令検索・大阪府警察・警視庁の公表資料(2026年10月30日・31日に確認)をもとに書きました。金額や年は、私が答えた数字です。6-1〜6-4と、計算機の考え方は、この記事としての提案です。起業をすすめること、業種や商品の紹介、個別の税金や許可の判断は、この記事では扱っていません。総務省統計局の数値のうち、2つの表を合わせた人数と割合は、当サイトで計算したものです。
