田舎生まれは人生終了か。ハンデの正体は「生まれ」ではなく「引っ越し回数」でした|関東を捨てる側から測る

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この記事は「田舎生まれ 人生終了」「田舎生まれ ハンデ」「田舎生まれ 負け組」で検索した人に向けて書いています。先に断っておくと、私は田舎生まれではありません。イギリスで生まれ、日本に戻ってからは荻窪、北柏(千葉)、月島(東京)で育ち、中学の3年間は木更津の全寮制、高校の3年間は土浦に通い、20年ほど東京で仕事をしたあと千葉と横浜を経て、いまは40代で関東を出て名古屋に移る準備をしています。田舎の当事者の記事ではなく、都会の側から田舎生まれのハンデを測り直した記事です。当事者の慰めが欲しい人には向きません。

結論を先に書きます。田舎生まれのハンデは存在します。ただし効いている変数は「どこで生まれたか」ではなく「比較対象を持たないまま同じ場所に居続けた年数」です。この変数は関東でも同じように効きます。私は関東の中でそれを20年分踏みました。だから人生は終了していないし、負け組でもない。変数が違うだけです。

「人生終了」と検索した人へ。終了していない理由は精神論ではなく、変数が違うから

私が住んだ北柏は、千葉県で、東京まで電車で1時間かからない場所です。地図の上では都会側に分類されます。ここに20年住みました。20年のあいだ、街はまるで成長しませんでした。近所の人間の話題は、誰がどこの会社に勤めているか、誰の子どもがどこの大学に進学したか、それだけでした。その後、月島に引っ越して、そういう話をする人を見かけない世界があること、近所付き合いをしなくても生活が成立する世界があることを知って驚きました。

この驚きが、田舎生まれのハンデの正体だと私は考えています。北柏にいた20年間、私は自分が閉じた場所にいることを知りませんでした。知る手段がなかったからです。比較対象がなければ、自分の環境が平均なのか、上なのか、下なのか、判定できません。田舎に生まれた人が「ハンデ」を感じるのは、田舎そのものが悪いからではなく、比較対象を持たずに同じ場所で年数を重ねてしまうからです。そしてそれは、東京から1時間の街でも起きます。

つまり「田舎生まれ」は、この変数の一つの表れでしかありません。都会生まれで、この変数を踏んでいる人は大勢います。私がその一人です。

ハンデの正体は「先生と授業」から「人と比較対象」に移った

私の世代までは、田舎のハンデは教育そのものにありました。良い先生がいない、良い授業に出会えない、それだけで進学を諦める人がいた。授業が地理に縛られていたからです。いまは違います。AIとスタディサプリのような映像授業があり、授業の質は地理から外れました。田舎の高校生が、都会の予備校講師の授業と同じものを、同じ値段か、それ以下で受けられます。

では、ハンデは消えたのか。消えていません。残ったのは「人」と「比較対象」です。教育の中身は地理から外れましたが、同じ教材で勉強している人が周りにいるかどうか、自分の現在地を測れる相手がいるかどうかは、いまも地理に縛られています。私が木更津の寮で3年過ごしたとき、娯楽がない場所では些細なことで小競り合いが起きるのを見ました。土浦の高校は、田舎だからという理由で本当は行きたくなかった。どちらも教育の質の問題ではなく、周りに誰がいるかの問題でした。

だから、いまの田舎生まれのハンデは、勉強で埋まるものではなくなっています。埋まるとしたら、居場所を変えることでしか埋まりません。

都会生まれでも底辺は踏む。私が横浜で踏んだ1年

「都会に出れば解決する」という話をする前に、私が関東の中で踏んだ底辺を書いておきます。40歳まで親が買った月島のタワーマンションに住んでいた私は、引っ越しの過程で、横浜市の東戸塚に1年住みました。人生史上最悪の生活でした。

駅から遠く、どこへ行くにも坂で、スニーカーは3か月で擦り減り、車のタイヤは1年で交換になりました。駅は同じホームに行き先の違う電車が入り、ホームドアもない。店は21時から22時で閉まる。原始時代に戻された気持ちになりました。それでも家賃は駅近だと高く、横浜駅周辺には家賃30万円超、物件価格1億円超のエリアがある。横浜はブランドは立っていますが「住みたい街」であって「住みやすい街」ではないというのが、1年住んだ私の結論です。違約金を払って1年で出ました。

その後に移った海浜幕張も、管理費が安い分、建物は驚くほど汚く、近隣には修繕積立金が足りず壊れた設備を放置しているマンションがいくつもある。それに4,000万円から5,000万円の値がつく。長期的に住む場所ではありませんでした。

ここで言いたいのは、都会にも底辺があるということではなく、私はそれを「住んでみて初めて」知ったということです。1回住んだだけでは分かりませんでした。東京、千葉、横浜、また千葉と動いて、初めて自分にどの因数が効くのかが見えました。

提案:地域で一番勢いのある街に、ワンルームでいいから移る

ここからが提案です。田舎に生まれて、ハンデを感じていて、まだ動いていない人がやるべきことは、いきなり東京に出ることではありません。自分のいる地域で一番勢いのある街に、ワンルームでいいので引っ越すことです。

九州なら福岡。福岡が難しければ熊本。熊本の中心部が難しければ、いま住んでいる市か隣接する市の中で一番強いところ。これでいい。距離ではなく「一段上の比較対象がある場所」に移ることが目的だからです。移った先で水準が上がって、稼げるようになったり、成長できたと感じたら、そのときにもう一段上の都会に移ればいい。段階を踏むのは、失敗したときの損切りが軽いからです。賃貸なら出られます。

家賃については「そこまで変わらないはず」と思っていますが、これは私の見立てであって、地域によって違います。ここは自分で測ってください。いまの家賃と候補の街のワンルームの家賃、初期費用、何か月いるつもりかを入れると、その移動に払う金額が出ます。

段階移住の追加コスト計算

いまの家賃(月)

候補の街の家賃(月)

引っ越しの初期費用(敷金礼金・運搬など)

そこにいるつもりの月数 か月

出た金額が、一段上の比較対象を買う値段です。その値段で買うかどうかは自分で決めてください。

一度は都会に住む価値はある。ただし毒もある

段階を踏んだ先で、人生で一度は都会に住む価値はあると私は考えています。特に若いときに有効です。人との出会いと刺激で感性が影響を受けるからです。私は東京に20年いて、それを満喫し尽くしました。いま関東に未練がないのは、使い切ったからです。

一方で、都会には毒もあります。競争が激しい。だから一概に良いとは言えず、強い成長意欲がある人に限られます。私自身、その競争に疲れ切って、都落ちして関東を出ます。世間から見れば、私は関東落ちして地方に落ちる人間です。

それでも最終的に思うのは、都落ちするから不幸というわけではない、ということです。関東にしがみついて、仕事のために住みたくもない家や待遇に甘んじているほうが、よほど不幸で底辺だと私は思っています。見下す意志はありません。名誉ある敗北を受け入れて「それなら底辺でいい」とすら思っています。

幸福度を決めるのは「どの因数が自分に効くか」を見極められたか

田舎か都会か、という二択で考えている限り、この問題は解けません。効いている因数が人によって違うからです。私の場合は、一度文明レベルの高い部屋に住んだら戻れないこと、駐車場が空いていること、24時間営業の店があること、新幹線か空港があること、この4つでした。名古屋を選んだのは、この4つが揃っていて、関東より安いからです。あなたの4つは、別のものでしょう。

そして、その因数は、住んでみないと分かりません。私は複数回引っ越して、初めて自分の因数を特定できました。とどのつまり、幸福度を決めているのは「動き続けるライフスタイルに対応できる場所に住めているか」です。生まれた場所は、その最初の一か所でしかありません。

負け組かどうかは、生まれではなく「動いたか」で決まる

田舎生まれで人生終了なのか、負け組なのか、と検索したあなたに、私から言えることは一つです。生まれで決まっているものは、ほとんどありません。決まるのは、比較対象を持たないまま同じ場所で年数を重ねたかどうかです。私は関東でそれをやり、40代で気づき、いまから動きます。あなたがまだ動いていないなら、私よりずっと早い。

次の一歩は、いまいる地域で一番勢いのある街の、ワンルームの家賃を調べることです。それだけでいい。数字が出たら、上の計算機に入れてください。

あわせて読む

場所を含めて人生を金・場所・職・人の4層に分けて撤退を考える記事は「人生を諦める前に、諦める単位を小さくする|20年で7回撤退した計算」に書きました。移住先を「地元に戻る」以外で選ぶ表は「「システムエンジニアはやめとけ」は統計上どこまで正しいか」の後半にあります。関東の住環境の実測は「持ち家に42年住んだ側の答え」と「賃貸探しで本当に高いのは家賃ではありません」に、田舎の人間関係が合わないと感じている人向けには「「田舎が頭おかしい」と感じるあなたへ」があります。

 

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