ブランド品の仕入れルート|全部の古物市場に入会して残った3つと、私が撤退した計算

ブランド転売

先に、仕入れ先を書きます。私は2019年から2022年ごろまで、シャネルとルイ・ヴィトンのバッグを、週に50〜150点売っていました。その間に、オンラインの古物市場には全部入会して、どこで買えば利益が残るかを検証しました。残ったのは3つです。

そして、いまはこの市場のプレイヤーではありません。プレイヤーをやめて、市場の枠を紹介する側にいます。だから、この記事には利害関係があります。その上で、仕入れ先も、当時の数字も、やめた理由の計算も、全部書きます。

立場 中古品の売買を国内で20年近く続けています。ブランド品は2019〜2022年ごろ、本業のサイズでやっていました
いま プレイヤーではありません。古物市場の枠を紹介する側です(11章に利害関係を書いています)
この記事で書くこと 残った仕入れ先3つ+ヤフオク、落とした仕入れ先とその理由、当時の数字、そして本業のサイズで詰まった計算
書かないこと 真贋の判定基準だけは書きません。現在の私が保証できないからです。それ以外は書いています

1. 結論:残った仕入れ先は3つと、ヤフオクです

1-1. 全部入会して、残ったもの

オンラインの古物市場は、当時あったものに全部入会しました。安定して利益が出たのは、エコリング(エコオク)、オークネット、スターバイヤーオークションの3つです。これに、仕入れ先であり販路でもあるヤフオクが加わります。

仕入れ先 流通の段(3章) 許可 偽物だったとき 1点ずつ選べるか 私の使い方
エコリング(エコオク) 古物市場 古物商許可が前提 返品できました(100%) 選べます 主力。ここだけでも成立します。紹介ページがあります
オークネット 古物市場 古物商許可が前提 返品できました(100%) 選べます 仕入れ量を増やすために併用
スターバイヤーオークション 古物市場 古物商許可が前提 返品できました(100%) 選べます 仕入れ量を増やすために併用
ヤフオク 個人と業者の混在 買って売るなら許可(2章) 相手次第です(7章) 選べます 仕入れ先であり、販路の半分

この4つは、いまでも変わらないと考えています。業者は入れ替わりますが、私が離れてからも、この3市場は動いています。入会条件や手数料は変わりうるので、各市場に直接確認してください。

1-2. 3つの使い分けは、質ではなく量でした

正直に書くと、エコリングだけでも稼げます。3つを使ったのは、それぞれに違う強みがあったからではありません。

本業のサイズで収益化するには、とにかく仕入れ点数を増やさなければならなかった。だから1つでは足りず、他の市場も見ていた。それだけです。

ここは、この記事の後半に直接つながります。「仕入れ先を増やす」というのは、私の場合、利益率を上げる話ではなく、点数を増やす話でした。そして点数が増えると、増えるものが他にありました(4章)。

1-3. オフラインの古物市場を選ばなかった理由

会場に通う市場も見ました。何度も通って顔を覚えられ、自分の立ち位置が強くなれば、買い付けはできるようになると思います。実際に、そうやって続けている人はたくさんいました。

ただ、それはパイプ椅子に何時間も座り続けるということです。私は、年を取ったらこれは続けられないと判断しました。

オンラインの古物市場は、この時間を丸ごと省けます。私が3市場に絞った理由の半分は、これです。

2. 仕入れ先を選ぶ前に、古物営業法の位置を確認します

2-1. 「買って売る」と、許可が要ります

古物営業法 第2条第2項
「この法律において『古物営業』とは、次に掲げる営業をいう。
一 古物を売買し、若しくは交換し、又は委託を受けて売買し、若しくは交換する営業であつて、古物を売却すること又は自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行うもの以外のもの

行為 古物営業に当たるか
自分が使っていたバッグを売る 「売却することのみ」に当たり、除かれています
買ってきたバッグを売る 該当しうる形です

同 第3条(許可)
「前条第二項第一号又は第二号に掲げる営業を営もうとする者は、都道府県公安委員会の許可を受けなければならない。

同 第31条
「次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。
第三条の規定に違反して許可を受けないで第二条第二項第一号又は第二号に掲げる営業を営んだ者

該当するかどうかは、扱う物と営業の形によります。個別の判断は、所轄の警察署にご確認ください。

2-2. 1章の3市場は、法律上「古物商間の」市場です

同 第2条第2項第2号
古物市場(古物商間の古物の売買又は交換のための市場をいう。以下同じ。)を経営する営業」

だから、エコリングもオークネットもスターバイヤーも、古物商許可が入口です。「古物市場で安く買える」の前に、この順番があります。

許可の取り方と費用は、別の記事に書いています(10章)。

3. 仕入れルートは段になっています。私が使わなかった段も書きます

3-1. 段の構造と、各ルートの位置

誰が誰に売るか ここに当たる仕入れルート 私はどうしたか
1 一般の持ち主が手放す 買取(自分で買い取る) ブランド品では使いませんでした。集客が要るからです
2 買取店・フリマが受け取る ヤフオク、メルカリ、リサイクルショップ ヤフオクは使いました(1章)
3 業者どうしが売買する 古物市場(オンライン/会場) オンライン3市場が主力。会場は1-3の理由で外しました
4 卸がまとめて業者に売る 使いませんでした。まとめ買いになり、1点ずつ選べないからです
新品の流れ 正規店、海外店舗、アウトレット、免税店 使っていません。書ける立場にないので、この記事では扱いません

私の答えは「段3のオンライン古物市場を主力に、段2のヤフオクを併用」です。段1と段4は、理由があって使いませんでした。

3-2. 上流に行くほど仕入れ単価は下がります。ただし、引き受けるものがあります

上流に行くと 自分に移ってくるもの
安く買えます 真贋の判断が、自分に移ります
量が取れます 状態と相場の判断が、自分に移ります
継続して仕入れられます 点数が増えるので、作業が増えます(4章)

ここまでは、他の記事にも書いてあることです。この記事で書きたいのは、ここから先です。

4. 実測:2019〜2022年、本業のサイズで回した数字

ここが、この記事でいちばん持ち帰っていただきたい部分です。「古物市場に行けば安く仕入れられる」は正しいのですが、私が詰まった場所は、そこではありませんでした。

4-1. 規模

項目 実測
期間 2019年〜2022年ごろ
商材 シャネルとルイ・ヴィトンのバッグが中心。単価3万〜15万円のものが多い
販売点数 週50〜150点(月にすると200〜600点程度)
動かす資金 月600万円以上
販路 ヤフオクとメルカリで半々。Amazonは使っていません
売り切るまで 1週間以内を目標にして、実際に1週間で大半を売り切っていました
作業場所 自宅。事務所は借りていません

稼げるかどうかで言えば、稼げていました。仕入れも、回転も、問題ではありませんでした。

4-2. 人件費と利益

項目 実測(月あたり)
社員1名 35万円(親族を雇用していました)
アルバイト 10〜15万円(時給2,000円。週3日・1日3時間程度が基本)
月利(人件費を引く前) 80〜200万円。月によってかなり動きます
自分の給与として設定していた額 100万円

仕入れと販売だけを見れば、月に80〜200万円残る。ここまでは成立しています。問題は、ここから人を引いていくと始まります。

4-3. 人件費と自分の給与を乗せると、逆ザヤになりました

悪い月 良い月
月利(人件費を引く前) 80万円 200万円
社員とバイトの人件費(45〜50万円)を引くと +30〜35万円 +150〜155万円
自分の給与(100万円)を引くと −65〜−70万円 +50〜55万円
さらに事務所を借りると(30〜50万円) −95〜−120万円 0〜+25万円

自分の給与を「自分の取り分」ではなく「費用」として置いた瞬間に、悪い月は大きく赤字でした。200万円以上出る月なら残らなくはないのですが、それが常に出るわけではない。事務所を借りると、良い月でもほぼ消えます。

そして、この「200万円以上出れば残る」という状態が、いちばんつらかった。毎月、数字に追われます。その状態を続けることが、私には強いストレスでした。

なぜ事務所の話が出るのか。自宅を作業場所にしていたら、在庫が家を占拠し始めたからです。生活の質が目に見えて下がりました。それを解決しようとして倉庫や事務所を見に行くと、月30〜50万円以上。ここで、規模を大きくするのをやめました。

4-4. 数字に出ない理由も、3つありました

理由 中身
親族雇用が不安定だった やる気があるときは4時間でも5時間でも動いてくれます。ただ、動き出すまでに時間がかかる。計算できない労働力でした。この体制は、離婚で崩れました
余暇が消えた 労働集約型なので、やればやるほど時間がなくなりました。仕入れ点数を増やすと、そのまま作業が増えます
教えると利益相反になる 並行して情報発信をやろうとしていました。教えるには自分の優位性を明かす必要があり、出し惜しみすれば読者は稼げず、出し切れば自分の仕入れが守れません

3つ目が、この記事に仕入れ先を全部書ける理由です。私はプレイヤーをやめたので、明かして困るものがなくなりました。

5. なぜスケールしなかったのか、計算します

5-1. 上流に行っても、下がらない費用があります

上流に行くと下がるもの 上流に行っても下がらないもの
仕入れ単価 人件費、自分の給与、事務所の家賃

3章の話は全部、左の列のことでした。私が止まったのは、右の列です。

5-2. 1点あたりに直します

4章の実測を、月400点・月利140万円(どちらも幅の中央)で置きます。

月あたり 1点あたり(÷400点)
月利(人件費を引く前) 140万円 3,500円
社員とバイトの人件費 50万円 1,250円
自分の給与 100万円 2,500円
事務所(借りた場合) 40万円 1,000円
残り −50万円 −1,250円

1点売って3,500円残る商売に、人を1点あたり4,750円分乗せていました。仕入れ単価をいくら下げても、下の3行は1円も減りません。

良い月はどうか。月利200万円なら1点あたり5,000円なので、4,750円を引いて250円残ります。月に10万円です。「200万円以上出れば残らなくはない」というのは、この250円のことです。

5-3. ブランド中古は、点数を増やすと作業が同じだけ増えます

1点ごとに必要な作業を並べます。

作業 1点ごとに必要か
状態の確認と検品 必要です。同じ型でも状態が違います
撮影 必要です。傷、内側、付属品まで撮ります
商品説明 必要です。状態の記述が1点ごとに違います
出品、質問対応、梱包、発送 必要です。点数に比例します

一点物なので、同じ商品を何度も出品するということができません。100点あれば100回やります。だから、売上が増えるのと同じ速さで、人件費も増えます。規模の経済が効きません。

5-4. 分岐点は、1つの式で出ます

雇ってスケールできるかどうかの判定
1点あたりの粗利 > 1点あたりの人件費 +(自分の給与 + 家賃)÷ 月の点数

私の数字では、左辺が3,500円、右辺が4,750円でした。左辺は月によって2,000円から5,000円まで動くので、右辺を超える月と超えない月が交互に来ます。

解く方法は2つしかありません。1点あたりの粗利を上げる(単価の高い商材に移る)か、右辺から自分の給与と家賃を外す(自分+バイト程度のサイズに戻す)かです。私は後者を選ばず、市場から出ました。

6. 自分+バイトまでのサイズなら、成立します

6-1. 右辺から、自分の給与と家賃が消えるからです

サイズ 5-4の右辺に乗るもの 私の見立て
自分ひとり、自宅 何も乗りません。1点あたりの残りが、そのまま自分の時給です 成立します
自分+バイト、自宅 バイトの時給分だけ(私の場合、1点あたり数百円) 破綻しないと思います。私が続けていれば、ここに戻していたはずです
社員を雇って、自分にも給与を出して、事務所を借りる 1点あたり4,750円(5-2) 私の場合は無理でした

私が詰まった費用は、全部「会社組織にするために乗せた費用」でした。乗せなければ、詰まりません。仕入れ先の問題ではなく、サイズの問題です。

自分+バイトのサイズなら、1章の3市場で1点ずつ選べますし、在庫は自宅に収まります。まとめ買いをする必要も、事務所を借りる必要もありません。

6-2. そのサイズで、上流に行く意味はあるか

目的 上流(古物市場)に行く意味
自分+バイトまでのサイズで、1点あたりの残りを増やしたい あります。仕入れ単価が下がれば、そのまま時給が上がります。返品も100%効きます
雇ってスケールしたい それだけでは足りません。5-4の右辺が下がらないからです
作業の反復から抜けたい 解決しません。上流に行くほど点数が増え、作業も増えます

3行目が、私でした。仕入れを改善しても、抜けたかった作業は増えるほうに動きます。

7. 事故と回転

7-1. 偽物を掴んだとき、古物市場とヤフオクで結果が違いました

仕入れ先 偽物だったとき
古物市場(1章の3市場) 返品できました。100%です
ヤフオク 相手次第です。偽物だと指摘したら「評価を消してくれたら返品を受け付ける」と言われたことがあります。その出品者は、その後も偽物を売り続けていました

「上流に行くと真贋の判断が自分に移る」と3章に書きましたが、私の実測では、事故の後始末はむしろ古物市場のほうが楽でした。ヤフオクは安く買える代わりに、外したときの出口が相手の善意に依存します。

当サイトでは、仕入れの判断に「やり直しコスト率」(いま売ったらいくらか ÷ 買った値段)を使っています。返品できる仕入れ先は、外してもこの率が1に戻ります。返品できない仕入れ先で偽物を掴むと、この率はゼロです。

7-2. 回転は、1週間でした

仕入れてから1週間以内に売り切ることを目標にして、実際に大半はそうなっていました。単価3〜15万円のシャネルとヴィトンのバッグは、この回転が出る商材です。

だから、資金が止まって困ったことはありません。月600万円を回して、1週間で戻す。詰まったのは資金でも回転でもなく、5章の右辺でした。

8. まとめ

この記事で書いたこと
1章 全部入会して残った仕入れ先は、エコリング、オークネット、スターバイヤーの3市場と、ヤフオクです
2章 この3市場は法律上「古物商間の」市場なので、古物商許可が入口です
3章 買取と卸と新品の流れは、理由があって使いませんでした
4章 週50〜150点、月600万円を回して、月利80〜200万円。人件費45〜50万円と自分の給与100万円を乗せると、悪い月は赤字でした
5章 1点あたり3,500円の商売に、人件費・自分の給与・家賃で4,750円乗せていました。仕入れ単価を下げても、この3つは減りません
6章 自分+バイトまでのサイズなら、自分の給与と家賃が乗らないので成立します
7章 偽物の後始末は古物市場が100%返品、ヤフオクは相手次第。回転は1週間でした

全部を1行にすると、こうなります。

ブランド品の転売は、稼げます。仕入れ先も上に書いたとおりです。ただし、規模の経済が効きません。上流に行っても、1点あたりの作業と、自分の給与と、家賃は下がらないからです。

8-1. 今日からの1手

いまの状態 次にやること
これから始める 古物商許可を取ってください(10章)。取れたら、1章の3市場のどれか1つに入会して、1点ずつ選んで買ってください。1つ目を選ぶなら、私の主力だったエコリングです。まとめ買いはしないでください
すでに副業でやっている 1点を仕入れてから発送するまでの時間を計ってください。1点あたりの残り ÷ その時間が、いまの時給です。納得できるなら、仕入れ先を増やす必要はまだありません
人を雇いたい 5-4の式に、自分の給与と家賃を入れてください。私はここで逆ザヤになりました

9. 出典

出典 この記事で使った箇所
e-Gov法令検索「古物営業法」 第2条第2項第1号(古物営業の定義)、第2条第2項第2号(古物市場=古物商間の市場)、第3条(公安委員会の許可)、第31条第1号(無許可営業の罰則)(2章)

法令は改正されます。引用は執筆時点のものです。古物商許可の要否は扱う物と営業の形によって変わります。実際の判断は、所轄の警察署にご確認ください。4章以降の数字は、私自身の2019〜2022年の実測で、出典は存在しません。

10. あわせて読む

記事 どこがつながっているか
ヴェブレン効果・スノッブ効果とは 社外品の部品に交換しても値段が落ちないブランドと、落ちるブランドの差。シャネルの値上げと中古相場の話
古物商許可はせどりに必要か 2章の続きです。許可が要る条件と、費用の内訳
エコリングのオークションについて 1章の主力市場。紹介の流れを書いています
買取ビジネスは儲からないのか 3章の段1を、買い取る側から見た記事です
オンライン古着屋は儲かるのか 家賃が乗るかどうかで損益がどう変わるか。5章と同じ論点です
古着屋は儲かるのか 同じ構造を、公的統計で確かめています

11. この記事について

立場 中古品の売買を国内で20年近く続けています。ブランド品は2019〜2022年ごろ、本業のサイズでやっていました
利害関係 いまは、古物市場の枠を紹介する側にいます。具体的には、エコリングの紹介制度を利用しています(紹介ページ)。オークネットとスターバイヤーは紹介していません。3つとも同じ立場で書いていないことは、先に断っておきます。在庫を持つより、枠を多くの人に紹介するほうが理にかなうと考えて、そちらに移りました。私がプレイヤーとして戻ることはありません
仕入れ先を全部書いた理由 プレイヤーではないので、明かして困るものがないからです
実測なのはどこか 4章と7章の数字と出来事は全部、私の実測です。5章の1点あたりへの分解は、4章の中央値を使った私の計算です
書いていないこと 真贋の判定基準です。現在の私が保証できません。3市場の手数料や入会条件も、変わりうるので各市場に確認してください
専門家ではない部分 弁護士ではありません。古物商許可の要否は判断していません
前の版との違い 前の版は、一般論の仕入れルートを14個並べていました。この版は、私が実際に使って残った4つと、使わなかった理由と、やめた理由の計算に置き換えました

仕入れ先は、上に書きました。それでも私がこの市場を出た理由が、この記事の本体です。仕入れ先は変わっても、この計算は変わりません。

 

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