「まだ使えるPCを、Windows 10のサポート終了ごときで捨てないでください。」
2025年10月、Windows 10のサポート終了と共に、あなたの愛機は本当に「粗大ゴミ」になってしまうのでしょうか?
新しいPCに10万円、20万円を支払うその前に、少しだけ想像してみてください。
動作が重くなり、ファンの音がうるさかったその古いノートPCが、買った当時よりもサクサク動き、最新のスマートフォン並みに洗練された画面で蘇る未来を。しかも、追加費用は0円です。
「Linux(リナックス)なんて難しそう」というイメージは、もはや過去のものです。
特に、今回本命として紹介する**「Zorin OS」は、Windows 10のサポート終了が騒がれ始めてから100万回以上のダウンロード**を記録。多くのユーザーが「Windowsに似た操作感」と「爆速の軽さ」に驚愕し、乗り換えを成功させています。
この記事では、なぜ今「Zorin OS」がWindows難民の救世主と呼ばれるのか、その理由を徹底解説します。さらに、あなたの用途に合わせて選べる他のおすすめディストリビューションや、失敗しない移行手順までを完全網羅。
PCを買い替えるのは、この記事を読んでからでも遅くはありません。
さあ、あなたのPC本来の力を解き放ち、メーカーの都合に振り回されない賢い選択を始めましょう。
1. 【結論】Windows 10からの乗り換え先に「Linux」が選ばれる理由と決定版
「愛用しているPCが、ある日突然使えなくなる」。
そんな不安を抱えているWindows 10ユーザーの間で、今、静かですが確実な地殻変動が起きています。それは、新しいWindowsパソコンへの買い替えではなく、現在のPCの中身(OS)を「Linux」に入れ替えて使い続けるという選択です。
なぜ今、WindowsではなくLinuxなのか。そして、なぜ数あるLinuxの中で「Zorin OS」が指名買いされているのか。その背景には、看過できない「2025年問題」と「ハードウェアの壁」が存在します。
1-1. 2025年10月14日の「Windows 10 サポート終了」と2億4000万台の廃棄PC問題
運命の日は、刻一刻と迫っています。
2025年10月14日、MicrosoftによるWindows 10のサポートが完全に終了します。これ以降、セキュリティ更新プログラムの提供が止まり、使い続けることは丸腰で戦場に出るような危険な行為となります。
しかし、ここで浮上するのが世界規模の環境問題です。調査会社Canalysのレポートによると、Windows 10のサポート終了に伴い、世界中で約2億4000万台ものPCが廃棄(電子ゴミ)になる可能性があると指摘されています。
これらのPCの多くは、ハードウェアとしては故障しておらず、Webブラウジングや文書作成には十分すぎる性能を持っています。「ソフトの寿命」だけを理由に、まだ動くハードウェアを廃棄しなければならない。この「もったいない」状況を打破する唯一の現実解が、OSの載せ替えなのです。
1-2. なぜWindows 11ではなくLinuxなのか?(TPM 2.0要件とスペックの壁)
「Windows 11にアップグレードすればいいのでは?」と思われるかもしれません。しかし、ここにはMicrosoftが設けた**「TPM 2.0」という高く理不尽な壁**が立ちはだかります。
Windows 11を公式に導入するには、比較的新しいCPU(概ね2018年以降の第8世代Intel Core以降)と、セキュリティチップ「TPM 2.0」が必須要件とされています。つまり、「性能的には十分速いCore i7」を積んでいても、世代が少し古いだけでWindows 11には門前払いされてしまうのです。
一方で、Linuxにはこのような恣意的な制限はありません。
Linuxは元々、コミュニティ主導で開発されており、「古いハードウェアをどれだけ長く、快適に使えるか」に重きを置いているディストリビューション(種類)が数多く存在します。Windows 11が見捨てたPCであっても、Linuxであれば最新のセキュリティ状態で、サクサクと動作させることが可能なのです。
1-3. 【結論】最も選ばれているのは「Zorin OS」:サポート終了報道後に100万DLを突破した事実
では、WindowsユーザーはどのLinuxを選べばよいのでしょうか?
数ある選択肢の中で、現在、乗り換えの「正解」として圧倒的な支持を得ているのが**「Zorin OS(ゾーリンオーエス)」**です。
その人気の理由は、単なる「使いやすさ」だけではありません。数字がその実力を証明しています。
Zorin OSの開発チームによると、Windows 11の厳格なシステム要件やWindows 10の終了が話題になり始めてから、Zorin OSのダウンロード数は急増し、なんと100万ダウンロードを突破しました。
特筆すべきは、そのダウンロードの大半がWindowsやmacOSからの乗り換えユーザーによるものだという点です。
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Windows 7/10/11風の見た目にワンクリックで変更可能
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古いPCでも軽快に動く設計
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直感的な操作感
これらを兼ね備えたZorin OSは、もはや「ギーク(技術オタク)のためのOS」ではありません。「Windows難民」にとっての、最も現実的で賢い**「避難所であり、永住の地」**として選ばれているのです。
2. なぜ「Zorin OS」がWindowsユーザーにとって最強の選択肢なのか
「Linuxが良いのは分かったけれど、また一から操作を覚えるのは面倒だ」
「黒い画面でコマンドを打ち込むなんて無理だ」
そう感じるのは当然です。しかし、Zorin OSが世界中で支持されている理由は、まさにその**「Linux特有の難しさ」を徹底的に排除した点**にあります。ここでは、WindowsユーザーがZorin OSを選ぶべき4つの決定的な理由を深掘りします。
2-1. 違和感ゼロのUI:Windows 10/11風のレイアウト(スタートメニュー、タスクバー)を標準装備
Zorin OSを起動して最初に驚くのは、その画面構成が**「あまりにもWindowsに似ている」**ことでしょう。
左下にあるスタートボタン、画面下部のタスクバー、右下の時計や通知エリア。これらがWindowsとほぼ同じ位置、同じ挙動で配置されています。
これは偶然ではありません。Zorin OSには「Zorin Appearance」という機能があり、ワンクリックでデスクトップの見た目を変更できます。
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Windows 10風レイアウト: 慣れ親しんだタイル状のメニュー。
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Windows 11風レイアウト: 中央寄せのモダンなデザイン(Zorin OS 17等の上位版や設定で対応)。
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Windows 7風レイアウト: シンプルで軽量なクラシックスタイル。
つまり、乗り換えたその瞬間から、あなたの「マウスを動かす手の癖(マッスルメモリー)」がそのまま通用するのです。再学習のコストは、限りなくゼロに近いと言えます。
2-2. 驚異的な軽さと互換性:古いCore i3や4GBメモリでもサクサク動く「Zorin OS Lite」の存在
Windows 10/11は、バックグラウンドで膨大なプロセスが動いており、PCのリソース(能力)を常に消費しています。一方、Zorin OSには、低スペックPC向けに最適化された**「Zorin OS Lite」**というエディションが用意されています。
もし、あなたのPCが以下のようなスペックなら、Windowsを使い続けるのは苦行ですが、Zorin OS Liteなら「現役選手」に復帰できます。
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CPU: 数年前の Intel Core i3 や Celeron
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メモリ: 4GB 以下
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ストレージ: 古いHDD(ハードディスク)
「Lite」版は、余計な装飾を削ぎ落とし、徹底的に軽量化されています。ブラウザを開く速度、フォルダの表示速度など、日常の動作の一つひとつがキビキビと反応する快感を、ぜひ体感してください。「PCが遅いのではなく、Windowsが重かっただけだ」と気づくはずです。
2-3. .exeがそのまま動く?:Windowsアプリ互換レイヤー「Wine」機能の搭載状況
「仕事でどうしてもWindows用のソフト(.exeファイル)を使わなければならない」という場合も、Zorin OSは強力な味方になります。
Zorin OSには、「Windows App Support」という機能が組み込まれており、これを有効にするとWindows用のアプリケーション(.exe / .msi)をLinux上で直接実行できるようになります。これは「Wine(ワイン)」という技術をユーザーが意識せずに使えるようにしたものです。
もちろん、100%すべてのソフトが動くわけではありません(特に高度なグラフィックソフトや複雑なゲームなど)。しかし、ちょっとしたフリーソフトや古いツールであれば、クリックするだけでそのまま起動することも珍しくありません。また、起動しようとすると「このファイルを実行するためのサポート機能をインストールしますか?」と親切にナビゲートしてくれるのも、Zorin OSならではの配慮です。
2-4. 導入ハードルの低さ:NVIDIA製グラフィックボードなどのドライバー自動インストール機能
かつて、Linuxへの乗り換えで最大の挫折ポイントだったのが「ドライバーのインストール」でした。特にNVIDIA製のグラフィックボードや、Wi-Fiカードのドライバー設定でつまずく人が後を絶ちませんでした。
Zorin OSは、この問題を過去のものにしました。
インストール時の画面に**「Install third-party software for graphics and Wi-Fi hardware(グラフィックスとWi-Fiハードウェア等のサードパーティ製ソフトウェアをインストールする)」**というチェックボックスがあります。
ここにチェックを入れるだけで、面倒なドライバー探しをOSが代行し、最適なドライバーを自動で適用してくれます。
ゲーミングPCやクリエイター向けPCを再利用したい場合でも、Zorin OSならハードウェアの性能を無駄にすることなく、スムーズに導入を完了できるのです。
3. Zorin以外も検討したい人へ:用途別おすすめLinuxディストリビューション比較
Zorin OSは「Windowsからの乗り換え」において最もバランスの取れた選択肢ですが、PCのスペックやあなたの使用目的によっては、さらに適した「特化型」のLinuxが存在します。
ここでは、Zorin OS以外で検討に値する、世界的に評価の高い4つのディストリビューションを厳選しました。「自分のPC環境にはこっちの方が合っているかも?」という視点で比較してみてください。
3-1. 【安定性重視】Linux Mint 21.3 “Virginia”:Ubuntuベースの堅実な選択肢とCinnamonデスクトップ
もしあなたが、「見た目の派手さよりも、枯れた技術による絶対的な安定性が欲しい」と考えるなら、**Linux Mint(リナックス・ミント)**が最良のパートナーになります。
特にバージョン21.3 “Virginia” は、長期サポート版のUbuntuをベースにしており、その堅牢さは折り紙付きです。採用されているデスクトップ環境「Cinnamon(シナモン)」は、Windows 7に極めて近い操作感を持っています。
Zorinのようなモダンなエフェクトは少ないですが、その分、動作が予測可能で、予期せぬエラーが極めて少ないのが特徴。「質実剛健」を好むユーザーから絶大な支持を得ています。
3-2. 【超軽量化】MX Linux:低スペックPC(Atom、Celeron級)を蘇らせる軽量界の覇者
「押し入れに眠っている10年以上前のネットブック(Atomプロセッサ)を復活させたい」。そんな過酷な条件なら、MX Linuxの出番です。
世界的なLinux人気ランキングサイト「DistroWatch」で長年1位を独走し続けているこのOSは、「中量級」の機能と「軽量級」の軽さを魔法のようなバランスで両立させています。
初期設定の見た目はやや古風ですが、Windowsが起動すらしなくなった低スペックPC(メモリ2GBなど)でも、驚くほど軽快にブラウジングが可能です。Zorin OS Liteでも重いと感じた場合の「最後の砦」として覚えておいてください。
3-3. 【クラウド特化】ChromeOS Flex:Google公式・Webブラウザ作業中心なら最短の解決策
「PCではYouTubeを見るか、Googleドキュメントで作業するくらい」という割り切った使い方なら、Googleが公式に提供しているChromeOS Flexが最も簡単です。
これは厳密にはLinuxディストリビューション(GNU/Linux)とは少し異なりますが、古いPCを無料で「Chromebook」化できるOSです。
最大のメリットは、管理が不要なこと。ウイルス対策もOS更新もすべてGoogleが裏側で自動で行ってくれます。ただし、Androidアプリが動かない(多くの機種で)、Windowsソフトは一切動かないという制限があるため、Webブラウザだけで完結するユーザー向けです。
3-4. 【開発・標準】Ubuntu 24.04 LTS:情報の多さとサポート期間(最大10年)で選ぶならコレ
将来的にプログラミングを学びたい、あるいはサーバー構築をしてみたいという「学習意欲」があるなら、業界標準の**Ubuntu(ウブントゥ)**を選びましょう。
最新のLTS(長期サポート版)である**24.04 LTS “Noble Numbat”は、標準で5年、無料のUbuntu Pro登録を行えば最大10年(2034年まで)**という異次元のセキュリティサポートが提供されます。
世界で最もユーザーが多いため、トラブルが起きても「Ubuntu 音が出ない」などで検索すれば、日本語の解決策が即座に見つかります。情報の多さは、初心者にとって最強の武器となります。
3-5. 比較表:Zorin vs Mint vs ChromeOS Flex(メモリ消費量、日本語対応、初心者易度)
最後に、これまでの選択肢を整理しました。あなたのPCスペックと相談して決めてください。
| 特徴 | Zorin OS 17 | Linux Mint 21.3 | ChromeOS Flex | MX Linux |
| 最適なユーザー | Windowsからの移行者全員 | 安定性・Win7好き | Web作業のみの人 | 10年前のPC利用者 |
| 見た目 (UI) | Win 10/11 風 | Win 7 風 | Chromeブラウザ風 | シンプル・古風 |
| 初心者への易しさ | ★★★★★ (最高) | ★★★★☆ | ★★★★★ (最高) | ★★★☆☆ |
| 日本語対応 | インストール時から完璧 | 非常に良い | 完璧 | 設定が必要な場合あり |
| 必要メモリ目安 | 4GB以上 (Liteは2GB) | 4GB以上 | 4GB推奨 | 2GBでも動作 |
| Windowsアプリ | ○ (Wine機能内蔵) | △ (設定で可能) | × (不可) | △ (設定で可能) |
結論: 迷ったら、まずはZorin OSを試してください。それが重かったり、好みに合わなかった場合に、この表の他の選択肢を検討するのが最も失敗のないルートです。
4. Linuxへ移行する前に確認すべき「ソフトウェアと周辺機器」の代替案
「OS自体は良さそうだけど、普段使っているあのソフトは動くの?」
これは、Linux移行を検討する人が必ずぶつかる壁です。
かつては「Linuxでは何もできない」と言われた時代もありましたが、現在は状況が激変しています。ここでは、Windowsユーザーが最も気にする4つの分野について、具体的な代替案と現状を解説します。
4-1. Microsoft Office(Excel/Word)はどうする?:LibreOfficeとGoogle Workspaceの実用性
結論から言うと、家庭での一般的な用途(家計簿、文書作成、年賀状)であれば、全く問題ありません。
Zorin OSをはじめとする多くのLinuxには、**「LibreOffice(リブレオフィス)」**という高性能なオフィスソフトが最初からインストールされています。これはMicrosoft Officeと高い互換性を持ち、Word(.docx)やExcel(.xlsx)ファイルをそのまま開いて編集・保存が可能です。
また、仕事の資料などで「レイアウトのズレ」が絶対に許されない場合は、ブラウザ上で動く**「Google Workspace(Googleドキュメント/スプレッドシート)」や「Microsoft 365 (Web版)」**を使えば解決します。
「マクロを多用した複雑な業務ファイル」以外は、Linux環境で十分にカバーできるのが現状です。
4-2. 画像・動画編集ソフトの代わり:Photoshop→GIMP、Premiere→DaVinci Resolveへの乗り換え
Adobe Creative Cloud(PhotoshopやPremiere Pro)は、残念ながらLinuxでは動作しません。しかし、プロの現場でも使われる強力な代替ソフトが存在します。
- Photoshopの代わり → 「GIMP(ギンプ)」無料で使える高機能画像編集ソフトの定番です。レイヤー機能や色調補正など、Photoshopでできることの9割以上はカバーできます。「PhotoGIMP」というパッチを当てれば、見た目をPhotoshop風にすることも可能です。
- Premiere Proの代わり → 「DaVinci Resolve(ダビンチ・リゾルブ)」ハリウッド映画の編集でも使われる超本格的な動画編集ソフトですが、実はLinux版が公式に提供されています。無料版でも驚くほど高機能で、Premiereからの乗り換えユーザーも増えています。また、もっと手軽な動画編集なら**「Kdenlive」**もおすすめです。
4-3. ゲームはできるか?:Steam「Proton」機能によるWindowsゲームの動作状況とSteam Deckの影響
「Linuxではゲームができない」というのは、完全に過去の話です。
この革命の立役者は、PCゲームプラットフォームの「Steam」と、携帯ゲーム機「Steam Deck(スチームデック)」です。Steam Deckの中身は実はLinuxそのものです。
Steamには**「Proton(プロトン)」という機能が搭載されており、これがWindows専用のゲームをLinux上で翻訳しながら動かしてくれます。**
『エルデンリング』や『サイバーパンク2077』のような超大作も、Zorin OS上で快適に動作します。ただし、『VALORANT』や『Fortnite』など、強力なアンチチートプログラムを導入している一部のオンライン対戦ゲームは動作しないことがあります。
自分の遊びたいゲームが動くかどうかは、**「ProtonDB」**というサイトで事前にチェックするのが鉄則です。
4-4. 周辺機器の壁:プリンター(Canon/Epson)とWi-Fi子機のLinux対応状況確認方法
最後にハードウェアの確認です。
- プリンター(Canon/Epsonなど):最近のネットワーク対応プリンター(Wi-Fi接続)であれば、Linuxがネットワーク越しに自動認識してくれるケースがほとんどです。USB接続の古い機種の場合も、各メーカーがLinux用ドライバーを公開していることが多いですが、念のため「機種名 + Linux ドライバー」で検索してみましょう。
- Wi-Fi子機(無線LANアダプタ):デスクトップPCなどでUSBタイプのWi-Fi子機を使っている場合は注意が必要です。TP-LinkやBuffaloなどの製品には、Linux用ドライバーが含まれていないものがあります。
【重要】失敗しないための「ライブ起動」
これらの周辺機器が動くかどうかを、インストール前に確認する裏技があります。
Zorin OSなどのLinuxは、PCにインストールしなくても、USBメモリから直接OSを起動する「ライブ起動(お試しモード)」が可能です。
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USBからZorin OSを起動する(インストールはしない)。
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Wi-Fiがつながるか、Youtubeが見れるか、プリンターが反応するか試す。
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問題なければインストールを実行する。
この手順を踏めば、「乗り換えた後にネットに繋がらない!」という悲劇を100%防ぐことができます。
5. 失敗しないLinuxの導入手順【Zorin OS 18 実例解説】
「OSのインストール」と聞くと、黒い画面に暗号のような文字が流れる光景を想像するかもしれません。しかし、Zorin OS 18のインストールは、スマホのアプリを入れるのと同じくらい洗練されています。
ここからは、実際にWindows PCをZorin OSマシンに生まれ変わらせる手順を4ステップで解説します。
※重要:作業前には必ず、消えては困る写真や書類データを外付けHDDやクラウド(Googleドライブ等)にバックアップしてください。
5-1. 準備するもの:4GB以上のUSBメモリとISOファイルのダウンロード(公式サイト)
まずは「インストールの種」となるデータと、それを入れる「容器」を用意します。
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USBメモリ(4GB以上): 中身はすべて消去されるので、空のものか不要なデータが入ったものを用意してください。100円ショップで売っているものでも十分です。
- Zorin OSのISOファイル(本体データ):Zorin OS 公式サイトにアクセスし、「Zorin OS 18 Core(無料版)」をダウンロードします。
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※メールアドレスの登録を求められることがありますが、「Skip to download」を押せば登録なしでダウンロード可能です。
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※10年以上前のPCに入れる場合は「Zorin OS 16.3 Lite」を選んでください。
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5-2. ブートメディア作成ツール「BalenaEtcher」または「Rufus」の使い方
ダウンロードしたISOファイルは、そのままUSBにコピーしても動きません。起動専用のUSB(ブートメディア)に変換するソフトを使います。初心者には画面がシンプルで失敗の少ない**「BalenaEtcher(バレナ・エッチャー)」**がおすすめです。
【作成手順】
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Select image: ダウンロードしたZorin OSのISOファイルを選択。
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Select drive: パソコンに挿したUSBメモリを選択。
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Flash!: ボタンを押して数分待てば、インストール用USBの完成です。
(Windowsユーザーには定番の「Rufus(ルーファス)」を使っても同様に作成できます)
5-3. BIOS/UEFI設定:セキュアブート無効化とUSB起動順位の変更
ここが最大の難関ですが、乗り越えれば9割完了です。
普段、PCは「内蔵ハードディスク」から起動しようとします。これを「USBメモリ」から起動するように指示を出します。
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PCの電源を完全に切る。 作成したUSBメモリを挿入する。
- BIOS/UEFI画面に入る:電源ボタンを押した直後、メーカー指定のキー(F2、F12、Delete、Enterなど)を連打します。
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主要メーカーの例:Dell=F12, HP=F10 or Esc, Lenovo=F12 or Enter
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- 設定の変更(必要な場合):画面が出たら、「Secure Boot(セキュアブート)」という項目を探し、「Disabled(無効)」にします。
- 起動順位の変更(Boot Order):「Boot」タブなどで、USBメモリ(名称に”USB”やメーカー名が入っています)を一番上に移動させます。
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保存して終了(Save & Exit)。
これでPCが再起動し、Zorin OSのロゴ画面が表示されれば大成功です!
(※ここで「Try or Install Zorin OS」を選択すると、インストール前に操作を試せる「ライブ起動」になります。Wi-Fiや音が出るか確認しましょう)
5-4. インストール形式の選択:「Windowsと共存(デュアルブート)」か「ディスクを削除してインストール」か
デスクトップにある「Install Zorin OS」アイコンをクリックすると、インストールウィザードが始まります。日本語を選択して進むと、運命の選択肢が表示されます。
A. 「Zorin OSをWindows Boot Managerの隣にインストールする」(デュアルブート)
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メリット: Windowsを残したまま、起動時にどちらを使うか選べます。
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デメリット: ストレージ容量を圧迫し、設定が少し複雑でトラブルの原因になりやすいです。
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こんな人向け: どうしてもWindowsを残しておきたい慎重派。
B. 「ディスクを削除してZorin OSをインストール」(クリーンインストール)
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メリット: Windowsを完全に消去するため、PCの性能をフルに発揮でき、不具合も起きにくいです。最も推奨される方法です。
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デメリット: 元のWindowsデータはすべて消えます。
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こんな人向け: 古いPCを完全に再生させたい、データバックアップは完了している人。
「2025年問題」で廃棄予定だったPCであれば、迷わず**「B. ディスクを削除してインストール」**を選びましょう。スッキリとした環境で、新しいPCライフが始まります。
ユーザー名やパスワードを設定し、インストールが完了するまで(約15〜30分)コーヒーでも飲んでお待ちください。
6. よくある質問(FAQ)とセキュリティの懸念
未知のOSに飛び込む際、疑問や不安が尽きないのは当然です。ここでは、Windowsユーザーから特によく寄せられる3つの質問に、包み隠さずお答えします。
6-1. Linuxにウイルス対策ソフトは必要か?:ClamAVの導入とLinuxの権限管理構造
Q. Windowsのように、高いセキュリティソフトを買う必要がありますか?
A. 基本的には不要ですが、仕組みを知っておくことが最大の防御です。
Linuxが「ウイルスに強い」と言われるのには、2つの理由があります。
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シェアの低さ: 攻撃者はシェアの圧倒的なWindowsを狙う方が効率的であるため、Linuxを標的としたウイルス自体が絶対的に少ないです。
- 堅牢な権限管理(これが重要): Linuxでは、システムの重要な部分を変更したり、ソフトをインストールしたりする際、必ずパスワード(管理者権限)を求められます。つまり、仮にウイルス入りのファイルを開いてしまっても、あなたがパスワードを入力して許可しない限り、ウイルスはシステムの中枢に入り込めない構造になっているのです。
それでも不安な方や、メールでWindowsユーザーとファイルをやり取りする方(自分が媒介者にならないため)には、**「ClamAV」**やそのグラフィカル版である「ClamTk」という無料のウイルス対策ソフトが用意されています。ソフトウェアストアからワンクリックで導入可能です。
6-2. コマンド操作(黒い画面)は必須?:GUIだけで完結できる現代のLinux事情
Q. あの「黒い画面」に英語の命令文を打ち込む作業が怖いです。
A. 現代の「Zorin OS」では、一般ユーザーが黒い画面(ターミナル)を開く必要はほぼありません。
かつてのLinuxはコマンド操作が必須でしたが、今は時代が変わりました。
アプリのインストールは、スマホの「App Store」や「Google Play」と同じ感覚です。Zorin OSに標準搭載されている**「ソフトウェア(Software)」**というアプリを開き、欲しいソフトを検索して「インストール」ボタンを押すだけ。
ブラウジング、動画視聴、文書作成、設定変更。これらの日常作業はすべてマウス操作(GUI)だけで完結します。黒い画面を使うのは、よほど高度なカスタマイズをする時か、トラブルシューティングをする時だけと考えて大丈夫です。
6-3. もし気に入らなかったらWindowsに戻せる?:回復ドライブ作成の重要性
Q. Linuxを入れてみて、どうしても合わなかったらWindowsに戻せますか?
A. 「Windows回復ドライブ」さえ作っておけば、いつでも戻せます。
ここが最も重要なポイントです。
Linuxを「ディスクを削除してインストール」すると、PC内のWindowsデータ(リカバリ領域含む)はすべて消滅します。そのため、何も準備せずにLinuxを入れた後で「やっぱりWindowsがいい」となっても、戻る手段がありません。
このリスクを回避するために、Linuxを入れる前に必ずWindows側で「回復ドライブ(USB)」を作成しておきましょう。
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Windowsの検索窓に「回復ドライブ」と入力。
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16GB以上のUSBメモリを挿して作成(所要時間:1時間程度)。
このUSBメモリ(帰りの切符)さえ持っていれば、万が一Linuxが肌に合わなかった場合でも、PCを工場出荷時のWindows状態に完全に戻すことができます。この「保険」さえあれば、安心してLinuxの世界へ飛び込むことができます。
どれぐらいのスペックがあればZorinを快適に動かせますか?
Zorin OSは低スペックなPCでも動作するのが大きな魅力ですが、「とりあえず動く」のと、「今後3年以上、ストレスなくメイン機として使い続ける」のでは、求められる快適さの基準が少し異なります。
もし、あなたが再生させたPCを長く愛用したいと考えているなら、以下のスペックを目安にすることをおすすめします。
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CPU:Celeronのような廉価版CPUではなく、Core i3やCore i5など当時のミドルスペックを搭載していたモデルであること。
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ストレージ:HDDからSSDへの交換を行う意志があること(PCの体感速度を上げる最も効果的な投資です)。
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メモリ:8GB以上搭載すること(4GBだと少し「もっさり」する場面も、8GBあれば劇的に快適になります)。
「手持ちのPCがこれ以下のスペックなんだけど…」という方も、がっかりする必要はありません。むしろ、「買い替え」のチャンスです。
これ以下のスペックの場合、無理にそのPCを使い続けるよりも、現在のPCをメルカリやハードオフなどで数千円で売却し、1万円程度で売られている中古PCを購入するのが、実は最も賢い戦略です。
今、1万円前後で購入できる中古PC(特に企業リース落ちのノートPCなど)の多くは、上記の「Core i5 / SSD / メモリ8GB」という条件を満たしています。数千円の差額で、Zorin OSを入れるための「器」をアップグレードしてあげるだけで、その後のパソコンライフの快適さは桁違いになります。
7. まとめ:古いPCを捨てずに「Zorin OS」で再生させよう
ここまで、Windows 10のサポート終了に伴う問題と、その最適解としての「Zorin OS」について解説してきました。
最後に改めてお伝えしたいのは、**「あなたのPCはまだ終わっていない」**という事実です。
7-1. Windows 10を使い続けるリスク(ランサムウェア、個人情報流出)からの脱却
「ネットに繋がなければ大丈夫」「自分は狙われない」
そう考えてWindows 10を使い続けるのは、あまりにも危険な賭けです。
2025年10月以降、セキュリティホール(欠陥)が放置されたWindows 10は、世界中のハッカーにとって格好の標的となります。ランサムウェアによるデータの暗号化、クレジットカード情報の流出、PCの乗っ取り……。これらの被害に遭ってからでは遅いのです。
Microsoftの都合で危険に晒されるのではなく、自らの意思で安全で堅牢なLinuxへと舵を切る。それが、あなたのデジタルライフを守る最も確実な防衛策です。
7-2. 今すぐダウンロードしてUSB起動(ライブ起動)で試してみることを推奨
もし、まだインストールを迷っているなら、まずは「お試し」だけでもやってみてください。
記事中で紹介した通り、Zorin OSは今のWindows環境を一切壊さずに、USBメモリから起動して使い心地を試すことができます。
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公式サイトからISOをダウンロードする
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USBメモリに書き込む
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USBから起動してみる
この3ステップにかかる費用は0円です。
実際にその画面の美しさと、驚くほどの軽さを体感すれば、「なんでもっと早くやらなかったんだろう」と感じるはずです。もし気に入らなければ、USBを抜いて再起動すれば、いつものWindowsが戻ってきます。リスクはありません。
7-3. PCの寿命を延ばすことは、環境とお財布への最大の貢献である
新しいPCを買えば、安くても数万円、高ければ十数万円が飛んでいきます。
しかし、手元のPCにZorin OSを入れれば、その出費はゼロになります。浮いたお金で、美味しいものを食べたり、旅行に行ったり、新しい趣味を始めることさえできます。
さらに、まだ使えるPCを廃棄せずに使い続けることは、電子ゴミ(E-waste)を減らし、地球環境を守るための最も賢く、具体的なアクションでもあります。
「PCを買い替える」という常識を捨て、「OSを入れ替える」という新しい選択を。
さあ、今すぐUSBメモリを手に取り、あなたの愛機をZorin OSで蘇らせましょう。そのサクサク動く画面の向こうに、快適で自由な未来が待っています。
この記事を読んだ人が次にすべきこと
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Zorin OS 公式サイトにアクセスし、「Core」または「Lite」版をダウンロードする。
-
手元に4GB以上のUSBメモリがあるか確認する。
- 自分で出来ないのでZorinOSのインストールを代行して欲しい → 細野に相談







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