「この本、仕入れていいのか」
ブックオフの棚の前で毎回悩むのは、判断基準を暗記しているだけで、計算していないからです。「Amazon価格800円以上なら仕入れ」といったルールをどこかで覚えても、その800円がどこから来た数字なのかを説明できる人はほとんどいません。
結論を先に書きます。仕入110円の本は、FBAを使うならAmazon価格637円以上でないと赤字です。500円で売れている本を110円で仕入れると、1冊あたり114円の損失になります。300円なら280円の損失です。
初心者向けの記事はほぼ例外なくFBAを推奨しているので、その通りに始めた人は、仕入れれば仕入れるほど資金が減ります。
一方、日本郵便と配送特約を結んで自己発送する場合、同じ本の損益分岐は127円まで下がります。特約なしのクリックポストでも241円です。
同じ本の仕入れ基準が、発送方法だけで5倍変わる。これが本せどりの実像です。
そしてこの差は、単なる手法の違いではありません。利益が残るやり方は梱包地獄と引き換えで、副業では回らない。副業で回るやり方は利益が残らない。どちらを選ぶかは損得ではなく、生活をどう組むかの選択になります。
この記事では、私が2007年から古本のネット販売で数万冊を扱ってきた実測値をもとに、仕入れ判断を式で出します。そのうえで、この二択が実際に何を意味するのかまで書きます。
「仕入れていいか」は式で出る
まず収支を分解します。Amazonマーケットプレイスで自己発送する場合の内訳です。
| 項目 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 商品価格 | +P | Amazonでの販売価格 |
| 配送料(購入者負担) | +350円 | 書籍はAmazon指定額 |
| 販売手数料 | −16.94% | 15.4%+消費税。商品+送料に対して |
| カテゴリー成約料 | −140円 | メディア商品固定 |
| 発送費 | −185円 | クリックポストの場合 |
| 梱包資材 | −10円 | 封筒・OPP・緩衝材 |
| 作業人件費 | −46円 | 2.5分×時給1,100円 |
| 仕入原価 | −C |
式にすると次のようになります。
1冊あたり利益 = 0.8306 ×(P+350)− 140 − 発送費 − 10 − 46 − C
販売手数料は2026年4月に上がっています
ここで注意点があります。2026年4月1日の改定により、メディアカテゴリー(本・DVD・ミュージック・PCソフト・ビデオ)は販売価格にかかわらず販売手数料率が0.4%引き上げられました。他カテゴリーは売上750円超が対象ですが、メディアだけは全価格帯が対象です。
従来15%だったものが15.4%になり、消費税を加えた実効負担は16.94%です。1冊あたりでは数円の話ですが、月間数千冊を扱えば無視できない額になります。
あわせて、カテゴリー成約料は2024年4月15日からメディア商品一律140円です。それ以前は80円前後でした。この2つの改定を計算に入れていない古い記事は、利益を6〜7割過大に見積もっています。
損益分岐となるAmazon価格
式に仕入値を入れると、「いくら以上で売れていれば仕入れていいか」が出ます。
| 仕入値 | クリックポスト(185円) | 特約ゆうメール(90円) |
|---|---|---|
| 110円 | 241円以上 | 127円以上 |
| 220円 | 374円以上 | 259円以上 |
| 330円 | 506円以上 | 392円以上 |
| 550円 | 771円以上 | 657円以上 |
この表は自己発送の場合の数字です。FBAを使う場合は基準が大きく上がるため、そのまま使わないでください。仕入110円の本なら、FBAの損益分岐はAmazon価格637円です。理由と比較は後述します。
これは損益分岐なので、実際にはここから利益を乗せた価格帯を狙います。仕入110円の場合の利益額は次の通りです。
| Amazon価格 | クリックポスト | 特約ゆうメール |
|---|---|---|
| 300円 | 49円 | 144円 |
| 500円 | 215円 | 310円 |
| 800円 | 464円 | 559円 |
| 1,500円 | 1,046円 | 1,141円 |
| 3,000円 | 2,292円 | 2,387円 |
「800円以上」という通説の正体
せどりの記事でよく見る「Amazon価格800円以上でないと利益が残らない」という基準は、この表を見ると意味がわかります。
クリックポスト発送・仕入110円で、1冊464円の利益が出るのが800円。ここが「まともな利益が残る」と体感される水準です。つまり通説自体は間違っていませんが、クリックポスト前提の数字だということが説明されていません。
特約を結んでいれば、同じ464円の利益はAmazon価格690円で達成できます。狙える商品の幅が変わります。
なお、FBAを使う場合はこの800円でも足りません。仕入110円・Amazon800円のFBAで残るのは135円です。同じ「800円ルール」を使っていても、発送方法によって手残りが3倍違います。
「本せどりはオワコン」の正体
「送料と手数料が上がって薄利多売は終わった」という話は、半分正しく半分間違いです。
上の表をもう一度見てください。仕入110円・Amazon300円という、まさに薄利多売の典型的な組み合わせで、クリックポストなら49円、特約なら144円。3倍近い差があります。
終わったのは「薄利多売」ではなく、「特約を結べない規模での薄利多売」です。
特約の条件
日本郵便のゆうメール特約は、月間500個以上の差し出しが一つの目安になります。重量帯ごとの単価は次の通りです。
| 重量 | 単価 | 該当する本 |
|---|---|---|
| 100g以内 | 84円 | 薄い文庫・新書 |
| 200g以内 | 90円 | 一般的な文庫・新書 |
| 300g以内 | 95円 | 薄手の単行本 |
| 500g以内 | 106円 | 一般的な単行本 |
月500個は、1日あたり17冊です。副業でも到達できない数字ではありません。
「実績がないと契約できないのでは」と思うかもしれませんが、実際にはそうではありませんでした。私が相談した際は、営業実績ゼロの段階でも見積もりが出ています。ただし支店や時期によって対応が変わるため、まず最寄りの支店に問い合わせてみてください。
ここが参入障壁になっている
この構造には裏があります。小さく始めてテストすると、赤字にしかなりません。
月に20〜50冊という規模では特約が結べず、クリックポストで1冊49円しか残らない。リサーチ時間を考えれば時給数百円です。ここで「本せどりは稼げない」と判断して撤退する人が大量に出ます。
逆に言えば、この壁を越えた人だけが残るということでもあります。ライバルが増えないのは、参入が難しいからではなく、参入してすぐ赤字で辞めるからです。
時給で考える
利益額だけを見ていると判断を誤ります。せどりは労働集約なので、1冊あたりの拘束時間で割った実効時給を見るべきです。
私の実測では、1冊あたりの作業時間は次の通りです。
- 出品(スキャン・コンディション確認・値付け・棚入れ):1.75分
- 発送(ピッキング・梱包・ラベル・差し出し):0.75分
- 合計:2.5分
これに店舗リサーチの時間が加わります。3時間で30冊仕入れられたとすると、1冊あたり6分。合計8.5分です。
| Amazon価格/仕入値 | 1冊利益(人件費前) | 実効時給 |
|---|---|---|
| 300円/110円 | 190円 | 1,340円 |
| 500円/110円 | 356円 | 2,513円 |
| 800円/110円 | 605円 | 4,272円 |
| 1,500円/220円 | 1,077円 | 7,600円 |
| 3,000円/330円 | 2,213円 | 15,618円 |
※特約ゆうメール前提
低単価帯の実効時給はアルバイトと大差ありません。一方で高単価帯は時給1万円を超えます。同じ8.5分を使うなら、どちらの本を探すべきかは明らかです。
ただし高単価本は数が少ないので、リサーチ時間が伸びます。1冊見つけるのに20分かかれば、時給3,000円台まで落ちます。実際の運用は、低単価で数を確保しつつ、高単価を拾ったら必ず取るという混合になります。
FBAは「楽な選択肢」ではなく「別の商売」
ここが本せどり最大の分岐点です。そして多くの記事が、FBAを「手数料は少し高いが手間が省ける便利なサービス」として紹介しています。実態は違います。
決定的な違いは、送料350円が入るかどうか
自己発送では、購入者が払う配送料350円が売上として入ります。実費が特約ゆうメールの90円なら、1冊あたり260円の粗利が送料だけで乗ることになります。
FBAではこれが消えます。プライム配送は購入者にとって送料無料なので、350円の収入はゼロ。そのうえで配送代行手数料を払います。
つまりFBAへの切り替えは「手数料が少し増える」のではなく、「1冊あたり350円の収入源を失って、さらに手数料を払う」という変更です。
損益分岐の比較
仕入110円の本で比較します。FBA配送代行手数料はメディア小型サイズ288円、販売価格1,000円以下の66円割引を適用して222円、これに納品送料25円と出品作業32円を加えた前提です。
| 発送方法 | 損益分岐となるAmazon価格 |
|---|---|
| 自己発送(特約ゆうメール90円) | 127円 |
| 自己発送(クリックポスト185円) | 241円 |
| FBA | 637円 |
5倍の差です。単価別の1冊利益で見ると、差はさらにはっきりします。
| Amazon価格 | FBA | 自己発送(特約) |
|---|---|---|
| 300円 | −280円 | 144円 |
| 500円 | −114円 | 310円 |
| 800円 | 135円 | 559円 |
| 1,000円 | 302円 | 725円 |
| 1,500円 | 651円 | 1,141円 |
| 3,000円 | 1,897円 | 2,387円 |
※FBA手数料は改定が頻繁なので、実際の商品ではセラーセントラルの料金シミュレーターで確認してください。
FBAでは、500円以下の本はすべて赤字です。1,000円以下の帯でも、自己発送の半分以下しか残りません。両者が近づくのは3,000円を超えたあたりからです。
これが「オワコン」の実体
「本せどりは手数料負けする」という話は、正確には「FBAを使った低単価の本せどりは手数料負けする」です。そして初心者向けの記事はほぼ例外なくFBAを推奨しているので、その通りに始めた人は赤字になります。
低単価帯でも成立するのは、特約を結んだ自己発送だけです。ただし、そこには別の代償があります。
自己発送を選ぶと、梱包が生活の中心になる
自己発送の実務量を計算します。作業時間は1冊2.5分(出品1.75分+発送0.75分)です。
| 月間販売数 | 月間作業時間 | 1日あたり |
|---|---|---|
| 500冊(特約の最低ライン) | 21時間 | 42分 |
| 1,000冊 | 42時間 | 1時間24分 |
| 3,000冊 | 125時間 | 4時間10分 |
| 6,000冊 | 250時間 | 8時間20分 |
ここに仕入れ・買取・リサーチの時間が別途乗ります。
月3,000冊を超えたあたりから、一人では回りません。1日4時間の梱包に加えて仕入れに出る必要があり、実質的にアルバイトの雇用がマストになります。
そうなると、必要なのは倉庫であり、労務管理であり、人が作業できる空間です。自宅の一室では終わりません。本せどりではなく、事業になります。
逆に言えば、これは副業では実行できないルートです。平日の夜と週末で月3,000冊の梱包を回すのは不可能で、月500冊の最低ラインですら平日毎日42分の作業が発生します。出張や繁忙期があれば即座に破綻します。
副業ならFBA一択。ただし、お金は増えない
副業でやるなら、選択肢はFBAしかありません。発送作業がなくなり、納品は月1〜2回まとめて行えばいい。ここは疑いようがない。
問題は、上の表が示す通りFBAでは低単価の本が全滅することです。扱えるのは実質1,000円以上の本に限られます。
そして高単価の本は、当然ながら数が少ない。
- 110円コーナーで1,000円以上で売れる本を見つける確率は低く、リサーチ時間が伸びる
- 高単価本はAmazonランキングが低い(回転が遅い)ものが多い
- 回転が遅い在庫はFBA倉庫に滞留し、保管手数料と長期在庫手数料がかかる
「稼げるけどお金が増えない」の正体
ここで起きるのが、本せどり最大のジレンマです。
FBAで月5万円の利益を出すとします。平均利益541円/冊(Amazon1,500円・仕入220円)なら月93冊。1日3冊なので、副業として十分成立する数字です。
ところが、通帳の残高は増えません。理由は3つあります。
1つめ:利益がそのまま次の仕入れに消える。規模を維持するには仕入れ続ける必要があり、拡大しようとすればさらに仕入れる。利益は在庫という形に変わります。
2つめ:高単価=低回転なので、在庫の滞留期間が長い。回転が2ヶ月なら、常に2ヶ月分の仕入れ資金が寝ています。売上は立っているのに、現金は在庫に固定されている状態です。
3つめ:利益率が薄いので、事故を吸収できない。不良在庫、返品、コンディションのクレーム。1つ起きるたびに、数冊分の利益が消えます。
その結果、「月商30万円達成」という数字は出せるのに、手元の現金は開始時からほとんど動いていないという状態が生まれます。SNSで月商報告は大量に流れるのに、専業に移行できた人がほとんど見当たらないのは、この構造が理由です。
ではFBAは無意味か
そうではありません。FBAが明確に有利な場面はあります。
- セット本・厚い本:自己発送では宅急便サイズになり、送料が跳ね上がります。ここはFBAが圧倒的に安い
- 単価3,000円以上:自己発送との差が縮まり、プライムマークによる販売力の差が上回ります
- 在庫を置く場所がない:計算に関係なく選択肢がありません
現実的な運用は、低単価と文庫・新書は自己発送、セット本と高単価はFBAという併用です。ただし併用には自己発送のインフラ(特約・作業場所・梱包体制)が前提になるので、副業では成立しません。
セット本は手数料の圧縮装置
全巻セットが強いと言われる理由は、はっきりしています。カテゴリー成約料と発送費が「1回分」で済むからです。
30巻の漫画を、バラで売った場合とセットで売った場合を比較します。
| バラ30冊 | 30巻セット1件 | |
|---|---|---|
| カテゴリー成約料 | 140円×30=4,200円 | 140円×1=140円 |
| 発送(自己発送・特約) | 90円×30=2,700円 | 宅急便1個=約900円 |
| 梱包 | 10円×30=300円 | 約150円 |
| 作業時間 | 2.5分×30=75分 | 約25分 |
| 固定費合計 | 7,200円 | 1,190円 |
差額6,010円。これがそのまま利益に変わります。
110円×30冊=3,300円で仕入れた漫画が5,000円で売れる場合、販売手数料を引いても手残りは2,000円前後。バラで売っていたら赤字です。
つまりセット本とは、Amazonの固定手数料構造を回避する手法です。成約料140円という固定費が効いている以上、この構造は当面変わりません。
抜け巻の埋め方
セットを作る際、店舗で全巻揃っていることは稀です。抜け巻はネットで埋めます。
- ブックオフオンライン:店舗受取を使えば送料無料
- 駿河屋:古い作品やマニアックな巻に強い。発送は遅い
- ネットオフ・バリューブックス:クーポン頻度が高い
判断基準は単純で、「1冊の追加コスト<セット完成による利益増」なら買う。抜け巻1冊に500円かけても、セットが5,000円で売れるなら即座に買うべきです。数百円の節約のためにセットが半年寝るほうが損失は大きくなります。
ブックオフでの仕入れ判断
棚を端からスキャンする「全頭検索」は時給を下げます。上の時給表の通り、1冊あたりのリサーチ時間が伸びるほど実効時給は落ちるので、見る棚を絞るほうが合理的です。
110円〜220円コーナー
仕入値が安いのでリスクは低く見えますが、下限を割ると作業すればするほど赤字が積み上がります。自己発送ならAmazon価格241円(特約なら127円)、FBAなら637円が下限です。自分がどちらで発送するかを決めてから棚に立ってください。
FBAで運用しているなら、110円コーナーは「637円以上で売れている本を探す場所」になります。該当する本は多くないので、リサーチ時間が伸びる前提で臨む必要があります。
この価格帯で狙うなら、実用書・ビジネス書の単行本が比較的Amazon価格が残りやすい傾向です。
値札が重なっている本
店舗が値下げした商品には、古い値札の上に新しい値札が貼られていることがあります。店側が「早く売り切りたい」と判断した本なので、Amazon相場との乖離が生まれやすい。
棚を見るとき、値札が二重になっている本だけをリサーチする。これだけでスキャン回数が10分の1以下になり、実効時給が跳ね上がります。
雑誌コーナー
付録が未開封のままゴムバンドで留められている雑誌は、本というよりグッズとして取引されます。また、鉄道・車・手芸・音楽・建築といった専門誌は、定価を超える価格がつくことがあります。
雑誌は重量があるものが多いので、500g以内(特約106円)を超えないかを確認してください。重量帯を1つ跨ぐと利益が十数円削られます。
値札の日付
ブックオフのインストアコードには入荷時期の情報が含まれています。半年以上前の日付が入った本は、長期間売れていない=需要が低い可能性が高い。新しい日付の値札だけを目で追うだけで、リサーチ効率が変わります。
電脳せどり
店舗仕入れは天候と移動時間に左右され、近隣店舗を回り切ると頭打ちになります。これを補うのがネット仕入れです。
フリマアプリの狙い方
メルカリやヤフオクには、相場を知らない出品者が一定数います。引越しや遺品整理で「処分」を優先している人たちです。
検索キーワードとしては「引越し 処分」「断捨離 本」「大量 まとめ」「遺品整理」といった、利益より片付けを優先している心理が出ている言葉が有効です。また「全巻セット」と正式に書かず「揃ってます」のような曖昧な表現になっている出品は、検索から漏れやすく競合が少なくなります。
電脳の地雷
着払い:安く落札できたと思ったら送料が2,000円かかる、というのは典型的な失敗です。必ず送料負担を確認してください。
レンタル落ち:店舗のハンコや防犯シールが付いており、Amazonでは「可」でしか出せません。クレーム率が上がるので初心者は避けたほうが無難です。
写真1枚・説明文なし:書き込みやタバコ臭のリスクがあります。コメントで確認するか、見送りましょう。
不良在庫の損切りライン
「いつか売れる」と高値で放置するのが、最も損失の大きい選択です。在庫は現金が形を変えたもので、寝ている間は何も生みません。
損切りの判断も式で出せます。その本を持ち続けることで得られる期待利益が、資金を回転させた場合の利益を下回った時点が損切りラインです。
実務的には次のように運用します。
- 3ヶ月動かない:最安値に合わせて売り切る
- 6ヶ月動かない:仕入値を割ってでも現金化する
- それでも動かない:処分。保管コストと管理の手間のほうが高い
110円の仕入れなら、損切りしても失うのは110円です。1冊の判断ミスが110円で済むことが、本せどりの最大の利点です。家電やブランド品なら1回の失敗が数万円になります。この失敗コストの安さが、初心者が独学で上達できる理由になっています。
古物商許可は必須
中古品を利益目的で仕入れて販売する場合、古物商許可が必要です。無許可営業は罰則の対象になります。
- 申請先:管轄の警察署(防犯係)
- 手数料:19,000円
- 標準処理期間:約40日
- ネット販売の場合、URLの使用権原を疎明する資料が必要
「稼げるようになってから」と後回しにする人が多いですが、審査に40日かかるうえ、Amazonのアカウント審査で提示を求められることもあります。継続する意思があるなら最初に申請してください。
結局、これは適性の問題になる
ここまでの計算をまとめると、本せどりには2つのルートしかありません。
| 自己発送ルート | FBAルート | |
|---|---|---|
| 扱える単価 | 127円〜(ほぼ全部) | 637円〜 |
| 1冊の利益(800円の本) | 559円 | 135円 |
| 月3,000冊の作業時間 | 125時間 | 納品作業のみ |
| 人の雇用 | 月3,000冊超で必須 | 不要 |
| 必要な場所 | 倉庫・作業場 | 不要 |
| 副業での実行 | 不可能 | 可能 |
| 手元に残る現金 | 残る | ほぼ残らない |
利益が残るやり方は副業では回らず、副業で回るやり方は利益が残らない。これが本せどりの構造です。
だから判断すべきは「稼げるか」ではありません。次のどちらに耐えられるかです。
A:梱包が生活の中心になることを受け入れられるか
毎日数時間の単純作業が発生し、規模を上げれば人を雇い、倉庫を借り、労務を管理することになります。仕入れと買取はその合間にやる。副業ではなく、生活の形が変わる選択です。そのかわり、1冊あたりの利益は4倍残ります。
B:現金が増えない期間を許容できるか
FBAなら副業として成立し、作業からは解放されます。ただし扱える本が限られ、利益率は薄く、稼いだ分は在庫に変わり続ける。数年やっても通帳の残高が動かない可能性を受け入れられるかどうかです。
Bを「趣味と実益を兼ねた活動」として割り切れるなら、それは十分に成立します。本が好きで、店を回るのが楽しく、月に数万円が動けば満足なら、Bで何の問題もありません。実際、続いている人の多くはこのタイプです。
問題なのは、Bをやりながら「いつか専業に」と考えている場合です。Bの延長線上にAはありません。単価を上げても、冊数を増やしても、FBAの手数料構造は変わらない。移行するには、ある時点で自己発送のインフラを作る決断が要ります。
Aを選ぶなら
事業として組む場合、必要になるのは在庫量、床面積、人件費を含めた損益分岐です。
目安を書いておくと、平均単価200円・特約ありなら、年収300万円で1日74冊、年収500万円で1日110冊。必要在庫は4,400〜6,600冊で、保管に15〜20㎡、作業スペースを含めて40〜50㎡です。地方であれば家賃5〜6万円台で収まります。
この規模の設計、固定費の内訳、人を雇う場合の分岐点は、古本を事業として組む場合の記事で数字を出しています。
まとめ
押さえるべき数字は3つです。
- 損益分岐:仕入110円の本は、自己発送特約で127円、クリックポストで241円、FBAで637円
- 特約の壁:月500個を超えられるかで、1冊の利益が3倍変わる
- 実効時給:1冊8.5分として、Amazon800円帯で時給4,272円
「本せどりはオワコン」という言説の正体は、FBAで低単価の本を扱っている状態です。500円の本を1冊売るたびに114円失っているのだから、稼げるはずがありません。
一方、特約を結んだ自己発送なら同じ本が310円残ります。ただしその世界には、毎日の梱包と、いずれ人を雇う未来がついてきます。
本せどりが稼げるかどうかは、手法の問題ではなく、どちらの生活を選ぶかの問題です。先にそれを決めてから、仕入れの式を使ってください。
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