「ビームせどり」「せどり バーコードリーダー」で調べて来られた方に、先に結論を書きます。
ビームせどりは、バーコードリーダー(スキャナー)で店の棚のバーコードを次々に読み、スマホのせどりアプリで相場を調べる店舗せどりのやり方です。やり方そのものは終わっていません。バーコードリーダーは新品の仕入れでも使えるので、出品規制を解除できているならオワコンではない、と私は見ています。オワコンなのは、低単価の本をFBAで売るやり方です(せどりはやめたほうがいい?)。ただ、スキャンが速くなるのは「調べる作業」だけで、仕入れの利益を決めるのはその前後の判断です。
道具の結論は2つです。性能と値段で比べるなら、私はEyoyoのEY-028L(1次元レーザー・液晶付き、公式サイトで61.99ドル)が上だと見ています。ただし、速さや読み取り距離は公表されておらず、公表値で1位と言えるわけではありません。私の手元の個体には技適マークもありません。国内の無線の認証がある機種から選ぶなら、安く済ませるならKDC200の中古(ヤフオクの直近180日の中央値8,000円)、新品なら、KDC200の後継のKOAMTAC KDC80L(日本のAmazonで25,990円。メーカーの仕様の規格の欄にJ-MIC)が第一候補だと見ています。届いた個体の技適マークを確かめるのが前提です。
私はビームを使って店舗せどりをやっていましたが、いまは使っていません。使っていた立場と、やめた立場の両方から、機種の選び方と、やるかどうかを決める材料を書きます。この記事は、店でバーコードを読む店舗せどりの話で、パソコンで探す電脳せどりは扱っていません。
1. ビームせどりとは
スキャナーをスマホにBluetoothでつなぎ、棚の商品のバーコード(JANコード)に読み取りの光を当てると、読んだ番号がせどりアプリの検索欄に入り、Amazonの価格やランキングが出ます。これを棚の端から端まで繰り返すのが、ビームせどりです。棚を全部読むので「全頭検索」とも呼ばれます。読み取りの方式には、レーザー、CCD、2次元のイメージャーがあります。この記事では、棚のJANコードを読むのに向く1次元のレーザー機を中心に比べます。
スマホのカメラでも同じことはできますが、1点ずつカメラを向けて合わせる手間がかかります。スキャナーは、カメラを向けて合わせる手間なしに、棚に並んだまま読めるのが違いです(本は少し引き出して、裏表紙のJANコードを読みます)。せどりすとプレミアムの公式ページには、MS910を使ったときに「一分間に200商品以上のスキャン」ができると書かれています。ただしこのページは、AmazonのMWS(2024年に停止)を使っていたころの説明が残った古いもので、いまのアプリとAPIでの速さを示す数字ではありません。
| 要るもの | 役割 | このサイトの記事 |
|---|---|---|
| スキャナー | 棚のバーコードを読み、番号をスマホに送る | この記事の3〜6章、KDC200の設定と中古相場 |
| せどりアプリ | 番号からAmazonの価格・ランキング・出品できるかを出す | せどりアプリおすすめ |
| スマホ | アプリを動かす。iPhoneならせどりすとプレミアム、Androidならアマサーチが軸 | Androidのせどりアプリ |
スキャナーは、スマホからはキーボードとして見えます(HID接続)。読んだ番号をキーボードで打ち込んだのと同じ扱いになるので、アプリの側が外部のバーコードリーダーに対応しているかが大事です。せどりすとプレミアムは公式で、HID接続のバーコードリーダーならアプリを開いた瞬間から検索できるとし、KDC200とMS910では日本語入力との同時利用も確かめたと書いています。アマサーチは標準プランの機能として「外部バーコードリーダ対応」を挙げています。
2. 私の立場
私は店舗せどりを長くやってきました。一番取れたのはブックオフとハードオフです。深夜まで店舗を回っていた時期もあり、あの量を全部調べるなら、バーコードリーダーはあったほうが速い。スマートフォンのカメラで棚を端から端まで全部読むのは、現実的ではありませんでした。使っていたのは、せどりすとプレミアムとKDC200iの組み合わせです。
いまはやめています。理由は2つです。
- 体力が続かない。店舗せどりは、移動と立ち仕事と重い荷物の運搬がセットです。時給換算が合っていても、身体のほうが先に限界を迎えました。これが一番の撤退理由です。
- Amazonに出せる前提が、以前ほど当たり前ではなくなった。これは9章で、私の経験と、読者がいま確認すべきことを分けて書きます。
だから、ビームせどりを人に勧める記事ではありません。以下は、やるなら何を買うか、やるかどうかをどう決めるかの判断材料です。
3. バーコードリーダーの選び方:私の基準は7つ
ビームで効くのは、棚に並んだ1次元のバーコード(JANコード)を、離れたところから、速く、確実に読めることです。QRコードなどの2次元コードや、スマホの画面のバーコードは、せどりの棚ではまず使いません。私が機種を選ぶときの基準は、次の7つです。
| 基準 | なぜ見るか |
|---|---|
| ① KDCの上位互換であること(必須) | せどりの定番はKOAMTACのKDC200。これより劣る点があるなら、中古のKDCを買えば済む |
| ② 液晶画面がついている | 安い機種にはついていないことが多い。液晶があれば本体で設定を変えられる |
| ③ スキャンの速さ | メーカーが公表していれば比べる |
| ④ 読み取りの確かさ | ガラス扉越しにレーザーを当てて、バーコードが読めるか |
| ⑤ MS910より、すべての仕様で勝っているか | かつての定番のMS910に負ける点があるなら、MS910系でいいとなる |
| ⑥ 電池を替えられるか | 替えられないなら、買い直す費用を入れてもKDCより生産性で勝てるか |
| ⑦ 擦れたバーコードを読めるか | 中古の棚には擦れや汚れたバーコードが多い |
④と⑦を直接比べられる共通の数字は、どのメーカーも出していません。近いものとして、MS916は印刷のかすれに関わる「最小印刷コントラスト25%」と「分解能0.1mm」を公表し、印字品質の悪いバーコードも読めると説明しています。それでも、ガラス越しや擦れは実機で試すしかない項目です。
4. 機種の比較(2026年10月)
4-1. 公表されている仕様と価格
価格と仕様は、メーカーと販売店のページで2026年10月1日に確かめたものです。
| 機種 | 価格 | 読み取り | 液晶 | 速さ(公表) | 電池 | 重さ | 国内の無線の認証(資料の表記) |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| KOAMTAC KDC200/200i(2008年発表、国内の代理店では販売終了) | 中古。ヤフオクの直近180日の中央値8,000円(動く単体23件) | レーザー、2〜30cm(代理店)。KOAMTACの資料では10milのCode39で50〜190mm | 1インチOLED | 100スキャン/秒 | 190mA(代理店)/200mAh(KOAMTAC)、交換できる | 34g | MIC(代理店)、TELEC(KOAMTAC) |
| KOAMTAC KDC20i(2014年発表) | 新品。Amazonで29,800円 | レーザー、2〜30cm | なし | 100スキャン/秒 | 190mA(代理店の表記。交換の可否は記載なし) | 35g | TELEC |
| KOAMTAC KDC80L(KDC200の後継、2022年発表) | 新品。日本のAmazonで25,990円(販売元JAIOT SOLUTION、評価はまだない)、JAIOTSOLUTIONの直販で28,850円。国内の販売店で52,800円。メーカー希望小売価格は159ドル | レーザー。20mil(0.508mm)のCode39で71〜747mm(イメージャー)。KOAMTACの資料では40〜650mm(製品ページ)と50〜460mm(ミニガイド)で、公表値が食い違う | OLED(日本語表示) | 記載なし | 200mAh(KDC200と同じ交換用電池)、交換できる。USB Type-C | 35g | J-MIC |
| ユニテック MS916 | 新品。税込30,500円(パソコンPOSセンター) | レーザー、UPC 13milで4.06〜68.58cm。最小印刷コントラスト25%、分解能0.1mm | 1インチOLED | 104スキャン/秒 | 680mAh・約8時間、交換キットあり。USB Type-C | 63g | TELEC |
| ユニテック MS910 | 販売終了(2018年6月に出荷終了、保守は2021年7月まで) | CCD | なし | 240スキャン/秒 | 内蔵 | 24.6g | — |
| Eyoyo EY-028L | 公式サイトで61.99ドル。アリババで1個6,333円(送料別) | レーザー(距離は非公表) | LCD(大きさは非公表) | 非公表 | 500mAh・約8時間(交換の可否は非公表) | 非公表 | 私の手元の個体に技適マークなし。公式ページにも日本の認証の記載なし |
読み取り距離は、メーカーごとに測ったバーコードの太さが違うので、数字をそのまま横に比べることはできません。スキャン/秒も、レーザーとCCDでは読み方が違うので、数字の大小がそのまま体感の速さになるとは限りません。
MS910の後継のMS910+は、販売店で販売終了と表示されています。画面付きのMS926(2次元対応、39,600円)もありますが、2次元の読み取りやスマホの画面を読めることは、棚のJANコードを読むビームでは効きません。それなら中古のKDC200iを買うほうがいい、というのが私の見方です。
4-2. 私の基準7つで見ると
| 基準 | KDC200中古 | KDC80L | MS916 | EY-028L |
|---|---|---|---|---|
| ① KDCの上位互換 | (基準そのもの) | 液晶・電池の交換・Type-C・防塵防水(IP42)で上回る。速さは記載なし。MFiと自動の再接続はない(KOAMTACのマニュアル) | 液晶・電池の容量・Type-C・保証で上回る。重さは63gでKDCの倍近い | 液晶・電池の容量・値段で上回る。速さ・距離・重さは非公表 |
| ② 液晶 | あり | あり | あり | あり |
| ③ 速さ | 100スキャン/秒 | 記載なし | 104スキャン/秒 | 非公表 |
| ④ ガラス越し | どれも数字の公表なし。実機で試すしかない | |||
| ⑤ MS910にすべて勝つか | 重さで負ける | 重さで負ける | 重さで負ける | 重さなどが非公表で判定できない |
| ⑥ 電池の交換 | できる(互換品が2,000円前後) | できる | 交換キットあり | 非公表 |
| ⑦ 擦れたバーコード | どれも数字の公表なし。Eyoyoは販売ページで「傷ついたバーコードも読める」と宣伝しているが、数字はない | |||
公表されている数字だけで「すべての基準で勝っている」と言える機種はありません。⑤は、MS910(24.6g)より軽い機種がないためです。速さはMS910が240スキャン/秒と大きく見えますが、MS910はCCDなので、レーザー機の数字とは横に比べられません。
5. 私の見方と、手元で試したこと
5-1. 私の見方:EY-028Lが上だと見ている
安牌ならKDC(中古)、という意見に反論する気はありません。ただ、KDCは2008年に発表された機種で、技術的には古いです。電池の容量が小さく、充電の端子が特殊な形(Ultra mini USB)なので、ケーブルをなくすと面倒で、管理もだるい。
MS910はもう売っておらず、上位のMS912も販売終了で、後継のMS912+(3万円ほど)にせどりで払う価値は、私には見いだせません。値段、液晶、レーザーという点で、EY-028LはMS910系に勝っていると私は考えています。いちばんフェアな勝負は、同じ1次元のレーザーで液晶のあるMS916とEY-028Lの比較です。そして同じくらいの値段なら、KDCの中古より、後から出た安いレーザー機のほうがいいと考えています。
5-2. 手元のEY-028Lで試したこと
手元のEY-028Lで、書籍のバーコードを読ませてみました。
- 読み取りは、KDCを使っていたころの感覚より速い
- 読み取ると、本体がバイブで震える(音を出さずに済む)
- 書籍のバーコードなら、読み取りの精度は問題なさそう
試したのは手元の書籍だけです。KDCと並べて時間を測ったわけではなく、速さはKDCを使っていたころの記憶との比較です。ガラス越し、擦れたバーコード、棚の奥までの距離は、まだ試していません。メーカーには、公表していない仕様(速さ・距離・電池の交換など)を問い合わせています。
5-3. 技適のこと
私の手元のEY-028Lには、技適マークがついていません。Eyoyoの公式ページにも、日本の認証の記載は見当たりません。総務省は、技適マークがついていない無線機を使うと、電波法違反になる場合があるとしています。海外の認証を受けた機器なら、実験や試験のために使う前に届け出れば最長180日使える「特例制度」もあります。海外のスキャナーを買うときは、この点を踏まえて決めてください。KDC200・KDC20i・KDC80L・MS916は、メーカーや代理店の仕様の認証の欄に、MIC・TELEC・J-MICといった日本の無線の認証が載っています(これらは資料での呼び方で、制度としては技術基準適合証明や工事設計認証です)。実際に使う個体は、本体の技適マークと認証番号で確かめるのが確実です。eBayやアメリカのAmazonなど、海外向けに売られている個体は特に、届いた本体で技適マークと認証番号を見てください(表示は本体のラベルのほか、画面に出す方式の機種もあります)。
6. 結論:どれを買うか
| こういう人 | 機種 | 理由 |
|---|---|---|
| 性能と値段だけで選ぶ | EY-028L | 私の見方。液晶・レーザー・電池の容量で、KDC200中古と同じくらいの値段。ただし速さ・距離・重さは非公表で、私の手元の個体には技適マークがない |
| 仕様に日本の認証が載っている機種を、安く | KDC200の中古(8,000円前後) | 安牌。技適の目線では、ヤフオクで中古を買って電池を替えるのが一番いいのかもしれない、と私は考えている(ヤフオクの中古でも技適マークは確かめる)。合わなければ中古で売れる。電池は互換品(2,000円前後)か、KOAMTAC直販の純正(24ドル、送料別)に替えて使う。設定と相場はKDC200の記事 |
| 仕様に日本の認証が載っている機種を、新品で | KDC80L(日本のAmazonで25,990円) | 私の第一候補。KDC200の後継で、液晶・Type-C。弱点は電池で、KDC200と同じ200mAh。私の使い方で半年から9か月でへたった電池の問題は、改善されていないと見ている。MFiと自動の再接続はない。出品者の評価はまだないので、届いた個体の技適マークを確かめる |
| 新品で、電池の容量と保証を重く見る | MS916(税込30,500円) | レーザー・液晶・680mAhの電池と交換キット・Type-C・ユーザー登録で保証3年。63gと重いのが難点 |
| 液晶は要らない、国内の新品で軽く | KDC20i(29,800円) | KDC200と同じ距離と速さの公表値で、充電のUSB端子が本体に内蔵。液晶がないので、私の基準②は満たさない |
買う前には、次の5つを確かめてください。
- いま新品で売っているか(KDC200とMS910は販売終了で、中古か在庫品しかない)
- 本体に技適マークと認証番号があるか
- 自分のiPhone・Androidに、キーボードとして(HIDで)つながるか
- 使うアプリが外部のバーコードリーダーに対応しているか(せどりすとプレミアムはKDC200とMS910で確認済みと公式に記載、アマサーチは標準プランで「外部バーコードリーダ対応」)
- 保証と返品の条件(MS916は保証1年、ユーザー登録で3年)
KDC80Lは、液晶・電池の交換・Type-C・防塵防水(IP42)ではKDC200を上回りますが、Bluetoothの方式が変わり、KDC200iにあったMFiや自動の再接続はありません(KOAMTACのマニュアル)。メーカー希望小売価格は159ドル(1ドル157.5円の単純換算で約25,000円。送料や税は入っていません)で、日本のAmazonでは25,990円で出ています(2026年10月1日)。アメリカのAmazonでも、販売元・発送元の表示が「KOAMTAC KDC」の出品が159ドルですが、日本の住所には発送できず、転送会社が要りました。アメリカ向けの個体に技適マークがあるかも分かりません。また、電池はKDC200と同じ200mAhで、販売ページの写真では裏蓋もKDC200と同じネジ止めです。KDC200の電池が私の使い方で半年から9か月でへたった問題は、KDC80Lでも改善されていないと見ています。技適の目線では、アメリカから買うKDC80LやeBayのKDC200iをすすめられるかは分からない、と私は考えています。払う前に、次の7章の計算で元が取れるかを確かめてください(「スキャナーの値段」に25,990円を入れます)。値段の比べ方と電池の交換はKDC200の記事にまとめています。
7. スキャナーは元が取れるか(計算機)
スキャナーで浮くのは、カメラで1点ずつ合わせる時間です。1回の仕入れで読む点数、カメラとスキャナーでそれぞれ1点にかかる秒数、月の仕入れ回数、浮いた1時間を仕入れに回したときに増える利益(ここでは仕入れ時給と呼びます)を入れると、月に浮く時間と、スキャナー代を取り戻すまでの月数を出します。カメラとスキャナーの秒数は、自分のスマホと使うアプリで30点ほど続けて読み、かかった秒数を点数で割ると確かです。本の棚での私の体感(カメラは3時間で100冊読めるか怪しい、ビームは1日1,000〜2,000冊)を使った計算は、本せどりの記事にあります。
8. 読み取りの速さは、利益の一部でしかない
8-1. 効くのは、店に入る前と出た後の判断
ビームでできるのは、選んだ商品の相場を素早く調べることです。ここを速くしても、仕入れの利益を決めるのは、その前後にある判断のほうです。
- 店に入る前……どの店に行くか、何の棚を見るか、いつ行くか
- 店を出た後……いくらで、どこで出すか、いつ損切るか
この2つは、スキャンの速さでは改善しません。私自身、よく通う神店舗ではビームを使っていませんでした。週1以上で行くので、前回なかった物のうち気になる物だけをスマートフォンで調べる、という差分のやり方で足りていたからです。調べる対象を絞れる人にとっては、全部を高速で読む道具の価値は下がります。7章の計算機で、カメラでも読む点数を多く入れると元が取れるように見えますが、差分で回る人は、そもそもカメラで読む点数が少ないはずです。
8-2. バーコードは「価格」ではなく「商品」を指す
バーコード(JANコード)は、商品を識別するための番号です。価格そのものが数字に入っているわけではありません。GS1 Japanも、JANコードは商品を特定してデータを呼び出すための番号だと説明しています。だから、ビームが向く商材と向かない商材は、こう分かれます。
| 商材 | ビームの位置づけ |
|---|---|
| 本・CD・DVD・ゲーム・家電・新品の日用品 | バーコードから同じ商品の相場を調べやすい。読み取りが効きやすい |
| 中古の衣類 | バーコードがあっても、状態・サイズなどの個別の判断が大きい |
| 修理・ジャンク、ブランド品 | 商品の特定には使えるが、状態・付属品・真贋で価格が変わるので、読み取りだけでは仕入れの判断は済まない |
中古は、本やゲームでも状態や付属品で値段が変わります。私がいま扱っている商材は、スキャンより状態の判断に時間を使うものが多い。「せどりを始めるならまずビーム」という順序は、商材によっては当てはまりません。
8-3. 全頭検索と絞り込みは、順序の問題
ビームの利点は、棚を端から端まで全部読む全頭検索ができることです。これは点数で押す戦い方です。ここで混ざりやすいのが、「何を調べるか(対象の選び方)」と「選んだ物をどう調べるか(情報の入力)」の2つです。
- 構造を知らない段階……何が高いか分からないので、全頭検索で点数を潰すのが効きます。
- 構造が入った段階……「移植されていないか、ダウンロード販売が終了しているか、少数生産か」といった条件で、読む前に候補を絞れます。同じ時間で回れる棚が増えます。
商品知識がある人でも、選んだ物を素早く調べるためにスキャナーを使えますし、見落としを確かめる目的で全頭検索を使う余地もあります。だから「全頭検索から卒業すべき」という話ではありません。残したい主張は1つで、「読み取った件数だけを成果にしない」ことです。読み取るだけでは、なぜその値段なのかまでは分かりません。件数ではなく、値段の理由を1つずつ覚えていくほうが、翌年の速度が変わります。
私はスマートフォンがない時代に、ガラケーでAmazonのランキングだけを見て仕入れを判断していました。いまはKeepaのような道具があります。道具が良くなったぶん、差がつくのは道具の有無より、値段の理由を読めるかどうかです。この考え方はゲームせどりの記事に具体的に書いています。
9. 店で注意されたとき、Amazonに出せるか
9-1. 店で注意されたときの話
私は、家電量販店でスキャナーを使っていて「やめてください」と言われたことがあります。そのときやったのは2つです。その場で使うのをやめて退店したこと。そして、店舗の記録に残したことです。
店舗せどりは同じ店に何度も行く商売なので、どの店で何を言われたかを残しておかないと、同じことを繰り返します。私は回った店の情報を自分用のデータベースに入れていました。記録するときは、「注意された」だけでなく、注意された行為(スキャナーの使用なのか、撮影なのか、価格調査そのものなのか)、日付、説明された範囲まで残すと、次に活きます。
掲示や店員の指示に従わずに続ける選択肢は勧めません。倫理の前に、割に合わないからです。短期のリサーチの速さと引き換えに、継続して通える店を失うのは、損な取引です。
9-2. Amazonの話:私の経験と、いまの確認事項を分ける
私の撤退理由の1つは、仕入れたものをAmazonにそのまま出せる前提が崩れたことでした。これは私の経験です。読者にとって大事なのは、いま、自分のアカウントでその商品を出せるかです。Amazonは、カテゴリーやブランドによって出品許可が必要になることを案内しています。仕入れる前に、自分のアカウントでの出品の可否と、必要な申請の条件を確かめてください。
もう1つ。「出品できる」と「利益を残して売れる」は別です。出せても、販売価格から手数料・送料を引いて残るか、そもそも売れる見込みがあるかまで見て、初めて出口が確保できたと言えます。
9-3. 「稼げるか」を判断するには、時間と利益を記録する
ビーム単体ではなく、店舗せどり全体で、使った時間に見合ったかを記録するのが、一番確かな判断材料です。
- 売れた商品の売上から、仕入れ・販売手数料・送料を引く
- 交通費・駐車場代・ツール代も費用に入れる
- 移動・リサーチ・検品・出品・発送にかかった時間まで数える
- 売れ残りの仕入れ代金と、保管している期間を別に確かめる
こうすると、「たくさん読めた」「利益商品を見つけた」から一歩進んで、実際に売れたあと、使った時間に見合ったかが見えます。私が体力を理由に撤退したのも、ここが合わなくなったからです。この記録があれば、7章の計算機に入れる仕入れ時給も自分の数字で出せます。回転率と利益率の考え方はせどりの利益率と回転率に、店選びはハードオフの神店舗・塩店舗の見分け方にまとめています。
10. よくある質問
本せどりでバーコードリーダーを使うとどうなりますか?
ブックオフのような本の棚を、少し引き出して裏表紙のJANコードを読みながら、端から読めるようになります。私の体感では、スマホのカメラだと3時間で100冊読めるか怪しいところを、ビームなら1日で1,000〜2,000冊読めました。ただ、私自身は書籍は裁量で選び、ビームを使ったのはよく分からないアニメやゲームの画集を見るときだけです。ただし、読んだ点数が増えるほど利益が増えるわけではありません(8章)。本はFBAで売ると、110円で仕入れた本でもAmazonで637円以上で売れないと赤字になります(本せどりの記事)。読むのが速くなっても、この下限を超える本を拾えるかどうかは別の話です。それでも、本を裁量で選べない人にとって、ビームは事実上の必要経費だと私は考えています。浮く時間の計算は、同じ本せどりの記事に載せています。店によってはスキャナーの使用を注意されることもあります(9-1)。
スマートフォンのカメラだけでは無理ですか?
棚を全部読む全頭検索には向きません。ただし全頭検索が必要かどうかは、商材と自分の習熟度で変わります。調べる物を絞り込める人には、カメラで足ります。7章の計算機に、カメラで読む点数を入れて比べてください。
安い機種でも大丈夫ですか?
試す価値はありますが、商品ページのスペック表だけを根拠にしないでください。記載どうしが矛盾している出品もあります。たとえばAmazonには、1次元のレーザーで、商品ページに「技適マーク取得」と書かれた5,830円の機種(Tera 5200C)もありますが、速さや距離の公表値は見当たりません。メーカーの仕様を確かめ、接続と読み取りは実際に試す。レビューは件数だけでなく、同じ端末・アプリで使った人の内容まで読むと外しにくくなります。
KDC200のような機種を買う意味はありますか?
中古の需要があるので、合わなかったときに手放しやすい、という利点があります。KDC200は国内の代理店では販売を終えていて、設定と中古の相場、電池の交換はKDC200の記事に書いています。
「ビーム禁止」と書かれている店ではどうすればいいですか?
掲示があるなら、スキャナーは使わないでください。そのうえで、禁止の対象がスキャナーだけなのか、価格調査そのもの(撮影やスマホでの調べ物を含む)なのかを、店に確かめるのが確実です。掲示を無視して続けても、得られるのは短期の速さで、失うのは通える仕入れ先です。ブックオフは公式のよくある質問で、バーコードリーダーでの検索は他の客の迷惑になる場合は遠慮してもらい、店舗によっては使用自体を禁止していると答えています。ほかのチェーンの公式の方針はせどりで出禁になる理由にまとめています。
いまから始めても遅くないですか?
道具の面では、むしろ入りやすくなっています。問題は入口ではなく出口です。Amazonなどで、自分のアカウントで出せて、利益を残して売れるかを先に確かめてください。アプリの月額も固定費になるので、せどりアプリの記事の計算機で、自分の月商で成り立つかを見てから揃えてください。
11. まとめ
- ビームせどりは、スキャナーで棚のバーコードを次々に読み、アプリで相場を調べるやり方。新品の仕入れでも使えるので、出品規制を解除できていればオワコンではない。オワコンなのは低単価の本をFBAで売るやり方。スキャンの速さだけで利益は決まらない
- スキャナーを選ぶ基準は、KDCの上位互換・液晶・速さ・ガラス越し・MS910に全勝・電池の交換・擦れの7つ。ガラス越しと擦れを直接比べられる共通の数字はなく、実機で試すしかない
- 性能と値段で比べるなら、私はEY-028Lが上だと見ている。ただし速さ・距離は非公表で、私の手元の個体には技適マークがない
- 国内の無線の認証がある機種なら、安く済ませるならKDC200の中古(8,000円前後)、新品ならKDC80L(日本のAmazonで25,990円。届いた個体の技適マークを確かめる)。電池の容量と保証を重く見るならMS916(税込30,500円)。液晶が要らなければKDC20i(29,800円)
- スキャナーで浮くのはカメラで合わせる時間。読む点数が少ない人には元が取れにくいので、計算機で確かめる
- 注意されたらその場でやめて記録する。稼げるかは、店舗せどり全体の時間と利益を記録して判断する
12. 出典
13. あわせて読む
| 記事 | 内容 |
|---|---|
| せどりアプリおすすめ | 使えるアプリ・使えないアプリと、アプリ代の元が取れる月商 |
| KDC200のペアリングと設定 | 実機の写真で手順、つながらないとき、電池交換、中古相場 |
| せどりすとプレミアムは今も使えるか | KDC200iと組み合わせて使った私の結論 |
| アマサーチ | Androidで外部のバーコードリーダーを使うなら |
| せどりアプリはAndroidで足りるか | 使えるアプリと、iPhoneを買うべき人 |
| 本せどり | FBAだと110円の本もAmazon637円以上でないと赤字になる |
| せどりで出禁になる理由 | ブックオフ・ハードオフ・ノジマ・ヤマダの公式の方針と、注意されたとき |
| ゲームせどり | 100個の棚から調べる5個を選ぶ |
| ハードオフせどり | 神店舗と塩店舗の見分け方 |
| せどりの利益率と回転率 | 20年3業態の実測値 |
| フリマ通知が遅い・来ない原因と設定法 | 通知を使う仕入れ |
| 自動購入ツール・botは今も使えるか | 道具で差がつくかの別の例 |
14. この記事について
店舗せどりでせどりすとプレミアムとKDC200iを使っていた本人が書いています。機種の価格と仕様は、メーカー・代理店・販売店のページで2026年10月1日に確かめました。価格は変わるので、買う前に販売ページで確かめてください。EY-028Lの使用感は、手元の個体で書籍のバーコードを読ませた範囲のものです。
