この記事は、BASEかSTORESで無在庫販売を始めようとしている人、あるいは始めてみて警告が来た人に向けて書いています。
私はBASE、STORES、WooCommerce(WordPress)の3つで、実際に自分の店を作って無在庫販売を回しました。ヤフオクやメルカリのようなプラットフォームでの無在庫は別の記事に分けたので、ここは「自社サイトでやる無在庫」だけの話です。
先に結論を書きます。
- BASEもSTORESも、無在庫販売そのものを規約で禁止していません。私はSTORESに禁止されたと思い込んでいましたが、今回あらためて規約を読んで、違うと分かりました。止められるのは「表示した発送日を守れないこと」であって、在庫の有無ではありません
- それでも私はSTORESから何度も警告を受けました。海外から直送する無在庫は、発送日を守れない構造だからです
- 3つを比べて、同じ品質の記事を入れて検索順位が上がったのはWordPressでした。BASEとSTORESは店を作る場所で、記事で人を集める場所ではありません
- ツールで商品を流し込む使い方は、この記事では扱いません。理由はTopSellerの記事に計算で書いています
私が3つの店で何を売って、どうなったか
順番に書きます。前提として、時期は無在庫販売をやっている人がまだ少なかった頃で、いまと検索エンジンのアルゴリズムも各社の運営体制も違います。
STORES:ヤフオクで売れたものをコピペしたら、すぐ上がった
STORESで売っていたのは、レゴ互換品、腕時計、調理機器です。どれもヤフオクの無在庫で売れていたものを、そのままコピペして出品しました。
当時はSTORESで同じことをやっている人が少なく、STORESのドメインの強さもあって、出した商品ページがすぐに検索で上がりました。ここで「これはいける」と判断して、WooCommerceにシフトしました。
シフトの直接のきっかけは、STORES本体からの警告です。「発送が遅い」というクレームが購入者からSTORESに何度も入り、そのたびに私に注意が来ました。海外から直送する無在庫は、仕入先の在庫と国際配送の両方に自分の手が届かないので、発送日を守れない注文が構造的に一定割合で出ます。STORESは、その割合を許容しませんでした。
BASE:修理品は売れた。無在庫は続けずに閉めた
BASEでも無在庫販売はやっていました。それとは別に売っていたのが、電池交換をしたスーパーファミコンのゲームカセットです。これは無在庫ではなく、自分で直した在庫品です。売れました。
ただ、その頃には無在庫販売そのものに疲れていて、注文をキャンセルして店を閉じました。BASEで無在庫の警告を受けた経験はありません。受ける前にやめたからで、BASEが緩いという意味ではないです。
WooCommerce:新規ドメインで2〜3週間、月8個、利益率30〜40%
WooCommerceは完全に新規のドメインで始めました。当時のアルゴリズムで、記事を入れてから検索順位が上がるまで短くとも2〜3週間かかっています。売れた数は週2〜3個、月8個程度。単価は3,000〜10,000円で、利益率は30〜40%に設定していました。
数だけ見ればSTORESの初動より少ないですが、WooCommerceにはSTORESにないものが2つありました。警告が来ないこと(発送日は自分が決めた表示に従うだけでよい)と、記事で人を集められることです。この2つ目が、この記事の本題です。
規約を読み直した:どちらも「無在庫」を禁止していない
私はこの記事を書くまで、STORESはいま無在庫を規約で禁止していると思っていました。あらためて原文を読んだ結果を書きます。
STORES:禁止事項に在庫の項目はなく、公式が無在庫を肯定している
STORESの禁止事項はSTORES 共通利用規約第14条(2025年10月15日最終改定)に23項目ありますが、「手元にない」「在庫」「直送」に関する項目はありません。
代わりに、STORES ネットショップ利用規約(2026年3月26日最終改定)第31条が、事業者の義務としてこう定めています。
顧客からの受注情報を受取った場合は、遅滞なくその処理に着手するものとし、顧客に対してあらかじめ表示又は通知した商品等の発送日又は提供日もしくは提供時刻までに、顧客の指定する場所その他顧客と合意した場所に商品等の準備、送付、提供を行う
同条は、遅延や品切れが生じた場合に速やかに顧客へ連絡することも求めています。つまりSTORESが見ているのは在庫の有無ではなく、「表示した発送日を守ったか」です。私が受けた警告は、この条項に対応していました。
さらにSTORESは、公式メディアの「ネットショップは仕入れの無在庫でも運営可能?」(2026年4月15日更新)で、無在庫販売を「古くからある方法で、オーダーメイド品や受注生産も無在庫販売の一種」と説明し、予約販売機能を使って無在庫であることを明示するよう勧めています。禁止どころか、やり方を案内しています。
BASE:禁止していないが、「検品」を前提にしている
BASEのヘルプ「海外から仕入れた商品は販売できますか」は、販売できると答えたうえで、条件を並べています。特定商取引法に基づく表記の「引渡時期」や商品説明にお届け日数の目安を必ず明記すること、追跡可能な配送を使うこと、必ず検品を行うこと、仕入れできなかった場合は速やかに返金すること。そしてトラブルなく運営できない場合はショップの利用停止があると書いています。
ここで読み落としてはいけないのが「必ず検品を行い」です。検品するということは、商品が一度自分の手元を通るということです。仕入先から購入者へ直送する型の無在庫は、BASEのヘルプが想定している運営の外側にあります。禁止条文はなくても、直送型でトラブルが起きれば「トラブルなく運営できない場合」に該当します。
3社の線を並べる
| STORES | BASE | WooCommerce(自社WordPress) | |
|---|---|---|---|
| 無在庫の禁止条文 | なし。公式が肯定 | なし | なし(規約自体がない) |
| 実際に止まる理由 | 表示した発送日を守れない(第31条) | 検品なし・遅延・返金遅れでトラブル(ヘルプ) | プラットフォームには止められない。止めるのは決済会社と法律 |
| 私の経験 | 発送遅延で複数回の警告 | 無在庫では運営せず | 警告なし |
WooCommerceの「止めるのは決済会社と法律」の中身、つまりPayPalの禁止事項と特定商取引法の引渡時期の表示義務は、無在庫転売は違法か:規約と法令の原文に条文で書いています。自社サイトは規約に縛られない代わりに、法律に直接縛られます。
BASEの住所非公開機能について、正確に書いておく
BASEには特定商取引法に基づく表記の住所を非公開にできる機能があります。ただし公式ヘルプのとおり、使えるのは「個人」区分のショップだけで、非公開にしても納品書にはショップの実住所が記載され、返品依頼などがあった場合は住所と連絡先を開示する必要があります。「自宅バレが9割解消する」という類の説明は正確ではありません。表記から消えるだけで、取引の中では出ます。
同じ記事を入れて上がるのは、WordPressだった
ここからが、私が3つを使って得た結論です。
STORESで最初に上がったのは、STORESのドメインが強かったからで、私が強かったからではありません。同じことをやる人が増えれば、同じドメインの中で同じ商品ページが並び、上がるのは店ではなく「STORESの中の誰か」になります。BASEも同じです。店を作る場所としては優れていますが、検索で人を集める仕組みは、自分のものになりません。
WooCommerceで売れた理由は、商品ページではなく記事です。私は「オマージュウォッチ」という需要語で記事を書き、その記事の中で時計を紹介しました。商品名やブランド名で戦えばAliExpressやAmazonと正面から当たりますが、需要語で探している人は特定の商品名を知りません。記事で上位を取れば、商品名で競争しなくても売れます。
この設計は、BASEやSTORESでも形の上ではできます。ただし、同じ品質の記事を入れて実際に上がったのはWordPressでした。BASEとSTORESは、記事で検索順位を取る構造になっていません。店の1ページを見せる構造です。私が自社サイトに移った本当の理由は、警告を避けるためというより、記事という資産を自分のドメインに積みたかったからです。
このサイト自体が同じ現象の再現です。Shopeeの記事は元は反応ゼロでしたが、書き直して公開した直後に上がり、1週間経たずに読者から連絡が来ました。記事で上げて、その中で売る。無在庫であろうと修理品であろうと、自社サイトでやることの本体はここです。この「店を作る場所と人を集める場所は別」という話は、無在庫に限らず自社ECで売れない人全員に当てはまるので、Shopifyで売れないのは店のせいではないに切り出して、月額を回収するのに月何個要るかの計算機を付けました。
ツールで流し込む使い方を、ここでは勧めない理由
BASEやSTORESの無在庫を検索すると、在庫連動ツールで数万点を自動登録する方法が出てきます。私はツールを使わず、1個ずつ手で登録していました。当時は開発コストが高かったことに加えて、ツールを使えば利用者同士が同じ商品を同じ画像で並べることになるからです。
この話はTopSellerの記事で、「独占日数×1件あたりの粗利額」という式で計算しています。ツールの商材は全ストアに同時に配られるので、独占日数がゼロになり、掛け算の答えもゼロになる。手で登録する裁量は遅いですが、統計に出ていない商品を選べるので、独占日数が生まれます。本体記事では同じことを「相関」で説明しています。ツールが減らせる作業と減らせない作業、ツールの月額の元が取れるかを手作業と比べる計算は無在庫転売ツールは要るかに書いています。
なお、Shopifyについては私に実測がありません。規約に無在庫の禁止条項がないことと、PayPalやStripeの決済側の線があることだけは規約記事で確認しています。BASE・STORESと同じ判断でよいと思いますが、それは推測です。
いまからBASE・STORESで無在庫をやるなら
私の経験と、今回読み直した規約から言えることを、順番で書きます。
- 直送型(仕入先から購入者へ直接)はやらない。STORESでは発送日を守れずに警告が来て、BASEでは検品の前提から外れる。やるなら一度自分の手元を通す受注型にする
- 発送日は、STORESなら予約販売機能、BASEなら予約販売Appで、最初から長めに表示する。「入荷次第」という表示は特定商取引法上、引渡時期の表示になりません(規約記事の4章)
- BASEとSTORESは店を作る場所として使い、記事はWordPressに置く。記事から店へ送る。逆はできない
- 商品はツールで流し込まず、需要語(何を探している人か)を先に決めて、その語で記事が書ける商品だけを手で選ぶ
- 単価は3,000円以上に置く。私のWooCommerceの実測では、この単価帯で利益率30〜40%が通った。低単価はツール勢と同じ土俵になる
それでもBASEやSTORESの店だけで月に何個売れるか、と聞かれれば、私のWooCommerceの実測は月8個です。BASEやSTORESで数量が出るのは、当時のSTORESのように、まだ誰もやっていない時期にドメインの力を借りられたときだけで、それは再現できません。数量ではなく、規約で止まらず、記事が積み上がることに価値を置ける人だけが続きます。
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