「40代 副業」で検索すると、おすすめの副業を10個や20個並べた記事が出てきます。ただ、その一覧は20代向けの記事とほとんど同じ中身です。40代であることが、選び方に反映されていません。
40代と20代で違うのは、できることの種類ではなく、残り時間です。20代は失敗しても取り返す時間があるので、とりあえず始めて学べます。40代はそれができません。だから40代の副業は「何が儲かるか」ではなく、「何年で回収できるか」で選ぶ必要があります。
この記事は、副業の候補そのものは並べません。候補の判定は、親記事の地味に儲かる副業の見つけ方に5つの条件を置いてあるので、そちらに送ります。ここで扱うのは、40代という条件が、その5条件のどこを厳しくするかだけです。私自身、40歳を過ぎてから親の家を出て、20年続けてきた中古品の修理と販売を今も続けている側なので、その立場から書きます。
40代の副業選びを決める3つの変数
親記事の5条件のうち、いちばん重要なのは5番目の「参入障壁が『たくさん働くこと』以外にある」でした。時間は誰でも払えるので、作業量だけが障壁の副業には人が入り続け、単価が下がって消耗する。だから障壁が技能・資金・設備・関係のどれかにあるものを選ぶ、という話です。
ただし、技能も設備も関係も、身につけるのに時間がかかります。ここで40代は20代と分かれます。障壁を作る時間そのものが投資であり、その投資を回収できる残り時間が、40代には限られている。この一点から、次の3つの変数が出てきます。
変数1:残り時間(回収年数)
副業で障壁を作るには、技能なら何年か、資金なら貯める期間、設備なら初期費用が要ります。それを回収するまでの年数を、自分の残り稼働年数で割ります。
仮に65歳まで動くとして、45歳なら残り20年、55歳なら10年です。技能を身につけるのに3年かかる副業は、45歳なら回収に17年使えますが、55歳なら7年です。同じ副業でも、始める年齢によって期待値が変わる。これが40代の一覧記事が役に立たない理由で、年齢を入れないと判定できないものを年齢抜きで並べているからです。
私は20代前半で古本の転売から始め、修理に移り、20年かけて今の形になりました。同じことを40代から始めたら、20年後は60代です。それが悪いという話ではなく、「20年かけて作る」設計はもう選べない、という話です。40代が選べるのは、障壁を作るのに1〜3年で済むものに限られます。
変数2:体力(労働集約を選べない)
もう一つ、40代で落ちるのが体力です。私が読者に向けて期間工をバイパスとして書いた記事がありますが、期間工は2年11か月を体で走る仕事で、40代には体力的に厳しい部分があると考えています。店舗せどりで車で1日中回る働き方も同じです。稼げると分かっていても、40代の体で続けられるかは別の問題です。
労働集約は稼げますが、自由になれない。これはこのサイトの読者が労働そのものではなく拘束時間を嫌う、という観察と同じ場所に行き着きます。40代の副業は、体を使う量ではなく、判断で値段が決まるものに寄せる必要があります。私がブランド品の転売を本業サイズで回していたときに撤退した理由の一つは、撮影と出品の反復が体力的にも精神的にも続かなかったことでした。副業のサイズなら成立すると今でも考えていますが、それは「量を減らせば」という条件付きです。
変数3:AIによる代替(回収前に消えるか)
三つ目は、これから覚えるものが回収前に消えないかです。ライティング、翻訳、単純なデザイン、データ入力。40代向けの一覧記事によく載っている副業の多くは、AIで代替されつつあります。20代なら代替されたら次を覚えればいい。40代は、3年かけて覚えたものが回収前に消えると、次を覚える時間が残っていません。
私の結論は「代替されるものは下がる」です。横流しの転売で単価が下がり続けるのを見てきたので、修理という物理的な作業しか残らないと判断しました。壊れた録画機器のドライブを交換する作業は、AIが文章を書けるようになっても代わりにやってくれません。40代がこれから障壁を作るなら、作った障壁がAIで無効化されないものに限る。これは好みではなく、回収年数の問題です。
3つの変数を、1つの式にする
親記事の式は「利益 ÷ 拘束日数」でした。40代の場合、その前に一つ式が要ります。
障壁を作るのにかかる年数 < 残り稼働年数 × 許容割合
許容割合は、残り時間のうち何割を「まだ回収が始まっていない期間」に使えるかです。私なら2割に置きます。45歳で残り20年なら4年、55歳で残り10年なら2年。それを超える準備期間が要る副業は、いくら儲かっても40代には期待値が乗りません。
計算機:40代の回収年数
入力するのは、今の年齢、動ける上限の年齢、障壁を作るのにかかる年数、準備期間中と軌道に乗った後の月の利益の見込みです。数字はすべてあなたの見込みなので、結果もあなたの前提の範囲でしか意味を持ちません。
この計算機が言っているのは一つだけです。40代では、準備期間の1年が、そのまま利益の1年分と交換されている。だから「まずスクールで3年学んでから」という設計は、20代なら成立しても40代では成立しにくい。準備が短くて済むのは、すでに持っているものを使う場合です。親記事の「自分にはあって、他の人にはないもの」を探す、という手順は、40代ではさらに重要になります。
40代の副業は、金額より「評価者を増やすこと」に価値がある
ここは数字ではなく、私の立場です。
40代は、会社の中で評価の規則が変わる年代です。私と同世代で、就職時には勝ち組だった人たちが、その後の部署閉鎖や配置転換で、40代になってから初めて出口を探しているのを見てきました。会社の給料は市場ではなく社内の規則で決まり、評価者は実質一人です。その一人の規則が変わったとき、収入の100%がそこに依存していると、選択肢がありません。
副業を持つということは、会社以外に自分の判断に金を払う相手を持つということで、評価者が一人から二種類に増えます。月3万円でも、社内の評価の歪みが自分の収入と自尊心に占める割合が100%ではなくなる。この構造は無能ほど権利を主張する人と、評価者の数の記事に書きました。40代の副業の価値は、金額そのものより、この「割合を下げる」ことにあると私は考えています。だから月3万円で構わない。むしろ月30万円を目指して準備期間を延ばすほうが、上の計算機では損になります。
40代が統計上「若手」になる場所もある
最後に一つ、40代に不利な話ばかりではないことを書いておきます。職歴が薄い40代向けにバイパスとして書いた施設警備から第二種電気工事士への記事で、賃金構造基本統計調査の職種別の平均年齢を並べました。警備員53.8歳、居住施設・ビル等管理人57.6歳。45歳なら、この領域では平均より10歳前後若い側です。
副業でも同じことが言えます。中古品の修理は、手先と経験で値段が決まり、若さで決まりません。私が20年やってきて、年齢で不利になったと感じたことは一度もありません。40代が不利なのは「これから長い時間をかけて覚える」場面だけで、「すでに持っている経験と判断で値段をつける」場面では、40代は20代より有利です。副業の候補を絞るときは、この後者に寄せてください。
まとめ
40代の副業は、一覧から選べません。残り時間・体力・AI代替の3つで候補を絞り、「障壁を作る年数 < 残り稼働年数の2割」を満たすものだけを残し、残ったものを親記事の5条件で判定してください。準備期間の1年は利益の1年と交換されているので、すでに持っているものを使う設計が最優先です。そして金額は月3万円で構わない。40代の副業の価値は、評価者を一人から二種類に増やすことにあります。

コメント